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入港は風車を目印に  ヨットでのんびりゼーランドその5

水上から眺める風景の中に、風車がよく目につくのがいかにもオランダらしい。

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          ジーリックゼーのハーバーでも、風車が出迎えてくれる。

6年前、ヨットで初めてジーリックゼーへ入港した時、この風車は印象に残った。
その数年後、マーストリヒトのアート・オークションで、シャルル・エイクのペン画を見つけた。
記念になるからと入札したら、ほぼ希望通りの額で落札できた。

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              堤防の上、陸側から描かれたジーリックゼーの風車


海上や水上で、遠くからでも目立って目標となりやすいのは、背の高いモダンな風車群だ。

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              デルタ締切堤防から北海へ抜けるロームポット水門脇の風車


しかし、何といっても心からほっとできるのは、昔ながらの風車が堤防に立つ村や町の港に
近づいた時。
潮の香りと波や風の音だけで過ごした一日のセイリングを終えて、人間の香りがする娑婆に
戻った気にさせてくれる風車は、私にとって結界のシンボルである。

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               ウィレムスタッドに入港するときは、この風車を目指す。


10年ほど前、クルーザータイプのヨットの訓練をウィレムスタッドで受けた。
それ以来、このハーバーには来ていなかったが、風車と港のイメージは脳裏に残っていて、
水上からこの風車が目に入ると、懐かしさで胸がいっぱいになった。

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               ウィレムスタッドのハーバーと町を見下ろす風車


ウィレムスタッドのハーバーに舫ったトリトン号の2つ隣に係留されたヨットの東洋人女性が、
人懐っこい笑みを浮かべて、ヨットに乗るとき会釈していった。
同じ東洋人ということで親近感を感じたのだろうか。その会釈の仕方がいかにも自然で、日本人らしい
謙虚さを感じさせる。

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               ウィレムスタッドのマウリッツハイス(プリンス・マウリッツの別荘)


夏至が近いのでなかなか日の暮れない夕刻から夜まで、町を散歩したり港の見えるレストランで
食事したり、河岸を変えて別のカフェでお茶をしたりして、ヨットに戻ったのは夜遅くになってからだ。

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          コーヒーとチョコレートのセット(一人分3つX四人分)で、盛り上がった。

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          美味しさとウエイターの愛想のよさにつられて、私だけもうワンセット追加。


翌朝出航するとき、2つ隣のヨットの名前を見たら、果たして日本人女性の名前が付けられていた。
オランダ人らしい旦那様と日本人に違いない奥様は、セイリングの週末を終えて、帰宅した後らしく、
ヨットの入口はロックされ、舵にもカバーがかかっていた。
一期一会のチャンスを逃したのが残念だ。

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               ウィレムスタッドの街路樹は、菩提樹の緑のトンネル
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by didoregina | 2013-06-28 14:48 | セイリング | Comments(3)

Night train to Lisbon リスボンはほろ苦い

c0188818_454790.jpgDirected by Bille August
Written by Greg Latter, Ulrich Herrmann
Based on Night Train to Lisbon
by Pascal Mercier
Music by Annette Focks
Cinematography Filip Zumbrunn
Editing by Hansjörg Weißbrich
Cast
Jeremy Irons as Raimund Gregorius
Mélanie Laurent as young Estefânia
Jack Huston as Amadeu do Prado
Martina Gedeck as Mariana
Bruno Ganz as older Jorge O'Kelly
Christopher Lee as older Father Bartolomeu
Lena Olin as older Estefânia
Charlotte Rampling as older Adriana do Prado
Tom Courtenay as older João Eça
Marco d'Almeida as young João Eça
August Diehl as young Jorge O'Kelly
Beatriz Batarda as young Adriana do Prado
Burghart Klaußner as Judge Prado
Filipe Vargas as young Father Bartolomeu
Adriano Luz as Rui Luís Mendes, the Butcher of Lisbon

この映画は、なぜか一般新聞上での評価が低かった。そのせいで、見に行くのを伸ばし延ばしに
してしまって、ようやく昨日見たのだった。
リュミエールにしてはロングラン上演を続けていて、平日昼間だというのに客席は比較的よく埋まっ
ていた。これらのことから、観客受けはいい、ということがわかる。
実際に見て、古い格言が的を得ていることを思い知った。すなわち、「百聞は一見に如かず」。

