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『ポッペアの戴冠』@ケルン、後半のみ鑑賞

何かと話題のケルンの歌劇場だが、昨年大好評だったため今年再演されている『ポッペアの
戴冠』の会場は、移民の多そうな町外れの寂れた工場地帯にある倉庫を改装したと思しい
ディスコ・クラブである。

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    ロビーに置かれたゴンドラのような大道具。左手のカーテンの向こうが舞台。

ケルンの東に位置する会場へ行く手前の高速道路で、大変な渋滞に巻き込まれてしまった。
目的地まであと7キロという地点から延々4キロが1時間半近くかかった。ゆっくり歩く速度とほぼ
同じだが、高速道路だから歩くわけには行かない。そして、このくらいのろのろ運転だと、クラッチと
アクセルとブレーキのペダルをずっと交互に踏むことになり、車に乗りながら4キロ歩いたような具合
である。足がつりそうだ。

夜7時開演というのは、渋滞に巻き込まれやすい時間帯なので嫌な予感がした。通常なら1時間
20分で着くはずのところ、余裕をもって5時15分前には出発したのに。。。
多分休憩時間だろうと思って8時15分頃に会場に入ると、「あと15分ほどで一幕目が終わるので
ロビーでお待ちください」と言われた。同様に待つ人が10人ほどいた。皆、渋滞の被害者だと思う。
ドアから外に漏れ聴こえてくる音が慰めてくれた。

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     ロビー奥には、チェンバロと器楽奏者用の椅子が。黒いドアは客席に通じる。

一幕目が終わる頃になると、ゴンドラの回りに通行止めの線が張られ、アッシャー達がドアの前に
立つ。すると、舞台に通じるカーテンを通り抜けて、オットーネ役のデヴィッド・D・Q・リーが
飛び出してきた。
あれあれ、と思っているうちに、拍手が鳴りドアが開け放たれた。観客がロビーに出てくる。
器楽奏者もロビーの席に着く。休憩中に音楽を流すのか?
ゴンドラの回りに観客が集まるが、その反対側にあるカウンターで飲み物を頼む列も出来て、ロビー
は混雑している。トイレに行く人も多い。
休憩が始まる前にトイレに行こうと思っていたが、機会を逃したのでトイレに行って、ロビーに戻って
来ると、なんと、ゴンドラの回りで、フランコ・ファジョーリのネローネが血にまみれた手をすり合わせ
ながら歌っているではないか。ネローネとルカーノが「アンディアーモ」と歌うデュエットにはなんとか
間に合った。

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       ロビーのゴンドラの周りで歌うファジョーリ。photo by Paul Leclaire

大失敗!混雑していた地下のトイレには音楽は全く聴こえてこなかった。アッシャーたちも、もっと
はっきりと、休憩になる前にロビーで幕の続きがあることを伝えるべきである。
昨年の公演でははBMWのオフィスビルが使われ、社員食堂や玄関ホールや廊下、オフィスなどを
観客も移動しながらの上演という演出だったのだが、今年も一部そのようになるとは思わなかった。

通常3幕のオペラだが、今回は2幕にして上演しているので、セネカの死までが前半だったのだ。
かなり重要な部分を沢山見逃したことになる。
ヨーロッパの歌劇場中、自治体からの補助金が一番多いというケルン歌劇場の場合、チケット代金が
異常に安い(最高カテゴリーでも60ユーロちょっと)ので、さほど悔しい気分にはならず諦めもつく。

L'incoronazione di Poppea (Claudio Monteverdi)
2012年4月25日@Palladium

Musikalische Leitung  Konrad Junghänel
Inszenierung  Dietrich W. Hilsdorf
Bühne  Dieter Richter
Kostüme  Renate Schmitzer
Licht  Nicol Hungsberg
Video  Jasper Lenz & Eric Poß

Poppea Maria Bengtsson
Nerone Franco Fagioli
Ottone David DQ Lee
Ottavia Katrin Wundsam
Seneca Wolf Matthias Friedrich
Drusilla Claudia Rohrbach
Nutrice Andrea Andonian
Arnalta 1. Schüler Senecas Daniel Lager Littore  
Tribuno 3. Schüler Senecas Sévag Tachdjian
Fortuna 2. Amorino Ji-Hyun An
Virtù  Damigella 3. Amorino Adriana Bastidas Gamboa
Amore  Valletto 1. Amorino Maike Raschke
Liberto 2. Soldato Console John Heuzenroeder
Lucano 1. Soldato 2. Schüler Senecas Gustavo Quaresma
4. Amorino Martina Sigl
Orchester Gürzenich-Orchester Köln und Gäste

