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Bakkhai ベン・ウィショー主演の『バッコスの信女たち』

ロンドンのアルメイダ劇場でエウリピデス作、アン・カーソン版のBakkhai、即ち
『バッコスの信女たち』を鑑賞した。
c0188818_18275695.jpgBakkhai by Euripides @ Almeida Theatre
2015年9月15日

Bertie Carvel
Amiera Darwish
Aruhan Galieva
Eugenia Georgieva
Kaisa Hammarlund
Kevin Harvey
Helen Hobson
Hazel Holder
Melanie La Barrie
Elinor Lawless
Catherine May
Belinda Sykes
Ben Whishaw

Version Anne Carson
Direction James Macdonald
Design Antony McDonald
Composition Orlando Gough
Light Peter Mumford
Sound Paul Arditti
Choreography Jonathan Burrows
and Gillie Kleiman
Musical Direction
Lindy Tennent-Brown
Casting Anne McNulty CDG
Assistant Direction Jessica Edwards
Costume Supervision Ilona Karas

ロンドンの劇場でギリシア悲劇を鑑賞するのは、昨年11月のオールドヴィック座での
クリスティン・スコット=トマス主演の『エレクトラ』に次いで二度目だ。
今回のアルメイダ劇場は、劇場がひしめくウェストエンドからは離れたキングズクロス駅
北に位置しているのだが、その辺り、近年急速に開発が進んだようで、なかなかトレンディ
な繁華街になっているのに驚いた。
そして平日の公演であるが満席の盛況で、観客層はクラシックコンサートやオペラに比べ
非常に若いのも驚きである。ベン・ウィショー効果もあろうが、頼もしいことである。
(ロンドンの劇場での驚きはまだほかにもあって、コンサートホールや歌劇場と大きく異なる
のは写真撮影厳禁というのがかなり徹底していて、係員が目を光らせ、始まる前の舞台や客席
での撮影もカメラを取り出しただけで注意される。しかし、会場への飲み物持ち込みは当たり
前のようで、売店で売っているビールやソフトドリンク片手に皆さん観劇するのだ。)

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ベン・ウィショーは、イギリスの若手俳優の中では一番の贔屓で、表情での巧みな演技・
感情表現力が抜群で、ハリウッド映画に出るアメリカ人俳優などとは一線を画している。
英国の映画俳優には多いのだが、きちんと演劇学校で訓練を受けているから、映画出演の
かたわら舞台に立つのも安心して鑑賞できる実力を持つ。
彼がバッコス役を舞台で演じると知ったのは、開幕したばかりの7月下旬で、新聞評を
たまたま読み、これは!と急いで予約サイトに飛んだのだが、チケット購入しようと色々
記入しているうちにどんどん席が埋まっていき、希望の日時はなかなか取れないのだった。
彼の生舞台を一度見てみたいと長いこと思っていたので、贔屓のコンサートを振って、ベン・
ウィショーの方を選んだ。ギリシャ悲劇、しかもエウリピデスの『バッコスの信女たち』と
きては、バッコスの信女を自任している私としては見逃すわけにはいかない。

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さて、アン・カーソンによる新訳英語版のこの作品では、人間の姿で地上に降り立った
バッコス=ベンの朗々たるセリフ回しにまず安堵した。劇場は小規模で奥行きもあまりない
から大声で発声する必要はないが、聞き取りやすいゆったりとしたテンポというのがいかに
もギリシア悲劇の基礎を弁えていて、うれしくなった。現代的な衣装と現代英語であっても、
大時代的な発声・発音で古典の美しさを損ねない。
(素人芝居のギリシア悲劇を鑑賞すると、セリフがやたらと速くて、悲劇に浸れないことが
しばしばなのだ)

スリムでしなやかな体から発せられるとは思えないほど堂々とした声で、しかし、彼の得意
なある種狡そうな表情と、両性的なシナを作る所作とが、見事に現代のバッコスを体現して
いるのに思わず快哉を叫びたくなった。なるほど、こういうスーパースター的なバッコスに
女たちが我を忘れて熱狂するのは非常に納得できる。

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バッコスの信女たち、即ちギリシャ悲劇に欠かせないコロスたちだが、セリフの半分以上が
現代的に作曲された歌になっていて踊りもあるし、ちょっとミュージカル風演出で悪くない。
コロスの斉唱のようなセリフを聴くと、ああ、ギリシャ悲劇だなあ、という感慨をもつもの
だが、バッコスの信女たちである彼女らならば踊り歌うのが本領なのだから、ア・カペラで
歌わせるというのはギリシア劇の本来の姿に適ったものとも言える。

バッコスの信女たち=コロスは全員女性で、それ以外の登場人物は男優3人が演じ、入れ
替わり立ち代わりに衣装とメイクを変えて出てくる。その早変わりの妙。
ベンはバッコス、テーバイの盲目の老人、そして使者の役であった。それぞれ全く異なる
キャラクターであるため、声色も変えている。セクシーかつ狡賢く、人間を試すバッコス、
人間の老人そして若者それぞれの役柄を熱演したのだが、使者の役だけはおどおどと顔を
下に向け袖で顔を覆ったりしてセリフを言うので、聞き取りにくいのが残念であった。
しかし、彼の魅力の一つである、頼りなくイノセントで思わず抱きしめたくなるキャラは
ここに発揮されていた。

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新興宗教の教祖さながらのバッコスを捕らえるも、信女たちを取り締まるためには虎穴に入
らずんば虎児を得ずとバッコスからそそのかされ、女装して信女たちの狂騒の集いを覗きに
行ったテーバイの王ペンテウス(カドモスの孫でアガウエの子)だが、その母アガウエは狂乱
の果て真実を見る目を失い、わが子をライオンと思い込み狩りの獲物として仕留め八つ裂き
にして首を杖に刺して凱旋する幕が、悲劇の絶頂だ。
そのペンテウスとアガウエの両方の役を女装して演じる男優Bertie Carvelがなかなか上手い。
陶酔と覚醒そして悔悟が怒涛のように続けて押し寄せるさまを演じて圧巻。


