<   2014年 12月 ( 6 )   > この月の画像一覧

コンサート・チケットの「当たり」年

年末ともなると、一年を振り返り、順位や回数などのまとめ記事を書きたくなるものだ。
「当たり年」というキイワードを使って2014年を総括すると、文字通りチケットその他の
プレゼントに「当たった」回数というのが今年はかなり多かったので、それをまとめて
みよう。
c0188818_1741726.jpg

1月27日のコンセルトヘボウでのカリーナ・ゴーヴァンのリサイタルはブログ記事にした。

その前の週からエイントホーフェンのミュージックヘボウで、室内楽のストリオーニ・
フェスティヴァルが開催されていて、1月31日、フェスティヴァル出演アーティストのほぼ
全員登場しての総集編ともいうべきラスト・ナイト・マラソン・コンサートに招待された。
Storioni Night o.a. Hervé Joulain hoorn, Bram van Sambeek fagot,
Nelson Goerner piano, Storioni Trio

Ives – The unanswered question
Dvorák – Strijkkwartet nr 12 ‘Amerikaanse’
Arthur – Farewell song of the deathless voice
Gotschalk – The banjo
Beach – Pastorale
Griffis – Threetone picture
Korngold – Romance impromptu uit Deception
Bloch – Prayer uit Jewish Life
Bartók – Contrasts
Bernstein – Ouverture Candide (versie voor blaaskwintet)
Greenstein – Nieuw werk
Muhly – The only tune
Bernstein – Delen uit Westside Story
Gershwin (arr. Van Klaveren) – Rhapsody in Blue
Saint-Saëns – Havanaise
Brouwer – Werk voor gitaar ntb
Golijov – Lullaby & Doina
Piazzolla – Primavera porteña
Piazzolla – Tango seis
Grande finale (Amerika-medley met muziek
van Irving Berlin, Jerome Kern en Cole Porter)

休憩2回を含む夜7時半から夜中までの長いコンサートで、内容も大変ヴァラエティに富み
いかにもフェスティヴァルの最後の夜を飾るにふさわしいもので楽しかった。(詳しいレ
ビューを書いたが、ブログ投稿に失敗して消えてしまった。。。。)
出演者の中で特に印象に残ったのは、フィンランド人のヴァイオリニストでメゾ・ソプラノ
のVirpi Räisänenというアーティストだ。室内楽でヴァイオリンを弾き、またソロ歌手として
素敵なデザインのコスチュームでモダンダンスを披露しながら現代ものを歌ったりするので、
もう彼女に目が釘付けだった。
↓の動画は2012年のものだが、これと似たパフォーマンスと衣装であった。




6月にはニシン漁が北海で解禁になり、初物は珍重される。それを祝うニシン・パーティと
いうのが各地で開かれるのだが、帽子イヴェントとして参加したことは記事にした。
そこでの私の生牡蠣の食べっぷりのよさが牡蠣屋さんの目に留まったらしく、屋台を出して
いたレストランFLOマーストリヒトから、ウェルカム・ドリンク付き3コース・ディナーと
いうのにあとで招待された。生牡蠣は一般的オランダ人には敬遠されがちなので、パーティー
などで牡蠣が出ていたら、一人勝ち状態である。
c0188818_1846032.jpg


また、8月にはロンジン・グローバル・チャンピオンズ・ツアーという馬術障害競技大会の
フェルドホーフェンでのVIP招待券が当たった。(これブログ記事にした。)

9月には、デン・ボッスのInternational Vocal Competitionという声楽コンクールにBrava
TVから選ばれた視聴者審査員の一人として3日間審査に携わる機会に恵まれた。
c0188818_18423687.jpg


その最中にユトレヒト古楽祭が開催されていて、9月7日の最終コンサートのチケットが当選
した。
ジュージー・トゥートというハンガリア人ソプラノの生の歌声を一度聴いてみたいと思って
いたので、万難を排してコンサートに行った。ジュージーちゃんは4人いるソプラノの一人で、
さほどソロパートがあるわけではないので、誰がどこを歌っているのかイマイチわかりづらい
のだったが、めったに聴く機会のないフックスの『皇帝レクイエム』なるものを生で聴くことが
できて満足だった。

Johann Joseph Fux - Kaiserrequiem

Vox Luminis:
Zsuzsi Tóth, Sara Jäggi, Elke Janssens, Maria Bernius - sopraan / soprano
Barnabás Heygi, Jan Kullmann - alt / alto
Olivier Berten, Robert Buckland - tenor
Matthias Lutze, Lionel Meunier - bas / bass

Scorpio Collectief:
Veronika Skuplik, Stefano Rossi - viool / violin
Johannes Frisch - altviool / tenor violin
Josue Melendez, Frithjof Smith - cornetto, cornetto muto / cornett, cornett muto
Simen van Mechelen, Claire McIntyre - trombone
Carles Cristobal - fagot / bassoon
Matthias Müller - violine
Kris Verhelst - orgel / organ

このコンサート動画がアップされているのでご覧いただきたい。


そのあとはもう軒並みコンサート・チケット当選ラッシュであったが、遠征とかち合って
しまい、自分では一つしか行けなかった。そうなると、行ってくれる人・ふさわしい人を
探すのに躍起になる。

デン・ハーグでのPJとナタリー姐のコンサートとかち合ってしまったのが、ロッテルダムの
ゲルギエフ・フェスティヴァルの「革命」と題された9月14日のコンサートで、ゲルギー
指揮マリンスキー劇場オケ、ソリストはデノケである。プログラム内容は以下の通り。
代わりに行ってくれた人たちは非常に感動していた。

Orkest van het Mariinsky Theater
dirigent Valery Gergiev
sopraan Angela Denoke
Falla Danza ritual del fuego uit 'El amor brujo'
Strauss Symphonische Fantasie aus 'Die Frau ohne Schatten'
Berg Drei Bruchstücke aus 'Wozzeck'
Sjostakovitsj Twaalfde symfonie 'Het jaar 1917'
Ljadov Uit de Apocalyps

c0188818_1927613.jpg


10月4日のロンドンでの『ポッペアの戴冠』と同じ日にあったデン・ハーグでのイレーネ・
テオリンがソリストのスウェーデン王立歌劇場オーケストラのコンサートにはハーグ在住の
友人に代わりに行ってもらった。

