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セミ・ステージ形式の『ポッペアの戴冠』@バービカン

この秋一番期待の出し物は、バービカンでの『ポッペアの戴冠』だった。
なぜなら、ネローネ役にサラ・コノリー、オットーネ役にイエスティン・デイヴィスと
いう垂涎もののキャストだからだ。(当初ポッペア役に予定されていたアンナ・カタリナ・
アントナッチは、割と早いうちに降りてしまって、リン・ドーソンが題名役)

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Monteverdi L'incoronazione di Poppea
Semi-staged performance
2014年10月4日@The Barbican

Academy of Ancient Music
Robert Howarth director
Alexander Oliver stage director
Lynne Dawson Poppea
Sarah Connolly Nerone
Sophie Junker Drusilla/Virtu
Daniela Lehner Amore/Damigella
Marina de Liso Ottavia
Matthew Rose Seneca
Iestyn Davies Ottone
Andrew Tortise Arnalta
Vicki St Pierre Nutrice
Elmar Gilbertsson Lucano/2nd Soldier
Gwilym Bowen Valletto/1st Soldier/Highest Familiari
Richard Latham Liberto/Middle Familiari
Charmian Bedford Fortuna
Phillip Tebb Littore/Bass Familiari


モンテヴェルディのこのオペラ自体も好きな作品である。
バロック・オペラ黎明期の作品なので、音楽的には明快でキャッチーなアリアがちりばめ
られ書法もストレートでベーシックかつシンプルながら、ストーリー的には神々および
人間同士の愛憎・愛欲・美徳・哲学・権力欲などが絡み合って複雑なのが魅力である。
その後発展していくバロック・オペラに不可欠な要素は揃っていながら、まだまだアルカ
イック的な稚拙な荒々しさとでも言える香りがなんともたまらない。

実演舞台では、オーディ演出でネローネ役にマレーナ・エルンマン、オットーネ役に
べジュン・メータ、ポッペア役にダニエル・デニースというのと、ネローネ役にフランコ・
ファジョーリ、オットーネ役にデヴィッド・D.Q.リー、ポッペア役にマリア・ベングトソン
という2プロダクションを鑑賞したことがある。いずれも、演出的に凝った舞台で、オケも
かなり増強した編成になっていて、見ごたえ聴きごたえがあった。

今回のバービカンでは、ステージ形式かと思っていたら、なんとセミ・ステージ形式という
ことで、小規模編成のオケの前に、客席に張り出す形で舞台が広げてある。最前列に座った
私の目の前で、演技が繰り広げられるのであった。

神々の争いに人間世界での権力争いと愛欲とが絡み合い、全体のトーンとしては悪徳賛美に
なっているところが、このオペラの画期的な点であり、現代にも通じる普遍性のある所以で
ある。しかも、登場人物の誰もが一筋縄ではいかない、多面性を備えている。
複雑なストーリーのため登場人物が多く、主要人物以外は、何人かの歌手が複数の役を兼ねる。
セミ・ステージなので、私服に毛の生えたような舞台衣装というか、役柄にあった自前の衣装
という感じである。

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歌手では、とにかくご贔屓の二人が演じるネローネとオットーネにひたすら注目つつ、見
聴いた。

サラ様ネローネは、第一幕と第二幕を合わせた前半では、タキシード風のスーツを着崩した
いかにもプレイボーイ的な衣装で、ネローネの権力と愛欲へ固執する性格を表情や態度で
表す素晴らしい演技が冴えていた。堂々たるものである。1メート位先の舞台上だから、ごく
細かい点までよく見えるのだが、彼女の迫真の演技の素晴らしさ!ほぼオールバックに
ぴったりとなでつけてマニッシュな髪型がより男っぽさを醸し出す。
さわやかさの勝った彼女らしい歌唱と声も、ネローネにまさしくぴったりだ。
横たわったり、ポッペアのみならず男友との濡れ場シーンなどをかなりいろいろなポーズを
取らされて歌うのだが、ほとんど非の打ちようがないネローネぶりである。
彼女のズボン役には惚れ惚れするのだが、今回も最高の出来だった。

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大道具などの舞台装置は全くないのだが、照明で各場の雰囲気を変えているのと、オケ後方に
ある階段の段差や客席も用いたりして動きに幅を出し、場所的・音響的にも変化をつけている
演出はなかなかよかった。

オットーネというと気の毒な寝取られ男というイメージなのだが、そういうかわいそうな役に
イエスティン君はこれまたピッタリなのだ。ヒーローとは言いがたいが悪役でもない、アンチ・
ヒーローに彼ほどすんなりとルックス的にも声質的にも合うカンターテナー歌手は少ないかも
しれない。
毎度ながら、彼のコントロールのきいた歌唱には舌を巻くというか、全くどこにも不安を感じ
させない。今まで聴いてきた彼の歌でがっかりしたことは一度もなく、いつでも安心して聴い
ていられるのだ。そのコンスタントさという実力はかなりの強みではないだろうか。
そして、特に近くで見るとよくわかるのだが、細やかな表情での演技も上手い。

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ネローネの黒(前半)と花柄(後半)の衣装との対比も鮮やかな白のリネン・スーツのオットーネ。

高校生という設定だったリナルド役以来、あごひげを剃ったのが、また少しうっすらと伸びて
きている感じ。下はきりっと刈り上げて上に行くにしたがって長いトレンディーな若々しいさ
と躍動感のある髪型もよく似合っている。


題名役のポッペアには、あまり期待していなかったのだが、それでも不満がありすぎた。
清涼感が売り物だったリン・ドーソンの声には、今や張りや潤いが感じられず、高音と
低音の声に滑らかな統一感がないから、聞き苦しいことこの上ない。年のせいで声全般に衰え
が隠せないのはまだしも、歌唱も不安定である。主役の歌にハラハラさせられるというのは、
聴いていて辛い。
ポッペアといえば、悪女中の悪女であり、しかもコケットなかわいらしさも必要な役だ。
ルックスに関しては、もう今更何も言うまい。後半になって、歌唱は持ち直したので、彼女が
出てきても、そちらを見ないようにして聴いていた。

今回、はっとさせられたのは、オッタビア役のマリナ・デ・リソの安定して迫力のある歌唱だ。
オットーネと同じくらい同情を買う役だが、皇后の気位の高さも出さなければならないから、
どうかな、と心配していたのが全くの杞憂に終わるほど、堂々たるもので見直してしまった。
今回の歌手陣の中で、彼女だけイタリア的テンパラメントを感じさせる、熱いものがほとばし
っている歌唱だった。

それ以外の歌手も、皆それぞれ役柄に合って上手で、(題名役を除いて)不満は全くなかった。
ただし、イギリスの歌手とイギリスの器楽演奏家でほぼ揃えたため、よくいえば、清らかで
典雅だが、このオペラ作品の持ち味であるねっとりとした毒のようなもの、あざとさが音楽
から感じ取れなかった。生真面目そのもので遊びの要素がないのだ。その点で、今まで聴いた
『ポッペア』と比較した場合、少々物足りない。
オケの編成もごくごくシンプルなもので、チェンバロ2台とテオルボ2台の通奏低音楽器が
主に活躍するのみで、それもかなり控えめなのだ。それ以外の弦楽器や管楽器になると全く
印象に残っていない。
アルカイックなモンテヴェルディの音楽の土臭さを感じさせるような、躍動感を強調するよう
なリズミックな楽器の使い方がされていなかったためだ。ある意味、古風な演奏なのだった。
今回も、ヨーロッパ大陸とイギリスおよびアメリカの楽団によるバロック演奏の違いをまた
改めて認識させられた。

