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グザヴィエ・ドランのスタイル極めつけ Les Amours Imaginaires

グザヴィエ・ドラン監督第二作目である。
三作目の2012年作 Laurance Anyways(邦題《わたしはロランス)》は去年ヨーロッパで
公開され、独特の感性あふれる映像と胸がきゅんと締め付けられるストーリーに感嘆したものだ。
日本公開が決まったようで喜ばしい。

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監督: Xavier Dolan
出演: Xavier Dolan (フランシス), Monia Chokri (マリー), Niels Schneider (ニコラス),
脚本: Xavier Dolan
制作: Xavier Dolan, Carole Mondello, Daniel Morin
撮影: Stéphanie Anne Weber Biron
編集: Xavier Dolan
2010年 カナダ







上記クレジットを見て驚かない人はいないだろう。撮影以外は、主演も含めてドラン自身が
ほとんど全て担当。(衣装デザインを含むアート・ダイレクションもたしか彼だった)
なにしろ1989年生まれ、本作撮影時は弱冠21歳である!自分自身や自分の息子と比べても仕方
ないが、この年齢でこういう映画を作れてしまうというのは天才としか思えない。子役時代が
長いが、早熟、というより根っからの映画・映像・ドラマ育ちなのだろう。音楽家と同様に
幼い時からこの世界で純粋培養された成果の結実かもしれない。
いや、これはやはり彼自身の才能の賜物だろう。
                 
              ↓は、ポスターにもなってる俳優グザヴィエ・ドラン
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ルックスはひたすらチャーミングで、若いころのジョニー・デップを思わせ、少年ぽさが面影に
残る。
そして、ゲイでもある彼自分のスタイルへのこだわりが映画に結集されている。

天使のような金髪の巻き毛クルクルの美青年ニコラスに恋してしまったマリーとフランシスの
三角関係をスタイリッシュに描いたもので、《わたしはロランス》でも感嘆させられたドランの
クールでポップな映像美が小気味よいストーリーにマッチして冴えている。

少女漫画のコマ割りを思わせる構図(中クローズアップされた人物が中央にいる場面が多い)の
ポップでファンタジーあふれる背景(マシュマロの雨!)の中に、主要人物がくっきりとした
輪郭を伴って撮られたカットの連続が新鮮で洒落ている。
そして、スローモーションの多用。スローな動きの体全体や表情から、人物のその時々の様々な
心象(自己陶酔、落胆、恍惚、満足などなど)が読み取れるようになっている。その絶妙さ!

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            3人でベッドをシェアすることになってドキドキのマリーとフランシス

マリーとフランシスは、センス、スタイル、生活信条面で共感するソウル・メイトの関係だ。
(マリー役が老けて見えるので、最初は姉と弟かと思ってしまった。)
二人それぞれ別に肉体関係を持つ恋人のような人物がいる。それなのに、二人ともニコラスに
魅かれ、理想を見出してしまったのだ。
三人の関係はぎこちなくユーモラスだが、いかにもイノセントでナルシストのニコラスには二人
の感情が伝わっていない。
ナルシストといえば、三人ともがそうなのだ。そして、ドラン本人こそナルシストの第一人者
だろう。
このまま成長したらドリアン・グレイを経てオスカー・ワイルドの域に達するだろう、と思わ
せるほど。
恐るべき才能とナルシシズムの真骨頂。衒いも嫌みもなく見せてしまうゲイの本心やちょっと
きわどいシーンなど、ドランでなくては表現しえないだろう。

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            マリーは、オードリー・ヘプバーン気取り。

ニコラスの好きなヘプバーンに自己を投影するというより物まねしてしまうマリーだが、25歳
という設定よりは老けてるルックスなので、ヘプバーンのキュートさはなくてジュリエット・
グレコやアンナ・カリーナに似ているなあ、と思ってしまった。
それは、実存主義やヌーヴェル・バーグのミューズのような彼女の翳りのある佇まいのせいでも
あるし、多用されるスローモーションやわざとコマを飛ばせてクローズアップするなどのカメラ・ワークのせいでもある。
50年代、60年代に理想美を求めるマリーとフランシスの審美眼という設定が反映されてもいる。

結局、恋は人の心を盲目にさせるというのが結論で、夢から醒めた二人のクールな反応がほろ
苦い。
甘酸っぱさとほろ苦さが青春のシンボルなどと言ってしまうとあまりにクサいが、この映画に
クサさは微塵もない。
確固たるスタイル重視で、その審美眼の範疇から外れるものに未練も容赦もないのである。


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by didoregina | 2013-05-30 13:15 | 映画 | Comments(2)

デン・ボッスでは身も心も寛げる

オランダ鉄道の一日乗り放題券(14ユーロ也)をドラッグストア・チェーンで買っておいた。
一枚残っていた切符の使用期限が昨日までだったので、天気がすぐれないが無理やり電車で
でかけた。

第一候補はデン・ハーグだが、週末恒例保線のため一部代替バスの運行になっていたので避ける。
第二候補はアムステルダムだが、やはり一部代替バス運行だから避けるのが賢明。
第三候補はデン・ボッス。おととい美術館2館がリニューアルオープンしたばかりだ。そして、何より
大事なのだが、ここまでは電車一本で行けるのだ。

(実は、当日朝、駅に行って乗り放題券を売ろうと思っていた。販売機脇で切符を買おうとする人に誰
彼となく声をかけたのだが、1等でなきゃとか、ベルギーに行くからとか、近場で14ユーロ以下だから
とか、割引券を持ってるとか、外国人とかで話が通じなかったりして、5,6分あれこれ試しても、買って
くれる人がいなかったので諦めた。)

