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Chéri  紳士用の帽子とフエルト・ジャケット

寒さが厳しいときには、頭を帽子で覆うだけでかなり暖かく感じる。
2月上旬、ヨーロッパが極寒だった頃、主人から紳士用の黒い帽子の注文があった。
今までに紳士用では、カウボーイ風の茶色の帽子、夏のパナマ帽、そして叔父に紺のフエルト
帽を作っている。
黒の帽子はコートにもジャケットにも合うし、飾りによって改まった雰囲気にもカジュアルに
もなる。
出来上がったのは2月も終わりで、寒波は去った後だった。

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      黒のボルサリーノ・タイプ。南米風の織模様のリボンでカジュアルに。
      Chériと名付けた。

布を縫ったりしない、本格的な帽子の作り方は以下の通り。
フエルトの帽体に、糊を内側から塗りスチームで全体を柔らかくしてから木型に合わせてアイ
ロンをかけながらぎゅうぎゅうと伸ばす。
ブリムの下を木型に鋲で留め付け、クラウンとブリムの間を紐で縛る。頭頂やブリム正面の窪
みはアイロンをよく押し付けたあと、重しを乗せておく。
一週間そのままにしておけば形が出来上がるので、その後、針金を入れてブリム回りの始末をし、
内側にサイズ・ベルトを縫い付ける。
好みのリボンや羽根などの飾りを付けると、帽子の完成だ。


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        なぜか日本ではソフト帽とか中折れ帽とか呼ばれるが、
        全然ソフトではない。バランスよく仕上がったと思う。


帽子の名前は、コレット原作の映画『シェリ』からいただいた。

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20世紀初頭ベルエポックのパリやノルマンディーが舞台で、ミシェル・ファイファーが演じる
中年の元高級娼婦と元同僚の息子の恋物語だ。その年齢差は25~30歳。

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          優雅な暮らしの、中年から初老の元高級娼婦たち。

なぜ、そう名付けたかというと、日曜日に行ったヨハネット・ゾマー他のコンサートで、着物を
着ていたわたしは、数人の人からきれいですねえと言われたのだが、着物=芸者、というナイー
ブなイメージで注目されていたように思えたからだ。

「着物着てるからって芸者とは限りませんよ。これは日本のナショナル・コスチュームなんです
から」と、ツーショットの後「芸者さんですか」と聞いてきたバート・シュニーマンに説明した。
彼が使う「芸者」という言葉に全く悪気は感じられず、感に堪えたように無邪気そのものであった。
また、「日本を舞台にした小説を読んだばかりですのよ」と話しかけてきたご婦人に、「どういう
ストーリーですか」と問うと、「戦前から終戦にかけての高級娼婦のお話なのよ」と答えてから
ハッとしたようにバツが悪そうな表情になった。
それで、わたしは、『シェリ』の元高級娼婦になったつもりで鷹揚に微笑を返したのだった。

外国で着物を着るからには、そういう誤解も引き受ける覚悟がないといけない。そして機会が
あれば、着物は高級なお出かけ着もしくはソワレに相当するフォーマルな社交着だ、と説明する。



帽子の師匠Pがフエルトのジャケットを綿から作った。縫い目がない一体化タイプの大作だ。
大変な手間がかかっている。
赤をベースにオレンジ、フクシャなどの色を加えて作り上げたグラデーションが美しい。

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              ほぼ1日中、綿のようなフエルトを
              ごしごしと石鹸で擦って作った。


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         ヴィンテージの赤のキャスケットを合わせるとキュート。


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         つばが広めのフェードラ帽を合わせるとシックになる。


Pはどんな帽子でも似合うし、被りこなせる人だ。
    
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by didoregina | 2012-02-29 22:51 | 帽子 | Comments(10)

Johannette Zomer, Bart Schneemann & Musica Amphion

久しぶりのヨハネット・ゾマーである。12月にオランダ・バッハ協会のロ短調ミサ曲を聴いてるが
今回は、オーボエのバート・シュニーマンとのコラボCDLove & Madnessとほぼ同じ内容の
オール・ヘンデル・コンサートで、彼女の歌をメインに聴きに行った。

c0188818_1811217.jpgLove & Madness
2012年2月26日@ Muziekgebouw Einthoven
Johannette Zomer, Bart Schneemann & Musica Amphion

Georg Friedrich Handel (1685 - 1759)

Intoroduzione (Delirio amoroso)
Che intendo? (Berenice)
Moriro! (Teseo)
Orgelconcert in Bes opus 4 nr. 2
- A tempo rodinario, e staccato
- Allegro
- Adagio e staccato
- Allegro ma non presto
Scherza infida (Ariodante)
Lascia ch'io pianga (Rinaldo)
Hoboconcert in g
- Grave - Allegro - Sarabande - Allegro
Ah spietato (Silete venti)
Alleluia

エイントホーフェンのミュージックヘボウ小ホールでの日曜正午からのコンサート。休憩なしの
コンパクトだが変化に富んだ内容のプログラムで、料金は17ユーロ50セント(飲み物付き)。
相変わらず、このホールでのコンサートはコスト・パフォーマンスが非常によろしい。

座席は二列目左寄りだったので、歌手が目の前。
オケは、弦楽器がそれぞれ1人ずつに、ファゴット、オーボエ、オルガンおよびチェンバロ。
オルガン兼チェンバロ奏者が合図程度の指揮をしているが、コンマスもかなり采配を振るう。
古楽アンサンブルのムジカ・アンフィオンは、18世紀オケやオランダ・バッハ協会のメンバーで構成
されているので、ヴァイオリンの山縣さんなど、なんだかしょっちゅうお目にかかっている気がする。

残念だったのは、テオルボのフレッド・ヤーコブスが病気のためキャンセルしたことだ。
急なことだったらしく、代理のテオルボなしの演奏になった。
先週のPJコンサートでは、テオルボの色がよく響いて、PJの歌との絡みが印象に残っている。
今回はバロック・オーボエが活躍するコンサートであり、チェロとコントラバスとチェンバロもいるが
いかにも古楽というイメージそのもののテオルボの渋い響きで通奏低音を〆てもらいたかった。

そして、第一ヴァイオリンの演奏が控え気味すぎるように感じられ、ちょっと物足りなかった。
オーボエを立てようというつもりでもなかろうに、アリアの前奏部で特にそう感じられたので、不思議だ。
全体的には、こういう小編成のオケにもかかわらず、小ホールだと響きすぎるきらいがあるほどだった。
特に歌手の声がびんびんに響く。ショル兄も大ホールでマイク使用するよりも、こちらの小ホール
で生の声で歌ったらよかったのに、と今でも恨めしい。

