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4月は桜の花びら散る着物で

暖冬で冬らしい冬が来ないままやり過ごしてしまった北ヨーロッパは、そのまますとんと春に突入した。

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4月上旬にすでに桜は満開。白い花びらのリンゴや梨や桜桃も次々に咲きだし、中旬には散り始めた。
例年より2、3週間早い。そして、開花期間が日本並みに短かった。
公園などで、花を愛でる人も目についた。

4月には3回着物を着る機会があった。咲き急ぐ今年の桜のようにはらはらと散る花びらや、花の付いた
小枝が描かれたものを選んだ。

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4月6日のクリスティアン・ベザイデンホウト(PF)とピーター・ウィスペルウェイ(VC)のベートーヴェン・
マラソン・コンサートで。エイントホーフェンのフリッツ・フィリップス・ミュージックヘボウのCD売り場。
マチネだから、あんまり派手な着物や白っぽいものは避けた。エイントホーフェンではいつもそうだが、
着物姿は大好評であった。

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                      帰宅後。

コンサートのルポを書き逃してしまったが、ベートーヴェンのチェロ・ソナタやチェロの変奏曲全曲
演奏という、午後3時から夜9時まで、休憩二回を挟むマラソン・コンサート。二度目の休憩には
インドネシア料理のブッフェも出て、一回目の休憩時のドリンク共、コンサートチケット料金に込み。

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肉、魚、野菜にチャーハンや焼きそばなど7,8種類の料理が並んで、味もピリ辛目で悪くなかった。


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花見をテーマに12,13日の週末は、ポーリンの帽子の店を開けた。12日、店の前で。
着物を着たわたしはアトラクション・ガール。やっぱり、派手な着物がこちらではウケがいい。



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翌日も着物でお客様をお出迎え。

咲く花と競うわけではないが、春の光に映える着物の色柄というのはある。
そして、その時期にしか着れない色や柄の着物をやはり纏いたくなるのだ。
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by didoregina | 2014-04-28 11:23 | 着物 | Comments(0)

Tom à la ferme グザヴィエ・ドラン監督・主演新作映画!

c0188818_184020.jpgDirected by Xavier Dolan

Produced by Xavier Dolan
Nathanaël Karmitz
Charles Gillibert

Screenplay by Xavier Dolan
Michel Marc Bouchard

Based on Tom at the Farm
by Michel Marc Bouchard

Starring
Xavier Dolan as Tom
Pierre-Yves Cardinal as Francis
Lise Roy as Agathe
Evelyne Brochu as Sara

Music by Gabriel Yared

Cinematography André Turpin

Editing by Xavier Dolan

2013 Canada France


先月25歳になったばかりのグザヴィエ・ドランが監督した長編映画としては4作目の作品。
そして、上記クレジットをご覧いただくとわかるように、撮影以外(本人が主演なので撮影
まで自分ですることは不可能だ)は、例のごとく彼が主担当である。
彼の作品というだけで、絶対に見逃すわけにはいかない!と意気込んでいたのだが、オランダ
国内での一般新聞および映画紙・誌での評は大絶賛ではなく、星も3つか4つ止まりである。
期待外れだったのだろうか。
どうやら、今までとはちょっとトーンが異なって、あからさまにヒッチコック風なのが、
批評家からちょっと引かれてしまった理由のひとつのようだ。

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                   長めの金髪でイメチェンしたトム役のドラン。


モントリオールでコピーライターとして働くトムは、亡くなった恋人ギョームの葬儀に出る
ため、その実家である田舎の農場に行く。
息子の若すぎる死を嘆き悲しむ母親はギョームが同性愛者だったとは夢にも思わない。ギョ
ームの兄フランシスは暴力と恐怖で他人を支配するサイコパスだ。
閉鎖的な田舎のコミュニティから疎外されている彼らの農場に脅され捕えこまれたトムは、
次第にストックホルム・シンドローム的心理に陥り、そこから逃げ出そうともしなくなる。

サイコ・スリラー映画になっているため、『サイコ』や『北北西に進路を取れ』の有名な
シーンのレファレンスというかパクリ映像みたいなシーンが今までのドラン監督らしくなく、
そこが一部の批評家にはお気に召さなかったようだ。わたしは、映画論講義の見本に使える
ほどそのものズパリのレファレンスに笑えてしまったが。

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フランシスは粗野で暴力的。次第に従順になってしまうトム。


