タグ:コンサート ( 140 ) タグの人気記事

Beloved and Beautiful オランダ・バッハ協会コンサート

ヨハネット・ゾマーがソプラノ・ソロ・パートを歌うので、オランダ・バッハ協会のコンサートに行ってきた。2010年4月27日。しかし、帰国間もないため、やはり夜のコンサートはきつかった。ついつい、こっくり、舟をこいでしまう。
c0188818_17234960.jpg

             今シーズンは、彼女のおっかけしてるのだ。

会場は、恒例、マーストリヒトの聖母教会。
日中はいいお天気で、暑いくらいだったが、夕刻からは涼しくなった。コンサートが始まるのは夜8時半で割と遅め。教会でのコンサートに着物は、あまりに浮きすぎるので、カシミア混のセーターにジャケット代わりのブラウス、膝丈スカートにタイツという服装で出かけたのだが、教会内部に入るとひんやりする。これは失敗した、と思って周りを見ると、やはり皆さん重装備である。こんな薄着の人は、他にはソリスト位しか見当たらない。

すなわち、ヨハネット・ゾマーの服装のことである。彼女は今回、デコルテが開いてはいるが長袖で襟にボリュームのあるカシュクールを太いサッシュ結びにした焦げ茶のシルク・タフタ・ブラウスに、鼠色のやはりシルクと思われるロングスカートという、教会でのコンサートにマッチした、控えめな姿。いつも同様、ブラウスの色に合わせた色石のネックレスだが、ゴージャスさはあまりない。まあ、茶会の着物、みたいな雰囲気と思っていただくとよろしい。

c0188818_1735094.jpgHeinrich Schütz (1585-1672)
- Stehe auf, meine Freundin
Georg Böhm (1661-1733)
- Mein Freund ist mein
Dietrich Buxtehude (1637-1707)
- Drei schöne Dinge sind (BuxWV 19)
Johann Christoph Bach (1642-1702)
- Meine Freundin, du bist schön
Johann Sebastian Bach (1685-1750)
- Der Herr denket an uns (BWV196)

Uitvoerenden
De Nederlandse Bachvereniging solistenensemble
Jos van Veldhoven dirigent
Johannette Zomer sopraan
Marcel Beekman tenor
Harry van der Kamp bas

曲目は、上記ジャケット写真のCDBeloved and Beautifulと同じ内容だが、コンサートのタイトルは Meine Freundin, du bist schonとなって、旧約聖書からの愛の歌、と副題がついている。
すなわち、「ソロモンの雅歌」に基づいたドイツ・バロックのカンタータやモテットを集めたものだ。
このジャケットに描かれた百合の絵から連想するのは、マタイ福音書の「野の百合はいかにして育つかを思へ。労せず、紡がざるなり。されど、われ汝らに告ぐ。ソロモンの栄華だにこの花に一つにも如かざりき」の言葉だ。ソロモン繋がりで順当と言えば、順当である。ベタとまでは言うまい。

ソロモンというのは、ダビデの息子で、サウルから数えて3代目のイスラエル王だ。
ソロモンの治世下、イスラエルは繁栄を極め、平和を謳歌した。ソロモンの叡智のおかげだ。彼は即位の際、神から、善悪を判断しイスラエルの民を治めるための知恵を授けられることを望んだので、神の御覚えめざましく、ずうずうしく口に出して望みはしなかったが、結果として栄華をも得た。
神に感謝して黄金の神殿を建てたことにはソロモンの敬虔さが窺えるのだが、それからどうも奢侈に走り、肉欲に耽ったり(后700人に側室300人とか)、異国の妻達に迎合して異教礼拝までもしてしまった。
奢れる者は久しからず、の法則どおり、彼の死後、王国は弱体化し分裂した。
だから、わたしは、野の百合の裏の象徴として、盛者必衰の理を思わざるを得ないのだ。

ソロモンは知恵の王なので、「雅歌」は彼が作ったもしくは編纂したと伝わる詩を集めたものだ。
2000年以上前に書かれたのだが、万葉集の相聞歌みたいに多分に土俗的で直接的な愛の歌がメインとなっている。だから、ストイックでプロテスタント的な世界とは対極にありそうな気がするのだが、ルターも詩の白眉と呼んだくらいだから、普遍的でもあり、ストレートな美しさで邪気がなくインパクトがある。

こういうマイナーな曲を集めて、教会でコンサートというセンスが、予想外によかった。
最後のバッハの曲だけは、神に感謝の言葉が出てくるが、これも結婚を寿ぐ歌である。
無邪気な愛の歌が多いから、抹香臭さが全くない。華やかなヴァイオリン・ソロもたっぷり入ったり、ソロも掛け合いもおおらかな男女の愛の賛歌で、艶やか。
特にヨハネット・ゾマーに注目して聴いていたのだが、いわゆる教会系の彼女の声にはぴったりだし、真面目一本やりでなく遊びがある内容の歌が多いから、楽しめる。
これは、CDもやっぱり買うべきだろうか。(CDと異なり、今回のコンサートでは、テオルボ演奏はフレッド・ヤーコブスだった)
[PR]
by didoregina | 2010-04-28 11:12 | コンサート | Comments(0)

ボザールも熱い

ブリュッセルでクラシックのコンサートというと、たいていボザールで行われる。
アールデコのコンクリート造りで天井が低く、音響的には文句を言いたい部分がありすぎるが、やはり一国の首都のコンサートホールだから、プログラム内容は相当充実している。
その来季プログラムが発表されたが、非常に分かりづらい作りのサイトだ。

オランダ語およびフランス語ページには、英語ページにはないハイライトの紹介があるから、有名どころの目処は一応つく。しかし、それ以外のことも知りたいとなると、カレンダーの日付ごとにいちいちクリックしていかないと内容詳細はわからないのだ。
例えば、シーズン開幕初日9月7日のカレンダーには、コンチェルト・ケルンと記載があるのみ。
その日の詳細をクリックしてはじめて、ケルメス姐がモーツアルト・アリアを歌うことが分かる。
たまたま、ハイライト・ページに「ケルメス、9月7日と2月21日に登場」と紹介があったからクリックしたが、そうでないと見逃すし、クリックしないとソリストや曲目が全然分からない。
それで、大変長い時間をかけて、一つ一つクリアーにしていった結果をお知らせする。
すべて、わたしの好みが反映しているハイライトのみであることを、ご了承願いたい。

9月7日 コンチェルト・ケルン+ケルメス姐 (モーツアルト)

9月16日 ルミュー姐 (リサイタル@モネ、アルマ・マーラー、ショーソン、ルクー他)

9月22日 カルトホイザー+カフェ・ツィマーマン (バッハ・カンタータ)

10月22日 ラ・フェニーチェ+カルロス・メナ (イタリアン・バロック)

11月11日 コジェナー+プリヴァーテ・ムジケ(イタリアン・バロックをヴィオール・アンサンブ
ルと!)