Wagner Tristan und Isolde: Vorspiel & Liebestod
Van Gilse Thijl Treurmuziek
Wagner / de Vlieger The Ring, an Orchestral Adventure

Royal Swedish Opera Orchestra
Lawrence Renes - dirigent
Iréne Theorin- sopraan

c0188818_19314639.jpg


11月の『イドメネオ』および『エレクトラ』遠征には、コンセルトヘボウでのアンジェラ・
ゲオルギューのリサイタルがかち合ったのだが、丁度日本からアムスとロンドンに遠征に
来ていたリュドミラさんに譲ることができた。「アンジェラのコンセルトヘボウでのコン
サート・チケットが当選したからには、くじ運の強さも本物」と友人たちから言われたものだ。
コンサートの内容に関してはリュドミラさんのブログ記事を参照されたい。(11月25日)

Angela Gheorghiu (sopraan)
Marius Vlad Budoiu (tenor)
Het Gelders Orkest
Tiberiu Soare (dirigent)

Saint-Saëns - Bacchanale (uit 'Samson et Dalila', op. 47)
Puccini - Tu, che di gel sei cinta (uit 'Turandot')
Mascagni - Suzel, buon dì (uit 'L'amico Fritz')
Leoncavallo - Vesti la giubba (uit 'Pagliacci')
Bizet - Entr'acte (uit 'Carmen')
Verdi - Ave Maria (uit 'Otello')
Verdi - Dio, mi potevi scagliar (uit 'Otello')
Verdi - Già nella notte densa (uit 'Otello')
Dvořák - Slavische dans in C (uit 'Slavische dansen', op. 46)
Cilea - Ecco, respiro appena (uit 'Adriana Lecouvreur')
Cilea - Ma, dunque, è vero? (uit 'Adriana Lecouvreur')
Wagner - In fernem Land, unnahbar euren Schritten (uit 'Lohengrin')
Tsjaikovski - Polonaise (uit 'Jevgeni Onegin', op. 24)
Lehár - Dein ist mein ganzes Herz (uit 'Das Land des Lächelns')
Catalani - Ebben? Ne andrò lontana (uit 'La Wally')
Puccini - O soave fanciulla (uit 'La bohème')

c0188818_19333498.jpg


そして、12月のロンドン遠征から帰った足でそのまま、ドイツのドゥイスブルク歌劇場
から招待された『ウエルテル初日』を鑑賞しに行ったことは、先日ブログに書いた。
偶然だが、チケット・プレゼント当選は、遠征と連動しているかのような法則性が見られる。
不思議だ。

たぶん、今年最後のプレゼント当選は、Het Nieuwe Rijksmuseum (邦題『みんなのアム
ステルダム国立美術館へ』)公開記念として、配給元からフィルムハウス・リュミエールに
贈られた、アムステルダム国立美術館とプレイモービルのコラボ限定版「牛乳を注ぐ女』の
フィギュアである。これはクリスマス・プレゼントとしてきれいにラッピングされていたので
うれしさもひとしおであった。ラッピング・ペーパーには12月公開の日本映画『2つ目の窓』
ポスターが使われ、カードは現在映画博物館EYEでリバイバル上映されている『風と共に去り
ぬ』でしかもカードにはなんと日本語で「おめでとうございます」と書いてあった!
c0188818_19524760.jpg


プレゼント当選のコツとしては、応募の際、必ず1、2行、担当者の心に響くコメントを書く
こと。これに尽きる。大概は、「応募の動機」もしくは「誰と一緒に行きたいか」を書く
ことになっているが、そうでなくて「先着順」とか「抽選」と謳っている場合でも、実際は、
気の利いたコメントを書いたことが当選の理由なのは、担当者からの返事やその後のやりとり
から明らかである。
中学生時代、ラジオの深夜放送などにリクエストはがきをよく出していて、当時それが
読まれたりプレゼントに当選したりしたことがよくあった。あれと全く同じコツが現在の
プレゼント必勝法にも当てはまるのである。
[PR]
by didoregina | 2014-12-30 20:05 | コンサート | Comments(8)

2014年も若手カウンターテナーが大活躍!

2014年のコンサートおよびオペラは、基本的にカウンターテナー出演のものに食指が動いた
ので、若手CTの旬の声を生で聴く機会に恵まれた一年だった。だが、行ったものすべてを
ブログ記事にしたわけではないので、漏れていたものをここにまとめて、今年のCTの活躍を
振り返ってみよう。

ブログにレビューを書いたが、1月18日のドルトムントでのカルダーラの『惑星の調和』コン
サート形式には、CTはフランコ・ファジョーリカルロス・メナのみの出演となりクリストフ・
デュモー
の歌唱が聴けなかったことが大変な心残りというか痛手であった。結局、
今年は一度も彼の歌唱の実演に接することができなかった。来年2月の『タメルラーノ』まで
待たねばならない。

c0188818_22352182.jpg

5月4日にケルンでコンサート形式の『タメルラーノ』を聴きに行った。CTは題名役のシャビエ・
サバタ
マックス・エマニュエル・ツェンチッチが出演。
Musikalische Leitung Maxim Emelyanichev
Tamerlano Xavier Sabata
Bajazet Daniel Behle
Asteria Sophie Karthäuser
Andronico Max Emanuel Cencic
Irene Ruxandra Donose
Leone Pavel Kudinov
Orchester Il Pomo d'oro

このオペラはコンサート形式だったためか、どうもあまり印象に残らなかった。なぜか、
この日の指揮者は非常に若いのに、オケのポモ・ドーロから若々しさや躍動感が引き出せず、
全体的にのっぺりとした演奏で退屈してしまうのだった。オペラそのものも地味で魅力が乏
しいこともあり、好きなCTが出演しているというのに、聴きながらついうとうとしてしまう
こともしばしばあり、レビューを書きたくなるほどの感動につながらないのだった。
なぜだろう、と今でも腑に落ちないほどだ。

4月の復活祭の前に1日おきに『マタイ』と『ヨハネ』受難曲をそれぞれ聴くことができ、
若手イギリス人CTであるイエステイン・デイヴィスティム・ミードをバッハで聴き比べる
という贅沢に浸れた。共にイギリスの教会系CTであるから、バッハとの相性は抜群だ。

c0188818_23134282.jpg

バッハといえば、なぜかレビューを書かなかったのだが6月24日のウィグモア・ホールでの
イエスティン君のコンサートも、バッハがメインだった。
Cantatas for the Soul

