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『ゴーラのアマディージ』@アン・デア・ウィーン劇場

4月のウィーン遠征日程は、マレーナ様主演の『ベアトリスとベネディクト』と演奏会形式の
『ゴーラのアマディージ』を二日続けて鑑賞できる!ということで決めたのだった。
なぜかというと、当初のキャストはイエスティン・デイヴィスのアマディージということになって
いたからだ。生の彼をウィーンで最初に聴いたのはかれこれ2年前の『怒れるオルランド』で、
やはりマレーナ様主演の『セルセ』と連荘できたのだ。

ところが、キャスト発表からチケット発売開始までの間に、イエスティン君は降板してしまった。
代わりはソニア・プリーナ女史である。ええ~、イエスティン君とプリーナ姐とではあまりに
声質もキャラも異なるではないか。そうしてキャストは全員女性になるし、メリッサ役はロベル
タ・マメリ、指揮はアラン・カーティス。う~む。(この一言で、わたしの心境が分かる人には
わかってもらえるだろう)

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          オペラ遠征も、命綱が頼りのビルの外壁メンテも、びくびくもの。


さて、チケットを買おうかどうしようか迷っていると、今度は新たに心躍るニュースが入ってきた。
なんと、ダルダーノ役をフランコ・ファジョーリが歌うらしいと!彼のサイトには載っていないが、
所属プロダクションのスケジュールには記載されていた。
それで、またまた行く気満々になった。しかし、劇場サイトにはフランコのフの字も出ていない。

『ベアトリスとベネディクト』のチケットは発売開始日に即ゲット。二泊三日の予定でフライトも
予約した。
しかし、『ゴーラのアマディージ』チケットだけはぎりぎりまで買わなかった。劇場サイトでは、
ダルダーノ役は、デルフィーヌ・ガルーになっていたからだ。事務所サイトのからもフラちゃん
『ゴーラのアマディージ』出演公演予定はいつのまにか消えていたし、公演3日前になっても
キャストは代わらず。今回はカウンターテナーが1人も出演しないのが残念だが、それは諦めよう。
ようやく重い腰を上げて、当初の予定通りチケットを購入したのだった。

c0188818_18564157.jpgAmadigi di Gaula
Opera seria in drei Akten (1715)
Musik von Georg Friedrich Händel (1685-1759)
Libretto unbekannt, wahrscheinlich Nicola Francesco Haym oder Giacomo Rossi

Musikalische Leitung Alan Curtis
Amadigi di Gaula Sonia Prina
Oriana Emoke Baráth
Melissa Roberta Mameli
Dardano Delphine Galou
Orchester Il complesso barocco

25.04.2013 @ Theater an der Wien







二年前にアン・デア・ウィーン劇場で演奏会形式の『怒れるオルランド』を鑑賞した時は、背後の
『セルセ』舞台セットを見せる形式だった。オケ・ピットに入っていたのは、『セルセ』同様に
スピノジ指揮のアンサンブル・マテウスで、スピノジはラ・フォリアのヴァイオリン・ソロも披露
してくれた。

今回も演奏会形式であるが、カーテンが下りていて歌手はその前に立って歌う。
オケ・ピットに入っているのは、カーティス指揮のイル・コンプレッソ・バロッコである。
今回は例のCTでもあるというロシア人コンマスではなくて、女性のコンミスだった。第一
ヴァイオリン4人、第二3人という小編成なのでチェロも1人。それと通奏低音はチェンパロに
テオルボ。
まるで室内楽のようにに器楽演奏者たちはコンミスの呼吸に合わせて息のあったアンサンブルを
作り出していて、例の四角四面のカーティスの指揮を見ている人はいないようだった。

古楽器では金管が特に難しくて、トランペットやホルンなどよく音が外れて聴こえたり、出だし
が上手く決まらないのだが、ここのトランペット奏者は、ソロ部分の出だしでも全く余裕しゃく
しゃくでびっしりと決めてくれた。バロックでトランペット・ソロを安心して聴けるというのは
得がたい。

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       左からソニア・プリーナ、エメケ・バラート、ロベルタ・マメリ。
       プリーナ姐の髪型は、忌野清志郎やシド・ヴィシャスを思わせパンキッシュ。

出演歌手はたったの4人で、女性ばかりである。

アマディージ役はソニア・プリーナ。録音で聞く彼女の声は独特で、硬い芯を中心に表面は
まろやかな輪郭で覆われた、ある意味女性らしい艶があるがドスの利いたアルトである。
いかにもイタリア人らしい発声の女性らしさを感じさせるアルトというのがイマイチ好きに
なれず、積極的に生の声を聴きたいと思ったことがなかった。
それが、実際に生の声を聴くと、録音では好きになれなかった要素がまるで異なる印象を与え
たのだった。即ち、豪華絢爛・金襴緞子のような色彩が放出される声質が心地よく、夜空を彩る
原色の花火にも似たドッ派手さが潔い。

好きなタイプのアルトというと、キャスリーン・フェリアーやナタリー・シュトゥッツマンの
光沢はあっても暗い色合いのビロードのような声、サラ・ミンガルドのように薄手ウール・
スカーフのような滑らかで軽く暖かい声、マリヤーナ・ミヤノヴィッチのように麻のように
爽快感のある声などで、いずれもシンプルでベーシックな質感が命だ。プリーナ姐のそれとは
全く正反対のしっかり地厚で素材感よりは色彩感の
勝る帯地のような生の声に触れて、はっとする思いであった。歌唱という芸でも群を抜いている。
その新発見ができただけでも、遠征してこのオペラを鑑賞した価値があるというものだ。


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          ソニア・プリーナに敬意を表してポスターとツーショット。


そして、やはり生の声に接して感嘆したのは、ロベルタ・マメリ女史である。彼女の歌唱も
濃~いタイプなので、今まで録音ではなんとなくヒケてしまっていたのだが、ほとんどめっけ
もの新発見。
こってりと熱い歌唱で盛り上げるのだが、生舞台ではこのくらいやっても差し支えない。
同じイタリア人同士のソニア姐との競演はまさに色彩の饗宴で、ゴージャスこの上ない。
マメリ女史はルックスもゴージャスで、この日のメイクとドレスのおかげで某高級時計の
イメージ・モデルであるケイト・ウィンスレットそっくりなのだ。
バロック歌手というと、一般オペラ・ディーヴァと比べるとストイックで質素なイメージが
あるのだが、この二人は違う。この色彩感はイタリア人独特なのではないだろうかと思える。
ここにフラちゃんが加わっていたらどれほど豪華絢爛になっただろうか、とそれだけが惜しま
れた。
それにしても、今まで敬遠していた二人の歌唱に開眼できたので、食わず嫌いで損していたなあ、
と反省することしきりだ。


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          左から、マメリ、カーティス、デルフィーヌ・ガルー。


もう1人のソプラノ、エメケ・バラートは、いかにもお姫様役にふさわしい正統清純派バロック・
ソプラノで、可憐なのだが、このアクの強いメンツの中にいると霞んでしまって印象に残らない。
ストイックな歌い方と声質なので、どちらかというと硬質で温かみの少ない声のCTとの相性の
方がいいのではないかと思う。

ダルダーノ役というのは、出番が少なくて損だ。そんなつまらない役をフラちゃんがふって当然。
そして、ガルーは声も体格も線が細すぎて、舞台栄えしない歌手である。すらりとしていて
ズボン役など一見似合いそうだが、全く押し出しが弱いから、舞台での男性役には向いていない。
声の飛ばし方に問題があるのだろうか。客席に響いてこないのだ。前回かなりがっかりさせられ
たので、彼女には期待していなかったが、今回も印象を塗り替えることはできなかった。
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by didoregina | 2013-05-10 13:37 | オペラ実演 | Comments(16)

マースメヘレンの教会で復活祭オラトリオ

フランス・ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラとダニエル・ロイス指揮カペラ・アムステル
ダムにソリストとしてマイケル・チャンスが参加する『復活祭オラトリオ』が、比較的近場の
ベルギーの教会で演奏されると知って、心待ちにしていた。復活祭の1週間前とちと早く、
オランダだったら受難曲シーズンである。

c0188818_16301894.jpg2013年3月24日@St.Barbarakerk Maasmechelen
Orkest van de Achttiende Eeuw
o.l.v. Kenneth Montgomery
Cappella Amsterdam o.l.v. Daniel Reuss
Ilse Eerens (sopraan)
Michael Chance (alto)
Thomas Walker (tenor)
David Wilson-Johnson (bas)


Johann Sebastian Bach (1685 - 1750)
Missa in F BWV 233 (1738)
pauze
Oster-Oratorium BWV 249 (1725)

当日の朝、目を覚ますと外の風景は一変していた。またしても15センチの積雪で、一面の銀世界
である。ああ、晩までに少しは融けてくれるだろうか。
極々局地的な降雪だったようで、マーストリヒト以外はほとんど降らなかったのが救い。
日曜なのに道路の除雪はすぐにされた。雪が積もったままなのは、自宅の敷地だけである。
第一の関門はなんとかクリアできそうだ。