11月17日 リチェルカール・コンソート+メナ&セリーヌ・シェーン (デュロン、A・スカルラッティ他)

12月9日 ショル&ジャル (パーセル)

12月13日 バルトリ姐+フランコ・ファジョーリ (ヘンデルとそのライバル達)

12月17日 レ・ザール・フロリサン+カルトホイザー (ラモーの「ピグマリオン」と「アナクレオン」)

1月10日 マーク・パドモア+ベズイデンホウト (シューマン「詩人の愛」)

2月21日 ケルメス姐 (ヘンデル、クッツォーニのためのソプラノ・アリア)

5月24日 トリオ・メディイーヴァル

6月4日  トマス・ハンプソン (マーラー歌曲)


ここでも、なんといっても、12月が凄い。もう、12月はパリとブリュッセルに、皆さんツアー組んで行かれたらいかが?

アルチーナさん懸案だった、「バルトリ姐のヨーロッパ・ツアーにフランコ様は同行するのか?」という命題が、ボザールのサイトでなんともあっさりと解明されている。リサイタルのタイトルはアムステルダムのコンセルトヘボウと同じく「ヘンデルとそのライバル達」となっており、フランコ様が歌うことが明記されているのだ。数日違いのアムステルダムでも、きっとフランコ様は登場するだろう。アルチーナさん、さすがのご明察。
[PR]
by didoregina | 2010-03-26 15:06 | コンサート | Comments(10)

シャンゼリゼ劇場の濃すぎるプログラム

なにげなく、シャンゼリゼ劇場の来季プログラムを見ていて、その濃すぎる内容に度肝を抜かれた。

ステージ形式のオペラはそんなに多くないが、11月にヘンデルの「オルランド」と3月にヴィヴァルディの「オルランド・フュリオーゾ」がある。

11月のヘンデル「オルランド」は、アイム女史指揮(コンセール・ダストレー)にマクヴィカー演出の新プロダクションで、主役を張るのは、ソニア・プリーナ。

c0188818_5364936.jpg

この写真は、プリーナ姐が2008年にシドニーでオルランドを歌ったときの写真。
このコスチュームも、ルックスも、体型も、あまりに濃すぎる。。。。

ユーチューブが貼り付けられなくなったので、ご自分で検索してぜひ聴いていただきたいが、この顔に釣合った、いかにもイタリア的な粘り気のあるアルト(コントラルト)である。
体は声を現す、というのがよくわかる。ガリガリに痩せたミヤ様とは対極にある、肉肉しい迫力の声だ。好きになるかどうかは、わからないが。。。

3月のヴィヴァルディ「オルランド・フュリオーゾ」は、スピノージ指揮+オーディ演出の、これも新プロ。
マリー=ニコル・ルミュー姐がタイトルロールで、PJ様がルッジェーロ!その他、ジェニファー・ラルモアやヴェロニカ・カンジェミ、ストテインらも出演する、なかなかに濃いキャスティングだ。


1回だけのコンサート形式オペラは沢山ある。その中で、バロックものだけを拾っても以下のごとし。

10月19日 カンプラ 「ヴェニスの謝肉祭」 ニケ指揮コンセール・スピリチュエル

11月29日 ヘンデル 「アルチーナ」 ミンコフスキー指揮ミュジシャン・ド・ルーブル・グルノーブル
        アニヤ・ハルテロスがアルチーナ、カサロヴァがルッジェーロ、カンジェミがモルガーナ

2月12日  ヘンデル 「テーゼオ」 チェンチッチがタイトルロール!その他サバタとギヨンの二人CT

3月23日  ヘンデル 「アリオダンテ」 ディドナートがタイトル・ロール、ルミュー姐がポリネッソ

4月28日  ヴィヴァルディ 「ファルナーチェ」 ソニア・プリーナ姐がタイトル・ロール


そして、リサイタルのラインナップも凄すぎ!

10月21日 チェンチッチ  (ヘンデル、アルビノーニ、ヴィヴァルディ)

12月1日  PJ様+コンチェルト・ケルン (カルデラほか)

12月11日 ショル+ジャル (パーセル)

12月13日 プティボン (モーツアルト、ハイドン)

12月17日 PJ様+フレンズ (サプライズ! カンジェミ、G・カプソン他出演)

1月22日  サラ様+OAE (マーラー「さすらう若人の歌」)

その他、ディドナート、ヨナス・カウフマン、ボストリッジ博士、ヴィリャゾン、ジュノー、トマス・ハンプソン、コジェナーにフォン・オッターときたもんだ!
もう、少なくとも12月はパリのアパルトマンで生活しなきゃという覚悟が要りそうではないか、PJファンの皆様は。 
[PR]
by didoregina | 2010-03-25 22:10 | オペラ実演 | Comments(14)

ユンディは、キムタクか、香港映画スターか

ユンディ・リ改めユンディ(イチローのごとく、ファースト・ネームだけの芸名に改名)のコンサートに行ってきた。(2010年3月12日)

フィリップス・ミュージック・センターの例のピアノ・リサイタル・シリーズのひとつである。
だから、とにかくチケット料金が安い。ちょっと出遅れたので、一番高い席(28ユーロ+3ユーロのサービス料・フリードリンク付=31ユーロ)というのは、もうなかった。それで、電話で、どこが残ってますか?と問い合わせると、右手中二階後方(音響的にはベスト)か、平土間正面左寄り一列目(視覚的にはベスト)なら、4人並んで座れます、とのこと。悩んだ末、後者に決めた。ドリンク代込みで27ユーロの席だ。日本だったら、一体いくらだろう、と考えるとうれしくなる料金である。
c0188818_1845895.jpg