電車で1時間半の距離のデン・ボッスに着くと、町はお祭りのように賑やかである。

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                  大聖堂前の広場パラーデは、マラソンのフィニッシュ。
                   某日本メーカーがスポンサー。
 
                     
マルクト広場では、中央に舞台、周りにはレストランの屋台が特設され、この町の特産品をいろいろ
プロモートしているテントも。
デン・ボッスといえば、ヒエロニムス・ボッスの町だから、画家のボッスにちなんでパレット形のパンや、
スペイン産ワインをボッスの絵と同じ樫の樽で熟成させたボッス・ワインとか、けっこう楽しい。

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                美術館に行こうとするが、町中がマラソン・ルートになっていて
                向かいに建物が見えてるのに渡れない。。。


今回リニューアルオープンしたのは、市立美術館と北ブラバント博物館で、両館がガラス張りの通路で
結ばれた。

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               北ブラバント博物館入口前のブロンズ像

コレクションや特別展はあまり大したことない内容なので、リノヴェーションした建物を見るのが主な
目的である。 そして、美術館ではお約束のカフェに入るのが。
市立美術館は、主にダッチ・デザイン家具やテキスタイルや食器や花瓶などのデザインものを展示して
いて、それと同じものがショップで売られている。美術館でお金を払って見るよりも、見本市とかショップ
で見て触ってこその製品である。

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                ガラス張りの廊下から広い中庭とテラスを臨む

ショップでは、美学やデザイン関連の本も充実していたが、カフェは古臭い雰囲気で混み合っており、
ちょっと幻滅。
ガラスの天井で古い建物を繋げるという、リノヴェーションではお決まりの方法なのもオリジナリティ
不足である。遊びの要素に欠ける。

その中で、たまたま、この女性が入ってきた部屋はなかなか面白かった。

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           白い壁に原色でステンシルで描いたような絵。赤いテーブルと
           同じような色のコーディネートの女性(見学者)が抜群にマッチ。

混み合っていて給仕も足りないカフェでの食事は諦めた。
大聖堂を横から見る一番の立地のカフェ・レストランに入った。ここのマラケシュ風チキンのチャバタは
日本のカレーっぽい味付けにコリアンダーやハリサ、そして野菜の甘酸っぱいソースがいいハーモニー。

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           ビールは、ブルージュのゾットのブロンド。道化がカーニヴァルで
           有名なデン・ボッスにぴったり。窓の外には大聖堂が迫る。


近年ようやく改修の済んだ教会の中に入った。一体何年振りだろう。

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                  身廊から内陣を見る。
                  サーンレダムの展覧会を当地の美術館でやっているが、
                  教会内部は、絵よりも実物を見るほうが好き。


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                  天井から何事か気配を感じた。上を仰ぐと天の目が。


そしてこの日は、この大聖堂の縁日らしく、立派なマントをまとった聖母子像が祭壇脇に置かれ、
特別拝観。ろうそくに囲まれてほほを染めて心なしかうれしそうな表情だ。夕方からは、巡礼ともに
聖母子を乗せた神輿が町を練り歩くのでぜひ行列にご参加を、と教会のドアに書いてあった。

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この教会は拝観料を取らないので、修繕費として2ユーロ寄付した。

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                   奏楽の天使も愛らしい。



飲食店がとても多くて、お祭り好きの人が住んでるいかにも南部カトリックの町である、デン・ボッスの
町がとても気に入った。のびのびとおおらかな土地柄で、身も心も寛げる。
南部といってもアムステルダムまで電車で1時間だ。北ブラバント州の州都でもあり、住んでみたくなる
町である。
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by didoregina | 2013-05-27 18:46 | 旅行 | Comments(2)

ゼーランドの美しい町、フェーレ

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             1652年のブラウの地図に描かれたフェーレ
             Veere uit Blaeu's Tooneel der Steden

聖霊降臨祭の週末を、義妹一家と義母といっしょにゼーランドの貸し別荘(持ち主は義妹の元
同僚)で過ごした。
例年聖霊降臨祭の頃は初夏の気候で、太陽が出る確率が高く暖かいのが普通だが、今年は例外
だった。
水際で砂の城や堤防を作ったり、水遊びするのは無理だ。
それでも、晴れ間を縫って近くの町に車で出かけたり、堤防沿いにサイクリングしたり、海岸をウォー
キングしたりはできた。
土曜日に、フェーレの町まででかけた。

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          フェーレの市庁舎。鐘楼のカリヨンの音が町に鳴り響く。

ワルヘレン島(現在は陸続き)のほぼ西端に位置し北海に面していた(現在はダムが造られて北海
とは直接繋がっていない)この町は、スコットランドと縁が深い。
まず、1444年にウォルフェルト6世という人がスコットランド王女メアリ・スチュワートと結婚。
カルル5世とスコットランド王との間に1541年に締結されたスコットランド羊毛集散条約のおかげで、
この町は賑わい、1600年時の町の人口3000人のうち300人はスコットランド人だったという。
羊毛集散地権は、ナポレオンによる対イギリスの大陸封鎖が1806年に発令されるまでこの町の
権利として残り、フェーレは集散地および港町として栄えた。

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     北海(今はフェーレ湖)に向かって睨みをきかすカンプフェーレ塔
     対岸のカンパーランドとの間を行き来するフェリーが発着する。

ゼーランドの町は、何処に行っても家々の窓やドアなどが水掃除したばかりのように光っていて、
道路も掃き清められたように清潔だ。いかにも昔ながらの勤勉なプロテスタントの人たちが住んで
いるという印象である。

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        17世紀のオランダ絵画に出てきそうな家と路地