ヨハネット・ゾマーの声は、わたしにはもうかなりおなじみであるが、このコンサートでの印象は、
CDそのままという感じだった。高音をかなり張り上げ気味なのである。場面によっては、もっと
ささやくような声で歌ってもいいのではないかと思えた。特に『ベレニーチェ』よりChe intendeが
CDでは高音張り上げの歌唱なので、生ではもっとニュアンスが聴き取れるかとと期待していたら、
ステージでも同様なのだった。ソロ歌手1人だけなんだから他の歌手と張り合う必要はないし、
オケも小編成であり、ホールはよく響くんだから、弱音の美しさも大切にしてもらいたかった。
このCDは、だから、音量を絞って聴いているが、実演ではそれが不可能なのが辛い。
好きな声のご贔屓歌手だけに、その辺が非常に残念である。

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            オーボエのバート・シュニーマンとツーショット。
            「日本人?芸者さん?日本も芸者も好き」と
            とんでもないノリのシュニーマンであった。。。

それに対して、CDと音のイメージが全く異なるのがバート・シュニーマンによるバロック・オーボエ
であった。
まあ、音色も音の出し方によってこうも色彩鮮やかに変化するものかと、びっくりするほど。
生き生き溌剌としてトランペットのように響いたり、ちょっと暗い深みのあるホルンのごとく聴こえたり
するのだった。
地味な楽器というイメージが覆され、素晴らしく多彩な音色を引き出すことのできる楽器なのだと
知った。

 ↓ は、コンサートと同じメンバーによる、ヘンデルの『オーボエ協奏曲 ト短調』



シュニーマンは、ロッテルダム・フィルやオランダ管楽アンサンブル(コンヘボでのニューイヤー・
コンサートでおなじみ)ではモダン・オーボエ担当だが、古楽ではバロック・オーボエの奏者である。
曲間にバロック・オーボエの説明をしてくれた。
使っている楽器は17世紀のバロック・オーボエのレプリカであること。ムジカ・アンフィオンの弦楽器
奏者は皆オリジナルの古楽器(弓も)を用いて演奏しているが、木管楽器であるオーボエの場合は
弦楽器と異なり、古いものは木が乾燥しすぎたり逆に湿気のため腐食したりして現在でも使える状態
で残っているものはほとんどない、という。そして、17世紀のオーボエの構造はモダン楽器と比べると
シンプルで、キーも3つしかない。キーは小指が届かない穴を補助するためのもので、モダン・オー
ボエには16個あるが当時は2つもしくは3つ。一つは左側に付いていて、左利きの人用のキーである、等々。

オール・ヘンデル・プログラムなのは、ヘンデルの時代のコンサートやオペラの雰囲気を再現したい
ため、とのこと。当時は、夕方から夜更けまでずっとヘンデルの音楽演奏が行われ、器楽曲の時は、
おしゃべりしたりしてた聴衆も、途中から作曲自身が指揮に登場したりすると、身を乗り出したりした、
らしい。
今回のプログラムは、作曲家の出演こそないが、オペラ・アリア(最初の2曲はオーボエが活躍)
にオルガン協奏曲、オーボエ協奏曲などの器楽曲を交えてあり、変化がある。
隣に座っていた老婦人は「わたし、ヘンデル苦手なのよ。『水上の音楽』くらいしか知らないけど」
などと言っていたが、オペラ・アリアには感銘を受けた様子で、特に『わたしを泣かせてください』は
よかった~とヘンデル新発見の様子でご同慶。

Scherza infidaと続けて、ゾマーによって歌われる名作アリアを聴くのは、楽しかった。
来月は、ここの大ホールでディドナート他豪華キャストによる『アリオダンテ』コンサート形式が
行われるから、今から楽しみにしている。

アンコールは、「もうヘンデルは十分堪能されたでしょうから」ということで、スキャットが入った
ピアソラの曲。多分、多才で多ジャンルの演奏活動を行うシュニーマンの趣味だろう。

公演後のCD販売兼サイン会は盛況だった。PJのサイン会とは比べようもないが、丁度2年前の
閑古鳥が鳴くようなCD即売とは大違い。ニューイヤー・コンサートのおかげかシュニーマンの人気が
高かった。

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              優しくにこやかなゾマーとのツーショット。
              泥藍大島に、パステルカラーの綴れ帯。
              オレンジの帯揚げと珊瑚色の帯締めは
              着物に入っている模様の色に合わせた。
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by didoregina | 2012-02-28 12:03 | コンサート | Comments(2)

Shame 『シェイム』

水曜午後は、アポが何もなければ、リュミエールで映画を観る。
だが、かなりしっかりと予定を立てないと、見逃すものもけっこうある。
Perfect Sense(『カジノ・ロワイヤル』であの美しいヴェスパー役だったエヴァ・グリーン
が出てる!)は、もう打ち切りになってしまった。
昨日は、アキ・カウリスマキ監督新作のLe Havreか、今オスカー戦線で話題のThe Artist
にしようか、と迷ったが、今週が最後になりそうなShameを見ることにした。

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監督 Steve McQueen

ブランドン Michael Fassbender,
地下鉄の女 Lucy Walters,
シシー Carey Mulligan,
デヴィッド James Badge Dale,

脚本 Steve McQueen, Abi Morgan
製作 Iain Canning, Emile Sherman
カメラ Sean Bobbitt
作曲 Harry Escott
2011年 イギリス映画

セックス依存症のニューヨーカーを描いた映画、ということでこちらでは16禁に指定されている。
主役ブランドンを演じるマイケル・ファスベンダーの全身ヌードを初めとして、かなりリアルなシーン
の連続である。

ファスベンダーは、昨年の『ジェイン・エア』でのロチェスター役が、地味~な印象だったので、
もう結構な年なのかと思っていた。実際は、1977年生まれだから、まだ30代前半(ぎりぎり)
ではないか。『シェイム』での彼は、30代の男らしい顔つきも体つきだとわかり、しかも美形の
部類であることを発見してびっくり。(しかし好みのタイプでは全くない)
怪しい魅力がありそうだから、このまま年を重ねると、ジェレミー・アイアンズのような感じの俳優に
なるかもしれない。

映画は、そういう性向に生まれてしまって、愛情に基づいた関係が結べない男の苦悩と行動を
リアルに描写しつつ、彼とは正反対に恋愛依存症の妹を登場させて、都会に生きる双方の孤独を
見せるので、救いようもないほど暗い。二人とも、ボーダーライン症候群を呈しているのだ。
こういう人物設定にしてしまうと、映画のストーリーとしての発展はあるのだろうか、と思いつつ、
観客は主人公の果てしない性欲のはけ口を求める彷徨に付き合わされる。