Frederic Chopin (1810-1849)

Nocturne in bes opus 9 nr 1
Nocturne in Es opus 9 nr 2
Nocturne in Fis opus 15 nr 2
Nocturne in Des opus 27 nr 2
Nocturne in c opus 48 nr 1

Andante spianato et Grande polonaise brillante opus 22

PAUSE

Mazurka in gis opus 33 nr 1
Mazurka in D opus 33 nr 2
Mazurka in C opus 33 nr 3
Mazurka in b opus 33 nr 4

Sonate nr 2 bes, opus 35

Polonaise in As opus 53 "Heroische"

演奏曲目は、上記のようにオール・ショパンである。
今年はショパン生誕200年だから、ショパンを聴く機会は一般的に多くなるはずだ。しかし、ユンディの場合、事情は少々複雑である。中国人で初のショパン・コンクール優勝!という勲章というかレッテルが付いてまわるから、ショパン以外のプログラムでは、世間が許さない。もう、ショパンを弾くパンダを見るような気分で演奏会に来ている人もいるのかもしれない。
そういう気持ちになったのは、演奏会の始まる前に、ロビーでサイン会のためのCD販売状況を検分した時である。売ってるCDが全部ショパンだった。彼には、ショパン演奏以外は、期待されていないのかもしれない、と一瞬思った。

とにかく、かぶりつき席で、ちょっと下から見上げる位置だから鍵盤と手の動きはよく見える。
それから、ピアノ界のキムタクと呼ばれているくらいの、キレイなお顔の表情も近くで見える。
そのキムタク・ユンディが登場したとたん、もう一つの悪い予感が単なる危惧ではなかったことを知らされた。

舞台を歩くユンディに向かって、コーラス席やその他の席からカメラのフラッシュが盛んに焚かれたのである。
その火の元は、言わずと知れたこと。押し寄せた地元中国人たちが、クラシック・コンサートのタブーというかエチケットおかまいなしに、写真を撮りまくる。
だから、短いノクターンの曲間も拍手、拍手で中断される。そのたびに、わたしの隣かぶりつき席に座った(セミ)プロ・ピアニストっぽいお姐さんが、ちっとか、うぐっとか、やめてくれとか、怨念のこもった声で唸るのだった。

まず、ノクターンでスタートというのが、ウォーミングアップというか手慣らしの意味はあるだろうが、わたしには不満である。ノクターンが悪いのではない。選曲のセンスの問題である。
若い頃は、ショパンが苦手だった。聴くだけで、こっぱずかしくてむずむずいたたまれなくなるのだから、弾こうとという気にもなれなかった。ロマンチック真骨頂、C調言葉のくどき文句、腺病質もしくは肺病、愛のためなら死んでもいい、そういうステレオタイプが頭に渦巻く、その集大成が、この晩選ばれたノクターンである。
数年前、ポリーニがノクターンCDを出したときのプロモーションを兼ねたリサイタルを聴いた。その時の曲目はもう覚えていないが、違和感を感じなかったから、ポリーニの選曲は悪くなかったと思う。彼らしいという意味で。

または、外見の問題もあるかもしれない。
若い男の子が公衆の面前でノクターンを弾いてはいけない。これは、もう、美学上の鉄則である。
いくらクールを装って弾いても、わたしには駄目だ。
休憩後のマズルカの洒落味のほうが健康的で、安心できる。結局、これはもうわたしとの相性の問題だ。

それ以外の曲目は、ラン・ランも選びそうなもので、いかにも中国人的な華麗さ・ハッタリを聞かせるのにもってこいの、盛り上げるにもテクニックを見せるにもよいチョイスであった。
ピアノ・リサイタルというより、ピアノ・アイドルのコンサートだったと思うと納得のいく、スカッとした演奏であった。
つまり、わたし好みの演奏とは、対極とはいかずとも、相当離れているスタイル・解釈であったが、それはそれでユンディの個性なのだから、否定はしない。
前回のアンスネスのリサイタルとは全く異なり、後に何も残らない、思索を誘うものがない。究極のエンタメ的リサイタルだったが、それなりに楽しめた。

終演後のサイン会、というのが凄かった。多分、エイントホーフェンにお住まいの中国人が大挙して家族揃って応援に駆けつけたようで、子供達は皆サインをねだる、オヤジたちは奥さんとユンディのツーショットを撮りまくる、というわけで、ユンディだけの写真撮影は不可能だった。
間近で見ると、キムタクというより、ジャッキー・チェンのご親戚ですか、と思わず突っ込みたくなるほど、目元の感じが似ている。
c0188818_17483353.jpg

           
ロビーには、ホール専属か、エージェントが契約してるのか、地元紙なのかわからないが、プロのカメラマンがいて、ユンディ・フィーヴァーぶりを撮影していたが、わたしの着物姿にも目をつけた。それで、何枚も色んなポーズで撮ってくれた。プロだから、モデルを褒めながらの撮影である。撮られるほうも乗せられる。エイントホーフェン新聞かなにかに、「中国人おっかけファンが民族衣装でユンディのコンサートに現る」とかいうキャプションつきで出るかもしれない。

c0188818_17532869.jpg

           春らしい翡翠色の地に桜やその他の花柄の小紋。
           帯は、遠山を織り出した綴れの洒落袋帯。
[PR]
by didoregina | 2010-03-19 09:54 | コンサート | Comments(8)

御伽噺とファミリー・コンサート

ピアノの師匠ペーターが、日曜の午後、老若男女誰でも楽しめるような、ファミリー・コンサートを企画した。

c0188818_544647.jpg

            ライクハルト城の別館クッツハウスが会場

2010年3月7日        Peter Caelen & Ian Gaukroger (piano)
       Tim Schiepers & David Voncken (piano)
       Jacques Vriens (お話)