島々や半島からなるゼーランドは、ヨットなどのウォーター・スポーツのメッカで、ヨット・ハーバーが
点在している。
色々なヨット・ハーバーに寄港したが、フェーレの小さなヨット・ハーバーの立地は抜群である。
なにしろ、陸に上がるとすぐに温かみを感じる家庭的な町並のど真ん中で、まるで知人の家に招かれた
ような心地よさ。

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        小さなフェーレの町のほぼ真ん中にあるヨット・ハーバー。
        人家の裏庭に続いているかのようで、小市民的でほのぼのしている。

土曜日に出かけたら、町の中のヨット・ハーバーに面した通りに小さな市が立っていた。
新鮮な魚やチーズ、海辺の香草などが美しく、芸術的においしそうだったので、買い込んだ。

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        観光客向けに、小エビの殻を剥いているおばあちゃん。
        

ゼーランドには、ドイツ人観光客が非常に多い。ルール地方辺りからだと、一番近くて手頃な海水
浴場なのだ。海岸や町を歩いていても、サイクリングしていても、店に入っても、聞こえてくるのは
オランダ語よりもドイツ語の方が多い。リゾートや貸し別荘地の駐車場に並んだ車のナンバーは
ドイツが目立つ。

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          1811年に鋳造されたナポレオン時代の大砲が
          町をぐるりと囲む堀の南堡塁に立っている。

別荘で暇にあかせて読んだエルセフィーアという週刊誌最新号によると、オランダでホテルなどの
観光宿泊施設数が一番多いのはアムステルダムで別格だが、ベスト10にフェーレも入っていた。

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            堤防から見える大教会
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by didoregina | 2013-05-25 22:34 | 旅行 | Comments(0)

羊飼いとの対話

少しずつ、少しずつ、羊の群れが移動してきて、昨日とうとう、我が家の前にある緑地にやって
来た。

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  彼らは、市から雇われている「草刈羊さん」達である。すなわち、草刈機のエコ代替員だ。

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             子羊たちも混じっていて可愛い。

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             電気フェンスに注意!の張り紙。

羊の群れを移動させる前に、可動式電気フェンスを張っていた羊飼い(S)に話しかけてみた。

R「和みますね~、羊が家の前にやって来ると。でも、一体全部で何頭いるんですか?」
S「250頭。子羊が生まれたから、今はそれ以上になってるはず」
R「え~、本当?そんなに沢山いるの?」
S「うそだと思ったら、数えてみな」
RとS同時に「数えてる途中で眠ってしまって、正確な数はわからないよ」

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         羊の群れを移動させる羊飼いと牧羊犬。草の丈に注目のこと。


「町中で見かける羊ちゃん達は、羊毛用?肉食用なの?」と問う、マーストリヒトに今年引っ越して
来た友人に、「草刈り用よ」と答えると、感嘆していた。
市の緑地の草刈りに羊を投入するというのはマーストリヒト独特らしく、探究心旺盛な彼女の調べた
ところによると、マーストリヒト市は2009年から草刈機の使用を止めて替わりに羊に食べてもらって
るらしい。
羊には思い入れやこだわりのある北海道生まれ・育ちの彼女の好奇心は留まらず、緑地にいる羊の
数を実際に数えてみたという。200頭まで数えたから、多分250頭以上いるというのは本当だろうと
のこと。
わたしは、せいぜい80~100頭くらいかと思っていたから、びっくり。

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      草刈羊の威力は相当なもので、一日でここまできれいに刈ってくれた。
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by didoregina | 2013-05-15 11:20 | Comments(4)

ベルギーの果樹地帯をハイキング、〆はビールで

天気が不安定な昇天祭の週末だったが、予定通り、土曜日午後にハイキングを決行した。
今回選んだのは、ベルギーの果樹地帯ハスペンゴウ地方である。りんご、梨、さくらんぼ、プラム
などの花見の時期には少々遅く、ほとんど咲き終わっていたが、場所や種類(不明)によっては満開
のものもあった。

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       これは、2週間前、家の前庭で満開だった桜桃の木。

ハッセルトとシント・トロイデンの中間にあるウェレンという村を基点とする14.5キロのコースを選んだ。
ほとんど平坦で上り下りがないにしろ、午後から歩き始めたのでかなり早足で歩くことになり、花見は
おろか、果樹の写真を撮っている暇もなかった。
それで、この記事はハイキングではなくベルギーの地ビールその他がメインになる。

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       コーレンという村にあるマリエンロフという女子修道院の中庭

この辺りは、14,5年位前に子供連れでハイキングしたものだ。女子修道院のカンティーンでは、
名物の手作りタルトを供してくれた。それを作っていたシスターは亡くなり、他のシスター達も高齢の
ため、現在はパン屋に委託して焼いてもらっているという。りんごやチェリーなどフルーツの入った
フラーイという薄いタルトである。

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  ピーテル・ブリューゲルの『ネーデルラントの諺』(1559年)(ベルリン国立美術館)
      には左の家の屋根の上に乗っかったフラーイが描かれている。

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      パン生地を薄く延ばした台に、果物のコンポートを載せて焼いたパイがフラーイ。
      オランダ南部のリンブルフ州やベルギー各地で今でも極普通に作られている。

息子ブリューゲルによる、この絵のコピーをアントワープのロコックスの家で観たばかりなので、
描かれたフラーのことを思い出したのだった。

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      教会の後陣にくっついた形で建てられた小さな窓のカンティーンがある。
      あいにくと土曜休業なので、フラーイは食べられなかった。


ハイキングの途中、別の村の教会脇にあるカフェで休憩。地ビールのクリークを飲んだ。
クリークは、さくらんぼで味付けしたベルギー独特のビールである。
特にこの辺りは果樹栽培地帯なので、地ビールらしさも味わいもひときわだ。