女性が主人公だったら、『ミスター・グッドバーを探して』のような展開が予想されるが、こちらでは
男性が主人公なので、いったいどうなることかと思ったが、結局、決着も何も付かないのだった。
ロマンチックな展開は全くない。ほとんど虚無的である。
理性も感情も及ばない、人間の存在自体の哀しみを描いたとしか言いようがない。

こういう映画を作ってしまうというのが凄いとは思ったし、ファスベンダーの文字通り体当たり演技も
アカデミー賞にノミネートされて当然だ。しかし、彼はこのまま怪優路線を歩むのか、来月には、
Dangerous Methodのユング役(!)でキーラちゃんと共演するし、話題作に次々と出演して
カメレオンぶりを披露してくれるのか、楽しみである。

だが、この映画を観たいと思った理由としては、妹シシー役がキャリー・マリガンというのが大きい。
相変わらず演技は達者なのだが、Never let me go (邦題『わたしを離さないで』)や
An Education (邦題『17歳の肖像』)でのけなげで賢い女の子とは正反対のかなり
自暴自棄なタイプを演じているのと、ぽっちゃり体型とヘア・メイクのせいでケリー・オズボーンそっくり
に見える。
クラブ歌手として『ニューヨーク・ニューヨーク』を歌うのだが、聴いていられないほどお粗末なので
実際にケリー・オズボーンをパロっているのか、とも思える。
マリガンの魅力がイマイチ引き出されていない役柄だったのが残念。

バッハの『ゴルトベルク変奏曲』その他や、懐メロ・ポップスがバックに流れるのだが、最も印象に
残るのは、冒頭シーンと最後のシーンで流れるハリー・エスコット作曲の現代音楽だ。

 ↓は、冒頭に近い地下鉄シーン



冒頭の曲はちょっとグレツキ風で暗いのだが、何か不安を煽るような旋律がこれから観る映画の
期待を誘うし、最後の曲はミニマルなピアノ曲なのだが、都会的なやるせなさがこの映画のエンディン
グにぴったりだ。

 ↓は、エンディングの曲


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by didoregina | 2012-02-23 09:58 | 映画 | Comments(4)

ジャルスキーのコンサート@コンセルトヘボウ その2

フィリップ・ジャルスキー(PJ)のコンサートは初体験である。アムステルダム、ブリュッセル、
ロンドンなど機会はあったのだが、なかなか決心がつかずに行けなかった。今回は日曜マチネ
しかもコンセルトヘボウでのコンサートということで、千載一遇のチャンスだ。
それでいて、ヘンデル・アリアの予習は怠っていた。というのは、彼のCDはかなり持っているが、
ヘンデルの曲の録音はほとんどないからだ。だから、ぶっつけ本番で聴くことになった。

座席は6列目中央よりやや左寄りで、かなり高さがあるコンヘボの舞台には近すぎるので、音が
頭の上を通過して行ってしまうかな、と思ったが、実際には視覚的にも音響的にも問題なかった。
オケは古楽だから小編成だし、歌手も1人だけだから、このくらい前の席でも問題があるどころか
丁度いいのかもしれない。生の声や音が直に耳に届く距離という点で申し分ない。(3列目中央で
頭上すぐ目の前にPJという位置に座っていたCさんは、生の声が頭の上に降り注ぐ感じで最高!
と言っていた。)

ヘンデルのオペラ・アリアのコンサートということで、全体の構成もバロック・オペラチックである。
すなわち、まず『リッカルド・プリモ』序曲のあと、PJが舞台下手後方上部にある階段から
さっそうと駆け下りて登場したのである。そして、そのまま流れるようにAgitato da diere
tempeste(オレステ)を歌いだす。コンセルトヘボウのステージを上手く利用した効果的な
登場の仕方であり、音楽的な流れもちょん切れずにスムーズに歌に繋がった。

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         皆、写真を撮りまくりなので、わたしもコンセルトヘボウでは
         初めて、写真を撮った。(アンコール終了後であるが)

ステージ衣装は、ジャケットがだぶつき気味でお世辞にもカットがいいとはいえないスモーキング
にタイなしのゆったりめのシャツ、そして黒のカマーバンド。いずれもあまり光沢がない素材だから、
昼間のコンサートにピッタリだ。しかしカウンターテナーのステージ衣装としては、ちょっと洒落っ気が
足りないというか、粋ではない。(ウィーンでイェスティン・デイヴィースが着ていた冴えない大学
教員みたいなコーデュロイの三つ揃いに比べたらマシだが)

しかし、その上半身がだぶっとした衣装は、見かけよりも機能重視のためだったのだ。
ピチピチのカットではないので、歌手の使う腹筋や肺や肩などの自由な動きが妨げられずに、ア
ジリタも自由自在に伸び伸びと、筋肉を伸縮させて歌うことが出来るのだった。
見ていて小気味がいいほどお腹の筋肉が動いているのがわかるし、連続するアジリタの超絶
技巧も聴衆をはらはらさせずに余裕で歌い上げる。若さと日々怠らない訓練の賜物で、息切れも
していない。

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        コンサート後のサイン会。ディズニーランド並みの
        長い列で待ち時間は1時間なり。


曲目の構成は、緩急が上手く按配されていて、ぱきぱきしたテンポで押しまくる曲としっとりと
歌い上げる曲とが交互に配分されている。メゾ・ソプラノもしくはカストラートのためのヘンデルの
様々なオペラから選ばれた曲だが、ばらばらの印象はなく統一感があるし、オペラで一人の歌手が
歌う分量くらいの曲数に限定したことで、コンサート全体がオペラらしい雰囲気になった。
名曲選とか名人芸披露の曲ばかり集めたようになっていないところがセンスの見せ所である。

PJの生の声は、思った以上に声量がしっかりあるし、アジリタも最後までパワーを失わずに
バリバリと出せるので、オペラ舞台でも問題なさそうだ。ただし、今ひとつ不満が残ったのは、
技術的に難しそうな曲だと若さのパワーで押しまくるようで、歌唱にメリハリが少なく装飾の変化も
乏しい。長いダ・カーポ・アリアの多いオペラなんかでは、聴いていて飽きが来るのではないか
という気がした。はっきり言うと、難曲を歌うときはかなり一本調子になるのだった。

彼の高音の美しさはCTの中でも比類がないと断言できる。そして、その高音には一般のCTが
出すファルセットのような曖昧さがなくて、かといって女声とも違って男性らしい芯が通っていながら
あくまでも澄んでいてまさに天使のような声としか言いようがない。そのユニークさがPJの強みで
ある。誰にも似ていない唯一無二の声質は、また誰の耳に心地よく感じられるはずだ。特に、スロー・
テンポの曲を歌うときににその真価が発揮される。

