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ザルツブルクの『ジュリオ・チェーザレ』

ザルツブルク精霊降臨祭フェスティヴァルでの『ジュリオ・チェーザレ』をTV中継および
ストリーミングで2度鑑賞した。
(TVは前半の約1時間、ストリーミングは最後の1時間、それぞれ見ていない)
休憩も入れて4時間以上の長いオペラだが、LivewebArteのサイトであと57日間全編見られる。

記憶が新鮮なうちに、感想を書き留めておきたい。

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  Giulio Cessare Salzburger Festspiele 2012 © Hans Jörg Michel

まず、なんといっても、空前絶後、当代随一の(バロック・オペラ)歌手の揃い踏みが
一番の聴きもの・見ものだ。まさに夢の競演。
チェチリア・バルトリが芸術監督(?)になった音楽祭だから、彼女の嗜好とネットワーク
が反映したキャスティングであることは間違いない。

Giovanni Antonini    Musikalische Leitung
Moshe Leiser, Patrice Caurier    Inszenierung
Christian Fenouillat    Bühne
Agostino Cavalca   Kostüme
Christophe Forey   Licht
Konrad Kuhn   Dramaturgie
Beate Vollack   Choreografie

Andreas Scholl   Giulio Cesare, römischer Imperator
Cecilia Bartoli   Cleopatra, Königin von Ägypten
Anne Sofie von Otter   Cornelia, Pompeos Witwe
Philippe Jaroussky   Sesto, Pompeos und Cornelias Sohn
Christophe Dumaux   Tolomeo, König von Ägypten, Cleopatras Bruder
Jochen Kowalski    Nireno, Kammerdiener
Ruben Drole, Achilla   General, Tolomeos Berater
Peter Kálmán   Curio, römischer Tribun

Il Giardino Armonico


そのバルトリ本人であるが、彼女の歌唱ならばどの曲でも安心して聴いていられるし、何の
不安も感じずに音楽に浸れた。その心地よさ。(もともと、バルトリ姐の大ファンというわけ
ではないが、さすがの実力に感服)
ヴィジュアル的には、ダニエル・ド・ニースやサンドリーヌ・ピオーやナタリー・ドゥセイの
クレオパトラのほうが、コケットだったりしなやかな肢体だったり軽量だったりで美しい。
しかし、バルトリ姐の個性と迫力には、前3者が束になってかかっても太刀打ちできないほど
のインパクトがある。その自信が溢れ出して輝いているようなバルトリ姐であった。姐の歌唱に
関しては今回、全く文句の付け所はなかった。




はっきり言うと、わたしの関心はクレオパトラにはあまりない。

わたしにとって何が一番の見もの・聴き所だったかというと、新旧のカウンターテナーのそれ
ぞれの個性の光具合である。

まず、チェーザレ役のアンドレアス・ショル。
だが、どうしても比較してしまう歌手がいる。
わたしにとってデフォールトというかスタンダード、リファレンスになっているのは、グライ
ンドボーンでのサラ・コノリーによるチェーザレである。
サラ様チェーザレとの大きな違いは何か。女性が男性役を演じ歌う場合、ある意味で宝塚的な
凛々しさを作為的に出す。ヘアメークや表情や立ち居振る舞いに、「練って作られた」と感じる
要素が多くなる。サラ様は完璧に壮年のチェーザレになりきり、ヴィジュアル的に違和感はない。
声はメゾであるから、軽さが短所にならないように歌唱のテクニックにも気を使う。
外観と声とのギャップがまた爽快である。

しこうして、ショルは男性であるから、あえて男性役を演じる必要はない。地のままでもいける
はずだ。しかし、そういう甘い考えではいけない。
ショル兄は堂々とした体格なのに、顔が優しい雰囲気で、目や表情での演技が不得意である。
だから、鬼気迫る形相はできないし、きりっとしたところがなくて、なんだか、自信のない男
みたいになってしまう。演技も役者としてははっきり言って大根である。大男、総身になんと
やら、とは言いすぎであろうが。
歌声はどうか。ここでも、男性であることが裏目に出てしまっている。CTにも色々な声質が
あるが、ショルの場合は、聖歌系である。戦う男というイメージとはかけ離れている声なので
女性がチェーザレを歌う場合と同じように練った作戦が必要なはずなのに、その詰めが甘い。
だから、全体の印象として、クレオパトラに手玉に取られ篭絡させられる優男のチェーザレに
なってしまっているのだった。王者の風格に欠けるのだが、あえてそういう役作りだったのか?

チェーザレのアリアEmpio, diro, tu seiは、なかなかに迫力があって、もしかしたら、今回の
ショルの歌では一番びしっと決まっていた。オケの弦も締まってテンポも切れも気持ちよく、
風雲急を告げるの感に満ち溢れていた。しかし、ここでもショルのアジリタが一部回りきらない
ようで歯がゆい。最後の〆は極まったが。

Va tacito e nascostoは、テンポがゆったりしているので歌いやすいのだろうし、ショルの
個性にもあった演出で、破綻もなく楽しめた。しかし、古楽器ではとても難しいホルンの音が
特に最初の方が不安定で、ちょっと残念。このオケは、弦はとてもいいのだが管がイマイチ。




それに対して、チャーザレのアリアで一番好きなSe in fiorito ameno pratoには、がっかり。
ここでのチェーザレは、薬でラリッて幻覚が見えてるのか、夢の中で浮遊しているかのようで、
音楽のテンポも遅くて芯もしまりもない。クレオパトラの魅力にめろめろになってるという
わけだが、妙なもだえ方が女々しく、目を覆いたくなる。