中学二年の時『アンティゴネ』を舞台で見たのがギリシア悲劇との出会いで、それ以来、
蜷川幸雄演出『王女メディア』などの芝居や文学やオペラなど様々な形で身近にあるのだが、
こうして久しぶりに生舞台で役者によって演じられるのを鑑賞するのは、純粋に楽しい。
これからのロンドン遠征には観劇も加えようと決めたのだった。
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by didoregina | 2015-09-23 19:58 | 演劇 | Comments(6)

リンブルフ州北部のマース川流域をサイクリング

秋の週末、友人たちと別荘を借りてともに過ごすのは毎年の恒例行事である。
15年以上通ったベルギーのアルデンヌ高原から3年前に河岸を変えて、オランダ・リンブルフ
州北部のマース川流域の温泉場アルセンで過ごした。
オランダならば、ハイキングではなくてサイクリングである。

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こんな金色の自転車をレンタルした。24時間で10ユーロほど。

オランダでは、国中サイクルロードが網羅されていて、車道、歩道とは区別されているから
ドライバー、歩行者、サイクリストの三者にとって安全・安心である。これに慣れると、
よその国でサイクリングするのはちょっと怖く感じる。

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出発進行!(普通の自転車の場合、ヘルメットは必要ない)

マース川流域の畑や牧草地や林や村々を通り抜ける。
この辺りは人口密度もさほど高くないので、川に橋が架かっている場所は大きな町だけだ。
その代わり、渡し場は沢山ある。

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小さな渡し船だが、自転車、車、歩行者が乗り込める。
対岸に留まっている渡し船は、大きなベルを鳴らして呼んでこっちに来てもらう。

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船に乗り込む。


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料金は、渡し場によって異なるが、50セントから1ユーロの間。往復割引はない。


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両岸に渡したワイヤーを手繰って進みつつ船は行き来する。
たった数分のクルーズだ。

対岸には有名なカフェ・レストランTante Jetがあるから、コーヒーとリンブルフ名物の
果物パイ(フラーイ)で、テラス休憩。

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休憩が終わったら、怪しかった雲行きがとうとう大降りの雨に変わった。
それで、仕方なく(?)カフェの中に入って、ビール休憩。

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近くにはヘルトグ・ヤンというビール醸造所があるが、飲んだのはトラピスト・ビール。
オランダのティルブルフ近郊にあるトラピスト修道院で作られるラ・トラッペのダゥブル。
次回、またアルセンに来たら、ぜひ、ヘルトグ・ヤン醸造所を見学したい。
(いつも日曜日にサイクリングするので、醸造所は休みなのだ。)

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のんびり焦らずに、天気が回復するのを待ったのだった。
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by didoregina | 2014-10-17 16:26 | サイクリング | Comments(0)

マルコ・ビーズリーのコンサート@AMUZ とボレケ・フェスティヴァル

アントワープのAMUZをメイン会場として、毎年夏の終わり頃、古楽祭Laus Polyphoniae
が開催される。
今年は、マルコ・ビーズリーの土曜マチネ・コンサートに出かけた。

アントワープに着いたらなにやら別のお祭りのようで、賑わっている。

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フルンプラーツに立つルーベンスの像はビア樽で囲まれている。

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こちらはフローテ・マルクト。ボレケスフェースト(ボレケ・フェスティヴァル)の幟が。

ボレケとは、アントワープの地ビール、デ・コーニンクの愛称だ。通常、大きな半球型の
グラス(オランダ語フラームス弁でボレケ)に注がれたものを飲むから、カフェやバーでは
ボレケと言って注文する。
その週末はボレケ・フェスティヴァルで、町中がボレケ一色である。

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広場ではボレケ一杯が1ユーロ50セント!

大きなフェスティヴァルでは、ビールはプラスチックの味気ないコップでアルコール度数も
抑えめのビールが供されるのが普通だが、ボレケスフェーストでは、ビールはもちろんオー
センティックなボレケ・グラスに注がれる。
ベルギー・ビールはベルギーのカフェで飲めば普段でもめちゃ安だが、祭りの広場では
もっと安かった。
コンサート前、すっかり愉快な気分になってしまった。

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フローテマルクトに立つのは、アントワープのシンボル、ブラーボの像。

こちらでは、ご当地名物の食べ物屋台がいろいろ並んで祭り気分を盛り上げている。
アントワープ・パン屋組合の出しているクッキーの屋台に目が惹かれた。

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型で抜いているのは、、、、、

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手の形のクッキー!

ブラーボの像が今まさに天高く投げようとしている巨人の手は、アントワープ名物で
いろいろなところで見かける。ボレケのグラスにも描かれているし、博物館MASの壁にも
プレートが沢山埋め込まれている。そして、カフェでコーヒーを頼めば、コーヒーのお供に
手の形をしたクッキーが付いてくる。

さて、ソーセージやポテトフライなどでお腹を満たした後、コンサートホールに向かう。

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AMUZというのは、Augustinus Muziekcentrumの略で、アウグスティヌス教会がそのまま
コンサートホールになっていて、HIP古楽コンサートが行われる。

Marco Beasley, Fabio Accurso & Stefano Rocco
La Clessidra @AMUZ 2014年8月23日

Rappresentatione di Anima, et di Corpo ‘recitar cantando’
fragmenten uit Jacopo Peri’s L’Euridice en Monteverdi’s L’Orfeo
de bundel Le Nuove Musiche van Giulio Caccini