教会でのコンサートの場合、座席は自由で早い者勝ち!という場合が多い。開場と同時に入場
するため、コンサート開始45分前には会場に着いていようと思って、余裕を見て家を出た。
通常、車で30分の距離である。20時15分からのコンサートに行くのに19時少し前に出発した。

しかし高速に乗ってしばらくすると、いきなりの急停車でそのまま車の列は動かなくなってし
まった。
どうやら事故が起こったらしい。完全な渋滞で全く進まない。ああ~、よりによってこのタイ
ミングで事故って。しかし、ここで諦めてはいけないのだ。とにかく、ネヴァー・ギブアップを
念仏のように唱えてポジティブな運気を誘い込む。その願いは通じて、7,8分後には車の列が
動き出した。
高速道路の右側ガードレイルにナンバープレートがついたバンパーが張り付いている。左車線
には前がもがれてエンジン・ルームむき出しの車が180度回転してこっちを向いている。大方、
スリップでもしたのだろう。でも、高速道路上には雪は一片も見られないのだが。警察も来て
いないので、皆そろそろと事故車を避けつつ運転している。
ああ、ここもなんとかクリアした。

ベルギーに入ってマースメヘレンで高速を降りたら次の村に行くだけだ。しかし、なんと、
その村への道が道路工事のため閉鎖されている。
通行止めになってても、迂回路の表示などないのがいかにもベルギーである。引き返すしかない。
ほぼ一直線の道のりだし近いので、地図もナビも持たずに家を出てしまった。もう、あとは適当に
目星をつけた方向に進むしかない。
教会のある辺りは村と森に挟まれて、ヴィラという感じの高級住宅が多い。家々は鉄の柵と門扉の
奥深くに鎮座している。道を聞こうにも寒い晩だから人はほとんど外を歩いていない。
たまたま歩いている人を見かけたので、教会への道を尋ねた。かなりわかりにくい道であるが、
彼女は以前その近くに住んでいたそうなので、詳しく説明してくれたおかげで、ようやく辿りついた。

わたしの心境はまさに、Against All Odds



コンサート開始25分前くらいに着いたのだが、前の方のいい席は埋まってしまっている。かなり
後ろの方のしかし中央通路側の席をなんとか確保した。
プログラム・ブックは空いてる椅子の上に置いてある。それを読むと、なんと、指揮者が変更に
なっているではないか。
フランス・ブリュッヘンの代わりにケネス・モンゴメリーとな。

もうこうなると、ブリュッヘンの代わりがコープマンになってもヘレヴェッヘになっても驚かない。
ご高齢のブリュッヘンを見逃したくないと思って、ここまで困難も厭わずにやってきたというのに。
大体、このコンサートがこういう田舎の教会で開かれるというのが不思議である。
ツアーの(当初の)メンツは上掲写真のCD録音とほぼ同じで、ベルギーではここのみだし、
他はヨーロッパのもっと大きな都市である。
理由が分かった。ソプラノのイルゼ・エーレンスは、ここマースメヘレンの出身だったのだ。
彼女のコネで、このコンサートが実現されたと言ってもいい。

↓の動画は、ヘレヴェッヘ指揮、テノールはマーク・パドモア!


   最初見た時、とてもパドモアとは思えなかった。最近のワイルドでかっこいい彼とは
   同一人物とは信じられないほどナードっぽい、昔のパドモア。最後の方に出てくる
   ショル兄にも注目のこと。一体何年前?


さて、会場になっている教会は、別名「炭鉱のカテドラル」で、炭鉱地帯として19世紀から20
世紀初めに栄えたこの地にふさわしいインダストリアルなデザインである。すなわち、ガタイは
でかいが無骨で寒々しく、装飾もほとんどない。内壁はコンクリに漆喰を塗ってるのではないかと
思われるほど、つるりとした感じ。カテドラルという別名の通り、身廊の天井はゴシックを真似た
穹窿が高く、嫌~な予感がする。

器楽演奏が始まって、その予感がだんだんと実感に変わっていった。残響が長すぎ、エコーが
かかりすぎ、音が時間差で重なって団子状態になる。トランペットなんていつも1泊遅れて音が
届く感じになり、冴えないことおびただしい。悪いのは全てこの教会の音響のせいである。
合唱になると、もっといけない。カペラ・アムステルダムは一流の合唱団である。それなのに、
歌詞もパートもクリアに聞き取れないから、ほわんほわんしてるだけで、上手い下手の区別がつく
どころではない。
『受難曲』などは教会で聴くのに限る、と思っていたが、それは聖ヤンのようにコンサート会場と
して音響が理想的な教会に限られるのであって、多少有り難味は薄れても、ちゃんとしたホールで
聴く方が音楽としては楽しめるのだ。

『復活祭オラトリオ』は、華やかで明るい喜びを歌った曲だから、前半には、暗めのを持ってきて
対比させたらよかったのに。『ミサ曲ヘ長調』は、とても短くて初めて聴く曲であるが、どうも
印象に残る部分がないのであった。ホワンホワンとした音響に包まれて、何度かうとうとして
しまった。

『復活祭オラトリオ』も比較的短い曲だが、合唱部分が少なくて、ソリストの配分がなかなか
上手くて聴き応えのあるアリアがちりばめられている。ソプラノのアリアとバロック・フルートの
オブリガート、テノールのアリアとブロックフレーテ、アルトのアリアとオーボエとの絡みが
いずれも楽しい。

↓は、ショル兄の歌うアルトのアリア



当日の花、ソプラノのイルゼ・エーレンスの声にも歌唱にもどうも好みのツボにハマるものが
なかった。いかにも教会系の声だがピュアに澄んでるだけでなく暗さもある声質なので陰影を
感じさせるかと思いきや、歌唱がどうもあまり感心できないのだった。

期待していたのは、CTのマイケル・チャンスである。彼は現在では大御所なので隠居の身かと
思ってたら、今だに結構バッハなんかには出演しているのである。(2、3年前、デン・ハーグで
マイナーなスカルラッティの『ユディット』に乳母役で出演したのを実演で聴いた。)
こういうほのぼのした宗教曲ではオペラほどのテクニックは必要なさそうなので、まだまだ
マイケル・チャンスにもチャンスがあるのだ。期待を裏切らないオーラと声量とで、他の歌手を
圧していた。

『受難曲』ほど肩肘はった感じがしなくて、ひたすら明るい『復活祭オラトリア』は、いかにも
春の訪れを寿ぐのにふさわしい。もっと有名になってコンサートで聴く機会が増えるといい曲だ。
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by didoregina | 2013-03-26 10:28 | コンサート | Comments(4)

来季デュモーが出演するオペラから窺えるCT冬の時代

ヨーロッパ各地の歌劇場が、次々に来季の演目を発表している。
今まで比較的バロック・オペラ上演に熱心だった歌劇場でも、来季は全くないところもある。
(例えば、ネーデルランド・オペラ。モネ劇場だって寂しいものだ。)
そうかと思えば、バイエルン州立歌劇場では久しぶりにバロック・オペラが2作も上演される。

そして、ミュンヘンでの『ラ・カリスト』リバイバル公演のキャスト表の一番上になんと
デュモー選手の名前が挙がっているではないか。ティム・ミードがエンディミオーネ役で
出演することは既に知っていたので、すわミュンヘン初遠征なるか、と浮き足立ってしまった。
しかし、その下をよく見ると、題名役はダニエルちゃん。。。。

これは性質の悪い冗談かわたしへの嫌がらせか。それとも、ダニエルちゃんとわたしは運命の
赤い糸で繋がれていて分かち難いのか。わたしの遠征先に彼女の影はいつでも付きまとうのだ。
腐れ縁などと言って笑ってはすませられない。
しかも、デュモーの役は小さな役のかき集めみたいなもの。(以前、モネ劇場で鑑賞した『ラ・
カリスト』に同じ役でチェンチッチが出演していたのだが、全く印象に残っていないほど)
ミュンヘン遠征の夢は、あえなく崩れた。

チューリッヒ歌劇場の演目発表では、2月1月の『アルチーナ』(マレーナ様がルッジェーロ役)
に全神経を集中していた。でも、それ以外にも面白そうな演目が沢山ある。
例えば、今シーズンにも上演されたヘンデル・パスティーシュ・オペラのSaleが12月1月に
再演され、フォン・オッターと並んでデュモー選手も再登場!