フィリップ・ジャルスキー(PJ)のセストは、さすがに歌いこんでいるので歌唱に余裕すら
感じられ、安定して美しい。
あえて言うと、けなげで可愛いリリカルなのと元気で勇ましく押しまくりとの、二通りの歌い方
しか出来ないようで変化に乏しい。そして、歌いだすと、なんだかいつも正面向いて突っ立つ
リサイタル風になってしまう。しかし、全ての歌に彼の澄んだ高音の魅力が思い切り発散され
爽快そのもの。
キャラクター的にも、CTでここまでセストにぴったりという人はいないだろう。この役を男性
が歌うというのは異例だと思うが、彼ならはまり役。


はまり役と言えば、クリストフ・デュモーによるトロメオだ。
デュモー選手は、グラインドボーン以来、トロメオの印象が強すぎて各地の歌劇場でもなんだか
トロメオ役専門になってしまった。しかし、ルーティーンに流されることなく研鑽に励んだ跡が
はっきりと聞き取れるのが素晴らしい。そして、歌唱のパワフルさではCTの中で群を抜いて
いる。
彼の声は、体格同様引き締まって全く贅肉のない、筋肉質だ。レーザー光線のような鋭さがあり、
アジリタのテクニックの切れのよさも魅力で、これは腹筋同様に日々鍛えた喉の賜物だろう。
レチタティーヴォのディクションもはっきりとしてよく通り、説得力がある。



嫌なヤツのトロメオになりきった演技も迫真だし、ブーイングだって悪役なら貰って当然の勲章
である。歌唱に全くソツがないのだから、演出に対するブーイングだと本人は理解しただろうが、
トロメオのアリアのたびにブーイングする人たちがいるザルツブルク音楽祭って、お上品ぶった
人たちの牙城なんだろう。器量がないし、大人気ない。ええかげんにせよ、と思った。



今回は、あまりに問題の多い演技をさせられたデュモー選手であるから、分が悪い。
しかし、逆に彼の実力と魅力に気が付いてこれでハマッたという人もいるのではないだろうか。
若手CTの中でも破格の才能である。ヘンデルのヒーロー役ならなんでもこなせるはずだ。
これからも精進を重ねて、大舞台でチェーザレの役を歌ってもらいたい。


もう1人、あまり期待していなかったCTにヨッフム・コヴァルスキーがいる。
しかし、彼の今回の舞台での光具合は、いぶし銀そのもの。盛時を過ぎたとはいえ、さすがの
オーラと貫禄があり、老婆になりきっていて存在感抜群。歌唱もしみじみとして、予想以上に
聞かせるのであった。あなどっていてすまない、と謝りたくなったほどだ。
宦官ニレーノではなく乳母ニレーナという感じのクレオパトラの腹心の重臣に、滋味ある声と
演技とでとなりきっていた。


セストの母コルネリアというのは、意外にもかなり出番も歌も多いことを再発見した。
だから、あまりたいしたことのない歌手が歌うと長いし眠くなってしまうのだが、今回はさすが
アンヌ・ソフィー・フォン・オッター!全く飽きさせない。この人もコヴァルスキー同様、
母とか乳母なんかの役しか回ってこない年齢になってしまったが、昔日ズボン役で鳴らした華は
失われていないし、新境地をこれからも開拓していくだろう。
彼女の素晴らしさは、謙虚に相手とのアンサンブルを大切にする点で、伊達に長いキャリアを
誇るわけではないことが再確認できた。

今回のプロダクションで一番美しかった、セストとコルネリアのデュエット





演出は、安っぽい舞台装置と小道具がそれを象徴しているように、いろんなネタの寄せ集めで、
全体をピシッと締めるようなラインが通っていない。はっきり言って、かなり酷いものだ。
歌手がこれほど揃っていなかったら見られたものではない。

舞台を現代のエジプトに移して、アラブ情勢を反映したような、石油の利権に絡んだ西洋と中東
との葛藤になっているアイデアはよろしい。しかし、手段が常套的なのと、悪乗りすぎるのが
いけない。美意識のかけらも感じられないのだ。

主要歌手のダンスはないが、兵士達のヘンな格闘技っぽい踊りに効果が見出せない。
ブーレスクなどの二流舞台芸術への賛歌というコンセプトなのだろうか。エンタメとしても
中途半端で、ザルツブルク・フェスティヴァルにはしっくりこない。激しいブーイングは、全て
悪乗り演出に向けられたものなのだ。
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by didoregina | 2012-05-30 10:45 | オペラ映像 | Comments(18)

夏のヨット@クロアチアをアップグレード

4月5月と忙しかった仕事やアポも徐々に片付いている。
来週の月曜日から2週間の予定で北海セイリングと、7月にはクロアチアで2週間セイリングを
するので、ヨット・チャーター代およびウェアの費用捻出のために、仕事を増やしたのだった。
来週からのセイリングは、友人のTとH夫妻の持ち船Bavaria34に乗り組ませてもらうので、
ヨット・チャーター代金はかからない。

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         昨年サルデーニャでチャーターしたヨットは33フィートのParis号


ヴァカンス用に地中海でチャーターするヨットは、4人家族の我が家の場合、大体32から34
フィートである。大きければ居住性も操舵性も増すが、値段も急上昇する。
ヨットを借りる値段は、ヨットの大きさ、製造年、海域、期間によって左右される。
なるべくハイ・シーズンを避けて、夏のヴァカンスなら年頭もしくは年末までに早めに予約すると
早期割引やリピーター割引で最大15%も安くなるから、一年の予定を立てるときには、ヨット・
ヴァカンスの時期が一番大事なファクターになる。

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          エメラルド海岸にあるタボラ島の湾に投錨して一夜を明かした。


今年の夏は、イタリアのナポリ南方かクロアチアかで迷ったが、結局、様々な割引のきく
後者の海域でセイリングすることに決定したのは1月末だった。割引率が大きかったので、
ちょっと小さめだが32フィートのヨットを確保した。

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         サルデーニャのマリーナに停泊していたクラシックなJ型の
         シャムロックV号。流線型が美しい、正真正銘のヴィンテージ。