20歳になるかならないかで長編映画監督デビューし、次々と作品を製作し、卓越した美意識を
持ち、年齢に似つかわしくないほど深い洞察力と冷静さで人間心理を描く彼の作品には、いつも
驚嘆させられた。
洞察力に優れ人間の心の綾をウィットに描き出す術に長けているという点で、夭折の天才作家
レイモン・ラディゲをほうふつとさせるのだ。

ドラン監督の一連の映画は同性愛や性同一性に関わる問題をテーマにした作品だったので、
すでにメッセージは出し尽くしたというところなのだろうか。今回の作品は今までよりも短め
であり、スリラーの形式をとっているため、語りがちょっとだけ説明不足という点が弱いと
言えば言えよう。
かえって、新機軸でいつものメッセージを打ち出したという点を評価したい。そして、やはり、
彼の作品は見逃すべきではない。
観賞後は心地よいインパクトに打ちのめされ、深い思いに囚われた。
グザヴィエ・ドランは、彼と同時代に生きて最新作を見ることのできる幸せを感じさせ、今後の
動向が気になるという稀な映画監督だ。


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                     とにかくスイートでキュートなドラン!                


監督のみならず、俳優としてのカリスマ性があり、自然な演技の素晴らしさ、表情での表現の
巧みさにも毎度唖然となる。
ただし、毎回、音楽だけちょっとなあと思ってしまうので、ニコ・マーリー(The Reader
『愛を読む人』サウンド・トラック担当の若手作曲家)とコラボして貰えたら、鬼に金棒である。
それがわたしの夢である。
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by didoregina | 2014-04-27 12:10 | 映画 | Comments(6)

シティ・ポロとロイヤル・アスコット、午年にふさわしいイヴェント

今年は午年ということが無意識に作用しているのかどうか定かではないが、いくつかの馬関連
イヴェントに参加することになった。

3月21・22・23日の3日間マーストリヒトのフレイトホフ広場で、昨年に続いて第二回目の「シティ・
ポロ・マーストリヒト」なるイヴァントが行われた。
町の中心の広場に砂を敷き詰めて40メートルX60メートルの柵で囲まれたアリーナ上で、2対2で
争われるポロ競技である。
通常のポロ競技は草上で行われるのだが、冬のオフシーズンにはアリーナ・ポロと呼ばれるコン
パクトな競技が開催される。

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参加チームは6つで、選手はオランダ、ドイツ、ベルギー、ルクセンブルク、イギリスなどから集結。

各試合は10分ほどと短いのは非常にインテンシブなスポーツであることと、馬の安全性保護(愛護
上の観点もあり)のため、馬はどんどん交代するから、2対2で対戦するのに都合50頭の馬が必要
である。

広場地下は駐車場になっているのだが、このイヴェントのスポンサーの一つが大手パーキング
会社なので、駐車場の一部を仮設厩舎に作り替えて、競技に必要な馬50頭のための場所を
町の真ん中に確保したのである。

↓に昨年の動画を貼る。設営の様子も見られる。


このポロ・イヴェントにはチャリティーの意味合いもあるから、VIP用仮設建物入場料は、初日夜の
試合観戦は300ユーロ、土曜日は一日で275ユーロ、日曜日午後は150ユーロとなっているのだが、
軽食やつまみ、ショーやダンス・イヴェント付だし、スポンサーに某有名シャンペン会社が入っている
からシャンペンも飲み放題だ。

日曜午後は「帽子でレイジー・アフタヌーン」と名づけられているように、帽子着用が原則となっている。
わたしは帽子アトリエのアシスタントとして参加したのである。
帽子を被ってきていない人にはその場で買ってもらおうという意図も少しはあったが、こういうおハイソな
イヴェントに出店して、帽子の店とアトリエの存在をアピールする、PRとしての意味合いが重要なので
あった。

仕事とはいえ、搬入・搬出とセッティング、お客さんへの対応以外は、前面ガラス張りのVIPテントの
中でシャンペンを飲みつつ、ウォーキングディナー形式で次々と配られる美味しいつまみをいただき、
外で行われるポロを観戦するという優雅な午後なのであった。


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帽子作りのモディストとしては、毎年6月にアスコットで開催されるロイヤル・アスコット競馬に帽子を
被って行くことは祭りに参加するという感じで、また胸躍る晴れの舞台であるし、デモンストレーション
としてもとても重要である。
今年ようやく、ロイヤル・アスコットにデビューすることになった。オープニング・デイに女性4人で行く。

