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Orpheus Britannicus ドロテー・ミールズとシュテファン・テミングのコンサート@ユトレヒト古楽祭

今シーズンのコンサート始めは、ユトレヒト古楽祭のOrpheus Britannicusと銘打った
コンサートで、ソプラノのドロテー・ミールズとバロック・リコーダーのシュテファン・
テミングの共演であった。

c0188818_1845462.jpgDorothee Mields, Stefen Temmingh
@Geertekerk,
2015年9月3日

Anoniem
A tune in je mad lover (instrumental)

Henry Purcell (1659 - 1695)
'Tis women makes us love. A catch

Johan Christoph Pepush (1667 - 1752)
Corydon, Recittivo, Aria Vivace, Recitativo, Aria Allegro

Henry Purcell
A slow air by je late Mr. Purcell (instrumental)
The plaint: O let me weep (from The Fairy Queen)
Ye gentle spirits of the air (from The Fairy Queen)

Arcangelo Corelli (1653 - 1713)
Sonate no.10 in F "as played by Mr. Babell" (instrumental)
Preludio:Adagio, Allemanda:Allegro, Sarabanda:Largo, Giga:Allegro,
Gavotta:Allegro

Henry Purcell
Celia hath a Thousand charmes (from The Rival Sister)
Celia hath a Thousand chames by he late Mr. Purcell (instrumental)

Tradidional
John come kiss me now


ユトレヒト古楽祭のコンサート・チケットの人気演目は、一般発売時にはもういい席は
ほとんど残っていないというのが毎年通例である。おととしも去年も今年も、オープニ
ング・コンサートやラルッペッジャータのコンサートはそれで諦めた。
England, my Englandと題した今年は、大御所ヘンデル以外のイギリス古楽を縦横に
集めたちょっと捻りの効いたプログラミングで、中でもかなりレアで今回を逃したら今後
おそらく生で聴く機会はあるまいと思われるジョン・エクルズ作曲『セメレ』に絞ることに
した。平土間5列目というまあまあの席がなんとか取れた。
『セメレ』と同じ日のこのOrpheus Britannicusコンサートも、行こうかという気になっ
た時にはもう悲しくなるような席しか残っていなかったのだが、当日何気なくサイトを眺
めたら、5列目ほぼ中央の席が3つ並んで出てきている。天の啓示かと喜び、即ゲット。

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会場である教会のGeertekerkには、6月27日にユトレヒト室内音楽祭でのジャニーヌ・
ヤンセン他によるハイドン『十字架上の七つの言葉』コンサートを聴き行ったのだが、
2か月後に来てみると、夏休みに突貫工事を行ったと思しく、地下に新しいトイレが出来
ている。まだ漆喰は乾いていないし、階段も仮設だし、ペンキもこれから、という段階
だが、新しいトイレ個室が4つも完成しているのには驚いた。その機能性と清潔度も
ギリシャから戻ったばかりの私に感涙をもたらすに十分のすばらしさ。(冗談ではなく。
ギリシャのトイレの悲しさは、経験のある人にはわかってもらえるだろう)

今回のコンサートは、ドロテー・ミールズが目当てであったが、サイトやブロシャーを
見ると、バロック・リコーダーのテミングの写真が大きく、しかも「フランス・ブリュッ
ヘンの再来」とかの賞賛文字が躍る。
ふ~ん、という態度で、会場の多くの人たちも臨んだと思う。ブリュッヘンのお膝元の
オランダであるから眉唾にしくはないし、何しろ彼は今回がオランダデビューなのだから、
知名度は低い。

しかしである、チェンバロ、テオルボ、ソプラノ・リコーダーによる最初の器楽曲の
一小節を聴くや聴衆は膝を乗り出し、どちらかというとパパゲーノ的イメージ風貌の
テミングの派手なアクションの一挙一動に目を注ぎ、まるでハーメルンの笛吹男に踊らされ
そのあとに続く子供たちのようなたわいなさで、一曲目から彼の吹くリコーダーの音色の
マジックに乗せられてしまったのである。
千変万化の音色は、まるで魔笛。その魔力や凄まじく、唖然となったあと、こりゃすごい、
と我に返った。

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テミングがコンサートで使用した各種リコーダー。

それからミールズの歌との掛け合いになると、これがまた驚き。彼がリードする形で歌の
伴奏ではなく、助奏には違いないのだが、今まで私が抱いていたオブリガートの概念を全く
覆すような演奏なのだった。
歌に適した音域・音色のリコーダーをとっかえひっかえ選び使用しているため、非常に
人間の声に近いものとなり、まるで二人の歌手のデュエットを聴いているような感じを
覚えさせる。人間の歌声には多彩な色が付けられるのだが、それと対等の音色を彼は
リコーダーから引き出すのだった。
歌手の歌声と伍すリコーダーの競演とはなんとも楽しいものである。

そして、リコーダーが活躍のコレッリのソナタとなるともう超絶テクニックの連続技で
聴衆の度肝を抜き、またそれがいかにも軽々と演奏されているため、会場は拍手万雷。

ミールズ目当てで来た聴衆が多そうだが、皆なんとも愉快なリコーダーの魔術に罹って
大満足である。
そして、ミールズももちろん、清楚で可憐な歌声でイギリスの古楽歌曲らしい雰囲気を
盛り上げた。

丁度一か月前、ロンドンのグローブ座サム・ワナメイカー・プライハウスで、アナ・
プロハスカとアルカンジェロによるラクリマと題したイギリスとイタリアの古楽歌曲を
中心としたコンサート(パーセル、ダウランド、カヴァッリ、ストロッツィ、メルーラ)に
行ったのだが、今回のと聴き比べると、ソプラノ両者それぞれの個性が選曲にも歌唱
スタイルにも発揮されていたことがよくわかる。
プロハスカちゃんのは、メランコリックなイギリスものもイタリア・バロックの場合特に
その野趣性というか荒々しさを強調した、ちょっといがらっぽさをのあるような喉での
歌唱がよかったが、ミールズはそこまで汚れ役をしないタイプであろう、ふくよかで自制
心のある歌唱という印象。

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アンコールは『グリーン・スリーブス』で、ここでもリコーダーが大活躍。
(ちなにみ先月のプロハスカちゃんのアンコールは『スカボロ・フェア』で、蓮っ葉な感じ
の歌唱が彼女らしかった。)
『グリーン・スリーブス』は、ミールズの大人の女性らしい誠意を込めた丁寧な歌唱で、
リコーダーがそれに呼応しつれなき相手への思いをかき口説く。
この曲に合わせてミールズはグリーンのドレスを着ていたんだ、と今にして思う。
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by didoregina | 2015-09-06 19:23 | コンサート | Comments(0)

Ricercar Consort による初期バロック歌曲コンサート

わが合唱団の本拠地というか練習会場である16世紀のチャペルでのリチェルカール・
コンソートによる初期バロック歌曲中心のコンサートに行った。

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Ricercar Consort @ Cellebroederskapel, 10 April 2015
Philippe Pierlo (Director & Viola de Gamba)
Céline Scheen (Soprano)
Giovanna Pessi (Harp)

Diego Ortiz (1510 - 1570)
Recerdadas (basgamba & harp)

Luzzasco Luzzaschi (1545 - 1607)
Aura soave (soprano & harp)

Giovanni Giralamo Kapsberger (1580 - 1651)
Toccata ll arpeggiata (harp)

Stefano Landi (1587 - 1639)
Augellin (soprano & harp)

Giulio Caccini (1551 - 1618)
Torna, deh torna (soprano, basgamba & harp)

Bartolomeo Selma y Salaverde (1595 - 1638)
Susann passegiata (basgamba & harp)

Giulio Caccini (1551 - 1618)
Amarilli
Non ha il Chiel (soprano, basgamba & harp)

-pauze-

Giovanni Felice Sances (1600 - 1679)
Cantada a voce sola spra il Passacaglie (soprano, basgamba & harp)

Sonetto Passegiato: Fiume cháll onde
Arietta: Traditorella che credi (soprano, basgamba & harp)