マルコ・ビーズリーは、オランダとベルギーではかなりの人気を誇り、今回の古楽祭でも
彼のコンサートは目玉の一つだった。同日の夜の部のコンサートが早々と売り切れになり、
マチネコンサートが追加された。そして、AMUZからのオファーで、先着5名、通常一人28
ユーロの座席のペアシート+フリードリンクが20ユーロ(つまり一人10ユーロ!)というのに
応募したら当たったのだった。

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バロック様式の教会内陣がステージ。内装は白と黒の大理石に金色がアクセント。
いかにもルーベンスの町アントワープらしいゴージャスなバロックで、くらくらしてしまう。

今年の古楽祭のテーマは「若き日のモンテヴェルディを探して」と題されていて、この
コンサートもイタリアの1600年ごろのモノディ様式の歌曲が中心のプログラムだ。
だから、伴奏には通低のリュートが二人。
モンテヴェルディの「オルフェオ」からのアリアや、同時代のカッチーニ作(と言われる)
「アマリリ」など、シリアスな歌の数々をしんみりと聴かせてくれた。

しかし、ビーズリーの歌唱の神髄は、もっと古いイタリア南部の土臭い古謡にある。
プーリア地方のタランテッラやナポリのバロック以前の愛の歌を、両手でカスタネットを鳴ら
しつつ明るく高々と歌うビーズリーを見るのは楽しい。やっぱりこういう歌の方が、彼独特の
甘じょっぱいような、鼻音が美しく響くテノールの声にぴったりで、耳に心地よい。
イタリア南部に降り注ぐ太陽と光る海を連想させる、明るい愛の歌がビーズリーの本領なのだ。

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マルコ・ビーズリーと二人のリュート奏者。


ビーズリーは、ルーベンスの家でもコンサート(というか語り)を行ったらしい。
やはりAMUZからのオファーで、開演前にルーベンスの家の庭で食べるピクニック料理
付きというのがあり心惹かれたが、開演が夜10時半と遅いので帰宅が難しくなるため
諦めた。
AMUZがアップした写真を見ると、ロケーション最高で素晴らしい雰囲気だったろう。
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by didoregina | 2014-08-31 21:09 | コンサート | Comments(2)

自家製リモンチェッロ作ってみた

夏の夜は、冷凍庫でキンキンに冷やしたリモンチェッロが喉にうれしい。
先月買った瓶を飲み切るのを待って、ホームメイドのリモンチェッロを作ってみた。
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ELLE Eten(オランダ語版エルの料理雑誌)で見つけたレシピは、ウォトカを使うもの
なので、願ったりかなったり。
というのは、東欧からのお客様や東欧旅行に行った人からのお土産でいただいたアルコール
度数の高い強いお酒がキャビネットの中に並んでいて、そういうお酒は今後何十年経っても
飲み切ることはないだろうと思えるのだ。

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その中のひとつ、ワルシャワ土産の「ショパン・ウォトカ」アルコール度40%。

これをベースに1瓶の半分を使うことにして、まずレモンの皮三個分を漬け込む。

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三日たったら、レモンの色がかなり出てきた。

レモン汁三個分に砂糖1カップを加え煮て、シロップを作る。

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ところが、レモン汁に砂糖というのは焦げやすく、出来上がったレモン・シロップは
ちょっと色が狐色すぎる、と主人が言うのである。

それで、この失敗したシロップに水を加えてレモネードにして飲んでみた。

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大きなグラスにスプーン一杯分のシロップを入れ、水で割ると色がかなり薄まる。
煮詰めてあるからレモンの酸味が非常に強く、砂糖の甘味がほとんど感じられないほどだ。
これはこれで、なかなかさわやかでヘルシーな味わいである。

とても暑い日が続いたので、シロップはほとんどレモネードにして飲んでしまった。
ホームメイドのリモンチェッロは、仕切り直しである。
レモンは八個買ってあったので、もう一度シロップを作り、レモンの皮の黄色が移って
いい色合いになったウォトカに加えた。(皮はもちろん捨ててウォトカは漉す)

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やっぱり、市販のリモンチェッロに比べるとちょっと色合いが濃いように思われる。

冷凍庫に入れ、日の暮れるのが遅い夏の北ヨーロッパに夕闇が訪れるのを待って、
試飲してみた。

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市販のものほどとろりとした状態ではなく、甘みがかなり抑えめでレモンの酸味が喉に
キュウっと効く感じだ。
喉越しがワイルドで、いかにも強い酒がベースという感じが残るが、ホームメイドとしては
悪くない出来である。
市販のはだいたいアルコール度28~30度だが、一体これは何パーセントくらいなんだろう。
甘味が少ない分、飲み口がやさしくないので飲み過ぎない。これは大変なメリットである。
去年はリモンチェッロの本場でセイリングして、毎晩リモンチェッロの大盤振る舞いの挙句、
ヨットに乗り移る際、海に落ちてしまったのだから。非常に危険な飲み物なのである。
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by didoregina | 2014-08-01 02:28 | 料理 | Comments(0)

リスボン、プチ旅行

なるべくお金をかけずに遠征することを旨として実践しているのは、オランダ暮らしが30年近くなった
わたしの思考がかなりオランダ人化したせいだと思う。
節約は国民的スポーツとして、貧富・階層を問わず推奨されている国なのだ。

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なにも一泊で帰ってこなくてもよかったのだが、スポーツ競技に参加する気分になって、とにかく
ストイックに、どれだけお金を使わずにすむのか試してみたくなった。
詳細はこの前の投稿に記したが、リスボン遠征費用はごくごく少なくて済んだ。
それなのに、貧乏旅行という気分には全くならなかった。EUの中でもポルトガルは物価が異常に
安いからだ。
用意したおこずかいが余ってしまって、前日に町中で一足買ったばかりなのに、帰路空港でまた
同じメーカーのを見つけ、色違いの靴をもう一足買ってしまったくらいだ。