後半を鑑賞するため席に着く前に、会場や舞台を見てみよう。
舞台は、細長い体育館のようなディスコ・クラブの中央に置かれ、その左右にオケピット。
観客席は中央の舞台を挟んで対称的に設置されている。つまり、円形の舞台は正面からのみ見る
ような作りではなく、前後両方の観客席から対等に見られる。
歌手達は舞台の真ん中に置かれたテーブルの上や回りで、両面の観客に向かって演技しつつ
歌うのだった。

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        舞台中央のテーブルのみが大道具。photo by Paul Leclaire

舞台とオケ・ピットの回りには金網のように見える幕が張られ、後半はピンクの色の照明が下から
当てられていた。(写真で見ると前半は水色だったようだ)
中央舞台はプラクシ・ガラス張りで、その下から蛍光灯の無機質な光が当たり、モダンなデザインの
ドイツのオフィスの雰囲気だ。左右の舞台裏からラン・ウェイみたいなものが伸びていて、それを
通って歌手は舞台に登場する。

指揮者は、わたしの座った側からは上手に当たる位置に立ち、上手側のオケは一般管弦奏者および
リュートとチェンバロとバロック・ギター。下手側には、チェンバロ、オルガン、ハープ、ヴィオラ・ダ・
ガンバ、テオルボのコンティヌオという布陣である。
右側一列目席のわたしの目の前が管楽器で、演奏の難しそうな古楽器コロネットなども手堅い演奏
で、なかなかのものだった。去年の『リナルド』でも、金管以外の古楽器演奏が予想以上に上手い
のでびっくりしたものだった。
通奏低音はオケの人数割合からすると多い。左右に分かれた配置を生かして、対話形式のレチタ
ティーボの伴奏はそれぞれ別のピットからの通奏低音楽器が担当するので、人物の個性にくっきりと
コントラストが付く。レチタティーボの伴奏が左右ではっきり分離しているので、夫々の人物の台詞に
同化するという効果も大きかった。

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      photo by Paul Leclaire

さて、後半のみの鑑賞なので全体的なストーリーや演出にはコメントできない。個々の歌手の歌唱の
印象のみに留める。

ケルンまで来たのは、話題のCT、フランコ・ファジョーリの生の歌声を聴くことが最大の目的だ。
ファリネッリの再来と言われるテクニックとパワフルかつ男性的な声のCTというイメージの彼だが、
実際に聴く声は、芯がはっきりと通って強くかつ澄んで美しい高音に感嘆した。
モンテヴェルディのネローネのパートは、男性にしてはかなりな高音域で作曲されている。ソプラノ・
パートであるポッペアとほぼ同じような音域が要求される歌もある。だから、通常メゾ・ソプラノによって
歌われてきたが、このところ、高音が無理なく美しく出せる新世代CTによる上演が多くなっている。
以前なら、フォン・オッター、マレーナ様、サラ様というのがネローネの定番だったが、近年は、
PJ、チェンチッチ、そしてファジョーリによる新境地ネローネが現れる時代になっている。

生の『ポッペア』鑑賞は、マレーナ様ネローネに次いでこれが2度目である。
ファジョーリの生の声の印象は期待以上で、マレーナ様に負けるどころか、特に高音部での歌唱の
安定度と力強い表現の素晴らしさは特筆に価する。低音のドスの利き具合ではマレーナ様の方が
男性的だが、ファジョーリの方は高音に女性には出せない男性的な強さがあり唸らされた。
演技では、鞭を叩いて鳴らしたり、爪や指を詰めたりするサディスティックなネローネになりきっていて、
小柄な彼なのに舞台では堂々と大きく見える。(かなりのハイヒール履いてた)
眼力というか、目による表現も上手く、権力と愛欲に執着するネローネなのに一回り器の大きいチェー
ザレに見えたりすることもあったほどだ。(衣装と髪型のせいもある)
予習のために鑑賞したチェンチッチのネローネ@リールが、ゲイっぽさの漂うエキセントリックさを出し、
それはそれでなかなか面白かったが、ファジョーリのはそれとは対照的にファシスト的マッチョな
ネローネ像で大分異なる。夫々のキャラに合っているのが面白い。

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         photo by Paul Leclaire

もう1人のCT、オットーネ役のリーとの一騎打ちが楽しみでもあった。
生の声を聴いたことのあるリーは、ふくよかな胸声のように聴こえるファルセットがユニークで、声量も
あり押し出しが強いため、主役だが調子のイマイチだったチェンチッチを食っていた。その時は印象に
残るタイプの声の持ち主で得だな、と思った。
ところが、今回は地味なオットーネ役でちょっと損している。どうやらこの役を演じるのはCTにとって
不利なのではないかという気がする。暗い性格を反映した歌やレチばかりで、華やかなテクニックを
披露できないのだ。朗々とした明るい声質なので、役に合わないのだ。
メータのオットーネにも以前失望したのだが、後になって、これは、メータの声や歌がどうこうという
より、オットーネに与えられた歌や性格がアピールしないのだと思った。

