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フラームス・オペラの2011年2012年シーズン

ベルギーのオランダ語圏(フランダース)のアントワープとゲントの2都市を拠点とする
フラームス・オペラの来シーズン演目が発表された。
南部のフランス語(ワロン)圏にあるリエージュの歌劇場と好対照をなす演目が通例だ。

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9月11日~10月15日
ワイルの『マハゴニー市の興亡』 ビエイト演出だが、歌手陣に魅力がないとちょっと。。。。

10月30日~11月26日
チャイコフスキーの『チャロディカ(魔女)』 初耳のオペラだ。

12月18日~1月21日
ロッシーニの『ランスへの旅』

2月9日~3月10日
ヴェルディの『運命の力』キャサリン・ネイゲルスタッドがレオノーラ。

3月23日~4月20日
クリスティアン・ヨストの『噂』(Rumor) ギイ・ヨーステン演出の現代モノ。

5月6日~6月2日
ドニゼッティの『アルバ公』 エレーヌ役にエレーナ・モシュク、ブルージュ公アンリにイスマエル・
ホルディ! 来シーズンはイスマエル君がリエージュとフランダース両方に登場する。こちらが先。

6月10日~7月5日
ビゼーの『カルメン』


なんとも寂しいラインナップだ。ベタとは言うまいが、いまいち覇気が感じられない。そして、
バロック・オペラはとうとうひとつもなくなってしまった。
去年初めて(多分)バロック・オペラを上演したのだが、カヴァッリの『ジャゾーネ』という超レア
ものという鼻息の荒さだった。その時の演奏面では疑問が湧いたが、豊かな土壌のベルギーに
存在する数多くの古楽アンサンブルを使えば、バロック・オペラの上演は不可能ではないはずだ。
今シーズンは、6月にモンテヴェルディの『ウリッセの帰郷』があるが、今後いつまたバロック・
オペラが上演されるのか、先行きが不安だ。やはり、地方の歌劇場では、オーソッドクスなもので
ないと客寄せが難しいのか。
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by didoregina | 2011-04-29 21:57 | オペラ実演 | Comments(0)

リエージュの王立ワロン歌劇場(ORW)の来シーズン

リエージュの歌劇場は、来シーズンもまだ修復工事が終わらず、町外れの空き地に建てられた
サーカス・テントみたいな仮設小屋が会場のようだ。
本日はその会場での『オテロ』千秋楽なので、例によって映像のライブ配信があったが、途中で
消えてしまった。ファビオ・アルミリアートのオテロとダニエラ・デッシーのデスデモーナが、なかなか
ヴィジュアル的にもキマッテいて、歌声も堂々たるものがあり安心して聴ける、と楽しんでいた矢先に
映らなくなってしまったのが残念。

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さて、そのORWの2011年2012年シーズンの演目だ。まあ、相変わらず、というのと、ややっ、
これはなんと、というのものが半々という非常に変わったプログラミングに目を瞠らされる。

9月15日~10月1日
ヴェルディの『イル・トロヴァトーレ』 アルミリアートとデッシー夫妻が再登場。期待できそうだ。

10月21日~11月12日
モーツァルトの『フィガロの結婚』 アンヌ=カトリーヌ・ジルのスザンナとチンツィア・フォルテの伯爵
夫人。ジルは、来シーズン『イポリトとアリシー』@パリでアリシー役で、サラ様とトピ君と共演する。

11月25日~12月3日
ワーグナーの『さまよえるオランダ人』

12月22日~1月7日
シャルル・ルコックの『アンゴ夫人の娘』La Fille de Madame Angot オペレッタのようだが、
初めて見るタイトルだ。

1月27日~2月9日
ハイドンの『真の貞節』La Vera Costanza これも相当レアだ。

2月22日~3月4日
ロッシーニの『ひどい誤解』L' Equivoco Stravagante これも初めて聞くタイトル。

3月3日~3月18日
ラルフ・ベナツキーの『白馬亭にて』L'Auberge du Chaval Blanc オペレッタ。同上。

3月6日~3月10日
リネ・アダムの『シビルと影』Sybil et les Silhouettes ベルギーの若手現代作曲家の作品。

4月19日~5月8日
ヴェルディの『椿姫』 2年前の再演。アニック・マシスがタイトル・ロール。

5月12日
フアン・ディエゴ・フローレスのリサイタル!3年前くらいにリエージュに来て下さった時は、迷った末
行かなかったが、次回は聴きに行こうか。

6月14日~6月26日
マスネの『マノン』 ジューン・アンダーソン、イスマエル・ホルディ(ジョルディ?)、ギ・ド・メイ。
今シーズンの『サロメ』といい、アンダーソンには、ちょっと若すぎる役では?イスマエル君は、今
シーズンDNOでの『ロメオとジュリエット』のロメオ役が印象的だった。