Luigi Rossi (1597 - 1653)
Passacaille del Seigr. Luigi (harp)

Giovanni Felice Sances (1600 - 1679)
Fuggi pur tu
Sopra la Ciaccona (soprano, basgamba & harp)

-encore-
Claudio Monteverdi
Si Dolce e'l Tormento

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このチャペルには昨年1月から隔週一回合唱の練習で来ているが、ここでプロの古楽演奏家に
よるコンサートを聴くのはずいぶん久しぶりだ。
座席は自由席なので、教会でのコンサートの鉄則「とにかく前の方に座るべし」を守るため
早めに行き、二列目中央を確保した。
会場の入りは6割程度だろうか、寂しいものである。
しかし、演奏家の皆さんは、ご機嫌よろしくにこやか。
歌手のセリーヌ・シェーンのソロを生で聴くのは初めてだが、写真での印象と異なり、黒い
ロングドレスに金髪ロングのすらりとした実に私好みの北ヨーロッパ系の美人である。まるで
映画『ロード・オブ・ザ・リング』でのケイト・ブランシェットみたいでドキドキしてしまう。

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まずは、ガンバとハープによるオルティスの『リチェルカール』で腕慣らし、耳慣らし。
ピエルロのガンバは、気負いとか感情入れ込みなどには無縁の実にあっさりとした演奏で、
そこから流れだす音色は澄んでしかも何とも言われぬ深みがあり、実に洒落た味わいである。
豪快な波のようなうねりはなく、流れに体を任すと自然にたゆたう気分になり心地よい。

しかし、歌曲の最初の2曲では、こちらの耳が慣れないせいなのか、感情を込め過ぎるためか
ソプラノがどうも張り上げ気味に聞こえ、もう少し音量を絞ってもらいたいなあと思うことが
しばしばだった。
このチャペルはとても小さいし響きが良すぎるので、リハでその点を見極めるべきなのだ。

曲目が進むにしたがって、音量調節がうまくいったかような感じになり、休憩前に歌われた
カッチーニの3曲はシェーンの個性にもぴったり合い、満足であった。彼女の声は、教会系
ソプラノとは異なり中音域に独特の土臭さがあるためこういうバロック初期の歌にはとても
適しているのだが、私の好みからすると、そこをあまり押し出さないで抑えた方がもっと美
しく聞こえると思う。
歌う姿はラファエル前派の美女を彷彿とさせ、ハントやウォーターハウス描く『シャロット
の姫君』そっくりである。

↓は、シェーンの歌うカッチーニ Torna, deh torna


休憩後の最初の曲で、ピエルロさんが最初の曲の楽譜を探すのに手間取って、笑いを誘う。
これで会場の雰囲気もほころんだのと、曲目も明るい色調の民謡っぽいものが多くなり、
全体の空気が軽くなった感じだ。浮き立つとまではいかないが。

ハープというのは、特に古楽演奏では艶やかさがなくごつごつとした素朴さも相まって、
とても男性的な楽器だと思う。指ではじくという豪快さがあるため、弓を使う楽器の伸び
やかで流麗な優しさと聴き比べるとそれが顕著で、ガンバとハープとの組み合わせは互いを
補っていいものだなあ、と思わされる。

図らずも、マルコ・ビーズリーでおなじみの歌が多いプログラムであったが、シェーンの
声質にはモンテヴェルディがぴったりだから彼女の歌う『ポッペア』など聴いてみたいものだ
と、コンサート中ずっと思っていた。すると、それを察してくれたかのような絶妙さで、
アンコールは「クラウディオ・モンテヴェルディのシ・ドルチェ・エル・トルメント』と
ピエルロが言ったときには膝を打ち、思わず「やった」と声がでたほどだ。
↓の動画はビーズリーによる歌。

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by didoregina | 2015-04-11 19:05 | コンサート | Comments(6)

2015年最初のコンサートと着物

今年はなんと、着初めが松の内に間に合わなかった。
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しかし、2015年最初の着物でのコンサートは、所属する合唱団恒例のニューイヤー
コンサートなので、着物を着て舞台に立ったのだった。
これは初めての経験であるが、団員やお客様には大変好評で、普段コンサート会場や
歌劇場で頂戴する賛辞の数十倍にも上った。
合唱団のドレスコードは「黒を基調とし利かせ色を配すること」ととなっているので、
墨色に近い泥染めに赤の縞大島の着物に、お正月らしく格式の高い石畳模様の朱色と
金の袋帯を合わせてみた。

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コンサートの後にはパーティーがあるし、飲み物やつまみなどの運搬の手伝いもしなければ
ならないから、当初は万一を慮ってウールの着物にしようと思って準備していた。
ウールといっても、そう言わなければ決してウールとは思われないのは、しなやかな風合いと
黒地にカラフルな紅型風の花や蝶がプリントされているからで、お正月らしい華やかさもある。
しかし、当日朝、ツイッターを見て急きょ別の着物にすることにした。日本では丁度、
成人式の日なのだが、鹿児島では本場の大島紬の振袖を着るという記事を目にしたからだ。
目から鱗である。大島紬は着やすいし、しゅっしゅと鳴る衣擦れの音もエレガントだし、
着心地がいいし、水や汚れにも強い。これに華やかな帯を合わせれば、お正月らしさも出るし
合唱団のドレスコードにもぴったりだ。

着物を着て会場に行くと、三々五々と集まる団員の反応がすさまじかった。讃嘆の嵐である。
触られたり、様々な質問攻めにもあった。彼らは個性的なオシャレを楽しむことにかけては
人後に落ちず、そういう人たちは人の着ているものにも敏感で、素敵だと思ったら称賛を惜し
まない。
地味な色柄の大島には派手な長襦袢を合わせるのがコツなので、鮮やかな紅絹色のものにし
たら、それも褒められた。細かいところまでよく見ている。

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会場は、古楽コンサートがよく開かれる16世紀のセレブルダースチャペルで、音響もよい。
第一部は混声四声合唱で、第二部は今年音大に入ったばかりだが将来が嘱望されるソプラノ
のビビちゃんによるモーツアルト、ヘンデルなどのアリア・ソロ。
合唱の部のプログラムは以下の通り。

Au fond du temple saint (ビゼーの『真珠採り』より)
バーバーショップ・メドレー Let me Call You Sweetheart, Sweet Catherine, Down
by the Old Mill Stream
ナポリ民謡メドレー 『帰れソレントへ』『サンタ・ルチア』『オーソレミオ』
Pastrale (オランダ人Lennaert Nijgh作詞Boudewijn de Groot作曲)
Gabriellas sång (Stefan Nilsson作曲 Py Bäckman作詞 スウェーデン映画As it is in Heaven
より)
Fermarono i cieli
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by didoregina | 2015-01-12 20:11 | 着物 | Comments(8)

コンサート・チケットの「当たり」年

年末ともなると、一年を振り返り、順位や回数などのまとめ記事を書きたくなるものだ。
「当たり年」というキイワードを使って2014年を総括すると、文字通りチケットその他の
プレゼントに「当たった」回数というのが今年はかなり多かったので、それをまとめて
みよう。
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1月27日のコンセルトヘボウでのカリーナ・ゴーヴァンのリサイタルはブログ記事にした。

その前の週からエイントホーフェンのミュージックヘボウで、室内楽のストリオーニ・
フェスティヴァルが開催されていて、1月31日、フェスティヴァル出演アーティストのほぼ
全員登場しての総集編ともいうべきラスト・ナイト・マラソン・コンサートに招待された。
Storioni Night o.a. Hervé Joulain hoorn, Bram van Sambeek fagot,
Nelson Goerner piano, Storioni Trio

Ives – The unanswered question
Dvorák – Strijkkwartet nr 12 ‘Amerikaanse’
Arthur – Farewell song of the deathless voice
Gotschalk – The banjo
Beach – Pastorale
Griffis – Threetone picture
Korngold – Romance impromptu uit Deception
Bloch – Prayer uit Jewish Life
Bartók – Contrasts
Bernstein – Ouverture Candide (versie voor blaaskwintet)
Greenstein – Nieuw werk
Muhly – The only tune
Bernstein – Delen uit Westside Story
Gershwin (arr. Van Klaveren) – Rhapsody in Blue
Saint-Saëns – Havanaise
Brouwer – Werk voor gitaar ntb
Golijov – Lullaby & Doina
Piazzolla – Primavera porteña
Piazzolla – Tango seis
Grande finale (Amerika-medley met muziek
van Irving Berlin, Jerome Kern en Cole Porter)