J Christoph Bach
Ach dass ich wassers gnug hätte

JS Bach
Brandenburg Concerto no 6
BWV 54 Wiederstehe doch der Sunde
Violin Concerto in A Minor
BWV 170 Vergnügte Ruh, Beliebte Seelenlust

The Dunedin Consort
Iestyn Davies - Countertenor
Cecilia Bernardini - Violin

今年はイエスティン君のヨーロッパとイギリスでのコンサートとオペラはほとんど制覇した
と言ってもよいほどだが、このウィグモアでのコンサートは当初予定に入れてなかった。
チケットはすぐに売り切れになってしまい、リターンを狙っていたのだがいい席はなかなか出
てこず、少なからず諦めていた。
ところが、直前になって友人の友人が出張のため行けなくなり、棚ぼた式に最前列中央の席が
手に入った。
ヨハン・クリスチャン・バッハのこのラメントは、コジェナーのCDをよく聴いたものだが、
CTによって歌われると、哀しみよりは、じりじりと身を焦がすかのような渇望が甘美な官能
の響きに聴こえるのである。しかも、イエスティン君のストレートでしみじみとした歌唱に
よってそのほてりのような感覚が聴きながら体にすっと入り込み、哀しみと裏表の諦めに近い
ようなマゾヒスティックなイメージすら湧いてくる。こういうところにCTの歌唱の真価が現れ
るのであろう、この最初の一曲で打ちのめされてしまった。

c0188818_23481682.jpg

9月1日にはユトレヒト古楽祭のコンサートを二つ梯子したのだが、まず、ピータース教会で、
Cinquecentoというウィーンのアンサンブルによる6声のポリフォニー・コンサート。
16世紀にウィーンの宮廷で活躍したリエージュ出身の作曲家によるものという渋い内容だ。
'Jean Guyot de Chatelet & Philippe Schoendorff'

Terry Wey, coutertenor
Franz Vitzthum, countertenor
Tore Tom Denys, tenor
Achim Schulz, tenor
Tim Scott Whiteley, bariton
Ulfried Staber, bas

グレゴリオ聖歌とリエージュ出身の二人の作曲家による作品が交互にア・カペラで歌われる。
お目当ては、若手CTのテリー・ウェイ君である。彼は、昨年のデュッセルドルフでの『セルセ』
で、ヴァラー・サバドゥス君と組んで弟役を歌ったのだが、この二人はほぼ同年代でCTでも
メゾとアルトと声質的に異なるのだが声の親和性は抜群である。
今回、テリー君は渋いポリフォニーのコンサートで、教会系らしいすがすがしさとふくよかな
温かみのあるアルトの歌声を聴かせてくれた。

c0188818_0173780.jpg

9月14日には、デン・ハーグのアントン・フィリップス・ホールでのフィリップ・ジャルス
キー
とナタリー・シュトゥッツマンのコンサートに行った。
Ensemble 55
Philippe Jaroussky en Nathalie Stutzmann

Antonio Vivaldi (1678 – 1741)
Concert voor strijkers in g (RV 157)
Uit: OLIMPIADE Aria Lo seguirai felice [PJ]
Adagio uit Concert voor strijkers in C (RV 109)
Uit: IL GIUSTINO Aria Vedro con mio diletto [NS]
Uit: FARNACE Aria Gelido in ogni vena [PJ]
Allegro multo uit Concert voor strijkers in C (RV 109)
Uit: OLIMPIADE Aria Gemo in un punto [NS]
Uit: OLIMPIADE Duet Nel giorni tuoi felici [Megacle PJ / Aristea NS]

Georg Friedrich Händel (1685 – 1759)
Uit: SERSE Ouverture
Uit: RODELINDA Aria Se fiera belva ha cinto [NS]
Uit: SERSE Sinfonia uit Acte III
Uit: RADAMISTO Aria Qual nave smarrita [PJ]
Adagio uit Sinfonia voor strijkers (HWV 338)
Uit: ARIODANTE Aria Scherza infida [NS]
Largo uit Concerto Grosso, opus 3 nr. 2 (HWV 313)
Uit: ORLANDO, Sinfonia uit Acte III
Uit: SERSE Aria Crude furie [PJ]
Uit: AMADIGI Ballet voor herders en herderinnen uit Acte III
Uit: ATALANTA duet Caro/ Cara [Atalanta PJ / Meleagro NS]

前半はヴィヴァルディ、後半はヘンデルというわかりやすい構成のプログラムで、器楽曲では
アンサンブル55を指揮しながらアルトのシュトゥッツマンと、メゾというより誰とも比較でき
ない独特の声の持ち主であるジャルスキーとが、ほぼ交互に歌うのだが、デュエットでの二人の
声の相性も素晴らしい。
PJの生の歌声は何度か聴いているので、この日はナタリー姐の歌唱を聴くのを楽しみにしていた。
ほれぼれとするほど深みのある声と噛めば噛むほど味わいのある歌唱とで、姐は期待以上だった。
PJの人気はオランダでも高いから、会場は熱気に溢れ、アンコールも3、4曲に及んだらしい。
(電車の時間の都合があるためアンコール一曲だけで会場を出てしまった。)
c0188818_0341851.jpg


12月16日には、風邪で咳が止まらなくなったMevさんの代りにコンセルトヘボウでのトン・
コープマン指揮アムステルダム・バロック・オーケストラによるバッハ『クリスマス・オラト
リオ』コンサートに行った。座席は平土間4列目中央である。
Amsterdam Baroque Orchestra & Choir
Ton Koopman (dirigent)
Yetzabel Fernandez (sopraan)
Maarten Engeltjes (countertenor)
Tilman Lichdi (tenor)
Klaus Mertens (bas)

