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チェルニャコフ演出の『イル・トロヴァトーレ』@モネ劇場(オンライン・ストリーミング)

ドミトリ・チェルニャコフ演出、マルク・ミンコフスキ指揮による『イル・トロヴァトーレ』
@モネ劇場は、先日やはりストリーミング鑑賞したROHの『トロイアの人々』とはまさに
好対照をなす、実に多くのことを考えさせるプロダクションだ。あとまだ2週間半、タダで
モネのサイトから観られる(いつもの仏・蘭語に加えて今回から英語の字幕も!)から
ぜひともお見逃しないよう、心よりお勧めする。


Il Trovatore@モネ劇場 2012年7月15日収録

Muzikale leiding¦Marc Minkowski
Regie¦Dmitri Tcherniakov
Decors¦Dmitri Tcherniakov
Kostuums¦Dmitri Tcherniakov
Elena Zaytseva
Belichting¦Gleb Filshtinsky
Koorleiding¦Martino Faggiani
Il Conte di Luna¦Scott Hendricks
Manrico¦Misha Didyk
Azucena¦Sylvie Brunet-Grupposo
Leonora¦Marina Poplavskaya
Ferrando¦Giovanni Furlanetto
Orkest¦Symfonieorkest en koor van de Munt

まず、やたらと人数の少ない上記クレジットからもわかるとおり、演出・舞台美術・衣装は
チェルニャコフが担当、舞台に登場するソロ歌手は5人だけだ。ヴェルディの作品らしからぬ、
息詰まるような室内劇仕立になっているのだ。
合唱団は、カーテン・コールで姿を見せるのみで、終始舞台裏から歌うという徹底振り。

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         事件の数年後に集まった当事者たちが、過去を偲ぶため
         ロール・プレイで当時の状況を再構築するという設定。
         皆やる気がなく、いやいやながら、ロール・プレイを始める。

このように、ブルジョワの屋敷に当事者が一堂に会して、原作とは異なる役柄設定と状況に
置かれるというのは、同じ演出家による2010年のエクサンプロヴァンス音楽祭での『ドン・
ジョヴァンニ』そっくりだ。たまたま1ヶ月ほど前に、その『ドン・ジョ』のTV放映を鑑賞した
ばかりだから、非常によく似た手法と展開とに、ニヤリとしてしまった。世間ではどうやら
あまり評判がよろしくなかったチェルニャコフの『ドン・ジョ』だが、実はわたしはとても気に
入ったのだ。

    ↓ 問題のチェルニャコフ版『ドン・ジョ』の冒頭シーンから序曲

     ブルジョワの屋敷が舞台の室内劇風、しかも最初は無音というのも同じ。
     そして、人物および状況説明のテロップが流れるのも同様。

今回の『イル・トロヴァトーレ』では、『ドン・ジョ』よりも一層室内劇の息苦しさを高めるため、
鍵をかけた密室にして、召使などほかの登場人物もなし。そうなると当然、お互いを暴きあう
凄まじい心理劇の展開となる。秀逸である。

アズチェーナと侍女(というより女主人然としている)役は、メゾ・ソプラノのシルヴィー・ブルネット・
グルッポーゾが担当し、アズチェーナになるときは、ジプシーらしいじゃらじゃらしたアクセサリーを
付ける。侍女(というより女主人)は、淡々としてタバコをふかしながら、気のない態度だ。

ロール・プレイに乗り気でなかったのは皆同様だが、過去を回想するそれぞれの歌が独白調で
あるから、自分本位で主観的な個別ヴァージョンのストーリーを語るという趣きになり、おお、
これは『藪の中』(もしくは映画『羅生門』)みたいな展開になるのか、と思えた。

登場人物の気持ちが高揚して真実に近い物語を語ろうとすると、ロウソクの火を消したり、また
着火したりするから、『百物語』のようでもある。チェルニャコフは、日本文学の造詣も深いの
だろうか。

『ドン・ジョ』では、北欧系の歌手が多かったので、ヴィジュアル的にもまるで伝統的もしくは
比較的新しい北欧映画の様相を呈し、とても楽しめた。これでカメラ・ワークが手ぶれしてたり、
不鮮明だったりしたらドグマっぽくてもっと面白いのにと、と悪乗り感想を覚えたほどだ。
今回のは、もっと先祖がえり(?)して、イプセンの『幽霊』を思わせる重厚さ。


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        心理面のみならず、ルーナ伯(ここでは金持ちの道楽息子に
        ピストルで追い詰められ人質の様相を帯びるマンリーコ、レオノーラ、
        フェランドとアズチェーナ。


ロール・プレイとして始めたのに、他人の語る”真実”によってつぎつぎと暴きだされる驚愕の
過去に追い詰められていった登場人物たちは、次第に本気になって、心の奥を吐露していく。