アスコット・オープニング・デイといえば、『マイ・フェア・レディ』のこのシーン。




そのための帽子、およびマッチしたドレスを作るのに大わらわの最中である。
ロイヤル・アスコットのレディース・デイなど、マスコミに出てくる帽子にはてんこ盛りでやり過ぎ、目立つ
ことだけが目的みたいな、美意識のかけらも感じられないものが目につくから、そういうのは避けたい。
マイ・フェア・レディ風エレガンス路線をわたしは進みたい。

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色はラベンダーとライラックと藤色の中間のようなパープル系で、黒のプリントのあるシザル素材
(上)で、デザインとしては下のものに近いアシンメトリーなブリムということに決めて、型に入れた。
帽子は、フィニシングタッチのデコレーションで出来上がりの全くイメージが変わるから、それは帽子の形が
出来上がってから決める。
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by didoregina | 2014-04-25 10:40 | 帽子 | Comments(0)

Britten Sinfoniaによるヨハネ受難曲@コンセルトヘボウ

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2014年4月17日@Concertgebouw

J.S. Bach - Johannes-Passion, BWV 245

Britten Sinfonia Voices
Britten Sinfonia
Jacqueline Shave (viool/leiding)
Nicholas Mulroy (tenor, Evangelist)
Matthew Brook (bas, Christus)
Julia Doyle (sopraan)
Iestyn Davies (countertenor)
Jeremy Budd (tenor)
Eamonn Dougan (bas, Pilatus)

オランダ・バッハ協会による『マタイ』の2日後に、アムステルダムのコンセルトヘボウでの
イギリスの団体Britten Sinfoniaによる『ヨハネ』コンサートに行った。
前者のネームバリューが各段に高いのに対して、後者の名前は寡聞にして知らなかったし、
イギリスの楽団は中庸の美徳を重んじるかのようでスリリングな演奏にはぶち当たったことが
ほとんどないから、あまり期待せずにいた。
ハッキリ言うと、今年はとにかく生のイエスティン・デイヴィスを聞き逃したくないという理由から
チケットを買ったのであった。『ヨハネ』の方が耳なじみがよくて好き、という理由もあるが。
案の定、チケットの売れ行きはほとんど直前まで芳しくなかったが、当日、少なくとも平土間
席は埋まっていたと思う。

しかし、結果は期待を上回るどころの話ではなく、聞く前になんだかしょぼそうとか言っていた
自分を恥じ土下座して謝りたいほどの素晴らしくエネルギッシュな演奏だったのだ。
ヴァイオリンの最初の音がちょっとばらけているように聞え、あららやっぱり、などど一瞬だけ
思ったのを除くと、スリリングかつドラマ性のあるオケの演奏は冴えていた。
チェンバロ奏者が指揮を兼ねているのかと思ったらそうではなく、コンミスのジャクリーン・シェイヴ
女史がきびきびとリードして、オケ全員がまるでソリストのように主張溢れかつ室内楽風に親密で
息のあったまとまりを作り上げていた。
脱帽である。

↓にBritten Sinfoniaのプロモ・ヴィデオを貼るので、ご視聴あれ。




なぜ、わたしは『ヨハネ』が好きかと言うと、最初にガツンとくるHerr, unser Herrscherで
否応なく熱い音楽の渦中に引き込まれ、こうべを垂れる思いになり、最後まで緊迫感溢れる
ドラマが無駄なく進行して続くので、コンパクトにきゅっと詰まった緻密な音楽の中に自分が
閉じこまれたような感覚になるのがたまらなく気持ちいいからだ。
そして、コラールの部分にどこか中世的な土臭い匂いが感じられ、ホッとできる部分がちゃんと
ある。聴く方にも緊張だけを要求しないのである。
それでいて劇と音楽の融合性と密度が高いため、途中で飽きたり他のことを考えたりする余裕を
与えない。
その晩の演奏は、まさにそういう密度が高く結晶化したかのようで、弛緩した部分が全くない
理想的な姿なのだった。

コンセルトヘボウで聴く受難曲というのは初めての経験だったのだが、それも期待以上であった。
音響的にモダンでドライすぎたりすることなく、大きな教会で聴くように合唱が団子になってしまう
こともなく、ソロ・パートはクリアでよく響き、隔靴掻痒感が全くない。
荘厳さと言う点では教会で聴く受難曲に勝るものはないという思いもあるのだが、音楽として聴く
にはこのホールはやはりさすがの素晴らしさである。