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by didoregina | 2014-10-10 23:39 | オペラ実演 | Comments(5)

グラインドボーンの『リナルド』2014年リバイバル版

2014年夏のグラインドボーンでのカーセン演出の『リナルド』上演は、2011年の夏フェスティ
ヴァルでの初演と秋のツアーに続いてのリバイバルだ。8月19日の公演を鑑賞した。

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Rinald. Glyndebourne Festival 2014. Photo: Robbie Jack

Conductor Ottavio Dantone
Director Robert Carsen
Revival Director Bruno Ravella
Designer Gideon Davey
Movement Director Philippe Gireaudeau
Lighting Designers Robert Carsen and Peter Van Praet

Rinaldo Iestyn Davies
Goffredo Tim Mead
Eustazio Anthony Roth Costanzo
Almirena Christina Landshamer
Armida Karina Gauvin
Argante Joshua Hopkins
A Christian Magician James Laing

Orchestra of the Age of Enlightenment

今回のキャストにはカウンターテナーが4人も入っているのが大きな特徴で、映像化された
3年前の舞台ではリナルドとゴッフレード役が女声だったのに比べて顕著な変化である。
特に現在イギリスを代表する若手実力ナンバーワンCTのイエスティン・デイヴィスともう
一人ティム・ミード、そしてアメリカ人CTアントニー・ロス・コスタンツォが同じ舞台に
立つから、その競演も見ものの一つだ。

まず、イエスティン・デイヴィスに関していえば、このプロダクションは彼を念頭に置いて
作られたとしか思えないほど、ヴィジュアル的にも適役で、最初から最後まで期待を全く
裏切らない出来だった。

カーセンの演出では設定を現代の寄宿学校として、いじめられっ子高校生のリナルドと
彼が恋い慕う清純なアルミレーナや十字軍総司令官ゴッフレードを含めた男子仲間(キリ
スト教徒)と、邪悪な異教徒である女子生徒からなる悪役組(寄宿学校の女教師・舎監が
魔女アルミーダと魔法使いアルガンテ)との戦争ごっこのような対立図式になっている。
そして、すべてはリナルドが頭に描くマンガチックな空想世界のお話ということにして、
破天荒なストーリーに信憑性・統一性を持たせているアイデアが素晴らしい。
そういう演出だから、童顔できりりとハンサムなイエスティン君はリナルド役にぴったり
なのだ。

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最初は男子生徒からもいじめられるひ弱なリナルド

いじめられて、窮屈な学校生活から空想世界に飛躍する際、リナルドは甲冑を身に着ける。
そうすると、女教師も校長も異教の魔法使いに化すのである。

ヘンデルの『リナルド』では、魔女アルミーダというのがとても重要な役で、彼女役の歌手
いかんで舞台の印象がかなり左右されると思う。
ケルンで実演鑑賞したことがあるプロでは、アルミーダ役はシモーネ・ケルメスだった。
普段のキャラからしてぶっ飛んだ魔女そのもののケルメス姐には、Furie terribili!の最初の
登場から幕が下りるまで観客の目も耳も釘付けで、リナルド役のパトリシア・バードンを
完全に食ってしまい、彼女の独り舞台の趣であった。そのくらい個性的な歌手でないと難しい
役なのだが、今回のカリーナ・ゴーヴァンはちょっとキャラ的に弱いように思えた。

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カーテンコールでのゴーヴァン

ゴーヴァンの歌唱に関しては文句をつける点はほとんど見つからないが、表情を含めた演技が
イマイチなのが残念。ベタなくらい悪役に徹したクサイと思えるほどの大げさな演技でないと、
魔女役としてのキャラが生きてこない。地の性格の善さが裏目に出ている感じだ。
女教師が若くてハンサムでかわいい高校生に横恋慕するという設定なんだから、もっと羽目を
外してほしかった。ヒステリックな年増女の秘めた恋心を歌うしっとりしたアリアAh Crudel!
(ああ、つれない人よ)は、ひたひたと胸に迫りよかった。
彼女の声質では清純なお姫様役も似合うし、バロック系ソプラノにしてはよく響く深みもある
声で声量も十分だから悪役もこなせるはずなのだ。今後の課題といえよう。

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十字軍総司令官ゴッフレード役のティム・ミードはひげ面。

もう一人注目のCT、ティム・ミードは、どうやらその日のコンディションがあまりよく
なかったようで、最初に登場した時の歌唱では声になんだか張りがないように感じられ、
精彩を欠いた。
これに関しては、アルミーダ登場の際のアリアFurie terribiliでも、あれっと感じたので、
舞台後方で歌うという演出でこの二人は損していたともいえる。客席まであまり声が届いて
こないのだった。
(でも、それに対してイエスティン君は舞台のどこで歌っても客席によく響かせられる、声の
プロジェクションが非常にいいのだ)
しかし、後半になるにつれ声に潤いと力強さが出てきたようで、最後のSorge nel petto
(胸に湧き上がる喜び)を、しっとりと聴かせ拍手喝采を得た。

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その日の出来が不本意だったのか、カーテンコールでもあまり晴れ晴れしていない表情のティム。
(この日と翌々日の2公演を鑑賞した方によると、やはりティムはこの日イマイチだったのだが
次の公演では持ち直していい出来だったそうだ)

これらしっとりとしたアリアでは、特に通奏低音が美しくリードする。
今回の古楽オケOAEの指揮はオッタヴィオ・ダントーネで、彼自身がかなり重要な場面で
指揮を執りつつチェンバロを弾くのだったが、オケピットにチェンバロは2台が入り、もう
一台はかなり隅の右手に置かれていたが、2台のチェンバロが絡み合って通低だけの伴奏の
場合でも美しさと奥行きを出していた。
帰りの電車でたまたまその2人目のチェンバロ奏者が隣に座ったので色々おしゃべりできた。
チェンバロは2台とも比較的新しいコピーなのだが(中央の指揮者が弾いたチェンバロには2008
年と銘が入っているのが読めた)、深みのある低音が美しく嫋々としたいい音であると感想を
述べたら、我が意を得たとばかり喜んでくれた。
また、リュート、テオルボやチェロなどの通奏弦楽器の溌剌とした音が、最前列の私の席には
よく響き、バロックらしい気分をかきたててくれ、いかにも楽しそうに演奏するオケのメン
バーを見ているだけでも幸福感に浸れるのだった。
ヴァイオリンも馥郁たる響きと溌剌とした演奏が好ましく、ああやっぱりOAEはいい古楽オケ
だなあ、とうれしくなった。トランペットも、木管楽器も外すことがなく皆べらぼうに上手い。

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アルミレーナ役のクリスティーナ・ランズハマー

アルミレーナ役というのは、このオペラのある意味で要になる重要で難しい役である。
単なるお姫様というのだけでは弱い。
このプロでは、眼鏡と金髪三つ編みのイケてないまじめな女の子で、いじめられっ子同志で
リナルドとは愛情で結ばれている。だから、キス・シーンが非常に多いのだった。
イエスティン君はどうも潔癖症なのか災いするのか、3月に鑑賞した『ロデリンダ』ではキス・
シーンが上手くなかったのだが、今回はかなりこなれていた。
アルミレーナの歌う『わたしを泣かせてください』は、誰でも知っていて口ずさめる名曲で
ある。だから、本当に胸に響いてくる歌唱というのは稀でもある。だから、はっきり言うと、
あんまり期待せずに聴くのがよろしい。
ランズハマーの歌唱は、悪くはなかったが、ここでクライマックスに達するというわけには
いかなかった。発音では「リーーベルタ」ではなくて「リベーーールタ」式だった。

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楽屋廊下で会えたアントニー君の日本で買ったというTシャツがキュート!