まず、上記キャストをご覧いただきたい。ほとんど、往年のオールスター・キャストと言っても過言
ではあるまい。
新聞の映画評が芳しくないにも関わらず、ジェレミー・アイアンズ、シャーロット・ランプリング、
レーナ・オリンという私好みの役者が出演しているのに魅かれて見に行ったのだ。
またしかし、彼らを「往年の」という形容詞で飾ることにも躊躇がある。年を取って、昔の美貌は
さすがにうつろってはいるが、加齢を味方につけて味を増した現役の役者たちである。

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ジェレミー・アイアンズといえば、いつでも相変わらずエロおやぢの役が多いのだが、この映画での
彼は、分厚いレンズの眼鏡をかけたラテン語教師で、さしずめ30年遅れのナードという役どころだ。
エロさは微塵もない。
その彼が、ミステリアスな赤い皮コートの若い女の持っていた本に導かれ、何もかもほっぽり出して
突然、ベルンからリスボン行きの列車に乗ってしまうのだった。
本の虫らしく、女に魅かれたというわけではないのがミソである。

華麗な文章で綴られた私小説を読む進むうちにその内容に引き込まれ、リスボンに着くとアマデオと
いう名の本の作者を訪ねる。
そこで彼を招じ入れるのが、シャーロット・ランプリング扮するところの、アマデオの妹だ。
チョイ役だとばかり思っていたランプリング様が、わりとしょっぱなから登場するのでびっくり。
その透明でアイシーな目に吸い込まれそうになった。

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  アマデオはとうの昔に亡くなっているのに、今でも住んでいるかのように振る舞う妹

主人公が、私家版で100部だけしか印刷されなかったという本に描かれた場所を訪ねると、次々と
本の登場人物やその係累に出会うことになる。まるで見えない糸に繋がっているかのように。
謎解きをする探偵のように、登場人物への共感を持って、今は年老いたそれらの人々の話を
聴くのだった。彼らは、聴いてくれる耳を待っていたのかもしれない。
明かされていく過去は、リスボンの暗い独裁制時代のレジスタンスたちの物語だ。
さほど昔の話ではない。70年代のことである。

予断を許さないスリリングな展開だが、想像を絶するようなショッキングな出来事やシーンがあるわけ
ではない。
理想と自由とロマンを追い求める青春時代の仲間や家族の錯綜する情熱のドラマが、いかにも憂い
あるポルトガルらしい静けさで進むだけだ。
そのあたりが、インパクトの強いホロコーストものと比べたら物足りなくて、批評家受けしなかったの
だろうか。
しかし私は、レジスタンス仲間は皆、アマデオを除いては生存しているという事実に驚かされたし、
過去と現在がフラッシュバックやフラッシュフォワードで交差するストーリー展開の、夜行列車の進み
方にも似た緩やかさに上手く乗ったのだった。
ゆらりゆらりと乗せられて、近づいたり遠ざかる美しかったり醜かったりする風景を列車の窓から
眺めるようで、わくわくと楽しんだのである。

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           分厚い牛乳瓶の底みたいなレンズの眼鏡をかけたアイアンズ

仲間の中で最も理想を貫き通したアマデオだけが、革命成就のその日に脳血栓で若いのにあっけ
なく亡くなってしまうという、運命の皮肉。

40年を経て、皆が忘れようと努めた暗い過去は風化してしまった。
レーナ・オリン演じる元革命の闘志エステファニアの現在の安らかな生活と彼女の語る心境とで、
彼女は過去を捨て去っていることがわかる。若くして亡くなったアマデオと、過去に束縛されたまま
のその妹の境遇と比べると、その違いはあまりにも残酷でもある。
振り返ると青春はやはり、甘く苦い。
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by didoregina | 2013-06-27 23:19 | 映画 | Comments(0)

水門を越える   ヨットでのんびりゼーランドその4

オランダのゼーランド州は、デルタで分かれた島々からなるのだが、現在では、干拓や堤防などで
本土や島同士繋がっている元島が多い。
また、北海の高潮から島々を守る堤防によって、海水の流入が制限され汽水化・淡水化している
部分も多い。水上から望む島々や湖、海など風景や自然のみならず、風向きや水深・満干潮など
いろいろな要素を勘案に入れないといけないのでセイリングも変化に富む。