J.S. Bach - Eerste cantate: Am ersten heiligen Weihnachtsfeiertage (uit 'Weihnachtsoratorium', BWV 248)
J.S. Bach - Tweede cantate: Am zweiten heiligen Weihnachtsfeiertage (uit 'Weihnachtsoratorium', BWV 248)
J.S. Bach - Derde cantate: Am dritten heiligen Weihnachtsfeiertage (uit 'Weihnachtsoratorium', BWV 248)
J.S. Bach - Vierde cantate: Aufs Fest der Beschneidung Christi (uit 'Weihnachtsoratorium', BWV 248)

c0188818_0381956.jpg

ソリストでは、CTのマールテン・エンゲルチュスとソプラノのイェザベル・フェルナンデス
に注目して臨んだ。
エンゲルチュスはオランダ人CTであるが、やはり教会系と呼ぶにふさわしい声と歌唱なので
バッハは安心して聴くことができる。ちょっと収まりすぎていて物足りないと感じるほどだ。
ところが、イェザベルの方は、かなりラテン的な骨太さのある声の持ち主で、イギリス系教会系
ソプラノの歌唱に耳が慣れていると、彼女の歌うバッハには最初戸惑ってしまった。しかし、
今回のソリスト全体のバランスから言うとそれは悪いチョイスではなく、ソプラノがあまり
活躍する曲ではないからかえって時折ピリッと隠し味が効いているのであった。
トン様の指揮は、オルガンでガンガンと通奏を弾きながらもしくは体全体でオケとコーラスを
率いていくのだが、どうもコーラスもオケもそれに応えるほどの迫力を伴わないのだった。
特に残念だったのがコーラスの薄っぺらさで、あまりにぼやけすぎていてつまらない。これは、
もしかしたら教会でのコンサートの音響を念頭に入れた人員構成のせいなのか、それとも座席が
ステージに近すぎたため、頭上をコーラスの声が通り過ぎて行ったのか。
祝祭的音楽だから、元来太鼓やトランペットやホルンなど華々しく活躍する曲なのに、それら
は非常にストイックかつ控えめなのも意外だった。あまりにトランペットを高らかに鳴らし
すぎたらそれはクリシェっぽくなってしまうが、主キリストの誕生を寿ぐめでたい曲なのだから
もう少しガンガン太鼓も響かせたらよかったのにと思った。
ABOによる受難曲演奏を非常にプロテスタント的だと評したパリ在住の知人がいるが、今回、
それがよく納得できた。それはそれで衒いがなくピュアで潔くよろしいので、純然たる好みの
問題である。

こうして、コンサートもCTメインに明け暮れた1年が終わろうとしている。来年もこの調子で
邁進したいと思っている。
[PR]
by didoregina | 2014-12-28 01:04 | カウンターテナー | Comments(6)

2014年オペラ鑑賞まとめ

2014年を総括する時期になった。
今年を一言でまとめるならば、イエスティン・デイヴィス応援・遠征の一年だった。
しかしそれ以外にも、いやイエスティン君のための遠征と組み合わせて、守備範囲から
少し逸脱するオペラ鑑賞もできたのだから、バラエティに富み実りは多かったと言える。
それらはほとんどブログ記事にしていないので、今回まとめて振り返ってみたい。

c0188818_17311964.jpg

まず、3月2日のENO公演『ロデリンダ』のついでに、翌日ROHで『連帯の娘』を鑑賞。
ローラン・ペリ演出の名プロダクションをフアン・ディエゴ・フローレスのトニオ、パト
リシア・チョーフィのマリー、そしてキリ・テ・カナワが公爵夫役という豪華キャストで。
フローレスの十八番ともいえるトニオ役は若々しさ溢れ、見ているだけでも楽しくなって
くるし、あの輝かしい明るさに満ちた美声を舞台近くの席からダイレクトに聴くことができ、
チョーフィの喉の具合は少々不調なのが残念だったが演技は元気はつらつとしていたし、
公爵夫人役のデイム・キリがほんの少しだが歌も披露してくれたし、全体的に満足の舞台
だった。(終演後に、レストランでフローレスやチョーフィと会えるというおまけ付け)

6月には2回ロンドン遠征を敢行した。そのうち最初のはなんと、エーゲ海の2週間ヨット・
クルーズから帰った翌日からで、イエスティン君のウィグモア・ホールでのコンサート、
オルドバラ・フェスティヴァルでブリテンの『オーウェン・ウィングレーブ』、ロイヤル・
アスコット・オープニング・デイに行ったその晩にはROHで『マノン・レスコー』鑑賞と
いう超盛りだくさんの内容だった。
クリスティーン・オポライス主演でヨナス・カウフマンとクリストファー・マルトマンが
共演した『マノン・レスコー』鑑賞記はブログ記事にしたが、ブリテンのオペラ鑑賞記は
書けなかった。遠征続きで忙しかったのとほかの印象が強すぎて『オーウェン・ウィング
レーブ』の印象が薄くなってしまったからだ。

c0188818_18214542.jpg

オルドバラの海岸

その日の午前中はロンドンで某オークション・ハウスの内覧会見学後、午後からブリテン・
フェスティヴァルの開催されているサフォークの海岸沿いの小さな町オルドバラまで出かけ、
海岸を散策したりブリテンのお墓参りをして、その夜、元ウィスキー醸造所を改造した素敵な
ホールでオペラを鑑賞した。カメラの電池が途中で切れてしまって写真があまり撮れなかった
のも、記憶がおぼろになってしまった理由である。

Britten Owen Wingrave at Snape Maltings Concert Hall,
16 June 2014
Mark Wigglesworth conductor • Neil Bartlett director
Ross Ramgobin, Owen Wingrave
Susan Bullock, Miss Wingrave, Owen's Aunt
Samantha Crawford, Mrs Coyle
Janis Kelly, Mrs Julian
Catherine Blackhouse, Kate Julian
Isaiah Bell, Lechmere
Jonathan Summers, Spencer Coyle
Britten-Pears Orchestra

とにかく暗い話を暗い演出と暗い音楽で表現したオペラで華やかさが全くないから、疲れて
いる夜に聴くのはきつい。兵役招集を拒否する若者を巡る家族の物語で、音楽には耳に
残る印象的なアリア等は全くない。
一度生で聴いてみたかったのでその願いが達せられたことと、こんなに辺鄙なところまで車で
連れて行っていただけたことに大変感謝している。

6月の2度目の遠征には、24日のイエスティン君のバッハ・コンサートのついでに、ROHで
25日に『ナクソス島のアリアドネ』と26日に『トスカ』も鑑賞した。
『ナクソス島のアリアドネ』と私とはどうも相性が悪いようで、カリタ・マッティラのアリア
ドネをはじめとして、ジェーン・アーチボルドのツェルビネッタ、ルクソンドラ・ドノーゼの
作曲家など女声陣がなかなか充実して健闘、しかもクリストフ・ロイ演出で期待の舞台だった
にも関わらず、今回もうつらうつらとしてしまって、ほとんど印象に残っていないのだった。
c0188818_1954685.jpg