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食事に関しては、南欧だからまずいものに当たるのは難しい。
リスボンの水辺では潮風が感じられるので、当然、焼き魚が食べたくなった。
観光客よりも地元の人が多そうで、外のテラスも店の中も盛況のレストランのテラスに座った。

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               坂道の階段をどんどん登って行くと見晴らしがよくなる。

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座ったテラス席からの町の眺め。

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               3種の焼き魚。しっかりと焼いてあって美味しい。


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ハーフボトルのワインも頼んだら、ランチのあと眠くなってしまった。ゆっくりと食事をとってから、
ホテルに戻って、夜のコンサートまで仮眠した。


イングランドの旗が各所に翻り、サッカーのイギリス人サポーターがやたらと目につき、
聴こえてくるのは、町中でもホテルでもレストランでもイギリス英語ばかりだ。
ロンドンのサッカー・チームと地元チームとの試合が一週間ほど続いたそうだ。その応援の
ためにリスボンに遠征して来ているイギリス人が町中にあふれていたのだ。

それを教えてくれた、空港への往復送迎キャブのドライバーもイギリス人だった。行きも帰りも
同じ、おしゃべり好きの運転手だった。
コンサート前後にイエスティン君に会うことができておしゃべりしたので、リスボンに来たというのに
話した相手はイギリス人ばっかりだった。

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リスボンへの一人旅というと、サウダーデというか旅の重さとか苦さを感じるのではないかと
予想していたのだが、さわやかな春風といい陽気のリスボンはさっぱりと明るく、正味ほとんど
24時間のプチ遠征は充実して、旅情にも寂しさにも浸る時間はなかった。
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by didoregina | 2014-03-27 14:46 | 旅行 | Comments(2)

ポンペイにて

金曜日にナポリ空港到着後、どこに行って何をしてどこに泊まるか。
翌日夕方にサレルノでヨットのチェックインするまで、1日半の時間がある。
いろいろと候補があって、悩んだ。
ポンペイは絶対に外せないし、位置的にナポリからサレルノに行く丁度途中にある。
荷物の問題もある。遺跡観光中、ホテルかどこかで預かってもらわないといけない。
一番無駄のないルートと荷物預かりの件を勘案して、ナポリ観光も宿泊もせずに素通りして、
ポンペイに宿泊することに。翌日朝一番に遺跡入場するために、程遠からぬB&Bを予約した。

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             ポンペイの民家の庭に実るレモンは、ボンタンのような大きさ!

ポンペイでは、ホテルやB&Bが安い。朝食が豪華と評判のところを選んだのだが、確かに、イタリア
らしからぬ内容の朝食で満足できる。フレッシュ・フルーツ・サラダ、オーブンで焼きあがったばかり
のペイストリー各種、ヨーグルト、ジュース、コーヒー各種、チーズ、ハム、サラミ等がテーブルに
運ばれてきた。
冷房のよくきいたツイン・ルーム(各部屋にシャワー、トイレ付)が50ユーロ。一人25ユーロでこの
内容はお得だ。

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             翌朝、サレルノのハーバー桟橋で、チャーター会社による朝食サーヴィス。
             ヨットのチャーターは15回以上経験しているが、朝食が出たのは初めて。
             クロワッサンのようなパンにクリームやチョコレートが挟んであったり、貝の
             形をしたパリパリのペイストリーなど、ポンペイでのB&Bも同じだった。
             桟橋の簡易テーブルにクロスをかけ、エスプレッソ・マシンまで設置。


夏の遺跡観光は、なるべく朝のうちに済ますことが肝心だ。昼頃からは日陰がなくなる。
入口(チケット売り場とは別)のインフォ窓口で無料マップをもらう。
オーディオ・ガイドを借りる。遺跡は、町そのものだから広大なので、マップとオーディオガイドで
ポイントを絞った観光ができる。

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                          バジリカ跡

なるべくマップに記された番号の順番通りに、家族4人が離れ離れにならずに観光しようとするが、
オーディオ・ガイドの説明を聴いていると次々に別の見どころが出てくるし、各人のテンポや好みが
異なるので、一緒に見て回るのは結構難しい。

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                        ユピテルの神殿


マリナ通りには壮麗な神殿やフォロなど大きな広場が多く、説明も多くなる。
もうすでに、このあたりでバラバラになってしまったので、主人が号令をかけ集合する。

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                       アポロの神殿とアポロ像

アポロ像の実物は、ナポリの博物館にあるようだが、このつやつやしたおしりの後ろ姿が美しい。
頭の形とショールのようなまといものを持つポーズと相まってまるで女性のようにも見えるが、腿や
ふくらはぎの筋肉がやっぱり男性だ。


メインの大通りから北に行くと、民家の内部が見学できる。食堂や台所、風呂場やサロンなど、
床のモザイクや、壁や台座の装飾なども凝っていて、爛熟した文化の気配が。

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              学生らしき人たちが崩れた遺跡の修復か調査を行っていた。


町はずれの豪壮な墓地のある通りを通り抜けて、北西に建つ秘儀荘に向かう。
ポンペイは、今年に入ってまた大規模な修復工事中とのことで、ここが閉まっていたら嫌だなあ、
と心配していたが、入れない部屋もあったが、目的の壁画は見ることができた。

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ディオニッソスの秘教に入信する若い女性。期待と不安の入り混じった表情。