休憩2回を含む夜7時半から夜中までの長いコンサートで、内容も大変ヴァラエティに富み
いかにもフェスティヴァルの最後の夜を飾るにふさわしいもので楽しかった。(詳しいレ
ビューを書いたが、ブログ投稿に失敗して消えてしまった。。。。)
出演者の中で特に印象に残ったのは、フィンランド人のヴァイオリニストでメゾ・ソプラノ
のVirpi Räisänenというアーティストだ。室内楽でヴァイオリンを弾き、またソロ歌手として
素敵なデザインのコスチュームでモダンダンスを披露しながら現代ものを歌ったりするので、
もう彼女に目が釘付けだった。
↓の動画は2012年のものだが、これと似たパフォーマンスと衣装であった。




6月にはニシン漁が北海で解禁になり、初物は珍重される。それを祝うニシン・パーティと
いうのが各地で開かれるのだが、帽子イヴェントとして参加したことは記事にした。
そこでの私の生牡蠣の食べっぷりのよさが牡蠣屋さんの目に留まったらしく、屋台を出して
いたレストランFLOマーストリヒトから、ウェルカム・ドリンク付き3コース・ディナーと
いうのにあとで招待された。生牡蠣は一般的オランダ人には敬遠されがちなので、パーティー
などで牡蠣が出ていたら、一人勝ち状態である。
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また、8月にはロンジン・グローバル・チャンピオンズ・ツアーという馬術障害競技大会の
フェルドホーフェンでのVIP招待券が当たった。(これブログ記事にした。)

9月には、デン・ボッスのInternational Vocal Competitionという声楽コンクールにBrava
TVから選ばれた視聴者審査員の一人として3日間審査に携わる機会に恵まれた。
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その最中にユトレヒト古楽祭が開催されていて、9月7日の最終コンサートのチケットが当選
した。
ジュージー・トゥートというハンガリア人ソプラノの生の歌声を一度聴いてみたいと思って
いたので、万難を排してコンサートに行った。ジュージーちゃんは4人いるソプラノの一人で、
さほどソロパートがあるわけではないので、誰がどこを歌っているのかイマイチわかりづらい
のだったが、めったに聴く機会のないフックスの『皇帝レクイエム』なるものを生で聴くことが
できて満足だった。

Johann Joseph Fux - Kaiserrequiem

Vox Luminis:
Zsuzsi Tóth, Sara Jäggi, Elke Janssens, Maria Bernius - sopraan / soprano
Barnabás Heygi, Jan Kullmann - alt / alto
Olivier Berten, Robert Buckland - tenor
Matthias Lutze, Lionel Meunier - bas / bass

Scorpio Collectief:
Veronika Skuplik, Stefano Rossi - viool / violin
Johannes Frisch - altviool / tenor violin
Josue Melendez, Frithjof Smith - cornetto, cornetto muto / cornett, cornett muto
Simen van Mechelen, Claire McIntyre - trombone
Carles Cristobal - fagot / bassoon
Matthias Müller - violine
Kris Verhelst - orgel / organ

このコンサート動画がアップされているのでご覧いただきたい。


そのあとはもう軒並みコンサート・チケット当選ラッシュであったが、遠征とかち合って
しまい、自分では一つしか行けなかった。そうなると、行ってくれる人・ふさわしい人を
探すのに躍起になる。

デン・ハーグでのPJとナタリー姐のコンサートとかち合ってしまったのが、ロッテルダムの
ゲルギエフ・フェスティヴァルの「革命」と題された9月14日のコンサートで、ゲルギー
指揮マリンスキー劇場オケ、ソリストはデノケである。プログラム内容は以下の通り。
代わりに行ってくれた人たちは非常に感動していた。

Orkest van het Mariinsky Theater
dirigent Valery Gergiev
sopraan Angela Denoke
Falla Danza ritual del fuego uit 'El amor brujo'
Strauss Symphonische Fantasie aus 'Die Frau ohne Schatten'
Berg Drei Bruchstücke aus 'Wozzeck'
Sjostakovitsj Twaalfde symfonie 'Het jaar 1917'
Ljadov Uit de Apocalyps

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10月4日のロンドンでの『ポッペアの戴冠』と同じ日にあったデン・ハーグでのイレーネ・
テオリンがソリストのスウェーデン王立歌劇場オーケストラのコンサートにはハーグ在住の
友人に代わりに行ってもらった。

Wagner Tristan und Isolde: Vorspiel & Liebestod
Van Gilse Thijl Treurmuziek
Wagner / de Vlieger The Ring, an Orchestral Adventure

Royal Swedish Opera Orchestra
Lawrence Renes - dirigent
Iréne Theorin- sopraan

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11月の『イドメネオ』および『エレクトラ』遠征には、コンセルトヘボウでのアンジェラ・
ゲオルギューのリサイタルがかち合ったのだが、丁度日本からアムスとロンドンに遠征に
来ていたリュドミラさんに譲ることができた。「アンジェラのコンセルトヘボウでのコン
サート・チケットが当選したからには、くじ運の強さも本物」と友人たちから言われたものだ。
コンサートの内容に関してはリュドミラさんのブログ記事を参照されたい。(11月25日)

Angela Gheorghiu (sopraan)
Marius Vlad Budoiu (tenor)
Het Gelders Orkest
Tiberiu Soare (dirigent)

Saint-Saëns - Bacchanale (uit 'Samson et Dalila', op. 47)
Puccini - Tu, che di gel sei cinta (uit 'Turandot')
Mascagni - Suzel, buon dì (uit 'L'amico Fritz')
Leoncavallo - Vesti la giubba (uit 'Pagliacci')
Bizet - Entr'acte (uit 'Carmen')
Verdi - Ave Maria (uit 'Otello')
Verdi - Dio, mi potevi scagliar (uit 'Otello')
Verdi - Già nella notte densa (uit 'Otello')
Dvořák - Slavische dans in C (uit 'Slavische dansen', op. 46)
Cilea - Ecco, respiro appena (uit 'Adriana Lecouvreur')
Cilea - Ma, dunque, è vero? (uit 'Adriana Lecouvreur')
Wagner - In fernem Land, unnahbar euren Schritten (uit 'Lohengrin')
Tsjaikovski - Polonaise (uit 'Jevgeni Onegin', op. 24)
Lehár - Dein ist mein ganzes Herz (uit 'Das Land des Lächelns')
Catalani - Ebben? Ne andrò lontana (uit 'La Wally')
Puccini - O soave fanciulla (uit 'La bohème')

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そして、12月のロンドン遠征から帰った足でそのまま、ドイツのドゥイスブルク歌劇場
から招待された『ウエルテル初日』を鑑賞しに行ったことは、先日ブログに書いた。
偶然だが、チケット・プレゼント当選は、遠征と連動しているかのような法則性が見られる。
不思議だ。

たぶん、今年最後のプレゼント当選は、Het Nieuwe Rijksmuseum (邦題『みんなのアム
ステルダム国立美術館へ』)公開記念として、配給元からフィルムハウス・リュミエールに
贈られた、アムステルダム国立美術館とプレイモービルのコラボ限定版「牛乳を注ぐ女』の
フィギュアである。これはクリスマス・プレゼントとしてきれいにラッピングされていたので
うれしさもひとしおであった。ラッピング・ペーパーには12月公開の日本映画『2つ目の窓』
ポスターが使われ、カードは現在映画博物館EYEでリバイバル上映されている『風と共に去り
ぬ』でしかもカードにはなんと日本語で「おめでとうございます」と書いてあった!
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プレゼント当選のコツとしては、応募の際、必ず1、2行、担当者の心に響くコメントを書く
こと。これに尽きる。大概は、「応募の動機」もしくは「誰と一緒に行きたいか」を書く
ことになっているが、そうでなくて「先着順」とか「抽選」と謳っている場合でも、実際は、
気の利いたコメントを書いたことが当選の理由なのは、担当者からの返事やその後のやりとり
から明らかである。
中学生時代、ラジオの深夜放送などにリクエストはがきをよく出していて、当時それが
読まれたりプレゼントに当選したりしたことがよくあった。あれと全く同じコツが現在の
プレゼント必勝法にも当てはまるのである。
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by didoregina | 2014-12-30 20:05 | コンサート | Comments(8)

2014年も若手カウンターテナーが大活躍!