御伽噺がテーマの曲を、大人のピアニスト・コンビのペーターとイアン、それから生徒のティムとダーヴィッドが連弾演奏し、児童作家のジャック・フリンスが、合間にお話を語るという構成である。

D. Milhaud        Scaramouche

M. Ravel        Ma mere l'oye
                               Pavane de la Belle au bois dormant
  Petit Poucet
  Laideronnette, Imperatrice des pagodes
  Les entretiens de la Belle et de la Bete
  Le jardin feerique

F. Schubert        Kindermars D 928
       Vier Landler D 814
       March Militaire D 733 nr.1

W.A. Mozart        Sonate in D KV 381

P.I. Tschaikowski/N. Economou   Notenkrakersuite
                                  Miniatuur Overture
    Mars
    Dans van de Suikerboonfee
    Russische dans
    Arabische dans
    Chinese dans
    Dans van de Mirlitons
    Bloemenwals

シューベルトとモーツアルトの連弾を子供コンビが弾いて、その他は、大人コンビによる演奏だった。

ティムとダーヴィッドは10歳と12歳で、ピアノを習って3年目だが、かなりのレヴェルだ。すでに昨年末、ロッテルダムのデ・デゥルンで行われたアマチュア・ピアノ・コンテストでデビュー済みという、恐るべき子供達である。今日は、ティムがあがりまくって、ミスが多かったが、なんとか二人で乗り切った。
会場は、ちびっ子から、おじいちゃん、おばあちゃんまで年齢層の広い客で満席の盛況である。
児童作家が、曲の合間に、演奏曲目にふさわしいお話を語り聞かせるという構成もよかった。


c0188818_5222446.jpg

                      イアンとペーター

この二人は、1年に1,2度、2台のピアノでの演奏会をするのだが、イアンはアムステルダム在住のため、二人揃っての練習時間はなかなかとれない。
チャイコフスキーの「胡桃割り人形」を、2台のピアノでぴったり合うように演奏するのは、結構難しい。
一般に、バレエ音楽のピアノ曲版というのは、まずリズムが正確でないと聴くに耐えない。
それを二人で演奏するのは、練習風景を知っていると、聴いていて息がつまりそうになるものだ。しかし、二人は合同練習時間の物理的短さを、技術的にカバー、クリアして、安心して聴くことが出来た。

(「胡桃割り人形」は、次男が年末に音楽学校のコンサートでの、2台のピアノで各4手、計8手での演奏に参加した。各人別パートを何ヶ月間か個別練習してから、4人で1ヶ月みっちり合わせる練習をしたから、上手くいった。しかし、ピアノ・アレンジとしては、4手のほうが、ずっと聴き心地がよい。オーケストラ曲をピアノ・アレンジする場合、手の数が多い方が音に厚みが出て、オリジナルのオーケストレーションに近くなりそうなものだが、合わせるのが難しくなるだけで、効果はそれほどでもなかった。それよりも、普通に2手のソロ演奏アレンジのほうが好ましい。)

c0188818_5423477.jpg

                着物は、琉球絣柄の信州紬。
                帯は、薄い抹茶色のメルヘン調の染め帯。
                コンサートのテーマと雰囲気に合わせて。


終演後、イアンに話しかけてみた。

R「今年はアルベニス・イヤーだけど、演奏のご予定は?丁度7年前に、貴方の弾く『イベリア』を聴いたのが、ピアノ・レッスン再開のきっかけになったんです。いつかは弾けるようになりたいと」

I 「そうそう、アルベニス・イヤーだけど、アルベニスは『イベリア』に限らず超難曲ぞろいだね」

R 「でも、わたしでも弾ける曲もあるんですよ。サロン風の曲だけど」

I 「アルベニスの曲は、どれもサロン風といえる。ところで、7年後の今は何を弾いているの?」

R 「6月にオール・ドビュッシーのコンサートを開く予定で、練習してます」

そこへ、イアンの譜めくりをした、わたしの兄弟子クリスが割って入った。
C 「ええっ?ドビュッシーの全曲コンサートなんて、どうやってするの?」

R 「ドビュッシーの全曲ではなくて、コンサートの曲目が全てドビュッシーなの」

I 「とにかく、僕の7年前のコンサートが、契機になってるとは、うれしいね」
と、イアンは、とても喜んでくれた。
[PR]
by didoregina | 2010-03-07 22:01 | コンサート | Comments(10)

「ピアノのために」と日曜朝のコンサート

去年も仰天したのが、フィリップス・ミュージック・センターの「ピアノのために」というシリーズだった。
内田光子、アンスネス、ユンディ・(リ)、フォン・エッカルトシュタインの4人リサイタル・シリーズが、飲み物込みで計120ユーロ位だったと思う。

来季の同シリーズ・プログラムが発表された。

11月19日(金) ラン・ラン、   曲目未定
1月12日(水)  ピエール=ロラン・エマール、 ワーグナー、ベルク、スクリャービン、リストのソナタ
4月8日(金)   マリア=ジョアン・ピレシュ、 曲目未定
5月10日(火)  内田光子、  シューベルトのソナタ D958, D959, D960

これもなかなかのラインナップで、なんとなくコンセルトヘボウでのプログラムに近い感じだ。
ラン・ランはエイントホーフェン初登場だと思う。
しかし、料金はぐんと上がって、シリーズ合計で144ユーロ(手数料・ドリンク代込み)。
まあ、それでも信じられないくらい安いが。
ばら売りチケットは、来シーズンから手数料・ドリンク代が現行の3ユーロから5ユーロに値上げになるらしい。これは、痛い。


コンセルトヘボウ(音楽ホールのほう)の来季プログラムも発表になった。ホールが独自に企画したもののみだが、例のごとく分厚いブロシャーである。
どうせ日帰りできないから、見ても悔しいだけだが、さすがに世界に誇る素晴らしい音響のホールが企画しただけあって、綺羅星の並んだまばゆい内容に目がくらくらする。