最近になって、日本に住む親戚の者が、今年は地中海セイリング・ヴァカンスに参加したいと
言ってきた。フリーでグラフィックやプロダクト・デザインをしている夫婦なので、急に仕事が
入るとヴァカンスはキャンセルせざるを得ない。6人用にヨットをアップグレードしようかどうか
様子を見ていたが、なんとか仕事を片付けて7月にはヨーロッパに来れそうなので飛行機の
チケットその他も予約したとの連絡が一昨日入った。

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         シャムロックV号の甲板上の金属類は全て銅製でぴかぴか。


32フィートのヨットに大人6人はかなり窮屈だ。寝る場所はサロンのソファーや外のコックピットの
ベンチを利用するにしても、昼間のセイリング中、6人がコックピットに座るのは辛いものがある。
真剣にアップグレードの可能性を検討すべきだ。

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            フランスのベネトー社製、オセアニス37フィート


チャーター会社のサイトを夜中に見ると、ラストミニッツ・オファーで36フィートと37フィートの
ヨットがわたし達のセイリングする海域のしかもどんぴしゃの期間に15%割引で出ている!
しかも、通常はベア・ボート(ヨットのみ)で5200ユーロのところ、フロティッラ、リネン類、
トランジット・ログ(書類)、ディンギー・ボート、船外機、清掃全てひっくるめて4300ユーロ
ちょっとになっている。すなわち、1000ユーロちょっとの追加料金で32フィートから36もしくは
37フィートにグレードアップできるということだ。(通常は、週ごとに別料金で、フロティッラ料金
の150~200ユーロ、リネン類一人15ユーロ、書類に70ユーロ、ディンギーに100ユーロ、
船外機に200ユーロ、清掃に100ユーロなどを払う)

そのチャーター会社の事務所はマーストリヒト市内にあるので、直接出かけてアップグレードを
頼んだ。36フィートは既に借り手が付いたと言うので、2008年建造の37フィートに即決した。
割引ニュースがサイトに乗ったのは金曜日で、当日すぐ照会が入ったが2日の猶予期間に最終
予約がされなかったというヨットがそれで、ぎりぎりのスライディング・セーフである。

37フィートというと長さが11メートルを超えキャビンも3室になる。今回借りるのは、Beneteau
Oceanis37で、特にコックピットが広くテーブルも大きく、ベンチに高低がないため大人数でも
座りやすいというまさに希望通りのタイプである。

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             ヨット内部見取り図


スキッパー付き以外では、こんなに大きなヨットをチャーターするのは初めてだ。
大型船は波と波の上に乗っかるので安定性が増し、帆の面積も大きくなるので速度も出せる。
しかも操縦の機能性もアップする。もちろん、船内およびコックピット面積も広くなるので居住性
も増す。まさに大船に乗った気分が味わえるのだ。
わくわく気分が高潮してきた。

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         サルデーニャのホーム・マリーナにあるカフェのテラスで。
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by didoregina | 2012-05-29 17:53 | セイリング | Comments(0)

真夏日のデルフトでランデブー

ブログ友のgalahadさんと、ヨーロッパ遠征中のとある一日デルフトでお会いした。

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         新教会脇にある、『牛乳を注ぐ女』の彫刻

駅前が大工事の最中で、迂回路がわかりづらく、なかなか駅から出られなくてあせる。
町の中心にある市庁舎と新教会が向かい合って建つマルクト広場に向かう。
丁度、市の立つ日で広場は大賑わいである。

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         新教会前に建つ国際法の父グロチウスの像。頭に鴎、足元に鳩。

そこから、まずは、フェルメール・センターへ。
デルフトといえば、日本人にはフェルメールの町であろう。しかし、彼の作品はこの町
には、全く残っていない。でも、センター内にはかなり安っぽいが全作品のコピーが
並べられている。これらを観ると、世界の美術館に散らばる全作品を観て回る行脚をして
いつか制覇したいものだという意欲が湧いてくるのが不思議だ。

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         光の加減も絵(ダブリンにある手紙を書く女と召使)そっくりの
         写真が撮れるコーナーで。

ヨーロッパの主要美術館にあるものは、実物を何点かすでに見ているが、今回、特に観て
みたいと思ったのは、NYにある『眠る女』とワシントンDCにある『赤い帽子の女』だ。
どちらも、妙にモダンな印象派風の作品である。

デン・ハーグにあるマウリッツハイスは現在、修築のため閉館中で、主だった作品は
ハーグ市立美術館に移されているのだが、『真珠の耳飾の少女』は日本へ出張中。
『デルフトの眺望』は、かろうじてデン・ハーグに居残っている。

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        センターの窓からスクリーン越しにマルクト広場を望む。
        カメラ・オブスクラ風のイメージ。

センターのあとは、フェルメールの記念墓石のある旧教会へ。教会に足を一歩踏み入れると
涼しくてほっとする。ほとんど真夏日である。
この教会には、フェルメール以外にもオランダ黄金時代の国士・名士たちのきらびやかな記念墓
がある。

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        海軍提督マールテン・トロンプ(1598-1653)
        スペインとの80年戦争や英蘭戦争で活躍。大砲の上に横たわる像。

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        海軍提督およびオランダ西インド会社長官ピート・ハイン(1577-1629)
        彼もまた80年戦争で活躍。像はマットのようなものの上に横たわっている。

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        デルフト出身の微生物学者アントニー・ファン・レーウェンフック(1632-1723)
        顕微鏡による観察で微生物を発見。フェルメールの『地理学者』および
        『天体学者』のモデルの男性らしい。

外に出ると兎に角暑い。
水の上ならば、堀のような運河でもまずまず涼しいので、ランチは水上で。

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        浮き橋のような船のような水上テラスがデルフトには何軒かある。
        暑い日には、まるでオアシスだ。

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        デルフトの地ビール2種。右は白ビール。左のスタウトはコーヒーで
        味付けされており、盛時の東インド会社・西インド会社の残り香を偲ぶ。



 
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by didoregina | 2012-05-27 11:01 | 旅行 | Comments(10)

今年のヴェルサイユ・フェスティヴァルはヘンデル祭り!