もう一人のCTアントニー君は、今回がヨーロッパデビューであるから、期待していた。
どちらかというとピンと張ったような若々しい声であるが、まろやかさに欠けるというか、
それほど好みの声質ではない。しかし、こういう風に個性の異なる若手CTがどんどん出て
来てくれるのは大歓迎である。声質には好き嫌いが顕著に表れるが、音程が不安定だとか
のテクック的に不安要素はないから、彼もいろんな舞台を踏めばもっと成長してどんどん
伸びていくだろう。

こうして見ると、全体的にイエスティン君のコンスタントに安定した歌唱は驚異的だ。
声量はいつもしっかりあるし、最初から最後まで歌唱にも発声にもコントロールが効いて
いる。体力があるのだろうしコンディション管理がしっかりしているのだろう、息切れなど
することもなく、どこにも無理が感じられないから安心して聴いていられる。
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このオペラの一番のクライマックスは、第二幕最後のリナルドのアリアVenti, turbini
(風よ、旋風よ)であることは間違いないのだが、アクロバティックなテクニックを要する
アリアの途中で、カーセンはとんでもない演出を入れたのだ。
十字軍が皆自転車に乗って異教徒との戦いに向かうのだが、リナルドの自転車はなんと、
映画E.T.の場面さながらに、大きな月を背景に宙乗りになって、舞台を横切るのである。
歌いながら宙乗りで自転車をこぐから笑いを取る演出であるが、軽々としてこなさないと
いけないから歌手としてはかなり大変な重労働でもあろう。
あまり装飾にや技巧に凝るタイプの歌手ではなくストレートな歌唱で勝負!というのが
イエスティン君の持ち味であるが、このアリアではアジリタも決めて聴かせてくれた。

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満面の笑みとガッツポーズで、本人も大満足気のカーテンコール!

というわけで、この『リナルド』プロダションは3年たってようやく真に適したリナルド役を
得て完成し、イエスティン君にとって当たり役の舞台となったことを確認したのだった。
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by didoregina | 2014-08-27 23:42 | オペラ実演 | Comments(2)

イエスティン君『リナルド』を鑑賞するためにグラインドボーンへ!

待ちに待ったイエスティン・デイヴィス主演の『リナルド』@グラインドボーンだ。

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3年前のグラインドボーン本家版初演の主演はメゾ・ソプラノだったため、さほど実演鑑賞
したいという気にはならなかったが、そのあとのツアーには、当時最も応援していたカウンター
テナーのクリストフ・デュモーがリナルド役に抜擢されたため、かなり本気で、行くべきか、
と悩んだものである。しかし当時、次男が高校の最終学年の、日本で言えば受験追い込みの
重要な時期であったため、オペラ鑑賞のためイギリス遠征など親として憚られたのであった。
無事に大学に入学した子供たちが親元を離れた今、ようやく大手を振って遠征ができるように
なった。そして、今年の主演は、現在最も贔屓にしているCTのイエスティン君である。3年間
待った甲斐があったというか、まるでわたしのために取っておいてくれたかのようにお誂え向
で、とにかく気合が入ったのも当然である。

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長年憧れていたグラインドボーン、しかも応援している歌手の檜舞台を観に行くからには、
座席ももちろん特等席に座りたい。チケット・ゲット方法を色々研究したが、結果として
上手い具合に最前列中央の席が取れた。一般発売前にテレグラフ紙購読者向け優先発売コード
というのを目ざとく見つけたロンドンの椿姫さんが参戦。すでにグラインドボーン友の会会員
向けには発売された後なのだが、なぜかぽつんと最前列中央の2席が残っていたのである。
しかも、比較的安い。指揮者が邪魔で舞台が見えにくいとか何か裏があるんだろうか。

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グラインドボーンには、ロンドンの椿姫さんと日本からのVさんと3人で電車で出かけた。
グラインドボーン付近の町か村のB&Bに泊まってタクシーで行くという案も当初あったが、
お勧めB&Bが満室だったのと、ロンドンから日帰り可能だから不便な田舎に宿泊するより
かえって楽、という椿姫さんのご意見に従ったのだ。
ヴィクトリア駅発イーストボーンなどイギリス南部の海岸行きの電車をルイスという町で
降りると、グラインドボーン・フェスティヴァル会場行きのシャトルバスが待っていた。
『リナルド』の開演時間は通常より早く午後5時なので、電車は1時47分ヴィクトリア発に
乗るようにとのフェスティヴァルからの指定である。主催者がチャーターしたバスには着物を
着ていたためか、優先的に誘導してくれすぐに乗れた。ダブルデッカーが狭い町の坂道を
上ったりするから、ちょっと怖い。

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バスが駐車場に着くと、そこから広い芝生の庭に直結している。囲いとか門みたいなものは
見えない。そして、皆、それぞれ好きな場所にピクニック道具を広げるのだ。
バスも電車も、皆さまが持ち込んだかさばるピクニック一式で大変な具合だ。
その辺の公園にピクニックに行くのではなく、天下のグラインドボーンであるから、道具も
凝っている。F&Mとかブランドもののレベルの付いた立派なバスケットはマストアイテム。
草地に直接座る人たちもいるが、ロングドレスの人たちはもちろん椅子とテーブル。だから、
テーブルクロスやキャンドルも必要アイテムだ。食器やカトラリー、グラスに至るまで、
プラスチックとか紙製などもってのほか。ブラックタイと釣り合いの取れないような安っぽい
ものが見当たらないのは当然である。

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開演前の1時間半くらいの時間、ピクニックを楽しむのがいい。そのあとの2度目の幕間も
食事やピクニックのため1時間半あるが、外での食事はもう暗くて寒いから楽しめないだろう。
着物で電車に乗って大荷物を運ぶのはみっともないのでピクニックの準備をしてこなかった
私たちは、敷地内を散策して開演前の前座さながらのエンタメとして皆さまの目を楽しませる
ことに専念(?)した。

