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ベル・エポックのパリ、フローのパリ

ヨーロッパにいると、クリスマスとお正月の間は、なんだか間延びした期間だ。
クリスマスがどうしてもメイン・イヴェントになるので、それまではストレスの多い、まるで師走のような様相を呈すが、27日以降はほっと一息ついて、もう年が明けたような静かな日々になる。

そんな時期のパリに行くのは、なんと20年振りである。その年は、丁度フランス革命200周年だった。ヌイイーに住んでいた知人の家に泊めてもらえたので、割とリッチな、あまり観光的でないパリを体験できた。

今回は、ティーンネージャーの息子二人を伴うので、何でも4倍かかるから、とにかくオランダ人一家らしく、なるべくお金を使わないですむように倹約第一とした。
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ロンドンでもパリでもベルリンでも、大都市のホテルは、超高級から格安までピンからきりまで。様々なチョイスのラインナップが揃う。それで、とにかく安いホテルを探したら、4人部屋トイレ・バス・朝食付き2泊210ユーロというのが東駅近くに見つかった。

去年までは、某大手ホテル・チェーンで16歳未満の子供2人までは宿泊・朝食タダというのを、散々利用した。夏休みの2日目に長男が16歳になったので、最初の1泊はタダだった。
今はもうその手が使えない。食べ放題のビュッフェ朝食やプール付きのホテルはもう最初から諦める。しかし、一挙に二倍料金を払うのは癪なので、安いホテルを探すと、2つ星くらい、冴えない立地、朝食はフランスパンにクロワッサンだけ、というものになる。
なに、学生時代は、そんなホテルでも部屋にシャワー・トイレが付いてるだけでもありがたかったものだ。そろそろ、子供達もそんな安ホテルに泊まってヨーロッパを貧乏旅行する年齢なのだ。今から慣れさせよう。

安ホテルに宿泊の場合でも、これだけは譲れないという基本さえ押さえて、一点豪華主義に徹すれば、あまり悲しい気分にはならないものだ。すなわち、ホテル代が浮いた分、美味しいものを食べるとか、オペラのいい席を奮発するとか、高いブランド物を買う、とか。
しかし、なんにしろ4人分というのは痛い。結局、我が家はオランダ人一家であるから、あまり豪華にお金は使わなかった。

まず、着いた日が火曜日で、公立の美術館・博物館は閉まっている。それで、個人美術館であるジャクマール・アンドレに行った。あわよくば、邸宅内のカフェで優雅にランチかティーなどとりたいものだと。しかし、誰しも考えることは同じであった。オスマン通りの美術館前は長蛇の列だったので、入場は即諦めた。
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        美術館の並びの古書店で、コレットの「シェリ」発見。
        47葉の挿絵つき1924年版が450ユーロ。

凱旋門前まで行って記念写真を撮り、シャンゼリゼを歩く。
そのまま、ガルニエ設計のオペラ座まで、雨模様のぬかるむ道を歩いた。

オペラ座では、今丁度、ラモーの「プラテー」をやっているから、当日券が手に入れば買おうかな、などと悠長なことを考えていた。しかし、オペラ座内部を見学しようとする観光客の列が、ここでも長い。なにしろ、ルーブルもオルセーも閉まっているんだから、行き場のない観光客が押し寄せてもいた仕方がない。
見学入り口とオペラのチケット売り場が並んでいるから、売り場まで入るのに一苦労。列を無視して、係員に「当日券を買いたいから」と頼んで中に入れてもらった。
「プラテー」の当日券は、最後の4枚というのが、奇跡的にあった。しかし、カテゴリー1で、一番高い席である。4人で500ユーロは下らないから、またしても即諦めた。ミンコフスキーにも、ポール・アグニューにも、ミレイユ・ドルンシュにも、縁がなかったのだ。(ポール・アグニューにだけは、2009年には2回縁があったが)

オペラ座隣のユニクロを覗こうとすると、ここも中に入るのに並んでいる。子供達は呆れ顔。
主人はデパートを見たいというので、ギャラリー・ラファイエットとオー・プランタンへ。クリスマス後のバーゲンが始まったばかりだから、この辺はパリで一番混雑している場所である。人ごみに疲れ果てた。
オー・プランタンの最上階、アール・ヌーヴォーのステンド・グラスのドームのカフェに、27年前パリに始めて来た時入ったのを思い出した。疲れたので、そこに行ってみると、モダンな椅子とテーブルとメニューの高級っぽいカフェに変貌していた。天井のステンド・グラスはそのままである。広々とした空間で、お茶が楽しめる。飲み物にはお水もついてきて、くつろげる。
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         なんと今はここもフローのカフェ。


暗くなっってきたので、ホテルまで歩いて帰ることにした。
ここから、サン・ドニ街あたりは、今まであんまり来たことがない。19世紀末から20世紀初頭に栄えた盛り場で、永井荷風の「ふらんす物語」の世界を彷彿とさせる。
今は場末の雰囲気で、中の下から庶民的というより、サン・ドニ門から東駅にかけては、黒人の移民街になっている。

この近くに、ブラッスリー・フローの本店と、今はその傘下に入ったジュリアンがある。
いずれも、ベル・エポックの匂いがふんぷんと漂う、古風なレストランだ。ホテルから歩いて10分とかからない。他にぱっとしたレストランもない地域なので、2晩でその両方を利用した。
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フロー・メニューは、2コースで22ユーロ、3コースで27ユーロとお得。
パリに来たら、絶対、フォア・グラとフリュイ・ド・メールを食べたい。

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       牡蠣や貝は、外で専門の人が剥いてる。

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       ジュリアンの内装は、純アール・ヌーヴォー。


しかし、ブラッスリー・フローのチェーン展開には、すさまじいものがある。パリやフランス中のめぼしいアール・ヌーヴォー、アール・デコ、ベル・エポックの建物・内装のレストランをどんどん、傘下に治めている。今回入った3店とも、満員の盛況だったから、ビジネス的には成功してるんだろう。
by didoregina | 2010-01-01 22:08 | 旅行


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

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プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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