『トスカ』の方は、映像で一度見ていて気に入っているジョナサン・ケント演出のプロダク
ションなのだが、特に好みの歌手が出演するわけではないので、プラシド・ドミンゴ指揮、
ブリン・ターフェルのスカルピアにちょっぴり期待して臨んだ。
美しいデコールと衣装、そして全く無理のない演出なので安心してわくわくしながら舞台を
楽しめることができた。メインの歌手の歌唱もそれぞれバランスよく、華やかさには欠ける
ものの手堅く満足いくものだった。

8月には今年のメインイヴェントであるグラインドボーンでの『リナルド』鑑賞と組み合わせ
られるオペラはなかった。
c0188818_202254.jpg

10月には、今季の期待演目の一つである『ポッペアの戴冠』のセミ・ステージ形式をバービ
カンで鑑賞するのに合わせて、前日の4日にROHで『リゴレット』を。
とにかくサイモン・キーンリーサイドのリゴレットに注目していたのだが、当日夕方にロン
ドン着という無理のあるスケジュールだったため開演時間に間に合わず、前半はアンフィの
外廊下にあるスクリーンでの鑑賞となってしまったのは残念。
後半からは、舞台を上から見下ろすようなアンフィのアッパースリップの席に座ったのだが、
びっくりしたのはその音響のよさ。オケも甘美に響くし、歌手の声は舞台を横から見る定番
位置よりもいっそうはっきりと聴こえるのだった。
マクヴィカーによる演出はストレートかつスマートで、目を覆うような残酷さや醜悪さを排
しているのが好ましく、人間の欲望、親子の愛情、そして若さゆえの向こう見ずというか
ほとばしるパッションなどが見る者に迫る。
特にキーンリーサイドの、複雑な人格のリゴレットになりきりの役作りには目を瞠るほどの
凄味が感じられ、歌唱にも苦悩の様が表れていて感動を呼ぶのだった。

c0188818_2031136.jpg

11月の遠征は、イエスティン君絡みではなく、フランコ・ファジョーリがイダマンテ役で
ROHデビューの『イドメネオ』を鑑賞するのが主目的だった。
千秋楽に行ったので、すでに実演鑑賞した友人や各紙・誌やネットの情報から、演出やCTに
よるモーツアルト・オペラ出演是非など、いろいろな意見を見聞きしていて、相当な覚悟が
できていて臨んだと言える。だから、あんなに騒がれていた演出がさほどのものでもない
のに肩透かしを食わされ、またこの程度の演出でブーイングが(しかも千秋楽に及んでも)
出ることにかえって驚いてしまった。
もともとイダマンテ役は損な役だからと割り引いていたせいもあるし、若手CTの中でも
イギリス人CTとは正反対の歌唱スタイルのため、ロンドンの観客にはかなり異質かつ耳馴染み
のあまりよくない印象をファジョーリは与えるだろうなあ、と予想がついていたせいもあるが、
全体的にはとても素晴らしいプロダクションだし舞台である。これは、ROHとリヨン歌劇場と
フランダース・オペラとのコープロであるので、来季以降、リヨンやアントワープ(および、
もしくはヘント)での上演が予定されている。誰が指揮を担当するのか、どんなキャストになる
のか、今からとても楽しみにしている。イダマンテ役にCTを選んだのは、演出を担当した
クシェイのたっての要望だったということなので、次回もCTが歌うんだろうか。その場合は、
誰に白羽の矢が立つのだろうか。

12月5日のロンドン弾丸遠征(ご存じイエスティン君のリュート・ソング・リサイタル)翌日
の聖ニコラスの日には、ドイツのドイスブルク歌劇場に『ウェルテル』の初日を見に行った。
なぜかというと、VIPペア・チケットがまたしても当選したからだ。今年は、くじ運のよさを
実感することが多く、その件に関しては別にまとめ記事にしたいと思っている。
c0188818_2048863.jpg

Musikalische Leitung Lukas Beikircher
Inszenierung Joan Anton Rechi
Bühne Alfons Flores
Kostüme Sebastian Ellrich
Licht Volker Weinhart
Orchester Duisburger Philharmoniker
Andrej Dunaev (Werther)
Sarah Ferede (Charlotte)
Elena Sancho Pereg (Sophie)

ドイツの地方歌劇場の数は半端ではなく、ほとんどの都市にあるのではないかと思われる。
ルール地方だけでも、エッセン、ドルトムント、デュッセルドルフ、ドイスブルク、
はたまたケルンやボン、アーヘンなど近距離にひしめきあっている。競争は厳しいものが
ありそうだが、地方自治体からの補助金は他の国とは比べられないほど潤沢なようでもある。
ドイツブルクの歌劇場は初めて行ったのだが、初日でもあり、いかにも戦後風のインテリア
ではあるが、おしゃれした客が多く、なかなか華やかな雰囲気が漂う。地元の富裕層が集まっ
ている感じである。
地方の歌劇場だから、歌手に名の知れた人はいないが、歌唱は馬鹿にしたものでは全くなく、
子供の合唱もぴたりと決まっているし、舞台装置や演出に至っては、スタイリッシュの極みで
ある。全くこの程度が普通なのだから、ドイツの地方歌劇場の実力や侮るべからずである。
こういう風に時代にマッチした演出が無理なく受け入れられる環境、近場でほどほどの料金で
オペラに親しむことができることから、観客の感性は自然と磨かれていくので、ドイツの
オペラ界の将来は非常に頼もしいと思われる。(もちろんいずこも同様に補助金カットなど
の辛苦はあるが)

というわけで、自分の好みの範囲外のオペラに色々と触れる機会が多かった今年(2月には、
アムステルダムで今年が最後となったオーディのリング・チクルスなんかも鑑賞してしまった)
なかなか充実していたのではないか、と振り返って思うのである。
[PR]
by didoregina | 2014-12-22 21:09 | オペラ実演 | Comments(10)