シーズンの初めと終わりに数作品、当たり障りのないようなオーソドックスな演目を持ってきて、
シーズンの真ん中辺に5つも超レア・初耳のようなものを上演というのは、どういう了見なのか。。。

先月、スミ・ジョーがロジーナ役だからというので観に行った『セヴィリアの理髪師』は、あんまりの
ベタさにあんぐり、記事にするほどの内容が全くない、という代物だった。

かなり微妙な歌劇場だ。
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by didoregina | 2011-04-29 00:36 | オペラ実演 | Comments(2)

家の周りが羊に占領された

復活祭の前から、アーバン・シェパードの羊の群がだんだん近づいてきているのがわかった。
町の緑地の草を羊に食べさせながら、徐々に移動しているのだ。
ゼーランドの週末から戻った月曜の晩、寝室の窓を開けるとめええという声が聞こえた。
見ると裏庭の筋向いの草地に羊が沢山いる。
そして昨日、とうとう我が家の脇から前に広がる市の管轄である緑地に、羊飼いの掛け声と共に
羊の群れが引っ越してきた。

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      我が家の前の緑地が牧場と化した。

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      市からすれば、草刈の手間がはぶける。
      裏庭にも2,3頭来て貰いたいものである。

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      数日滞在して、また別の緑地に移動するのだろう。
      羊の数は、数えていると眠くなるので不明。


羊といえば、キリスト教にはよく登場する。宗教歌にも、Agnus Deiというのがある。


      アレッサンドリーニ指揮コンチェルト・イタリアーノ、サラ・ミンガルド独唱
      ヴィヴァルディの『グローリア』よりDomine Deus, Agnus Dei
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by didoregina | 2011-04-28 09:34 | バロック | Comments(2)

復活祭の週末はゼーランドで

復活祭が今年は遅かった(4月24日)ので、初夏のような天候に恵まれた。
本来ならこの時期、日本に帰っていたはずなのだが、復活祭の週末をゼーランドで過ごした。
義妹の同僚の別荘(12人宿泊可)を親戚一同で使わせてもらったのだ。

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    1961年に建った築50年のかわいい別荘。いかにも海辺にふさわしい。
    寝室は4部屋だが、そのうち2部屋には2段ベッドが2台づつあるので、
    12人まで泊まれる。庭もかなり広い。

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    インテリアは、別荘にはお約束のIKEAでそろえて。対面式のキッチンと
    ダイニングの窓から砂丘が見える。別荘地の端に位置するので海岸が至近。


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    窓から見える砂丘(堤防を兼ねる)の階段を登る。

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    堤防からの別荘地帯の眺め。風力発電のタービンが数機立つ。

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    海岸に下りると広い砂浜が続く。後方に水門式堤防。
    高潮が発生すると扉が下りて海水をシャットアウトする。
    上部は道路で、橋のようにゼーランドの島々を結ぶ。

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    砂丘の向こうの海に落ちる前の太陽が、雲間から光を放つ。
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by didoregina | 2011-04-27 11:10 | 旅行 | Comments(6)

ミュジックヘボウ@エイントホーフェンの来シーズン

比較的近場なので平日夜でも行けて、意欲的なプログラムかつスターも登場、しかも料金設定が
低めと、いいこと尽くしのコンサート・ホール(ブリュッヘンが音響を絶賛、と自画自賛してる)
といえば、エイントホーフェンのミュジックヘボウ(ミュージックセントルム・フィリップス改め)だ。

2011年2012年シーズンで、わたしの目を惹いたのは以下のプログラム。

9月4日(日)  アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ+ペライア(Pf)の
        バッハ、モーツァルトPコン、ハイドン。しかし料金めちゃ高(最高席60ユーロ)

10月7日(金) キングズ・シンガーズが歌うバード、ラッススその他、ヴァリエーションに富む。

11月2日(水) ポール・アグニュー指揮レ・ザール・フロレサンによるモンテヴェルデイの
        マドリガーレ集第二巻ほか。

11月5日(土) ゼフェリン・フォン・エッカルドシュタイン(Pf)と室内楽アンサンブルの組み合わせ。
        ブラームス、モーツァルトPコン、シェーンベルクの室内交響曲1番