2014年のコンサートおよびオペラは、基本的にカウンターテナー出演のものに食指が動いた
ので、若手CTの旬の声を生で聴く機会に恵まれた一年だった。だが、行ったものすべてを
ブログ記事にしたわけではないので、漏れていたものをここにまとめて、今年のCTの活躍を
振り返ってみよう。

ブログにレビューを書いたが、1月18日のドルトムントでのカルダーラの『惑星の調和』コン
サート形式には、CTはフランコ・ファジョーリカルロス・メナのみの出演となりクリストフ・
デュモー
の歌唱が聴けなかったことが大変な心残りというか痛手であった。結局、
今年は一度も彼の歌唱の実演に接することができなかった。来年2月の『タメルラーノ』まで
待たねばならない。

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5月4日にケルンでコンサート形式の『タメルラーノ』を聴きに行った。CTは題名役のシャビエ・
サバタ
マックス・エマニュエル・ツェンチッチが出演。
Musikalische Leitung Maxim Emelyanichev
Tamerlano Xavier Sabata
Bajazet Daniel Behle
Asteria Sophie Karthäuser
Andronico Max Emanuel Cencic
Irene Ruxandra Donose
Leone Pavel Kudinov
Orchester Il Pomo d'oro

このオペラはコンサート形式だったためか、どうもあまり印象に残らなかった。なぜか、
この日の指揮者は非常に若いのに、オケのポモ・ドーロから若々しさや躍動感が引き出せず、
全体的にのっぺりとした演奏で退屈してしまうのだった。オペラそのものも地味で魅力が乏
しいこともあり、好きなCTが出演しているというのに、聴きながらついうとうとしてしまう
こともしばしばあり、レビューを書きたくなるほどの感動につながらないのだった。
なぜだろう、と今でも腑に落ちないほどだ。

4月の復活祭の前に1日おきに『マタイ』と『ヨハネ』受難曲をそれぞれ聴くことができ、
若手イギリス人CTであるイエステイン・デイヴィスティム・ミードをバッハで聴き比べる
という贅沢に浸れた。共にイギリスの教会系CTであるから、バッハとの相性は抜群だ。

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バッハといえば、なぜかレビューを書かなかったのだが6月24日のウィグモア・ホールでの
イエスティン君のコンサートも、バッハがメインだった。
Cantatas for the Soul

J Christoph Bach
Ach dass ich wassers gnug hätte

JS Bach
Brandenburg Concerto no 6
BWV 54 Wiederstehe doch der Sunde
Violin Concerto in A Minor
BWV 170 Vergnügte Ruh, Beliebte Seelenlust

The Dunedin Consort
Iestyn Davies - Countertenor
Cecilia Bernardini - Violin

今年はイエスティン君のヨーロッパとイギリスでのコンサートとオペラはほとんど制覇した
と言ってもよいほどだが、このウィグモアでのコンサートは当初予定に入れてなかった。
チケットはすぐに売り切れになってしまい、リターンを狙っていたのだがいい席はなかなか出
てこず、少なからず諦めていた。
ところが、直前になって友人の友人が出張のため行けなくなり、棚ぼた式に最前列中央の席が
手に入った。
ヨハン・クリスチャン・バッハのこのラメントは、コジェナーのCDをよく聴いたものだが、
CTによって歌われると、哀しみよりは、じりじりと身を焦がすかのような渇望が甘美な官能
の響きに聴こえるのである。しかも、イエスティン君のストレートでしみじみとした歌唱に
よってそのほてりのような感覚が聴きながら体にすっと入り込み、哀しみと裏表の諦めに近い
ようなマゾヒスティックなイメージすら湧いてくる。こういうところにCTの歌唱の真価が現れ
るのであろう、この最初の一曲で打ちのめされてしまった。

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9月1日にはユトレヒト古楽祭のコンサートを二つ梯子したのだが、まず、ピータース教会で、
Cinquecentoというウィーンのアンサンブルによる6声のポリフォニー・コンサート。
16世紀にウィーンの宮廷で活躍したリエージュ出身の作曲家によるものという渋い内容だ。
'Jean Guyot de Chatelet & Philippe Schoendorff'

Terry Wey, coutertenor
Franz Vitzthum, countertenor
Tore Tom Denys, tenor
Achim Schulz, tenor
Tim Scott Whiteley, bariton
Ulfried Staber, bas

グレゴリオ聖歌とリエージュ出身の二人の作曲家による作品が交互にア・カペラで歌われる。
お目当ては、若手CTのテリー・ウェイ君である。彼は、昨年のデュッセルドルフでの『セルセ』
で、ヴァラー・サバドゥス君と組んで弟役を歌ったのだが、この二人はほぼ同年代でCTでも
メゾとアルトと声質的に異なるのだが声の親和性は抜群である。
今回、テリー君は渋いポリフォニーのコンサートで、教会系らしいすがすがしさとふくよかな
温かみのあるアルトの歌声を聴かせてくれた。

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9月14日には、デン・ハーグのアントン・フィリップス・ホールでのフィリップ・ジャルス
キー
とナタリー・シュトゥッツマンのコンサートに行った。
Ensemble 55
Philippe Jaroussky en Nathalie Stutzmann

Antonio Vivaldi (1678 – 1741)
Concert voor strijkers in g (RV 157)
Uit: OLIMPIADE Aria Lo seguirai felice [PJ]
Adagio uit Concert voor strijkers in C (RV 109)
Uit: IL GIUSTINO Aria Vedro con mio diletto [NS]
Uit: FARNACE Aria Gelido in ogni vena [PJ]
Allegro multo uit Concert voor strijkers in C (RV 109)
Uit: OLIMPIADE Aria Gemo in un punto [NS]
Uit: OLIMPIADE Duet Nel giorni tuoi felici [Megacle PJ / Aristea NS]

Georg Friedrich Händel (1685 – 1759)
Uit: SERSE Ouverture
Uit: RODELINDA Aria Se fiera belva ha cinto [NS]
Uit: SERSE Sinfonia uit Acte III
Uit: RADAMISTO Aria Qual nave smarrita [PJ]
Adagio uit Sinfonia voor strijkers (HWV 338)
Uit: ARIODANTE Aria Scherza infida [NS]
Largo uit Concerto Grosso, opus 3 nr. 2 (HWV 313)
Uit: ORLANDO, Sinfonia uit Acte III
Uit: SERSE Aria Crude furie [PJ]
Uit: AMADIGI Ballet voor herders en herderinnen uit Acte III
Uit: ATALANTA duet Caro/ Cara [Atalanta PJ / Meleagro NS]

前半はヴィヴァルディ、後半はヘンデルというわかりやすい構成のプログラムで、器楽曲では
アンサンブル55を指揮しながらアルトのシュトゥッツマンと、メゾというより誰とも比較でき
ない独特の声の持ち主であるジャルスキーとが、ほぼ交互に歌うのだが、デュエットでの二人の
声の相性も素晴らしい。
PJの生の歌声は何度か聴いているので、この日はナタリー姐の歌唱を聴くのを楽しみにしていた。
ほれぼれとするほど深みのある声と噛めば噛むほど味わいのある歌唱とで、姐は期待以上だった。
PJの人気はオランダでも高いから、会場は熱気に溢れ、アンコールも3、4曲に及んだらしい。
(電車の時間の都合があるためアンコール一曲だけで会場を出てしまった。)
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12月16日には、風邪で咳が止まらなくなったMevさんの代りにコンセルトヘボウでのトン・
コープマン指揮アムステルダム・バロック・オーケストラによるバッハ『クリスマス・オラト
リオ』コンサートに行った。座席は平土間4列目中央である。
Amsterdam Baroque Orchestra & Choir
Ton Koopman (dirigent)
Yetzabel Fernandez (sopraan)
Maarten Engeltjes (countertenor)
Tilman Lichdi (tenor)
Klaus Mertens (bas)

