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マルコ・ビーズリーのコンサート@AMUZ とボレケ・フェスティヴァル

アントワープのAMUZをメイン会場として、毎年夏の終わり頃、古楽祭Laus Polyphoniae
が開催される。
今年は、マルコ・ビーズリーの土曜マチネ・コンサートに出かけた。

アントワープに着いたらなにやら別のお祭りのようで、賑わっている。

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フルンプラーツに立つルーベンスの像はビア樽で囲まれている。

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こちらはフローテ・マルクト。ボレケスフェースト(ボレケ・フェスティヴァル)の幟が。

ボレケとは、アントワープの地ビール、デ・コーニンクの愛称だ。通常、大きな半球型の
グラス(オランダ語フラームス弁でボレケ)に注がれたものを飲むから、カフェやバーでは
ボレケと言って注文する。
その週末はボレケ・フェスティヴァルで、町中がボレケ一色である。

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広場ではボレケ一杯が1ユーロ50セント!

大きなフェスティヴァルでは、ビールはプラスチックの味気ないコップでアルコール度数も
抑えめのビールが供されるのが普通だが、ボレケスフェーストでは、ビールはもちろんオー
センティックなボレケ・グラスに注がれる。
ベルギー・ビールはベルギーのカフェで飲めば普段でもめちゃ安だが、祭りの広場では
もっと安かった。
コンサート前、すっかり愉快な気分になってしまった。

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フローテマルクトに立つのは、アントワープのシンボル、ブラーボの像。

こちらでは、ご当地名物の食べ物屋台がいろいろ並んで祭り気分を盛り上げている。
アントワープ・パン屋組合の出しているクッキーの屋台に目が惹かれた。

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型で抜いているのは、、、、、

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手の形のクッキー!

ブラーボの像が今まさに天高く投げようとしている巨人の手は、アントワープ名物で
いろいろなところで見かける。ボレケのグラスにも描かれているし、博物館MASの壁にも
プレートが沢山埋め込まれている。そして、カフェでコーヒーを頼めば、コーヒーのお供に
手の形をしたクッキーが付いてくる。

さて、ソーセージやポテトフライなどでお腹を満たした後、コンサートホールに向かう。

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AMUZというのは、Augustinus Muziekcentrumの略で、アウグスティヌス教会がそのまま
コンサートホールになっていて、HIP古楽コンサートが行われる。

Marco Beasley, Fabio Accurso & Stefano Rocco
La Clessidra @AMUZ 2014年8月23日

Rappresentatione di Anima, et di Corpo ‘recitar cantando’
fragmenten uit Jacopo Peri’s L’Euridice en Monteverdi’s L’Orfeo
de bundel Le Nuove Musiche van Giulio Caccini

マルコ・ビーズリーは、オランダとベルギーではかなりの人気を誇り、今回の古楽祭でも
彼のコンサートは目玉の一つだった。同日の夜の部のコンサートが早々と売り切れになり、
マチネコンサートが追加された。そして、AMUZからのオファーで、先着5名、通常一人28
ユーロの座席のペアシート+フリードリンクが20ユーロ(つまり一人10ユーロ!)というのに
応募したら当たったのだった。

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バロック様式の教会内陣がステージ。内装は白と黒の大理石に金色がアクセント。
いかにもルーベンスの町アントワープらしいゴージャスなバロックで、くらくらしてしまう。

今年の古楽祭のテーマは「若き日のモンテヴェルディを探して」と題されていて、この
コンサートもイタリアの1600年ごろのモノディ様式の歌曲が中心のプログラムだ。
だから、伴奏には通低のリュートが二人。
モンテヴェルディの「オルフェオ」からのアリアや、同時代のカッチーニ作(と言われる)
「アマリリ」など、シリアスな歌の数々をしんみりと聴かせてくれた。

しかし、ビーズリーの歌唱の神髄は、もっと古いイタリア南部の土臭い古謡にある。
プーリア地方のタランテッラやナポリのバロック以前の愛の歌を、両手でカスタネットを鳴ら
しつつ明るく高々と歌うビーズリーを見るのは楽しい。やっぱりこういう歌の方が、彼独特の
甘じょっぱいような、鼻音が美しく響くテノールの声にぴったりで、耳に心地よい。
イタリア南部に降り注ぐ太陽と光る海を連想させる、明るい愛の歌がビーズリーの本領なのだ。

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マルコ・ビーズリーと二人のリュート奏者。


ビーズリーは、ルーベンスの家でもコンサート(というか語り)を行ったらしい。
やはりAMUZからのオファーで、開演前にルーベンスの家の庭で食べるピクニック料理
付きというのがあり心惹かれたが、開演が夜10時半と遅いので帰宅が難しくなるため
諦めた。
AMUZがアップした写真を見ると、ロケーション最高で素晴らしい雰囲気だったろう。
by didoregina | 2014-08-31 21:09 | コンサート


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

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プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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