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      このビールを選んだのは、アルコール度が3.5%と低いからである。
      さくらんぼの果汁入りなので甘酸っぱく、色もジュースのようだ。
      シント・トロイデンにある醸造所Wilderenで作られたもの。次回は
      この醸造所を訪問・見学してみたいと思う。


休憩を含めて3時間で14.5キロのハイキング・コースを一周した。

そのあと、夕飯をとるため、シント・トロイデンの町に向かった。

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           マルクト広場に建つ聖母教会の背後に虹

マルクト広場にあるカフェ・レストランの一軒で出す小エビのクロケットは、ベルギーのリンブルフ州で
一番美味しいとベルギーの新聞か何かで評価された。そのカフェがどこだったのか、忘れてしまった。
それで、雨宿りとして適当に入ったカフェ・レストランで小エビのクロケットを頼んでみた。

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         ベルギーのカフェ・レストランではメニューにあれば必ず頼みたくなるのが
         小エビのクロケットである。ここのは、クロケット自体はまあまあ普通だが、
         上に乗っかった小エビ入り野菜サラダとドレッシングが美味しかった。


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         お相手は、やはり地ビール。近くのケルコムという村にある
         ビンク醸造所のビール。ブロンドは、辛口ピルスという感じで
         なかなかイケル。この醸造所も14,5年前に訪問したことがある。
         敷地内の地下水を使っているとても小規模の醸造所で、自然派。


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         シント・トロイデンのマルクト広場中央に建つ鐘楼のある市庁舎と
         右に聖母教会。左奥は、ロマネスクの塔だけ残った修道院跡。


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          広場から一筋離れた通りにも立派な教会が。
          ベギン会修道院もあるし、町の中心にやたらと教会が多い。
       
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by didoregina | 2013-05-13 16:08 | ベルギー・ビール | Comments(0)

『ゴーラのアマディージ』@アン・デア・ウィーン劇場

4月のウィーン遠征日程は、マレーナ様主演の『ベアトリスとベネディクト』と演奏会形式の
『ゴーラのアマディージ』を二日続けて鑑賞できる!ということで決めたのだった。
なぜかというと、当初のキャストはイエスティン・デイヴィスのアマディージということになって
いたからだ。生の彼をウィーンで最初に聴いたのはかれこれ2年前の『怒れるオルランド』で、
やはりマレーナ様主演の『セルセ』と連荘できたのだ。

ところが、キャスト発表からチケット発売開始までの間に、イエスティン君は降板してしまった。
代わりはソニア・プリーナ女史である。ええ~、イエスティン君とプリーナ姐とではあまりに
声質もキャラも異なるではないか。そうしてキャストは全員女性になるし、メリッサ役はロベル
タ・マメリ、指揮はアラン・カーティス。う~む。(この一言で、わたしの心境が分かる人には
わかってもらえるだろう)

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          オペラ遠征も、命綱が頼りのビルの外壁メンテも、びくびくもの。


さて、チケットを買おうかどうしようか迷っていると、今度は新たに心躍るニュースが入ってきた。
なんと、ダルダーノ役をフランコ・ファジョーリが歌うらしいと!彼のサイトには載っていないが、
所属プロダクションのスケジュールには記載されていた。
それで、またまた行く気満々になった。しかし、劇場サイトにはフランコのフの字も出ていない。

『ベアトリスとベネディクト』のチケットは発売開始日に即ゲット。二泊三日の予定でフライトも
予約した。
しかし、『ゴーラのアマディージ』チケットだけはぎりぎりまで買わなかった。劇場サイトでは、
ダルダーノ役は、デルフィーヌ・ガルーになっていたからだ。事務所サイトのからもフラちゃん
『ゴーラのアマディージ』出演公演予定はいつのまにか消えていたし、公演3日前になっても
キャストは代わらず。今回はカウンターテナーが1人も出演しないのが残念だが、それは諦めよう。
ようやく重い腰を上げて、当初の予定通りチケットを購入したのだった。

c0188818_18564157.jpgAmadigi di Gaula
Opera seria in drei Akten (1715)
Musik von Georg Friedrich Händel (1685-1759)
Libretto unbekannt, wahrscheinlich Nicola Francesco Haym oder Giacomo Rossi

Musikalische Leitung Alan Curtis
Amadigi di Gaula Sonia Prina
Oriana Emoke Baráth
Melissa Roberta Mameli
Dardano Delphine Galou
Orchester Il complesso barocco

25.04.2013 @ Theater an der Wien







二年前にアン・デア・ウィーン劇場で演奏会形式の『怒れるオルランド』を鑑賞した時は、背後の
『セルセ』舞台セットを見せる形式だった。オケ・ピットに入っていたのは、『セルセ』同様に
スピノジ指揮のアンサンブル・マテウスで、スピノジはラ・フォリアのヴァイオリン・ソロも披露
してくれた。

今回も演奏会形式であるが、カーテンが下りていて歌手はその前に立って歌う。
オケ・ピットに入っているのは、カーティス指揮のイル・コンプレッソ・バロッコである。
今回は例のCTでもあるというロシア人コンマスではなくて、女性のコンミスだった。第一
ヴァイオリン4人、第二3人という小編成なのでチェロも1人。それと通奏低音はチェンパロに
テオルボ。
まるで室内楽のようにに器楽演奏者たちはコンミスの呼吸に合わせて息のあったアンサンブルを
作り出していて、例の四角四面のカーティスの指揮を見ている人はいないようだった。