バッコスの信女を自任しているから、ポンペイの秘儀荘の壁画を見ることは長年の夢だった。
まず、外から窓に縦に作られた木の日よけブラインドみたいなもの越しに壁画を見る。
遮光と暗さと光を自分で調整しながら、秘儀の行われる部屋の中を覗き見するという按配で、
隠微な趣がある。
部屋の中には入れないが、ぐるりと回ると部屋の入口までは来られる。そこで3面に描かれた
壁画を拝観。感嘆して、思わず拝みたくなるほどだ。
いわくありげなポーズでストーリー性に富んだものなのだが、部屋は暗いし、ディテールは美術書
その他で見た方がわかりやすい。
ポンペイの町からも、それから人々の表情からも、とてもギリシャ的なものが感じられるのだった。

秘儀荘の外に出ると、屋根越しにヴェスヴィオ山が真近に迫る。この距離で火山が爆発したら
助かりっこないよね、と思わず納得。
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by didoregina | 2013-08-14 10:11 | 旅行 | Comments(8)

デン・ボッスでは身も心も寛げる

オランダ鉄道の一日乗り放題券(14ユーロ也)をドラッグストア・チェーンで買っておいた。
一枚残っていた切符の使用期限が昨日までだったので、天気がすぐれないが無理やり電車で
でかけた。

第一候補はデン・ハーグだが、週末恒例保線のため一部代替バスの運行になっていたので避ける。
第二候補はアムステルダムだが、やはり一部代替バス運行だから避けるのが賢明。
第三候補はデン・ボッス。おととい美術館2館がリニューアルオープンしたばかりだ。そして、何より
大事なのだが、ここまでは電車一本で行けるのだ。

(実は、当日朝、駅に行って乗り放題券を売ろうと思っていた。販売機脇で切符を買おうとする人に誰
彼となく声をかけたのだが、1等でなきゃとか、ベルギーに行くからとか、近場で14ユーロ以下だから
とか、割引券を持ってるとか、外国人とかで話が通じなかったりして、5,6分あれこれ試しても、買って
くれる人がいなかったので諦めた。)

電車で1時間半の距離のデン・ボッスに着くと、町はお祭りのように賑やかである。

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                  大聖堂前の広場パラーデは、マラソンのフィニッシュ。
                   某日本メーカーがスポンサー。
 
                     
マルクト広場では、中央に舞台、周りにはレストランの屋台が特設され、この町の特産品をいろいろ
プロモートしているテントも。
デン・ボッスといえば、ヒエロニムス・ボッスの町だから、画家のボッスにちなんでパレット形のパンや、
スペイン産ワインをボッスの絵と同じ樫の樽で熟成させたボッス・ワインとか、けっこう楽しい。

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                美術館に行こうとするが、町中がマラソン・ルートになっていて
                向かいに建物が見えてるのに渡れない。。。


今回リニューアルオープンしたのは、市立美術館と北ブラバント博物館で、両館がガラス張りの通路で
結ばれた。

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               北ブラバント博物館入口前のブロンズ像

コレクションや特別展はあまり大したことない内容なので、リノヴェーションした建物を見るのが主な
目的である。 そして、美術館ではお約束のカフェに入るのが。
市立美術館は、主にダッチ・デザイン家具やテキスタイルや食器や花瓶などのデザインものを展示して
いて、それと同じものがショップで売られている。美術館でお金を払って見るよりも、見本市とかショップ
で見て触ってこその製品である。

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                ガラス張りの廊下から広い中庭とテラスを臨む

ショップでは、美学やデザイン関連の本も充実していたが、カフェは古臭い雰囲気で混み合っており、
ちょっと幻滅。
ガラスの天井で古い建物を繋げるという、リノヴェーションではお決まりの方法なのもオリジナリティ
不足である。遊びの要素に欠ける。

その中で、たまたま、この女性が入ってきた部屋はなかなか面白かった。

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           白い壁に原色でステンシルで描いたような絵。赤いテーブルと
           同じような色のコーディネートの女性(見学者)が抜群にマッチ。

混み合っていて給仕も足りないカフェでの食事は諦めた。
大聖堂を横から見る一番の立地のカフェ・レストランに入った。ここのマラケシュ風チキンのチャバタは
日本のカレーっぽい味付けにコリアンダーやハリサ、そして野菜の甘酸っぱいソースがいいハーモニー。

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           ビールは、ブルージュのゾットのブロンド。道化がカーニヴァルで
           有名なデン・ボッスにぴったり。窓の外には大聖堂が迫る。


近年ようやく改修の済んだ教会の中に入った。一体何年振りだろう。

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                  身廊から内陣を見る。
                  サーンレダムの展覧会を当地の美術館でやっているが、
                  教会内部は、絵よりも実物を見るほうが好き。


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                  天井から何事か気配を感じた。上を仰ぐと天の目が。


そしてこの日は、この大聖堂の縁日らしく、立派なマントをまとった聖母子像が祭壇脇に置かれ、
特別拝観。ろうそくに囲まれてほほを染めて心なしかうれしそうな表情だ。夕方からは、巡礼ともに
聖母子を乗せた神輿が町を練り歩くのでぜひ行列にご参加を、と教会のドアに書いてあった。

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この教会は拝観料を取らないので、修繕費として2ユーロ寄付した。

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                   奏楽の天使も愛らしい。



飲食店がとても多くて、お祭り好きの人が住んでるいかにも南部カトリックの町である、デン・ボッスの
町がとても気に入った。のびのびとおおらかな土地柄で、身も心も寛げる。
南部といってもアムステルダムまで電車で1時間だ。北ブラバント州の州都でもあり、住んでみたくなる
町である。
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by didoregina | 2013-05-27 18:46 | 旅行 | Comments(2)

ベルギーの果樹地帯をハイキング、〆はビールで

天気が不安定な昇天祭の週末だったが、予定通り、土曜日午後にハイキングを決行した。
今回選んだのは、ベルギーの果樹地帯ハスペンゴウ地方である。りんご、梨、さくらんぼ、プラム
などの花見の時期には少々遅く、ほとんど咲き終わっていたが、場所や種類(不明)によっては満開
のものもあった。