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                     フェーレの水門を上から見る。

海や川や運河はそれぞれ、水位の高低差があるため、運河の出入り口や堤防を通過する際には、
水門を越えなくてはならない。

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                     ワルヘレン運河、フェーレの水門

水門通過は慣れないと結構大変で、緊張を要する。

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                     北海と東スヘルデを隔てるデルタ締切堤防
                     の水門。シーズン・オフで混んでない。

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                     水門が開いた。この時の水位の高低差はあまりない。
                     でも、水門内の壁に付いた藻の高さで、日時によっては
                     かなり高低差があることがわかる。


まず、水門手前の桟橋に舫って、水門入口の扉が開くのを待つ。開閉の時間は一応決まっている
ところが多いが、あまり当てにはならない。指示を聞くためマリフォーンのチャンネルを合わせる。
赤と青信号が付いたり、ベルが鳴ったりして水門の扉が開いたら、進入して前から順に左右に詰め
水門内部の壁のボルダーに舫う。

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                      フェーレ湖から東スヘルデに通じる水門は
                      週末のため、大変な混雑。ぶつからないように
                      気をつかう。

入口の扉が閉まって、水門内の水位が調節される。ゼーランドだと、場所や満干潮の時間にもよるが
水門に隔てられた湖や川や海や運河の水位の高低差は1メートルくらいだ。
出口の扉が開いてベルが鳴り青信号が付いたらロープを解いて順に外に出る。

ゼーランドのシント・アナランドのマリーナに5年前からヨットを置いているHとTは、数えきれない
回数いろいろな水門を越えているが、混雑してたり風が強い場合は、やはり緊張するし難しい。
今回は、舵手以外に3人の手があるから、少しは楽だったかもしれないが。
ソロでセイリングしてるベテランなどが、器用に一人で水門を越えるのを驚嘆の目で見る。

平底のモーターボートだったら、風の影響をほとんど受けないし、強力なエンジンもあるし、水深
に気を遣わなくてもいいから、水門越えも余裕でできる。開閉を待つ時間にサンドイッチ食べたり
している。のんびりできて、リタイアしたご夫婦向き。

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                       ヘレフットスロイスの町中にあるハーバーに通じる水門
                       

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                       夕刻のヘレフットスロイス運河入口の灯台
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by didoregina | 2013-06-25 12:06 | セイリング | Comments(0)

オドレイ・トトウ主演の文芸映画 『テレーズ・デスケルウ』

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テレーズ・デスケルウ

監督: Claude Miller
原作: François Mauriac
出演: Audrey Tautou (Thérèse Desqueyroux)
Gilles Lellouche (Bernard Desqueyroux)
Anaïs Demoustier (Anne de la Trave)
Catherine Arditi (Madame de la Trave)

脚本: Claude Miller, Natalie Carter
撮影: Gérard de Battista
編集: Véronique Lange
美術: Laurence Brenguier
2012年 フランス






期待の文芸作品映画化だが、新聞などの評での意見は大きく分かれた。
それは多分、すでに1962年にエマニュエル・リヴァ主演で映画化されているものと比べたり
した結果でもあるだろう。今また、この作品をリメークする必然性というか現代性が感じら
れなければバツである。
フレジュ監督版の方は、Youtubeで全編観ることができるから、まず白黒映画の方を見てみた。
しかし、どうも途中で眠くなってしまったのだった。

それに対して、最新版の方は、結構わたしのツボにはまったのだった。

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オドレイ・トトウが、アンニュイと個性と才気溢れる人妻を意外にも好演している。
その個性とは、『アメリ』や『ココ・シャネル』で見せたような若さ溌剌として少々コケット
かつ天衣無縫の魅力とは正反対である。
想像力貧困で俗物を絵に描いたような夫との旧弊な地方での退屈な結婚生活という檻に入れら
れ、窒息しそうな毎日に疲れはてた人妻の起こす事件というのは、しかしあまり同情を誘わな
いもので、その点でも評価が分かれるのだと思われるが、テレーズの暗い心情をトトウの表情
は何とも上手く表現しているとわたしは感心した。