古楽器では金管が特に難しくて、トランペットやホルンなどよく音が外れて聴こえたり、出だし
が上手く決まらないのだが、ここのトランペット奏者は、ソロ部分の出だしでも全く余裕しゃく
しゃくでびっしりと決めてくれた。バロックでトランペット・ソロを安心して聴けるというのは
得がたい。

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       左からソニア・プリーナ、エメケ・バラート、ロベルタ・マメリ。
       プリーナ姐の髪型は、忌野清志郎やシド・ヴィシャスを思わせパンキッシュ。

出演歌手はたったの4人で、女性ばかりである。

アマディージ役はソニア・プリーナ。録音で聞く彼女の声は独特で、硬い芯を中心に表面は
まろやかな輪郭で覆われた、ある意味女性らしい艶があるがドスの利いたアルトである。
いかにもイタリア人らしい発声の女性らしさを感じさせるアルトというのがイマイチ好きに
なれず、積極的に生の声を聴きたいと思ったことがなかった。
それが、実際に生の声を聴くと、録音では好きになれなかった要素がまるで異なる印象を与え
たのだった。即ち、豪華絢爛・金襴緞子のような色彩が放出される声質が心地よく、夜空を彩る
原色の花火にも似たドッ派手さが潔い。

好きなタイプのアルトというと、キャスリーン・フェリアーやナタリー・シュトゥッツマンの
光沢はあっても暗い色合いのビロードのような声、サラ・ミンガルドのように薄手ウール・
スカーフのような滑らかで軽く暖かい声、マリヤーナ・ミヤノヴィッチのように麻のように
爽快感のある声などで、いずれもシンプルでベーシックな質感が命だ。プリーナ姐のそれとは
全く正反対のしっかり地厚で素材感よりは色彩感の
勝る帯地のような生の声に触れて、はっとする思いであった。歌唱という芸でも群を抜いている。
その新発見ができただけでも、遠征してこのオペラを鑑賞した価値があるというものだ。


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          ソニア・プリーナに敬意を表してポスターとツーショット。


そして、やはり生の声に接して感嘆したのは、ロベルタ・マメリ女史である。彼女の歌唱も
濃~いタイプなので、今まで録音ではなんとなくヒケてしまっていたのだが、ほとんどめっけ
もの新発見。
こってりと熱い歌唱で盛り上げるのだが、生舞台ではこのくらいやっても差し支えない。
同じイタリア人同士のソニア姐との競演はまさに色彩の饗宴で、ゴージャスこの上ない。
マメリ女史はルックスもゴージャスで、この日のメイクとドレスのおかげで某高級時計の
イメージ・モデルであるケイト・ウィンスレットそっくりなのだ。
バロック歌手というと、一般オペラ・ディーヴァと比べるとストイックで質素なイメージが
あるのだが、この二人は違う。この色彩感はイタリア人独特なのではないだろうかと思える。
ここにフラちゃんが加わっていたらどれほど豪華絢爛になっただろうか、とそれだけが惜しま
れた。
それにしても、今まで敬遠していた二人の歌唱に開眼できたので、食わず嫌いで損していたなあ、
と反省することしきりだ。


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          左から、マメリ、カーティス、デルフィーヌ・ガルー。


もう1人のソプラノ、エメケ・バラートは、いかにもお姫様役にふさわしい正統清純派バロック・
ソプラノで、可憐なのだが、このアクの強いメンツの中にいると霞んでしまって印象に残らない。
ストイックな歌い方と声質なので、どちらかというと硬質で温かみの少ない声のCTとの相性の
方がいいのではないかと思う。

ダルダーノ役というのは、出番が少なくて損だ。そんなつまらない役をフラちゃんがふって当然。
そして、ガルーは声も体格も線が細すぎて、舞台栄えしない歌手である。すらりとしていて
ズボン役など一見似合いそうだが、全く押し出しが弱いから、舞台での男性役には向いていない。
声の飛ばし方に問題があるのだろうか。客席に響いてこないのだ。前回かなりがっかりさせられ
たので、彼女には期待していなかったが、今回も印象を塗り替えることはできなかった。
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by didoregina | 2013-05-10 13:37 | オペラ実演 | Comments(16)

柔らかい皮と色の究極お誂えバッグ

一月遅れの誕生日プレゼントをTさんから頂いた。

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中身はわかっている。ポーリンのアトリエで何ヶ月かかかって作っているのを目の当たりにして
いたのだ。

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柔らかい皮のショルダー・バッグ。ナチュラル・カラーとオレンジのツートーン。

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まだ自分のものになるとは知らずに、Tさんが作ってる傍から、蓋の裏もショルダーと同じ色の
皮にした方がいいとか、ファスナーがないと無用心で使えないとか、色々と文句を付けていた。

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Tさんは使い勝手のよいお手持ちのバッグを元に型紙を取り、きれいな色の皮革を選んで
手作りされた。オレンジはわたしの大好きな色だ。(これと同じ色の皮をアクセントに使って
昨年、自分用の財布を作った。)

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マグネット式の蓋だけでファスナーがないと、ヨーロッパの町中では使えないから絶対に必要!
と無理強いした。

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バッグ本体内側は、光沢のあるしっかりした絹の裏付きで、携帯電話や財布を入れるポケットも
忘れていない。(内側のポケットは、バッグには必須条件)

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昨日、さっそくこのバッグを持って町に出かけた。春夏らしい色で気分も浮き立つ。
柔らかい皮なので体に馴染んで掛けやすく、大きさもショルダーの長さも幅もパーフェクト。
素材選びにも横から口を挟んだので、ほぼわたし好みに誂えたようなものだ。
究極の手作りバッグのプレゼントに感激。Tさん、本当にありがとう!
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by didoregina | 2013-05-09 11:47 | バッグ | Comments(6)

