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イエスティン君『リナルド』を鑑賞するためにグラインドボーンへ!

待ちに待ったイエスティン・デイヴィス主演の『リナルド』@グラインドボーンだ。

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3年前のグラインドボーン本家版初演の主演はメゾ・ソプラノだったため、さほど実演鑑賞
したいという気にはならなかったが、そのあとのツアーには、当時最も応援していたカウンター
テナーのクリストフ・デュモーがリナルド役に抜擢されたため、かなり本気で、行くべきか、
と悩んだものである。しかし当時、次男が高校の最終学年の、日本で言えば受験追い込みの
重要な時期であったため、オペラ鑑賞のためイギリス遠征など親として憚られたのであった。
無事に大学に入学した子供たちが親元を離れた今、ようやく大手を振って遠征ができるように
なった。そして、今年の主演は、現在最も贔屓にしているCTのイエスティン君である。3年間
待った甲斐があったというか、まるでわたしのために取っておいてくれたかのようにお誂え向
で、とにかく気合が入ったのも当然である。

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長年憧れていたグラインドボーン、しかも応援している歌手の檜舞台を観に行くからには、
座席ももちろん特等席に座りたい。チケット・ゲット方法を色々研究したが、結果として
上手い具合に最前列中央の席が取れた。一般発売前にテレグラフ紙購読者向け優先発売コード
というのを目ざとく見つけたロンドンの椿姫さんが参戦。すでにグラインドボーン友の会会員
向けには発売された後なのだが、なぜかぽつんと最前列中央の2席が残っていたのである。
しかも、比較的安い。指揮者が邪魔で舞台が見えにくいとか何か裏があるんだろうか。

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グラインドボーンには、ロンドンの椿姫さんと日本からのVさんと3人で電車で出かけた。
グラインドボーン付近の町か村のB&Bに泊まってタクシーで行くという案も当初あったが、
お勧めB&Bが満室だったのと、ロンドンから日帰り可能だから不便な田舎に宿泊するより
かえって楽、という椿姫さんのご意見に従ったのだ。
ヴィクトリア駅発イーストボーンなどイギリス南部の海岸行きの電車をルイスという町で
降りると、グラインドボーン・フェスティヴァル会場行きのシャトルバスが待っていた。
『リナルド』の開演時間は通常より早く午後5時なので、電車は1時47分ヴィクトリア発に
乗るようにとのフェスティヴァルからの指定である。主催者がチャーターしたバスには着物を
着ていたためか、優先的に誘導してくれすぐに乗れた。ダブルデッカーが狭い町の坂道を
上ったりするから、ちょっと怖い。

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バスが駐車場に着くと、そこから広い芝生の庭に直結している。囲いとか門みたいなものは
見えない。そして、皆、それぞれ好きな場所にピクニック道具を広げるのだ。
バスも電車も、皆さまが持ち込んだかさばるピクニック一式で大変な具合だ。
その辺の公園にピクニックに行くのではなく、天下のグラインドボーンであるから、道具も
凝っている。F&Mとかブランドもののレベルの付いた立派なバスケットはマストアイテム。
草地に直接座る人たちもいるが、ロングドレスの人たちはもちろん椅子とテーブル。だから、
テーブルクロスやキャンドルも必要アイテムだ。食器やカトラリー、グラスに至るまで、
プラスチックとか紙製などもってのほか。ブラックタイと釣り合いの取れないような安っぽい
ものが見当たらないのは当然である。

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開演前の1時間半くらいの時間、ピクニックを楽しむのがいい。そのあとの2度目の幕間も
食事やピクニックのため1時間半あるが、外での食事はもう暗くて寒いから楽しめないだろう。
着物で電車に乗って大荷物を運ぶのはみっともないのでピクニックの準備をしてこなかった
私たちは、敷地内を散策して開演前の前座さながらのエンタメとして皆さまの目を楽しませる
ことに専念(?)した。

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しゃなりしゃなりと練り歩きつつも、レストランや楽屋口のチェックは忘れなかった。
食事時間は短いし、最前列中央の席というのは非常に外に出るのに時間がかかるからだ。
どういう手筈でレストランに入るか、バスの時間に遅れないようどういうルートを通って
楽屋口まで行くか、外に出られた早い者から行ってご贔屓が出てきたら待っていてもらう
ように頼むとか、事前準備を怠ってはならない。
楽屋口に近づくと、発声練習するCTらしき声が建物の窓から聞こえてきた。窓の奥に人影が
見えたので椿姫さんが手を振ったら振り返してくれたのは、たぶんアントニー君であろう。

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敷地内にはご当主ご一家が住む。というより、敷地内にオペラハウスを建ててしまったという
方が正しいかもしれない。こちらは、本館マナーハウスに直結したサロンのオルガンルーム。
17世紀オランダ製のパイプオルガンの他、壁にはオランダ黄金時代の絵画が沢山飾られている。

さて、開演時間が近づくが、オペラハウスのホールにはなかなか入れてくれない。至近のドア
の前に立って開場を待つ。待つ人は少なく、皆のんびりしたものである。そしてそこで初めて
チケット・コントロールがある。つまり、そこまでは誰でも入ろうと思えば入れるのだ。
オペラを見ないで、ゴージャスな雰囲気とのどかなカントリーサイドの景色を楽しむだけに
ピクニックすることも可能なのだ。
とにかく、お客は悠揚迫らずのんびりゆったり過ごせる。運営側はそういうリッチな気分に
浸ってもらうための努力を惜しまず、すべてがスムーズに事が運ぶのだった。ドアやトイレの
数も多く、並んだりする必要はどこにもない。お見事、脱帽である。

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会場に入り、最前列中央の席に座ると、すぐ後ろの席にやはり着物をお召しになった若い女性
が。彼女の方から気が付いてくれたのだが、なんと数年前、東京の芸大での『アリオダンテ』
公演鑑賞をブログ仲間とご一緒したあとのオフ会に友人の友人として参加した方なのだった。
なんという奇遇!ヘンデル大好き仲間同志、開演前や幕間に大いに盛り上がったのだった。

オケピットはかなり深めだが、指揮者が立つとどうだろうか。舞台の邪魔になるだろうか。

長くなったので、その先は続き記事にしたい。
by didoregina | 2014-08-27 16:50 | イエスティン・デイヴィス


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

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プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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