女性歌手にはあまり期待していなかった。
主役のポッペアは、まあ、こんなもんだろうという感じ。可憐さもしくはイノセントな悪女ぶりを発揮でき
たらいいのだが、役者不足。声にあまり魅力がなく、演技もどちらでもない中途半端なポッペアだった。
それに対して、オッターヴィアは、なかなかしたたかなタイプだった。皇后だったのにネローネの愛情が
冷めて最後にはローマから追放されるとというのに、憐れな女ではなく悪女っぽいのである。そういう
キャラには、今回の歌手はぴったりだ。
一番よかったのは、ドルシーラ役だ。複雑な境遇なのに秘めた野心がめらめらと燃える小悪女で、
耳に心地よい声の持ち主だ。

セネカ役の歌手が、カーテンコールで大きな拍手を貰っていたのだが、セネカは前半で死んだので、
彼の声が聴けなかったのがとても残念だ。

演出としては、舞台の左右のスクリーンにヴィデオ映像が投影され、舞台上の歌や台詞や出来事と
呼応する別の場面が映し出されていたのが面白かった。
例えば、ポッペアがテーブルで眠りこけ、愛の神が天井近くのバルコニーから歌っている間、
スクリーンでは、去年の会場だったオフィス・ビル内の廊下を女装したオットーネが駆け抜け、
ドアを一つ一つ開けては、ポッペアを必死に探す映像が映されたり、ネローネがポッペアを暗殺しよう
としたオットーネを責めて拷問する場面では、牢屋での拷問を思わせる映像だったり、ポッペアの
戴冠の前には、後に起きるネロによるローマ炎上を想像させるようなオフィス・ビルの火災の映像が
流れたり。
舞台装置はテーブルというシンプルさなので、そういう映像も演奏や歌の邪魔にはならなかった。
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by didoregina | 2012-04-26 13:57 | オペラ実演 | Comments(8)

ミサ曲コンテスト投票結果

Radio 4が企画していたミサ・コンテスト、リスナーによる投票結果が発表された。
ショートリストから選ばれた上位5つのミサ曲は、以下のとおり。

1位 バッハ 『ロ短調』ミサ曲
2位 モーツァルト 『ハ短調』大ミサ曲
3位 ロッシーニ 『小荘厳ミサ』
4位 ラミレス 『ミサ・クリオージャ』
5位 マルタン 『二重唱のためのミサ曲』

上位3位までは、非常に一般的・常識的かつ順当で万人向けチョイスだ。
大半はオランダ人リスナーによるだろう投票なので、お国柄が出ている気もする。
4位にラミレスが入賞しているのが、なかなかオランダらしい。
番狂わせは5位のマルタン。この曲は寡聞にして未聴なので、これはいいチャンス。
もしも日本で同じようなコンテストを行ったら、1位は不動だろうが、それ以下はかなり異なりそう。

上記ラジオ局のリンク先で、5位までの曲が期間限定だが(曲ごとにあと何日と書いてある)
全曲聴ける。それが、なかなか奏者もライブの場所も凝っているのだ。

バッハのロ短調は、オランダバッハ協会による2011年のコンセルトヘボウでのライブだし、
モーツァルトの大ミサは、ハイティンク指揮コンヘボ、オージェ他ソリストによる1979年ライブ。
ロッシーニの小荘厳ミサは、スウェーデン放送合唱団のストックホルムでの録音。
ラミレスのミサ・クリオージャは、アドリアン・ロドリゲス・ファン・デル・シュプール指揮ムジカ・
テンプラーナによる、アビラのテレサ教会(デン・ハーグ)でのライブ。

また、ショートリスト以外からリスナーが推薦した3曲も、全曲聴くことが出来る。
モーツァルトの『戴冠』ミサ曲、グノーの『聖チェチリア荘厳ミサ曲』、ベートーヴェンの『荘厳
ミサ曲』である。
グノーのミサ曲も、わたしにとっては初耳。それ以外は、わりと当たり前のチョイスだ。

わたしが力を込めて推薦した曲、オケゲムの『ミサ ミ・ミ』は、残念ながら選に漏れた。
コンサートのタダ券および指揮者との懇談のチャンスは得られなかったが、ユトレヒトの教会での
パレストリーナのミサ曲コンサートへの優待券オファーがラジオ局から来た。
通常33ユーロのところを10ユーロ。3枚買えば、4枚目はタダ。つまり、通常料金未満で4人分。
しかし、こういうマイナーなコンサートに一緒に行ってくれるような人3人は見つからないだろう。
ユトレヒトは遠いので、帰りが心配になりパスした。