ベルギー鉄道のスト、傾向と対策

ベルギーでは、11月下旬から毎週月曜日のゼネストが恒例化している。
旅行および遠征の時一番困るのは、ヨーロッパの交通機関のストである。とにもかくにも
できる限り正確な情報を収集し、先へ先へと回って対処するしか方法はない。
それでわたしが経験した11月24日のベルギー鉄道ストの実地ルポを公開し、皆様の今後の
お役に少しでもたてたら幸いである。

c0188818_3544981.jpg


11月24日出発2泊3日のロンドン遠征を決めたのは、10月の日本旅行の日程が煮詰まった後
だから、夏頃だった。丁度その頃、上手い具合にユーロスターのバーゲンがあり、往復69
ユーロという破格値の切符を確保した。
遠征目的は、フランコ・ファジョーリのロイヤル・オペラハウス・コヴェントガーデンでの
『イドメネオ』のイダマンテ役デビュー舞台と、クリスティン・スコット=トマス主演の
芝居『エレクトラ』鑑賞である。

ベルギーのストのことは他山の石というか、把握していなくて、知ったのは遠征の3日前。
遅まきながらネットで情報を集め始めたのだが、詳しいことはよくわからないままだった。
ストを実施する張本人ベルギー鉄道のサイトによると、ユーロスターは通常運行、タリスと
アムステルダム~ブリュッセル間の特急は動かない、そして、アントワープ、リンブルフ、
ルクセンブルク、エノーの各州とワロン・ブラバントがゼネストに参加するということだ。
告知通りであれば、わたしの利用する列車の線路は、上手い具合にそれらから外れている。
しかし、国境を超える電車は動かさないとも言っているから、非常に微妙である。

c0188818_572857.jpg


ベルギー鉄道はスト情報というか、列車運行状況を刻々とツイートするということなので、
前日夜からフォローを始めた。
遠征前夜、マーストリヒトからブリュッセルまでのオンライン切符予約ページを開いてみた。
すると、この路線のチケットは翌日無効と出た。非常にわかりにくいロジックであるが、
運行しない、ということを別の言葉で表現しているのではないかという結論を得た。
マーストリヒトはオランダのリンブルフ州に位置しているし、国境を超える電車は動かない
と告知しているのだから、驚くには当たらない。しかし、国境を越えたらそこはリエージュ
州である。ストには参加しないはずである。我が家から国境はすぐで、最寄りのベルギーの
駅ヴィセまで行けば何とかなりそうだ。

しかし、そのうちに、なんだかヴィセ~リエージュ間も危なくなっているようだった。
というのはその路線の始発駅は国境のこちら側マーストリヒトであるからだ。いや、どうも
リエージュからブリュッセルまでの電車もやばい雰囲気が漂いだした。
それで、リエージュ経由でブリュッセルまで電車で行こうとするのは危険かもと判断し、別の
方法でブリュッセルに向かう方法を考えた。
一番簡単なのは、車で行くことだ。家からなら1時間ちょっとである。しかし、なんたること、
わたしの車を売ってしまったばかりなのだった。
送り迎えの必要だった子供たちも成長して家を出たし、夫婦二人だけなのに車2台というのは
不経済だし、近年は旅行もほとんど飛行機を使っているから、車は一台だけで十分、と思った
のである。それで、主人に通勤前にブリュッセルまで送ってくれないかと頼んでみたが、
仕事で必要なのなら別だが、遊びの遠征のために早朝の往復送迎はいやだと断られた。
こうなったら、タクシーで行くべきか。。。。

c0188818_5115871.jpg


ここからブリュッセルへのバスはない。あるのは、アムステルダム、ロッテルダムなどから
の長距離バスのユーロラインである。破格の安値であるが、翌日は電車の代わりにユーロ
ラインでベルギーに入ろうとする人は相当多くなっているようで、刻々と席が埋まっていく。
特にローゼンダールやブレダ、エイントホーフェンなどの国境近くからのバスで時間的にも
ぴったりなのは全て予約でいっぱいだ。
背に腹は代えられない、仕方がないとアムスを9時発のユーロラインを予約した。バスだから
ブリュッセルまで6時間の長旅である。しかも、家からアムスまでは電車で二時間半かかる。
ほとんど始発の電車に乗らないと間に合わない。
車なら1時間ちょっと、電車でも通常1時間半のブリュッセルまで、アムス経由で8時間かけて
行くという、正気の沙汰とは思えないが一番安全な路線を確保した。バス代金は20ユーロで
ある。

その案だと翌日6時の電車に乗らないといけないから、5時に起きてストの様子を窺ってから、
どういう方法で行くか決めることにした。5時からアクチュアルなスト情報をツイートすると
いうことでもあったからだ。
5時半の時点で、どうやらリエージュ~ブリュッセル間、そして、ヴィセ~リエージュ間も
通常運行予定の模様である。それで、バスでアムス経由ブリュッセル入りという馬鹿げた
プランは捨てた。
スト実施の赤い路線と駅からなる地図の中で、わたしの利用する路線だけ安全な緑の色の
廊下のような具合だったからだ。

しかし、刻々と色の変わるスト路線地図は、だんだんと予断を許さない状況になっていく。
ブラバント州のフラマン地域もだんだんと危なくなっているようで、ルーヴァン行きは
ほとんど運行中止だ。リエージュからブリュッセルまではルーヴァンも通過するから剣飲だ。
とにかく動いているうちに電車に乗ってブリュッセルまで行ってしまおうと決め、7時30分
ヴィセ発の電車に乗ってリエージュまで。そこから、ストしている州を通らない路線でブリュ
ッセルを目指した。10分ほど遅れたが、ルーヴァンを通過する電車でなんとかブリュッセル南
駅までたどり着いたのは午前9時すぎだった。
それから3時発のユーロスターまでは6時間も時間があるが、駅の外に出たり駅構内のカフェ
や待合室をはしごして、本を読んで過ごした。

c0188818_59506.jpg


その間、電光掲示板を見ていると、どんどん電車は運休、間引きまたは遅延となっていって
いる。リエージュからの電車も1時間遅れになったり、間引きされているのもあるから、
朝早い電車に乗ったのは正解であった。
ユーロスターだけは正常運行しているから、ストと知らずにブリュッセルにロンドンから到着
した客達は非常に困惑しているようだった。何しろそこから先に行く手段がごく限られている
のだ。
駅の案内カウンターや切符売り場、タクシー乗り場も長蛇の列だ。

危機を脱して、ほとんど遅延もなくロンドンに到着したのは午後4時過ぎだった。
遠征必勝法としては、正確な情報収集と冷静な判断とネヴァーギブアップ精神しかない、と
の思いを新たにし、また、強運を神に感謝した。
[PR]
by didoregina | 2014-12-16 05:15 | 旅行 | Comments(4)