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しゃなりしゃなりと練り歩きつつも、レストランや楽屋口のチェックは忘れなかった。
食事時間は短いし、最前列中央の席というのは非常に外に出るのに時間がかかるからだ。
どういう手筈でレストランに入るか、バスの時間に遅れないようどういうルートを通って
楽屋口まで行くか、外に出られた早い者から行ってご贔屓が出てきたら待っていてもらう
ように頼むとか、事前準備を怠ってはならない。
楽屋口に近づくと、発声練習するCTらしき声が建物の窓から聞こえてきた。窓の奥に人影が
見えたので椿姫さんが手を振ったら振り返してくれたのは、たぶんアントニー君であろう。

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敷地内にはご当主ご一家が住む。というより、敷地内にオペラハウスを建ててしまったという
方が正しいかもしれない。こちらは、本館マナーハウスに直結したサロンのオルガンルーム。
17世紀オランダ製のパイプオルガンの他、壁にはオランダ黄金時代の絵画が沢山飾られている。

さて、開演時間が近づくが、オペラハウスのホールにはなかなか入れてくれない。至近のドア
の前に立って開場を待つ。待つ人は少なく、皆のんびりしたものである。そしてそこで初めて
チケット・コントロールがある。つまり、そこまでは誰でも入ろうと思えば入れるのだ。
オペラを見ないで、ゴージャスな雰囲気とのどかなカントリーサイドの景色を楽しむだけに
ピクニックすることも可能なのだ。
とにかく、お客は悠揚迫らずのんびりゆったり過ごせる。運営側はそういうリッチな気分に
浸ってもらうための努力を惜しまず、すべてがスムーズに事が運ぶのだった。ドアやトイレの
数も多く、並んだりする必要はどこにもない。お見事、脱帽である。

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会場に入り、最前列中央の席に座ると、すぐ後ろの席にやはり着物をお召しになった若い女性
が。彼女の方から気が付いてくれたのだが、なんと数年前、東京の芸大での『アリオダンテ』
公演鑑賞をブログ仲間とご一緒したあとのオフ会に友人の友人として参加した方なのだった。
なんという奇遇!ヘンデル大好き仲間同志、開演前や幕間に大いに盛り上がったのだった。

オケピットはかなり深めだが、指揮者が立つとどうだろうか。舞台の邪魔になるだろうか。

長くなったので、その先は続き記事にしたい。
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by didoregina | 2014-08-27 16:50 | イエスティン・デイヴィス | Comments(6)

グラインドボーンにはゴージャスな訪問着がぴったり

わたしにとっての聖地であるグラインドボーンには何を着ていくか、は大きな課題だった。
一世一代の夢の晴れ舞台であるから、天候も考慮に入れつつ、気張って選ぶ必要があるのだ。
8月も下旬となると、イギリスは涼しい。ほとんど日本の11月のような気候である。
それで、夏着物はやめて、手持ちでは一番ゴージャスな訪問着と金糸の派手な袋帯という
組み合わせで行くことにした。
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日本では、年齢から言って、こういう派手な着物を着たら顰蹙を買うだろう。
しかし、グラインドボーンではお褒めの嵐・雨あられと称賛の的である。ここでは、
ゴージャスであればあるほど好ましいのだ。
曰く「民族衣装を誇り高くお召しになって素晴らしいこと!」「着飾った人が少ない
のは遺憾の極み」「華やかなお着物で会場に華を添えて下さりありがとう」等々。
わざわざ褒めるために来てくれる人たちや、すれ違いざまに「素敵!」と言ってくれたり
トイレで並べば、皆から感嘆される。
着物選びは大成功だったといえよう。



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ご一緒したロンドンの椿姫さんも、友禅の訪問着でゴージャスに。




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最前列中央席に座ったから、後姿も重要である。
髪飾りと、コサージュも帽子も手作りのカクテルハット。
帯も金糸の袋帯で華やかに。



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敷地は広大で、マナーハウス前から広い芝生の庭が牧草地、池などに続く。

そして、ここでは開演前および幕間での芝生の上でのピクニックが特徴である。

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会場のグラインドボーンには、車で行くか、電車でルイス駅まで行ってシャトルバスに
乗る。ピクニックの荷物もバスケット、クーラーボックス、椅子、テーブル、クロスに
カトラリーと食器まで持ち込むから、電車で行く人はもう大変だ。ロンドンのヴィクトリア
駅でこういう人たちを見かけ、まず度肝を抜かれた。ブラックタイにキャリーバッグや
ピクニック・バスケットという組み合わせの妙。




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芝生の上で、テーブルを組み立てる。テーブル・セッティングといっても文字通り
組み立てるところから始めるから大変だ。



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現地まで持ち込まずとも、椅子もテーブルもピクニックの中身も全部予約できる。
電車で行く場合は、それが無難だろう。でなければ、シートと毛布を芝生の上に敷いたり、
備え付けベンチの上でピクニック。ピクニックテーブルを予約しても好きな場所を選べる。
また、日本のお花見のように混み合ってはいないから、場所取り要員は不要である。
開演前にセッティングしたピクニック道具は、オペラの間中、外に置いたまま。
開演前1時間半と二度目の幕間1時間半にピクニックを楽しむのだ。
しかし、8月後半ともなると、外は寒いのみならず暗くなるのも早い。二度目の幕間に
芝生の上で食事をするのは暗いし寒いし、我慢大会みたいなものだろう。

それで、電車で行った私たちは、迷わずレストランの中での食事を予約した。


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今年、80周年を迎えたグラインドボーン音楽祭は、資産家のジョン・クリスティー氏が
妻のソプラノ歌手、オードリー・ミルドメイのために建てたオペラハウスでの公演が
もともとの始まりである。だから、ミルドメイの名前を冠したレストランで幕間には
食事をしたかった。
今回鑑賞したヘンデルの『リナルド』はバロック・オペラの通例通り、非常に長い。だから開演時間も通常より早く17時。そうしないと、ロンドンへ帰る電車に間に合わないからだ。
しかし、実際1時間ちょっとで3コースの料理を食べ終えられるのだろうか、という危惧は杞憂に終わった。予約したテーブルにはすでに冷たい前菜が置かれ、給仕はてきぱき、食べ終えるのを待つかのように次の料理がサーブされるし、お勘定もすぐに来た。


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敷地内には、イギリスらしい高低差のあるフラワー・ボーダーやガーデンもある。
自分の家にいるかのようにリラックスした態度で散歩できるのがセレブ気分である。




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オルガンルームは、クリスティー家のサロンの趣。

というわけで、開演の1時間45分ほどは顔見世よろしく優雅にそぞろ歩いて、皆さんに
着物を堪能していただいた。








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by didoregina | 2014-08-21 17:24 | 着物 | Comments(8)

来週のグラインドボーンの天候が気になる!