例えば、ピアニッシモから始めてだんだんとクレッシェンドして、細い絹糸を繭から紡ぎ出すように
細心のコントロールで伸ばしていき、最後にまた消え入るように歌うテクニックも安定していてとても
美しい。(だが、それは、わたしの好きな歌手には皆共通してて、PJの専売特許ではない。
サラ・コノリーしかり、マレーナ・エルンマンしかり、ジモーネ・ケルメスしかり。皆、特に高音での
嫋々たるピアニッシモの美しさが特徴的である。)

PJは、最初から声をセーブしなかったが、後半は特に若さとテクニックが爆発してしかもきちんと
融合していた。ここまで押していって大丈夫か、と心配になるくらいだったが、余裕すら感じられた。

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         ファンを大切にする彼のにこやかな笑顔。

最後の曲は、『アグリッピーナ』よりネローネのアリアCome nube che fugge dal ventoで、
マレーナ様の十八番でもあるから、聞き耳を立てた。
DVDになっているマルゴワール指揮の『アグリッピーナ』は、もっさりしたテンポで歯切れが悪い
ため、どうも聴いていてつまらない。ネローネのアリアに関しても、動画でのPJは一生懸命直球を
投げてるだけみたいでバロック・オペラ・アリアに不可欠の変化球がほとんどないから、ヤーコブス
指揮の『アグリッピーナ』でのマレーナ様のめくるめくアジリタと装飾のキラメキ、緩急自在の表現の
幅広さと比べると勝負の結果は明らかだ、と思っていた。
しかし、生のPJの歌声は、フライブルク・バロック・オーケストラのきびきびした演奏と相まって
びしっとキマッているではないか。あのイケテなさはマルゴワールのせいだ、とこれではっきりした。


 ↓ 問題のマルゴワール指揮『アグリッピーナ』でのネローネのアリア




 ↓ 比較のため、毎度おなじみ、マクヴィカー演出によるマレーナ様のネローネ




今回のコンサートで、PJがオペラ舞台で歌う際、歌唱上の問題はないとわかった。
しかし、問題は、オペラでは歌いながら演技もしなければならない点である。
Volkskrant紙でのインタビューでも語っているように、PJもオペラ舞台ではその点が気がかりで
あるようだ。特に、近年のオペラで演出家が歌手に求める演技力は相当なものだ。
上の動画でのPJネローネは、膝を突いたり立ったままで正面を向いて歌うだけで、演技などないに
等しい。
それに対して、マレーナ様は、あの超絶技巧アリアを体当たり演技しながら歌っているのである。


コンサートに話を戻そう。
観客は大満足で、アンコールも3曲あった。Aria"Venti Turbini"(Rinald, HWV 7),
Alto Giove(from Polifemo composed by Nicola Porpora)
Ombra Mai Fu (Serse, HWV 40)
(曲目情報は、Mevさんに教えていただいた)
最後のアンコール曲は、『オンブラ・マイ・フ』で、しっとりと〆て余韻も残すから、アンコールに
似つかわしい。ピアニッシモから引っ張っていってクレッシェンドして最後にディミヌエンドするテク
ニックの披露にもふさわしい曲だ。PJは、最後の数小節を何度か上げて、ちょっと通常とは異なる
クライマックスにして歌っていた。繰り返しを避けるためと、本当にこれが最後の曲だよ、と告げる
意味もあったろう。


 ↓は、チェチリア・バルトリによる『オンブラ・マイ・フ』



       バックに虫の声などが入っていて、この曲の演出としてはいい感じ。


 ↓は、しつこいが、エイドリアン・ノーブル演出マレーナ様による『オンブラ・マイ・フ』




こういう風に、最近の演出家は歌手を立ったままで歌わせない。そして、この曲はオペラ『セルセ』
の冒頭に来るのだ。誰でも知ってて期待値が異常に高い曲をいきなり最初に、しかも難しい姿勢で
歌わなければならないのが、オペラ歌手である。
オペラ舞台でのPJは、12月に『アルタセルセ』で見ることができるはずである。どんな演出になる
のかわからないが、しっかりした歌唱でコンセルトヘボウを沸かせた彼のオペラ出演には期待している。
『アルタセルセ』は、若手CTが勢ぞろいする花形歌舞伎みたいなオペラ舞台になるはずだから、
他のCTとの絡みも重要だし、比較もされる。正念場になりそうだ。

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         お約束のツーショット。しかし、PJの目線は別のカメラを見ている。。。
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by didoregina | 2012-02-21 14:20 | コンサート | Comments(10)

ジャルスキーの生の声を聴く  その1

今年の目標として、「カウンターテナーを極める」を掲げて以来、2度目のCTコンサートである。
会場(コンセルトヘボウ)にも歌手(フィリップ・ジャルスキー)にもオケ(フライブルク・バロック・
オーケストラ)にも不足はないはずだ。

寒波が去り雪が融けて、保線工事にも当たらず、ドラッグ・ストアの安売り切符でアムステルダム
まで出かけたのだが、電車は遅延もなく、幸先は非常によろしい。しかも、南部のカーニヴァルと
いう馬鹿騒ぎから離れた北の地に向かう電車の車内はガラガラで快適だった。

まずは、国立博物館で特別展『ノヴァ・ゼンブラ』を観よう。3月5日までなのでわたしにはこれが
最後のチャンス。クライドファットで販売されているオランダ鉄道NSの切符は正規の値段の半額
以下なので、入館料14ユーロを払っても差し引きはポジティブである。
しかし、『ノヴァ・ゼンブラ』展の展示物は思った以上に少なくて、これだけを目的にしてずんずんと
レンブラントもフェルメールも無視して進んだので、時間が余ってしまったくらいだ。しかし、400年
以上も前の極地探検で使われた道具やスケッチや本などが、文字通り風雪に耐えて残っているのを
目にすると驚愕し改めて感嘆する。

もう一つの特別展『天からの贈り物』(同じく3月5日まで)も1室のみのこじんまりした展示だが、
中世から北方ルネッサンスのキリスト教美術品の新たな購入作品が主に披露されていた。
展示数が多くないため、かえって厳選してるように感じられて、プレゼンテーションとしてはなかなか
よろしい。

その中でわたしの目を捉えて離さなかったのは、テラコッタの胸像『悲しみの聖母』だ。
まるで絵から抜け出たようなほぼ実物大の聖母像で、息子を失い茫然自失の母親が思いつめた
ように一点を見つめる険しい目付きの迫力と、透徹した悲しみの美しさ。

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          (1500~1510年頃、フランダース地方)

ガラス・ケースに入れられたこの胸像は、ぐるりと回ってあらゆる角度から見ることができるのが
うれしい。そして、彼女の目線を避けた角度から眺めると、あのちょっとだけ人を撥ねつけるような
険しさと悲しさは半減して、いかにも慈悲に満ち溢れた聖母像なのだった。