モーツァルトの『戴冠ミサ』は、オランダのカトリック地域でのアマチュア合唱団および聴衆には
とても人気のある曲で、家から20キロ程離れた丘陵の村エイスにある教会で、毎年6月に恒例の
コンサートが行われる。ソリストに割と有名な人を呼んだりして盛況である。
そのコンサートも今年で50年目になるという。そして、ソプラノのソリストに、おととしのDNOでの
『シチリア島の夕べの祈り』でのヒロイン役が印象に残っているバーバラ・ハーヴェマンが参加する
ので、ぜひ、聴きに行こうと思っている。
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by didoregina | 2012-04-24 09:52 | コンサート | Comments(2)

ベルギーの歌劇場の2012・2013年は三者三様で唯我独尊

ベルギーの常設歌劇場には、首都ブリュッセルにある王立モネ劇場以外に、リエージュの
王立ワロン歌劇場(ORW)と、アントワープおよびゲントのフランダース・オペラ(Vlaamse
Opera)があり、それぞれ異なる独自の路線で相変わらず我が道を行っている。


モネ劇場のラインナップは、演目的には普通っぽいというか、モネにしては捻りが足りないと
いう感じだが、演出その他に期待できる。
ワーグナーが一つもない、というところにモネのこだわりと計算が感じられる。舞台の規模も小さいし、
オケもワーグナー向きとはいえないから、メモリアル・イヤーとはいえ闇雲にワーグナーを上演したり
しないで、他の劇場との競合を避けているのは賢明。

8・9月 Pascal Dusapin のPassion サシャ・ヴァルツ振付・演出で数年前のホランド・
    フェスティヴァルと同じプロダクション?

10月 『ルル』 ワルリコフスキ(どう読むのが一般的?)演出! バーバラ・ハニガン、 
    ディートリッヒ・ヘンシェル他。

12月 『椿姫』 

12月 『こうもり』コンサート形式。ダニエルちゃんのアデーレとタニア・クロスのオルロフスキー。

1・2月 『マノン・レスコー』ウェストブルックがAキャスト主役!でもマチネはBキャスト。。。

2・3月 『ルクレツィア・ボルジア』 ギ・ヨーステン演出、エレナ・モシュク主演。

3月  Benoit Mernierの La Dispute カール・エルンスト・ヘルマン演出、ドグー、
    ドゥストラック、ヴィス他。

3月  『ロメオとジュリエット』コンサート形式 ニノ・マチャイゼとジョン・オズボーン。

4月  『ペレアスとメリザンド』オーディ演出、アニッシュ・カプーア舞台デコ。ドグーとピオー、
    トピ君とバッチェリというA・Bキャスト!トピ君には悪いがヘンシェルもゴローのAを選ぶ。

5月  『コジ・ファン・トゥッテ』ハネケ演出!アネット・フリチュ他。



フランダース・オペラは、上演数こそ少ないがピリリとスパイスが効いている。

9・10月 『ファウストの劫罰

10・11月 『アグリッピーナ』!マクリーシュ指揮、ハレンベリ主役でハマーシュトレムがオットーネ!

12・1月 『魔笛』 デヴィッド・ヘルマン演出

2・3月  『ナブッコ

3・4月  『パルジファル』インバル父子指揮、ゾラン・トドロヴィッチ主演。

5月   ヤン・ファーブルのThe Tragedy of a Friendship ベルギーの鬼才芸術家が、     ワーグナーへのオマージュとして新作オペラを作曲・演出。こわいものみたさ。

6月   『キャンディード』 ナイジェル・ロウリー演出

コンサートでは、9月18日にショル!1月1日と4日にデヴィーアによるベル・カント・ガラ、
11月24日にサラ・ミンガルドがソリストでマーラー、ショスタコーヴィッチ、ワーグナー。



リエージュのORWの演目は、毎度ながらここはイタリアですか?と思わずツッコミ
を入れたくなるようなイタリア・オペラ路線に、若干のフランスものと地元出身作曲家の超マイナー・
オペラを組み合わせているのが独特で、唸らされる。
足掛け3年にも及んだ歌劇場の修築工事も終わる見込みで、9月からいらなくなるテントは売り出し
に出ている。。。

9月    フランクの『ストラデッラ』 ご当地出身作曲家シリーズ第一弾。フランクのオペラという
      のが意表を突いている。

10月   グレトリのL'Officier de Fortune ご当地作曲家シリーズ第二弾。コンサート形式。
      世界初演。

11・12月 『カヴァレリア・ルスティカーナ』『道化師』 ホセ・クーラ演出・主演!

12月   『ナブッコロ』子供向けのナブッコ?