例えば、
10月13日(水) ヌリア・リアル+フィリップ・ジャルスキー+ラッペルジャータによるモンテヴェルディとその同時代人プログラム。

11月12日(金) マグダレーナ・コジェナーのディンディア、カプルベルガー、モンテヴェルディほかのリサイタル。

12月14日(火) ダントーネ指揮アカデミア・ビザンティーナ+ティム・ミード他によるヘンデル「メサイア」

12月16日(木) チェチリア・バルトリのヘンデル・アリア・リサイタル

5月30日(月) ベニス・バロック・オーケストラ+カルミニョーラ+ロミーナ・バッソによるヴィヴァルディ。

5月31日(火) トマス・ハンプソンによるマーラー歌曲リサイタル。

そのほか、ミア・ペルション、マーク・パドモア、ルカ・ピサローニ、ベジュン・メータ、クリスティアンネ・ストテインらのリサイタルもある。


しかし、コンセルトヘボウには日曜の朝コンサート・シリーズというのもあって、これも別ブロシャーが出た。
興味を惹くものだけ揚げると、

9月12日(日) ヘレベッヘ指揮放送室内フィル+放送合唱団+アン・ホレンベルグによるブラームス「ヘンデルの主題による変奏曲」ほか

10月17日(日) ベルリン古楽アカデミー+ミドリ・ザイラーによるバッハ「ブランデンブルク」2,3,4,6番

10月31日(日) ブライアン・アサワのシューベルト、フォーレ、バーバーの歌曲リサイタル

2月27日(日) フィルハーモニッシュ・ヴィルティオーゼン・ベルリン(ソリスト未定)のペルゴレーシ「シンフォニア」「サルヴェ・レジナ」とヴィヴァルディ「カンタータ」「コンチェルト」

4月17日(日) ムジカ・アムフィオン+ヨハネット・ゾマー+バート・シュニーマンによるヘンデル「オーボエ協奏曲」と「ベルニーチェ」「テゼオ」「リナルド」「アリオダンテ」からのアリア

毎日曜の朝になにかしらあるのだが、その中から5つ選んで組み合わせチケットを予約すると、5つ目はタダよ、ということである。19ユーロ x 4 =76ユーロ(ドリンク付き)というのは、かなりお得である。しかし、コンサートの始まるのが11時だし、多分普通のコンサートより短い内容だから、マーストリヒトからわざわざ出向くのもちょっと、、、という気がする。
[PR]
by didoregina | 2010-03-01 13:58 | コンサート | Comments(11)

来シーズンのバロック・マチネー

このところ、連日のように、コンサートホールや歌劇場から、来シーズンのプログラム・ブロシャーが届く。
しかし、首都圏のコンサート・ホールおよび歌劇場には、土日のマチネーしか行けない。
そうすると、選択の範囲が恐ろしく狭まるのだ。

例えば、ロッテルダムのコンサートホール、デ・ドゥルン。
バロック・シリーズとしては以下のラインナップ。

11月4日(木) モルテンセン指揮コンチェルト・コペンハーゲン+アンネ・ソフィー・フォン・オッターのバッハ・カンタータ、ヘンデルのアリア、ヴィヴァルディの序曲とシンフォニア。

12月15日(水) サヴァールとコンセール・デ・ナションによる、ラモー「優雅なインドの国々」「ダルダヌス」「ゾロアストル」組曲。

1月6日(木) オランダ・バッハ協会+ドロテー・ミールズ、ヨハネット・ゾマー他による、バッハの「ロ短調ミサ曲」

3月2日(水) クリスティー指揮レ・ザール・フロリサンによる、ラモーの「アナクレオン」と「ピグマリオン」

以上全て、平日の夜8時15分からだから、絶対に行けない。
しかし、このプログラムは、実に示唆に富む。というのは、彼らがロッテルダムだけで演奏会を行うとは思われないからだ。オランダもしくはヨーロッパ・ツアーの一環であろうと思われる。
つまり、エイントホーフェンに来てくれそうな予感と期待が大なのだ。フィリップス・ミュージック・センターの来季プログラム発表が待たれる。


アムステルダムのコンセルトヘボウでの土曜マチネ・シリーズのブロシャーも届いた。
めぼしい好みのものだけ揚げると、

10月23日(土) コープマン指揮ABO+3人のバロック・ヴァイオリニストによる、ラモー、ヘンデルのオルガン・コン、テレマンの3つのVのためのコン、バッハの管弦組曲3番。

12月18日(土) ブリュッヘン指揮放送室内フィル+カルミニョーラによる、テレマン、バッハのVコン、C.Ph.E.バッハのニ長調交響曲、モーツアルトの交響曲40番。

1月8日(土) オランダ・バッハ協会+ドロテー・ミールズ、ヨハネット・ゾマー他による、バッハ「ロ短調ミサ曲」

2月19日(土) マルコン指揮ヴェニス・バロック・オーケストラによる、ヴィヴァルディ「セーヌ川の祝典」

ほら、予想通り、すでにオランダ・バッハ協会による「ロ短調ミサ」が重なっている。これなら、マチネだから行ける!


そして、NRC新聞とバロック専門呼び屋さんFred Luitenの共同企画「コンセルトヘボウでのバロック声楽シリーズ」は、今年も凄い!
このコンビの企画で、去年はサラ様のコンサートが実現したのだが、「前コンサートの盛況とお客様のご要望に応えて」サラ様再登場!なのだ。
このシリーズは、日曜マチネなので、願ったり叶ったりである。

11月14日(日) ヘレベッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ・ゲントの創立40周年記念コンサート。
ドロテー・ミールズ、ペーター・コーイ、ダミアン・ギヨン(CT)ほかによる、バッハ「マニフィカット」ほか。

2月6日(日) サラ・コノリーとローズマリー・ジョシュア+ムジカ・アムフィオンによる、ヘンデルのアリアとデュエット!
「多大なる要望に応えて、メゾ・ソプラノのサラ・コノリーがこのシリーズに再登場。今回は、コノリーの希望で素晴らしいソプラノのローズマリー・ジョシュアが共演」とのこと。来年の楽しみが増えた!