最初はヘンなマッシュルーム・カットの黒髪の鬘を被ってお澄ましだったレオノーラも、鬘を
捨てて、長い金髪をなびかせると本来の情熱的な女性になる。(えらの張ったポプラフスカヤの
顔にあの鬘は、欠点が丸見えで気の毒だった)
生の声を聴いたことがないので、あまり大きなことは言えないのだが、ポプラちゃんの声は、
情熱的なレオノーラ役にぴったり。5幕目の別れの歌など、後ろ向きで歌わせられたり、
ソファーの上で仰向けになって歌わせられたりしても、一部アジリタが回りきれないところは
あったが、迫真の演技と相まって説得力ある歌唱だった。高音になるとあまり好みではない
色合いになるが、不快とは感じなかった。

中年ロッカーみたいな体型と服装のマンリーコ役のミーシャ・ディディクは、典型的な泣きの
入るテノール声で、軟弱な嘆き節を切々と聞かせる。全く破綻のないテクニックと甘い声が
高音でも安定していて、安心して聴いていられた。(昨年9月にリエージュで聴いたファビオ・
アルミリアートのマンリーコはかわいそうなくらい高音が出なくて、伸びもなかった。)

アズチェーナも、奔放で邪悪なジプシー女から、苦悩しつつ慈愛に溢れた母親に変化していく
のがよくわかる演出のおかげで、毒々しさで印象付けるという歌唱にならず、しみじみと聴か
せるのがめっけものだった。

ねちねちとした嫌なヤツのルーナ伯であるスコット・ヘンドリックスの歌声は、ストリーミングなので
音響的にバランスよくまとめられていて、迫力あるのかどうかはわからなかった。

ただし、モネ劇場の観客は、アムステルダムとは対象的に、いつでもクールを気取っていて、
なかなかブラーヴァの声がかかったりアリアで拍手が起きない。たしかに、この演出では、
アリアごとに拍手、というのは合わないから仕方ないが。

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           悲劇に向かってひた走るラスト。


ミンコフスキ指揮のオケ演奏は、疾走感溢れる軽快さが好ましく、どうしてもズンチャッチャに
なってしまいがちなヴェルディのこの楽譜からここまで若さと清々しさを感じさせる音を出すのに
感心した。終盤では、ドライブ感と緊張感が一層激しさを増し、テンポに歌手が付いていけなく
なってる場面もあったように思えた。

ヴェルディの奇想天外なお話を、全くスペクタクル要素なしの密室の室内心理劇に変容・昇華
させてしまったチェルニャコフの演出には、心から拍手を送りたい気持ちになった。
カーテン・コールで無理やり登場させられた演出家は、なぜか居心地悪そうな面持ちで、すぐに
引っ込んでしまったのを、ミンコさんが再び舞台に引っ張り出したりしてた。
(ところで、ポプラちゃんがカーテン・コールにいなかったのは、なぜ?)

観客を選ぶ演出であることはたしかで、モネの面目躍如だ。この演出では、観光客や保守的な
観客の多い大都市では受けないだろうから、上演も覚束ない。
今シーズン、モネでは、全演目を千秋楽のあと3週間ストリーミングしてくれたので、全部オン
ラインで観ることができたのだが、ひとつとしてハズレはなかった。タダでオンライン鑑賞できる
のをいいことに、実演は3作しか鑑賞しなかったのが悔やまれる。来シーズンは、モネ劇場に
通いたい。
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by didoregina | 2012-07-11 10:53 | オペラ映像 | Comments(14)

ROHの『トロイアの人びと』をオンライン・ストリーミングで

ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウス(ROH)でまだ上演中なのに、7月5日の舞台が
全編TheSpaceというサイトからタダでストリーミング配信されている。なんとも有り難い。
いつまで見られるのかわからないので、早速7月7日と8日に前後2部に分けて鑑賞した。

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            ヘビーメタルのトロイの木馬。

Les Troyens @ Royal Opera House Covent Garden 2012年7月5日

Director David McVicar
Set designs Es Devlin
Costume designs Moritz Junge
Lighting design Wolfgang Göbbel
Choreography Andrew George
Conductor Antonio Pappano

Soldier: Daniel Grice
Cassandra: Anna Caterina Antonacci
Coroebus: Fabio Capitanucci
Panthus: Ashley Holland
Helenus: Ji Hyun Kim
Ascanius: Barbara Senator
Hecuba: Pamela Helen Stephen
Priam: Robert Lloyd
Polyxena: Jenna Sloan
Andromache: Sophia McGregor
Astyanax: Sebastian Wright
Aeneas: Bryan Hymel
Ghost of Hector: Jihoon Kim
Greek Captain: Lukas Jakobski
Dido: Eva-Maria Westbroek
Anna: Hanna Hipp
Iopas: Ji-Min Park
Narbal: Brindley Sherratt
Voice Of Mercury: Daniel Grice
Hylas: Ed Lyon

キャストは当初、アエネアスにヨナス・カウフマンの予定だったが、早々に降板してしまって、
ルックスも声もカウフマンとは対照的なブライアン・ヒメル(ハイメル)に変更になった。
ヒメルは、3年前にアムステルダムでもアエネアスを歌っているから、順当だろう。
そして、ディドにエファ=マリア・ウエストブルック、カッサンドラにアンナ・カテリーナ・アントナッチ
という配役には、興味津々だった。