12・1月  『美しきエレーヌ

1月    『アルジェのイタリア人

2・3月   『西部の娘』 デボラ・ヴォイトが主役。

3月    『子供と魔法

4・5月   『運命の力』 アルミリアートとデッシー夫妻共演。

5月    『二人のフォスカリ』 レオ・ヌッチとファビオ・サルトリ。

6月    『ウィリアム・テル』 ご当地作曲家シリーズ第三弾で、ロッシーニではなくグレトリ作曲。

その他、コンサートは、9月30日にサヴァール、10月4日にエディタ・グルベローヴァ!
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by didoregina | 2012-04-19 15:53 | オペラ実演 | Comments(6)

『ベリー公の美わしき時祷書』展とフランドルの細密画展@パリ

装飾写本および細密画フェチにとってはたまらない展覧会が、現在、パリで2つ同時に開催
されている。
ルーブルでの『ベリー公の美わしき時祷書』展(4月5日から6月25日まで)と、フランス
国立図書館でのフランドルの細密画展(3月6日から6月10日まで)である。

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              フランス国立図書館でのフランドルの細密画展


ルーブルで見られるのは、NYのメトロポリタン美術館所蔵のランブール兄弟による『ベリー公の
美わしき時祷書』より、47枚。これは、なかなか、めったにある機会ではない。
なにしろ、普段は本の形で綴じられているから、一度に見られるのは見開きのページだけだ。
複数のページを一度に拝めるのは、修復のためにページをばらばらにした時のみ。
世紀のご開帳といっても過言ではない。

しかし、『ベリー公の美わしき時祷書』展は、過去にオランダのナイメーヘンでもあった。当地は
作者のランブール(リンブルフ)兄弟の出身地で研究のメッカ(?)でもある。
2005年に一家揃って、展覧会を観に行った。探したら、カタログも出てきた。
その時ご開帳されたのは、17枚であるから、今回のルーブルでは3倍近い。大盤振る舞いである。
ナイメーヘンのランブール兄弟協会サイトで確かめると、2005年の後、2009年にLAのゲッティ
美術館、2010年にNYのメトリポリタンと巡回して、今年のルーブルが本当に最後の機会である、
という。愛好家なら、絶対に見逃すことは許されない。(しかし、虫干しにしてはずいぶん長いこと
かけて巡回しているものだ。)

不思議なのは、この分野の愛好家は日本にも結構いるはずなのに、ルーブル美術館の日本語
サイトには、全く出てこないし案内されていない。フランス語サイトだったらトップの案内に出てくるし、
そこから英語ページに飛ぶことも可能だ。
日本人はどうせモナリザと記念撮影したいだけなんだから、と思われてるんだろうか?

ルーブルのサイトには、フランス語でも英語でもこの展覧会についての説明は少ないが、リンク先
アメリカ人のブログがすごい。英語だし図版が豊富。
今回の展覧会には、メトロポリタン所蔵の時祷書以外に、Petites HeruresとTres Belles
Heures de Notre Dame(フランス国立図書館所蔵)からの装飾写本・細密画も展示される。
ナイメーヘンでの展覧会でも似たテーマの各地の細密画が展示されていたので、今回は何が
見られるんだろう、とわくわくする。


また、ほぼ同時期に国立図書館(ミッテラン館)に、フランドルの細密画展をぶつけてきたのは
偶然とは思えない。この展覧会は、昨年、ブリュッセルの国立図書館で開催されたもので、なぜか
見逃した。サイトには、だから、その時作られたものと思しいオランダ語(およびフランス語)の
ヴァーチャル展覧会ページがある。歴史的背景説明および様々な細密画が載っていて圧巻。
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by didoregina | 2012-04-18 12:57 | 美術 | Comments(8)

マレーナ様の来シーズンは女性役ばかり

マレーナ・エルンマンの来シーズン予定には、今のところバロック・オペラが見当らず、
寂しい限りです。

ぎりぎりで今シーズンに入る8月のアン・デア・ウィーン劇場で、ロッシーニの『湖上の美人』。
それから、来年4月には、ベルリオーズの『ベアトリスとベネディクト』。いずれも主役です。

お子さんたちの学校の休みに合わせているようで、近年は、外国の歌劇場でのオペラ出演は、
秋と春の二回というのが定番化しています。
来シーズンには、アムステルダムとブリュッセルはおろか、期待していたパリもバルセロナでも
マレーナ様が出演するオペラはありません。

しかし、灯台下暗し、というか、意表を突いた時期と場所でのオペラ出演があります!
地元ストックホルムの王立歌劇場9月の『セヴィリアの理髪師』ロジーナ役です!
ロジーナは彼女のレパートリーではありますが、今更、というか意外な感じ。
日本への里帰りと組み合わせて、ストックホルムへ参上します。チケット発売は来週月曜日です。
8月、9月と続けてマレーナ様にお会いできるという、幸先のよさ!