11月9日(水) ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラ+カペラ・アムステルダムによるモーツァルト
        『後宮からの逃走』コンサート形式

11月27日(日)レイチェル・ポッジャー+ブレコン・バロックによるバッハVコンとテレマン。マチネ。

12月8日(木) ボリス・ベレゾフスキー(Pf)によるショパン、サン・サーンス、リスト。

12月10日(土)ウテ・レンパー+オリジナル・アストール・ピアゾラ・バンドによるタンゴ!

12月11日(日)ピーター・ウィスペルウェイ(Vc)+クリスティアン・ベズイデンホウト(FP)
        ベートーヴェンのチェロ・ソナタ全5作品を45分演奏X3回プラス食事つきで!
        う~む、ヴァイオリン・ソナタではなくチェロ・ソナタと来たか。
        マチネで、じっくり全作品を聞かせ、合間に温かい食事も出すというコンセプトが
        いい。しかも、39ユーロとめちゃ安だ。家族連れで行きたい。

1月11日(水) アンドレアス・ショル+シールド・オブ・ハーモニーが、オズワルド・フォン・ヴォル
        ケンシュタインの歌と生涯をステージ仕立てで!45ユーロ。

1月19日(木) ブラバンツ・オーケストラ+アレクサンドル・タロー(Pf)
        プログラムがはっきりしないが、モーツァルトPコン?

2月26日(日) ヨハネット・ゾマー+バート・シュニーマン(バロック・オーボエ)がヘンデルの
        アリアをマチネで!CD『愛と狂乱』より。

3月13日(火) アラン・カーティス指揮イル・コンプレッソ・バロック、ジョイス・ディドナート、
        カリーナ・ゴーヴァン、マリー・ニコル・ルミュー
他ソリストによるヘンデル
        『アリオダンテ』
!やっぱり、近くのホールに来てくれる!ブログに
        願をかけると叶うという好例。45ユーロは安い。

3月29日(木)と30日(金)ブラバンツ・オーケストラによるバッハ『マタイ受難曲』
        ソリストに、期待の新星オリヴィア・ファームーレンちゃん(メゾ)の名が!

4月19日(木) ペトラ・ムレヤンス指揮フライブルク・バロック・オーケストラ+カロリン・サンプソン
        ヘンデル、ガルッピ、ポルポラらによる『アリアンヌ』(アドリアネ)尽くし。

5月11日(金) トマス・ハンプソン+ウォルフラム・リーガー(Pf)が、マーラーとリストの歌曲を!

5月23日(水) 鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパンのバッハ『カンタータ』と『マニフィカト』

5月25日(金) アルヴェ・ヘンリクセン+トリオ・ミディーヴァルによる中世の民謡とジャズ!

5月27日(日) 鈴木秀美(Vc)+アレクシス・コセンコ(Fl)+ホランド・バロック・ソサエティーが
        バッハのチェロコンやフルートコンその他でバッハ尽くしのマチネ。


数日前、Arteでオルランド・ディ・ラッソ(ラッスス)の宗教マドリガーレ『聖ペトロの涙』を
放映してくれた。ヘレベッヘ(ヘレウェーゲ)指揮コレギウム・ヴォカーレ・ゲントの7声を聴いて
心が洗われた気分になった。






      
       
        
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by didoregina | 2011-04-19 21:55 | コンサート | Comments(2)

ロケーションで選ぶ(?)オランダとベルギーの来シーズン古楽コンサート

ユトレヒト古楽祭の主催団体Oude Muziekは、年間通じてオランダとベルギー各地の教会
などで素晴らしい古楽コンサートを催している。
演奏もさることながら、コンサートの楽しさもしくは落胆はそのロケーションにも左右される。
お城とか教会とかの歴史的に由緒ある会場だと、モダンなコンサートホールよりも雰囲気が
いいから気分は盛り上がる。しかし、音響面ではどうか?