5月6月公演の『ウリッセの帰還』にもデュモー選手は出演するが、ここでも複数のチョイ役だ。

こうしてデュモー選手の来季スケジュールをちらりと見ただけでも、カウンターテナーの冬の
時代を予感させるものがある。
箱の大きな歌劇場はバロック・オペラには不向きだから、ちゃんとした上演はヴェルサイユとか
アン・デア・ウィーンとかに集中してしまうのも仕方がない。それから、ドイツの地方都市の
歌劇場も侮れない。これらの歌劇場の来シーズン・プログラム発表に望みをかけよう。


↓は、デュモーの歌うヴィヴァルディの『スターバト・マーテル』


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by didoregina | 2013-03-21 15:08 | カウンターテナー | Comments(12)

クリスのチェンバロ・リサイタル@聖ヤン教会

クリスティアン・ベザイデンホウト(日本語の表記は色々あるので略してクリス)によるチェンバロ
リサイタルを聴きにいった。

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         チェンバロの制作年代その他由来は説明がなかったので不明。

クリスのリサイタルに行くのは二年振りである。今回はフォルテ・ピアノでモーツアルトを弾くのでは
なくて、チェンバロで弾くバッハとその同時代かそれ以前のバロック音楽なのだった。

CLAVECIMBEL  Kristian Bezuidenhout 2013年2月28日@Sint Janskerk

Johann Kasper Kerll (1627 - 1693)
Toccata in g klein en Passacaglia in d klein

Louis Couperin (1626 - 1661)
Allemande - Courante - Sarabande in e klein (Bauyn MS)

G. F. Handel (1685 - 1759)
Allemande, from Suite Nr. 3 in d klein, HWV 428 - Courante,
from Suite Nr. 11 in d klein, HWV 437 - Aria & Variaties, uit HWV 428

Johann Jakob Froberger (1616 - 1667)
Partita in C groot, FbWV 612a

J.S. Bach (1685 - 1750)
Toccata in d klein, BWV 913

PAUZE

J.S. Bach
Prelude & Fuga in D groot, uit Das Woltemperierte klavier, boek I, BWV 850
Prelude & Fuga in D klein, uit Das Woltemperierte klavier boek II, BWV 875
Prelude & Fuga in es klein, uit Das Woltemperierte klavier boek II, BWV 876
Ricercar à 3 uit het Musikalisches Opfer, BWV 1079

J.S. Bach
Partita in a (naar BWV 1004 voor vioolsolo in d klein) transcriptie voor clavecimbel
door L.U. Mortensen


会場は聖ヤン教会で、コンサート会場としてはお気に入りの部類である。教会にしては残響が少なく、
しかし地元の市民会館ホールほどは音響がデッドでなく、雰囲気も悪くない。
聖母マリア教会よりは、ずっとずっと好みである。しかも、ここには暖房もしっかり入っている!
(このことは11月に行ったコンサートで実証済みだったが、寒さと戦いつつ音楽を聴くのは辛いし
ほとんど難行であるから、暖房が入る教会は快適である)

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        教会内部とパイプオルガン。両脇上層部に注目のこと。

聖ヤン教会について調べるため、サイトをコンサートの前日に見ると、あっと驚く発見があった。
教会建築は、13世紀に建てられた身廊の初期ゴシック部分と15世紀に増築・再建された後期
ゴシックの部分と塔からなり、外側の下層部分は硬いナミュール石、外部上層部分と内部は
柔らかい石灰岩のマール石で出来ている。
元はカトリックの教会だったのだが、1633年オランダ軍がカトリック・スペインからマーストリヒトを
奪回すると、聖ヤンはカルヴァン派のための教会にさせられた。ついでに内部インテリアも
プロテスタントらしく替えるためか、漆喰が剥がされ、内部の壁は石がむき出しになった。
むき出しになった壁のマール石は多孔質のため、湿気や温度と同じく音も吸収しやすい。それで、
残響というものがほとんどない。
いわゆる教会らしい音響が皆無という珍しい教会なのだ。(だから、コンサート会場として好き)
しかし、それではありがたみが薄れてちと困るというので、マイク24本とスピーカー24台を両壁の
上層部に設置し、PA装置で残響を作り出すようにしているのだという。
オフ(残響ゼロ)、説教用に2.5秒、コンサート用に4秒の3種類から選べるという、ハイテク音響
教会なのだ。人工的に作り出した残響で、硬い石造りの教会のような厳かさが出せるらしい。
う~む、なるほど。そのことは今まで知らなかったし、気が付かなかったが、よく見るとたしかに
スピカーが上層部左右に12個ずつ計24個設置されている。
しかし、今までのコンサートでは全く気にならないくらい残響は少なかったし、今回のリサイタルでも
気になるほどの残響はなかった。ほとんど、デッドといってもいいくらいだ。

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         チェンバロの真正面、かぶりつき席に座った。


二年ぶりに真近で見るクリスは、感心なことに全くリバウンドしていないようでスリムなことこの上ない。
椅子に腰掛けてもお腹回りや背中、ヒップや腿などに全く贅肉が見えない。脚なんてすごく細い感じ
である。髪は短めにカットしてすっきり、ステージまでの足取りやお辞儀の仕方その他の所作もすこ
ぶる上品である。古楽界の鍵盤貴公子の名に恥じない。
ただし、顔芸だけは昔どおりで、結構楽しめる。

しかし、肝心なのは外見ではなくチェンバロ演奏である。

チェンバロは、ごくごく微細な音の楽器だから、この聖ヤン教会でも広すぎるくらいだ。
かぶりつき席を陣取ったのは正解で、鍵盤は見えても奏者後方の席ではチェンバロの音は聴こえて
こないだろう。鍵盤後ろ側に座っていた人たちは、休憩後に開かれた蓋の方にほとんど皆移動した。
マイクは見える場所に設置されていなかったから、清々しい生のチェンバロの音が聞こえるのだが、
それはごく近くに座らないとよく聴きとれないのだ。
今までチェンバロ独演に接したことはあまりなく、伴奏だったり通奏だったりするのがほとんどだった。
おのずと膝を正して耳を澄まして聴く、という態度になる。典雅でデリケートなチェンバロの独演では
独特の小世界が形成される。その味わい深さ。機会があったらまた行きたいと思った。

古楽器による古楽演奏ではアルファ波が発生するという自説を持っているのだが、その晩のクリスの
弾くチェンバロからはまさにそよそよ・ひたひたとアルファ波が漂い、かぶりつき席に座っていると全身
でその鮮烈な空気の洗礼を受けることになる。
少し溜まっていたストレスやイライラが優しい音のマッサージで解きほぐされ、とげとげしていた心も
すっきりと癒された気分だ。

当初の予定ではバッハ三昧のプログラムだったが、前半は、バッハより少し前か同時代のバロック
作曲家による曲に変更になった。ドイツの作曲家による曲が多いのだが、どの曲の印象も柔らかで、
まるでおフランスっぽい雅な雰囲気が漂う。ゆったり、ふんわりした優しい空気に包まれる感じだ。
最初と最後のトッカータは緊張感がありちょっと過激なタッチなので他の曲目と比べると異色だが、
じっくりと噛締めると味わいのあるドイツ・パンでふんわりした中身のソフトな曲を挟んだサンドイッチの
ような構成である。

休憩後は、バッハの平均律とパルティータ。アンコールもパルティータからアルマンド(BWV828)。
これらの曲を聴くと、バッハが唯一無二・孤高の天才であることがよくわかる。
鍵盤楽器の可能性を追求し計算しつくした感がある。(だから、楽譜や鍵盤を追っていると、頭が
非常に疲れてくる)
聴いているだけだと、その複雑に織り成される曲の緻密さが美に変換されて耳に届くので、幸福感が
得られる。まるで数式のようなバッハの曲をそういう美に変換できる音楽家は素晴らしいと思う。
クリスのチェンバロ演奏はとても丁寧で、繊細にして奔放、オーソドックスにしてドラマチックだった。
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by didoregina | 2013-03-05 16:34 | コンサート | Comments(12)

2013/2014年、コンセルトヘボウにPJが2度登場!

<CT数名の追記あり>

アムステルダムのコンセルトヘボウは、今年創立125年を迎える。コンセルトヘボウとは
オランダ語で「コンサートの建物」と言う意味で、すなわちザ・コンサートホールというわけだ。
ホール専属オーケストラであるコンセルトヘボウ・オーケストラ創立も同じく125年になるので、
記念世界ツアーを行っている最中だ。

ホールの方のコンセルトヘボウのサイトで、何気なくアーティスト名および作曲家名を検索したら、
来シーズンのコンサート情報がぞろぞろと出てきた。
わたしが興味を持つカウンターテナーやバロック系だけに限っても、素晴らしいラインナップである。

まず、ユリア・レージネヴァの新譜プロモーションのメールが来たので、ユリアちゃんで検索したら、
なんとすごいコンサートがヒット。

2014年1月19日(月)にユリアちゃんとPJことフィリップ・ジャルスキーによるペルゴレージの
『スターバト・マーテル』、ヘンデルの『サルヴェ・レジーナ』、ヴィヴァルディのコンサートが!
ディエゴ・ファゾリス指揮でイル・バロッキスティの演奏。

PJは、昨年末の『アルタセルセ』公演を最後に、現在8ヶ月のサバティカル中であるが、
当然ながらすでに来シーズンの予定は決まっている。ユリアちゃんとの『スタバ』以外にも、
2013年10月20日(日)に「ファリネッリ」と題して、ポルポラ作曲のアリアのコンサート
アンドレア・マルコン指揮ヴェニス・バロック・オーケストラと共に行う。