4月5日(日) クイケン指揮ラ・プティット・バンドによるバッハ「ヨハネ受難曲」

6月15日までに申し込むと、16%割引で、「ヨハネ」を除いた2プログラムで、99ユーロ(開演前と休憩中の飲み物込み)。+「ヨハネ」で149ユーロ。


3月に入ったら、また次々と来季プログラムが発表になるだろうから、楽しみ、楽しみ。
[PR]
by didoregina | 2010-02-28 22:22 | コンサート | Comments(14)

Leif Ove Andsnes @ Muziekcentrum

エイントホーフェンのフリッツ・フィリップス・ミュージック・センターでのレイフ・オヴェ・アンスネスのコンサートに行ってきた。
c0188818_1855574.jpg

         
Schumann: 3 Romances Op. 28
Schumann: Novellette, Op. 21 No. 5
Kurtag: Selection from Jatetok
Schumann: Kinderszenen Op. 15
Chopin: Ballade No. 3 in Ab Major Op. 47
Chopin: Waltz in Db Major, Op. 70, No.3
Chopin: Waltz in cb Minor, Op. 64, No.2
Chopin: Walts in Gb Major, Op.70, No.1
Chopin: Waltz Op. 42
Chopin: Nocturne Op. 62 No. 2
Chopin: Ballade No. 1 in G Minor Op. 23

平日の夜にエイントホーフェンまで行くのは、やはりちょっと無理があった。
なんだかんだで開演までに入場できず、最初のシューマン2曲は聴けなかった。(「ノヴェレッテ」はドアから漏れる音だけ聴いた)

クルタークの曲は、1973年作曲の現代曲のため、アンスネスも暗譜できないらしく、楽譜がセッティングされた。その合間に入場させてもらったのだ。
なんだかとても短い曲が8曲くらい続く。ヘンな不協和音だとか妙なテクニックを強いることがない、割と聴きやすい現代曲である。高踏的でもなく、諧謔的でもなく、風刺的なところもない。
興味を覚え、ちょっと弾いてみたくなった。

楽譜をまた片付けてから、シューマンの「子供の情景」が、その後に続く。
アンスネスの弾き方、指使いを見ていると、なによりも目に付くのはその流麗さだ。余裕のある丁寧さで、アグレッシブだったり派手なハッタリとは正反対なのが、好印象を与える。
大きくて厚みのある手だから、何とも言われぬ温かみがある音が出せる。ビロードのタッチである。
また、重量のかけかたが安定して均整がとれているから、音は粒ぞろいで、聴くほうはゆったりと安心感に包まれる。
そして、グリッサンドのピアニッシモの嫋嫋たる余韻には、心がとろけそうになる。

彼の弾く「子供の情景」は、思い出を慈しみつつ辿るような内省的アプローチで、鮮やかな色彩感覚には欠けるが、こういう静謐な世界もいいなあ、と思った。
思いを内にこもらせて完結しているかのようで、モノトーンのグラデーションがかかった大人の目から見た子供の世界だが、枯淡ではなく、突き放してもいない。なんとも不思議な彼独特の解釈で、聴くほうも内省的にならざるを得ない。

c0188818_18525723.jpg


休憩後は、ショパン・プログラムだ。
まず、選曲からして、いかにも彼らしい。派手なポロネーズやソナタは入っていない。センチメンタルな曲も外されている。派手なテクニックの披露など児戯、名人芸を見せ付けるのも野暮、との確固たるセンスが感じられる。
演奏も、とにかく理知的で、感傷に溺れない。
しかし、それが、冷たく突き放した印象にはならないのは、真摯な態度と技術に裏付けされた余裕が上手くミックスされているからだ。
彼の演奏するショパンは、感情を溢れるままに流出させたり、またはいかにも高揚感を与えようという魂胆のかけらも見えない。
「思索の源泉としての音楽」という言葉が、頭に浮かんだ。

フィリップス・ミュージック・センターの音響には、今まであまり満足したことがない。木をふんだんに使った内装のせいなのか、ピアノのせいなのか、ピアニストのせいなのか、判然とはしないが、硬くて無機質かヒステリックに響く音に、不満が残ることが多かった。ピアノの音色にいちいちイラつかずに聴けたのは、今回が初めてだ。今までの不満の種は、どうやら、ピアニストのせいだったようだ。

拍手はかなり熱狂的に長く続いた。
アンコールは、結構長いバッハとショパンの2曲で、サービス心も旺盛のアンスネスだった。
終演後のCD販売とサイン会も盛況。

c0188818_19101212.jpg

          きっとサイン会があるだろうと思い、雨模様であったが、
          15分くらいで必死になって着物を着た。
          しかし、写真を撮る時間はなかった。
          泥藍大島には、いつも同じ帯を合わせがちなので、今回は
          薄い抹茶色の塩瀬の地に、埴輪のような不思議な絵が
          描かれた帯にしてみた。グリーン好きの母のもので、初おろし。

c0188818_19154697.jpg

          思ったとおり、サイン会があった。
          しかし、カメラを車の中に置いてきてしまった!残念。
          せっかく無理して着物を着て行ったのに、ツーショットが
          撮れなかった。。。
[PR]
by didoregina | 2010-02-24 11:29 | コンサート | Comments(6)

Trio Mediaeval の Folk Songs

アルチーナさんが、以前ブログで紹介していたノルウェーの女性3人組Trio Mediaevalの動画が、なぜかとっても印象に残り、名前が頭の片隅に引っかかった。彼女達のオランダ・ツアーのことを知ったのは、数ヶ月前である。しかも大都市の有名ホールだけでなく、なぜかヘーレンの市民劇場にも来るとわかり、心待ちにしていた。丁度日曜午後なので、お誂え向けである。また、ヘーレンだから学割が利くのもうれしい。(基本的に、コンサートだったら30ユーロ、オペラだったら80ユーロを上限としてチケットを買っているが、学割が利いたり、招待券を頂いたり、または補助金のおかげでもともと値段設定が低い場合が多いので、コンサートは平均20ユーロ未満で聴いている。オペラもマレーナ様が出演しないものだったら、50ユーロくらいまでしか出さない。)