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やつれて、思いつめたような表情のテレーズ

モガみたいなヘア・メイクと服装で、たばこも離せないという、資産家の飛んでる人妻の心に
巣食う闇に感情移入できないと、この映画はつまらないだろう。
なにしろ、テレーズは別の男と恋愛や駆け落ちするわけではなく、夫への薬の量を測り違え
毒殺未遂事件を起こすだけである。そして、スキャンダルを恐れて事件をもみ消そうとする夫
とその家族によって、心神喪失ということにされて、軟禁生活を余儀なくされ自由も心のより
どころもを奪われてしまう。

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音楽が、そのテレーズの心境をそのまま物語っている。
シューベルトの『楽興の時』第2番の第二部分が、最初からずっと、しつこく繰り返される
のだ。
ランド地方を覆う松林の松の木のどろりとからみつく樹液にあたかも縛られ、逃げ出したく
てもかなわないテレーズの状況そのままである。
この音楽はなぜかフランス映画によく使われるが、ここでのピアノの音色がとても粘液質で、
フランスのピアニストらしい軽さが感じられないので、誰が弾いてるのだろうと思ったら、
アルフレッド・ブレンデルだった。
なるほど、アレクサンドル・タローとかだったら、もっとドライかつ静謐だろう。

聴く者の心を引っ掻き不安を煽るようなフレーズの繰り返しなのだが、なんと映画の最終
場面になって、ピアノ曲の第四部分がようやく流れる。
テレーズの生活が一新して希望が見えるという予兆を残しつつ、最後までは聴かせない・
見せないという、ニクい切り方で曲も映画も終わるのだが、この曲を知っている人なら、
テレーズの未来の予想が付くはずなのだ。
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by didoregina | 2013-06-21 20:29 | 映画 | Comments(0)

ワルヘレン運河の跳ね橋を次々に通過   ヨットでのんびりゼーランドその3

フリッシンゲンからは、ワルヘレン島を南北に貫き、西スヘルデとフェーレ湖を繋ぐワルヘレン
運河を北に向かった。
途中の町ミドルフルフまでの間に、橋を5つ通過する。
橋桁はヨットのマストよりもずっと低いから、ヨット航行のために、跳ね橋や回転橋の機構が、
一定の時間ごとに作動する。(最初の橋は一定の時間だけ上がり、その後のは次々と連動して
自動的に上がっているようだった)

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                  運河の跳ね橋の一例


その間、運河両脇には遮断機が下りて、車や自転車や人の通行は不可になる。
町中の運河の場合、道路を利用する立場からすると結構長い時間待たされたり、開かずの踏切
みたいになってるところもある。(デルフトの長男が2年間住んでたアパートの前がそういう橋で、
15分位待たされたり、やたらと頻繁に遮断機が下りたりしていた)
立場が逆転して水上を利用する者(特にヨット)は、身を縮めて恐縮しながら通過する。

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                跳ね上がらずに回転する橋の例


ワルヘレン運河の場合、周りは牧草地で小さな村々を通るだけだから、跳ね橋もあまり陸上交通の
迷惑になっていないようだ。

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運河と並行して鉄道が通っている。

緑の中をまっすぐに貫く運河には流れもなく、幅も広いのでのんびりゆったりできる。
たまに荷を積んだ商業船やヨットとすれ違うだけで、舵もほとんど動かさずにリラックスした、
帆も張らないからヨットらしからぬ道中となる。

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                のんびりと舵を取る。キャビン入口のスプレイフード が
                ちょうど目の高さで邪魔 なので、どうしても上を向くことに。


運河の両脇には、動力の限られた昔は輓馬や人力で船を引くための小道が付けられていて、
現在は、格好のハイキングおよびサイクリング・ロードとなっている。

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                運河脇の小道はサイクリングに絶好。


運河上交通のためにも信号が付いていて、普段は赤信号だが、橋が上がったり回転してヨットが
越えられるようになると信号が緑に変わる。そのタイミングを見計らって次々と5つの橋を越えて、
ようやく、ゼーランドの州都ミドルフルフに到着。フリッシンゲンから20キロくらいしか離れていない。

2時間だけ、美しいミドルフルフの町に寄って、お茶と買い出しをすることに。

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                町中に入る跳ね橋は、こんなにかわいい。

この橋のたもとにハーバー事務所があり、2時間だけの係留許可をもらった。

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                橋の脇にトリトン号をもやって上陸。


昨日までの北海の荒波と比べて、あまりに静かな運河の水(波なんて立ちようがない)にすっかり
気分がヴァカンス・モードに。
セイルを張っていない機動だから、舵を取る人以外はデッキに寝そべるくらいしかすることもない。