6月8日から7月13日まで連日、ヴェルサイユ宮殿で繰り広げられる音楽祭の今年の
テーマは『ヘンデルの勝利』で、素晴らしい充実のプログラムだ。

ヘンデルのオペラやオラトリオのほか、『王宮の花火』や『水上の音楽』などの演奏会が、
宮殿内の王室礼拝堂や歌劇場、鏡の回廊および庭を会場として行われる。バロックの精華を
これ以上は望めないほど雰囲気がマッチした会場で鑑賞できるのだ。
プログラムのみならず、出演者のラインナップもすごい。

気になるものだけ挙げても以下のとおり。

6月11日 『オルランド』@王立歌劇場 カーティス指揮 主役がイェスティン・デイビスで、
     ロベルタ・マメリ、クリスティーナ・ハンマーシュトロム他の出演!

6月12日 『アルチーナ』@王立歌劇場 ルセ指揮レ・タラン・リリク、カリーナ・ゴーヴァン、
     アン・ハレンベリ、デルフィーヌ・ガルー他

6月13日 チェチリア・バルトリのリサイタル@鏡の回廊、題して『ヘンデルのヒロイン達』

6月14日 『ジュリオ・チェーザレ』@王立歌劇場 ダントーネ指揮アカデミア・ビザンチーナ
     ソニア・プリーナが主役で、パオロ・ロペスがセスト。

6月19日 4人のカウンター・テナー・ガラ チェンチッチ、サバタにTerry Wey とVince Yi

6月22,28,29日 『王宮の花火』もちろん外で。

6月24日 『サウル』@王室礼拝堂 

6月25日 『エジプトのイスラエル人』@王室礼拝堂 クリストファーズ指揮ザ・シックスティーン

6月26日 『ソロモン』@王室礼拝堂 マクリーシュ指揮ガブリエリ・コンソート、イェスティン
     君がまたもや主役!

6月27日 チェチリア・バルトリのリサイタル@王立歌劇場、Sacrificium!

6月28日 アレクサンドル・タローのピアノ・リサイタル@王立歌劇場 『ラモー賛歌』

7月1日 『セルセ』 スピノジ指揮、マレーナ・エルンマン主役!アドリアーナ・クチェロヴァ、
     デヴィッド・DQ・リーにヴェロニカ・カンヘミ!


7月5,6,7日 サヴァール指揮による『水上の音楽』@大運河

7月6日 アイム女史指揮ル・コンソール・ダストレーによる『水上の音楽』他@王立歌劇場、
     ソニア・ヨンケヴァ出演

7月6日 マックス・エマヌエル・チェンチッチのリサイタル@鏡の回廊 『ヘンデルのヒーロー達』

7月10,11日 『メサイア』@王室礼拝堂 ザ・キングズ・コンソート

7月11日 『タメルラーノ』@王立歌劇場 ミンコフスキー指揮MLG、 クリストフ・デュモー!
     ユリア・レジネーヴァ、ティム・ミード他の出演

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イェスティン君主演の『オルランド』は、なかなか期待できそうだし、脇を固める女性陣も手堅い。

『アルチーナ』と『ジュリオ・チェーザレ』には、バロック・オペラに欠かせない女性歌手たちが
勢ぞろいする。

『セルセ』は、昨年のウィーン公演での面子から、キャストは少々替わったが、興味津々だ。
会場が発表されてないが、どこだろうか。コンサート形式だろうが、マレーナ様の演技にも期待。

そして、〆の『タメルラーノ』がスゴイ。デュモー選手もとうとうミンコさん好みの仲間入り?
今後もご贔屓にしてもらいたいものである。デュモーとユリアちゃんとの若手パワフル・コンビが
早々に実現するのが聴きものだ。
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by didoregina | 2012-05-25 13:43 | バロック | Comments(27)

日曜日には、川辺でビール

デン・ハーグから帰って、日曜日には恒例のマース川沿いの散歩。

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先週の日曜日には、マース川沿いの自転車道でベルギーのヴィゼとマーストリヒトを往復する
フル・マラソンが開催されていた。

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       対岸の山の上の聖ピーター教会とアンドレ・リューのお城。
       その手前には小さなヨット・ハーバー。

気温も湿度も高いから、行く先は涼しい噴水や水辺に面したカフェに決まり。
マース川沿いには、川風が気持ちよく吹き抜けるカフェはいくつかあるが、一番は何と
言っても、ステイオーケー(旧ユースホステルだが、オランダでは十年ちょっと前から
こんな名称に変わって、お手軽価格だが、場所によってはヒップな宿泊施設になった)
の川に張り出したカフェである。

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        オランダのトラピスト、ラ・トラッペの白ビール!

