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ザルツブルク音楽祭の着物 

夏の音楽祭で纏った着物シリーズ、第二弾。
華やかに着飾った人達が集まる夏の音楽祭には何を着ていくか、これは重大テーマだ。
今年は、ザルツブルク音楽祭にデビューした。贔屓CT歌手のイエスティン・デイヴィスと
彼の檜舞台を鑑賞するために遠征した私のダブル・デビューである。

普段のオペラ鑑賞でも、特に贔屓のためのイギリス遠征では、着物選びには手間暇かける。
それが、夏の音楽祭ともなると別格である。イブニングドレス率がグンと高い場所では、
日本女性はやはり着物で勝負に臨むのがよろしい。イブニングドレスの華やかさに負けて
はならじ。
というわけで、選んだのはこの訪問着。

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毎回、遠征が近づくと、FBやツイッターに候補として選んだ着物と帯のコーディネート
写真を何枚かアップして、皆様のご意見を伺うというのが常である。
FB友には外国人が多い。彼らの意見・感想は、日本人が着物に対して持つ常識から離れ、
知識や偏見に囚われていないため、なかなかに面白い。
例えば、日本で着物で歌舞伎鑑賞に行く場合、季節や演目や贔屓に因んだ柄などを選ぶ。
それが外国でオペラ鑑賞の場合であると、そのオペラの初演(18世紀)にプリマ・ドンナ
歌手が着た衣装の色であるとか、遠征先の風景にマッチする色柄、会場の雰囲気などを
基準に彼らは選ぶのである。

今回は、3つの異なる着物とコーデの写真をSNS上にアップし、皆様のご教示を仰いだの
だが、意見百出で、私も悩んでしまった。

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まず、真夏であるから、薄手の夏物の白大島という線で行こうと思った。
抹茶色の帯は、ブログ友のVさんから昨年譲っていただいたもので、上品な唐草の織柄が
着物の模様とぴったり。某T村製で、丁度、宮尾登美子の『錦』を読み終わったばかりな
ので縁を感じた。
ところが、今年のザルツブルクはさほど暑くないようで、夜になると冷えそうだ。
遠征準備中、オランダは冷夏で、透けるような夏物を着ようという気にはなれない。

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もう一枚、候補に挙げた袷の訪問着は、薄いグリーンの地に茶の濃淡で森林や山の景色を
ロウケツで描いた、いかにもザルツブルクの風景にマッチしそうな柄行である。ここで
着なかったら、一体いつ着る機会があるだろうか、と思い、これに傾きかけた。

そこへ、イエスティン君からの鶴の一声。「一番上の着物が、舞台セットにぴったり合う
よ」とのこと。
(実はそれより以前に、ザルツブルクとバイロイトには、LCCの荷物重量制限もあること
だし、ロングドレスにしようと思って準備していたのだが、ツイッターで、ザルツブルク
には洋装と着物のどちらがいいかしら、とつぶやいたところ、彼から「着物!」とのリプ
をもらったため、急きょ、着物にすることになったといういわくつき。贔屓の言葉は何よ
り重い。)

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というわけで、決まったのは、桜花の織地紋の白地に銀灰色で撒糊を散らし、黒・金・銀
で木賊を絵羽模様に描いた、すっきりと洋風なデザインと色の着物。
これは、1年以上前、イエスティン君がザルツブルク音楽祭の『皆殺しの天使』に出演す
ると決まった時、この着物で行こう!と選んでおいたものだから、以心伝心というのか、
好みが合うというべきか。舞台セットと衣装はイエスティン君曰く、60年代のブルジョワ
の集いをイメージしたものだから、この着物のレトロな雰囲気がベスト・マッチとのこと。

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千秋楽が終わってほっと寛いだ表情のイエスティン君、グリーンの着物のロンドンの
椿姫さんと。
このあと、出演者と作曲家・指揮者も含む打ち上げ飲み会に参加。イエスティン君と
婚約者とその友達のテーブルで夜更けまでオーストリア・ワインを飲みながら、新作
オペラと遠征の大成功を祝ったのだった。
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by didoregina | 2016-08-25 19:49 | 着物 | Comments(4)