England's Orpheus, or the festive finale of a year with.....Iestyn Davies

December the 5th is St. Nicholas’ Eve. In several parts of Europe, particularly
in the Netherlands and Belgium, it’s more important than Christmas, especially
for children who try to behave well to receive fancy presents from the Good Saint.
On that very evening, Iestyn Davies (countertenor) and Elizabeth Kenny (lutenist)
would give an intimate lute song concert at Shoreditch Church (St. Leonard’s) in London. Early music lovers might hardly imagine any better treat than this.
So I flew away from the warmth and cosiness of festive event in Holland to attend
the concert to celebrate the finale of an extraordinarily musically fruitful year.

c0188818_2045061.jpgEngland's Orpheus
5 December 2014, Shoreditch Church (St. Leonard's)
Iestyn Davies (countertenor), Elizabeth Kenny (lute)

Purcell: Music for a While,
Sweeter than Roses,
A Song Tune (lute solo),
RIgadoon (lute solo),
'Tis Nature's Voice.

Dowland: Come Again,
Flow My Tears,
Semper Dowland, Semper Dolens (lute solo),
Now, O Now I Needs Must Part

[interval]

Dowland: In Darkness Let Me Dwell,
King of Denmark's Galliard (lute solo),
Can She Excuse My Wrongs?,
Sorrow Stay

Handel: O Lord Whose Mercies Numberless,
Non può mia musa,
Può te, Orfeo, con dolce suono, Dunque maggio d'Orfeo,
Ogn'un canti e all'Armonia

Robert de Visée: Prelude and Chaconne (theorbo solo)

Purcell: By Beauteous Softness,
If Music Be The Food Of Love,
An Evening Hymn

Encores:
Handel: Cor Ingrato from Rinaldo
Thomas Morley: Will You Buy A Fine Dog?

I have a kind of tendency to avoid concerts held at churches, as I’m rather
critical and sceptical about the acoustics in churches in general; in most cases
the choir sounds too solemn to understand what they are singing because of
echoes and reverberations. In order to prevent that kind of disappointment,
you have to take a seat as close as possible to the musicians, where you can
hear the sounds directly. So my friends and I started standing in front of the
church door 30 minutes before it opened, and could successfully get the best
seats on the front row.
Another threat to a church concert is rather low temperature inside; in winter
you might regret, if you don’t dress like going out to watch a football game.
I remember a Bach concert at Our Lady’s Church in Maastricht a few years ago;
the audience jumped up soon after the last tune had faded (it took some time
before all became quiet, as the reverberation time of that church was extremely
long), clapped shortly and rushed outside, instead of giving a usual standing
ovation. Our patience reached nearly the limit, and it was too cold to behave
politely. I still wonder how musicians and their instruments survived in such
extreme circumstances…..

c0188818_2115895.jpg

(photo courtesy of Peraperaopera)

The fully packed Shoreditch Church looks quite cosy with candle lights here and
there on the stage. There are even some seats set on the stage just surrounding
the artists like a shield or a wall, which, in my view, would be aimed to create
better acoustics.

The opening number of the concert is Music for a while. During last 12 months I attended 9 concerts and 3 operas in which Iestyn was involved and this is my
5th time to hear his singing this song live. Music for a while is obviously and
absolutely my favourite song from Purcell, and this time it is accompanied with
the lute. This combination results in plain beauty. I am so touched by the music
played by two artists who look totally devoted to entertain us in such a sincere way. This is the best Music for a while rendition ever, bearing a touch of loneliness,
despair and hope. I first try to keep myself calm but soon surrender and let my
eyes filled with tears. Later Iestyn sings Flow My Tears suitably with full essence
of melancholy.

c0188818_2114668.jpg

(photo courtesy of Peraperaopera)

The second part after the interval starts with melancholic Dowland’s In Darkness
Let Me Dwell. It is impossible not to be blown away, by hearing England’s living
Orpheus singing this song. But he sings it without unnecessary pretension; yes,
which you can call the art of melancholy. I am particularly fond of the way he ends
the song suddenly with no display of sentiment, which is so effective, sensible and stylish.

Lutes and theorbo require tuning often, so Iestyn and Lizzy talk meanwhile about instruments, composers, their first collaboration some 20 years ago and so on.
(One of the CD booklets I brought to be signed is coincidentally the recording for
which they worked together when Iestyn was 13 years old. I asked them to sign
on it at the post-concert signing session. This is Iestyn’s autograph, mocking as if
a 13-year-old boy wrote it.)

c0188818_21112060.jpg


Lizzy plays some solo lute pieces, which also sound intimate and unpretentious.
Robert de Visee’s works are not familiar to me, but they recall me a same sort of
delight as Dutch art of 17th century. Perhaps it’s because of the composer’s name;
Vise is the nearest Begian town just across the border from my place. Might his
family have come from Vise, or he himself have been born there?

Handel is honourably nominated as an English Orpheus in this concert. I don’t
disagree, though he is totally different from the two former composers. I’m also
a Handelian and I always appreciate Iestyn’s performing roles in Handel’s operas
and oratorios, so it is more than welcome that Handel repertoire is included in
tonight’s programme. Iestyn sings Non puo mia musa, which, to my surprise, seamlessly matches the rest of the programme, even though it’s sung in Italian
with more vivid colours and lighter ornamentation than relatively monochrome
Dowland and Purcell songs.

c0188818_21175681.jpg


Purcell’s Evening Hymn is a perfect song to finish a lute song concert; I never call
this song a tearjerker, but this time I can’t help my lacrimal gland loosing. What a blessing.
There are two encore pieces: Handel’s Cor Igrato from Rinaldo, and Thomas Morly’s
Will you buy a fine dog? The contrast is huge:one is serious and the other is funny, which shows his versatility in wide repertoire. After attending this memorable, comprehensive and exquisite concert, I can’t help feeling like listening to Iestyn's performing on an opera stage soon again.
[PR]
by didoregina | 2014-12-09 21:38 | イエスティン・デイヴィス | Comments(2)

Around the world in 50 concerts RCOの世界ツアー、ドキュメンタリー映画

c0188818_22202022.jpg監督 Heddy Honigmann
2014年 オランダ




















ロイヤル・コンセルトヘボウ・オーケストラ(RCO)が2013年に行った創立125周年
記念世界ツアーのドキュメンタリー映画。
オランダ語原題は Om de wereld in 50 concertenで、2014年アムステルダム国際
ドキュメンタリー映画祭参加作品として、11月下旬に映画祭で公開されたばかり。
話題性は高かったのだが、12月初旬の底冷えする冬の日のリュミエールの観客は
わずか5名!