コンサートには、音楽学校の仲間3人で出かけた。トースは、わたしが着物姿で来るだろうと踏んで、黒地に赤で印伝風の硬貨のような模様をプリントした小紋の羽織を裏返しにして着てきた。羽裏は黒地にオレンジと白で大きく花模様を絞ってあって、こちらのほうが派手だからである。洋服の上に羽織っていたが、似合っていた。写真を撮り忘れたのが悔やまれる。

c0188818_520265.jpg

          この冬、着倒した感のある蝋たたきの紬に
          茶色に芥子色の細かい霰の羽織。

c0188818_5223567.jpg

          前帯は茶色、お太鼓部分で鉄(にび)がかった青磁色に
          分かれる染め帯。バッグと色をちょっと合わせてみた。

コンサートのプログラムは、フォーク・ソングというタイトル通り、ノルウェーやイギリスの古歌(13世紀や14世紀)がメインで、合間にここ10年のトリオのためのオリジナル曲が入る。いずれもタイトルを見ると、マリアを讃える内容の宗教的な古謡である。しかし、このくらい古くなると、抹香臭さよりも雅趣の方が強く感じられる。3人の澄んだ声で、現代的アレンジによる抜群のハーモニーで聞かせるから、瞑想的というより神秘的である。不協和音も美しく、あくまで印象は清清しい。
トースとマリアンに「女性版キングズ・シンガーズだから聴きに行こう」と銘打って誘ったのは、あながち見当ハズレではなかった。しかし、名人芸っぽくしないで、さらっとキレイに聞かせるのが女の心意気!という感じで、さりげない粋さでは、キングズ・シンガーズよりもずっと上で好感度抜群。

基本的にア・カペラの3声重唱だが、前半最後の2曲は、メロディック・ハンド・チャイムという楽器を手に伴奏(?)しながらだった。ミステリアスな雰囲気をより深めるため、舞台から降りて、客席の3方に分かれて演奏した。サラウンディング効果は抜群で、野鳥や動物の声を真似たような発声も入るので、まるでノルウェーの森の中にいるような気分になった。
c0188818_5412821.jpg

     一人2本ずつ手に持って振りながら歌う。高音のゴングみたいな音。
     残響が長く神秘的。(終演後、気になる楽器の名前をメンバーに訊いた)

もう1曲Fallingは、出来立てホヤホヤ、歌うのは今日が2回目というものだった。
ローリー・アンダーソン(!)の詩にアントニー・フィウマラという人が曲をつけたという。
歌詞は、I was looking for you, all day long. But I couldn't find youの繰り返しで、ゆっくりと即興的に歌われる。ゴングのようなチャイムに彩られたミニマルなメロディーは、心が締めつけられそうに美しい哀しみに満ちている。余韻と間が絶妙な秀曲で、思い出しただけで涙が出そうになる。
ローリー・アンダーソン作詞との説明を聞いて、びっくりした。というのは、このトリオの一人、赤毛の人がローリー・アンダーソンに似てるなあと思っていたからだ。
なにかローリー・アンダーソンと縁でもあるのかと気になり、終演後に訊いたら、何もないとのこと。作曲家が、アンダーソンと知り合いかもしれないとは言っていた。
「この曲が、とっても気に入りました」と感想を言ったら、メンバー全員、我が意を得たりとばかり「そうでしょう」と肯いていた。

c0188818_672040.jpg

     終演後にサイン会。CDは買わずに、記念写真。ピンボケだが、
     気になることは質問でき、疑問も解けたので満足。


c0188818_6122365.jpgc0188818_613118.jpg










ロビーには、オペラ・ザウドの昨年9月公演「ディドとアエネアス」の衣装が。ジャッキー・オナシス風のディドだったらしい。
[PR]
by didoregina | 2010-02-21 22:25 | コンサート | Comments(4)

Summertime

2週間も待たずに、ヨハネット・ゾマーにまた会えた。
彼女には狙いを定めている今シーズンなのだが、実は、同日ブリュッセルのモネ劇場で、エヴァ=マリア・ウエストブルックも出演している「エレクトラ」がマチネ上演だったのだ。どちらに行くべきか、ここは思案のしどころである。
ウエストブルックは、12月にDNOで当たり役「西部の娘」の主役が好評だったが、TV放映の噂を信じて、歌劇場には行かなかった。がせネタであった。彼女とは、縁が薄いのだろう、きっと。ということで、わたしとは今シーズン、かなり縁の濃そうなゾマーの方を選んだ。

c0188818_21262614.jpg2010年1月31日
Muziekcentrum @Eindhoven

Claudio Monteverdi
   Lamento d'Arianna,
   Tirsi e Clori,

George Gershwin
   Summertime,
   The man I love,
   My man's gone,
   They can't take that away from me,
   Fascination rhythm,
   It ain't necessarily so


妙に能天気に明るいポスターである。
プログラムも凄い。曲目は、モンテヴェルディとガーシュインで、ヨハネット・ゾマーにThe Gents, ハーグ・サキソフォーン・クワルテットという組み合わせも、なかなか意表を突いている。

最初のモンテヴェルディの2曲は異質で、浮いてしまった。「アリアンナの嘆き」と「ティルシとクローリ」は、モンテヴェルディのマドリガーレだから、当時の流行歌だと思えば、どんなアレンジでもあり、だとは言える。
しかし、16人の男声合唱団ジェンツが、通奏低音やその他の器楽パートを口三味線で歌ったり、歌詞をハモッたりするのが、どうもひっかかる。しかも、そこに伴奏として、サキソフォーン・クワルテットが加わるのである。アレンジした人には、ご苦労とねぎらうべきだろうが、バロック音楽というにはちょっとぎこちなさがある。ゾマーの歌い方が正統的古楽の王道を行くものだから、かえってその他の人たちとのギャップを感じるのだった。
ジェンツは、キングズ・シンガーズを素人っぽくして、頭数だけ増員したような感じ。比較的ポピュラーな路線を行っているようだ。