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        カルメンのような黒髪のロジーナ。
       プロダクション動画を見ると、古色蒼然たるコスチュームと演技なのに
       ちょっと『スウィーニー・トッド』みたいになんだか暗い演出。


こうして見ると、マレーナ様は、ズボン役から普通のメゾ・ソプラノのレパートリーにシフトしている
ように思えます。
年齢的・体力的に、バロック・オペラの男性主役を歌うのはキツくなっているのでしょうか。

バロック・オペラの男性主役は、テクニックの発展が著しい若手カウンターテナーに移行している、
というのがトレンドであるのかもしれません。

さて、来年4月25日にアン・デア・ウィーンでは、コンサート形式の『ゴーラのアマディージ』が
あり、イェスティン・デイヴィス主演なので、マレーナ様ベアトリスと組み合わせるつもりでした。
しかし、来シーズン・プログラム発表から1ヶ月経たずにすでに変更が。なんと、イェスティン君から
ソニア・プリーナに代わっているではありませんか!トレンドに逆行してるわ。しかも、指揮はアラン・
カーティス。。。
大きな落胆ではありますが、ドタキャンでないだけに心の準備ができるというものです。

それでは、CTの出る別の演目に目を向けることにしましょう。
1月にアン・デア・ウィーンでは、『ラダミスト』が上演されます。デヴィッド・ダニエルス主演、
ソフィー・カルトホイザー、パトリシア・バードン他出演で、ヤーコブス指揮フライブルク・バロック・
オーケストラです。
1月30日にコンサート形式の『時と悟りの勝利』がありますので、組み合わせての遠征が妥当。
だって、こちらは、クリストフ・デュモーとユリア・レージネヴァが出演ですからね。オケと指揮者も
『ラダミスト』と同様です。
デュモー選手のコンサート@コンヘボをパスしてしまったので、これは、1月にウィーンに行くしか
ないでしょう。ユリアちゃんも出演しますし!

こんな風に一喜一憂しながら、遠征計画を思い描くのはそれ自体が楽しい娯楽です。
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by didoregina | 2012-04-17 08:49 | マレーナ・エルンマン | Comments(10)

缶は缶を呼ぶ

ブリキの缶が大好きだ。
ついつい集まってしまう。缶は缶を呼ぶのである。

選ぶ基準は、一応、厳しい。
まず、実用的であること。
色柄・デザインがレトロで、できればヴィンテージもの。
最近のブリキは、ペラペラで頼りないことおびただしいのだ。

イースターが誕生日であったので、自分用のバースデー・プレゼントに可愛いい色の
缶入り紅茶を買った。お気に入りのTheodorの Place St. Marc(ブラック・ティーに
野いちごとヴァニラのフレーヴァー、イチゴの実とひまわりの花びら入り)を選んだ。

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    一番右が新入りのPlace St. Marc。いつの間にか、きれいな色の缶が3色集まった。


ゼーランドの週末にも缶が増えた。義妹や夫からのバースデー・プレゼントである。

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     手前の缶にはフェーレのクッキー、手描きのイースター・エッグ型容器
     には、アントワープ土産のクッキー(超美味)、右は、ヴィンテージの
     ココアの缶。ミドルブルフの市庁舎前広場のアンティーク市でゲット。


毎年誕生日の頃に、前庭のメープルの木の芽が華やかに開く。今年は、まだ芽ぶいたばかり。
寒いのと、去年、剪定をしすぎたせいだ。
メープルの若葉と同じような色のきれいなカタツムリが。

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          「樹液すする、わたしは虫の女」


採りきれないし食べきれないほど沢山の実をつける桜桃の花は、例年と同じか少し早めの開花。

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by didoregina | 2012-04-15 17:46 | ハイ・ティー | Comments(2)

ミサ・コンテスト

オランダのラジオ局Radio4が面白い企画をしている。
ミス・コンテストならぬミサ・コンテストだ。(オランダ語だとどちらもミス・コンテストになる)
クラシック音楽古今のミサ曲の中から一番のお気に入りを選ぶというもの。

ラジオ局のサイトに、さわりが聴けるショートリストが出来ているが、それ以外のお気に入りを
記入することも可能。リンクしたサイトから投票に参加されるのもまた一興かと。

トップ5に選ばれたミサ曲は、4月23日より全曲版がラジオ放送される。
また、応募者の中から数名は、20日にユトレヒトのヤコビ教会で行われるコンバッティメント・
コンソート・アムステルダムによるビーバーの『ブリュッセル・ミサ』コンサートに招待される。
そして、リストに載っている以外のミサ曲を推薦文とともに応募した人の中から特に一名は、
コンサートの指揮者ヤン・ウィレム・デ・フリンドとじきじきに懇談する機会を得て、楽団員との
お食事にも招待される。指揮者とミサ曲について大いに語れる、というわけだ。

サイトにアップされているミサ曲は、多分、全てラジオ局のアーカイブに入っているコンサート・
ライブの録音。ロッシーニ、ゼレンカ、ハイドン、アンドリーセ、シューベルト、プーランク、
パレストリーナ、バッハ、ディッペンブロック、ラミレス、マルタン、ビクトリア、ビーバー、
ストラヴィンスキー、モーツァルトと、幅広い時代から様々なミサ曲が網羅されている。
ヘンゲルブロック指揮のゼレンカ『神の御子のミサ曲』など、なかなかよろしいセレクトである。