ユリアちゃんも、来シーズン、コンセルトヘボウには2回登場する。
9月21日(土)のヘンデル『アレッサンドロ』コンサート形式上演である。これは、マックス・
エマニュエル・チェンチッチ
が題名役の他、グザヴィエ・サバタ ワシリー・コロシェフも出演する。

チェンチッチ繋がりで、ヴィンチ『アルタセルセ』コンサート形式の日程とキャストも出てきた。
2014年5月10日(土) ファゾリス指揮コンチェルト・ケルンの演奏は昨年の公演およびCDと
同様だが、再演ではPJが出演しないと明言されていた。その代わりは誰か。コンセルトヘボウの
スケジュールによるとVince Yiのようである。(ロシア系とか韓国系CTと噂されていた、その彼)
チェンチッチファジョーリバルナ=サバドゥスミネンコ、ベーレは続投のようである。

チッチは、コンセルトヘボウでは毎回マチネに登場していたが、来シーズンもそうなのでうれしい。

ここまででも、ユリアちゃん、PJ、チッチがそれぞれ2回登場するのだが、その他気になるCT
は、どうなっているだろうか。

イェスティン・デイヴィスも、来シーズン、コンセルトヘボウに2回登場だ!
11月26日(火) ブリテン『カンティクルズ』、パーセル、シューベルトというすごい組み合わせ
のプログラムで、イェスティン君の他、歌手はマーク・パドモア、ピアノ伴奏にドレイク、そしてハープ
のラヴィニア・メイヤーという、これも面白い組み合わせだ。

2014年4月17日(土) 『ヨハネ受難曲』にもイェスティン君が出演する!

ヨハネとくれば、マタイも忘れてはならない。オランダでは、復活祭前後はもう連日連夜各地で受難曲
コンサートが行われる。コンセルトヘボウだけでも様々な団体によるコンサートが10回以上あるのでは
ないだろうか。その中で、これは絶対に外せないのは、ヘレヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ・ヘント
『マタイ受難曲』だ。
2014年4月11日(金) ソリストは、キャロリン・サンプソン、ダミアン・ギヨン、ペーター・コーイ他。

ヘレヴェッヘ、CVG、ギヨン君、コーイの組み合わせでは、別のバッハ・カンタータ・コンサートも
2014年6月7日(土)にある。こちらには、ドロテー・ミールズも出演。
同様のメンバーの組み合わせに、ハナちゃん、マクラウドも出演して面白そうなのは、
12月1日(日) シュッツの『ダビデ詩篇』だ。 

11月2日(土) マルク・ミンコフスキ指揮LMDLGによるバッハ『ロ短調ミサ』には
テリー・ウェイとデルフィーヌ・ガルーも出演する!

11月28日(木) ヘンデル『リナルド』コンサート形式には、カルロス・メナオリヴィア・ファームー
レン
ちゃん、オーウェン・ウィレッツが出演だ。リナルド役はCTのメナなのかそれともメゾのオリヴィア
ちゃんなのか。多分後者であるとほぼ確信しているが。

オリヴィアちゃんも来シーズン、コンセルトヘボウ2回登場組だ。
10月12日(土) デュリュフレ、リーム、マネケという20世紀および現代もののコンサートに出演。

12月16日(月) ヘンデル『メサイア』に、ヌリア・リアルちゃんが!その他、ポール・アグニュー、
ロビン・ブレイズも出演。

オランダの若手CTといえば、マールテン・エンゲルチュスも忘れてはならない。
12月29日(日) マイク・フェントロス指揮ラ・スフェラ・アルモニオーザによるヴィヴァルディおよび
カプスベルガーのコンサートに登場する。

それ以外に面白そうなのは、ソプラノのバーバラ・ハニガンが指揮もしちゃうというコンサート。
2014年4月5日(土) ハイドン、モーツァルト、ストラヴィヴィンスキーというハニガンらしからぬ
プログラムで、コンセルトヘボウにおける彼女の指揮正式デビュー。

チェチリア・バルトリやエリナ・ガランチャ、そしてジョイス・ディドナートも来シーズン、リサイタルを
行うので、近くに住んでいたら行きたいコンサート満載のコンセルトヘボウである。

11月11日(月) ディドナートのリサイタルはCD『ドラマ・クィーンズ』のツアーの一環で、
イル・コンプレッソ・バロッコはアラン・カーティス指揮ではなく、カウンターテナーでもあるコンマスの
ドミートリ・シンコフスキーの弾き振り。エイントホーフェンにも来るのでは、と期待している。

唯一寂しいのは、来シーズンのコンセルトヘボウのプログラムに今のところ、クリストフ・デュモー
名前が見当たらないことだ。
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by didoregina | 2013-02-25 21:21 | カウンターテナー | Comments(17)

今年は、カウンターテナー・ルネッサンス

追記いくつかあり)
今年も昨年と同様、特に若手カウンターテナー(CT)を応援し、各地での活躍を見守っていきたい
と思っている。
先週の『セルセ』@デュッセルドルフでは、近い将来CT界を背負っていくに違いない二人の若手
歌手(ヴァラー・バルナ=サバドゥスとテリー・ウェイ)の実力を目の当たりにすることができた。
生舞台での彼らの歌唱は頼もしい限りで、まさにCTルネッサンスを実感させたのだった。

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なぜ、あえてカウンターテナー・ルネッサンスなどどと仰々しいタイトルを掲げたのかというと、CT界に
おける新旧交代は既成事実となった今、そこから一歩先に進んで、バロック・オペラのルネッサンスにも
寄与してもらいたいという願いを込めているからだ。
メゾ・ソプラノに拮抗する声域と歌唱の安定性およびテクニックに加えて、男性ならではのパワーを身に
付けしかも進化を続けるCTを若手有望CTとして注目していきたい。

彼らのスケジュールを追ってみよう。

まず、クリストフ・デュモー
1月と2月に、ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロック・オーケストラにユリア・レジネーヴァ
その他の共演でヘンデル『時と悟りの勝利』を演奏会形式に出演。この公演はウィーンとパリだけかと
思っていた。なにげなくFBOのサイトを見ると、なんと、ケルンでも2月15日にコンサートがある
ではないか!
デュモー選手の公式サイトがないのと、マネージメント会社もスケジュールのアップ・デートをあまり
行わないので知らなかった。とんだ落とし穴である。同行してくれる人がいたら行きたい。。。
4月と5月は、NYのメトロポリタン歌劇場でジュリオ・チェーザレ』のトロメオ役。デヴィッド・ダニエル
ズとの対比も鮮やかに、新世代CTの魅力を一般オペラ・ファンにもアピールしてくれるだろう。

追記
マドリッドの国立歌劇場の来シーズン演目が発表された。すると、11月にデュモー選手がパーセルの
『インドの女王』に出演することがわかった。そして、同月18日にコンサート形式で1回きりだが
パーセルの『ダイドーとイニーアス』もある。ケルメス姐がダイドーでヌリアちゃんがべリンダ!もしも
マドリッド遠征をするなら、17日か19日の『インドの女王』と組みあせたら万全である。
また、皆様十分ご承知とは思うが、11月にはバルセロナでマレーナ様、サラ様、ダニエルちゃん他
出演の『アグリッピーナ』も上演させるから、特に日本からヨーロッパ遠征される方は、スペインだけで
これら3演目を上手く組み合わせることも可能だ。

追記その2
書き忘れていたが、マックス・エマニュエル・チェンチッチは今年も忙しそうだ。比較的近場に登場する
のだけ挙げる。
9月にパリ、ウィーン、アムステルダムで『アレッサンドロ』!チッチはアムスのコンヘボではいつも
マチネ公演してくれるのがサーヴィス満点。サイン会を見越して既にCDゲット済み。
ユリアちゃんその他女性陣の競演が楽しみだ。
11月にフランクフルトでグルックの『エツィオ』。これも共演者が誰なのか気になる。CDがセールに
なってるから、一応買っておこうか。11月にヨーロッパ遠征する気になってる方には、ファジョーリの
『リナルド』@ウィーンもあるし大変だ。(ファジョーリは、10月にミュンヘンで『セメレ』にも出演)


ヴァラー・バルナ=サバドゥス(略して鯖奴。マダム貞奴の男性版として羽ばたいてもらいたい)
3月にヴェルサイユとリヨンでペルゴレージ『スターバト・マーテル』
3月~6月にギーセン市民劇場で、ヘンデル『アグリッピーナ』のネローネ役!(オットーネ役には
テリー・ウェイ。)セルセに続いてまたしてもマレーナ様の当たり役ネローネを歌うというのが興味深い。
マレーナ様ネローネは11月にバルセロナで公演が決まっているから、二人を聴き比べてみたい。
7月は、エクサンプロヴァンス音楽祭でカヴァッリの『エレーナ』にメネラオ役で出演。