というのは、贔屓にしているウエストブルックは前回アムスではカッサンドラ役だったのと、
アントナッチのイメージとしてはディドの方が合っていそうな気がしていたので、ちょっと意外に
思ったのだ。

お話は、ヴェルギリウスの『アエネイス』をベルリオーズがほぼそっくりオペラに翻案したもの
だから、ごくおなじみの内容である。すなわち、トロイ戦争でのトロイの陥落(カッサンドラの予言、
トロイの木馬、トロイアの女性たちの悲運)と、落ち延びた勇者アエネアスが漂着したカルタゴで
女王ディドと恋に落ちるも、神々から託された使命(イタリア建国)のため、ディドを捨てる、と
いう本流のストーリーがストレートに物語られている。
トロイ戦争に基づいた戯曲やオペラは、古今に数え切れないほど書かれたが、たいていの場合は、
ホメロスの『オディッセイア』もしくは『イーリアス』、はたまたヴェルギリウスの『アエネイス』
の長いエピックから一部の人物を取り上げて、ドラマとしてクローズアップしている。そうでないと、
いたずらに冗長かつ散漫になってしまうだろう。

このオペラも5時間半と長い。しかし、前半(トロイの陥落)と後半(アエネアスとディドの
悲恋)とを一挙に上演することで、様々な面でドラマ性が対比されて緊張感も続くのだ。
演奏する側にとっては、大変な重労働であろうが。

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          鈍色(にびいろ)の光を放ち、堅固そうなトロイの城塞

トロイの民衆と兵士たちは、十年に及ぶ戦いに疲弊しているが、ギリシア軍が急に消えてしまった
ので、浮かれている。予知能力のあるカッサンドラには不吉な未来が見えるが、彼女の予言を聞
き入れる者は誰もいない。ギリシア軍の姦計に乗って、木馬を城門内に入れてしまう。

カッサンドラはほとんど狂女という役どころである。アントナッチは、不安と怯えを古典的ギリシア
悲劇女優そのものの苦渋の表情で訴え、呪詛のごとき歌とでカッサンドラの存在の虚しさを表現
している。
もっと若い歌手の方が、アポロンに愛されたカッサンドラのナイーブな悲劇性が出そうな気もするが、
中年のアントナッチのくっきりした顔と声には、また別の悲哀がにじみ出ていて悪くない。誰からも
まともに扱われないというのは、大いなる哀しみである。
アントナッチには、どちらかというとグラマラスでゴージャスな役の方が似合いそうなので、
えっ、カッサンドラ役?ディドの間違いじゃない?とキャスト発表の時には思ったのだが、カッサンドラ
役も嵌っていた。エキセントリックな狂女ではなく、予知能力を得て生まれてしまった苦悩する女を
演じ上げ、知的ですらあり、よかった。

トロイの人々の服装は19世紀風で、カイゼル髭のプリアモス王とか、シシー風ドレスのアンドロマケ
とか、兵士にしろプロイセンかオーストリアっぽい。
それはそれで整頓されたような統一性があり、ストーリーに入り込みやすく、展開もわかりやすい。
演出全体に、とにかく、奇をてらったところが全くない。見ていて安心できるのだった。


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          後半の舞台はカルタゴ。黄土色のカスバのように垂直の
          迷路のような城塞都市と、マスタープランの模型。

前半と後半の舞台を、色ではっきりと対比させているのも、わかりやすい。
暗い色と鉄が多用されたトロイのデコールは、戦争のメタファーとして直裁的である。
それに対して、後半は、いかにもアフリカらしい土のイメージだ。民族衣装っぽい服装も異郷である
こととエキゾチックさを強調している。

美しい女王ディドの元で繁栄を誇る新興国カルタゴ。近隣国王からの求婚にかこつけた侵略という
不安材料もないことはない。そこへ漂着してきたトロイの兵士達は、女王ディドから歓待を受ける。
自身も国を追われ落ち延びて海を渡った経験から、海の恐ろしさを身にしみているからだ。

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           美しいディド役のウエストブルック

特に第4幕は、甘美な音楽に終始し、ディドとアエネアスの愛が歌われる。
夜の洞窟の場面では、最初床に置かれていた円形のマスタープランが垂直に吊り下げられ、
まるで月のよう。舞台はミッドナイトブルーになり、スパルタクスのような古典的バレエの振付の
ダンス・シーン。
グランド・オペラには欠かせないバレエ(ダンス)だが、現代人にはどうしても冗長に感じられる
場面でもある。振付があまりにも古典的なのと、音楽的にも必然性があまりないためだ。
4幕最後のディドとアエネアスのデュエットは耽美的でひとつのクライマックスなのに、ストリー
ミングではブツ切れで終わったのが、非常に残念である。余韻も何も残されなかったのだから。