その日は、のんびりとワルヘレン運河を進んで、フェーレ湖に至る水門を超え、フェーレの町の真ん中
にあるハーバーに入港した。
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by didoregina | 2013-06-19 23:01 | セイリング | Comments(4)

ゼーランドの表玄関、フリッシンゲン   ヨットでのんびりゼーランドその2

北海まで出てベルギーのオステンドまで南下したものの、翌週からの荒天と北からの強風が
心配で、フランスへのセイリングは諦めた。新たな目的地は、オランダ南西部のゼーランドで
ある。
最初の寄港地は、HとTはまだ行ったことがないというフリッシンゲンに決定。

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             フリッシンゲンの町中にある、ミヒル・デ・ロイター・ハーバー

            
オランダ南西の巨大なデルタを形成する水流の一つ、西スヘルデの河口でほぼ北海に面した
フリッシンゲンは、ゼーランドの表玄関だ。
西スヘルデは、河というより海である。海水だし、満・干潮がある。そのまま遡るとアントワープ港
に通じるため、船舶の航行も盛んだ。フリッシンゲンの対岸にはオランダのフランダース地方の
町々があるため、フェリーも頻繁に行き来している。すなわち、ヨットでフリッシンゲンに入港する際、
気を抜くことは許されない。

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             幅の広い西スヘルデを横断。対岸が霞んで見える。

水上交通では、貨物船、タンカーやフェリーなどの商業船の航行が優先される。しかも、北海沿岸は
砂底で水深が浅いから、航行可能な航路は限られる。大型タンカーなどに注意しながら、狭い掘削
された航路をブイを頼りながらセイリングする。

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             フリッシンゲンでは、大砲が入港をお出迎え。

フリッシンゲンにはヨット・ハーバーが二つある。今回は、6年前に係留したデ・ロイター・ハーバーでは
なく、町はずれにあるスヘルデ港に停泊。静かで、ビジターはあまり多くなくて、のんびりした雰囲気だ。

デ・ロイター・ハーバーに入るための水門には水深の非常に浅い部分があり、キールの深いヨットの
場合、潮位の時間をうまく計らないと入港・出航が困難だ。そういう情報は、ヨットに常備してある(はず
の)最新のアルマナックやパイロットという、水上保安局みたいなところが出している分厚いガイドブック
に記載されている。必携だし、必読だ。

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             狭くて浅い水門を通過して入港する。

この水門に隣接して、港と水門とスヘルデ、北海を見下ろす絶好の位置にあるブラッスリー・エバート
センで夕食。
このブラッスリーは、水門とハーバーの事務所も兼ねる。ハーバー利用者用のトイレやシャワーなど
サニタリー設備もここ。

がっしりしたウェイトレスさんは水門管理も行っていて、無知・無謀なヨットが水門でつかえてしまった
話など聞かせてくれた。水深だけに気を取られ、マストの高さを考慮に入れるのを忘れたイギリスの
ヨットとか。水門の多いオランダでは、自分のヨットの長さ、幅、キールの深さやマストの高さはしっか
りと頭に入れておく必要がある。水深や橋の高さやハーバーのボックス幅など、5~10センチの余裕
しかない場合も多いのだ。

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              夕映えの中のヨット・ハーバー


エバートセンもデ・ロイターも17世紀オランダ黄金時代の海将である。ともにフリッシンゲンに縁が深く、
特にミヒル・デ・ロイターは、対イギリスおよびフランス戦で活躍した勇将だ。海洋国家オランダの礎を
造った彼の名前を知らないオランダ人はいないだろう。
前回、フリッシンゲンのデ・ロイター・ハーバーに係留した2007年は、デ・ロイター生誕400年に当たり、
記念行事やコイン発行など、いろいろあったのを覚えている。

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              ミヒル・デ・ロイター (1607-1676) 
              フェルナンド・ボル画 (1667)アムステルダム海事博物館蔵
              (ほぼ同じ絵の別ヴァージョンがグリニッジの海洋博物館にもある)

彼はナポリ南のストロンボリの海戦で大砲を受けて倒れ、シシリアのシラクサ沖で亡くなった。
この夏私たちは、ナポリ南のサレルノからストロンボリを経て、シシリア近くまでセイリングの予定である。
どうも、彼とは縁があるようだ。
それなのに、フリッシンゲンの港の入口に立つ彼の銅像に挨拶してくるのを忘れてしまった。