グラインドボーンにオペラを見に行く!と言うと、反応はほとんど判に押したように一様で
「セレブ~」とか「スノッブ!」とか「すごいね」とか、返ってくる言葉はオランダ語でも
日本語でも英語でも似たような語感の単語である。
たしかにグラインドボーンでオペラ鑑賞というのは、ブラックタイというドレスコードや
幕間の芝生上でのピクニックなど、庶民感覚とは隔絶してなんとなくエリート・上流趣味っ
ぽいイメージがある。しかし、チケットの値段は非常にリーズナブルだし、現地に泊まらずに
ロンドンから電車で日帰りで行くのだから、普通の歌劇場へ行くのとは遠征費用的にさほど
変わらない。音楽祭のチケット価格だけ比べても、ザルツブルクやエクサンプロヴァンス、
はたまたバイロイトの方がよっぽど高い。

グラインドボーンは、わたしにとって長年の憧れだった。三年前に観たくて行きたくてたま
らなかった『リナルド』の再演、しかも、今度の主役は今一番贔屓にしている歌手のイエス
ティン・デイヴィスである。このチャンスを逃したら一生行くことはあるまい、と遠征を
決意したのは今年の初め頃だった。
また、ドレスコード的にも、着物でオペラを楽しむというわたしの趣味にドンピシャである。
何を着ていくか、コーデに悩むのも楽しみの一つなのだ。


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夏だから、やはり夏着物で行きたい、と思ってまず考えたのは、上の写真、白の夏大島で
ある。
ここぞというときには、白大島を着たくなるわたしにとって、順当な選択だ。
夏らしくふんわりと薄手で羽のように軽く、しかもシャッキリした肌触りは、まるで羽衣。
エレガントだし、本来の夏の気候であったなら、夏大島はぴったりだろう。

しかし、夏大島をベースにしたコーディネートを決めてから、日々、天気予報を見ている
のだが、どうやら、来週もかなり涼しそうで、降水確率も高い。そうなると、体感温度は
もっともっと低くなる。夏大島の上と下に重ね着するという方向で考えていたのだが、最高
気温が20度を切り、下手すると夜には10度位という予報なので、やせ我慢の限界を超える。

ということで、結局、六月中旬のロンドン遠征に着ようと思っていたが案に反して予想以
上に暑くなったので諦めた、ピンクの地に紫と白の芍薬が描かれた袷の訪問着を今回ようやく
着ることができそうだ。
十代後半にお茶会で着るために誂え、結局着たのは大学の卒業式一回のみだったというその
着物は、今現在手持ちの中で一番派手なものだ。グラインドボーンだからいくらゴージャスに
しすぎても浮くということはないだろうだから、この機会を逃したら今後一生袖を通すこと
はないかもしれない着物も、縁を得て喜んでくれるだろう。

一応、ロンドンには両方の着物とそれぞれのコーデ一式を持って行って、当日の天候次第で
最終的に着る物を決めるつもりである。念には念を入れて、手抜かりのないようにしたい。


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by didoregina | 2014-08-16 23:06 | 着物 | Comments(4)

モネ劇場の『オルフェオとエウリディーチェ』オンライン・ストリーミング

モネ劇場の今季最後の演目だったグルックの『オルフェオとエウリディーチェ』が、
いつものようにモネのサイトからオンライン・ストリーミングで視聴可。(7月29日まで)
http://www.lamonnaie.be/en/mymm/media/2075/Orph%c3%a9e%20et%20Eurydice/

モネ劇場と今年五月のWiener Festwochenとのコープロで、ウィーンでは1762年のウィーン
版(イタリア語)が上演され、オルフェオ役はCTのベジュン・メータが歌った。
モネの方は、1859年のベルリオーズ版(フランス語)で、オルフェオ役はメゾのステファニー・
ドゥストラックだ。

c0188818_20313977.jpg photo © Bernd Uhlig
Orphée et Eurydice
Christoph W. Gluck / Hector Berlioz
Music direction ¦ Hervé Niquet
Staging, set design, lighting & costumes ¦ Romeo Castellucci
Artistic collaboration ¦ Silvia Costa
Dramaturgy ¦ Christian Longchamp
Piersandra Di Matteo
Video / Camera ¦ Vincent Pinckaers
Chorus direction ¦ Martino Faggiani
Youth chorus direction ¦ Benoît Giaux

Orphée ¦ Stéphanie d'Oustrac
Eurydice ¦ Sabine Devieilhe
Els
Amour ¦ Michèle Bréant (18, 20, 22 & 24 June)
Fanny Dupont (17, 25, 27 & 29 June, 01 & 02 July)

Orchestra & chorus ¦ La Monnaie Symphony Orchestra & Chorus
Ombre Joyeuse ¦ Choeur de jeunes de la Monnaie, La Choraline


今年はグルック・イヤーなので、特に『オルフェオとエウリディーチェ』は豊作だ。各地で
上演されているし、TVやオンラインで視聴の機会が多いのはうれしい。
その中でも、カステルッチ演出のこのプロダクションは、わたしの周辺では話題の的だった。

なぜかというと、カステルッチ(そしてモネ)は大胆にも、黄泉の国に行ってしまったエウリ
ディーチェの状況を実際にロックド・イン・シンドロームで寝たきりの患者に置き換え、
その患者(ブリュッセルの場合は、エルス)の映像を舞台に投影しつつ、オペラ・ライブ放送を
その患者に送信するという、一種のインタラクティブ上演方法を採ったからだ。
キャストには、だからエルスの名前も出ているし、ストリーミングをご覧になれば分かる通り、
エルスのためのエルスの物語、という設定になっているのだ。

そのコンセプトがモネのサイトで詳しく発表され、患者本人と家族および医療担当者、
医療倫理審議委員会やロックド・イン・シンドローム患者支援団体等と綿密に打ち合わせ、
関係者すべての了承やサポートを取り付けたということを知ったのだが、見るまでは私にも
友人たちの間にも疑問は残った。
センセーションを煽るような思い付きが出発点ではないのか、本当に家族や患者本人は納得
して出演OKしたのか、様々な方面の利害や思惑が複雑に絡み合って個人のプライヴァシーが
無視されているのではないか、等々である。

5月にウィーン版を鑑賞した友は「打ちのめされて、一週間たっても頭から離れない。とにかく
見るべし」とのメッセージを寄せてくれて、私の興味を限りなく助長したのだった。

モネの舞台は、救急車のサイレンの音とともに始まり、オルフェオ役のドゥストラックが登場。
スクリーン前に設置された椅子に客席を正面に見るよう座る。
おもむろに序曲が始まると、スクリーンにはElsの文字が投影される。ドゥストラックの前に
マイクが立てられ、オーディオ機器の電源が入る。そして、スクリーン上に英語で書かれた
エルスの状況・病状説明および演出コンセプトが簡潔な文章で出てくる。
合唱が始まるが、合唱団は全く舞台上に姿を見せずに声だけの出演。(合唱団のこういう使い
方はモネではよくある)

第一幕は、結局すべて、エルスの物語が語られる文字を追い読むことになり、音楽や歌は
どちらかというとバックグラウンドという趣だ。スクリーン上には、彼女の出生から始まり
生い立ちやダニエルとの結婚までの道のり、家族関係などが淡々と書かれていく。
映像はなく、文字オンリーだ。

一年半前に突然エルスを襲ったロックド・イン・シンドロームというのは、映画『潜水服は
蝶の夢を見る』でも知られているように、脳幹障害のため全身の筋肉が麻痺し、患者は覚醒
していて意識やすべての感覚は正常なのに、眼球および瞼しか動かせないという状態だ。
だから、Yes, Noを瞬きで表すこととアルファベット表を用いることでコミュニケーションは
可能である。
カステルッチの演出では、そういう患者の状況がエウリディーチェに近いことが示唆される。