第五幕は、音楽は甘い余韻に包まれたまま始まるが、水面のように揺らめく舞台と海底に沈んだ
ように見える市街とが、不吉な前兆の可視化だ。
アエネアスは、亡霊たちに「イタリアへ」と使命を忘れないよう諭される。カルタゴを去る間際の
アエネアスのアリアは、甘い恋愛感情と苦しみの相克を表現している。
ヒメルの声は、いかにも色男らしい、とくに高音が鼻にかかった甘い声質で、役柄には合っている
のだが、どうも、ルックスがそれに伴わないのが残念だ。(アエネアスはヴィーナスの息子なの
だから。。。)
毅然とした男らしさを感じさせるカウフマンの声と顔だったら、このアエネアスのイメージは全然
異なったものになったろう。

哀願するも、去っていくアエネアスと神々に対するディドの呪いの言葉。情熱と理性の間を
行き来するディドである。
誇りを傷つけられたディドに残された道は、自らを犠牲に捧げる死だ。そのディドの辞世の歌は
その前の呪詛とは打って変わって、諦めに彩られ、心静か・穏やかそのもので、高貴さが漂う。
女神のような神々しさすら感じさせるウエストブルックの堂々たるディドには、愛される者の可愛らし
さと、捨てられる女の哀しみと、女手一つで王国を築き上げた女王のプライドとが体現されていて、
胸を打つ。ブラーヴァ!
DNOプロダクションのカッサンドラ役もはまっていたが、華やかなルックスと十分な声量とで、
ディド役にもウエストブルックの新境地が開拓され、大成功だ。
ストリーミングでは、実際の生の声とは比べようもないから、歌に関してはあまりコメントできない。
実演を鑑賞された方々のご感想を聞くのが楽しみだ。

エピローグでは、前半に登場したヘビーメタルの木馬が、ハンニバルの像の形になって登場。
カルタゴの人々はイタリアを未来永劫にわたって呪う。イタリアを痛い目に遭わす希望の勇者が
ハンニバルなのだが、ちょっとこれは言わずもがというか屋上屋を重ねる演出で、美的とは言い
がたい。

マクヴィカーは、とにかくわかりやすさを心がけた演出なのはいいが、ここまで説明過剰になって
しまうと白ける。観客のイマジネーションを飛翔させたり考えさせる余地も残すべきだ。
このプロダクションは、このあと、ウィーン、ミラノ、サン・フランシスコでも上演されるというから、
観光客向けにわかりやすい演出にするのは重要なんだろうが。

パッパーノ指揮のオケ演奏には長丁場でもダレた所が感じられなかった。大将には、ご苦労様と
ねぎらいたい。
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by didoregina | 2012-07-09 15:05 | オペラ映像 | Comments(10)

笹の葉さらさら

7月7日は七夕を祝おう!と思っていたのに、当日になったらすっかり忘れてしまった。
マーストリヒトでバイトしている次男に代わって、ユトレヒトへ引越し荷物を運んだからだ。

今年は春先から裏庭の笹竹が文字通り破竹の勢いで伸び、筍から立派な竹になっていった。

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             五月中旬、筍が頭を出した。


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             数日後には、もう食べられないほど伸びた。


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             あれよあれよと言う間に真っ直ぐに伸びていく。


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             5月下旬になると、立派な青竹。


物置のドアの前に生えた二本は、太くならないうちに切り取った。インテリアに使えそうだ。
筍の皮がそこかしこに散らばっている。粽やおにぎりを包むのによさそうだ。


5月下旬に、デン・ハーグとスヘヴェニンヘンに出かけた。パリに本店のあるお気に入りの
紅茶屋さんBetjeman and Bartonの支店が、デン・ハーグだけでなくスヘヴェニンヘンにも
あるのを発見。行楽客で賑わうブールバードから外れた、ヨットハーバーからデン・ハーグに
向かう昔ながらのお屋敷町っぽい近辺にあった。

ゲットしたのは、Eau de Fruit Bambou 笹の葉茶である。

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       笹の葉に、レモングラス、乾燥した果物(りんご、マンゴー、ココナツ、
       バナナ、パイナップル)とオレンジ・アローマのハーブ・ティー。
       薄い色だが、香りは濃厚なので、アイス・ティーにも向いている。

5月に飲んだときには、さほどおいしいと思わなかったが、蒸し暑いこの頃は、さらっとした
味わいのこのお茶がとても美味に感じられる。初夏にぴったりのお茶だ。

笹の葉茶は、血液をさらさらにするらしい。通常のお茶に含まれるテインも入っていない。

ベッチュマン・アンド・バートンには、いまとても気になる名前のお茶がある。マレーナ様に
ぴったりなので、8月のウィーン遠征までにゲットして、出待ちで彼女にお会いできたらぜひ
プレゼントしたい。
また、ウィーンで買いたいと思っているお茶もある。

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        マーストリヒトでお気に入りの茶房ティーゾーンのアイス・ティー。
        一晩冷やしたカラフに入ってくる。氷たっぷりのグラスに自分で注ぐ。
        ホットは、南部鉄瓶に入って、砂時計と共にテーブルに置かれる。



