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ニキ・ド・サン・ファールの回顧展 Outside In

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Niki de Saint Phalle (1930 - 2002)の
没後初めての大々的回顧展だそうだ。
ヘーレンのグラス・パレス・シュンクで
2月26日から6月19日まで開催されている
展覧会の初日に行ってきた。


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ニキ・ド・サン・ファールというと思い浮かぶのは、ナナと名づけたカラフルな張りぼての太った
女性像シリーズなので、あっけらかんと楽天的なかっこいい美人アーチスト、というイメージ
だった。

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       モザイクを表面に施したり、原色を塗り分けた母性的な体の
       女性像が、彼女のトレードマーク。


しかし、50年代から晩年までの彼女の芸術家としての軌跡を追っていく展示物は、予想外に
ヴァラエティに富んでいた。

年代順というよりジャンル別・テーマ別の展示方法だったので、最初に観ていったのは、90年代
以降の、カリフォルニアの明るい日が差してくるようなポップなグラフィックの数々だった。
エッチングに彩色を施したものや、色つきペン画と文字の日記や手紙風のそれら作品は、健康的な
女の子らしさに溢れて、かわいらしさ抜群で断然気に入った。今見ても全然古くない。

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           屈託がなくてポップでかわいいグラフィック作品。


タロットをテーマにしたパークに置かれているファンタジー溢れる巨大なモンスターたちも、禍々しさが
なくて、憎めないようなかわいらしさが溢れている。
そして、カラフルなナナたち。

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         2種類あるポスターのうち、これは『ブラック・イズ・ディッファレント』
         という、ダイアリー風の文字と絵で綴ったグラフィック作品に描かれた
         黒人女性。カリフォルニアのビーチで見かけた美しいナナ的体型の
         黒人女性へのオマージュ。ブラック・イズ・ビューティフルを標榜した
         60年代のベタな政治的風潮に対する、芸術家からのアンチ・テーゼだ。


しかし、初期の作品は、驚くほど暗くて病的だ。レースや石や廃物をコラージュして石膏で
固めた半立体の祭壇画などの作品からは、薄汚れたような白色から、どこか恨みがましい匂いが
発散されている。

明るく健康的な指向に変化したのには、結婚や新しいアーチストとの出会いなどとも別に何か
きっかけがあったのだろうか。

それを解く鍵は、映画にあった。
『ダディ』という、私小説的なしかしシュール・リアリズムの手法で作られた映画には、最初に
「この映画は、わたしの想像力の産物で、登場人物は実在の人物とは全く関係ありません」と
おことわりが入るが、自身も登場する映画には、ある程度実際の出来事が描かれているだろう、と
誰でも想像してしまう。
エキセントリックなフランス人貴族の父とアメリカ人の母との倒錯的な葛藤、父に強要されたインセ
スト的関係、成人後に遂げる年老いた父へのサディスティックな復讐など、これはフィクションだ、と
断れば断るほど、実際にあったことおよびその欲望の表現だろうな、と思わせる。
ゆがんだ親子関係を清算し、トラウマという呪縛から開放された後、新生した女性アーチストが、
理想の女性像を表現して生まれたのがナナではなかろうか。

シューティング・ペイントなど、ハプニング的アートも、ホンという巨大な張りぼて女性像のインスタ
レーションもいかにも60年代らしい。

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         ホンの実物は展示されていないが、設計図や写真、
         製作過程のヴィデオが見られる。


一回チケットを買うと、会期中は何度でも入場できるというシステムなので、また見に行きたい。

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by didoregina | 2011-02-27 20:37 | 美術 | Comments(0)

急告:Fred Luitenの2012年シーズン・バロック・コンサート

毎度お騒がせ呼び屋さんフレッド・ルイテンから、来シーズンのお知らせDMが届いた。

表紙にショッキンブ・ピンクで書かれた名前にドッキリ。なんと、デュモー選手ではないか!
(グラフィック・デザイナーの従兄弟の子によると、ロゴやタイポグラフィーに赤とかオレンジとか
ショッキング・ピンクを多用するのが、ダッチ・デザインの特徴だそうだ。長男の大学の教科書も
実際そうなのでびっくりしていた)

そしてその上に黒字で書かれた名前は、PJ様!