ここのテラスに座っていると、水上のヨットのデッキやコックピットにいるのと変わらない
くらい水が近いので、涼風もさわやかなことこの上ない。大変お勧めである。

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       ステイオーケーの対岸には、アルド・ロッシ設計のボネファンテン美術館。
       お天気がいいから、遊覧船の上部デッキも大賑わいだ。

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       クロアチアでのヨット・チャーターを仲介しているエリックが4月から
       マース川と運河でのスルップという小型ボートのチャーターも開始した。
       そのスルップが2隻、マース川を走っているのを発見。


スヘベニンゲンでは、北海でのセイリングに必須のしっかりしたオーシャン仕様のジャケットと
海でのヨット・レースにも対応できるサスペンダー式ズボンを買った。
とにかく、防水と防風が完璧で縫い目にもテーピングが施されていること、外からの水分は
シャットアウトするが蒸れないように汗は外に逃がすことと、顔半分を覆うほど首回りがびっしり
詰まっていることが肝心である。
女性用のレース対応のズボンだと、サスペンダーの位置とファスナーに工夫が凝らされていて
両脇のファスナーを下ろすと、上着やサスペンダーを外さなくてもトイレに行けるのだ。
内陸部のヨット用品店では、そこまで専門的なウエアはなかなか扱っていない。Henri Lloydの
製品だ。動悸が速まるほどのお値段だったが、一生ものだと思ってクレジット・カードで支払った。

北海ではウェアがどれほど重要であるか、身をもって体験している。波をかぶって濡れると、乾く
暇はないのだ。それが10時間も続くと体力の消耗が甚だしく、危険である。

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       先週も今週も日曜日に同じ場所で日向ぼっこしていた白鳥の親子。
       父鳥はちょっと離れたところで睨みをきかせていて、近寄りがたい雰囲気。

あとまだ、ヨット用のブーツも要る。持っているのはMurphy & Nyeというイタリアのヨット・ウエア
のデザイン・ラインで、地中海とは異なる北海では実用的でない。可愛いデザインだが、紐通しの
穴から水が中に漏れるし、ゴムなので足が冷える。
主人もTも持っていて皆が勧めるDubarryのブーツを買おうとすると、もう一度清水の舞台から
飛び降りなければならない。。。
もう、2週間後には北海でのセイリングが迫っているから、ぐずぐずしている暇はないのだが。
湖や地中海でのセイリングなら、これほどの重装備は必要ない。

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by didoregina | 2012-05-22 22:27 | セイリング | Comments(2)

住人感覚のデン・ハーグとスヘベニンゲン

昇天祭の休日には、Rのヨットでゼーランドの東スヘルデをセイリングの予定だった。
しかし、天候が優れない。最高気温12度くらいの予報だったので、暖房設備のないRの
ヨット(クルーザー・タイプではあるが)での寝泊りはあまりに寒そうだ。

それでセイリングの代わりに、Rの住むデン・ハーグに遊びに泊りがけで行くことになった。
独身貴族である彼の住居は、日本大使館と市立美術館のほぼ中間にあり、中央駅とスヘベニ
ンゲン海岸を結ぶトラムの停留所がドアの前という素晴らしい立地だ。1896年建造のアパルト
マンの一階(庭付き)と二階を繋げて1人で住んでいるので、便利な上、スペースは有り余るほど。

中央駅横の大きな公園マリーフェルドは、インドネシアのお祭りで賑わっていた。
そこから、観光客がほとんど来ないデン・ハーグの静かな小道を散歩した。
住人による案内で町を歩くと、観光とは視点が異なるから、ガイド・ブックには載っていない別の
面を発見できて楽しい。

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      エッシャー美術館の裏辺りはとても静かで、まるでデルフトのよう。

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      小さな運河にかかる橋の上がテラスになっているカフェで昼食。

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       デュヴァルから出たエキストラ・ホワイト・ビール Vedett。
       しかし、ほとんど濁っていず酸味もなく、ドイツのヴァイツェンと
       ピルスの中間のような感じ。


町を散策した後は、自転車でスヘベニンゲンまでサイクリング。
Rの家の前の道を真っ直ぐ自転車で行くと、5分くらいで港に着く。

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昔は漁港や荷揚げの港として賑わったが、現在は、ヨットのほうが優勢だ。
4月に北海でヨット・トレーニングを行った主人も、イギリスに渡る前このハーバーに係留した。

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     丁度、46フィートはありそうな大きなヨットが入港してきた。
     (そのヨットの後ろにある建物のレストランで夕食。)

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        港や海岸や堤防の突端までサイクリング。

Rがヨット用に買った折りたたみ式自転車は、頑丈な作りでしっかりした乗り心地の優れもの。
重いが折りたたむとコンパクトになるので輪行にピッタリで、電車への持ち込みもタダ。

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        堤防の突端は港の入り口で灯台が。その向こうに霞むのは北海を行く船。


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        ヨット・ハーバーまで戻って、ヨットを眺めながらテラスで夕食。

夕方、一日の航海を終えヨットを入港し終えてほっとした表情の人たちが、日に焼けた顔で
桟橋を歩いているのがテラスからよく見える。
今回、わたし達はヨットではなく自転車でヨット・ハーバーまで来たのだが、ヨットから陸に
上がってうきうきと歩く人々の充実感の漂う顔を眺めるのは楽しく、彼らの満足感がこちらにも
伝わってくる。

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       このレストランは、デン・ハーグ市内にあるベルギー・ビール専門カフェ
       Rootzの経営で、こちらにもベルギー・ビールが70種も揃っている。
       Rootz at the Harbour 別名Belg van Scheveningen(スヘベニン
       ゲンのベルギー人)というからには、料理も満足できる。


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       ブリュッセルの「小便小僧」に対抗するアントワープの「いけない子」
       Deugnietという名前のビールのラベルは怪しげ。。。


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        3コース・メニューは、各コース数種類から選べて25ユーロとリーズナブル。
        前菜は別々のを選んだ。向こうはカルパッチョ、手前はグリル野菜のサラダ。

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        主菜は、3人ともスヘベニンゲン風魚鍋にした。

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        寒くなったので、デザートはレストランの中で。クレム・ブリュレ。


ビール・ニューで確認したら、先々週ブリュッセルでは6ユーロもしたシメイは、ここでは4ユーロ
60セント。納得いく値段である。
各料理に合うビールとワインが品書きには書いてあるので、メインの魚料理にに合うビールを頼むと、
「魚料理には、ビールは合いません。」とビール専門のレストランなのに白ワインを勧められた。
グラスなら、ビールより安いくらいである。