グラインドボーンでの着物、キーワードは華やかさ

セイリング日記が続いたので、閑話休題。
昨年のグラインドボーンでの着物の写真をブログにアップしていなかった。
丁度約1年前だし、思い出に残すため、また、ヨーロッパの夏の音楽祭での着物推進派
としては、皆様のご参考になればと思い、今更ながらだがご覧いただきたい。

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グラインドボーンのご当主クリスティー家のサロン、オルガン・ルームにて。

遠征の着物選びにはいつも大騒ぎで、気温や降雨予想とにらめっこしつつ、夏物と袷の
何種類かを用意して、最終的には直前に決める。
イングランドの8月の夜ともなるとぐっと涼しくなり、グラインドボーンでは結局2年
連続、夏物ではなく袷の訪問着になった。

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淡い朱鷺色とクリーム色の中間の地色に、金で輪郭を描いたパステルカラーの遠山模様。
同行のロンドンの椿姫さんと、あれこれ事前打ち合わせするのも楽しい。
色柄とも二人で統一感があるコーデになったと思う。

夏の音楽祭、特にドレスコードがロングやタキシードの場合の着物選びのキーワードは、
華やかさ。
開演前や幕間には外の芝生の上をそぞろ歩くから、グリーンに映える色柄選びも重要。

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私のテーマは、山。だから、帯は綴れ織りで富士山を印象画風に織り出したもの。
帯は椿姫さんのもそうだが、金糸が入って暗い会場内で光彩を放つものがいい。

富士山の柄を選んだのは、『サウル』にダビデ役で出演の贔屓歌手イエスティン・
デイヴィスへのご祝儀のつもりである。
彼はその年の春、婚約を発表した。そのお祝いに、伏せると富士山の形になる
お猪口の夫婦セットをプレゼントした。そして、この帯にもお祝いの意味を込めた。
婚約者の方にもそれが分かってくれたようでうれしかった。

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イエスティン君と、帰りのシャトルバスの中で。
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by didoregina | 2016-08-24 19:19 | 着物 | Comments(2)

Sailing to Venice その3 アドリア海からヴェネツィアに

クロアチアのウマグからヴェネツィアに渡ったのは、プーナットのマリーナ出発から
5日目の木曜日だった。予定通り、7時半に出航。
ウマグから西に向かってアドリア海を横断する航路で、広い海に出ると特に難所はない。
途中、トリエステに向かう商業船航路であるシッピングレインを直角に超えなくてはなら
ない程度。
この日もほとんど1日中凪いでいて、海には波もなく、表面はとろりとして油のような
滑らかさ。ヴェネツィアまでの約50海里のほぼ全航程を機走。距離を稼がないといけない
航程では、風力が少ないとエンジンを使って航行ざるをえないのが残念である。

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午後2時半頃、ヴェネツィアのラグーナに入る。浅瀬が多いため、点々と杭が立っていて
掘り下げた水路を案内してくれるわけだが、やはりナヴィの機械表示に頼る。
遠くからぼうっと霞むヴェネツィアの島々が近づいてくると、長年の憧れがついに実現
することの嬉しさと緊張が刻々と高まる。


予約したマリーナは、本島とリド島の中間に位置するチェルトーザ島にあるのだが、まず
ヨットでどこまで町の中心まで行けるのか試すため、サン・マルコに舳先を進めてみた。
するとなんと、サン・ジョルジョ・マッジョーレ島を越えて、ジュデッカ島を左に見て、
ほとんどサン・マルコ広場正面までヨットで進入できた。

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観光船や水上バス、モーターボートが行きかうが、ここまで来るヨットは珍しいらしく、
私たちは他の舩に乗った観光客達の格好の被写体で、皆、手を振ってくれる。
我らも、ヨットの上からサン・マルコの写真を撮りまくる。

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サン・マルコのほぼ正面まで来た。その先の大運河は狭くて、水上バスやゴンドラ、モー
ターボートで身動きとるのも大変そう。ここで引き返す。