フランコ・ファジョーリは、今年も各地でのスケジュールがぎっしり詰まっている。
詳しくはアルチーナさんのブログをご参照いただきたい。


イェスティン・デイヴィスも凄まじい売れっ子ぶりなので、興味深いもののみ記す。
3月にNYで鈴木雅明指揮BCJによるバッハとメンデルスゾーンの『マニフィカト』他に出演。
3月にロンドン、パリで『ヨハネ受難曲』
4月にハンブルク、5月にイギリスでブリテンの『アブラハムとイサク』出演。ボストリッジ、キンリー
サイドと共演。
5月にカナダでヘンデル『テオドーラ』ツアーにダイディムス役。ゴーヴァン、ルミューと共演。
6月にウィーン、7月にミュンヘンでベンジャミンのWritten on Skin出演。バーバラ・ハニガン共演。
10月にNYメトでブリテン『真夏の夜の夢』オベロン役。


ティム・ミードも同じく売れっ子ゆえ、主なものだけ記す。
3月4月に各地で『スタバ』『メサイア』『ヨハネ』に出演。
4月ロンドン・ウィグモア・ホールでヘンデル『エスター』に出演。来シーズンは、『テオドーラ』で
サラ様との共演も決まっているので、ヨーロッパ・ツアーがあることを期待している。
5月ゲッティンゲン・フェスティヴァルでヘンデル『ヨゼフとその兄弟』
6月ロンドンでヘンデル『スザンナ』
6月ロンドンのENOとアムステルダムのホランド・ファスティヴァルでブリテン『ヴェニスに死す』アポロ。
12月ヨーロッパ各地で『メサイア』出演。
来年1月ミュンヘンでカヴァッリの『ラ・カリスト』エンディミオーネ役!

ここで注目していただきたいのは、ミュンヘンの来シーズン演目に少なくとも2つバロック・オペラが
入っていることだ。10月にフランコ・ファジョーリが出演するヘンデル『セメレ』と1月にティム・ミード
出演の『ラ・カリスト』がある。
後者は、数年前に上演されたものの再演と思われるが、久しぶりにミュンヘンでも本格的なバロック・
オペラが若手CTの出演で上演されるという事実から、CTの活躍がバロック・オペラ・ルネッサンスに
貢献していると思えるのだ。


さて、お馴染みCT以外にも、新たに期待できそうなCTを見つけた。
galahadさんのつぶやきで、7月のブレゲンツ・フェスティヴァルでアンドレ・チャイコフスキー作曲の
オペラ『ヴェニスの商人』が世界初演され、CTも出演するという情報を得た。
そのCTとは一体誰だろうと興味を持って検索した結果、面白い事実が色々と発見できた。

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        打掛から作られたと思しき素敵なドレス姿のアルタセルセ!

クリストファー・エインズリーという南アフリカ出身(現在ロンドン在住)の若手CTである。
彼の名前は全くノーマークだったが、既に様々なバロック・オペラに出演しているのだった。ノーマーク
だったのは、比較的マイナーな場所ばかりで歌っていたからだ。
その中でも面白そうなのは、ヘンデルと同時代のイギリス人作曲家トマス・アーンの『アルタセルセ』
のタイトルロール。

↓にアーンの『アルタセルセ』からIn Infancy, our Hopes and Fearsを貼る。



このアルタセルセの歌はずいぶんとシンプルだし、音域的にも普通のテノールでも歌えそうで、あまり
CTらしさが堪能できないが、エインズリーが歌うヘンデルの『パルテノーペ』『ゴーラのアマディージ』『ロデリンダ』やモーツアルトの『アポロとヒュアキント』などの動画を色々発見したので、次回また
紹介してみたい。

もっと興味深いのは、そのアーン(『ルール・ブリタニア』で有名)のマイナー・オペラをロンドンで
上演したClassical Opera Companyが作成した、作曲家についてのプロモーション・ヴィデオだ。



『アルタセルセ』は、CTが5人登場することで昨年話題になったレオナルド・ヴィンチ以外にも
様々な作曲家によるいろんなヴァージョンがあり、奥が深そうである。
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by didoregina | 2013-02-08 13:17 | カウンターテナー | Comments(14)

ヘアハイム演出の『セルセ』@デュッセルドルフ

カウンターテナー(CT)のヴァラー・バルナ=サバドゥスがタイトル・ロールの『セルセ』を
デュッセルドルフの歌劇場で鑑賞した。ここ数年、テクニックの向上が著しい若手CTたちの活躍
には目を瞠るものがあるが、サバドゥス君のナマの声を昨年12月にケルンでの『アルタセルセ』で
聴いて、今後一番期待できる成長株に違いないから目が離せない、と思った。
彼の場合、メゾ・ソプラノに匹敵する高音での安定した歌唱に加えて、声の芯に男性ならではの
力強さがあって魅力的なのと、既に技術的にもかなりのものを身につけているから様々な表現が
可能で、歌唱に多彩な色を付けることができるという点が、同じ舞台の他のCTと聴き比べた結果
印象に残った。これらに関しては、同行のsarahoctavianさんとも意見の一致をみた。

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         サバドゥスの『セルセ』ポスター

『セルセ』といえば、一昨年の10月にマレーナ・エルンマン主演のエイドリアン・ノーブル演出プロ
ダクションをウィーンで鑑賞している。通常はメゾ・ソプラノがタイトル・ロールで、CTによる『セルセ』
は、近年稀である。
デュッセルドルフのプロダクションは、コーミッシュ・オパー・ベルリンで昨年初演されたものとの共同
プロで、演出はステファン・ヘアハイム。KOBでのトレイラーを見てその面白さに圧倒され「絶対に
実演を鑑賞したい!」と思ったのが、図らずも一年を経ずして近場で願いが叶えられた。
しかもベルリンとは異なり、今回はヘンデルの初演と同じく主役がCTによって歌われるのだから、
興味津々。
しかし、期待度からいうと、ヘアハイム、セルセ、サバドゥスの順だった。


Xerxes   Handel  2012年2月3日@Deutsche Oper am Rhein Dusseldorf

***
Dramma per musica in drei Akten
Libretto nach Niccolò Minato und Silvio Stampiglia
Deutsche Übersetzung von Eberhard Schmidt
In der Einrichtung von Stefan Herheim

In deutscher Sprache

MUSIKALISCHE LEITUNG  Konrad Junghänel
INSZENIERUNG  Stefan Herheim
SZENISCHE EINSTUDIERUNG  Annette Weber, Stefan Herheim / Stefan Herheim / Annette Weber
BÜHNE  Heike Scheele
KOSTÜME  Gesine Völlm
LICHT  Franck Evin, Stefan Herheim, Johannes F. Scherfling / Stefan Herheim / Johannes F. Scherfling / Franck Evin
CHORLEITUNG  Christoph Kurig
DRAMATURGIE  Alexander Meier-Dörzenbach

XERXES  Valer Barna-Sabadus
ARSAMENES  Terry Wey
AMASTRIS  Katarina Bradic
ARIODATES  Torben Jürgens
ROMILDA  Heidi Elisabeth Meier
ATALANTA  Anke Krabbe
ELVIRO  Hagen Matzeit
CHOR  Chor der Deutschen Oper am Rhein
ORCHESTER Neue Düsseldorfer Hofmusik


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ヘアハイム演出の『セルセ』の基本コンセプトは、Xerxes = Sex Rexという点に集約される。
そして、それは王道で正しいアプローチである。

元々の『セルセ』のリブレットはニコラ・ミナートが書いたもので、カヴァッリ作曲で1654年に
ヴェネツィアで上演された。カヴァッリ、ヴェネツィアというキーワードですでにピンとくるだろうが、
ストーリーはハチャメチャで、王様からして変態だからいかにも当時のヴェネツィア好みの色情狂
の乱痴気騒ぎの舞台だったことだろう。
ヘンデルの『セルセ』は、ミナートのリブレットをスタンピーリャが1694年に改訂したもので、
ロンドンでの初演は1738年だが、ヴェネツィア・バロック・オペラらしさは色濃く残っている。

まず、色情狂のバカ殿にきりきり舞いされる回りの人間達の五角関係が笑いを取るストーリーの核
であるが、そこに庶民が参加するカーニヴァル的混乱という要素も加味されている。それは手紙の
差出人と受取人の取り違えや行き違いという筋および男装・女装・変装という形で端的に現れている。
また、音楽的にも、ダ・カーポ・アリアがなくてアリアが短く、レチタティーヴォも簡略化されている
というのも庶民に受けることが重要だったヴェネツィア・オペラ的である。コミカルな要素の方が強い
ブッファのようなセリアなのだ。

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         『オンブラ・マイ・フ』に引き続いての牧歌的風景の演出には
          文字通り、牧人と羊が舞台に登場。浅薄さがヴェネツィア的。


しかし、ヘアハイムの演出はまた二重構造になっている。
すなわち、時代設定がヘンデルの時代のロンドンと思しく、登場人物たちは劇場の役者であり、
芝居と地の部分とが入り組んでいるのである。回り舞台に設えたデコールが、衣裳部屋や楽屋と
劇中劇の「舞台」とにスムーズに変化する。劇場の舞台機構や衣装は、いかにも当時のバロック
らしいもので、それを現代のオペラ舞台にも利用しているのが楽しい。(舞台裏で操作する人たちも
ちゃんと当時の衣装を着ているから、作業や舞台裏が見えても統一感が失われない)