J.S. Bach - Eerste cantate: Am ersten heiligen Weihnachtsfeiertage (uit 'Weihnachtsoratorium', BWV 248)
J.S. Bach - Tweede cantate: Am zweiten heiligen Weihnachtsfeiertage (uit 'Weihnachtsoratorium', BWV 248)
J.S. Bach - Derde cantate: Am dritten heiligen Weihnachtsfeiertage (uit 'Weihnachtsoratorium', BWV 248)
J.S. Bach - Vierde cantate: Aufs Fest der Beschneidung Christi (uit 'Weihnachtsoratorium', BWV 248)

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ソリストでは、CTのマールテン・エンゲルチュスとソプラノのイェザベル・フェルナンデス
に注目して臨んだ。
エンゲルチュスはオランダ人CTであるが、やはり教会系と呼ぶにふさわしい声と歌唱なので
バッハは安心して聴くことができる。ちょっと収まりすぎていて物足りないと感じるほどだ。
ところが、イェザベルの方は、かなりラテン的な骨太さのある声の持ち主で、イギリス系教会系
ソプラノの歌唱に耳が慣れていると、彼女の歌うバッハには最初戸惑ってしまった。しかし、
今回のソリスト全体のバランスから言うとそれは悪いチョイスではなく、ソプラノがあまり
活躍する曲ではないからかえって時折ピリッと隠し味が効いているのであった。
トン様の指揮は、オルガンでガンガンと通奏を弾きながらもしくは体全体でオケとコーラスを
率いていくのだが、どうもコーラスもオケもそれに応えるほどの迫力を伴わないのだった。
特に残念だったのがコーラスの薄っぺらさで、あまりにぼやけすぎていてつまらない。これは、
もしかしたら教会でのコンサートの音響を念頭に入れた人員構成のせいなのか、それとも座席が
ステージに近すぎたため、頭上をコーラスの声が通り過ぎて行ったのか。
祝祭的音楽だから、元来太鼓やトランペットやホルンなど華々しく活躍する曲なのに、それら
は非常にストイックかつ控えめなのも意外だった。あまりにトランペットを高らかに鳴らし
すぎたらそれはクリシェっぽくなってしまうが、主キリストの誕生を寿ぐめでたい曲なのだから
もう少しガンガン太鼓も響かせたらよかったのにと思った。
ABOによる受難曲演奏を非常にプロテスタント的だと評したパリ在住の知人がいるが、今回、
それがよく納得できた。それはそれで衒いがなくピュアで潔くよろしいので、純然たる好みの
問題である。

こうして、コンサートもCTメインに明け暮れた1年が終わろうとしている。来年もこの調子で
邁進したいと思っている。
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by didoregina | 2014-12-28 01:04 | カウンターテナー | Comments(6)

England's Orpheus, or the festive finale of a year with.....Iestyn Davies

December the 5th is St. Nicholas’ Eve. In several parts of Europe, particularly
in the Netherlands and Belgium, it’s more important than Christmas, especially
for children who try to behave well to receive fancy presents from the Good Saint.
On that very evening, Iestyn Davies (countertenor) and Elizabeth Kenny (lutenist)
would give an intimate lute song concert at Shoreditch Church (St. Leonard’s) in London. Early music lovers might hardly imagine any better treat than this.
So I flew away from the warmth and cosiness of festive event in Holland to attend
the concert to celebrate the finale of an extraordinarily musically fruitful year.

c0188818_2045061.jpgEngland's Orpheus
5 December 2014, Shoreditch Church (St. Leonard's)
Iestyn Davies (countertenor), Elizabeth Kenny (lute)

Purcell: Music for a While,
Sweeter than Roses,
A Song Tune (lute solo),
RIgadoon (lute solo),
'Tis Nature's Voice.

Dowland: Come Again,
Flow My Tears,
Semper Dowland, Semper Dolens (lute solo),
Now, O Now I Needs Must Part

[interval]

Dowland: In Darkness Let Me Dwell,
King of Denmark's Galliard (lute solo),
Can She Excuse My Wrongs?,
Sorrow Stay

Handel: O Lord Whose Mercies Numberless,
Non può mia musa,
Può te, Orfeo, con dolce suono, Dunque maggio d'Orfeo,
Ogn'un canti e all'Armonia

Robert de Visée: Prelude and Chaconne (theorbo solo)

Purcell: By Beauteous Softness,
If Music Be The Food Of Love,
An Evening Hymn

Encores:
Handel: Cor Ingrato from Rinaldo
Thomas Morley: Will You Buy A Fine Dog?

I have a kind of tendency to avoid concerts held at churches, as I’m rather
critical and sceptical about the acoustics in churches in general; in most cases
the choir sounds too solemn to understand what they are singing because of
echoes and reverberations. In order to prevent that kind of disappointment,
you have to take a seat as close as possible to the musicians, where you can
hear the sounds directly. So my friends and I started standing in front of the
church door 30 minutes before it opened, and could successfully get the best
seats on the front row.
Another threat to a church concert is rather low temperature inside; in winter
you might regret, if you don’t dress like going out to watch a football game.
I remember a Bach concert at Our Lady’s Church in Maastricht a few years ago;
the audience jumped up soon after the last tune had faded (it took some time
before all became quiet, as the reverberation time of that church was extremely
long), clapped shortly and rushed outside, instead of giving a usual standing
ovation. Our patience reached nearly the limit, and it was too cold to behave
politely. I still wonder how musicians and their instruments survived in such
extreme circumstances…..

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(photo courtesy of Peraperaopera)

The fully packed Shoreditch Church looks quite cosy with candle lights here and
there on the stage. There are even some seats set on the stage just surrounding
the artists like a shield or a wall, which, in my view, would be aimed to create
better acoustics.

The opening number of the concert is Music for a while. During last 12 months I attended 9 concerts and 3 operas in which Iestyn was involved and this is my
5th time to hear his singing this song live. Music for a while is obviously and
absolutely my favourite song from Purcell, and this time it is accompanied with
the lute. This combination results in plain beauty. I am so touched by the music
played by two artists who look totally devoted to entertain us in such a sincere way. This is the best Music for a while rendition ever, bearing a touch of loneliness,
despair and hope. I first try to keep myself calm but soon surrender and let my
eyes filled with tears. Later Iestyn sings Flow My Tears suitably with full essence
of melancholy.

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(photo courtesy of Peraperaopera)

The second part after the interval starts with melancholic Dowland’s In Darkness
Let Me Dwell. It is impossible not to be blown away, by hearing England’s living
Orpheus singing this song. But he sings it without unnecessary pretension; yes,
which you can call the art of melancholy. I am particularly fond of the way he ends
the song suddenly with no display of sentiment, which is so effective, sensible and stylish.

Lutes and theorbo require tuning often, so Iestyn and Lizzy talk meanwhile about instruments, composers, their first collaboration some 20 years ago and so on.
(One of the CD booklets I brought to be signed is coincidentally the recording for
which they worked together when Iestyn was 13 years old. I asked them to sign
on it at the post-concert signing session. This is Iestyn’s autograph, mocking as if
a 13-year-old boy wrote it.)

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Lizzy plays some solo lute pieces, which also sound intimate and unpretentious.
Robert de Visee’s works are not familiar to me, but they recall me a same sort of
delight as Dutch art of 17th century. Perhaps it’s because of the composer’s name;
Vise is the nearest Begian town just across the border from my place. Might his
family have come from Vise, or he himself have been born there?