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チェルトーザ島まで戻り、予約していたマリーナに無線で知らせると、北からそれとも
南からのアプローチですか?と訊かれる。南からと答えると、マリーナ入口までクルーが
ゴムボートで迎えに来てくれた。そこから細長い川のような浅瀬を奥深く進み、ほとんど
最奥の浮橋に案内してくれた。水上バスが発着する島の入り口から歩いて10分近くかかり
そうだ。

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ヨットの近くにはいつもヤギが4匹。ヤギのいるマリーナというのも珍しい。

このチェルトーザ島にはマリーナの他、小さな造船所とレストラン付きホテル一軒以外は
なさそうで、島の大半は公園になっている。
とても静かで、まるでどこか孤島のキャンプ場といった趣。
マリーナに舫っている舩も大半は地元民のレジャー用と思しく、外国からわざわざ来て
係留したりする人は極く少なく、まず、観光客がほとんどいない。人の溢れる喧騒のヴェ
ネツィアからこの島のマリーナに戻ると家に帰ったようにほっとする。しかし、すぐ向か
いはヴェネツィア本島というこの立地。都会からすぐの田舎。すっかり気に行ってしまった。

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マリーナから眺めたヴェネツィアの夕景。
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by didoregina | 2016-08-23 17:11 | セイリング | Comments(2)

Sailing to Venice その2 ロヴィニ、ウマグを経て海路国境超え

チャーターしたヨットの持ち主登録および航行範囲ライセンス問題に関しては、プーナット
で「イタリアへ行っても大丈夫なように書類は揃ってますよね」と再確認し、「ヴェネツィ
アでもどこでも大丈夫」と太鼓判を押されたので、大船に乗った気分でいた。

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火曜日朝にプーラを出発し、イストリア半島を北上。
アドリア海を横断してヴェネツイアへ渡るのに距離的に最短の港ウマグを目指す。ここの
マリーナも水曜日の停泊を予約確保した。木曜日にはヴェネツィアに着かないといけない
からだ。(なぜかというと、同乗の甥と姪は金曜日のフライトでヴェネツィアからオラン
ダに戻る必要があった。土曜日からシドニーに飛ぶ予定なので.。)

そこまでのイストリア半島では、ロヴィニ、ボレチ、フンタナ、ブルサルなど、ヴェネ
ツィアの影響の濃いイタリア風の綺麗な町がいくつかある。その区間は特に予定を立てず、
泊まる港はその日の風次第という気軽さがあった。
プーラを出て、チトー元大統領の島々を横目に見ながら進む。ロヴィニ手前の小さな島に
錨を下してランチと海水浴を楽しんだ。さて、午後はどこまで行こうか、と思いつつ、
この海域は初めてのゲストに、美しいロヴィニの姿を海上からでも見てもらおうとアプ
ローチ。

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ロヴィニの美しさに思わずウワオと歓声が漏れ、通り過ぎるのがもったいなくなった。
手前のマリーナに急遽無線で「今晩1晩停泊したいのですが、スペースはありますか」
と尋ねると、「有り余るほどですよ」との返事。さぞや混んでるだろうから、きっとここ
には泊まれないだろうと思っていたので、肩透かしというか嬉しさに、即ここに決定。
プーラからはたったの20海里である。

クロアチアが国を挙げてヨット・マリーナ開発に力を入れているのは、地中海沿岸の他
の国と比べて顕著である。立派な設備の整ったマリーナがそこかしこにあり、サーヴィ
スも至れり尽くせり。しかも、大概、美しい港町を眺めるのに最適の立地である。
4年ぶりにクロアチアでセイリングして日々感じたのは、EU加盟後の驚くべき物価上昇で、
外食もお安くないし、マリーナの停泊料金も1泊65~75ユーロになっていて、EU以前を
知る私たちは驚いた。(ヴェネツィアが安く感じられたほど。)