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       これは、2週間前、家の前庭で満開だった桜桃の木。

ハッセルトとシント・トロイデンの中間にあるウェレンという村を基点とする14.5キロのコースを選んだ。
ほとんど平坦で上り下りがないにしろ、午後から歩き始めたのでかなり早足で歩くことになり、花見は
おろか、果樹の写真を撮っている暇もなかった。
それで、この記事はハイキングではなくベルギーの地ビールその他がメインになる。

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       コーレンという村にあるマリエンロフという女子修道院の中庭

この辺りは、14,5年位前に子供連れでハイキングしたものだ。女子修道院のカンティーンでは、
名物の手作りタルトを供してくれた。それを作っていたシスターは亡くなり、他のシスター達も高齢の
ため、現在はパン屋に委託して焼いてもらっているという。りんごやチェリーなどフルーツの入った
フラーイという薄いタルトである。

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  ピーテル・ブリューゲルの『ネーデルラントの諺』(1559年)(ベルリン国立美術館)
      には左の家の屋根の上に乗っかったフラーイが描かれている。

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      パン生地を薄く延ばした台に、果物のコンポートを載せて焼いたパイがフラーイ。
      オランダ南部のリンブルフ州やベルギー各地で今でも極普通に作られている。

息子ブリューゲルによる、この絵のコピーをアントワープのロコックスの家で観たばかりなので、
描かれたフラーのことを思い出したのだった。

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      教会の後陣にくっついた形で建てられた小さな窓のカンティーンがある。
      あいにくと土曜休業なので、フラーイは食べられなかった。


ハイキングの途中、別の村の教会脇にあるカフェで休憩。地ビールのクリークを飲んだ。
クリークは、さくらんぼで味付けしたベルギー独特のビールである。
特にこの辺りは果樹栽培地帯なので、地ビールらしさも味わいもひときわだ。

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      このビールを選んだのは、アルコール度が3.5%と低いからである。
      さくらんぼの果汁入りなので甘酸っぱく、色もジュースのようだ。
      シント・トロイデンにある醸造所Wilderenで作られたもの。次回は
      この醸造所を訪問・見学してみたいと思う。


休憩を含めて3時間で14.5キロのハイキング・コースを一周した。

そのあと、夕飯をとるため、シント・トロイデンの町に向かった。

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           マルクト広場に建つ聖母教会の背後に虹

マルクト広場にあるカフェ・レストランの一軒で出す小エビのクロケットは、ベルギーのリンブルフ州で
一番美味しいとベルギーの新聞か何かで評価された。そのカフェがどこだったのか、忘れてしまった。
それで、雨宿りとして適当に入ったカフェ・レストランで小エビのクロケットを頼んでみた。

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         ベルギーのカフェ・レストランではメニューにあれば必ず頼みたくなるのが
         小エビのクロケットである。ここのは、クロケット自体はまあまあ普通だが、
         上に乗っかった小エビ入り野菜サラダとドレッシングが美味しかった。


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         お相手は、やはり地ビール。近くのケルコムという村にある
         ビンク醸造所のビール。ブロンドは、辛口ピルスという感じで
         なかなかイケル。この醸造所も14,5年前に訪問したことがある。
         敷地内の地下水を使っているとても小規模の醸造所で、自然派。


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         シント・トロイデンのマルクト広場中央に建つ鐘楼のある市庁舎と
         右に聖母教会。左奥は、ロマネスクの塔だけ残った修道院跡。


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          広場から一筋離れた通りにも立派な教会が。
          ベギン会修道院もあるし、町の中心にやたらと教会が多い。
       
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by didoregina | 2013-05-13 16:08 | ベルギー・ビール | Comments(0)

復活祭の週末にモーゼルをハイキング

今年の復活祭(3月31日)は、昨年のクリスマスよりも寒くなるという天気予報だった。
果たして、復活祭が近づいてもまたまた雪が積もったり、当日にも雪が舞った。
家族で出かけた先は、ドイツのモーゼル川中流にあるブラウネベルクという村である。

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          モーゼル川対岸から眺めたブラウネベルクの村

モーゼル川に沿ってほとんど垂直に切り立ったかのように見える崖にブドウ畑が作られていて、
ブドウの木の合間から見え隠れするモーゼル川はくねくねと蛇行して峡谷の趣きがあり、
森や畑を縫っての山歩きハイキングは変化があって楽しい。家から200キロの距離だから、
昔は秋に2,3泊のハイキングをしたものだ。

名前も聞いたことないような小さな村々のいずれも、少しでも日が当たるような斜面にブドウを
栽培していて、両脇にひだのように迫る峡谷風景の美しさは3年前にクルーズしたドナウ川と肩を
並べる。個人的にはモーゼルの風景の方が好きだ。

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       部屋からのモーゼル川と対岸ユッファーの眺め。垂直に切り立つかのよう。

ハイキングロードにあった説明版によると斜面の傾斜は30~55度あるから、平均45度くらいだ。
正面や下から見ても迫力あるが、上から見下ろすとほとんどスキーピストみたいだ。普通に歩いて
登るのだって大変な斜面にたわわに実った重いブドウを摘む作業は、さぞかし骨折りだろう。

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復活祭前日の土曜日に、ブドウの木の剪定や、蔓を折り曲げて支柱や線に張ったり副わせたり
する作業をしている人たちが目に付いた。畑によって、ブドウの蔓の折り曲げ方は様々で、ハート
型にしたり、雁が飛んでる様な形だったり、ハートの半分の形だったり、よく見ると生産者ごとに
こだわりがあるようで楽しい。