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この胸像と同じテーマを曲にしたペルゴレージの『スターバト・マーテル』
スピノジ指揮で、ヴェロニク・ジャンスとジャルスキーが歌っている。『アグリッピーナ』での親子役
で息がピッタリだった二人だ。





コンサート前に軽いランチをフィリップ・ジャルスキー(以下PJ)ファンの皆様とご一緒した。
Mevさん、 Peaceさん、 CLさん(登場順)である。
初めてお会いする方々であっても同好の士なので、なかなか楽しくおしゃべりが弾むのだった。

さて、いよいよ14時15分からPJのコンサートが始まるコンセルトヘボウに向かう。
大ホールは、日曜マチネだが、コーラス席までほぼ満員である。(実は、2日くらい前にもまだ
安売りオファーが来たりしたが、チケットは全部捌けたようだ。なぜか、6列目のわたしの左隣は
空いてたが。)
そして、会場の平均年齢が普段と比べて20歳は若いと思えた(当社比)。いつもなら65歳以上の
老年カップルが大多数で見渡す限り白髪銀髪なのが、さすがに今回は30~40代の聴衆が多く、その
おかげで熱気に溢れ華やいでいる。女性同士や、男性カップルが目に付く。

今回のプログラムは、オール・ヘンデルである。主にヘンデルのメゾ・ソプラノもしくはカストラートの
ためのオペラ・アリアとその合間にヘンデルの器楽曲が入る。
構成は、ちょっと、3年前のサラ・コノリーによるコンサートと似ている(ヘンデルのオペラ・アリアに
テレマンの『ターフェル・ミュージック』を同じくフライブルク・バロック・オーケストラが演奏した)が
曲目は被らない。

2012年2月19日@コンセルトヘボウ

Petra Müllejans leiding
Philippe Jaroussky contratenor
Freiburger Barockorchester

Georg Friedrich Händel
Ouverture (Riccardo primo, Re d'Inghilterra, HWV 23),
Aria "Agitato da fiere tempeste" (Oreste, HWV A 11),
Recitativo & Aria "Ho perso il caro ben" (Il Parnasso in festa, HWV 73),
Concerto grosso, op. 6/6, HWV 324,
"Se potessero i sospiri miei" (Imeneo, HWV 41),
Aria "Con l'ali di constanza" (Ariodante, HWV 33)
- pause -
Aria "L'angue offeso mai riposa" (Giulio Cesare in Egitto, HWV 17),
Aria "Mi lusinga il dolce affetto" (Alcina, HWV 34),
Sarabande (Almira, Königin von Kastilien, HWV 1),
Aria "Ombra cara" (Radamisto, HWV 12),
Aria "Come nubbe che fugge dal vento" (Agrippina, HWV 6)

このプログラムでPJとFBOは既に昨年11月と12月にフライブルク、ハレ、ハンブルク、
ベルリン、バルセロナ、サン・チャゴ・デ・コンポステラ、ブリュッセル、パリでツアーを行っているが、
アムステルダムのコンサートだけ2月になった。

オケの構成は、歌手のソロ・コンサートにしては比較的大きな編成で第一ヴァイオリンが5人、第二
ヴァイオリンは上手に4人。対向式の配置は12月のバッハとゼレンカの合唱曲コンサートの時と同じ
だが、メンバーは多少異動しているようだった。(前回は、上手の第二ヴァイオリン脇の座席だった
のでわたしからは彼の譜面が覗ける位置だった男性V奏者が今回は下手で、コン・ミスの隣にいた
女性V奏者が上手に入れ替わっていた)ヴァイオリン奏者は皆立ったままの演奏である。

スケジュールを見ると、世界各地で様々なコンサート活動やオペラ演奏を行っているが、基本的に
指揮者を置かずに、重なる日程もコン・マスとコン・ミスの双頭体制でこなしている。
今回はコン・ミスがミュルヤンス女史で、しなやかな体の動きをタクト代わりにしてオケ全体を
まとめている。彼女の弦の動きはシャープで、リズムの決まり具合が視覚的にも聴覚的にも
無駄なく締まっていて気持ちいい。
また、奏者同士の微笑み合うような眼差しが今回も印象に残った。

出てくる音は、まろやかな雅致があるとでも言おうか、尖がりすぎず、しかし中庸に堕しているわけで
もなく、余裕が感じられる演奏である。都会的ではなくどことなくほんの少し土臭いところが味わい深く、
それでいてテンポにも音にももっさりしたところがない。文句つけるところが見つからないのだった。

さて、PJの歌に関する感想は、次の記事にしたい。
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by didoregina | 2012-02-20 13:16 | コンサート | Comments(4)

古い教会のインテリアを生かしたトレンディーなレストラン

マーストリヒト市内には、オランダ最古の教会ほか、由緒ある教会があまたあるのだが、
修道院付属の教会やチャペルは、フランス革命以降没収されて他の用途に使われている
ものが多い。それらは、大学や、古文書館や、展覧会などのイヴェント会場や、コンサート・
ホール、はたまたディスコ・クラブや、書店などに生まれ変わっている。

そういう元修道院の一つにKruisherenというのがあり、オランダ南部でシャトー・ホテル・レス
トランを幅広く経営する実業家が買い取り改修し、美しいホテル・レストランとして数年前にオー
プン。昨日、そのレストランでランチをした。

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         中庭を取り囲む回廊がホテルの廊下になっている。

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         レストランは、教会の中二階。下は、カフェ・ラウンジ。

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         高い天井のゴシック窓からにサンサンと光が降り注ぎ、
         外は雨模様なのに中は明るい。


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         突き出しは、カリフラワーのムースにチャイブスのソース。
         燻製鰻とカリフラワーのマリネが上に乗っている。

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       スズキのソテー(二枚)の下にクスクスの炊き合わせ、
       グリルした帆立貝の下にポレンタ、薄切りナスやズッキーニ
       などの野菜とトマト・ソースと卵黄のソースが彩りよく、天然
       スレートのプレートに。

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       デコラのテーブルの模様は、天井画の写し。

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            天井画

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            壁画


こんな風に、天井やアーチ部分に近い中二階に座って食事をしていると、まるで宙に浮かんで
いるような気がしてくる。一般の教会に入場したら目に入ることのない細部が間近に迫って、
普通なら見えない角度から天井画も壁画もよく見えてわくわくする。
ロマンチックかつモダンで、教会インテリアの素晴らしい活用法だ。

そして思い出すのは、風景も俳優も美しくストーリーも胸に残る映画『イングリッシュ・ペイシェント』の
あのファンタスティックなシーンである。



ロウソクの道筋を辿ったり、宙乗りで教会の壁画を見ることができるなんて素晴らしくロマンチックで、
こんな風にヴァレンタイン・デーを演出されたら、女の子なら誰でも胸キュン必至。