Handel is honourably nominated as an English Orpheus in this concert. I don’t
disagree, though he is totally different from the two former composers. I’m also
a Handelian and I always appreciate Iestyn’s performing roles in Handel’s operas
and oratorios, so it is more than welcome that Handel repertoire is included in
tonight’s programme. Iestyn sings Non puo mia musa, which, to my surprise, seamlessly matches the rest of the programme, even though it’s sung in Italian
with more vivid colours and lighter ornamentation than relatively monochrome
Dowland and Purcell songs.

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Purcell’s Evening Hymn is a perfect song to finish a lute song concert; I never call
this song a tearjerker, but this time I can’t help my lacrimal gland loosing. What a blessing.
There are two encore pieces: Handel’s Cor Igrato from Rinaldo, and Thomas Morly’s
Will you buy a fine dog? The contrast is huge:one is serious and the other is funny, which shows his versatility in wide repertoire. After attending this memorable, comprehensive and exquisite concert, I can’t help feeling like listening to Iestyn's performing on an opera stage soon again.
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by didoregina | 2014-12-09 21:38 | イエスティン・デイヴィス | Comments(2)

ヴァラー・サバドゥス (Valer Sabadus)の Le Belle Immagini コンサート

若手カウンターテナーの中でも、声質が特に好みなので贔屓にしているヴァラー・サバ
ドゥスのコンサートに行った。@Opernhaus Düsseldorf, 09. November 2014

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Carlo Giuseppe Toeschi (1731–1788)
SINFONIE D-DUR
1. Satz: Allegro maestoso

Christoph Willibald Gluck (1714–1787)
ORFEO ED EURIDICE (Parma-Version)
Arie des Orfeo „Che farò senza Euridice“

PARIDE ED ELENA
Rezitativ und Arie des Paride „Le belle immagini“

SCHAUSPIELMUSIK ZU „ DON JUAN“ (Fassung Wien 1761)
Chaconne Espagnole
Andante
Allegro ma non troppo

SEMIRAMIDE RICONOSCIUTA
Arien des Scitalce „Non saprei qual doppia voce“ & „Voi che le mie vicende“

PAUSE

Wolfgang Amadeus Mozart (1756–1791)
CASSATION IN G-DUR KV 63
Auszüge

Christoph Willibald Gluck (1714–1787)
DEMETRIO
Arie des Demetrio „Non so frenar Il pianto“

Josef Mysliveček (1737–1781)
FARNACE
Arie des Farnace „Ti parli in seno amore“

OVERTURE IN B-DUR (F 30)
Allegro con Spirito
Andante

Antonio Sacchini (1730–1786)
IL CID
Rezitativ und Arie des Rodrigo „Se pieta tu senti al core“
Arie des Rodrigo „Placa lo sdegno o cara“


会場であるデュッセルドルフの歌劇場で、サバドゥス君はヘンデルのオペラ『セルセ』に
2年前主演しているし、10月にはケルンの歌劇場でも『ルイキッポ』に主演し、20代と
若いにもかかわらずドイツやフランスでは(比較的レアな)バロック・オペラには欠かせない
実力派カウンターテナーとして活躍している。

このコンサートは、新譜Le Belle Immaginiのプロモートの意味合いもあり、器楽演奏は、
CDと同じくHofkapelle Münchenが担当し、選曲もCDから採られている。
前半プログラムは、グルックのオペラ・アリア が中心で、前奏曲代わりの器楽演奏による
トゥスキの『シンフォニア41番』の後は、いきなり『オルフェオとエウリディーチェ』
から「エウリディーチェを失って」を歌うのだった。
こういう選曲と構成にしたのは、端正な古典派らしい衒いのないストレートな美しさで勝負
の曲から始めて少しずつ喉の調子を上げながら、次第にテクニック的に複雑な技巧を要する
ブラヴーラ・アリアでクライマックスに持っていくというわけなのだろうが、一曲目の
「エウリディーチェを失って」は、聴いているほうもなんだか苦しくなってくるほど、
サバドゥス君の表情は硬くほとんど蒼白で、眉間に皺を寄せたままか細い歌声で最愛の妻が
戻ってこないことを嘆くのだった。



上記動画の音源はわたしが行ったコンサートの一週間後にラジオ放送されたオペラの録音で
あるが、どちらもソプラノ・カストラートのためのパルマ版の演奏で、ダカーポの装飾の
付け方も伴奏も同じであった。
3列目の席で歌手の真正面で聴いたのでよかったが、後ろのほうの席までしっかり届いたんだ
ろうか、と少々心配になってしまったほど潤いと声量に欠けていたのが残念だった。緊張も
あろうし、喉がまだウォーミングアップ不足だったのだろうか。こういう超有名曲で始めると
いう構成は、ヘンデルの『セルセ』における「オンブラ・マイ・フ」と同様であるが、歌手に
とってはちょっと難しいものがあるのではなかろうか。
それほど、一曲目に持ってきて聴衆に印象付けるのは困難な曲なのだ。

2曲目の『パリーデとエレナ』の歌唱も同様で、こちらも高音部分が大変そうだなあ、と
いらぬ心配をしてしまうのだった。このオペラは、以前に実演鑑賞したことがあるのだが、
いかにもソプラニスタのために作られたようなアリアが満載で、その時歌ったCTの歌唱の
伸びやかな高音の美しさにノックアウトされたのだ。
しかし、休憩前の『セミラミーデ』からの2曲になると、喉の調子も上がったようで、ブラ
ヴーラも輝かしくテクニック全開でエネルギッシュに聴かせてくれた。ここに持っていくために
最初の2曲は喉を抑えめにしていたのだろう。

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合間に入る器楽演奏と伴奏はホフカペレ・ミュンヘンが担当。高音弦楽器の多い編成の
ため、相対的に通奏低音があまり聞こえなかったが、全体的に華やかかつ手堅い演奏である。
特に管楽器の上手さにドイツの古楽団体の演奏ではいつも唸らされるのだが、バロック・
オーボエ、ホルン、トランペットは音色の美しさも、音の決まり具合もしっかりしていた。

後半はグルックとミシュリヴェチェクとサッキーニ作曲アリアの数々で、いずれ劣らぬ
華やかな技巧を要するのだが、もう喉は十分に温まったと見え、表情も晴れ晴れとし曲間に
余裕でジョークを言いつつ、目くるめくようなコロラチューラで歌い上げてくれた。
彼の生の歌声にも歌い方も、マレーナ様に似ているなあ、と感じさせる部分があるのだが、
特に中音部と高音部のメゾらしいファルセット部分がそっくりなのが、彼贔屓の理由の一つ
かもしれない。ほかのカウンターテナーと比べた場合の彼の個性としてはメゾそのものと言える
声質が際立つのだが、逆に低音部に男性らしい力強さがあるのが、メゾと比較した場合いかに
もカウンターテナーらしくて、それもまた好きな理由である。

アンコールは、モーツアルト風であるがモーツアルトではないのがミソ、と言うサッキーニの
Vieni, o caro amato bene。CDにも入っているというのだが、わたしはすっかりモーツアルト
作曲なのかと思って騙されてしまった。サバドゥス君がモーツアルトのオペラに出演したら
ぜひ聴きたいものだ。

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ドイツの聴衆にいかに愛されているかがよくわかるのは、熱烈にブラーボ、ブラーヴィが飛び
交い、スタンディングオヴェーションになったことだ。(オランダでは、スタンディング
オヴェーションは儀礼的というかいつでもどこでもデフォルト化しているのが残念)
一曲一曲歌いあげるたびに、嬉しそうな笑顔を見せ、お辞儀も深々として好青年そのものの
すがすがしさ。
サイン会の列もとても長かった。

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by didoregina | 2014-11-19 18:45 | カウンターテナー | Comments(0)

International Vocal Competition に視聴者審査員として参加

今年で50回目を迎えたInternational Vocal Competition Den Bosch (IVC)は、過去の受賞
者名を見ると、過去または現在各地の歌劇場で活躍の歌手の名前が出ている。このコンクールは
綺羅星のごとくスターを輩出しているのに驚く。
そのオペラ・オラトリオ部門に、クラシック専門のテレビ局Bravaの視聴者審査員として参加
することになった。
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今年からBrava視聴者賞が設けられて、テレビ局が募集した審査員に自薦で応募した中から
選ばれた12人が、デイム・キリ・テ・カナワや元ウィーン国立歌劇場のホレンダー総裁を
はじめとする錚々たるメンツの本物の審査員会とは別にアマチュア審査団を組んだのだ。