第一幕では、思いつめたような表情のオルフェオが、誠心誠意を込めてエウリディーチェ=
エルスに語り掛けるがごとく歌う。
少年の姿の愛の神アモールがオルフェオに同情し、あの世に行ってしまったエウリディーチェ
に会わせ、連れ帰ることができるよう仕組む。しかし、こちらに戻るまでは彼女を見てはいけ
ないという禁忌を課して。アモールの歌は、説き聞かせるがごとくで、理性を強調したような
態度だ。
だから、オルフェオの感情も高揚するまでには至らず、第一幕最後のブラヴーラ・アリアも
歓喜の高まりとは程遠い、ごくごく抑えた表現なのだった。

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そのまま続く第二幕は、車や徒歩でのエルスのいるリハビリ病院へのダニエル=オルフェオの
道のりが、ぼやけた映像でスクリーンに投影される。
黄泉の国の亡者達をなだめるためのハープの音楽やそれに合わせて歌うオルフェオもとても
シリアスで、しかしここにきてようやく悲嘆の感情を抑えずに心情を吐露する。
エルスの夫ダニエルは、毎日140キロ離れたエルスの病院へ通っているのだ。

草地や牧草地や木々の映像に「精霊の踊り」やフルート演奏がかぶり、楽園の合唱。
悲しみのない天国、という合唱にドゥストラック(オルフェオ)は少しだけ笑みを見せる。
ベルギーらしい北方ルネッサンスの館であるリハビリ病院の内部には、病棟や科や医師の
名前の表示が見える。
ここで椅子からようやく立ちあがったドゥストラックは、エウリディーチェとの再会への
期待に胸がいっぱいになり感極まったかのような歓喜の表情を見せる。
「なんと澄んだ空」と。
フォーカスをぼかしたままのカメラは廊下を突き進み、エルスの横たわる病室に入る。
「望みは叶えられた!」

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病室のエルスが投影されたスクリーンの後ろにエウリディーチェ役の歌手が立っている。
手を伸ばし合うオルフェオとエウリディーチェ。しかし、手は届かず、視線を交わすことも
禁じられたままだ。
「一刻も早くここから逃げよう」と言うオルフェオに「なんて冷たい態度なの。一目私を
見て」とかき口説くエウリディーチェ。

スクリーン上には、病室の壁に貼られた絵や写真が映され、9時8分を示す時計も。ライブで
エルスに音楽を送信しているという設定だからだ。
見かけはあくまでもドキュメンタリー風だが、これはオペラ・プロダクションなのだから
物語でありフィクションである。
しかし、現実との違いは曖昧なまま残されている、という手法だ。

オルフェオのジレンマと、二人の気持ちのすれ違いが、エルスとダニエルの境遇に重なり、
哀れを誘う。
スクリーン上のエルスはピントが合った大写しになる。瞼や眼球や物言いたげに口元が動いて
いる。
エウリディーチェのなじる言葉を無視できずに振り返るオルフェオと、消えていくエウリディ
ーチェ。そこで舞台は暗転し、暗闇の中でドゥストラックは「エウリディーチェを失って」
を歌う。オルフェオの後悔と塗炭の苦しみ。このオペラのハイライトである。

電灯を持ったアモールが現れて、沈むオルフェを慰め、愛の力でエウリディーチェは生き
返った、と伝える。
池の水から新生!という感じでエウリディーチェが出てくるのだが、オルフェオに手を差し
伸べつつも、月明かりの森を背景にニンフのように全裸のエウリディーチェはまた池に沈ん
でいくのだった。
オルフェオはずっと正面を向いたままである。
合唱団は歓喜と祝福の歌を歌うが、病室のエルスに変化はなく、オルフェオは立ち尽くした
まま目をかっと見開き、また閉じる。
音楽が終わり、ヘッドフォンを外されるエルスと、ダニエルらしき人の手。
目元と口元は動いているが、静寂のままエンド。
遠ざかる病室。そして幕。
拍手はなく、クレジット・タイトルのみがスクリーンに流れる。

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音楽の力・治癒作用を期待しての、実際の患者起用という側面もあったのだが、ライブで
この音楽を聴いていたエルスに奇跡は起らなかった。

エルスとダニエルのラブ・ストーリーとなっていて、限りなくノン・フィクションに近い
この『オルフェオとエウリディーチェ』プロダクションは、観る者を声を発することも
できないほど深い思いに沈ませる。冷酷な現実に打ちのめされて、哀しみを共有するのみ。
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by didoregina | 2014-07-14 15:31 | オペラ映像 | Comments(14)

プッチーニの『マノン・レスコー』初日@ROH

昼間はロイヤル・アスコット競馬のオープニング・デイを楽しみ、夕方からは、
ロイヤル・オペラ・ハウスでプッチーニの『マノン・レスコー』初日を観賞。
A day at the races とA Night at the Opera を一日に詰め込んだという
クイーンもかくやと思われる贅沢さである。

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2014年6月17日@ROHコヴェントガーデン

Conductor Antonio Pappano
Orchestra Orchestra of the Royal Opera House
Director Jonathan Kent
Designs Paul Brown
Lighting design Mark Henderson
Choreographer Denni Sayers

Manon Lescaut Kristīne Opolais
Lescaut Christopher Maltman
Chevalier des Grieux Jonas Kaufmann
Geronte de Ravoir Maurizio Muraro
Edmondo Benjamin Hulett
Dancing Master Robert Burt
Singer Nadezhda Karyazina Lamplighter Luis Gomes Naval
Captain Jeremy White
Sergeant Jihoon Kim
Innkeeper Nigel Cliffe
Chorus Royal Opera Chorus

なんと、このオペラ、ROHでかかるのは30年ぶりで、新演出はジョナサン・ケントの手
になる。
出演歌手陣も豪華で、マノンにクリスティーヌ・オポライス、騎士デグリューにヨナス・
カウフマン、兄レスコーにクリストファー・マルトマンときた!
わたしにとっての初生カウフマンである。期待はいやましに盛り上がる。

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ドレス・リハーサルをご覧になった方からのまた聞きによると、時代設定は現代で、衣装・
デコールは「アナ・ニコール」風にチープでポップであるとのこと。
そして、舞台セットは2階構造で、階上での場面が多く、座席によっては非常に見ずらいと
いうことも聞いていた。

なるほど、第一幕、旅籠のシーンは安っぽいカジノとダイナースみたいだし、実際に
本物の車が舞台に上がったり、ハリウッド映画のようなリアリスティックな舞台装置や
衣装で、現代アメリカの拝金主義と消費社会という空虚なイメージが醸し出されている。

自らの美貌に自信のあるマノンは、都会での華やかな生活に目を瞠り、憧れを隠そうと
しない田舎娘だから、好色漢の格好の餌食である。
そして、騎士デグリューやエドモントは、いかにもアメリカ映画に出てきそうな学生だ。
デグリューは最初から最後まで白シャツに黒のぴっちりパンツ姿で、若々しさとナイーブ
さが強調されている。