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マリーナからのロヴィニ、夕景

上陸してロヴィニ観光と、お洒落なレストランでの夕食で観光客気分を味わった。

クロアチアのマリーナには係留サポートをしてくれるクルーが常勤していて、ゴムボート
や自転車で桟橋まで誘導して、ムーリング・ラインを引き上げてくれたり、大変結構な
サーヴィスぶりである。
しかるに、ここのマリーナ・クルーにヨットの書類一式の入ったファイルを渡すと、中を
見ながら、「ライセンスは?」と訊く。「ライセンスは全部その中に入ってます」と言う
と、「このヨットはクロアチア籍なのか、ドイツ籍なのか?このライセンスではクロア
チア航行はできない。」と言い出すではないか。
「出発港でも確認したし、昨日プーラに泊まった時にもそんなこと言われなかったし、
書類には不備はないはず。」と反論しても、なぜか頑なな彼である。
ヨットを舫い終えると、彼が書類を持って行ったマリーナ事務所まで自分で赴き、ライセ
ンス等について確認すると「はあ?全く問題ありませんけど。」とのこと。
何ゆえに、サーヴィス・クルーは変な言いがかりをつけたのだろうか?

この疑問は、翌日解けた。
スロヴェニアとの国境に近く、出入国管理事務所のあるウマグ港に舫った際、桟橋の隣の
バースにドイツ人グループのセイリング訓練らしきヨットが入港。教官スキッパーが手慣
れた様子で、係留を手伝ってくれたマリーナ・クルーに冷えた缶ビールを手渡したのだ。
ああ、チップの要らない国に住んでいると、こういうことに気が回らない。
次男曰く「世界中で多分サーヴィス業の人たちへチップを渡す習慣がないのは、日本と
オランダだけだよ」。
これを教訓として、ヴェネツィアではマリーナ・クルーに、さっと冷えたクロアチア
ビールを渡した。そして、それは後で大層な効果をもたらすのであった。

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早朝のロヴィニ。昨日とは反対側だが、どこから見ても美しい。

ロヴィニからウマグまでも25海里ほどである。
ここのマリーナも、心配だったので事前に予約を入れておいた。しかし、それは全く必要
なかったと後で知るのだが、そのくらいこの時期のイストリア半島の港は空いていた。
マリーナに入る直前に無線で入港許可を取る。するとクルーが埠頭に来てくれるのだが、
まず「イタリアから来たのか」と訊かれた。「クロアチアからです」と答えると、「じゃ
あ、入管は必要ない」と言われて、それだけである。
もしも、スロヴェニアもしくはイタリアからこの港に入ったとして、「クロアチアから
来ました」と嘘をついてもわからないのではないか。この辺りから、国境での出入国管理
のルーズさ加減がなんとなくちらつき始めた。
しかし、私たちは正式に国境超えをしたい。だから、マリーナ事務所とは別の出入国管理
事務所および国境警察(港の埠頭にある)までパスポートを持って行って、翌日ヴェネ
ツィアに渡航する旨を伝え、書類に記入、スタンプなど押してもらった。
国境警察は朝5時から開いているとのマリーナ・クルーの話だが、実際事務所に行ってみる
と8時頃から開くとのこと。早く出発するから今日中に書類を提出したいと言うと、それは
OK。だから、出国スタンプの日付は実際とは異なるわけだが、それもOKらしい。
提出したクルーリストは戻ってこなかった。(その時のクルーは、ヴェネツィアで下船
する甥と姪も含む6名である。)