ルーベンスの時代さながらのコレクション展示@ロコックスの家

今回のウィーン遠征は二泊三日で、到着は正午、帰りは夜8時発のフライトなのでほとんど丸三日
いたことになるが、ガイド付きツアーでシェーンブルン宮殿を見学した以外は美術館には行けなかった。

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シェーンブルン宮殿内のインテリアも興味深いが、わたしの関心を惹いたのは各部屋に掛けられた
ハプスブルク家メンバーの肖像画の特に男性・男子の胸元である。
皇帝・国王、そして皇太子の肖像画ともなると正装に威儀を正しているのは当然だが、よ~く見ると、
首から金羊毛騎士団の勲章を掛けている人が多い。
元々は、1430年にブルゴーニュ公国のフィリップ善良公が創設した異教・異端の駆逐を目的とした
騎士団だが、1477年にブルゴーニュ公国がハプスブルク家に組み込まれて以来、騎士団もハプス
ブルクに引き継がれた。
だから、金羊毛勲章は現在に至るまでスペイン王家が授与する勲章として存在するし、プラドやエル・
エスコリアルで代々の王や王太子の肖像画の胸元に描かれているのを見たし、こちらオーストリアの
ハプスブルク家の肖像画にも描かれているのをここで確認して、歴史の流れの中に連綿と繋がる糸
を目の当たりにして感慨深いものがあった。

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      ナッシュマルクトにある魚料理の有名レストラン『ウマー』で。
      二人分の魚盛り合わせ。イカ、ホタテ、海老、手長海老、鮭、舌平目、カジキ
      マグロ、スズキ、金目鯛、鯉など、魚が上下に積み重ねられていて凄い量。
      グリルしてあるだけで、軽い塩以外の味付けはない。ペストとニンニクのソース。


そして、話は突然、ここからアントワープに飛ぶのである。

アントワープの王立美術館は、改修工事のため長期に渡って閉館されている。しかし、重要な所蔵品
のいくつかは、別の美術館や大聖堂などで見ることができる。
そして、今年の2月からロコックスの家で、興味深い展覧会が開かれている。

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         「この家にこの町の市長ニコラース・ロコックスが1603年から
          1640年まで住んだ」とファサードに刻まれている。

Nicolaas Rockox (1560 - 1640)は、ルーベンスの活躍した時代に長年アントワープ市長を務めた
人で大変裕福な資産家だった。ルーベンスのパトロンであり、様々な美術品の収集家でもあった。
当時を偲ばせる彼の住居内を、当時の美術収集家が飾っていたのと同じような方法で、絵画その他の
コレクションが現在展示されている。

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          サロンや書斎など住居の壁一面、所狭しと絵を飾って見せる。
          飾り棚には、貝や珊瑚のコレクションが並べられている。

この展覧会のコンセプトは、アントワープの黄金時代のメセナの収集品を本人の住居で当時に即した
方法で見せるというものなので、インテリアや調度品も当時さながらの館の中に入って絵の数々を
見ていると、その時代の空気を吸い込んでいる気分になる。美術館での美術鑑賞とは全く異なる体験
ができる。絵には番号や説明板が付いていない。一見せせこましくごたごたと飾ってあるようでいて、
絵は本来の場所を得て、伸び伸びと自由な空間でくつろいでいるように思えるのだ。

その中のひとつがこの絵。
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          Clara Peeters (Antwerp? 1580/89 - ca.1640)
           『魚のある静物画』 (1620年頃)

クララ・ペーテルスは、女流であるためか生没年その他不詳で、作品数も少ない謎の画家である。
彼女の描いた食卓の静物画は、いかにも17世紀らしい実物そっくりの緻密さに驚嘆するとともに、
思わず手を伸ばしたくなるほど美味しそうだ。
数少ない彼女の静物画の一つがアントワープにもあると知り実物を観たいと思っていたが、魚の絵だ
ということを忘れていたので対面してあっと驚く。ウィーンで食べた魚料理の素材を見てるような気分。
そして、実際に見るとびっくりするほど小さな絵だ。

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          クララ・ペーテルスの絵の魚を素材にして作ったかような
          ウマーの魚料理。3人で丁度いい位の量だった。


今回、ロコックスの家に展示されている作品には、一昨年完成した複合博物館MASやルーヴァン
でのファン・デル・ウェイデン展で観た絵(フーケの『聖母子』、ファン・アイクの『聖バルバラ』、
ファン・デル・ウェイデンの『フィリップ・ド・クロアイ』)もあって、またお会いしましたね、と思わず
言いたくなった。

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          ルーベンスの『凍えるヴィーナス』は、暖炉の上!
          この位置は、この絵にとって最高の場所ではなかろうか。


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          細密装飾が施された飾り棚やヴァージナルなどの家具調度や
          ルーマー(大きなワイングラス)の脚部分だけの破片も。
          16,17世紀の静物画にはほとんど欠かせないワイングラスだが、
          割れやすいだけに現在まで残っているものは貴重だろう。

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          17世紀ルネッサンス式中庭。面白い形のチューリップも植えてあった。

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             2軒続きのロコッコスの家は、立派な館。


クララ・ペーテルスつながりで、次回はデン・ハーグの市立美術館に行こうと思っている。ここには、
昨年マウリッツハウス美術館が購入した『チーズのある静物画』が展示されているからだ。改修
工事で現在閉館されているマウリッツハウス収蔵の国外不出の絵などを見ることができる。



          
      
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by didoregina | 2013-05-07 11:06 | 美術 | Comments(0)