ユトレヒトでも、オランダらしからぬ繊細なケーキ類を作っているお菓子屋さん兼ティー・ルーム
を見つけた。紅茶はティーバッグだが、大きなグラスにたっぷり。(オランダの喫茶店では、
紅茶は大概グラスに入って出てくる。)Bond en Smoldersという名のティー・ルームで、
運河に程近く、サーヴィスもにこやかかつフレンドリーなので、いつでも大入り盛況。また、
ユトレヒトに行く楽しみが増えた。
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by didoregina | 2012-07-08 20:25 | ハイ・ティー | Comments(8)

自転車泥棒

次男のアパートがユトレヒトに決まったので、契約のため、先週ユトレヒトまででかけた。
聖堂などの観光名所や運河のある旧市街とは反対側の、中央駅の裏口に出ると、なにやら
ごちゃごちゃと工事中である。
運河の方に歩いて向かう途中、きたない爺さんから呼び止められた。
「ヘイ、ボーイ、自転車はいらんか?」
おおかた、今どこかから盗んできたばかりの自転車であろう。いかにも怪しい。なるべく速く
金に替えたいのだろう。
値段交渉する気もしない。目も向けずに「いらないよ」と言い捨てて通り過ぎた。

そんな話をしながら、フレイトホフ広場のカフェ・テラスに座って、帽子レッスン後のランチを
取っていたのは、火曜の2時ごろだ。

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          イタリアン・カフェのマーストリヒト地ビール。
          ダブル・シーズンという名。ダークですごくビターな味。

3時15分に自転車置き場に戻ると、1時40分ごろに駐輪したわたしの自転車が見つからない。

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          いつも自転車を停めるのは、ボンボニエール脇の駐輪場。

よくよく探すと、駐輪台に切られた鋼鉄製のチェーンだけ残っている。自転車の後輪にリング状に
設置された鍵と連動するチェーン式ロックの付け根がすっぱりと切られている。

あーあ、と思う間もなく、建物のすぐ角で駐車違反の注意をしていた婦人警官の元へ。
ざっくりと切られたチェーンを見せると「あーら、残念。警察署に行って被害届けを出してね」
とのこと。

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       ボンボニエールの隣は、元修道院付属のラテン語学校

自転車を停めた場所は正式な駐輪場で、町のど真ん中であるフレイトホフ広場と、もう一つの
中心でもある聖母マリア教会の中間。カフェになっているボンボニエールの左角にはテラスが
出ているし、向かいにも反対側の角にも高級ブティックがあり、しかも車の進入は難しい所だ。
人通りが少ないわけでもない町の中心部の白昼の短時間での盗難だ。しかも鋼鉄製の分厚く重い
チェーンを切っているから、プロの仕業であろう。

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       ボンボニエールはマーストリヒトに多い、元修道院だが現在は他の
       用途に用いられている建物。17世紀初頭にイエズス会修道院の
       教会として建てられたが、フランス革命で没収。その後、市民劇場
       になった。フレイトホフ劇場が出来てからは、パーティ会場とカフェ。

警察に行って盗難届けをしようとすると、「オンラインでお願いね」と言われた。
ボンボニエールの隣の駐輪場で盗られたと言うと、「あそこは、監視ヴィデオ・カメラがないから。
監視する人のいる有料駐輪場の方がいいかもね」とのこと。

調書の内容は、盗難場所、時刻、自転車の機種や特徴、鍵の登録番号など、かなり細かく
記入するので、警察署にしてみれば、手間ばかりかかって見つかる見込みもないから、盗難の
調書など取るのは不必要でやりがいのない仕事なのだろう。オンラインで被害者の自己申告制に
なっている。

1,2,3と数種類記入すべき鍵は、去年買った自転車の明細書を見るとDefenderとあり、
調書に通用する正式名称がわからないので、自転車店に電話して訊く。
「リング・ロックと強化鋼鉄製のチェーン・ロックの多重式」とのこと。
そして、「盗難被害届けの警察からの受領メールが着たら、持ってきて。こちらで保険会社に
連絡するから、お客さんが書類提出したり連絡する必要ないから」と言われた。

そして、翌日の水曜朝、警察からメールが届いた。わたしが自己申告した内容の受理と被害届出
証明である。こと細かい内容だから3枚にわたる書類をプリント・アウトして、昨年買った領収書、
保険の証明書および自転車の鍵2つを持って、家から歩いて5分の自転車店に行くと、店主が
保険会社に電話を入れて、即、その場で全額補償が認められた。絶対に必要なのは、オリジナ
ルの鍵二つである。これが揃っていないと盗難の保険が降りない。

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         今回は、見た目がもっと頑丈そうなチェーン・ロックにしてみた。
         盗難意欲をなくさせるのも目的のうち。去年のはサドルが
         細身でガゼルの絵が付いていて気に入っていたのに。