近年は、思った以上に機械化が進んでいるようで、農作業用の車が通れるように斜面には九十九折
の道が舗装されているし、ほぼ等間隔に開いたブドウの畝の間に小型ユンボが入って、剪定した枝を
回収する作業しているのを目にした。
しかし、これは観てるだけでコワイ。45度以上の急斜面をキャタピラ付きのユンボが下るのだ。
スキーではない。滑落しないのかと不安になった。しかし、下ってから上に登る速度が異常に
速いので、あれあれ、と思っていると、太いケーブルでユンボごとギューンと巻き上げている。
ユンボを搭載してきたトラックから命綱で繋がっているのだった。

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       丘を下ってモーゼル川に流れ込む川で出来た別の谷に向かうのに
       近道をしてブドウ畑の中を歩いている途中で、鹿の群れに
       出会った。5頭が群れて走っている。そのあと、出遅れた鹿が1頭
       美しいジャンプを見せて草原を飛びぬけた。もう1頭別の所にいた
       鹿は、じっと動かないままだった。


ブラウネベルクの村は小さいがブドウ作りの農家が多く、試飲や即売もしている。そして、大概
部屋を貸している。そういうブドウ作り農家のペンションに泊まった。4人で一つのアパートメント
にするつもりだったが、暇で空き部屋が多いのか、2人ずつ2つのアパートメントになった。
つまり、キッチン、バス、リビング、寝室がそれぞれに付いている。自炊も出来るのだが、別に
ペンション客用の朝食ルームもある。2人一部屋(一つのアパートメント)朝食付き60ユーロ。
自家製リースリングの辛口ワインをアペリティフ用に頼んだら、一瓶3ユーロ50セントだった。
こういうペンションや貸間やアパートメントは、モーゼル川沿いの各村のいたるところにある。
ホテルよりもずっと多い。しかし、ホテル・サイトではほとんどヒットしない。ドイツのこういうペンション
は安くて清潔でホテルよりも部屋は広いし手作りっぽい朝食も品数が多くいいことずくめで、適当に
選んでも当たり外れはない。

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泊まった村からモーゼル川を少し下ったところに、ベルンカステル・クースという観光地がある。
土曜日のランチを取るために行って、観光客の多さにびっくりした。人ごみが苦手な我が家なので、
レストランやカフェが沢山あり便利だし愛らしい木組みの家々があるが、いかにも観光地然として
いるのに子供達はびびった。ハイキングなしでこういう所だけ訪れる行楽は詰まらない。

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             ベルンカステル・クース

モーゼルでのハイキングお勧めナンバーワンは、ベルンカステル・クースからトラーベン・トラーバッハ
まで(もしくはその逆コース)の半日ハイキングだ。ブドウ畑と森の山道、廃墟の城にモーゼル川が
眺められ、蛇行する川のおかげでこの2つの村同士は山道を通るとさほど離れていない。たっぷり
と歩いてからモーゼル・ワインを飲んで食事したら、船に乗って出発した村に戻る。観光地の村同士
だから、船の便がいいし、蛇行するモーゼル川中流はクルーズの白眉だ。しかも途中にダムがある
ため、高低差のある水門を通る楽しいルートだ。船の上で飲むモーゼル・ワインの味わいは格別。

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            丘に建つ廃墟の古城が旅情を誘う。

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           ハイキングの後は、船に乗って戻るのが一番。


モーゼル・ワインは甘いドイツ・ワインの代名詞だったが、嗜好変化して消費者が離れていき、この
25年くらいは値崩れをおこしているように思える。しかし、今回、辛口のリースリングを色々と飲んで
みて、その考えが浅はかだったことに気づいた。ワインの味が確実に大きく進化しているのである。
安い値段でもそこそこの味だが、ちょっと高めのワインだと、アルザス・ワインにひけをとらないような
深みとコクがあるのにびっくり。都合6つの異なる辛口リースリング(ブラウネベルクで3つ、
トラーベン・トラーバッハで2つ、コッヘムで1つ)を飲んでみて、その様々な味わいに驚嘆。いずれも
甲乙付けがたいのであった。

ブドウの実る夏の終わりか秋の収穫の頃に、またモーゼルを訪れたい。
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by didoregina | 2013-04-02 15:56 | ハイキング | Comments(17)

ヴェジタリアンのペーターのご家族を招いてディナー

大人になってから再開したピアノ・レッスンだが、丁度十年を区切りとして昨年夏以来中断している。
3年前に50歳になった記念パーティー兼コンサートを開いてから目標がなくなり、モチヴェーションが
低下していたからでもある。
しかし、ピアノの師匠ペーターとの一家揃ってのお付き合いは続いている。
主人が作るヴェジタリアン・ディナーに招きたくてもお互い忙くてなかなかスケジュールが合わず、ようやく
実現したのは昨日だった。
ペーターのママEはかなりの料理上手かつ研究熱心、ペーターのピアノ・リサイタルと組み合わせた
ディナーなどでも腕を振るうセミ・プロである。だから、彼ら一家は一般のヴェジタリアンとは一味異なり、
各地に出向いて飽くなき美味を追及したりして舌が肥えているし、厳しい批評眼を持っている。

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それで、主人はディナーの献立を考えまとめるのに一週間かけた。
わたしは前日に主人の作ったリストを持って、2つ星レストラン・ベルーガなどへ卸していて郊外にある
高級八百屋兼食材店エイザーハルテまで買出しに出かけた。
さすがに艶やかでイキのいい一級品の野菜、果物、ハーブ、チーズ、ワインやデリカが揃っていて、
客1人1人に店員が付く。普段のスーパーでの買い物とは異なり、値段は見ないでひたすらリストに
載っている品々を買い込んだ。