『ベアトリスとベネディクト』@アン・デア・ウィーン劇場

マレーナ様はすでにバーデン・バーデンでの『ドン・ジョヴァンニ』リハーサルに余念が
ない現在、ウィーンの『ベアトリスとベネディクト』レポなど、ほとんど今更の感があるが、
備忘録として一応残しておこう。
実演鑑賞したのは既に1週間半も前のことである。記憶はかなり薄れてしまっている。
記憶に残りにくいというのは、『ベアトリスとベネディクト』がオペラ作品としてかなり
特殊な部類に属するものであるということも大きな理由だと思う。

c0188818_533637.jpgBéatrice et Bénédict
Opéra-comique in zwei Akten (1862)
Musik und Libretto von Hector Berlioz
Nach der Komödie "Much ado about nothing" von William Shakespeare

Musikalische Leitung Leo Hussain
Inszenierung Kasper Holten
Bühne Es Devlin
Kostüme Moritz Junge
Licht Bruno Poet

Béatrice Malena Ernman
Bénédict Bernard Richter
Claudio Nikolay Borchev
Héro Christiane Karg
Ursule Ann-Beth Solvang
Somarone Miklós Sebestyén
Léonato Thomas Engel
Don Pedro Martin Snell
Une femme Madeline Ménager-Lefebvre
Orchester ORF Radio-Symphonieorchester Wien
Chor Arnold Schoenberg Chor (Ltg. Erwin Ortner)

2013年4月24日@アン・デア・ウィーン劇場

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ベルリオーズ作曲のこのオペラの予習としてCDを繰り返し聴いたのだが、ほとんど頭に
残らない。通常、仕事しながらとか家事をしながらのながら聴きでも、耳にたこが出来る
くらい聴いてるうちに序曲とか主要アリアとかのメロディーはいやでも耳に残り、追い
払っても頭の中を巡るものである。
しかし、このオペラは通して聴きにくいのだった。仕事とこの曲の両立は無理だった。
なぜかというと、各場面ごとに物語の説明のような語りの部分が入るからで、その語りの
部分は音楽とは切り離されていて器楽演奏もなくなるのだ。そしてそれがまた、聴くものを
イライラさせるような朗読調のフランス語で前後の音楽と全く相容れない。まるでTV番組
の途中に入るCMみたいな違和感があり、パブロフの犬的反応でトイレに行きたくなったり、
思わず別の局(曲)にリモコンを合わせたくなる。かなりうざったく、不快にさせるので
あった。

実演の方は、その点まだマシだった。ト書きみたいな台詞の朗読ではなく、舞台上で歌手が
台詞をしゃべるし、しかもかなり演技の上手い歌手ばかりだから思わず席を立ちたくなる
ことはない。しかし、音楽が途切れてしまうのはCDと同様だ。レチタティーヴォのように
音楽の一部というか続きのような風にはいかない。オペレッタ風と言えようが、台詞の部分が
かなり多くオペラというより芝居に近い。

歌手としては、こういう作品を歌い・演じるのはいかがなものだろうか。思うに、しゃべる
のと歌うのとでは相当喉の使い方が異なるから、台詞と歌唱とをスムーズに往復しつつ落差を
感じさせないというのは大変なことだ。喉への負担はいかがなものだろうか。そういう心配を
させるような作品なので聴く方も音楽にのめりこみにくい。また、音楽自体もぶちぶちと
途切れてしまうのだ。

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カスパー・ホルテンは、このオペラらしくないオペラを、割りとオーソドックスに芝居また
はオペレッタ風に演出した。それらしくかなりベタなオーヴァー・アクション満載である。
舞台の造りは、背景が半円状の劇場客席のようになっていて、中央に回り舞台。その中心に
回り舞台を半分に分割するミラー状の壁というか襖のようなものがあって、場面によって
高さが変わる。
それが、男女を分かつ壁になったり、テニスのネットになったりする。
舞台上の客席に上る階段とそして沢山の椅子。セットも機構の使い方も、アン・デア・
ウィーン劇場のこれまでのプロダクションで見たことがあるようなものばかりだ。う~む、
かなり予算をけちったのか。

ストーリー自体がたわいのないコメディなので、ストレートな演出だと、つける演技もオー
ヴァーになるのもやむを得まい。そういうコメディエンヌ的オーヴァー・アクションは、
マレーナ様の得意とする
ものではあり、演技はべらぼうに上手いのだが、どうも喜劇専門のワン・パターンに陥って
いるような気もする。ファンとしては、オペラ・セリアで深刻そうな表情のマレーナ様を久
しぶりに見たい。

前半はとにかく歌が少ないのが残念で、またオックス男爵みたいなキャラのソマローネが
ドイツ語の台詞をしゃべったりする場面が長くて退屈だった。ベアトリスとベネディクトの
テニスのシーンなどは見ていて楽しいのだが。
後半になって、待ちに待ったアリアやデュエットを続々聴くことが出来、前半のだれた雰囲
気から一気に舞台も締まった。歌が相対的に少ないオペラだから、マレーナ様は喉をセーブ
する必要がなく、演技しながら歌うシーンも最初から最後までパワフルだった。
しかし、ここぞと自慢の喉を披露できるソプラノは得である。特に贔屓でもないがクリス
ティアーネ・カルグは声を出し惜しみせず盛り上げたので、カーテン・コールでも一番拍手を
貰っていた。嫌味のない歌唱と声の持ち主なのだが、どこか意地悪そうで老けて見えるルック
スが好みではない。
ベネディクト役のベルナルド・リヒターは、背丈もルックス的にもマレーナ様とは美男美女の
組み合わせでヴィジュアル面では文句ない。歌はあまり印象に残っていないが、問題もない。

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         すらりと長身のマレーナ様は、また少し痩せたような気がする。