レイフ・ファインズとクリスティン・スコット=トーマスの究極の愛の舞台となる砂漠の場面もロマンス
に満ち溢れているが、後半トスカーナに舞台が移ると、叙情的な風景と天真爛漫な看護婦役の
ジュリエット・ビノシュの明るさとで清々しさが増す。
繰り返し見ても飽きない、素晴らしい映画だ。


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           レストランへのエントランスは、銅のトンネル。
           写真では、食事が終わって、外に出るところ。


さて、教会のインテリア利用は、我が家でも行っている。
義父が関係していた教会が不用品としてドアよりも大きな鏡を放出した。それを手に入れ、床から
天井まで届く姿見として便利に使っていたが、枠が細すぎて鏡の大きさとの釣り合いが取れず、
シャビーな印象なのがしゃくの種だった。
長男が、鏡の回りを額のように覆う枠をDIYで作ってくれた。

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          幅とプロファイルが異なる3種類を組み合わせて重厚に。
          金色のペンキを塗ったらゴージャスで、満足の仕上がり。
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by didoregina | 2012-02-16 15:09 | 料理 | Comments(4)

Brighton Rock 『ブライトン・ロック』各種

BBCで映画『ブライトン・ロック』が放映されたのは、かれこれ1週間以上前になる。
新聞のTV欄には、1947年ジョン・ボルディング監督作品とあったから、「おお、古いのを
やるな」と思ってスイッチを入れたらカラーである。なんと2010年のリメイク版のほうだった。
うれしい驚き!

『ブライトン・ロック』という題名に始めて接したのは中2の時で、ラジオから流れる『キラー・
クイーン』にショックを受けて買ったクイーンのアルバム『シア・ハート・アタック』の一番
初めに収められている曲だった。
フレディーの七色の声が堪能できるが、途中で入るブライアンの長いギター・ソロには飽きる。
当時はLPだったので、その辺はプレイヤーの針を飛ばすなどして対処した。
クイーンのアルバムでは一番好きなので、その後もよく聴いていたから、『ブライトン・ロック』
といえば、クイーンなのだった。



大学に入って、夏休みに友人と二人でイギリス旅行の計画を立てた。ブライトンには、もちろん
出かけるつもりだった。旅行について相談に乗ってもらった教授に「ブライトンに行ったら、
名物のブライトン・ロックが目に付くよ」と言われ、「ええっ、『ブライトン・ロック』が名
物?」と、びっくりした。「岩の名所のことではなくて、キャンディーが名物なんだ」と教えて
くれた。

実際に出かけた夏の終わりのブライトンは妙に寂れていて、その前に行ったイタリアのリミニと
比べるとリゾート地としての明るさに欠けていて、クイーンの『ブライトン・ロック』から想像
していた遊園地のようなお祭りのような賑わいもなく、落胆した。

帰ってから、グレアム・グリーンの『ブライトン・ロック』を読んだ。先にブライトン・ロック
のことを教えてくれた教授による20世紀初頭の英文学史の授業で取り上げられ、レポートを書く
必要があった。その際、力を入れて英語と日本語の両方を読み比べたはずだ。しかし、それから
30年経ってみると、どうでもいいような細部は切れ切れに憶えているが、全体のストーリーは
すっかり忘れてしまっていた。

c0188818_16415078.jpgDirected byRowan Joffe
Produced byPaul Webster
Screenplay byRowan Joffe
Based onBrighton Rock by Graham Greene
Starring
Sam Riley (Pinky Brown)
Andrea Riseborough (Rose)
Andy Serkis (Colleoni)
John Hurt (Phil Corkery)
Helen Mirren (Ida)
Music byMartin Phipps
CinematographyJohn Mathieson
2010年 イギリス

このリメーク版では、舞台を1964年のブライトンに移している。
その年の復活祭休日に、反目しあうスクーター派のモッズとモーターバイク派のロッカーズが、
ブライトンに奇しくも集結し大騒乱を引き起こした。また、イギリスでは死刑が廃止されたの
はその翌年からであるという。
そういう社会事情が映画には反映されているし、主人公にモッズの格好をさせて若者票を取り
入れたかったのだろう。映像としてはまあまあかっこいいが、ストーリーの鍵として生かされて
いない。
一見、卓越したアイデアなのだが、主人公のピンキーの生き方はモッズ的とはいえないし、
借り物の流行風俗を纏ってみたかっただけの浅薄さのみが浮き上がる。
外見をキメることに執着する単細胞のチンピラがピンキーだから、わかりやすく表現したかった
のかもしれないが。

観客は当然、俳優サム・ライリーのカリスマ性に期待する。しかし、『コントロール』で見せた
壊れやすい神経の持ち主を絶妙に演じた彼とは別人のように、短気で冷血漢であるピンキーを
強調するためにいつでも怒ったような表情だけ、というのは飽きるし、演技にメリハリが全く
感じられない。
ファンの贔屓目で見ても、この映画での彼は、俳優としてはコケてしまっている。
それは、しかし、仕方ないのかもしれない。なにしろ、このリメーク版では、ポスターを見れば
一目瞭然なのだが、アイダ役のヘレン・ミレンが美味しくかっこいい役どころを盗ってしまって
いるのだ。
しかも、脇役も海千山千のヴェテランばかりで、一本調子の演技しかできないライリーの実力を
露呈する結果になってしまった。

トレイラーを観るとわかるが、ヘレン・ミレンは『プライム・サスペクト』(彼女のはまり役で
大好き)での女刑事よろしく事件を嗅ぎまわる。ほとんど準主役。


ブライトンの町並みやロイヤル・パビリオン、ビーチやピア、はたまた白亜の崖が海から直立
するセブン・シスターズなどの名所オン・パレードで、それは美しいのだが、そこを舞台に
うごめく登場人物たちに魅力が乏しい。60年代だから、コスチュームものとしては中途半端な
時代だから、観光名所案内として撮るしかないのか。

ローズ役のアンドレア・ライズボロは、主人公から嫌われるブスな女の子役を憐れみを誘いつつ
力強く演じているのであるが、どうもやはりあまり好きになれないルックスだ。上目遣いの
表情が30年前の戸川純そっくりで、そこがブキミ可愛い、と思ったが。

このリメーク版にはかなり不満が残ったので、ついでに1947年版のほうも観て比べてみた。
そちらは、30年代を舞台にした原作に忠実な作りで、ローズ役も天使のような可憐さだ。
リメーク版でのローズは、自分の人生は自分の手で切り拓きたいと願う意思の強い女の子という
60年代の社会背景を強調した性格付けがされていた。それはそれで好ましく、原作を読んだ時に
感じた楽観主義の女の強さ、したたかさというものが、だからラストにも生きてくる。
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by didoregina | 2012-02-14 09:45 | 映画 | Comments(10)

Anna Nicole がオランダでテレビ放映された!