実は、メインを食べ終えて会計を頼んだら、レシートには3コース・メニューとあった。
「デザートは注文してないのに」と文句を言うと、「2コースだけでも同じ値段です。デザートは
サービス料金なんです。それでは、コーヒーでもいかが?」と訊かれたので、「中でデザートを
食べる!」と断固たる調子で宣言し、クレム・ブリュレとレモン・タルトを持ってこさせた。「お客様は
典型的なオランダ人ですね」(つまりお金には細かい)と言われてしまった。
ベルギー人らしい給仕は1人もいなかったが、皆とてもフレンドリーで、客も給仕もお互いずけずけ
言い合えるのがオランダらしくていい。
ブリュッセルのグラン・プラス周辺だと、なんだかどこでも給仕は慇懃無礼で、そのくせ観光客と
見ると誤魔化してふんだくろうとする輩が多いような気がする。
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by didoregina | 2012-05-18 23:45 | 旅行 | Comments(6)

The Mill and the Cross 『ブリューゲルの動く絵』

日本公開よりも少し遅れて、リュミエールで先週からようやくThe Mill and the Crossが
上映されている。2ヶ月ほど前、リュミエールの館長さんに直訴(?)したら、その翌々週
くらいに、駐輪場にこの映画のポスターが沢山貼られていて、おお~っと欣喜雀躍。
オランダ人画家が主人公でオランダ人俳優が主役の映画なんだから、オランダ映画では
ないが、オランダのアートハウス系映画館で上映されて当然なのだが。

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監督 Lech Majewski
脚本 Michael Francis Gibson, Lech Majewski

ピーター・ブリューゲル Rutger Hauer
ニコラース・ヨンゲリンク Michael York
マリア Charlotte Rampling
若い妻 Joanna Litwin

ポーランド、スウェーデン 2011年










ロッテルダム映画祭で話題になったので、一年以上前からいつ観ることができるのかと、
待ちに待っていた。そして、その期待は裏切られなかった。

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     広壮な構図の絵の広い地域に散らばるモブを実際の人と動物とで映像化。

まず、ウィーンの美術史博物館にあるブリューゲルの『十字架への道』や『子供遊び』や
『農民の踊り』などの絵を、そのまま文字通り活写し、絵そっくりの背景の中、時代考証も
完璧で絵そのものの扮装で配置された夥しい数の人物を動かすという手法が画期的だ。
ここまで徹底して「動く絵」を創ったという前例はないだろう。
中世のコスチュームでパレードしたりする時代祭りなんかよりも、もっともっとディテールまで
細かい。人間なら絵そっくりのシーンのためのストップモーションも可能だが、馬なんかは
微妙に動いてしまっている点で、監督の偏執狂的な細部へのこだわりが強調されていた。

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      背景は、書割みたいなDGと実際のロケ地とがミックスして交錯。
   

こんな風に人海戦術の映画は、ロケ地も含めて実際にオランダやベルギーでは作ることは今や
不可能なのだろう。監督も登場人物も(主要有名俳優を除いて)ポーランド人になってしまった
のはいたし方ない。それどころか、監督のこの情熱には恐れ入り、映画化への感謝の気持ちで
いっぱいである。
しかし、ブリューゲルやそのパトロンで資産家のヨンゲリンクや老いたマリアなどの主要俳優が
英語の台詞をしゃべるのに対して、その他大勢はポーランド語をしゃべっていたのだが、それには
少々違和感を感じ、やはり残念であった。いうなれば、関が原の合戦を壮大な時代絵巻の映像
化したのに、ハリウッド資本の映画になったため、主要人物は中国人俳優で英語をしゃべり、
その他大勢は中国語をしゃべり、ロケ地はモンゴルの草原みたいな感じに近い。

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       原題にもあるし重要な風車は、現実離れした迫力の存在感。

奇岩の上に屹立する風車は、そこへいたる長い階段の内部構造も、まるでバベルの塔を
裏返しにしたようなデザインで、人間の意志や想像力とはかけ離れたような不思議な建物だ。
まるで天の高みから地上の出来事を眺め、風も自由の操れるかのような風車守の親方の存在も
不思議である。

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          神の寓意のように高みから地上を見守る風車守の親方

その風車で挽かれる粉から作られたパンも、人びとにとっては生きるための有り難い糧であり、
尊敬の対象になる。生の基盤である。
若者や子供達は、踊りや遊びの中で自然と共に生を謳歌している。
そして、それと対象をなす突発的で残酷かつ日常的な死。

死は、たいてい赤マントのスペイン(傭)兵によって、突然有無を言わさず宣告され執行される。
オランダ・フランドルが被った横暴なスペインの圧制が、時代背景に濃密に漂っているのだ。

ブリューゲルのパトロンだったアントワープの金満家ヨンゲリンクの存在が何とも不思議で、しかも
意味ありげである。単なる善人には見えないのだ。スペインによる異端尋問や圧制に対する不満
を口にするのだが、実は裏でスペイン側に通じて自分ひとりで甘い汁を吸ってるんじゃないかと
疑ってしまうようなうさんくささを感じさせる顔つきのマイケル・ヨークなのであった。

ブリューゲルは、それらの出来事を克明に絵に記録する。天から命じられた使命のごとく。
ルトガー・ハウアー演じるブリューゲルは、ルト様の実際の年齢や普段TVで見る顔よりは若く
見えるが、ブリューゲルは40台で亡くなったのだから、心労のためかかなり老けている。
自分の絵のプランをヨンゲリンクに見せながら、図像の解説をしてしまうところが現代的である。
ブリューゲル自身によるブリューゲル作品の絵解きというわけだ。