マーストリヒト市内の教会やチャペルなら音響のことは承知しているのに、演奏家や曲目に
惹かれて懲りずに行ったコンサートで、「カンベンしてくれ」と心底思ったことも何度かある。
合唱曲だと特に、残響が長すぎてもう何がなんだかわからなくなるくらい各声部が混じりあって
しまう。ポリフォニーだからってこれはあまりにも渾然一体すぎると思うのだが、実は作曲家が
本来意図した音響は実はこんな感じだったのかもしれない。しかし、現代人のわたしの耳には
受け入れがたいものがある。

さて、Oude Muziek企画の来シーズン・コンサートで行きたい!と思ったものは以下の通り。

10月15日(土)@マーストリヒトのウルスリン・チャペル
Gli Angeli Geneve (Maria Cristina Kiehr, Jan Kobow, Stephan MacLeod他)
による Schein のモテット集Israelis Brunnlein
ソリストの面子がいいのと、聴いたことない作曲家そして会場も初めてなので惹かれる。
アントワープのAMUZでもマチネ・コンサートがあるが、音響面でひけてしまう。

10月22日(木)@ハッセルト市庁舎(B)
Johanette Zomer + Fred Jacobs によるCanto di Romaは、シギスモンド・ディンディアの
曲を中心にローマの初期バロック。
ハッセルトの市民文化会館は、古楽コンサートに適してないと思うが、17世紀の市庁舎なら期待
できそうだ。

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            ハッセルト(ベルギー)の市庁舎

このコンサートはアントワープでも10月27日に行われる。しかも会場はルーベンスの家
どちらに行くべきかと、悩むところである。コンサートの1時間前から入場でき、チケット代金で
美術館を見学できるというのも魅力である。

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            豪勢なルーベンスの家


4月2日(月)@ハッセルトの文化会館
Ton Koopman+Amsterdam Baroque Soloists(Catherine Manson, Jaap ter Lindenほか)によるBuxtehude コンサート。

4月21日(日)@マーストリヒトの聖ヤン教会
Camerata Trajectina + Lous Peter Grijpによる『カルヴィンと音楽』と題したGoudimel, LeJeune,Sweelinck, Van Eyckなどのプロテスタント音楽。

5月6日(日)@リンブリヒトの聖サルヴィウス教会
Scherzi MusicaliによるDomeniko Mazzocchiなど17世紀初頭のイタリア歌曲。
リセウェーヘまで、カッチーニ作曲『エウリディーチェ』を聴きに行ったが、意欲的な若手演奏家達
なのでこれにも期待できる。

Oude Muziek とは別にAMUZからもブロシャーが届いた。

毎年8月にLaus Polyphoniaeという、ポリフォニーにジャンル限定した音楽祭が1週間
にわたって開かれる。18回目という盛況だ。今年のテーマはポルトガルの音。
8月28日にはサヴァール率いるLa Capella Reial de Catalunya & Hesperion XXIが登場!

Oude Muziek と重ならないAMUZでのコンサートで目を惹いたのは

10月14日(金)のTasto Solo & Trio MediaevalによるMetamorphoseコンサート。
スペインの器楽アンサンブルとノルウェーのソプラノ・トリオのコラボで、中世から15世紀半ばまでの
音楽を。行きたいのだが、平日夜9時開演というのは。。。

2月16日(木)には、Santrine Piau + Jos van Immerseelのコンサート!
フォルテピアノの伴奏でピオーがフォーレ、プーランク、ドビュッシーを歌う!ブリュッセルの
ボザールでも同じコンサートがあるが、どちらも平日夜で、行くのが難しい。

2月26日(日)には、Paul Agnew + Elizabeth Kennyのマチネ・コンサート!
リュート伴奏で、アグニューがダウランドとル・カミュ(17世紀フランスの作曲家)の歌曲を歌う。

3月2日(金)は、Mark Padmore + The English Concertによるバッハおよび同時代の
リューベックの作曲家の作品を集めたコンサート。やはり夜9時からだ。。。

3月31日(土)は、Maria Cristina Kiehr + Concerto Soave (Mara Galassiほか)の
カリッシミ、フレスコバルディ、ロッシなどの哀歌。これも夜9時から。

気になるコンサートは多いが、実際行けるものとなるとかなり限られてくる。
ああ、古楽コンサート・チケットは特にベルギーだとめちゃ安なのに、残念なことである。
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by didoregina | 2011-04-17 12:07 | コンサート | Comments(0)

Bravaご招待コンサートへ着物で

先週の日曜日、またもやBravaからの招待でコンサートに行ってきた。3度目の当選である。
4選なった某氏には及ばないが、4回応募したうちで落選だったのは、ネゼ=セガン指揮
ロッテルダム・フィルのベートーベン・プログラムの時だけだから、くじ運は強いのだろう。
今回は、ネーデルランド・フィルによるドイツ語圏作曲家でまとめたプログラムだった。