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         セルセの元婚約者アマストレは、衣裳部屋で兵士の服装に着替え
         変装して「舞台」に紛れ込む。

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         「舞台」上でのセルセ・ショー。バロック・ジェスチャーや
          襖のようなデコールやルイ14世がバレエを踊ったときのような
          衣装など、すべてがバロック・オペラおよびHIPのパロディー。


この『セルセ』プロダクションは、ドイツ語上演である。有名な歌はイタリア語で歌われるものも
あったが、その他の歌や台詞はドイツ語であり、レチらしいレチもないため、特に最初の方では
こちらがドイツ語に慣れるまで、ブッファというよりもうほとんどオペレッタ見てるような気になった。
第一部では、二人のソプラノ歌手によるロミルダとアタランタ姉妹が地の場面では全く同じドレス、
髪型、帽子だったので区別が付きにくく、ドタバタのやり取りがドイツ語であるので、ヘンデルの
オペラらしかねる印象を与え、ロココ調の衣装も相まってウィーンのオペレッタみたいに感じられ、
なんだか締りがなかったのが残念である。それだけが不満と言えば不満だが、それもまた巧妙に
仕組んだ演出の一部であり、ヘンデルのオペラ舞台ではよく起きたというソプラノ歌手同士の対立・
葛藤を、そっくり姉妹の喧嘩という形にして卑近にわかりやすく見せているのではないかとも思えた。

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         アタランタは、蓮っ葉でヘレナ・ボンナム=カーターそっくり。

ウィーンでのノーブル演出『セルセ』では、ロミルダに可憐な妖精のようなアドリアーナちゃん、
アタランタがキンキンと騒がしい小悪魔のダニエルちゃん、という対比が見事だった。
それに対して、ヘアハイム演出版での姉妹役の歌手はもうちょっとトウがたってて、オバサンぽい。
ロミルダ役の歌手はエマ・トンプソン(ワトソンではない)に似てるし、アタランタ役歌手は、
ヘレナ・ボンナム=カーター風の雰囲気である。だから、ロンドンの街頭が舞台になると、もう
コスチューム映画のパロディーそのものである。

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     サバドゥス君セルセはジョニー・デップに似ていて、『スウィニー・トッド』を思い出した。

芝居小屋が文字通り舞台になっているし街頭が舞台となる地の場面も、もろにスラップスティック・
コメディー風のギャグ満載である。例えて言えば、レスリー・ニールセンの『ネイキッド・ガン』に
近い。上の写真のシーンは、アタランタがセルセにロミルダを殺すように仕向け、これでもかと
エスカレートして様々な手段を差し出していくのだが、それがスラップスティックそのもの。
視覚的トリックのオン・パレードで見ていて楽しいが、歌っている歌手にはちょっと気の毒なものも
ある。歌唱があまり印象に残らないのだ。

セルセの歌は、各幕にほぼ一曲ずつ聴かせどころがあるのだが、最後のアリアを除いては、もう
あまりに視覚的要素が凝りすぎていて、歌を聴かせるのは2の次になっていた。
だから、最後のアリアには全く演技らしい演技がないのが逆に不満に思えるほどで、技巧的にも
アクロバティックな曲だからそれは歌手にとっては有り難いかもしれないが、マレーナ様は、
ここでも迫真の演技をしつつ超絶技巧を聴かせ、歌い終わると肩で息をしていたが万雷の拍手だった
なあ、と懐かしく思い出されてしまうのだった。
この歌がKOBのトレイラーに入っているのを聴いたときは、あまりにスローで切れの悪いテンポに
がっかりしたのだが、当日のサバドゥスの歌唱およびユングヘーネルの指揮による演奏には、ベル
リンのとは別物のようにしっかりとした躍動感が加わっていてうれしくなった。

指揮者のユングヘーネルは、もともとリュート奏者だったようだ。カントゥス・ケルンなどで指揮をして
いるし、昨年ケルンでの『ポッペアの戴冠』の指揮者も彼だった。チャンバロ奏者出身(ルセや
ファゾリス)やヴァイオリン奏者(スピノジ)出身だったりするのとリュート出身とでは、皆それぞれ
当然ながら音楽の作り上げ方や指揮にどこか異なるものがある。
ルセやファゾリスがオペラを指揮すると、いかにも通奏低音がしっかりとベースに置かれたきちんと感
および実際にチャンパロの弾き振りをしているのを目にすると音楽の流れは自分が引っ張るんだという
意識が強く感じられるのだが、ユングヘーネルの場合、おおまかな線はリードしてもその他は演奏家
と通奏低音奏者に任せる、という部分が多いように感じられた。そのせいかどうなのか、ヴァイオリン
がぶつぶつと細切れっぽく聴こえ、スピノジ指揮のような流麗な弦の伸びのよさと弾けるようなドライブ
感に気持ちよく浸ることはできなかった。
しかし、難しいトランペットはしっかりと決まっていたし、オケ・メンバー全体のレヴェルは高い。

また、オーケストラ・ボックスに歌手が入り込んで、オケ・メンバーや指揮者とも文字通り掛け合い
漫才のような演技をすることも多かった。

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               セルセとアリオダテ

セルセのパートは、高音から低音の幅が広いのみならず、一気に駆け上ったりコロコロころがしたり
技術的にもアクロバティックな要素が多いので難しい。だから、通常のCTには音域的にほぼ無理
なのだが、美しい高音を苦もなく出せるサバドゥス君にはピッタリ。彼の場合、高音の発声が澄ん
でいて無理を感じさせないというのが最大の長所だ。そして、男性的なルックスであるので、こういう
バカ殿役にはうってつけである。メイクでかなり志村けんが入ってて変態チックになっていた。
この点が、マレーナ様セルセとの大きな違いで、ジョニー・デップ風を取り入れてはいたが、マレーナ
様セルセはあまりにかっこよすぎて、変態演技は上手いけど、なぜロミルダにあれほど嫌われるのか
理解できなかった。
サバドゥス君の今後の課題は、アジリタをもう少し滑らかにすることと、高音部分にももう少しだけ
男性っぽい暗さを入れて一本調子でなくするということだろうか。装飾の入れ方にも今ひとつ工夫が
必要だ。そうでないと、長いアリアで演技がない場合単調でちょっと飽きてしまう。

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          カーテンコールで、テリー君は右はし。

もう1人のCTとして、弟アルサメネ役にテリー・ウェイが出演しているのにも注目していた。
彼の声は、録音で聴くとはっきりとわかる暗さがあるアルトなので、アルサメネ役に向いていると
思ったが、ナマの声はもっと澄んだ感じで、サバドゥスとの違いがそれほど感じられないのだった。
これは予想外だったが、しかし、二人とも若いので兄弟役としてはとてもフレッシュでバランスが
上手く取れていた。
ルックスもなかなかかわいくて、バカ殿ルードヴィッヒ2世=ヘルムート・バーガー的なサバドゥス君に
対して、王弟オットー1世=ジョン・モルダー=ブラウンみたいな感じでよかった。
歌唱に関して望む内容はサバドゥス君同様で、今後も期待できるから精進を続けてもらいたい。

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          劇場カフェで開演前と幕間にコーヒーとトルテ!

デュセルドルフ歌劇場は、70年代に建てられたものでどの席からも舞台がよく見えるし、音響的に
問題もなく、値段設定が低いから、これからも面白い演目があったら通いたいほどだ。
日曜マチネだったが満席で、しかも万雷の拍手やブラーヴィで、この演目・演出はとても受けていた。
外ではすでにカーニヴァルの「ハーラウ」が聞こえていたほどで、ラインラントのカーニヴァル地域
だからこういうものが受けるような素地があると思える。

だから、今、切に希望しているのは、昨年ナンシーのみで舞台形式で上演された『アルタセルセ』を
再来年の再演にはぜひ、ここデュッセルドルフに持ってきてもらいたいということだ。
ヘアハイム版『セルセ』を受け入れられる歌劇場なのだから、5人CTが出演して女装とケレンミ
たっぷりの舞台『アルタセルセ』も、絶対に大丈夫だ。
パルナッソス社長のジョージ・ラング氏には、ぜひともこの劇場との交渉を進めていただきたい。
    
         
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by didoregina | 2013-02-05 12:39 | オペラ実演 | Comments(31)

『アルタセルセ』@ケルン初日は、白白歌合戦の趣で白組の勝ち

カウンター・テナー・ファンの間では、今年一番の話題はなんと言ってもヴィンチの『アルタセルセ』
上演である。
なにしろ、当世随一の人気を誇る若手実力派CTが5人も出演するということはめったにない。
これを企画し実現にこぎつけたのは、マックス・エマニュエル・チェンチッチとそのパートナーである
ラング氏の手腕に負うところが大きい。

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     ケルン歌劇場は改修工事中のため、テント・ホールでの上演。