わたしは、いろいろと迷った挙句、ほぼ一晩かけて作戦を練りに練って、リストにない曲を選んだ。
(もちろん、デ・フリンドとの特別懇談の機会を狙ってのことだ)
渾身の力を込めて選んだミサ曲は、ヨハネス・オッケゲムの『ミサ ミ・ミ』である。



レベッカ・ステュワートとカペラ・プラテンシスによる合唱は、神秘的で宇宙的。


4月19日20:15(CET)に、ベートーヴェンの『荘厳ミサ曲』がコンセルトヘボウからライブ中継
され、AVROのサイトから視聴できる。(<-下線がリンク先)
アーノンクール指揮コンセルトヘボウ・オーケストラ、ソリストはマーリス・ペーターセン、
エリザベート・クルマン、ヴェルナー・ギューラ、ジェラルド・フィンリー。
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by didoregina | 2012-04-13 09:01 | コンサート | Comments(4)

雨のジーリックゼー

ゼーランドのイースター週末のお天気は冴えなかった。
土曜日は、それでもなんとかフェーレ(片道7キロくらい)までサイクリングに行けたようだ。
我が家とおばあちゃんと義妹一家は皆、金曜日から別荘に入っていたが、わたしだけ仕事の
ため、ゼーランドに着いたのは土曜の夜だった。
日曜日同様、月曜も雨模様である。
車でジーリックゼーに出かけることにした。
この町を訪れるのは3度目だ。
しかし、ヨットで町に入るのと車で行くのとではアプローチの方向も仕方も異なる。

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       車でなら、町の中心へは、教会などの塔を目指せばいい。
       

ジーリックゼーは、ゼーランドの一番北にあるSchouwen-Duiveland 島の南に位置する。Oosterschelde(東スヘルデ)に面し、中世以来、北海のタラ漁で栄えた町だ。
今は、東スヘルデといえば、ムール貝と牡蠣の養殖で有名。

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東スヘルデと運河で繋がった旧港が町の中心に残る。
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        平底の木製船が多くもやい、野外博物館の様相を呈する。


旧港の先には、跳ね橋。
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Zuidhavenpoort (南港門)
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門の外側の堀にも跳ね橋がある。
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外堀は、現在、ヨット用の港。
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5年前の5月休みに、ヨットでゼーランドを回ったとき、この港にも係留した。
天気のいいオランダのGWだったので、港は満杯。ヨットは3,4列にもわたってもやうので、
慎重を要した。
イースター時期は、まだまだ寒いので、帆柱もあまり見えず寂しい風景だ。

その晩、マーストリヒトに帰ると、デン・ハーグに住む友人Rから電話があった。ヨット友である。
彼とは年に1,2度会うのだが、5月のキリスト昇天祭の週末に、Rのクルーザー・ヨットで
ゼーランドをセイリングしよう、という話が絶妙のタイミングでまとまった。


       
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by didoregina | 2012-04-11 11:34 | 旅行 | Comments(4)

ゼーランドのイースター

今年の復活祭は、晴天に恵まれた去年とは打って変わり、雨模様で底冷えのする週末だった。
借りた別荘からは砂丘が目の前すぐに迫り、階段を上がれば海が臨める。

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 半そで・半ズボンだった
 去年のイースター

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  世界は神が創り給うたが、
  オランダはオランダ人が
  造った。












  砂浜遊びの定番はダム作り。
  治水技術は、こうして学ぶ(?)












  満干の差が激しい北海の
  復活祭の頃は、潮位も
  上がる。一日がかりで造った
  ダムも波に流される運命だ。









今年は、なんと、外に出るにはダウン・ジャケットが必要なほどの寒さだ。
海岸に出ても水には近づけない。
ゼーランドの愛らしい町々の名所巡りをすることにした。

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        州都ミドルブルフの市庁舎(1452 - 1520)  ゴシックなのにかわいい。
        現ロースフェルト・アカデミー。市庁舎として使用されるのは結婚式の間のみ。


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       ミドルブルフ市中心部にある修道院の広い中庭。
       1127 年の創建から建て増しを続けた教会と修道院の建物が回りを
       取り囲む。数えると全11面で、角ごとに11の塔が。
       1574年、ミドルブルフはオラニエ公ウィレムによってカトリックのスペイン
       支配から開放され、(カトリックである)修道院の僧は追放された。
       以後は、州議会、古文書館、博物館など様々な公共の用途に。
       

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            修道院のハーブ・ガーデン。薬用および料理用。

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   1607年建造のKloveniersdoelen(銃士訓練場)は、 フランダース・ルネッサンス様式。


街角の素敵な玄関 
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素敵な玄関 その2
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寒くてもアイスクリーム
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            アイスクリーム屋の外にある椅子
           




  
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by didoregina | 2012-04-10 09:59 | 旅行 | Comments(0)