その後、ガーシュインの曲になると、一気に雰囲気が盛り上がった。
ヨハネット・ゾマーの声と英語の歌詞との相性は抜群だとは、常々思っていた。この人の歌う英語の発音にはぞくぞくしてしまうのだったが、それはなにもパーセルやヘンデルなどの歌には限らないことを発見した。
ガーシュインの曲には、なんとなく黒人歌手の方がハマリそうなイメージがあるが、ゾマーは、パンチを効かせたジャジーな表現も上手いのだった。バッハを歌うときのように清楚でストイックなのとは、全く異なる歌い方ができるのだ、この人は。レパートリーの巾が恐ろしく広い。
そして、彼女の英語のとろけるような発音の耳当りのよいこと!はっきり言って、英語の歌だと、かえって耳障りに聞こえる歌手は多いのに。

バック・コーラスやサキソフォーンの伴奏とも、曲の雰囲気がばっちりあっていて、日曜のお昼にふさわしい、軽さと明るさで、いい気分になった。

プログラムを読むと、コンサート後、CD販売とサイン会があるという。
ヨハネット・ゾマーのCDは、Channel Classicsのプロモーション・セールだったので、先日大人買いしたばかりである。ちょっと引けてしまうジャケ写真のため、最新盤ヘンデル・アリア集は注文しなかった。いい機会だ、これを買ってサインしてもらおう。

c0188818_220326.jpg

           ステージ用メイクのままなので、きつめの顔。

CD売り場では、何事かもめていた。
コンサート前にChannel Classicsの人が舞台に出て、創業20周年記念コンサートのことを話した。5月24日に、ここフィリックス・ミュージック・センターで、所属全アーチストを招いて、コンサート他の催し物で、一日お祭をするという。
そして、フィリップス・ミュージック・センターでは、今回のコンサート聴衆に、記念サンプルCD2枚配ります、とDMでお知らせしてきたのに、レーベル側は知らず、販売用のCDしか持ってきていないのだった。
タダでもらえると思って群がっていた人たちは落胆して去り、残ったわたしが最初にヘンデル・アリアCDを買い、ヨハネット・ゾマーにサインしてもらった。

ゾマー自身がCDのプラスチック包装を剥いて、サインしてくれてる間、話しかけてみた。
         (Rは私 Zはゾマー)
R「今シーズンは、あなたのコンサート、追っかけしようと思ってるんですよ」
Z「あら、まあ」
R「いえ、異なるプログラムのだけですが」
Z「今回のは、ちょっと変わってるでしょ?」
R「ええ、2週間前に聴いたコンティのダビデとは、全然雰囲気が違いますね。その前の聖母教会でのコンサートとも」
Z「あれは、テオルボのフレッド・ヤーコブスと共演したコンサートね」
R「でも、聴衆が少なくて、残念でした」
Z「教会関係者と寄進者が対象だからでしょ」
R「それがあいまいで。どこにも、宣伝がでていなかったんですよ。それから、ドイツのケンペンでのヘンデルのテオドーラ、1日違いで聞き逃してしまって残念。オランダのカンペンだとばかり思っていたので。次回もヤーコブスと共演でしたっけ?」
Z「はっきり、覚えていないから、サイトをご覧になって」
R「はい、サイトで日程はチェックしてます。そのおかげで、聖母教会のコンサートにも行けたんです」
などと、なんだか、井戸端会議のような果てしなさで、女二人の会話が続いたのだった。

c0188818_22174876.jpg

               お宝のツーショット
               雪のため、電車で出かけたので、着物はパス。
               そのかわり、帽子で目立つようにした。
               ゾマーは、気配りのきく、さっぱり気さくな人だった。
[PR]
by didoregina | 2010-02-01 14:25 | コンサート | Comments(6)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


最新のコメント

指揮者もイギリス人だしソ..
by レイネ at 19:12
まあ、オランダのバッハ協..
by ロンドンの椿姫 at 08:12
コンサート形式でこれほど..
by レイネ at 16:58
素晴らしいコンサートでし..
by ロンドンの椿姫 at 05:30
Vermeerさま、多分..
by レイネ at 01:38
トマスのソロ・コンサート..
by Vemeer at 01:25
Vermeerさま、この..
by レイネ at 20:56
詳細なレポート、楽しく拝..
by Vermeer at 18:02
ロンドンの椿姫さま、それ..
by レイネ at 17:03
大満足のマスタークラスで..
by ロンドンの椿姫 at 23:41
鍵コメさま、ヴェロニカ・..
by didoregina at 18:57
Mevrouwさま、北海..
by レイネ at 18:46
レイネ様も怒涛の更新で、..
by Mevrouw at 23:33
Mevrouwさま、サー..
by レイネ at 22:10
Mevrouwさま、夏の..
by レイネ at 22:05
新作オペラに挑むのは本当..
by Mevrouw at 20:56
クロアチア~ベネチアを自..
by Mevrouw at 20:27
Mevrouwさま、ご高..
by レイネ at 20:19
ようやく一息つける日なの..
by Mevrouw at 19:57
Mevrouwさま、癒し..
by レイネ at 16:49

以前の記事

2018年 04月
2018年 03月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 08月
2016年 11月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 06月
2015年 04月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月

タグ

最新のトラックバック

究極の愛を描いたワーグナ..
from dezire_photo &..
バッハが人類に残したメッ..
from dezire_photo &..
バッハが『ロ短調ミサ曲』..
from dezire_photo &..
ルター派のプロテスタント..
from dezire_photo &..
ダンテの『神曲』 ”地獄..
from dezire_photo &..
ポン=タヴァン派、総合主..
from dezire_photo &..
倉冨亮太さんの繊細な美し..
from dezire_photo &..
ダイナミックで刺激的な多..
from dezire_photo &..
贅沢と快楽に生きる娼婦な..
from dezire_photo &..
バッハとヘンデルの音楽性..
from dezire_photo &..

カテゴリ

全体
バロック
映画
オペラ実演
オペラ映像
オペラ コンサート形式
着物
セイリング
コンサート
美術
帽子
マレーナ・エルンマン
イエスティン・デイヴィス
クイーン
CD
20世紀の音楽
旅行
料理
彫金
ビール醸造所
ベルギー・ビール
ハイ・ティー
サイクリング
ダンス
ハイキング
バッグ
教会建築
カウンターテナー
演劇
未分類

検索

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

音楽
映画

画像一覧