当初このプロダクションを共同推進していたケルン歌劇場が、今年に入って財政危機のごたごたが
続き、全ての演目の上演回数を減らすことになり、しかもとばっちりで『アルタセルセ』はコンサート
形式に変更になってしまったというのが、ファンにとっては晴天の霹靂で残念無念だった。
フランスのナンシー歌劇場を皮切りに、ウィーン、ローザンヌ、パリと公演が続き、最後がケルン
だった。
(結局、舞台形式の上演が行われたのはフランスのナンシー歌劇場のみ。昨日ラング氏に確認した
最新情報によると、『アルタセルセ』は2014年に再演され、3月のヴェルサイユでは舞台形式、
5月のアムステルダムではコンサート形式の上演が決定している。その他のヨーロッパの劇場とは
現在交渉中)

1年前から楽しみにしていたケルン遠征をsarahoctavianさんと共に行った。
しかし、泥縄式予習としてはCDを1,2度聴いただけで、もうすでにネット上に全編アップされている
ナンシーの舞台動画はさわりを観ただけで、予習とは言いがたい態度で臨んだのだった。

コンサート形式になったことで事前に残念に思っていたのは、CT歌手たちの女装やバロックなコス
チュームおよび化粧によるケレンミたっぷりのちょっと倒錯した耽美の世界を見ることが叶わない、と
いう点であった。
ところが、実際に行ってみると、コンサート形式であってもそれが全く不満に感じられない上質なエン
ターテインメントになっていて、客を飽きさせないショーマン精神に満ち溢れていた。

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        終演後のサイン会には、CT4人が並んだ。(座長チェンチッチは
        サイン会には多分病気のため欠席)

まず、ヴィンチのこのオペラは、コンサート形式にもとても向いているのだと確認できた。
バロック・オペラと言ってもいろいろあるが、ストーリーが明快で、登場人物の性格づけが比較的
単純かつ心理の葛藤が込み入っていないこのオペラには、器楽演奏とレチタティーボとアリアとが
ほとんど交互に現れ、しかも登場人物に割り当てられたアリアの長さや重要度もほぼ同等。
歌われる内容は、しんみりと悩みを吐露したり、怒り狂ったり、悪巧みだったり、勇気を奮ったり、
歓喜や哀しみくらいのヴァリエーションしかない。
そういう、絵に描いたようなバロック・オペラだから、常套手段がうまく使えるのだ。
すなわち、歌謡ショーの要領で、歌手が一人ずつもしくは二人ずつ登場して、大見得を切りつつ
歌っては引っ込むという繰り返しで、歌手は全員男性(CT5人にテノール1人)だから、ほとんど
白白歌合戦という趣になる。

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       サバドゥス(左)は26歳、ファジョーリ(右)は30歳と若い。

歌謡ショーと同じような構成のコンサート形式だから、一曲歌い終わると歌手が引っ込む前に必ず
拍手およびブラボーの歓声が起こるという按配である。
舞台上演を行った歌手達ばかりだから皆暗譜しているし、動きに多少の演技も取り入れているから
コスチュームこそ私服だが、役に成りきっている。
そして、うれしいことに、上手くて絶好調の人が歌うと、次にはそれに他が引っ張られるような具合に
コンサート中にも歌手同士が互いに切磋琢磨して、多少コンディションが悪くてもどんどん歌唱の質が
高まっていき、全体的に尻上がりに盛り上がるのであった。
次々と入れ替わり舞台にCTたちが登場しては、見事な喉を披露するという、歌合戦そのものの
コンサート形式で、勝負は白組の勝ち!という結果に終わった途端スタンディング・オヴェーション。
拍手が鳴り止まず、最後の合唱をアンコールに歌ってくれた。

ファゾリス指揮コンチェルト・ケルンのオーケストラともCD録音からツアーまで行った、最後の締めく
くりがケルンでの公演であった。オケも歌手も長いことかけて作り上げたものがまとめあがり完成した
感じで最高の状態に近かったのではないか。演奏者も皆満足できたコンサートのようだった。

チェンチッチは、休憩中のラング氏の話ではどうやらまだ風邪が全快していないらしかったが、
それはほとんど聴衆には悟られなかったと思うくらいの意地を見せた。ちょっとヒステリックな女性役
を、演歌調に恨みを帯びた低音を響かせ聴かせた。高音は苦しかったのかもしれないが、全くそれは
表に出さなかったのがさすがだ。

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         サイン会でのジャルスキー(私服もステージ衣装もなんだか似てる)

ジャルスキーはやっぱりいつでもジャルスキーというか、他のCTとは全く異なる声質でなるほど
唯一無二の存在感が光るのだが、どんな役でも独特の個性が勝るので、コンサート形式の場合、
彼が歌い演じる役柄が聴衆の頭には浮かんでこないで、ジャルスキーを聴いてるという思いが強く
なる。
だから、彼の場合、単なるコンサートでなくオペラの役柄を歌ってるんだと視覚的に理解させる
ようなエキセントリックなステージ衣装を着てもらいたかった。チェンチッチのように。
天使のようでありかつ全体的に声量およびエネルギーに満ちた声が素直で真摯なのだが、ちょっと
一本調子に押し捲ってるように感じた。
サイン会での彼は、とてもファンに優しく丁寧に対応していた。ファンには舞台でも舞台を下りても
誠意のありったけを見せる、という印象だ。

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           最年少のサバドゥスは、期待の新人。

今回の5人のCT中、唯一今まで生の声を聴いたことがなかったのが、サバドゥス君である。
そして、今回初めて彼の歌唱に接して、すっかりファンになった。歌心や表現の幅の広さでは、
ファジョーリに近いものがあり、今後とてつもなく成長しそうな気がする。
彼の長所は、なんといってもすらりとした現代的なプロポーションと、派手で甘いマスクという、
舞台栄えするルックスである。しかも、指先や表情での演技が繊細で上手いのだ。細やかさという
点で典型的女形といえる。声もいいから、これからテクニックをもっと身に付けたら鬼に金棒である。


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           今回一番の立役者ファジョーリ

とにかく、期待に背かない実力のファジョーリである。まこと、ファリネッリの再来と呼んでもいい
抜群の歌唱力と技術を身につけている
小柄だが舞台での存在感・求心力は凄まじく、ルックスが男性的なのに対して、声は女性的でメゾ・
ソプラノそのものの自由自在にコントロールが利いたテクニックで圧倒する。
CTには無理だと言われていた繊細な歌唱および表現力と、どの音域でも安定した声と音程と
乱れないテクニック。進化したCTの理想の姿と言える。
一見声量がないかのように思えるが、実は深みと芯があって通る声が魅力的だ。歌い方や声質、
表現力など、様々な点でバルトリそっくり。男バルトリと呼びたいのは賛めてるつもりである。

サイン会では、ほとんど一番最後に並んだので1時間待たされたが、ファジョーリとは結構
いろいろおしゃべりできた。
ケルンでは『ポッペアの戴冠』初演および再演でおなじみの彼だ。「来年は、ウィーンでお会い
できるかも」とわたしが言うと、「2月、3月と11月に歌います」との返事。
11月は初耳なので問うと「11月にアン・デア・ウィーン劇場で『リナルド』」と言うではないか。
「え、ウィーンであなたが『リナルド』のタイトル・ロールを歌うの?」と訊ねると、うれしそうに
「ええ、来シーズンなんですが、決まりました」と頷いた。でも、コンサート形式だそうだ。
(アン・デア・ウィーンでは4月に『ゴーラのアマディージ』に出演と噂に上ったが、いつの間にか
それがスケジュールから消えている)
「それから、『ポッペアの戴冠』の再々演はないのかしら?」と問うと、「その話は今のところ
ありません。今年再演があったばかりですし」とのこと。
来年の11月といえば、バルセロナでマレーナ様(決定)とサラ様(多分)の『アグリッピーナ』
が上演される。ウィーンの『リナルド』と組み合わせて日本からヨーロッパ遠征することをお勧めする。
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by didoregina | 2012-12-18 23:50 | オペラ実演 | Comments(27)

Alto Giove 聴き比べ

今年の目標として「カウンター・テナーを極める」を掲げた。
しかし、各地の歌劇場でのバロック・オペラ上演回数ががっくりと減ってしまった今シーズンは、
CTの生の声に接する機会があまり多くなかった。
また、バロック・オペラが演目にあっても、キャストにはCTではなくメゾ・ソプラノが選ばれること
の方が多い。実力ある若手CTが次々と育っているといるというのに、これはどうしたことだろう。

歌劇場のプロダクションやキャスティングに望みを託し手をこまねいているばかりでは、CTの未来
や立場には不確実な要素が多すぎるから、自らイニシアティブをとって魅力ある企画でCTを売り
出そう、と、マックス・エマニュエル・チェンチッチとそのパートナーによるプロダクションの『アルタ
セルセ』がナンシーの歌劇場での実演にこぎつけたのは、今年のあまり明るいとはいえないCT界に
とってもバロック・オペラ界にとっても画期的な出来事だった。
『アルタセルセ』には、人気の点でも実力の点でも今が旬で素晴らしいCTが5人も勢ぞろい
しているという点もユニークだ。もう一人のテノール歌手と合わせて歌手は男性ばかり。