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                      オレンジ風車
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by didoregina | 2013-06-18 09:23 | セイリング | Comments(0)

オステンドの不思議なオブジェたち   ヨットでのんびりゼーランドその1

昨年に引き続いて、今年も6月にヨットでノルマンディーまでセイリングする計画を立てた。
ヨットでのセイリングは風任せとは言わないまでもかなり天候に左右される。
悠悠自適の身分ではない私たちの場合、夏休み以外に取れる休暇は連続2週間が限度だ。
特に帰路の風を考慮に入れないといけない。行ったはいいが、戻れなくなったら困るのだ。

第一のルートとして、ゼーランドからベルギーの北海沿岸を経て北フランスのノルマンディーを
目指すという計画を立てた。
荒天および逆風を考慮して、オランダの北海岸を北上してワデン海の島々を巡り、アイセル湖に
入ってゼーランドに帰港するというのが、第二案であった。
第三案としては、ドーヴァー海峡を渡ってイギリスに行くというのもあった。

結果はいかほどか。

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まず、天候以外に予期せぬトラブルが、出発前に発生したのであった。

ヨットは、HとTの持ち船であるが、自分たちが使用しない期間はチャーター会社に委託して
ヨットを貸している。6月最初の週末から出発予定であったが、その週末にはすでに借り手が
付いていたのだ。持ち主本人よりも借り手優先である。それで、当初立てたプランを若干ずらして
月曜日に出発することにした。
ところが、土曜日の夜、貸していたヨットが浸水したとの連絡が入った。キールをどこかにぶつけた
らしい。チャーター会社はヨットを水からクレーンで上げて点検したが、損害保険会社のエキスパート
が週末明けの月曜にGoサインを出さないと出発は不可である。もしも、キール破損による浸水で
あるとすると修理に数か月はかかるだろう。事態は予断を許さない。

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            オステンドの海岸にある不思議なオブジェは海上からも目を惹く。

チャーター会社メカニックによる修理を保険会社の船舶損害エキスパートが月曜朝に認可したので、
月曜日正午に、ゼーランドのシントアナランドにあるマリーナを出港。
最初の帰港予定地フリッシンゲンを目指す。
ところが、やはり浸水は続いていた。しかも舐めてみると塩味がする。これはまずい、と午後3時に
Uターンすることを決定。
海水が浸水しているのではと心配する私たちに、船の真水タンクかどこかからの漏れ以外ありえな
いとメカニックは主張する。その晩は、シントアナランドに一晩泊まって様子を見ることになった。
排水を済ましても、翌日にはわずかながら浸水が見られる。しかし、真水のようである。
結局、火曜日早朝に改めて出航。

1日の遅延を取り戻すため、フリッシンゲンには寄らずに、北海に出て、長い航行の末、暗くなる前に
ベルギーのオステンドに到着。

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            オステンドでは、北海から町に入港してすぐのところにある
            王立北海ヨットクラブのハーバーに停泊。
            魚市場の建物の裏手で、河岸には魚料理のレストランがずらり。


その晩、複数の天気予報を比較し、潮流および満干潮の時間を睨みつつ計画を練り直した。
最新の予報では、北北東の強い風が今後2週間続くということなので、ノルマンディーに行くまでは
順風なのだが、その後、帰路の風が逆風になるのでドーヴァー海峡の狭い北海の潮流にうまく乗ら
ないと、ヨットの微々たるエンジン馬力ではオランダへ戻るのがかなりきつくなる。
ただでさえグレーで波の荒いあの海域を強風の逆風と高い波のうねりの中、数日かけて戻るのは
嫌だ、という意見が強い。
すなわち、進路を短く北に取ってゼーランドに戻り、ほとんど内海のゼーランドでのんびりとセイリング
して2週間の強風をやり過ごすのがよいのでは、という意見が趨勢だ。

c0188818_6463945.jpg

           オステンドの海岸に立つ不思議な像。一人は海をにらみ、
           下の方のもう一人は立小便してるように見えるのだが。。。

翌日は、オステンドでもう少し天候の様子見。ノルマンディーを目指すならば、次の帰港予定地は
フランスのダンケルクだ。
陸に上がると、風は海上ほどではない。午後には日も射してきた。
海岸沿いや町の公園や繁華街やもっと町中のハーバーなどを散歩して過ごす。