もう一つ期待していたのは、コンセルトヘボウの大ホールで聴くイエスティン君の歌唱である。
彼は声の飛ばし方が大変よく大ホールの隅々まで届くはずだし声量もしっかりあるから、去年
11月に小ホールで聴いたときには会場が狭すぎて響きすぎるし、もっと大きなホールで聴きたい
なあと思ったものである。
その期待は裏切られなかった。彼の声の魅力は、確固とした男性的な芯を内包しつつ外側も
ふやけたりぼやけたりしたところがないが優しさを感じさせ、ストレートな直球で勝負という歌唱の
小気味よさである。
てらいがなく、またある意味カウンターテナーらしからぬ男性的なアプローチなのである。
小柄ながら胸板が厚そうなので、胸声の幅が広いのかもしれない。だから、特に中音域にその
精華が詰まった歌唱を聞かせるのだが、高音にもその特徴が現れている。高音域でもあまり
ファルセットっぽい声ではないところが、ちょっと一般的にCTに期待されるものとはずれるかも
しれないが、それが彼の個性だと思う。

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ソロ歌手は皆若く、先日の『マタイ』でも思ったように重厚さよりも爽やかさが勝る。
福音史家の歌手も若いが堂々と安定したものである。バスは渋みのある重々しい声で説得力も
あった。そして、ソプラノの軽く清々しい歌唱がとても光っていた。
合唱もソロも全体的に、非常にハイレベルなのに驚かされた。

そういうわけで、今回の『ヨハネ』は、演奏の小気味よさもさることながら感動レベルも高い、近年
稀に遭遇するコンサートなのだった。
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by didoregina | 2014-04-23 13:01 | コンサート | Comments(0)

オランダ・バッハ協会の『マタイ受難曲』コンサート

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Johann Sebastian Bach - Matthäus-Passion, BWV 244
2014年4月15日@Muziekgebouw Eindhoven

Nederlandse Bachvereniging
Jos van Veldhoven, dirigent
Benjamin Hulett, tenor
Charles Daniels, tenor
Griet De Geyter, sopraan
Lore Binon, sopraan
Tim Mead, contratenor
Alex Potter, contratenor
Robert Murray, tenor
Andreas Wolf, Bas
Sabastian Noack, bas
Kampen Boys Choir,

オランダに住んでいると、復活祭前の受難節には各地で開かれる受難曲コンサートを避けて
通るのは難しい。
TVでも新聞でもオランダ各地の、様々な団体による受難曲コンサートが話題に上る。
毎年この時期の国を挙げてのフィーヴァーぶりはオランダ独特の風物詩と化している。
この社会現象の分析もされてはいるが、もうほとんど理論とかを超えた国民体質的なものに
なってきているように思われるのである。
ほとんど、年末の日本の全国各地で第九コンサートが開かれるのと表層的には似たような
様相であるが、オランダの場合、やはり宗教が絡んでいて人々のDNAに刻み込まれている
から、みそぎの気分になるのである。
そしてまた、ふだんあまりバッハや古楽はたまたクラシックのコンサートに足を向けない人々、
特に比較的新興の富裕層にとって受難曲コンサートに行くのはほとんど義務に近いような
社交の場として重要な意味を持つ。
受難曲(の話題)を聴かないと春を迎えた気分にならないのは、第九なしでは師走気分が盛り
上がらない(?)という感覚および、時勢に乗り遅れてはならないというのに近いのかもしれない。

バッハの受難曲の横綱「ヨハネ」と「マタイ」を比べると、人気は「マタイ」に軍配が上がるようだ。
(聴衆も演奏者も同等に長い苦を共有するという点でも好まれるのだろうか。)

オランダ人キリスト教徒であれば(オランダ語でクリスチャンと言う場合、基本的にプロテスタン
トのことを指すのは言語学上および社会的にも周知の事実である。たとえば、学校にしろ組織
にしろ、宗教別セグリゲーションが現在でも残る国オランダでのクリスチャンと銘打った組織は
プロテスタントのことであることを理解すべきだ。オランダ語でコーヒーショップというとコーヒーを
飲むためでhなくソフトドラッグが買える店のことであるのと同様、間違えると大変な目に合う)
すっきりと復活祭を迎えるためには受難曲で禊をするのが精神上よろしいようである。
(これは、また、オランダのカトリック教徒が四旬節の始まる前にカーニヴァルを祝って飲めや
歌えの大騒ぎをするのと好対照なのであるが、復活祭までの潔斎の期間のとらえ方の裏表を
成すともいえる)