Bravaが1月下旬と2月初旬に、ターナイジ作曲のオペラ『アナ・ニコル』(2011年初演)
をTV放映した。既に昨年、DVD化されていたのだ。

c0188818_1930818.jpgAnna Nicole:  Eva-Maria Westbroek
Old Man Marshall:  Alan Oke
The Lawyer Stern:  Gerald Finley
Virgie:  Susan Bickley
Daddy Hogan:  Jeremy White
Cousin Shelley:  Loré Lixenberg
Larry King:  Peter Hoare
Aunt Kay:  Rebecca de Pont Davies
Older Daniel:  Dominic Rowntree
Blossom:  Allison Cook
Doctor:  Andrew Rees
Billy:  Grant Doyle
Mayor:  Wynne Evans

The Band
Drummer:  Peter Erskine
Bass Guitar:  John Paul Jones
Guitarist:  John Paricelli

Composed by: Marc-Anthony Turnage
Libretto by: Richard Thomas

The Royal Opera Chorus & The Orchestra of the Royal Opera ,
Conductor: Antonio Pappano

Directed by: Richard Jones

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プレイ・メイトで究極のゴールド・デイガー、超年齢差のある億万長者と結婚し、夫の死後も様々な
ゴシップを提供した実在の人物、アナ・ニコル・スミスの哀しい半生をオペラ化したものだ。
タイトル・ロールを、エヴァ=マリア・ウェストブルックが歌い演じるというので、注目していた。

アナ・ニコル・スミスのえげつない人生は、人口に膾炙している。ゴシップ紙や芸能ゴシップ番組に
とっては格好の美味しい素材であり、話題の供給源であるという点で、某デヴィ夫人の若い頃に
少し似ているが、アナ・ニコルのほうは、あまり長生きできなかった。
世の人々の顰蹙を買うような彼女の生き方は、典型的・正統的オペラ・ヒロインの流れを汲んでいる。
現代オペラの素材としてこれ以上ピッタリはまる人物はなかなかいないのではないか。
現代版、道を踏み外した女である。

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アナ・ニコルのよく知られた半生をほぼそっくり見せるような展開で、背景も衣装もカラフルでポップ。
I wanna blow you all, blow you all, a kissと、モンロー張りに歌うウェストブルックの表情は
本物のアナ・ニコル・スミスそっくり。よく研究したものである。
前半の、マリリン・モンローに憧れセレブを夢見るちょっと頭の弱い田舎の女の子であるアナ・ニコルは
可愛く憎めない。夢の実現に驀進し、豊胸手術のおかげで、人気と金蔓も手に入れた。

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フゴーの爺さん役のアラン・オーケも、汚いじじいの演技が上手く笑いを誘う。
現代アメリカが舞台だから、歌詞にも実在の人物の名前や放送禁止用語などが沢山出てくる。

ジミー・チューの靴を履いてレッド・カーペットの上を歩く、その足音と感触にサクセスを体感する
という浅薄さが秀逸である。『マノン・レスコー』で、逃走する前にマノンが宝石にうつつを抜かす
のと同じで、きっとそうだろうなあ、わかるわかる、と思いつつ苦笑してしまう。

とにかく、アナ・ニコルの夢は、有名になりたいという名声欲と物欲とで成り立っているのである。
それらは現代一般の夢の一つの典型であり、それを心の底に描いたことはないと言い切れる人は
少ないはずだ。だから、製作側と観客のアナ・ニコルへの視線は冷たく突き放したものではなく、
同情と共感も入り混じった暖かさが感じられた。

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短い結婚生活を頂点としたアナ・ニコルの人生は、夫の死後遺産も手に入らず凋落の一途を辿る。
悲劇のオペラ・ヒロインの人生路線から外れていない。
遣り手法律家の新しい夫(ジェラルド・フィンリーの役作りと歌も光ってる)とともに、様々の方法で
メディアに身を晒すことで金を手に入れようとするのだが、酷い食生活と酒とドラッグに溺れたアナ・
ニコルの体型はどんどん崩れていき、豊胸手術の影響で腰痛にも苦しむ。
ほとんど、自虐的な態度でTVショーに出演したりする。
そして、最愛の息子の死。
砂糖菓子でできたような脆いアナ・ニコルも長くは生きられなかった。
古典的でありながら現代の(アンチ)ヒロインの面目躍如かもしれない。

メディアの一群が最初から最後まで舞台にいて、頭がTVカメラで出来ている鳥のような姿の
ダンサーたちとともにアナ・ニコルを追いかけるのが、現代的かつ象徴的である。
プライバシーを売ってまでセレブとして生きたい、そこにしか生きる道を見つけることができなかった
アナ・ニコルは、1人で体を張ってきたが、メディアとゴシップを欲する人びとに食いつぶされたのだ。

そういう可愛くも哀れな女にエヴァ=マリア・ウェストブルックがなりきっていて、目が離せない。
現代オペラなので長いアリアなどはなく、歌手として自慢の喉を披露する機会が少ないのが残念
だったかもしれないが、彼女のために作られたオペラとしか思えないほどドンぴしゃりの役だし、
演技や表情の役作りも素晴らしかった。

ROHのカーテンが普段のEIIRという文字の替わりにANSになっていたり、客席やロビー
の照明もアナ・ニコル(ウェストブルック)の妖艶に微笑む写真が被せられていたりして、オペラ
ハウス自体がショーの会場になりきって盛り上げているのも面白かった。
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by didoregina | 2012-02-10 13:15 | オペラ映像 | Comments(8)

飛龍のごとく、セイル・アウェイ!