A Dangerous Method 危険な方法とは?

c0188818_2163593.jpgア・デンジャラス・メソッド
監督David Cronenberg
脚本Christopher Hampton, based on a play by Hampton and a book by John Kerr
配役Viggo Mortensen ジークムント・フロイト
Keira Knightley  ザビーナ・シュピールライン
Michael Fassbender  カール・グスタフ・ユング
Vincent Cassel  オットー・グロス
Sarah Gadon   エマ・ユング

2011年 フランス、アイルランド、英国、ドイツ、カナダ


キーラちゃん出演作だから見逃せない、と思った。
ユングの患者だったが、精神医学を学ぶようになる弟子兼愛人ザビーナ・シュピールライン役だ。
幼児期に父親から折檻されて以来マゾ的快感を覚え、それがトラウマかつ羞恥として心の傷と
なってヒステリーを起こすというユダヤ系ロシア人女性を演じる。

彼女の歪んだ嗜好をユングとフロイトが極端な方法で治療するかのような思わせぶりなタイトルで
ある。
しかし実際には、ユング、フロイト、シュピールラインの三つ巴の師弟の関係、およびユングの
妻も絡んでくる恋愛関係という実話に基づいたありがちな話で、タイトルから想像するほど危険な
内容ではなかった。ちょっと、羊頭狗肉に近い。
 
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      ユングのカウンセリングを受けるザビーナ・シュピールライン。

痩せすぎのキーラちゃんには精神を病んだ情熱的な女性役は似合ってはいるが、ヒステリーを
起こして下唇を突き出した狂気の形相が、いつもワンパターンでちょっと飽きる。

その相手ユング役はマイケル・ファスベンダーで、わたしが期待する映画には最近よく出演して
いる。
『ジェイン・エア』でのロチェスター役は影が薄く、『シェイム』では、地のままではなかろうか、
と思わせる自然かつ迫真の演技が印象に残った。だから、今回はどう来るか、と期待していた。
いつも通り、感情を露にしない表情のままなのが、ナイーブでむっつり助平(?)というユング役に
ぴったり。そして、そのカメレオン俳優的特質がよくわかって、ようやく彼のよさが理解できた気が
する。

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        家族にも仕事にも恵まれ順風満帆のユングはプロテスタントのブルジョワ。

無色無臭で地味なルックスだし、演技も淡々としている。それが今回の役には絶妙に合ってる。
強烈すぎる個性をアピールするのではなく、イメージを限定しないで色んな役を演じて説得力が
あるダニエル・デイ=ルイスのような路線を行ってるようだ。個性のなさが個性みたいで、かえって
幅広い役がこなせる俳優なのだ。

もう1人の主要人物はフロイトだ。ヴィーゴ・モルテンセンがあまりにもハマリ役で、その堂々とした
演技には唸らせられた。フロイトのイメージそのもの。

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         フロイトといえばウィーン。ベルヴェデーレのスフィンクスと。

主な舞台となるウィーンのシーンでは、フロイトの家とか、ベルデヴェーレとか、カフェ(シュペール
のインテリア)が出てくるので、おお、知ってる!とうれしくなった。
スイスの湖畔で、裕福な妻であるエマから贈られたヨットをユングが操縦するシーンも垂涎もの。
湖畔の家からヨットで、愛人のいる町まで行ってランデブーしたりするのだ。

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     マホガニー張りで赤い帆のヨットは、妻からのプレゼント。フロイトを乗せて帆走。

このヨットのエレガントなデザインが、ドラゴン型に見えるのだが、最初のドラゴンは1929年建造
だから、時代的に少し合わない。
しかし、赤い帆のヨットが欲しいと言えば買ってもらえるし、フロイトといっしょにアメリカに渡航する
のも妻に手続きをまかせたら、師匠よりも上のクラスの船室になってしまうし、ユングと言う人は、
まあブルジョワの妻のおかげで金銭的には全く苦労知らずのボンボンみたいだ。

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        金銭面でも精神面でも鷹揚で、ユングを陰から支える妻エマ。

エマは、家庭を大事にしてユングに尽くす可愛い妻、しかも究極のアゲマンなのに、夫からは
ないがしろにされてしまうというのが割に合わない。妻公認の愛人を持っていたユングは長生きも
したし、恵まれた人生を送った。

ユングとフロイトとの微妙になっていく師弟関係も重要な筋なので、映画全体としてなんだか、
焦点が定まらないものとなってしまった。歴史上の実在人物を描いたコスチューム映画みたいで
人物同士の葛藤の描き方が中途半端なのだ。闘争や葛藤を好まないユングの性格ゆえか、
感情を押し殺した表情で演じるファスベンダーのせいなのか、なんだか淡交に終始する映画
だった。
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by didoregina | 2012-04-04 15:39 | 映画 | Comments(4)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

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別名: didoregina
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モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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