前置きが異常に長くなってしまったが、オランダの国を挙げての受難曲コンサートの白眉であると
誰からも太鼓判を押されているオランダ・バッハ協会による「マタイ」コンサートに行ってきた。

個人的には、「ヨハネ」の方が好きだ。短い中に凝縮されたドラマがより濃く感じられるからだ。
そして、できうれば、音響のいい(すなわち残響や反響がほどほどである)教会で聴きたい。
しかし、それが難しいとなればコンサートホールで聴く。ありがたみが薄れるのは仕方ないが。

この「マタイ」は、さすがに人気曲の人気団体による演奏なので、チケットを買おうと思った
時には遅く、ソールドアウトだった。それでも、諦めずに毎日のようにリターンチケットをチェック
していたら、なんと当日になって4枚出てきたのを発見。しかしそのうち2枚はオンラインでの
手続き中に先に売れてしまった。本当に最後の最後の2枚をゲットできたのは、ティム・ミードの
おかげである。
いや、別に彼から直接チケットをもらったとか招待されたわけではない。彼はオランダ・バッハ
教会のマタイ・ツアーに今年参加中で、FBにオランダのTV番組の紹介をポストしていたので
それにコメントを入れたついでに、ふと思い立ってエイントホーフェンのホールのサイトを覗い
たら、リターンが絶好のタイミングで出ていたのだ。

ティム君がFBで紹介していた動画もまたいかにもオランダならではのものであった。
もう何年も前のことであるが、オランダでは「マタイ」マスタークラスと称したTV番組があった。
セレブに特訓を施して「マタイ」のソロパートをコンサートで歌わせるという、よくあるタイプの
リアリティ・ドキュである。
こういう番組を世界のTV局が作るべきだ、と彼は書いていたのだが、「それは、皆が毎年、受難曲
コンサートに行くような、究極の受難曲愛好国であるオランダでしか無理なんではない?」とわたしは
コメントした。「たしかに。イギリスじゃこういう番組、受けそうもないよね」とのお返事であった。
そして、その後すぐにその晩のチケットが手に入ったので、「今晩、エイントホーフェンのコンサート
に行きます。またね」と返事をしたのであった。

コンサートホールはまさに超満員で、ポディウム席に3つだけ空きが見えただけだ。
ステージは、真ん中にチェンバロとオルガンそしてテオルボ、左右に弦楽器が均等の対抗配置と
なっていて、管楽器は中央辺りで、上手奥にもう一台オルガンが置かれていた。
舞台後方下手に8人の合唱隊、後方上手に少年合唱隊6名、中央奥に福音史家、ソロ歌手たちも
左右2グループに分かれてダブル配置されていた。
合唱隊員が少ない分、ダブル人員で1人当たりの労力が省力化されたソリストたちも合唱部分
には参加するという、エネルギー及びギャラ等の金銭面でも節約を前面に打ち出したものである。
すなわち、福音史家とイエス役以外の各ソロ部分は2人で担当するのである。

実際、毎晩のように(バッハ協会の場合コンサートは12回)長大なコンサート・ツアーを行うのは
演奏家にとったら大変な重労働だろう。聴く方がよっぽど楽である。

全体の印象は、メインのソリストが非常に若い歌手で揃えられていたため、すがすがしさが前面に
打ち出されていた。
特に、福音史家役のイギリス人テノールが若くて歌唱も爽やかで若々しく、イエス役のドイツ人バス
も同様に若いのだが、ルックスに似合わないほど骨太で重厚な低音が美しく印象的であった。
この二人の若い歌手双方とも爽やかな歌唱であるのだが、高音の軽みと低音の重みの対比が抜群
で、どちらもバランスがとれているコンビなのだった。

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決め手はカウンターテナーのティム・ミードであった。
もともと彼を目当てに聴きに行ったのだが、予想以上の素晴らしさである。自然かつ澄んだ高音も
中音域も無理が全く感じられない発声とよく飛ぶ声とで、自然な表現力もあいまって聴く者を感動に
誘うのである。特にマタイの中でも一番人気で美しいアリアErbarme dichの説得力にあふれ
かつピュアな哀しみを感じさせる歌唱の美しさはまさに天上からの声のようで、満場息を呑んだ。
自信があふれ出ているような安定性のある歌唱と澄んだ声は、まさにバッハの音楽にうってつけで
彼の進化には目を瞠り、今後も応援していきたいと思わせたのだった。

オケも手堅く、文句のつけようはなかった。
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by didoregina | 2014-04-17 15:33 | コンサート | Comments(10)