来年2月と3月のコンセルトヘボウでの日曜マチネ・コンサートだ。PJ様は、アムステルダムには
よくいらっしゃるが、いつも平日夜なので、一度もコンサートには行ったことがない。
それが、来年はわたしのため(?)に、日曜昼からの登場だ!なんと、うれしいこと。

1. Zondagmiddag 19 februari 2012: 14.15 uur, Concertgebouw Grote Zaal

FREIBURGER BAROCKORCHESTER [leiding: Petra Müllejans]
Philippe Jaroussky - countertenor

Onder voorbehoud: aria's uit opera's van G.F. Händel
G.F. HÄNDEL: 'Agitato da fiere tempeste' uit het Pasticcio Oreste (HWV A 11)
G.F. HÄNDEL: 'Ho perso il caro ben' uit de Serenade Il Parnasso in festa (HWV 73)
G.F. HÄNDEL: 'Se potessero i sospiri miei' uit de opera Imeneo (HWV 41)
G.F. HÄNDEL: 'Con lali di costanza'' uit de opera Ariodante (HWV 33)
G.F. HÄNDEL: 'L'angue offeso mai riposa' uit de opera Giulio Cesare in Egitto (HWV 17)
G.F. HÄNDEL: 'Mi lusinga il dolce affetto' uit de opera Alcina (HWV 34)
G.F. HÄNDEL: 'Ombra cara' uit de opera Radamisto (HWV 12)
G.F. HÄNDEL: 'Come nubbe che fugge dal vento' uit de opera Agrippina (HWV 6)

暫定プログラムではあるが、ヘンデルのオペラ・アリアをPJ様が歌ってくれる、すごいプログラムだ。
器楽演奏は、フライブルク・バロック・オーケストラである。


3月は、デュモー選手の登場だ。
先月のサラ様ダイドーと同様、ムジカ・アンフィオンの器楽演奏とコレギウム・ヴォカーレ・ゲントが
コーラスでサポート。その他のソリストは未定とのこと。

2. Zondagmiddag 18 maart 2012: 14.15 uur, Concertgebouw Grote Zaal

MUSICA AMPHION [leiding: Pieter-Jan Belder] en COLLEGIUM VOCALE GENT
Christophe Dumaux - countertenor
Overige solisten worden nader bekend gemaakt

A. VIVALDI: Gloria (in D, RV 589)
G.F. HÄNDEL: Dixit Dominus (HWV 232)
A. VIVALDI: Nisi Dominus (RV 608)
G.F. HÄNDEL: Concerto grosso op. 6 nr. 2 (HWV 320)

ばら売りチケット販売開始は7月1日からだが、今からフレッド・ルイテンにセット・チケットを先行
予約できる。
1と2のコンサート両方セットで129ユーロと、ばら売りより13%お得だそうだ。

そして、DMの下方にPSとして、追加コンサートのお知らせが載っていた。
今シーズンの終わり頃、2011年6月26日(日)にコンセルトヘボウで、デュモー選手がソプラノ
歌手と組んで歌う、ペルゴレーシの『スターバト・マーテル』コンサートが急遽決定したのだ。
器楽演奏は、ムジカ・アンフィオンで、前半のプログラムはヴィヴァルディの『四季』(えっ、
また。。。)
おお、デュモー選手が、今年もまた、日曜昼に歌ってくださるのが、うれしい。
コンセルトヘボウのサイトからチケット購入できる。当然ながら、まだまだいい席が沢山残ってる。
だれか、いっしょに行きたい方は手を上げて。
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by didoregina | 2011-02-26 18:00 | コンサート | Comments(6)

The King's Speech 雑感あれこれ

c0188818_6412937.jpg2010年
Directed by Tom Hooper
Written by David Seidler
Starring Colin Firth
Geoffrey Rush
Helena Bonham Carter
Guy Pearce
Timothy Spall
Derek Jacobi
Jennifer Ehle
Michael Gambon
Music by Alexandre Desplat
Cinematography Danny Cohen