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2011年4月10日@Parkstadtheater Heerlen

Nederlands Philharmonische Orkest
Christoph Poppen, dirigent

Johann Sebastian Bach (1865 - 1750)
'Befiehl du deine wege' uit de 'Matthaeus Passion'

Felix Mendelssohn Bartholdy (1809 - 1847)
Ouverture ‘Die Hebriden’

Franz Schubert (1797 - 1828)
Symfonie nr. 7 in b ‘De Onvoltooide’

Johannes Brahms (1833 - 1897)
Symfonie nr. 4

当初、ネーデルランド・フィル(略してNedpho)の首席指揮者ヤコブ・クライツベルクが振る
予定だったのだが、去る3月15日に急逝された。
クリストフ・ポッペンが代わりに指揮台に立った。外見はビジネスマンっぽい感じで音楽家らしいカリスマ性に乏しいが、どぎつさがないさらっとした指揮姿。



まず、クライツベルク追悼のため、バッハの『マタイ受難曲』より「おのが道を委ねよ」が
捧げられ黙祷。

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そこから、メンデルスゾーンの『フィンガルの洞窟』、シューベルトの『未完成』へと繋がる
曲のいずれもが叙情性に満ちて心落ち着かせるもので、統一感の取れた選曲に感心した。
うららかな春の日の午後にぴったり。(しかしマチネはその日のみで、その前後3回はコンヘボで
の夜の演奏だった)

ブラームスの『交響曲第4番』は、バッハ、メンデルスゾーンを経て綿々と続く流れの本流の
集大成という趣で、派手さは少ないがとうとうと雄大さを増していく渋い曲だ。
小川が大河に流れ込み、ひたすら流れは澄んだままで海に注ぐ。前半は抑えに抑えていて、
第3章と第4章で奔流となり、余韻を残しつつ大海に呑まれる。

Nedphoの抑制の効いた演奏は、ロマン派の正道路線という感じで好感が持てる。妙に力んだ
ところがなく、さらりと都会的である。不満は全くない。
来シーズンからマルク・アルブレヒトを首席指揮者に迎えてDNOの専属オケになるから、
ネーデルランド・オペラのピットに納まることが多くなる。

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       草木染の単衣紬にモダンなスカーフのような柄の塩瀬帯。

現在、ヘーレン市内には、エレファント・パレードというアジアの象救済のためのアート運動で
いたるところにカラフルな象さんが立っている。
今までもカウ・パレードとか河馬(?)パレードとかいろいろあった。
数年前のカウ・パレードで、ストックホルムの町中に立っているカラフルかつアーティーな牛達を見た
時は、美しい街中のロケーションにほぼ実寸の牛の大きさがインパクトを感じさせた。しかし、それの
ミニチュア版が売られているのは、恐ろしく俗っぽくてぞっとしない。
       

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       象の形がまずよくないから、色を塗っても美しくなるわけが
       ない。見ていて哀しくなるほど酷いものが多い。
       これは、元テニス選手のリチャード・クライチェク作。

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       市民会館ホールに飾ってあるこの象は、トナカイの角と
       ガラスか樹脂のジャンク・ジェムが貼り付けられていて
       きらきらとゴージャスで、唯一アートっぽく美しい。








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by didoregina | 2011-04-16 10:36 | 着物 | Comments(2)

Black Butterflies カリスちゃんとルト様共演!

久々のルトガー・ハウアー出演の新作映画だ。期待は大きい。
しかも、主演はカリス・ファン・ホウテンである。期待はさらに増す。
南アフリカの女流詩人イングリッド・ヨンカーの伝記映画である。
↑のリンクで、カリスちゃんが朗読する詩Little Grain of Sand(英訳)が聴ける。


c0188818_16271710.jpgPaula van der Oest
Jaar: 2011
Duur: 90 minuten

Cast:Rutger Hauer
Carice van Houten
Liam Cunningham
Grant Swanby
Candice D'Arcy
Graham Clarke
Nicholas Pauling
Leon Clingman
Jennifer Steyn
Damon Berry
Waldemar Schultz
Florence Masebe
Thamsanqua Mbongo