ナンシー以外のヨーロッパ各地での巡業公演は、全てコンサート形式であるというのが惜しまれる。
特に、当初は共同企画の姿勢を示したケルン歌劇場が、財政縮小を余儀なくされたため、公演
回数を減らし、しかも舞台形式での上演ではなくなったというのが、ファンとしては辛いところだ。

さて、前置きが長くなったが、12月のケルン歌劇場でのヴィンチ作『アルタセルセ』公演の前祝い
というか、気分を盛り上げるために、(なぜか)ポルポラのオペラ『ポリフェーモ』中の有名アリア
Alto Gioveの聴き比べ大会を開催したい。

まずは、映画『カストラート』から。歌はデレク=リー・レイギンによる吹き替え。


 

10月の東京でのオフ会はCT愛好者の集まりであった。そのとき、どのCTを聴いたのが最初で
深入りのきっかけになったのか?という質問があった。とっさには思い出せなくて、マイケル・チャンス
かも、意識して実演を聴いたのはベジュン・メータからかな、というあやふやな回答をしたのだが、
やっぱり、レイギンの声がわたしのCT萌え原点である。

この曲といえば、PJことフィリップ・ジャルスキーの十八番である。彼の歌は皆様よく聴く機会が
おありかと思うので、ここではちょっと意外な人による音源と動画を紹介したいと思う。

↓は、デヴィッド・DQ・リーの歌に、ヤニク・ネゼ=セガン(!)によるピアノ伴奏。



ピアノ伴奏がなんだかロマン派っぽいのがご愛嬌だが、リーの歌唱は彼の個性である溌剌たる
パワーに満ち溢れしかも叙情性があって素晴らしい。この2004年の録音はかなりレアではないか。
この二人の組み合わせはカナダ人同士というつながりだろうか。

意外にも、CTによるこの曲の録音でいいものが見当たらない。メゾやアルトならば、ヴィヴィカ・
ジュノーやアン・ハレンベリの歌唱がCTやカストラートの印象に近いものを与える。
しかし、もっと意外なのは、ソプラノ歌手が歌っている場合が、結構多いのである。
ヴェロニカ・カンヘミやカリーナ・ゴーヴァンなど。(追記・訂正:ゴーヴァンはポルポラの曲を集めた
CDを出しているが、この歌は録音していない)

ここでは、より意外かつレアな映像を紹介したい。ユリア・レージネヴァが歌っているもの。


         尻切れトンボでもうしわけない。


ユリアちゃんといえばまだ20代前半だから、この動画の頃はもしかしたら20歳になったかならないか
の年齢かもしれない。この早熟な歌唱力は驚異的。七色の声とテクニックを駆使できるユリアちゃん、
恐るべし。

聴き比べに格好の歌手といえば、ケルメス姐だ。ユリアちゃんとは声質も年齢もルックスも曲への
アプローチも対極に位置していると言えよう。

シモーネ・ケルメスの新しいCD DRAMMAから。



バロック・オペラのニナ・ハーゲンかと思える見かけとは裏腹に、ここでの彼女の歌唱は清楚かつ
さらりとしたもので、感情の込め方に嫌味がない。天上および地上の王を慰めるための歌という
真髄を突いたと思える表現力はさすがである。
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by didoregina | 2012-11-20 19:52 | バロック | Comments(10)

À Perdre la Raison

c0188818_2135547.jpg
監督: Joachim Lafosse
Tahar Rahim (Mounir),
Niels Arestrup (André Pinget),
Émilie Dequenne (Murielle),
Stéphane Bissot (Françoise), e.a.

ベルギー  2012年










気鋭のベルギー人映画監督ヨアキム・ラフォセーの新作は、2007年にベルギーで実際に起きた、
母による4人の子殺し事件を題材にしたフィクションだ。とはいっても、メディア報道から裁判
そして心理セラピーに基づき、監督自身が丹念に時間をかけて検証してからフィクションとして
作り上げたものであるから、かなり事実に近いのではないかと観客は思うし、実際、当事者に
確かめないとわかりようもない細かい描写も含まれていて、内容はなかなかに微妙だ。

9月14日の劇場公開初日に、監督自身がマーストリヒトのリュミエールまで来るし、上映後に
インタビューもあるというから、ストックホルム遠征前夜だというのに興味津々で出かけた。
今年のカンヌ映画祭にも出品され「ある視点」主演女優賞も受賞したが、どちらかというと
地味な映画だ。Made in Europeという映画推奨会主催の上映で、初日の初回は無料でしかも
フリー・ドリンク付きだった。

予告編を観たときは、なんだかややこしいストーリーの家族ドラマのような印象で、人物の
相関関係がよくわからなかった。実際に見ると、登場人物の家族関係は複雑怪奇で、こういう
のが本当にありえるんだろうか、と思えるほど。

c0188818_220367.jpg


ミュリエルはモロッコ出身のムニールと結婚し、次々と4人の女の子に恵まれる。しかし、
ムニールの養父である医師アンドレと彼らは結婚後も同じ家でずっと暮らすのだ。アンドレの
経済的庇護の下で。アンドレは、ムニールの姉(モロッコ在住)と書類上の結婚をしていて、
彼ら一家に金銭的なサポートをしている。だから、ムニールは、子供のときからアンドレに
引き取られ、ベルギーで育ったのだ。
モロッコに残されたムニールの弟もなんとかヨーロッパに居住できるようにと、アンドレは、
やはり書類上の結婚のお膳立てをする。相手は、ミュリエルの姉で出戻りの年増女だ。

最初はラブラブで幸せ一杯だったミュリエルとムニールだが、次第に関係はギクシャクして行き、
特にミュリエルは閉塞状況に置かれたように感じて、心理的に追い詰められていく。
子供が次々と生まれてアパートが手狭になったら、アンドレは彼らのために郊外に新しい家を
買い、自分は法律上は間借り人としてそこに住む。気前のいい、面倒見のいい男ではあるが、
じっとりとした陰があって、どこか威圧的な存在感が不気味である。

ムニールは、財力・権力を兼ね備えた理想的な父親像をアンドレに見出しすが、ミュリエルは、
アンドレが不気味で理解不能な人物に写りだし、複雑な環境での生活に精神が不安定になって
いく。
そして自分の生んだ子供達が怖くなるのである。そういう心理を男達は理解できない。
とうとう、出口の見えない行き詰まりの果てに、わが子を次々と殺してしまう。
映画には、ミュリエルの母親が登場せず、ムニールのモロッコ人の母親をミュリエルは思慕し、
モロッコの自然を母なる大地のように懐かしむのが象徴的である。


実際の事件に基づいているので、最初から結末がわかっているから、冒頭シーンは事件後の病院
である。
自殺を図って死ねなかったミュリエルが看護士に向かって「子供達はモロッコに埋葬するように、
父親に頼んで」と請い、その直後の葬式シーンで慰めあうムニールとアンドレの寒々とした画面
に流れるのは、マリア・クリスティナ・キーアーの歌うカルダラのPer Il Mar del Pianto Mio



この映画ではカルダラ以外に、ロカテリ、ハイドン、アレッサンドロ・スカルラッティの音楽が
流れる。
いずれも、哀しみを凝縮したようなバロックの音楽である。
上映後の監督インタビューによると、「シューベルトやシューマン、はたまたショパンの音楽を
聴くと体の中心にずしりと重みや温かみを感じるので、この映画には不適です。それに対して
バロック音楽は、肉体に直接働きかけるのではなく、背後から降り注ぐようにして精神に効いて
くるかのようなスピリチュアルな体感を覚えます。だから、そういう理由でバロック音楽を選ん
だのです」とのこと。


    チェチリア・バルトリの歌うA.スカルラッティのCaldo Sangue


この事件がニュースとしてベルギーを賑わした後、どうしても映画化したくなった監督は裁判を
傍聴し、4年に及ぶ心理セラピーに制作費の大半をつぎ込んだと言う。
ちょと歪んだ家族の生活と心理的に追い詰められるミュリエルの様子を淡々と描いていて、流血
の惨事シーンを見せるという悪趣味なこともなく、事件に至る理由もはっきりとはわからない
作りだ。
「主要人物に比較的有名な俳優を使ったのは、これがドキュメンタリーではなく芝居であり、
彼らの演技によってフィクションであることがすぐわかるようにしたかったからです」と、
フィクションであることを強調する監督であった。しかし、単純にフィクションだとも思えない
微妙な線が透けて見える。


ミュリエル役のエミリー・ドゥケンヌの、輝くような笑顔から病的なこわばった表情への変化が
上手い。この人、La fille du RERという映画でも、ちょっと似たような役を演じていたっけ。
アンドレ役のニルス・アレストリュプとムニール役のタハル・ラヒムは、共にジャック・オー
ディアールのUn Prophete『預言者』での演技が印象的で、ラフォセー監督のお眼鏡にかなった
そうだ。
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by didoregina | 2012-09-24 16:20 | 映画 | Comments(4)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

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プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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