「どの自転車にする?同じメーカーの同型?」と訊かれ、「え、速いわね。去年買ったのは
限定ヴァージョンだから、同じのはないでしょ」と言うと、今年の限定ヴァージョンを出してきて
くれた。同型でパーツもメカニカル面もほとんど同じだが、色やディテールが若干異なるモデルだ。
変速や、ブレーキ、ライト、スプリングなどテクニカル面でも気に入っていたので、色はちょっと
気に入らないが、それに即決する。

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         盗難から24時間以内でわたしのところにやって来た新しい自転車。

駐輪場に残されたすっぱりと切られたチェーン・ロックを自転車店の人に見せると、
「この数日、盗難がやたらと多いんですよ。一時鳴りを潜めていたけど、また窃盗団が活発に
なってきている」と言われ、他のお客さんも「そうそう、この向かいのスーパー前に停めといたら
盗まれたのよ、わたしの友人も」と言い出し、「ありえないわよね、短時間に」と盛り上がった。
皆、当然、二重三重に鍵をかけているのである。

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        去年の限定モデルはシルバーにレモンイエローとミントグリーンが
        効いていてスポーティだったが、今年のは、白っぽいグレーに
        控えめなオレンジと紺なので、ちょっともっさりした感じに見える。

以前、自転車盗難にあったのは、6,7年前で、なんと、自宅の裏庭から盗まれた。
公道や公共の敷地内だと、盗難届けもスムーズに受理され保険もすぐに下りるのだが、鍵のある
門の中であっても自宅の裏庭というのは、保険が利きにくい。自宅の建物内なら家財保険だが、
家の外に停めてあったらだめなのだ。外に停めてあっても家に直接チェーンでくくりつけてあれば
家財保険が利くと言われた。だから、前回は、全額は補償されなかった。

昨年自転車を買った時に、自転車屋経由で、3年間の故障修理および盗難保険に124ユーロ
払って加入していた。だから、新品の自転車の849ユーロは全額戻った。まだ9ヶ月しか乗って
いないから、安くついたとはいえないが、全額補償されたので心は軽い。
そして、また新品の自転車を買ったので、124ユーロ払って保険に入った。
頑丈そうなチェーン・ロックは、サーヴィスでタダで付けてくれた。結局、窃盗団の暗躍で儲かった
のは自転車屋だからだ。

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by didoregina | 2012-07-05 16:56 | サイクリング | Comments(2)

アイセル湖を横断してウルクへ  オランダ一周セイリング記その4

アムステルダムのシックス・ハーフェンに3泊して荒天を遣り過ごした後、アイセル湖へ
帆を進めた。

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          アイセル湖を行く3本マストのバーケンチン

もともとはZuiderzeeという名の大きな湾状にオランダ北部に抉れた形で入り込む海だった
北部入り口とワデン海の間に、1932年大堤防Afsluitdijkが築かれた。
その結果、淡水化および干拓されて形成された汽水湖が IJsselmeer(アイセル湖)だ。

本日の目的地は、アイセル湖の東北岸にある漁師町ウルク(Urk)で、干拓が始まる前までは
ザウダーゼーに浮かぶ島だったが、1939年に後背の元海底が北東ポルダーとして干拓され
たので本土と繋がっている。

アイセル湖の南半分は正式にはMarkermeer(マルカー湖)と呼ばれる。やはり堤防で
区切られているので、北部のアイセル湖とは区分されている。

船でアイセル湖に入るには北部からでも南部からでも堤防を越えないといけない。つまり、
水門を通過することになる。
いや、その前、アムステルダムを出港してすぐに、アイ湾からオレンジ水門を通ってマルカー
湖に入ったのだが。

マルカー湖からアイセル湖に通じる水門に入ると、大きな2本マストのケッチかスクーナー風の
船が先に舫っていたので、その船体に我らのトリトン号を抱きつかせてもらった。
そのエルドラルド号に乗り組んでいる3人のうちの1人の、白い歯がまぶしい笑顔に見覚えがある。
「どこかでお会いしたことがあるようですが」と話しかけているうちに、思い出した。
2年前、友人VとTの銀婚式パーティーが、アイセル川上で船を貸しきって行われた。その
パーティー船バウンティー号の船長だった人だ。
「アイセル湖に入ってから、2度ほど船底が湖底の砂に入り込んだので、スクリューで脱出
したっけねえ」と、当の船長さんも思い出した様子。その後、バウンティー号は売り払って、
現在は、このエルドラド号を所有しているという。
しかし、アイセル湖で再会するとは、奇遇にびっくり。

2つの堤防のおかげでほとんど完全に淡水化したマルカー湖沿いには、マルケン島の有名な
灯台(マルケンの白馬と呼ばれる)や、パンパス島(オランダの黄金時代に、西インドや東
インドへの航海に向かう貿易船が、風待ちのため寄港するのが慣わしだった)など、見所も
いくつかある。

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        レリーシュタッドにあるバターフィア造船所で再現されたバターフィア号のレプリカ