来季のOudeMuziekは 近場で充実のプログラム

各地の歌劇場・コンサートホールの来シーズン演目・日程が次々に発表されている。
エキサイティングなのではあるが、一喜一憂というより、個人的にはイマイチ盛り上がりに
欠けているのは、追っかけ相手が出演するのがほとんどまだどこにも見つかっていないからだ。
寂しいことである。

そんな中、渋いながらも、おっと目を剥くような充実さで冴えているのがOudeMuziekの
ブロシャーである。
近場に面白そうなのが来るのだ。そして、なぜかリュートが目につく。


Saturday 13 Dec 2014 20.00 hr
Ton Koopman & Tini Mathot
Limbricht, St. Salviuskerkje
コープマン夫妻が二台のチェンバロでバッハ『フーガの技法』


Friday 30 Jan 2015 20.30 hr
Concerto Copenhagen   Mass in B Minor, BWV 232
Maastricht, St.-Theresiakerk
Maria Keohane, Joanne Lunn, sopranos
Alex Potter, alto
Jan Kobow, tenor
Peter Harvey, bass
Lars Ulrik Mortensen, conductor
CoCoによるバッハ『ロ短調ミサ』


Saturday 21 Feb 2015 20.00 hr
Musicall Humors   Consort music by Dowland and Holborne
Limbricht, St. Salviuskerkje
Julien Léonard, alto gamba
Nick Milne, alto- and tenor gamba
Myriam Rignol, tenor gamba
Lucile Boulanger, bass gamba
Josh Cheatam, bass gamba
Thomas Dunford, lute
François Guerrier, organ en harpsichord
リュートのエリック・クラプトン、トマス・ダンフォード君が近くの教会に登場!

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        左端がトマス君。弱冠26歳。キュート!

この写真をブロシャーに発見し狂喜した。なぜかというと、彼は現在イエスティン・デイヴィスと
一緒にリュート・ソングの北米ツアーを行っている、若き相棒なのだ。
そして、BBCマガジンで「リュートのエリック・クラプトン」と書かれて以来、狭い世界でだが話題を
振りまいているのである。



とうとうツアーの最中にエリック・クラプトンの歌を歌う羽目になったイエスティン君。
「リュートのエリック・クラプトン」の伴奏で。




Saturday 21 Mar 2015 20.30 hr
Emma Kirkby & Jakob Lindberg  English Lute Songs
Maastricht, Cellebroederskapel
私が今年から参加している合唱団の本拠地・練習場所であるチャペルでのコンサートだから
行かないわけにいくまい。。。。



Saturday 25 Apr 2015 20.30 hr
ClubMediéval  The Enamoured Abbot
Kapel Zusters onder de bogen
Ballatas and madrigals by Don Paolo da Firenze (ca. 1355-1436)
イタリア中世のバラードとマドリガーレ



Sunday 03 May 2015 14.30 hr
Tiburtina  Visions of Hildegard
Limbricht, St. Salviuskerkje

Barbora Sojková, soprano, harp and leader
Hana Blažíková, soprano and harp
Ivana Bilej Brouková, soprano
Tereza Havlíková, soprano
Daniela Cermáková, alto
Kamila Mazalová, alto
Anna Chadimová Havlíková, alto
Margit Übellacker, dulcemelos
ハナちゃん出演で、12世紀のヒルデガルド・フォン・ビンゲン!



Saturday 09 May 2015 20.30 hr
Jordi Savall & Xavier Díaz-Latorre  Ostinatos & Improvisations
Maastricht, St.-Janskerk
Ostinatos & Improvisations Ortiz, Hume, De Murcia
出た!御大サヴァール!


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                最近とみにゴシック度が増しているハナちゃん


Thursday 28 May 2015 20.15 hr
Collegium Vocale Gent  O dolce mio tesoro
Eindhoven, Catharinakerk
O dolce mio tesoro Madrigals by Carlo Gesualdo from Books V and VI (1611)
Hana Blažíková, soprano
Barbora Sojková, mezzo soprano
Marnix De Cat, contratenor
Thomas Hobbs, tenor
Peter Kooij, bass
Thomas Dunford, lute
Philippe Herreweghe, conductor
シーズン最後は、ヘレヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ・ヘントにハナちゃん他の豪華ソリストで
ジェズアルドのマドリガーレ!
これにもトマス君がリュートで参加!

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               ハナちゃんをまた間近で見ることができる!
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by didoregina | 2014-04-02 19:50 | コンサート | Comments(24)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

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プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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