『ブリューゲルの動く絵』という邦題は、たしかにそのとおりであるが、ちょっと含みが足りない。
なんだか、教育映画みたいな響きになってしまう。しかし、ブリューゲルの絵愛好者にとっては、
とても満足のいく眼福をもたらす映画なのだった。
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by didoregina | 2012-05-17 22:46 | 映画 | Comments(4)

フロリアード2012のアート印象点描

帽子の師匠Pとともに、彼女の住む村の婦人会が主宰するバスツアーに参加して
十年に一度開催される園芸博覧会フロリアードに行ってきた。
開催地はオランダ南東部のフェンローで、マーストリヒトからなら1時間15分くらいだ。

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        トルコの原種に近いような形と色の美しいチューリップ。


4月に行かれた方の感想で、「オランダ3大がっかりのひとつ」というのを聞いていたので、
あまり期待しないで出かけた。
花の祭典というキャッチフレーズがもし使われているとしたら、それは全く妥当でない。
溢れんばかりに咲き誇る花や植物を見たかったら、キューケンホフ公園に行くべきだ。

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          グリーンの芝生の上に、開かれた絵本の形で様々な
          オランダ風景のイメージが描かれているオブジェ群。

今年のフロリアードは、グリーン・エンジン、環境、教育・革新、リラックス&ヒールという
テーマに分けられた広大な敷地(森や湖もある)に、各国の様々なパビリオンが点在し
いわば期間限定のテーマ・パークの様相を呈している。

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        各国のパビリオンでは観光案内やお土産でアピール。
        スリ・ランカ館では、トパーズの原石を研磨していたり、
        (半)貴石の裸石やアクセサリー類に目が吸い寄せられた。

園内にはショーが行われる野外劇場やロープウェイ、各エリアごとにレストランやトイレ、そして
土産物販売に特化したようなパビリオンも多く、全体的なイメージは何とかランド的である。
いわゆるコンヴェンショナルな花博を想像して出かけていったら、がっかりするかもしれない。
アート的観点から見たら面白いものもあるのだ。

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            昆虫の格好で園内を歩く大道芸人(?)


園内で一番気に入ったのは、敷地の外れに近い森の中にひっそりと隠れていた展示だ。
その名も、ウィローマンの森。ここはぜひとも探し出して見てもらいたい。

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           しなやかな柳の枝を組んで作られた家や部屋や檻や巣。

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           大きな建物は中にも入れる。

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           それぞれが、寝室やトイレになっている。

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           手前はエコ・ガーデン。鳥の糞が吊るした蘭の肥料に。

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           こちらはキッチン。

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           古着で造ったハーブ園と野菜畑。

コンセプトと造形が周りの環境に絶妙にマッチしていいて、フロリアードの展示の中で
白眉である。

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       ウィローマンの森はランド・アート・アーティスト、ウィル・ベッカースの作品。
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by didoregina | 2012-05-14 15:17 | 美術 | Comments(2)

Wuthering Heights 『嵐が丘』2011年版は今年のベスト3入り確定

c0188818_15165363.jpg監督 Andrea Arnold
脚本 Andrea Arnold, Olivia Hetreed,
based on the novel by Emily Brontë
キャシー(大人) Kaya Scodelario
ヒースクリフ(大人) James Howson
イザベル Nichola Burley
エドガー Oliver Milburn
キャシー(少女)Shannon Beer
ヒースクリフ(少年) Solomon Glave

Camera Robbie Ryan
Editor Nicolas Chaudeurge
Production design Helen Scott
Sound Design Nicholas Becker
Muziek Mumford & Sons
2011年 イギリス

アンドレア・アーノルド監督による最新映画版『嵐が丘』は、クリシェを排したストレートな
展開とまことに斬新な映像とで、今までの映画およびTV版とは一味も二味も異なり、この古典
作品の何度目になるんだろうと思う映画化だが、この作品では存在価値が大いに光っている。

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         自然の中で育った野生の少女キャシー

ポスターにある美しい大人の女になって洗練されたキャシーよりも、少女時代の丸ぽちゃで
飾り気などまったくない自然児そのもののキャシーのイメージが前面に押し出されている
前半が特に印象的だ。

ヨークシャーの荒野の茫漠たる風景や、風の谷間に立つ嵐が丘の過酷で寂しい佇まいは
叙情的という言葉の範疇には入りにくい。鳥の羽や動物の死骸や麦わらや干草、ぬかるみの
泥道が、子供達のおもちゃであり宝物であり遊び場である。
アーノルド監督は、それらの要素を驚くほど自然に見せつつ巧みに映像化して、見る者の心に
失われた子供時代への郷愁を誘うのだ。

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          ヒースクリフとキャシー

まるで是枝監督作品に登場する子役達のように、演技以前の自然な表情と振る舞いで大自然の
中を駆け抜ける少年少女のヒースクリフとキャシーの関係は、姉と弟のようなおおらかなものだ。
だが、思春期のエロスの萌芽は、21世紀の映画化らしく、大自然のなかの営みの一部のような
形で表現されている。
そして、二人は分かちがたいソウル・メイトであることが納得でき、後半に繋がるようになっ
ている。

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今回の映画化で話題になったのは、ヒースクリフが黒人であることと、少年時代の彼を演じる
のが無名の素人ということだった。突飛ではあるが説得力もある。
また、キャシーの兄ヒンズリーなど、現代のスキンヘッドのフーリガン風である。
そのせいもあるし、あまりに原始土着的な嵐が丘の生活描写が生々しく、時代を超越している
ので、前半は特にコスチュームものという感じがしない。太古から永劫変わらぬような
大地に根ざした生活の中では時代判別が難しくなっているのだが、その超時代・普遍的
感覚が、とても新しい。
いわゆるコスチュームもの映画で繰り返し使われる、使い古した手法から脱皮しているのだ。

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         大人になって嵐が丘に戻ってきたヒースクリフ