今回のオペラ鑑賞には、義母と義妹も同行した。前半は台詞が多いのに閉口していた二人だが、
後半の歌には堪能できたようだ。そして、コメディエンヌのマレーナ様には感嘆していた。
だから、終演後には二人も楽屋口での出待ちに誘った。
さほど待つこともなくマレーナ様が出てきた。平日ということもあり、出待ちしていたのは
私達三人の他は、スウェーデンから来た初老の女性2人組だけである。丁度、私達の前の座席
に座っていた。
外に出てきたマレーナ様に声をかけると、向こうからハグ。これで何度目?という回数の
おっかけと出待ちだから、御覚えめでたいのも当然。
マレーナ様は、翌早朝バーデン・バーデンへ飛んでリハーサル、そして翌々日にはまた
ウィーンに戻り舞台出演という忙しさだと言う。
義母と義妹もマレーナ様に紹介。翌朝早いから、皆でわいわいどこかに繰り出すというわけ
にもいかない。またハグして、次回はバルセロナでの再会を期して別れた。

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            桜の花びらの散る小紋に砂子で金を撒いた袋帯。
            花びらに合わせて、白地に桜の花びらの模様の
            帯揚げと白に近い象牙色の帯締め。草履も白。
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by didoregina | 2013-05-06 00:11 | オペラ実演 | Comments(6)

ウィーンの赤

何から書き始めたらいいのか迷ってしまう、女三人のウィーン3日間だった。
おかげさまで、晴天に恵まれしかも気温は27~28度という夏のような日々。
旅行記第一弾は赤を基調とした写真でまとめてみよう。

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        ミュージアム・クオーターの中庭は、日光浴にもいい。

出発前、一番心配だったのはルフトハンザのストライキだ。前回のウィーン遠征で利用したエア・
ベルリンの故障・遅延その他に懲りたので、今回はわざわざLHにしたのに。
水曜日にデュッセルドルフから出発の予定だったのだが、月曜日にドイツ全土でストという予告。
前回のストは、労使双方の歩み寄りが見られないまま一日では収まらず一日おきに3回続いたから、
今回はそうならないよう円満解決をひたすら願った。最初の晩がマレーナ様出演のオペラ鑑賞なので
フライト・キャンセルや遅延は困る。
わたしの祈りは天に通じ、火曜日に無事オンライン・チェックインができた。

アン・デア・ウィーン劇場隣の定宿にしているベートーヴェン・ホテルはほとんど満室で、3人だと高く
つく部屋しか残っていなかったので、同じく4つ星で、劇場からあまり遠くないホテル・カイザーホーフ
の三人部屋を予約。サーヴィスも設備も朝食も満足できるもので、非常に快適だった。

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           天蓋つきベッドの左右にシシーとフランツルの肖像画。
           シシー・ファンの義母にはうれしいディテール。

ホテルは、カルルス・プラッツ、ウィーン工科大学、ナッシュ・マルクトに程近く、学生街地域に
位置する。リングの外側だから料金が安めなのだろうか。国立歌劇場、ミュジークフェライン、
アン・デア・ウィーン劇場にも歩いて10分の距離で便利だ。

お昼ごろ空港に到着。予約しておいたキャブはウィーン市内まで片道29ユーロなので、3人だと
非常にお得だ。すいすいと、20分くらいでホテルに到着。12時半くらいなのにチェック・インでき、
荷物もボーイがタクシーから部屋まで運んでくれた。

ナッシュ・マルクトのウマーで魚料理を堪能した後、アン・デア・ウィーンの裏手にあるお気に入り
老舗カフェ・シュペールのテラスでメランジュ。これぞ、ウィーンの味だ。

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          この陽気だから、店内に座っている人はいなくて、
          外のテラス席は一杯。

ウィーンでは、カフェで飲むコーヒーは比較的高めだが、日本の喫茶店のようにコップに入った水が
ついて、何時間でも長居してかまわないから結局お得なのだ。
翌日参加したシェーンブルン宮殿へのツアーのガイドさんによると、ウィーンの水道水の質はとてもいい
そうで、どこでも安心して飲める。町中や公園には、公共の水飲み場がいたるところに設置されている。
かなり新しい設備のように見受けられ、昨年までは見かけなかった(気づかなかった)。

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          ホーフブルクの中庭に出ているカフェでイチゴのトルテ尽くし。

ベートーヴェン・ホテルで出される紅茶は、すぐ近くのナッシュ・マルクトに面した通りにある紅茶屋
Demmerのものだ。お土産はフレーヴァード・グリーン・ティーに決めていた。前回行ったら、8月で
お店は夏休み中だったから、8ヶ月ぶりで溜飲を下げた。

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          Tautropfchen(露の雫)という名前のグリーン・ティー。
          中国産煎茶にヒマワリ、バラ、菜の花の花びら入り。
          この名前はもしかしたら、玉露にかけてるのかも。

ホテルに戻る道を一本間違えた。すると、大きな金色の茶漉しの看板が出ている。Demmerだ。
昔はここに本店もしくはティーハウスがあったのだろうか。今は、宿泊したホテル・カイザーホーフの
裏側でホテルのオフィスになっている。

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ホテルと同じ通りで、作曲家エネスコが住んでいたというプレートも発見。音楽の都ウィーンでは、
結構いたるところにこういうプレートを見かける。アン・デア・ウィーン劇場にはベートーヴェンが住んで
『フィデリオ』初演された、というプレートも付いている。ホテルの近くではドヴォルザークが住んで
いた家というプレートも見つけた。

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            偶然の出会いがうれしいプレート。
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by didoregina | 2013-05-01 10:23 | 旅行 | Comments(6)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

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名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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