暖冬から一変して、酷寒と雪のヨーロッパ。
窓の外の雪を愛でつつ、一年の休暇予定を立て、予約しないといけないものは予約した。

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         ピアノのレッスンのあるお城の玄関ホールからの眺め。
     
予約しないといけない、というのはチャーター・ヨットの割引が大体1月末までだからだ。
この十年近く、我が家のヴァカンスといえば、セイリング中心である。

4月に主人は、恒例の北海セイリング・トレーニング(耐寒訓練とわたしは呼ぶ)を行う。
オランダ北東部のフリースランド州ハーリンゲンから、アイセル湖とワデン海を経て、イギリスの
ハリッジまで北海を横断し、ラムズゲイトとドーヴァーに寄港して、フランスのブーローニュまで
海峡を渡るルートを一週間で走破という、わたしには考えただけで身震いのくるプランである。

6月には、HとTのクルーザー・ヨットで、オランダ南西部のゼーランド州から、北海をベルギーの
海岸沿いに南下して、フランスのノルマンディーまでセイリングして戻ってくる予定だ。
一応予定では、彼らの友人の別荘のあるノルマンディーまでということになっているが、風向き
しだいでは、航路を変更してイギリスに渡ることになるかもしれない。
あまり無理はしたくないので、10日から2週間の余裕を見て休暇をとってある。

今回は、わたしもケータリング・クルーとして同行する。34フィートのヨットに夫婦二組の大人4人
だから、人員構成としては丁度いい。ただし、狭い空間に四六時2週間近くいっしょに過ごすことに
なるから、よっぽど気があう人同士でないと辛いものがあるだろう。
また、北海セイリングは地中海とは全然別物であるから、着るものもしっかり準備しないといけない。
それにお金がかかるのが辛いところである。
コースタルまたはオーシャン仕様のジャケット、ズボン、ブーツ、浮力の高い自動膨張式ライフ
ジャケットその他を揃えると、ボーナスも一度に吹っ飛ぶ。比較的需要が少ないから、元々高価な
上にバーゲン割引率も低いのだが、命に関わるものだけに、ケチるわけにもいかない。

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         お城の周りの堀にも氷が張っている。


そして、夏のヴァカンスには、一家全員でクロアチア南部を2週間セイリングすることに決めた。
イタリアのナポリ南部にあるサレルノからシチリア島近くまでのワンウェイ・セイリングというのも
魅力的で、色々比較検討したのだが、スプリットからドゥブロフニクまで島々を回るコースのフロ
ティッラに参加することにした。これで、クロアチアの海岸線は北から南まで制覇することになる
はずだ。
クロアチア南部には有名な観光地が多いので、ナポリ以南のイタリアよりもずっと物価が高いが、
ヨットのチャーター代金は、フロティッラのメッカであり、マリン・スポーツのインフラ充実に力を入れて
いるクロアチアの方が断然安い。イタリア南部では、多分来年セイリングすることになろう。

チャーターするヨットを詳しくチェックしていると、色々と問題点も見えてくる。
4人家族なら最低でも34から36フィートのヨットを借りたいところだ。
イタリアではサローネ34というのが魅力的なお値段だった。しかし、このヨットの設計図を見ると、
メインセイルのブームがとても長く舵の近くまで来るため、ビミニという日除けが舵手の頭を覆うだけ
になり、航行中、他のクルーは日に焼かれることになりそうだ。
以前、クロアチアでやはり34フィートのレース・タイプのクルーザー・ヨットを借りたときにもビミニが
非常に小さくて、日陰争奪戦が熾烈だった。その苦しみを思い出し、サローネのビミニの大きさを
問い合わせたら、やはり小さいということがわかった。残念だが、このヨットは避けよう。
そうすると、イタリアではあまり小さなヨットのチャーターがないので、値段が一挙に上がる。

地中海でのフロテッィラでは自然の湾に投錨することが多いので、錨のチェーンの長さも重要だ。
強風時でもしっかりとヨットを固定するために最低50メートルは欲しい。ところが、やはり以前、
エルバ島でヨットをチャーターしたとき、最初の30メートルは鉄の鎖だが残りはロープになっていた
ことがあった。
これも借りる前にチェックしたい点であるが、そういう細かい情報はなかなか事前に知ることが困難
なのである。

結局、クロアチアで借りるのは、32フィートのサン・オディッセイというフランスのメーカーのヨットに
決めた。大人4人ではちと窮屈だが、お値段はぐっと安くなる。
島々を巡り、入り江に投錨し、たまには大きなマリーナにも係留し、トロギール、スプリット、
コルチュラやドゥブロフニクなど元ベネツィア領の美しい町に上陸することになるだろう。子供達も
自然美を堪能するだけでは満足せず、ヴァカンスでも町が恋しい年頃である。


ヨットのチャーター予約が済んだところで、別の会社のブロシャーを見ると、カリブ海フロティッラが
あるではないか。マルチニックからグレナディンまで、フランス領や英国領の島々を2週間自分で
ヨットを操舵してセイリングする。11月ならお値段もほどほどだ。いつか、こちらにも飛んでみたい。
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by didoregina | 2012-02-06 09:54 | セイリング | Comments(2)

Bach Dag バッハ・デイのコンサート動画

1月28日と29日は、バッハ・デイと称して、それぞれユトレヒトとアムステルダムで朝から晩まで
バッハのコンサートが行われたようだ。
ユトレヒトでは3つの教会で、クイケン・クワルテットによる『音楽の捧げもの』や、ヴォーカル
コンソート・ベルリンによるバッハのモテットなどの演奏会が催された。

アムステルダムのMuziekgebouw aan 't IJ(アイ湾に面した音楽ホール)で行われたコンサート
の模様をAVRO放送局がユーチューブにアップしたのを見ることができる。
こちらは、Musica ad Rhenumによるフルート・ソナタと、ダニエル・ロイス指揮のヴォーカル
コンソート・ベルリンによるバッハとシュッツだ。

ヴォーカルコンソート・ベルリンのコンサートは、先週木曜日にマーストリヒトの聖ヤン教会でも
同じプログラムで行われた。ただ、チケット代金28ユーロというのが微妙に高い気がして、多分
安売りオファーが来るだろうから、そしたら行こう、と思っていたのだが、残念ながら来なかった。

だから、アムステルダムでのコンサートの様子がアップされているのを見つけて、しめしめ、と
思った。

↓ ダニエル・ロイス指揮ヴォーカルコンソート・ベルリンによるバッハ『主に向かいて新しき歌を
  歌え』BWV 225 Singet dem Herrn ein neues lied



AVROは、この他にバッハのモテットでは、BWV229『来たれ、イエスよ、来たれ』
BWV227『イエス、わが喜び』、BWV226『御霊は我らの弱きを助けたもう』と、
シュッツの『カンツォーネ・サクレ』より『ああ、悲しきかな主よ』と『汝は何の罪を犯せしか』
をアップしている。


また、めっけモノとしては、ジェド・ウェンツ率いるムジカ・アド・レーヌムによるバッハのフルート・
ソナタBWV1030,1033,1035がアップされている。ウェンツによるフラウト・トラヴェルソと
チェンバロのミヒャエル・ボルグステーデとチェロのヨブ・テル・ハールの丁々発止の演奏が見られ
楽しい。

↓ ムジカ・アド・レーヌムによるバッハのフルート・ソナタ BWV1035


      バロック・フルート演奏のみならず、バロック・オペラの指揮にも活躍する
      ウェンツは、2010年にライデン大学に歴史的ジェスチャーの論文を提出して
      博士号を取得した。
      
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by didoregina | 2012-02-02 13:51 | バロック | Comments(4)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

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プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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