主人は金曜日の夜から仕込みにかかり、当日土曜日は朝早くから料理に余念がない。
わたしはといえば、ピアノ・レッスンに通っていたお城に隣接したワイン屋にでかけて、料理に合う
ワインを選んだ。
ワイン屋のご主人Aは、平日はワインの買い付けと大学の観光学科・ホテル専門学校でのワイン
学講義を行い、金・土のみ店を開けている。
金曜日午後に店に寄ったら、なぜか閉まっている。マーストリヒトでは今、TEFAFという世界的
に有数の美術フェア開催中なので、きっとそれに関連してるのではないかと思ったとおり、TEFAF
関連のクライアントの手持ちシャンペンが足りなくなったため、急遽シャンパーニュまで出向いて、その
あとお届けに行っていたのだそう。(マーストリヒトからランスへはパリよりも近い)

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      まずはシャンペンで乾杯。友人からの頂き物を開ける丁度いい機会。
      でも、頂き物だと古くなっていたりして味が落ちているかもしれないので
      別のも予備に買った。これは、マイルドで落ち着いた馥郁たる味わい。

アミューズは、写真に撮り忘れたが、自家製パンのクロスティーニにクリーミーな山羊のチーズと
小さなグリン・ピースのペーストを塗って洋ナシのコンポートを載せたものと、小たまねぎを煮て串に
刺してバルサミコ酢を煮詰めたソースを絡めた。グリーンの色鮮やかな豆とかりっと焼きあがった
パンと黒い小たまねぎの甘みがアピタイザーにぴったり。


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       アーティショークの芯の手作りラビオリ。オランダうどの炒めもの。
       
前日の晩に野菜を大量に茹でてとったスープストックを少し煮詰めてラビオリを茹でた。ヴェジタリアン
だからスープストックにも肉は使えないのだ。

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       アーティショークに合うのはこれ!と、Aお勧めはサルディーニャ産の
       白。ブドウはヴェルメンティーノで、アルコール度14%と強め。

最初から強い白だと後が困るなあ、と思ったが、アクと風味の強いアーティショークのパスタには
このくらい野趣のあるワインが確かに合う。


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       プチ・トマトとへーゼルナッツとパルメザンのクランブルのオーブン焼き。
       バルサミコを煮詰めたソース。モッツァレッラにルッコラにトマト。


ペーターの一家は白ワイン党である。メイン・コース用には赤と白の両方を用意して、味見してから
好きな方を選んでもらった。

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          赤はひたすら軽めのコート・ロワネーズ。少し冷やしていただく。
          白はアルザスのゲヴュルツトラミナーのグラン・クリュでコクがある。

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         リコッタとミュンスター・チーズとズッキーニと松の実のシュトゥルーデル。
         コールラビの薄切りにアンチョビ(隠し味、秘密)のソテー。
         フェンネルにパルメザン・チーズのオーブン焼き。
         フレッシュ・バジリコと松の実のペスト。

2007年のゲヴュルツトラミナーはあと10年は寝かせばもっと美味しくなるという逸品で、ねっとりと
したコクがママEの大のお気に召した。でも、Aは「ミュンスターにはぴったりだけど、ズッキーニと
松の実には合わないから、赤ワインを方を勧める。軽い味わいだから少し冷やして」と言うので、
両方試してもらって、皆それぞれ気に入った方のワインを選んだので問題ない。

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         自家製パンに、ナスとピーナッツの炒め煮。
         ちょっと中華風の味わいだが、イタリア料理として習った。

このパンは、全粒粉にほんの少しだけイーストを混ぜてよくこねてから、12~18時間寝かせたのを
ル・クルーゼ鍋に入れて蓋をしたままオーブンで45分焼いたもの。ぱりっと堅くて噛みごたえのある
皮に中はふんわりとしたカンパーニュ風パンが焼きあがった。


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         マスカルポーネ入りアイスクリームにマンゴーを裏ごしたソース。
         イチゴ添え。マスカルポーネ控えめだがクリーミーに出来た。

アイスクリームは、電動のアイスクリームマシン(家庭用なら50ユーロ位からと安価)があれば、
様々な味と材料でホームメイドが作れるから楽だ。意外にアイスクリームマシンを持っている人は
友人・知り合いにはいないので、デザートに手作りのアイスクリームを出すと喜ばれる。
サバイヨンをしっかりとふわふわに作って、砂糖でなくてグリコーズを加えるととても滑らかでクリーミー
なアイスクリームになる。

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         デザート・ワインには、Oupia の2005年のVin Blanc Noble。
         エレガントでシックな姿に一目ぼれ。とろりとした上品な喉越し。


チーズの写真も撮り忘れたが、バスク地方の青カビチーズ、ブリーに似たクロミエール、比較的
マイルドなシェーブルの3種。胡桃とイチジクのパンを添えて。

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         チーズにもあえて白を合わせた。モーゼルのリースリング
         2004年。

特にアルザス・ワイン大好きなペーター達なので、あえてモーゼルのリースリングの古めのを
選んでみたのだが、これが、皆に大好評。でも、わたしには、甘いデザート・ワインの後では
酸味が強く感じられてイマイチに思えたのだが。

わたしは料理には全くタッチしなかったので、Aのところに1時間腰を据えて料理に合うワインを
選んでもらった。材料は買出しに行ったから全部わかっているので、それを事細かに伝えると
ぴったりのワイン・サジェスチョンがされるのだった。私自身の好みやペーター達のお気に入り
ワインも知ってるAだから、あえて裏をかいたり、今まで飲んだことがないのをピックアップして
薀蓄も聞かせてくれるので、予算に合わせて決めればいいのだ。

料理にもワイン選びにも力を込めたのがわかって満足してもらえた。
次回のヴェジタリアン・ディナーはEが主催することになり、8月の日程を決めた。
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by didoregina | 2013-03-17 22:32 | 料理 | Comments(6)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

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名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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