カウフマンを生で聴くことが、今回の第一の目的であった。
その望みは、舞台至近のオケボックスの指揮者を真横から見る位置のサークル・ストール
席のおかげで、歌手の直接の声を聴くことができて叶った。
生の彼の歌声にはテノールらしからぬようなはっきりとした暗さがあるのが特徴で、それが
独特の魅力となっている。だから、テノールにはほとんど興味を覚えないわたしにもアピー
ルするものがある。明るい能天気さとは正反対のダークな陰影が魅力となっている。
今一番脂がのっていて最盛期かもしれない彼の歌唱には大満足した。

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実は、昨年モネ劇場で観賞した『マノン・レスコー』もほぼ同じく、オケの真横で舞台を
横から見る位置だったので、今回も一つ心配事があった。
舞台が見切れるのは仕方がない。それよりも、オーケストラの直の音が響きすぎて歌手の
声が座席にはよく届かず隔靴掻痒感が残るのではないかと。
しかし、その心配は不要であった。
パッパーノの元気いっぱい歌うような指揮から引き出されるオケの響きは、壮快であっても
爆音にはならなかった。そして、歌手の声も皆よく聴こえたのである。
主役のウェストブルックの歌声しか聴こえてこず、他の歌手は全く印象に残らなかった昨年
のモネとはえらい違いである。

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オポライスには、実はびっくり。
こんなに美人で若々しくプロポーション抜群だったのかと。そして、歌も悪くない。
どうしてもウェストブルックのマノン・レスコーと比較してしまうのだが、オポライスの
重さがあまりなく、ドスもほどほどに軽みさえ感じられる声がこの役にはぴったりだ。
特に第二幕でのアナ・ニコールばりのゴールド・ディガーぶりが、いかにも現代のマノン
らしく、オポライスは役になりきりだった。無邪気で馬鹿だけど憎めないかわいい女を演じ
歌い絶好調だった。
ただ、プッチーニのこの音楽には世紀末感とともに当時ではかなり新鮮なジャジーな
アンニュイが漂うはずなのに、オポライスの声質が少々あっさりしすぎて倦怠感や退廃の
色が足りなく感じられたのだけが残念だ。かわいらしさを前面に出しすぎていたためか、
パッパーノがその辺はあっさりと通り抜けてしまったためか。

兄レスコー役のマルトマンも、ジェロンテ役も、エドモンド役も警察官役も皆、舌を
巻くほどうまく、主役や準主役の誰か一人だけ突出してしまってほかの歌手が霞んでしまう
ということがなく、バランスよくまとまっているのだった。

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演出に関しては、カーテンコールでブーイングが出たが、わたしは非常に気に入った。
とにかく視覚的にわかりやすく、無意味にごちゃごちゃしたシーンや無駄もなく、センス
よく整理されているのだ。見ための軽いポップさが受けなかったのか、それとも舞台セット
がブーだったのかもしれない。しかし、新演出としては近年まれに見るほどのストレートさ
で勝負しているのがすがすがしいほどだ。
ファム・ファタールにはなれなかったが男を惹き付ける小悪魔のようなマノンという女の
愚かさと落ちぶれていく様が、現代社会を背景に浮き彫りにされて、ハリウッド映画の
ようなクリアさであっけらかんと見せる。何も考えずとも楽しめる。万人向けオペラ・
プロダクションとしてとてもうまく出来ているのである。
この点でも、昨年のモネのプロダクションとは正反対である。大陸と英米でのオペラの
違いがよくわかる。
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by didoregina | 2014-06-25 19:15 | オペラ実演 | Comments(10)

イエスティン・デイヴィスのインタラクティブ・インタビュー

イエスティン・デイヴィス・ファンの皆様、先日の『ロデリンダ』ラジオ放送はお聴きいただけましたか。
お聴きになった皆様の忌憚のないご意見・ご感想をお待ちしております。

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ラジオ収録のあった8日に実演鑑賞した人から、2日にわたしが鑑賞した感想とほとんど正反対の
ご意見を伺い、歌手の声というのはナマモノ、日によってコンディションも相当異なるんだな、と
思ったことでした。
『ロデリンダ』は今晩、千秋楽を迎えます。一回しか実演鑑賞できなかったのが心残りですが、
8月にグラインドボーンで『リナルド』にイエスティン君が主演するのを心待ちにしています。

昨日イエスティン君は、デジタルシアターというDVDなどの有料視聴サイトと提携して、パーセルの
『ダイドーとエネアス』がそのサイトで視聴できることになったことを記念しての(?)、インタラクティブ・
インタビューを行いました(インタビュー視聴は無料)。
ツイッターであすくイエスティンというハッシュタグ付きの質問をすると、デジタルシアター経由でイエス
ティン君が質問に応答してくれるというもので、彼にとっても初の試みです。

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このDVDになっている『ダイドー』は5年前にROHで上演されたものです。サラ様がダイドー役であり、
そのために初めてのロンドン・オペラ遠征をしました。そして、わたしが実演鑑賞した日にカメラが
入って映像の収録が行われたのです。
その『ダイドー』にイエスティン君も精霊役で出演していたことは、昨年11月に彼に会うまで知りません
でした。舞台に姿を現さない、声だけの出演だったからです。

パーセルの『ダイドー』はもともと好きなオペラだし、このプロダクションには上記のような縁もあるし、
わたしもダイドーを名乗る女の端くれ、手を出すまいと思っていたツイッターですが、イエスティン君の
インタビューに参加するため、アカウントを急きょ作って質問を二件ツイートしました。
幸運にもブログのハンドル名であるdidoregina(女王ディドという意味のラテン語)は、まだツイッター
では誰も使っていないためその名前で登録できました。

インタビューの生放送はCET午後2時だったため視聴できませんでしたが、Youtubeにアップ
されたので、その日の夕方に見ることができました。




インタビューは、やはり『ダイドー』に関することがメインになっているので、わたしのした質問に
応える内容で始まって、しかもかなりそれに時間が割かれていました。作戦勝ちです!
それは「精霊役でこの『ダイドーに』出演していたけど、声だけで姿は見えませんでした。でも、
カーテンコールでは舞台に出てきたのかしら?」というもので、彼がいろいろ話した後でインタビュ
アーが、質問をしたわたしの名前を出しています。

そして、わたしの第二の質問は「パーセルの『アテネのティモン』録音に、ボーイソプラノのキュー
ピッド役でとても若い時に参加してますが、それが初めての録音ですか?」というもので、パーセルに
こだわった内容にしてみました。
これにも面白い逸話を交えて答えてくれました。

普段着で自宅からPC経由で答えるインタビューでの彼はリラックスした雰囲気で、一つの質問に
対して10倍以上の密度と長さで答えるのがいかにも彼らしく、おしゃべり好きという性格とファンに
接する真摯な態度が窺えます。
30分近くあるため内容も濃く、ファンにとってはお宝のインタビュー動画といえましょう。
(ライブ・インタビューの途中でイエスティン君が画面から消えてしまうというアクシデントは、やらせ
かしら。。。)
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by didoregina | 2014-03-15 11:59 | イエスティン・デイヴィス | Comments(2)