Land: Nederland


南アフリカのアフリカーンス語詩人の伝記映画を作ったのはオランダ人のクルーで、主要キャ
ストもオランダ人、しかし言語は英語というのは、微妙な政治的・経済的効率の計算結果だろう。
アフリカーンス語(オランダ語の変形語)やオランダ語では、国際市場でウケル映画になりにくい。

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イングリッド・ヨンカー(1933-1965)のことは全く知らなかったが、この映画の印象では、
シルヴィア・プラスとアナイス・ニンとヴァージニア・ウルフを混ぜ合わせた様な人物である。

父親はアパルトヘイト政策を推進する南アフリカの超保守的政治家で、親子関係は複雑。
精神的な起伏が激しく、情熱的でしかも繊細。欝のため精神病院に何度も入院している。
このあたりが、シルヴィア・プラスを思い出させる。

妻子持ちの男性作家と次々に関係を持つのだが、破滅的な性格のため長続きしない。
自身が傷つき、相手も傷つけるという繰り返し。色情狂的な性格がアナイス・ニンそっくり。

また、当時の南アフリカの白人としては思想的にラディカルで、反アパルトヘイトの政治的主張を
詩作に反映させている。作家サークルの中心的存在であるのが、ヴァージニア・ウルフに似ている。


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カリスちゃんのヘア・メイクがイングリッド・ヨンカーを真似た造形のため、彼女本来の静謐で
透明な美しさはほとんど表に出ていない。しかし、狂を孕んだ鬱屈した詩人の暗い内面を表現
する演技は秀逸。

ルト様の役は、まるで某都知事みたいな超保守の国会議員で、反アパルトヘイトの書物検閲・
主義者弾圧という立場にあるから、思想的に正反対の親子の葛藤には決着が付かない。

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孤独な心が求めるものが激しすぎるため、付き合う人間を辟易させて、それが人間関係の破局に
繋がる。求めれば求めるほど、欲しいものが遠のいていってしまうというジレンマ。精神の振幅が
激しすぎる詩人の悲劇的生涯であった。

彼女の詩が有名になったのは、1994年に南アフリカで初めて民主主義的選挙によって大統領に
なったネルソン・マンデーラが国会開会でのスピーチで朗読したThe child is not deadによる。
彼女の死後ほぼ30年後、彼女の詩が(政治的に)認知されたのだった。

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イングリッド・ヨンカーが実際に思索および詩作に用いた言語はアフリカーンス語だった。このところ
新聞などでオランダ語との対訳を見る機会が多い。アフリカーンス語は、ほぼオランダ語に近いので
読めばほとんどストレートにわかる。
マンデーラが朗読した詩は英訳だし、映画に登場した多くの詩も全て英訳だが、予想以上に秀逸で、
リズムに躍動感があり、韻も踏みつつ、叙情性を残してしかもインパクトがあって、いずれも魅力的
だった。

しかし、映画自体は、全体としてどうもあまり上手く出来ていないのだった。カリスちゃんとルト様を
見たいという目的がない人には、訴えてくるものが少ないだろう。なんで今頃、反アパルトヘイトの
女流詩人のデスパレートな人生を映画化したのか。グウィニス・パルトロウとダニエル・クレイグという
美しく演技も達者な役者のおかげでなんとかもった映画『シルヴィア』と似ている。
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by didoregina | 2011-04-13 10:47 | 映画 | Comments(4)

春の新作バッグと楓

楓の木が好きなので、庭に異なる5種の木を植えてある。葉の形と色は実に様々だ。

前庭に植えて傘の形にこんもりと剪定してある楓は、毎年わたしの誕生日の頃に芽を吹く。
開くとカナダの国旗のように立派な葉っぱは、まだ開きはじめ。
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      開く前の葉はタラの芽みたいでつややかでおいしそう。


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      日本でよく見かけるいわゆる楓の木が、裏庭に大きく育った。 
      春から初夏にかけては、透き通るようにみずみずしい緑色。
      夏は茂った葉がふんわりと揺れる様が涼しげで、
      秋になると燃え立つような紅葉に。



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      大きな楓の根元にひっそりと植えられたこの楓は
      葉っぱが菊の花のように細くて、春からずっとこの色。


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      様々のグリーンのグラデーションの皮紐を織った素材に 
      モス・グリーンのマチとファスナー。持ち手は黒塗りの
      バンブーで、和洋兼用になる手作り新作バッグ。
      名前は『メープル』にキマリ!