後半は、大人になったキャシーとヒースクリフにエドガーとイザベル兄妹が絡む。
情熱と復讐がキーワードになっているが、その発散および表現があまりに純粋というか直載な
ため、何か隠された秘密を匂わせるようなゴシック的な要素は少ない。ロマンチックな要素と
なるとほとんど皆無である。その辺りの感覚もとても新しく、現在また映画化した意味がそこ
にも見出せる。

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             冷酷なキャシー

キャシーが「自分より自分らしい」と思うヒースクリフだが、兄や裕福なエドガーから邪険に
扱われたため、自分が貶められたかのように感じただろう。それが、愛情と裏腹の嫌悪感に
繋がってサディスティックに振る舞い、果てには狂気に陥ってしまう。
ヒースクリフは、愛するキャシーから裏切られたゆえの憎しみからの復讐心に燃える。
自分に似た人間に対する愛情と裏表に存在する嫌悪感・憎悪のエネルギーの凄まじさ。


全体の大きな部分を占める大自然の描写と、主人公二人の心の複雑な確執とがフラッシュ・
バックやフラッシュ・フォワードで交差するので、普通の『嵐が丘』もしくは昔ながらの
コスチュームものを期待して見る人には、ストーリーも映画の革新性もなかなかわかりにくい
ようだった。

全く正反対のアプローチだが、時代を映し出す鏡として思い出したのは、1999年の公開時は
電気ショックのようなインパクトのあったリュック・ベッソン監督の『ジャンヌ・ダルク』を
思い出した。叫んだり流血シーンの多いヒステリックなあの作品も、作られた時代の申し子
だったのだ。

この『嵐が丘』は、今年の映画ベスト・スリーに入ること間違いなしだ。
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by didoregina | 2012-05-11 09:31 | 映画 | Comments(2)

トラピスト・ビールは究極の修道院ビール

ベルギー・ビールというカテゴリが設置してあるのに、なかなか記事が増えない。
家ではビールは飲まないが、カフェなどでは週に一度くらいはベルギー・ビールを
飲む機会があるにも関わらず。いつもカメラを持っているわけではないからだ。

ブログ友のaliceさんとベルギーのリエージュでランデブーしたのは、その晩ケルンに
『ポッペアの戴冠』を観に行った日なので、かれこれ1週間半も前になる。
ヨーロッパ遠征の際には、各地のロマネスクの教会を巡礼のように訪ねているalice
さんが、ベルギーの国宝である12世紀の洗礼盤を観るためにリエージュまで足を
伸ばされることを知って、見学をご一緒させていただいたのだ。家からは車で25分の
距離である。

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      ロマネスクの稚拙さがなくて、精緻な職人技が光る真鍮の洗礼盤。

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   牛フェチにはたまらない10頭の様々なポーズの牛達。元々は12頭だった。
   跪いて洗礼を受けている二人の人物の背中の表現にも、まるでルネッサンスに
   近いような艶かしさが感じられる。

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   教会自体は、後に新しく修復されすぎて味気ない聖バーテルミー教会。

見学の後は、市内で昼食。チョコレート屋さんの女の子推薦のリエージュ郷土料理の
店の向かいにイタリアンがあり、その日のお勧め料理が美味しそうだったのでこちらに。
干タラのポレンタというのが珍しいので気になったのだ。トリッパ(臓物の煮込み)も。

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   タラのポレンタ(左)とサービスで出てきたパプリカの煮物。
   タラはちょっとしょっぱすぎたが香ばしいし、ポレンタはいかにも田舎料理風。

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           トリッパは、アンモニア臭も癖もなくて美味しかった。
           後ろは、オルヴァルのトラピスト・ビール

ベルギーだからワインじゃなくてビールにしましょ、というわけでビールのメニューを見ると、
かなりレアなオルヴァルのトラピストがあったので選んだ。
複雑で馥郁たる味わいの修道院ビールの王者である。


さて本日は、ブリュッセルに『オルランド』のマチネを観に行ってきた。
バロック・オペラで長いから、開演前にお昼を軽く食べたい。そうしないと、夜9時まで
食べそびれてしまうのだ。究極の味を探し求めている小エビのクロケットを食したい。

選んだのは、この店↓

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           ブラッスリ・ラ・ル・ドール

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         グラン・プラスのこの角を入った通りにある。
         その名も、帽子職人通り!

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       小エビのクロケットは、隠し味のチーズと小エビの味がしっかりして美味しい。
       付け合わせが揚げパセリでなく、トマト、バルサミコ・ソース、オランデーズ・
       ソースというのが珍しい。味に変化が出る。レモンはお約束。

かなり観光客慣れした店で、入るとすぐに英語のメニューを持ってきた。おのぼりさんと
しては店の期待通り英語で「どんなビールがありますか」と訊くと、「白?赤?」と
問われたので、「ビールなんですけど」と言うと「だから、普通のビール?それとも
ホワイト?」「それでは、ダーク・ビールを」という応対になって、ビールのメニューを
見せてもらえなかった。
持ってきたのは、シメイのトラピスト。ダークなのでアルコール度数9%である。やれやれ、
これからオペラ鑑賞するというのに、眠くなったら困る。

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        バーの上の壁に描かれた画

観光客と見て、大方一番高いビールを持ってきたのだろう。一本6ユーロもした。
普通のビールなら大体2~3ユーロ。スペシャル・ビールや修道院ビールでも4ユーロくらいが
相場である。英語なんて使うんじゃなかった。食べ物のお味も店の雰囲気もよかったので、また
来たい。次回は、しっかりオランダ語でビール・メニューを持ってくるようにと言うつもりである。

ビールの瓶には、このビールの売上の大部分は慈善事業に使われます、と書いてあったので、
寄付金代わりだと思うことにしよう。

 
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        窓の向こうが厨房。インテリアはなかなかいい。
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by didoregina | 2012-05-07 00:09 | ベルギー・ビール | Comments(8)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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