雨模様のロンドンでも着物でオペラ鑑賞

充実のロンドン遠征から戻ってそろそろ1週間になる。
行く前から大騒ぎで選んだ着物とコーデだが、雨という天気予報のため遠征直前に変更した。

3月2日のENOでの『ロデリンダ』鑑賞に着用した着物。

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訪問着に富士山を印象派風に織り出した綴れ袋帯という当初のコーデだと、まるで結婚式に
出席するような大げさな雰囲気になる。マチネ公演には似つかわしくないのではないかと
思い、雨にも比較的強い大島に変更。大好きなので個人的に思い入れがあり気合を入れた
場面に着用を限っている白大島にした。
前回着たのは、4年前のロンドン遠征でのサラ・コノリー主演の『ダイドー』鑑賞の時である。
去年イエスティン君に会うまで知らなかったのだが、DVDにもなっているROHの『ダイドー』
には、なんと彼も精霊役で声だけの出演をしていたから、この着物には縁もあるのである。
帯は、同色のトーンの相良刺繍の袋帯。白っぽい着物に白っぽい帯という組み合わせが好き。

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      ロンドン滞在中にもお世話になった、ロンドンの椿姫さんご自宅お庭で。


翌日は、ROHで『連隊の娘』を鑑賞。着物とコーデは当初の予定からほぼ変更なし。

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            パステルっぽいブルーグリーンに花びらの散る小紋に
             正倉院風の向かい鳥柄の袋帯。やはり同色系のコーデ。


しかし、思わぬ番狂わせはその晩にあった。
オペラ鑑賞前に、イタリア料理店でPrimroseさんと椿姫さんとディナーをご一緒する約束をした
のは、かれこれ3か月も前である。
アラーニャが通っていたというレストランだから、アラーニャに会えたらいいわね、と言いながら。

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レストランのオーナーがそっと耳打ちしてくれたのは 終演後、フローレスがここに来るから、
あなたたちもまたいらっしゃいという、信じられない内容であった。
お得意客であるPrimroseさんと椿姫さんのおかげである。


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                着物姿だと歌手も喜んでツーショットしてくれる。
                なんと、彼もアシスタントに頼んで自分のスマホで
                着物スリーショットを撮らせていた!


『連隊の娘』といえば、ドゥセがマリー役で、フローレスがトーニオ役のローラン・ペリ演出ROH
プロダクションが私の中でデフォルト化している。
その晩、初めて生で聴いたフローレスのコンディションは盤石で、揺るぎのない素晴らしい歌唱を
披露してくれた。
その彼と主要出演者たちが、初日の打ち上げを終えて、深夜近くになってレストランに現れた。
しかもフローレスはご機嫌で、歌を歌いながら入ってきたのだった。
遅くまで粘って待っていた甲斐があった。
信じられないほどラッキーな遭遇続きのロンドン遠征であった。
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by didoregina | 2014-03-11 14:23 | 着物 | Comments(8)

『ロデリンダ』のカーテンコールと出待ち写真

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                               Courtesy of Tsubakihime (Peraperaopera)

イエスティン・デイヴィス・ファンの皆様、昨晩BBC3よりラジオ生放送されたENO公演
『ロデリンダ』はお聴きになりましたでしょうか?
まだの方は、下のリンクからあと6日間オンデマンドで聴くことができますから、ぜひ!
http://www.bbc.co.uk/programmes/b03x160z

ENO公演『ロデリンダ』でのイエスティン・デイヴィスのカーテンコール写真と楽屋出口で
撮った写真をアップします。
平土間2列目正面席だったにもかからわず、私の撮ったカーテンコール写真は、ぶれたり
タイミングが悪かったりして碌なのがないため、ご一緒したロンドンの椿姫さまの撮った
写真を何枚か譲っていただきました。全て3月2日に撮影されたものです。

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イギリスの各紙でも『ロデリンダ』公演、特にイエスティン君は絶賛されています。

中でも、オブザーバー紙のフィオナ・マドックス女史の評には、私自身かなり共感する部分が
多いので、リンクを張ります。ご一読ください。http://www.theguardian.com/music/2014/mar/09/rodelinda-eno-jones-curnyn-review?commentpage=1

その中から、イエスティン君のパフォーマンスに関する部分を抜粋します。

”Yet no single organisation has brought the composer's operas back to life more assiduously or persuasively than ENO, whose radical reinvention began with Nicholas Hytner's Xerxes in 1988. Jones and Curnyn, like others since, have continued that tradition. It helps when a production has a big star. The night belonged to Iestyn Davies. An ex-chorister of St John's College, Cambridge, Davies has suddenly accelerated from "promising British countertenor" to world-class artist. He can sing, whether full blast or hushed pianissimo, with a strength, steadiness of tone and musical confidence almost unknown in a voice type which has tended – shout me down – to prefer ethereal frailty as a calling card. He also has an understated sense of comic timing.”
(Fiona Maddocks, The Observer, Sunday 9 March 2014)


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              出演歌手では一番最初に楽屋口から出てきたイエスティン君。
              速攻で鬘と化粧を落として着替て出てくる早業に驚きましたが、
              それよりも先に来て待っていた私達に、彼の方もびっくりの様子。



"The supreme star of the show is Rodelinda, sung with ravishing tone and great intensity by Rebecca Evans; but Iestyn Davies as Bertarido is magnificent, too, and his acting is as concentrated as his singing."
(Michael Tanner, The Spectator, 8 March 2014)

上に抜粋を載せた、スペクテイター紙の『ロデリンダ』評、リンクはこちらです。http://www.spectator.co.uk/arts/opera/9152011/the-musical-side-of-rodelinda-was-close-to-perfect/


また、BBC Music Magagineのウェブサイト、クラシカル・ミュージック・ドットコムのヘレン・ウォレス
女史による評にも同感、おもわず頷く部分が多いので、リンクを張ります。
http://www.classical-music.com/blog/handels-rodelinda-eno

"Iestyn Davies stole the show with aria after aria of heavenly purity and ardour."

"At other times it works hand-in-glove, building up a terrific tension during Bertarido’s aria at the end of Act I, when he believes Rodelinda has betrayed him, as she and Grimoaldo whirl through the rooms in an intensely sexy tango (what a relief to find real choreography and singers who could compete in Strictly), or in the mercurial, chromatic aria in Act III as Grimoaldo dashes impotently about searching for the right weapon, furiously whipped up by Curnyn. Most memorable of all is the heart-stopping ‘Io t’abbraccio’ at the end of Act II, when Davies and Evans voices come together at last (a fabulous match) just as they are ruthlessly separated, each singing to the other as the rooms they stand in are dragged physically further and further apart. A witty production with a dark heart; don’t miss it."
(Helen Wallace, Classical-music.com, 4th March 2014)

長いこと待ち望んでいた『ロデリンダ』実演鑑賞にどきどきでしたが、イエスティン君の素晴らしい
歌唱と演技、楽しめるプロダクションに大満足。そして出待ちも上手くいき、最高のロンドン遠征
となりました。

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by didoregina | 2014-03-09 21:49 | イエスティン・デイヴィス | Comments(10)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

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プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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