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さよなら、ロヴィニ。名残惜しそうなドリ号クルーたち。

さて、海上での国境越えの話をまとめてしまおう。
着いたヴェネツィアで、入国管理局(もしくは国境警察)に届け出ようと、マリーナ事務
所で所在地を尋ねると、警察は駅の裏辺りにありマリーナとは正反対側。水上バスで45分
かかるという。
マリーナに入管を委託する場合は約100ユーロの手数料をいただきます、とのことなので
自分たちで観光ついでに行ってみた。ちなみに、ヴェネツィアに着いたのは夕刻で、
警察はもう閉まっているから、行ったのは翌日。しかも翌日には甥と姪はオランダに発つ。
空港と方向が同じなので彼らと途中まで一緒に水上バスで警察に向かった。しかし、
今からイタリアを出る彼らの名前もクルーリストに載せて
提出するのはどうだろうか、と思い、かえってややこしくなりそうなので、4人にしてお
いた。イタリアはシェンゲン圏内なので、そこからオランダに行く飛行機に乗る彼らの
パスポート検査はないはずである。
警察に行って、クルーリストとパスポートを提出すると、商業船でないからクルーリスト
は必要ないという。
私のパスポートには、ヴェネツィアへの船による入国スタンプを押してくれた。翌々日
出国予定であるが、やはり早朝出発だし日曜日だから警察は開いていないから、翌日来て
もいい、とのことで、やっぱり日付が実際とは合っていない出国スタンプを翌日押して
もらいに再度でかけた。

片道45分もかけて行ったのだが、どうも誰も全く重要視していないというか、他に申請に
来る人も見かけなかった。
実際には6人でクロアチアから入国したわけだが、自己申告だから、実際のところは誰に
も判定しようがない。警察の開いている時間にしか申請できないので、入国・出国日時も
実際とはそれぞれ1日ずれている。
なんとも、ざるのような状況で水漏れ著しく、海上での国境管理とは難しいものだなあ、
と思ったことである。
それもこれもクロアチアがまだシェンゲンに入れてもらえないからで、それが通った暁に
はこういうばかばかしいビューロクラティックな書類業務もなくなる。
(その後、クロアチアへはノビグラド港から再入国したのだが、そこでも仰々しく書類だ
けは記入させられたが、実際にどうやって管理してるのかは全くなぞである。自己申告制
だからチェックのしようがないと思う。リエカ空港でパスポートチェックされているので、
別のところで再入国申請しなくても全く問題なくクロアチアにいられたはず。)

まあ、これもすべて経験のため、と思って、楽しんでやってみた。(そうでもなければ、
バカバカしい。)シェンゲン圏の早急な拡大を望むものである。
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by didoregina | 2016-08-21 20:01 | セイリング | Comments(0)

Sailing to Venice その1 クロアチアのクルク島からイストリア半島のプーラ

2016年夏のセイリングは(自分の)ヨットでヴェネツィアに行く!というのが目的で、
中学生時代からの長年の夢がとうとう叶った。
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クロアチア北部クヴァルネル湾にある大きな島クルク島南部のプーナット港からヨットを
チャーターした。今回はフロティッラという船団ではなく、ベアボートといって自分たち
のヨット一隻のみでの2週間のセイリングである。クルーは我が家族4人で、甥と姪が一部
区間メンバーに加わった。
プーナットへはリエカ空港から予約してあったタクシーで40分ほどだ。タクシーの運転手
によると、昨晩までの数日は激しいボラ(クロアチアに特有の北東からの強風)が吹きま
くり、車の運転は危険なため道路や橋は閉鎖。もちろん飛行機の欠航も相次ぎ、今日到着
の私たちは相当ラッキー!ということだ。

目的地がヴェネツィアと決まった昨年末にヨットの出発港とヨットを探し始めた。
ヴェネツィアを含むフロティッラがほとんどないことと、クロアチアでのセイリングは10
回近くしていてほぼ全海岸を知っているのと、主な寄港地であるクヴァルネル湾やイスト
リア半島の港にも停泊経験があるのでベアボートとしたが、あまり不安はなかった。
ヨットはプーナット港のギャラントというチャーター会社の、ババリア37フィート・
クルーザーに決めた。キャビン3部屋で6人は悠々と乗れる。
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12月にヨットを選んで予約、チャーター料金半額を前払いし3月にヴェネツィアのマリーナ
に予約を入れたのだが、そこに思ってもみない落とし穴が待っていた。
ヴェネツィアのマリーナが、ヨットの大きさ、持ち主証明登録その他の詳細を訊いてきた。
今までマリーナに事前予約という経験がないので、そういうものかと思ってクロアチアの
チャーター会社に問合せると、「予約のヨットは2014年建造で、当時クロアチアはEU加
盟していなかったため、その船にはクロアチア海域以外への航行許可証がありません。
従って、ヴェネツィアに行くことは不可能です。」という返事ではないか。これがなんと
4月里帰りの飛行機乗り継ぎ途中で入ったメイルで、青天の霹靂。一気に暗雲が立ち込めた。