レリーシュタッドは、1986年にオランダ12番目の州になったフレーヴォランドの州都だ。
フレーヴォランド州の大部分は、もともと海底だったところを干拓して作った人工の土地である。

オリジナルのバターフィア号は、1628年にアムステルダムで建造された東インド会社の貿易船
だった。しかし、1629年にジャワからオーストラリアに向かう途中で乗組員の反乱騒ぎが起き、
しかも難破。流血の惨劇として名を残すことになる。
その船のレプリカ建造がこの造船所で始まったのは1985年。主にドロップアウトしたりして
就職難の青少年の職業訓練として、10年をかけて、オリジナルと同じ材料と工法とで手間隙かけて
作り上げられた。1995年に進水式を迎え、それ以来バタフィア号は内部見学もできる。
海洋オタクおよび帆船ファンならば必見の、装飾も美しい手作りの船だ。

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       バターフィア号に続いて現在建造中なのは、7プロヴィンシーエン号のレプリカ。
       提督ミヒール・デ・ロイター率いる軍艦は1665年にロッテルダムで造船された。
       こちらも、歴史的船のオリジナルに忠実な材料と手法による再現プロジェクトで
       青少年失業対策の一環であるのも同様。右手前はバターフィア号。


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       比較的のんびりとしたアイセル湖セイリングの一日が終わる頃、
       ウルクの港が見えてきた。水上から眺めると島そのものだが、
       後ろ側は干拓されたポルダーと陸続きだ。


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          ウルクの港は、漁港らしさの香りふんぷん。


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          日曜日なので、干された網もよく乾いている。


実際、この町では、日曜日=安息日という意味が文字通り非常に深く解釈されている。
オランダでも厳格なプロテスタントの人たちが多い北部の、古くからの漁村などでは、
安息という意味は絶大で、日曜日には庭仕事はもちろん自転車に乗ったりもしてはいけない。
だから、ここのヨット・ハーバーのハーバー・マスターもオフィスもお休みで、空いてるバース
には緑色の印があるから、そこに勝手に係留しろというし、料金はタダ!


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     キリストの恩恵の賜物と感謝しつつ、ロマンチックな海岸を散歩した。

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           日曜日にしてもいいのは(しなくてはならないのは)
           教会に行くことだ。しかも教会には着飾って。

レストランの窓辺の席に座って外を眺めると、夕方、海沿いの小道を着飾って散策する家族
連れとカップルが非常に多い。観光客ではない、地元の敬虔なプロテスタントの人たちである
ことは一目瞭然。
男性は皆スーツ姿で、女性は全員スカートを着用している。
ラフでカジュアルな服装が主流で、ネクタイとかスーツなんてオペラやコンサートでもなかなか
見かけないし、若い人たちのスカート姿なんてめったに拝めないのが普通のオランダであるから、
ここの人たちの信仰心の篤さがよくわかる。

レストランもほとんど開いていない。ほぼ一軒だけ開いていたレストランで働いているのは、町の
外から通っている人たちだ。スリナムかインドネシア系っぽい若いウェイトレスは「ここに住むの
だけはカンベン」と言っていた。


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            沈む太陽に向かって吼えるH
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by didoregina | 2012-07-04 11:41 | セイリング | Comments(0)

Bravaに感謝!招待コンサートでハナちゃん発掘!

またまた、Bravaからのコンサート招待に当選した。昨年はほとんど当選しなかったと
記憶するが、今年は、リンブルフス・シンフォニー・オーケストラ(地元LSO)とオランダ
期待の若手ピアニスト、ハネス・ミナーによるオール・Rシュトラウス・プログラムのコンサート
当選に続いて2度目である。

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          4月に行ったけど、忙しくて記事に出来なかったコンサートで
          ピアニストのハネス・ミナーとツーショット。

今回当たったのは、リンブルフ州の作曲家デイというかなりマイナーなテーマのコンサートで
あるが、そういうものこそ、タダ券でも貰わない限り聴きに行こうとはなかなか思わない
から、当選してうれしい。

土曜日の朝から晩まで、地元出身の作曲家による主に世界初演の曲を、地元の演奏家が
演奏するというものだが、特に興味を覚えた午後からのコンサートを三つ聴くことにする。

Limburgse Componistendag @ Theater Heerlen 2012年6月30日

Studium Chorale & Ensamble 88 dirigent Hans Leenders
Simons Three Shakespeare Sonnets
Leenders Hoc est praeceptum meum

Ensemble 88  & Hannah Morrison
Van den Booren Duende

Heerlense Oratorium Vereniging dirigent Emmanuel Pleijers
Lambrechts Impressions Maritimes, Carmen Laudationem

大体、コンサート当選のお知らせは、当日の2日前くらいに来る。
それから同行者を探すのは、なかなか大変だ。興味を持ちそうな友人を誘うが、「残念ながら
予定が詰まっていて」と4人から丁寧に断られた。それで、長男と行くことにした。