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      小さなバッグが好きなわたしにしては、かなり大きめ。
      ノート・パソコンが入りそう。仕事用に丁度いい。
      ちょっと寂しいので、赤の皮でコサージュを作成中。


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      透き通るような黄色の葉っぱは、秋になると錆び茶に。


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      葉の切れ目が短くて、開くと手鞠みたいな丸い形で愛らしいのだが、
      まだ開ききっていない。色鮮やかな若草色の葉っぱ。


c0188818_392225.jpg

      スキン写真にも使ったこの桜桃の木は、恐ろしいほど沢山の
      花をつけている。この花が全部さくらんぼになると。。。
      でも、木が大きすぎて、登るのは危険だから、下の方の実
      しか採れない。今年は、例年よりも開花が2週間近く早い。
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by didoregina | 2011-04-10 20:14 | バッグ | Comments(0)

『オルフェオとエウリディーチェ』野外公演はイロモノ?

ユトレヒト郊外にあるスストダイク城(パレス)で6月3日から7月23日まで10回にわたって
オペラの野外公演が行われる。
グルックの『オルフェオとエウリディーチェ』だ。

c0188818_462026.jpg


舞台を提供するスストダイクは、1650年に当時のアムステルダム市長が建て、1673年には
オラニエ公ウィレム3世の狩猟のための城館になった。その後も長いこと王家の持ち城で、
2004年まで先女王ユリアナとベルナルド殿下がお住まいになっていた、立派なお城である。

c0188818_453062.jpg

     オルフェオ役の歌手が、冷たい池の水に浸かって予行練習。
     大変だ。こんなんで声が出るんだろうか。

お城の庭と池を文字通り舞台にして、夏の夜上演されるオペラだ。客席は池の上に設置され、
歌手は池の水の中でも歌ったりする。野外だから馬も登場するようなスペクタクル仕立ての
かなりイロモノっぽい感じのプロダクションだ。銀行からオファーが来たが、そういう上演なので
お値段もミュージカル並みに高いから行くつもりはない。

サイトを見ると、エキストラ出演者の募集をしていた。
30~45歳の男性3人、60歳の男性1人、20~30歳の女性数名、7,10,13,15歳の
少女(注:水泳ディプロマB保持のこと)、35歳女性と40歳男性の乗馬が出来る人(持ち馬が
あればなお結構)、という条件なので、全くわたしに当てはまるものがない。

このオペラでエウリディーチェ役を歌うのは、あのステファニー・トゥルーである。
(2月に教会でトリオ・ルスチニアの演奏を聴いた)
癖のない澄んだ声がわたし好みのソプラノなので、陰ながら応援している。

先日、ステファニーちゃんは、ロンドンのヘンデル・シンギング・コンペティション(HSC)で、
優勝を勝ち取った。おめでとう!素晴らしい!

マイケル・チャンスも審査員に名を連ねているこのコンクールの過去入賞者リストには、知った
名がちらほらと見える。2002年にはルーシー・クロウがファイナルに、2004年にはイエスティン・
デイヴィスが2位、2005年にはティム・ミードが2位となっているではないか。そして2011年は
ステファニーちゃんが堂々1位。ヘンデルのカンタータCDをすでに2枚出しているんだから、まあ
並みの新人ではない、将来が嘱望される若手実力派なのだ。



      Have you seen but a bright lily grow?
      ベンジャミン・ジョンソン作詞 ロバート・ジョンソン作曲 (1616年)

Have you seen but a bright lily grow
Before rude hands have touched it?
Have you marked but the fall of snow
Before the soil hath smutched it?
Have you felt the wool of beaver,
Or swan's down ever?
Or have smelt o' the bud o' the brier,
Or the nard in the fire?
Or have tasted the bag of the bee?
O so white, O so soft, O so sweet is she!

Benjamin Jonson


ステファニーちゃんはカナダ人だが、デン・ハーグで学んで、今も多分住んでいる。
前回、本人を至近距離で見たときには、ヨハネット・ゾマーに似ているなあ、と思ったのだが、
この動画ではどうも別の誰かに似ているような。。。よくよく考えたら、ポーラ・アブドゥルに
似てるんだと気が付いた。

夏とはいえ、オランダの天候は不順だから、池の湿気で喉や体を壊さなければいいが、と
今から心配している。そして、この野外オペラで根性を見せ、それを踏み台にして階段を上り、
ちゃんとしたオペラ舞台に立ってくれる日を待っている。
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by didoregina | 2011-04-09 21:49 | オペラ実演 | Comments(4)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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