土・日2日間に渡って繰り広げられた本選第一ラウンドでは、午前・午後・夜それぞれ10人が
自分の得意とするアリア3曲を歌った。そして、われわれ審査員は1日に30人の異なる歌手
(の卵)が歌うアリア90曲を聴いた。

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われわれの採点方式は、出場歌手の歌唱を聴いて、名前と歌う曲が印刷された用紙に100点
満点で点数を付けるというもの。視聴者審査員の出した点数から平均値を計算し、最高点を
得た歌手がBrava視聴者賞を受賞するという仕組みである。
仕組みは単純ながら、点数を付けるために歌を聴くという行為は実は思ったよりもずっと大変
なのだった。

わたしは、歌唱を聴きながら気付いた点・感想をメモった。大体、歌手一人につき3、4行だ。
声質、歌唱、スタイル、ルックス、その他のアピールする点を、実際に生で聴いたことのある
現在活躍中の歌手と比較しての印象を書きこんだ。
それを元に点数を付けるのだが、それがまた難儀である。
特に初日午前中の部出場者は、本選に最初に登場であがっているだろうし、朝11時では通常
声のコンディションは万全ではないだろうし、こちらとしても比較対象が少ないから困る。

どうも初日午前の部はあまりパッとしないというか、ハッと鮮烈な印象に残る出場者があまり
いないのだったが、午後からだんだん盛り上がって、上手い人が続々と出てきた。
夜の部となると、皆甲乙つけがたいほど優秀な歌手ぞろいなのだった。
そして、最初の方に付けた点数が甘すぎたと痛感することになる。このままいくと、100点満点
に限りなく近い点数を付けざるを得ない。

テクニックなど様々な点を考慮に入れつつ、この人の声が好きだし、この人の歌をオペラ舞台で
観たい・聴きたいと思う場合、高得点を付けた。

とどめは、夜10時、最後に歌ったオランダ人ソプラノだった。
堂々たる押し出しの強さと自信がみなぎった態度の成熟した歌唱で、どの音域でも声量は十分
あり、発音もはっきりとして、ドラマチックな声なのに気品がある。無理の感じられない自然
な発声で、ガタイのいいせいかよく響きよく通る。まるで、ウエストブルックの再来か、と
思えるほどのオーラを放ち、完成度が高くて素晴らしいリサイタルの趣だった。
ほとんど視聴者審査員全員一致で、その日の一位は決定した。

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その晩、われわれアマチュア審査員は皆よく寝付けず、よく眠れなかった。
集中しつつ生で聴いた歌の絶対量が多すぎ、頭が一杯になってしまったのだ。
リラックスしたり、ピュアに楽しむために音楽に身や心を任せて聴くコンサートやオペラ鑑賞
とは全く別の態度で臨んだためだ。

そして、翌日も同様に朝から晩までアリアを聴いた。(実は、わたしは日曜夜の部は抜けさせて
もらった)
全部聞くと2日間で180曲だ。しかも、コンクールだから熱唱・熱演の真剣勝負である。
そのエネルギーを受け止めるためにはこちらも万全の構えで臨まないと圧倒されて疲れてしまう、
ということがよくわかった。
しかも、感情的に好き嫌いのみで評価するわけにもいかず、理性的思考を行いつつ音楽を聴くと
いう行為は精神的にも重く、こういう疲労感は今まで味わったことのないものだ。

本職の審査員たちによる本選の結果が出て、20人のセミ・ファイナル出場者が決定した。
わたしが高得点を付けた人で入っている人もいれば落ちている人もいる。その逆に、低得点を
付けた人が残っていたりして、なるほど、プロの審査員とアマチュアとは好みも目の付け所も
かなり分かれるんだなあ、と思ったことである。(プロの審査員団には、歌手以外にも指揮者、
インテンダント、インプレッサリオが入っている)

一日置いて、火曜日にセミ・ファイナルが行われる。出場者は今年のコンクールのために
委託作曲された現代曲の課題曲ともう一曲自分の得意な曲を歌う。20人X2だから、40曲で
すむが
、精神体制を整えてセミ・ファイナルの審査に臨むつもりだ。
(追記: 課題曲ともう一曲だと思ってセミ・ファイナル審査に出かけたが、なんと課題曲
プラス3曲のアリアを歌うということを当日知った。またまた丸一日、20人X4曲歌うのを
聴くことになった。結局、コンテスタントたちが全員歌い終わったのは夜11時過ぎで、その後、
得点集計・審査会議があり、結果が発表されたのは真夜中の0時だった。)

才能あふれる新人発掘というチャンスに遭遇するのは、何と言ってもスリリングだし、とても
楽しいことでもある。
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by didoregina | 2014-09-08 13:14 | コンサート | Comments(4)

San Giovanni Nepomuceno はカルダーラらしさ爆発のオラトリオ

今年のユトレヒト古楽祭のテーマは「ハプスブルク、ウィーン、プラハ」となっていて、
チェコの古楽アンサンブルCollegium1704がアーティスト・イン・レジデンスである。
彼らが演奏する古楽祭オープニング・コンサートのチケットは取れなかったが、私的には
非常に興味を惹かれる演目であるカルダーラのオラトリオ・コンサートを聴きに行った。

c0188818_19161420.jpgA. Caldara: Oratorio San Giovanni Nepomuceno
@TivoliVredenburg Utrecht
2014年9月1日

Collegium 1704
Václav Luks - Conductor

Hana Blažíková - Regina, soprano
Alena Helerová - Angel, sorano
Sophie Harmsen - San Giovanni Nepomuceno, mezzosoprano
Václav Čížek - Ministro, tenor
Tomáš Král - Venceslao, bass









例によって、あまり演奏される機会のない曲のため、事前予習なし(ほぼ不可)である。
ストーリーをかいつまむと、ヨハネス・ネポムセヌスという聖職者の殉死がテーマの曲で、
ボヘミア王ウェンセスラウス4世(ヴァクラフ4世)は、王妃ヨハナの懺悔を聴く僧ヨハネス・
ネポムセヌス(サン・ジョヴァンニ)と王妃の仲を疑い、嫉妬が嵩じたあまり人間性を失って、
僧を残虐な手段で拷問した挙句、半死のまま川に投げ捨てさせたが、天使と王の寵臣によって、
僧も王も最後には救われる、という筋書きだ。

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以前と変わらない大ホール

今年からユトレヒト古楽祭のメイン会場は、今年の春にようやく改修工事が終わって新装
リニューアル・オープンとなったフレーデンブルク(新名称はティヴォリ・フレーデンブル
ク)だ。再オープンまで、8,9年かかったのではないかと思う。それで、内部はどうなったか
というと、大ホールにはほとんど全く手が加えられないまま、建物の箱は大きくなって外観
が変わり、建て増し部分に小ホールとポップやロックなどのコンサート向け会場が加わった。
多目的総合ホールになったのだった。

このコンサートも結構人気演目で、1か月半ほど前にチケットを注文した時にはすでにいい
席は残っておらず、ステージ横を上から見る位置の席を選ばざるをえなかった。
ところが開演してみると。会場は満席ではなく、平土間にもかなり沢山空席が目立つのだ。
いったいどういうわけだろう?納得いかない。
この位置では、舞台は真横上から俯瞰するので指揮の様子はよく見えるが、ソロ歌手の声が
人によっては全く届いてこない。
特に、王役のテノール歌手の声が聴こえない。字幕も見辛い位置にあり、ストーリーを知る
ために字幕を追うと歌手は視界から消える。視界に入らずしかも声が届かない歌手の歌を
聴くというのはしんどいものである。
寵臣役のバリトンとサン・ジョヴァンニ役のメゾの声はまあまあ聴こえる。
しかし、一番期待の王妃役ハナちゃんは素晴らしかった。すっとさわやかかつのびやかな
澄んだ声がびんびんとこの位置まで響いてくるのだ。

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ハナちゃん、感動をありがとう!