ヴェネツィアが目的でヨットをチャーターしたのに行けないとなると、全ての計画を立て
直さなければならない。オランダに戻ってからチャーター会社にその旨連絡、妥協案として
「2015年建造の同型ヨットならEU海域航行も可能です。現在、同じ時期にそのヨットの
予約が入っていますが、交渉次第では交換してくれるかもしれません。その代り250ユーロ
増しになります。」という返事。とにかく、少々高くなってもいいから、拝み倒してでも
交換してくださいと頼んだ。数日後、交換OKとの連絡がきて、胸をほっとなでおろしたの
だった。
しかし、危ないところだった。もしも、ヴェネツィアのマリーナに事前予約を入れてなかっ
たら、このことは現地に着くまで知らず、直前になってクロアチアから出られなくなって
いたのかもしれない。うううむ、納得いかない点は残るものの、問題は一つクリアできた。

納得いかないというのは、クロアチアのEU加盟は2012年であり、EU云々が理由なのであ
れば2014年建造の船でも2015年の船でも変わりはないはずである。
ただし、クロアチアは未だシェンゲン圏には入っておらず、国境ではパスポート・チェック
がある。

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クルク島プーナットから1日目のセイリングは35海里(約55キロメートル)。
ツレス島沿いに南下して、ロシニ島のイロヴィックという細長い入り江のブイに
係留。古城の前で快適。対岸の村には上陸せず自炊し、一晩ヨットで過ごす。

翌日の目的地はイストリア半島南端の都市プーラである。
実はプーナットからのクルーは、主人、私、長男、甥の4人で、次男と姪はユトレヒト大学
の所属クラブ創立何十年祭パーティ出席のため、土曜日出発が叶わず、月曜日にプーラで
合流することになっていた。
つまり、ボラが吹こうが何だろうが、月曜日にはプーラにいないといけないというプレッ
シャーがあった。
プーラには何度か行っているから不安はないものの、市内および近隣に3つのマリーナが
あり、さてそのどこに寄港して2人を乗せるのがよいだろうという問題があった。
一番いいのは町中のマリーナで、目の前がローマ時代の闘技場という絶景。しかし混雑が
予想され、場所が確保できるかどうかわからない。このことを出発前にチャーター会社に
話すと、マリーナに電話予約すれば?とのこと。そうか、そういう手があった。出発港内
ではヨットのWi-Fiもスイスイだったので、プーラ・マリーナにオンライン予約をした。
これで目的港が決まり一安心。
立地は町中だし、合流もしやすい。

この日もあまり風がなく、午後2時間くらい帆走したのみで、朝早く発ったが午前中ずっと
エンジンを使った機走。予約してあるから、マリーナにはあまり早く着く必要はない。午後
5時頃を目安にプーラに向かった。走行距離は45海里(約73キロメートル)だが、ヨットだ
と8~10時間かかる。

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プーラ市内一等地にあるこのマリーナは比較的小規模だから、フロティッラでは寄港しない。
ベアボートのよさだ。11年前に初めてここに舫って、目の前にある闘技場を肴に飲んだワイ
ンの味は忘れられない。
夜9時すぎに、空港からバスで町に着いた次男と姪もヨットに乗り込み、6人でまた自炊の
食事をとった。

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今回のヨット、ドリ号は、さすがに昨年建造されたばかりで新しく、なにより中も外も居住
空間が広いく快適なのと、様々な細かい工夫が要所要所にあってうれしい。ヨット・デザイ
ンも日進月歩である。
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by didoregina | 2016-08-19 18:25 | セイリング | Comments(0)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

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プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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