わたしたちと同世代俳優であり主婦のアイドルでもあるコリン・ファースが、この映画でアカデミー
主演男優賞を取ることは間違いない。
彼だけではない、上手い俳優をここまでよく揃えたものだと感心する。

現女王の父親であり前国王のドモリ克服の様子を映画化したものだが、日本で同様の映画が
作られるとは考えにくい。あまりに恐れ多い。
しかし、これは、20世紀の激動の歴史を背景に、第二次大戦前夜のイギリスの国威高揚への
過程がそのまま映画のクライマックスになっているので、なかなかに手に汗握る展開で、最後は
お約束のフィール・グッドで終わる。
地味と言えば地味なテーマを大作に仕上げた感心できる出来で、文句のつけようがない。

作風と上品な盛り上げ方が、『炎のランナー』そっくりである。あちらは、前世紀初頭のパリ・
オリンピックがクライマックスだった。国威高揚の仕方は同じだ。
違いは、『キングズ・スピーチ』には、後世に残るようなキャッチーなメロディーのテーマ曲が
ない、ということだ。いい音楽なのに耳に残らない。なんで、ヴァンゲリスか坂本龍一に作曲
依頼しなかったのだ。
最近の一般的風潮だが、映画のサントラがなおざりにされているのはよくない。

もうひとつ、ちょっとあれはどうも、と思えたのは、ダイアナ元妃の事故死をめぐるエリザベス
女王の苦悩(?)を描いた映画『ザ・クィーン』の場合と同様、主人公の身近にいる高位の
人物がかなりコケにされてることだ。
前回の映画ではエディンバラ公フィリップ殿下が器量の狭い俗物として描かれていたが、
今回はウォリス・シンプソンが奸婦で、元国王エドワード8世は遊び人で浪費家で自己本位で
責任感が希薄という痛烈なものだ。

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主人公のドモリの原因が、幼児期のトラウマにある、というのは、なかなかに説得力がある。
セラピストのオーストラリア人を演じる役者が上手い。『奇跡の人』ヘレン・ケラーのサリバン先生、
『王様とわたし』の家庭教師アナみたいな存在のセラピストが主人公でもよかったかもしれない。

国王妃・エリザベス母后役にヘレナ・ボーナム=カーターというのは、ちょっと葉すっぱすぎないか、
と観る前は思ったのだが、年齢不詳のかわいらしさと少し庶民的なところが、先母后の愛すべき
人柄にどんぴしゃはまっていた。
セラピストの妻役がジェニファー・イーリーというのも、にやりとさせる配役だ。でも、彼女ちょっと
年取って、顔がメリル・ストリープそっくりになってしまった。。。。
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by didoregina | 2011-02-23 23:09 | 映画 | Comments(22)

ベズイデンホウトもしくはベゼイデンホウトもしくはビザウデンホウト

テディベアみたいでキュートだったベズイデンホウト(いろんな読み方があるが、これにしておく)の
貴公子への変貌はかなり衝撃的だ。
ユーチューブで、去年の彼のオランダでの活躍を追ってみると、イメチェンは徐々に進んでいたことが
判明した。
性格温厚、折り目正しく、物腰もエレガントな彼の話し方と声に惚れてしまったので、激ヤセの過程
および顔芸とともに、インタビューでの彼の声にも注目してもらいたいと思う。

まず、6月のホランド・フェスティヴァルでのマスター・クラスの様子を見ていただこう。↓



体型はかなりスリムになっているが、顔はまだまだ使用前。
他人が弾いているときでも、顔芸が出るのが特徴。


夏のコンセルトヘボウのロベコ・コンサート・シリーズ(7,8月)に際してのインタビュー。↓



家系のルーツについても語っている。最後に自分で名前を言うのと聴くと「ビザウデンホウト」
が正しいようだ。


12月には、マーク・パドモアと一緒に登場。↓



伴奏の手の大写しはあっても、顔芸があまり撮れていない。しかし、この時点で顔は痩せ、眼鏡を
外し、ヘア・メイクも大変身を遂げている。


その時のインタビュー。↓



半年ででここまで外見が変わったのだ。
しかし、真摯なしゃべり方と声は変わっていない。ピアノとしゃべりの入ったCDを出したらどうだろう、
と思えるほど、うっとりするほど美しい話し声だ。