RCOの創立125周年を祝うTV特番は、昨年いくつかあり、5週連続でドキュ・ソープ
まで放映された。だから、このドキュメンタリー映画もそのTVドキュと似たもしくは
重複する内容なのではないか、という危惧を少々抱いたのだが、映画の方はコンセプトも
切り口もアプローチも全く異なるものであった。

c0188818_22355040.jpg


まず、団員の何人かにスポットを当てて、その楽器との関わりや音楽に関する個人的思い
などをインタビューで語らせているのだが、不特定多数の視聴者を対象としたTV番組とは
異なり、芸術家である音楽家へのアプローチというコンセプトがはっきり感じられる。
また、日常から離れたコンサート・ツアーという特殊な場面であるから、音楽についての
語り口がストレートで、視点がぶれずに腰が据わった内容となっている。
だから、楽器や音楽、コンサートの思い出話にしろ、味わい深い。

それから、マエストロ、マリス・ヤンソンスの指揮姿や練習風景も登場するのは、TVドキュ
でも同様だが、ドキュ映画の方では、マエストロらしさを前面に押し出したいわばヒーロー
的描写が中心で、誕生日だのホテル予約だのという舞台裏の下世話な話題は出てこない。

しかし、なんといってもこのドキュメンタリー映画は、単にツアーに同行して映像を繋げた
というわけでは全くなく、時間をかけてリサーチした結果の作品であることは明らかで、
特に世界各地の音楽ファンの「人間ドラマ」が浮き彫りになっている点が目新しい。

c0188818_22552439.jpg


ブエノスアイレスのタクシー運転手は、毎日12時間車を走らせているが、茫漠たる砂漠の
ような大都市での孤独感を埋めるため自分の世界を車の中に作り出す。すなわち、車中で
ずっとクラシック音楽を流して聴くのだ。乗客は、いわば、運転手の確固たる小宇宙にそれ
と知らずに入り否応なしに取り込まれる。それはまたとりもなおさず、運転手にとって
自己存在というものが希薄になって拡散しまうことを防ぐための方策であるらしい。

また、南アフリカ、ソヴェトに住む黒人たちが絶え間なく続く不安と危険と蔑視に満ちた
生活環境を一時でも忘れるため音楽の力で乗り切る、という姿を説得力溢れる映像と語り
で見せてくれる。

それら一つ一つはまったく別々のエピソードで、断片的描写であるにもかかわらず、
それぞれが有機的に繋がっているように思える構成である。
中ほどでコントラバス奏者がショスタコーヴィチの交響曲10番について語る場面が、
映画での最終ツアー地でのエピソードへの導入となっていることが最後にわかるのである。

ザンクトペトルスブルクの小さなアパートに住むユダヤ人男性の語り。
スターリン時代の粛清と僻地の収容所への隔離、そしてヒットラー時代には強制収容所に
入れられ、人生の大半をほとんど絶望的かつ生存不可能と思える状況におかれた彼が、
音楽を心の頼りに生きてきて、コンセルトヘボウ・オーケストラのコンサートに来る。
その彼が最後に見せる横顔に、このドキュメンタリーの真髄が表れている。

ラストでは、映画館の客席から思わず拍手がもれた。私以外全員が拍手していた。
[PR]
by didoregina | 2014-12-04 23:20 | 映画 | Comments(10)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


最新のコメント

Vermeerさま、多分..
by レイネ at 01:38
トマスのソロ・コンサート..
by Vemeer at 01:25
Vermeerさま、この..
by レイネ at 20:56
詳細なレポート、楽しく拝..
by Vermeer at 18:02
ロンドンの椿姫さま、それ..
by レイネ at 17:03
大満足のマスタークラスで..
by ロンドンの椿姫 at 23:41
鍵コメさま、ヴェロニカ・..
by didoregina at 18:57
Mevrouwさま、北海..
by レイネ at 18:46
レイネ様も怒涛の更新で、..
by Mevrouw at 23:33
Mevrouwさま、サー..
by レイネ at 22:10
Mevrouwさま、夏の..
by レイネ at 22:05
新作オペラに挑むのは本当..
by Mevrouw at 20:56
クロアチア~ベネチアを自..
by Mevrouw at 20:27
Mevrouwさま、ご高..
by レイネ at 20:19
ようやく一息つける日なの..
by Mevrouw at 19:57
Mevrouwさま、癒し..
by レイネ at 16:49
このところネットからも音..
by Mevrouw at 16:37
斑猫さま、もうすでにパリ..
by レイネ at 16:57
ロンドンの椿姫さま、まさ..
by レイネ at 16:54
こんにちは CT研究会..
by 斑猫 at 00:16

以前の記事

2017年 11月
2017年 10月
2017年 08月
2016年 11月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 06月
2015年 04月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月

タグ

最新のトラックバック

究極の愛を描いたワーグナ..
from dezire_photo &..
バッハが人類に残したメッ..
from dezire_photo &..
バッハが『ロ短調ミサ曲』..
from dezire_photo &..
ルター派のプロテスタント..
from dezire_photo &..
ダンテの『神曲』 ”地獄..
from dezire_photo &..
ポン=タヴァン派、総合主..
from dezire_photo &..
倉冨亮太さんの繊細な美し..
from dezire_photo &..
ダイナミックで刺激的な多..
from dezire_photo &..
贅沢と快楽に生きる娼婦な..
from dezire_photo &..
バッハとヘンデルの音楽性..
from dezire_photo &..

カテゴリ

全体
バロック
映画
オペラ実演
オペラ映像
オペラ コンサート形式
着物
セイリング
コンサート
美術
帽子
マレーナ・エルンマン
イエスティン・デイヴィス
クイーン
CD
20世紀の音楽
旅行
料理
彫金
ビール醸造所
ベルギー・ビール
ハイ・ティー
サイクリング
ダンス
ハイキング
バッグ
教会建築
カウンターテナー
演劇
未分類

検索

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

音楽
映画

画像一覧