ハナちゃんの歌唱も声質もいかにも教会系で、バッハのカンタータやオラトリオにうって
つけのストレートな美しさで勝負なのだが、録音ではなぜか彼女の声は妙にキンキン響く
ように聴こえることがしばしばあり、「そうじゃないんだ、彼女の生の声は!」と触れ回り
たくなる。
今回の彼女の歌唱の素晴らしさは群を抜いていて、声には深みと艶と温かさが増し、ピンと
張ったきらめく絹糸のような芯のある美しいアジリタも決まって、びしびしと届く。
レチタティーヴォの発声もきれいで説得力があるので、うっとりと聞きほれてしまう。
無垢でかわいらしい印象だったのが、女王らしい威厳と気高さの表現力もあるのに驚かされた。
そして、無実の罪を着せされた王妃の無念さと、それに負けじと運命を切り開く強さを堂々
たる歌唱に込め、聴く者の心にじんと迫るのであった。

特にトランペット・オブリガートとの掛け合いのアリアでは、彼女の声質とバロック・トラン
ペットの華々しい音質が上手い具合にマッチして、このコンサートの白眉であった。
崇高という言葉はこれを指すためにあるんだな、と思え、目頭が熱くなるほどだった。

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幕間休憩時に、空いていた平土間の席に移動した。
やはり、音響・視覚的に難ありの席に座っていた大多数の人が、上からがら空きに見えた
平土間に移動してきたので、最前列には座れなかったが、2列目右はじの席を確保した。

すると当然ながら、前半では全く冴えなかったテノール他の歌手の声もまっすぐ届くから
よく聴こえて、まるで別の印象になるのだった。
しかし、もっと印象が変わったのはオケの演奏だ。
ステージ上手側上方の席だと、正面からのヴァイオリンの音が妙にぬるりとした感じで、
テンポが遅れ気味で、よく言えば典雅でおしとやかに聴こえるのだったが、平土間から
直に響くオケの音にはもっとびっしりとしたしまりがあった。
このオケには、イタリアのバロック・オケによくあるような、あざとさと紙一重になるほど
効かしすぎたエッジやドライブ感は期待していなかったが、演奏や音にぼやけたところは
なく、かえってノーブルで正統派でいわば育ちのよさを感じさせる好ましいものがある。
ウィーン的、いやプラハ的におっとりとしている。
プラハご当地ものオラトリオだが、カルダーラ作曲のおかげでドラマチック、オペラチッ
クなバロック感覚が炸裂していた。

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後半になるとドラマが意外な展開を見せるため、もう一人のソプラノの天使も登場する。
せっかくいい席に移動したのにハナちゃんの見せ場・聞かせどころが少ないのが少し残念
だったが、やはり間近で聴く彼女の声と歌唱は感動的で、すったもんだのキャンセル劇で
スケールが矮小化してしまった1月のカルダーラの別のコンサートのソプラノ代役として
彼女が出演していれば!と思ってしまったほどだ。それほど実力を見せつけたハナちゃんの
独り舞台だったのだ。
今シーズン、彼女は見逃せない。
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by didoregina | 2014-09-02 13:40 | コンサート | Comments(2)

マルコ・ビーズリーのコンサート@AMUZ とボレケ・フェスティヴァル

アントワープのAMUZをメイン会場として、毎年夏の終わり頃、古楽祭Laus Polyphoniae
が開催される。
今年は、マルコ・ビーズリーの土曜マチネ・コンサートに出かけた。

アントワープに着いたらなにやら別のお祭りのようで、賑わっている。

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フルンプラーツに立つルーベンスの像はビア樽で囲まれている。

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こちらはフローテ・マルクト。ボレケスフェースト(ボレケ・フェスティヴァル)の幟が。

ボレケとは、アントワープの地ビール、デ・コーニンクの愛称だ。通常、大きな半球型の
グラス(オランダ語フラームス弁でボレケ)に注がれたものを飲むから、カフェやバーでは
ボレケと言って注文する。
その週末はボレケ・フェスティヴァルで、町中がボレケ一色である。

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広場ではボレケ一杯が1ユーロ50セント!

大きなフェスティヴァルでは、ビールはプラスチックの味気ないコップでアルコール度数も
抑えめのビールが供されるのが普通だが、ボレケスフェーストでは、ビールはもちろんオー
センティックなボレケ・グラスに注がれる。
ベルギー・ビールはベルギーのカフェで飲めば普段でもめちゃ安だが、祭りの広場では
もっと安かった。
コンサート前、すっかり愉快な気分になってしまった。

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フローテマルクトに立つのは、アントワープのシンボル、ブラーボの像。

こちらでは、ご当地名物の食べ物屋台がいろいろ並んで祭り気分を盛り上げている。
アントワープ・パン屋組合の出しているクッキーの屋台に目が惹かれた。

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型で抜いているのは、、、、、

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手の形のクッキー!

ブラーボの像が今まさに天高く投げようとしている巨人の手は、アントワープ名物で
いろいろなところで見かける。ボレケのグラスにも描かれているし、博物館MASの壁にも
プレートが沢山埋め込まれている。そして、カフェでコーヒーを頼めば、コーヒーのお供に
手の形をしたクッキーが付いてくる。

さて、ソーセージやポテトフライなどでお腹を満たした後、コンサートホールに向かう。

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AMUZというのは、Augustinus Muziekcentrumの略で、アウグスティヌス教会がそのまま
コンサートホールになっていて、HIP古楽コンサートが行われる。

Marco Beasley, Fabio Accurso & Stefano Rocco
La Clessidra @AMUZ 2014年8月23日

Rappresentatione di Anima, et di Corpo ‘recitar cantando’
fragmenten uit Jacopo Peri’s L’Euridice en Monteverdi’s L’Orfeo
de bundel Le Nuove Musiche van Giulio Caccini

マルコ・ビーズリーは、オランダとベルギーではかなりの人気を誇り、今回の古楽祭でも
彼のコンサートは目玉の一つだった。同日の夜の部のコンサートが早々と売り切れになり、
マチネコンサートが追加された。そして、AMUZからのオファーで、先着5名、通常一人28
ユーロの座席のペアシート+フリードリンクが20ユーロ(つまり一人10ユーロ!)というのに
応募したら当たったのだった。

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バロック様式の教会内陣がステージ。内装は白と黒の大理石に金色がアクセント。
いかにもルーベンスの町アントワープらしいゴージャスなバロックで、くらくらしてしまう。

今年の古楽祭のテーマは「若き日のモンテヴェルディを探して」と題されていて、この
コンサートもイタリアの1600年ごろのモノディ様式の歌曲が中心のプログラムだ。
だから、伴奏には通低のリュートが二人。
モンテヴェルディの「オルフェオ」からのアリアや、同時代のカッチーニ作(と言われる)
「アマリリ」など、シリアスな歌の数々をしんみりと聴かせてくれた。

しかし、ビーズリーの歌唱の神髄は、もっと古いイタリア南部の土臭い古謡にある。
プーリア地方のタランテッラやナポリのバロック以前の愛の歌を、両手でカスタネットを鳴ら
しつつ明るく高々と歌うビーズリーを見るのは楽しい。やっぱりこういう歌の方が、彼独特の
甘じょっぱいような、鼻音が美しく響くテノールの声にぴったりで、耳に心地よい。
イタリア南部に降り注ぐ太陽と光る海を連想させる、明るい愛の歌がビーズリーの本領なのだ。

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マルコ・ビーズリーと二人のリュート奏者。


ビーズリーは、ルーベンスの家でもコンサート(というか語り)を行ったらしい。
やはりAMUZからのオファーで、開演前にルーベンスの家の庭で食べるピクニック料理
付きというのがあり心惹かれたが、開演が夜10時半と遅いので帰宅が難しくなるため
諦めた。
AMUZがアップした写真を見ると、ロケーション最高で素晴らしい雰囲気だったろう。
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by didoregina | 2014-08-31 21:09 | コンサート | Comments(2)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
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音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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