それから2ヵ月後の現在、ヨーヨー現象の兆しは見えていない。ご同慶の至り。
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by didoregina | 2011-02-21 23:00 | コンサート | Comments(6)

ベズイデンホウトのモーツァルト・リサイタル

クリスティアン・ベズイデンホウトがモーツァルトをフォルテ・ピアノで弾くリサイタルに行ってきた。
家から40分ほどの距離にあるベルギーのハッセルトのカルチャー・センター・ホールである。
ここのコンサート・ホールは、温度も空間の使い方も雰囲気も妙に寒々しく、80年代に建ったと
おぼしい官製の複合文化施設の成れの果てと言う感じで、音楽を楽しむには全く不向きの場所
である。まるで冷戦時代に東欧の共産党シンパの建築家が設計したみたいなホールだ。(工科
大学で建築を学ぶ長男もこれには全く同意見だった。。。)
しかし、値段だけは安い。なんでも最高19ユーロという設定で、20ユーロ以上のクラシック・
コンサートは皆無である。国もしくは市町村からの補助金が潤沢なようだ。しかし、客席は気の
毒になるほど埋まっていない。全く、よその国ながら、こんなに官費の無駄使いをしていいのか、
と義憤の煮えたぎる思いだ。(<-うそ。この値段に感謝こそすれ、恨み・苦言はまったくない)

Kristian Bezuidenhout 2011年2月20日@Concertzaal Cultuurcentrum Haselt
c0188818_4481675.jpgWolfgang Amadeus Mozart (1756 - 1791)
Sonata in F, KV 332 (1778)
Acht Variationen uber "Ein Weib ist das herrlichste Ding" KV 613 (1791)

pauze

Fantasie in c, KV 396 (1782)
(fragment: arrangement en voltooid voor piano door Mazimilian Stadler)
Sonata in Bes, KV 333 (1778)

encore
Andante Cantabile uit Sonata in C KV 330
        
 公式近影(使用前)

前回のハッセルトでのコンサートでは、ケルメス姐にふられている。
今回、ピアニストが舞台に登場したとたん、「ありゃ~、別のピアニストだ。またキャンセルか」
と思ってしまった。すなわち、まるでニコライ・ルガンスキーばりの貴公子然とした若いピアニストが
歩いてきたからだ。

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           ピアニスト近影(使用後)

しかし、これが、エキストリーム・メイクオーヴァー後のベズイデンホウトその人なのだった。
プログラム・ブックにも公式サイトにも載っている上の写真(使用前)と、最近の下の写真(使用後)
を見比べてみて欲しい。
同一人物だと思えるだろうか?息が止まり、同行の友人と顔と見合わせてしまった。

かぶりつき席正面というのは、音の小さいフォルテ・ピアノのコンサートの場合、いい選択だ。
特にここのホールは、舞台の高さが膝ほどしかないため、音が頭の上を通り過ぎたりしないし、
フォルテ・ピアノは小さいから目線がほぼ鍵盤に近い。後ろの席だったら、音が拡散して届かないかも
しれない。

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           1800年頃のウィーンのローゼンベルガー製。
           エドウィン・ブウンクのコレクション。


このフォルテ・ピアノには見覚えがある。2年前にヘーレンで聴いたロナルド・ブラウティハムによるハイドン・
リサイタルでも使用されたものと同一だと思う。(プログラム・ブックにはなぜか楽器の説明が全くなかった
ので、終演後にベズイデンホウト本人に訊いて確かめた)
時代的にはハイドンにぴったり、モーツァルトよりはちょっと若く、歴史的価値はある楽器だが、どうも
それほどわたし好みの音色がでない。いまひとつだけ、ふくよかさに欠けるのだ。
特に、前半のプログラムでは、耳が慣れていないせいか、曲に入り込めないような、白々しさを感じた。