c0188818_6563835.jpg

           オステンドの公園池の彫刻像。クラシカルな顔つきの頭が
           水の上に出ているモダンアート。説明板があったが、思い出せない。

結局、北風が強くなる前に針路を北にとることにして、翌々日早朝にゼーランドに向けて出航したので
あった。
慎重を期したのだ。
ノルマンディー上陸作戦は昨年6月にも失敗している。1週間や2週間では、オランダからの往復は
かなりきつい。主人は何度か北海耐寒セイリング訓練と称して一週間でイギリスやノルマンディーの
往復を行っている。2日夜間航行してどこにも帰港しないならば行って帰ってこれないわけではないが、
ヴァカンスなのだから、耐えるだけのセイリングはご免である。サバティカルなり退職後なり、4週間以
上続けて自由になる時間が取れるようになってから、ノルマンディーは再挑戦することになるだろう。
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by didoregina | 2013-06-16 00:15 | セイリング | Comments(0)

9月21日は、すごい!コンサートx2とチッチのバースデー

コンセルトヘボウのオランイン・チケットのバラ売りが昨日から開始された。
日中はサイトも混んでるだろうからと避けて、夜中にアクセスしようとしたがつながらない。
そして今朝アクセスして、何はともあれ、9月21日の《アレッサンドロ》コンサート形式の
チケットを買おうとすると、なんと、平土間前方はほとんど売り切れ!正面バルコンも!おお、
なんというサプライズ!
なるべく前の方で見たい・聴きたいから、舞台ほとんどかぶりつきの3列目の席をしぶしぶ取る。
(コンセルトヘボウのステージは異常に高いので、5列目以降でないと音が頭上を通り過ぎる
感じになるし、3列目だと見上げることになる)

c0188818_18511911.jpg

          CDと同じく、ロッサーネ役はユリアちゃん!

コンヘボの発表したキャストは以下の通り。

Armonia Atenea
George Petrou - dirigent
Max Emanuel Cencic - countertenor
Julia Lezhneva - sopraan
Laura Aikin - sopraan
Xavier Sabata - countertenor
Pavel Kudinov - bas
Juan Sancho - tenor
Vasily Khoroshev - countertenor
 

あれ、アドリアーナちゃんも出演するのかと思ってたのに。。。

そして、今晩6月2日には、ステージ形式の《アレッサンドロ》@ヴェルサイユが、MezzoでTV中継
される!(うちのTVプロバイダーがMezzoをリストから外したので見れないが、どなたかが必ずや
Youtubeに投稿してくれると信じて待つ。)


c0188818_18505189.jpg

              9月21日は、マックス・エマニュエル・チェンチッチのバースデイ!


アムステルダムの《アレッサンドロ》はマチネ公演である。
同日夜には、ロッテルダムのコンサート・ホール、デ・ドゥルン(ロッテルダム・フィルの本拠地)にて
サラ・コノリーのリサイタルがある。距離的・時間的に連荘可能である。
こちらもチケットをゲット。まだまだ席は選び放題だが、やはり3列目中央を確保した。
デ・ドゥルンによると以下のプログラム。

Howells - Come sing and dance; King David
Gurney - By a Bierside; Sleep
Britten - O Waly, Waly; How sweet the answer; Corpus Christi Carol; Early one morning
Bennett - A History of the Thé Dansant

Sarah Connolly - mezzosopraan en Julius Drake - piano

c0188818_1917302.jpg

        ゴージャスなサラ様

これで、私にとって重要な来シーズン開幕のダブル・コンサートのチケットが無事ゲットできたので、
ウィンドウズ8のカレンダーに記入しようと9月のページを開くと、なんと21日はチェンチッチの誕生日!
と書いてある。
多分FBと連動して自動的に記入されたと思われるが、なんというサーヴィス。そしてなんという奇遇。

コンセルトヘボウのマチネ・コンサートの後は、多分サイン会が開かれるだろうから、チッチへのバース
デイ・プレゼントは何がいいかな、と今から考えてわくわくしている。
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by didoregina | 2013-06-02 12:28 | コンサート | Comments(9)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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別名: didoregina
性別:女性
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オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
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音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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