しかし、ヘーレンの市民会館窓口で「ブラーヴァの無料コンサート券に当選したんです」と
告げるも、わたしの名前のチケットはなぜか用意されていなかった。
当選を知らせるメールは、もちろんプリント・アウトしていかなかった。いつも、名前を言うだけで
さっとチケットが出てくるからだ。
今回は、どうやら、Bravaがわたしの名前を劇場に通達し忘れたようである。
顧客としてこの劇場にはわたしのデータが登録されているので、窓口の人の信用を得ることが
できたのは幸いであった。
そして、あまりにもいい天気だから、多分現れそうもないだろう、と窓口担当者は、アペルドー
ルン(ヘーレンから200キロほど北の町)在住の当選者のチケットを替わりにくれた。
(Bravaには、そのいきさつを書いて苦情メールを送ったが、返事はまだ来ない。)

午後の部の会場(大ホール)の客席は、3分の1も埋まってはいなかった。
内容のマイナーさと、外の天気のよさの相乗効果であるから、いた仕方ない。

最初の曲を作曲したのは、まだ若いマレイン・シモンズ。子供の頃からヴァイオリンと作曲の
神童として名を馳せたが、20代後半になったであろう最近は作曲に的を絞っているようだ。
シェイクスピアのソネットを、ア・カペラの現代的混声合唱曲にしたものだ。
無調でしかも合唱の各人ばらばらで必然性のない不協和音で出来上がっていて、しかも伴奏
なしだから、音程を取るのが大変そうである。全員、それぞれ、出だしや主要各所で音叉を
耳に当てて音を取っていた。
面白いのは、ソネットが進むにつれて、だんだんとわかりやすい音楽の形に変化していって、
最後の方は、いかにもシェイクスピアらしい歌曲の趣になって終わるのだった。
聴き終えると、数世紀の音楽史を遡るような感じの大作だ。
このソネットを聴く限り、作曲家シモンズは、オペラ作曲への意欲満々のように思われる。
現代曲のオペラへの批判という意図も含まれているかもしれない。ただし、作曲家自身は、
ミュンヘンでのリハーサルのため、世界初演の機会に同席できなかった。

二番目の曲は、合唱指揮で活躍しているハンス・レーンダース作曲。
指揮者としての彼は、主にポリフォニーからバロックの宗教曲をレパートリーとしているから、
作曲作法も、バッハを思わせる。ラテン語の歌詞をカノン主体の混声で歌わせていく。現代的な
要素は、ビブラフォーンが活躍する器楽演奏部分以外には全くない。18世紀の曲だと言われたら、
信じてしまうだろう。
合唱団は、大分以前『ヨハネ』を聴いたときよりも、ずいぶん進歩しているのに驚かせられた。

その後、小ホールに移動。
アンサンブル88は、構成人員をフルート、クラリネット、ヴァイオリン、チェロの四人に縮小し、
真ん中に立った歌手が、まずオランダ語で詩の朗読をする。太陽や宇宙、気象など自然賛歌
から愛を歌うものまで様々だ。ベルギー訛のオランダ語の発音が美しい。
それから、おもむろに室内楽の演奏に合わせて、素直かつストレートで張りのある好感度抜群
声の、小柄で細身の外見からは意外なほど十分な声量で会場を満たすのだった。
わたしを含む会場は、彼女に魅入られてしまった。Who's that girl?

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         声にもルックスにも清楚な美しさが光る Hannah Morrison

オランダではほぼ絶対不可欠なスタンディング・オヴェーションは、その日のプログラムでは
それまで起きなかったが、ここにきてようやく歌手と作曲家に対するスタンディング・オヴェーション
になった。わたしも、真っ先に立ちたい気分だった。

プログラム・ブックには名前すら、歌手に関する記載がなかった。長男の隣に座った人の話に
よると、その歌手はスコットランド人とアイスランド人のハーフであるという。
帰宅してから、アンサンブル88のサイトで調べると、ハナ・モリソンというソプラノだとわかった。
それからは、ネット・サーフィンである。
両親はたしかにスコットランド人とアイスランド人らしいが、オランダ育ちで、マーストリヒト音大
出身である。
最近では、ハナちゃんは、ポール・アグニュー指揮およびテノールとして出演のレ・ザール・フロ
リッサンによるモンテヴェルディの『マドリガーレ』コンサートに参加している。


         この『マドリガーレ』コンサートも全編タダでMediciTVのサイトから視聴可能。

そして、なんと、ラルペッジャータの『聖母マリアの晩課』コンサートでもソリストだった!
その今年6月14日のサン・ドニ音楽祭でのコンサートがArte Live Webから、全編あと164日間
視聴できる。(下線部分にリンクを張ったので、ぜひ!)
ハナちゃんは、8月24日26日にインスブルック古楽祭にもラルペッジャータのソリストとして
Il Parideに出演する。

魅力的な若手ソプラノをこうして発見することができ、タダ券をくれたBravaには感謝に堪えない。
ハナちゃんからは、今後、目が離せない。
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by didoregina | 2012-07-02 17:25 | コンサート | Comments(2)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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