ベズイデンホウトの顔芸は、男性ピアニストにしては、なかなかに細やかなニュアンスがあった。
フォルテ・ピアノという楽器自体が、現代の男性ピアニストには向いていないような気がする.
基本的に女性のための楽器に思えるのだ。しかし、激ヤセしたベズイデンホウトには、このエレガントな
楽器はなかなかビジュアル的に似合う。

しかし、楽器の音色が音楽とマッチして、思いがけない優美さを生んだのは、休憩の後からだった。
いずれもモーツァルトのピアノ曲では、1,2を争う名曲だと思う好きな曲である。
前半の、どこかとげとげしいようなきんきんした音とは打って変わって、滑らかで艶のある音色に
変化した。
ホロヴィッツの弾く、幼児性と飄々した魔性が混在した音に耳が馴染んでいる曲であるが、ベズイデン
ホウトのフォルテ・ピアノで聴いても違和感を感じない。それまでは封印されていた楽器の可能性が
ここにきて解き放たれたかのようで、音色にも強弱にも幅が広がった自在な演奏である。

ベズイデンホウト(日本語での表記はこれが標準のようだ)は、オランダ系の名前だ。
南アフリカの白人は、英国系とオランダ系に分かれ、オランダ系南アフリカ人は訛のきついオランダ語
みたいなアフリカーンス語をしゃべる。しかし、ベズイデンホウトは、きれいな英語でアンコール曲の
説明をした。ベルギーのハッセルトはオランダ語圏だから、アフリカーンス語を母国語とするなら、
オランダ語に近いアフリカーンス語で話しただろうから、彼は英語を母国語として育ったようだ。

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          終演後、私服に着替えたピアニストから
          今回使用のフォルテ・ピアノについて教えてもらった。
          モーツァルトよりは少し若いが、ウィーン製の
          オリジナルで素晴らしい楽器であること、
          鍵盤は5オクターブ半で、膝で操作するフォルテと
          モデラーターの2つのペダル(のようなもの)が
          あることなど。

R「客の入りがあまりよくないのが、かなり残念です」
B「そうですね、日曜の午後と言うことは差し引いても」と、紳士的に控えめだが、無念そう。

R「フォアイエで販売しているCDは4種類ありましたが、今日演奏した曲は収められていませんね」
B「今日のプログラムは、次に発売予定のCDには入ります」
  なるほど、やっぱり新譜CDプロモーションの意味合いもあったのだ。

R「あなたの弾くロンドが好きなので、アンコール曲にはひそかに期待してたんですが」
B「そうですか、それなら、次回には検討してみます。アンコール曲にしては長いのですが」

舞台から降りてきて、写真も沢山撮らせてくれた。私服に着替えた彼は、ますますやせて見える。

ピアニストに礼を言った後、フォルテ・ピアノを片付けている調律師に「彼、激やせしたんじゃありま
せんか」と、オランダ語で話しかけてみた。この調律師は、3週間前にリンブリヒトで行われたトリオ・
ルスチニアのコンサートにも調律に来ていた。ベズイデンホウトの言うには、楽器の持ち主エドウィン・
ブウンクが派遣した人とのこと。
調律師「50キロ位やせたんじゃないかと思う。以前の彼から比べると」
R「控えめに見積もっても10キロはやせたという印象ですが、そんなに?」
調律師「やせすぎじゃないかな。これ以上やせたら危険というか」
R「そうですよね。激やせですよね」
ベズイデンホウトにオランダ語はわからないだろうという前提で、噂話に興じたのであった。

舞台では、今までのトレード・マークだった老眼鏡のような小さな眼鏡も外していたが、コートを着て
キャスター付きの小さなスーツ・ケースを引いて帰って行く彼とすれ違った時には、大きな黒ぶちで
トレンディーな眼鏡をかけていた。
やせてイメチェンしてヴィジュアル系路線を行くのはいいことだ、と思う。フォルテ・ピアノの貴公子、
なんてキャッチ・フレーズで売っていったらいいのではないか。だって、1979年生まれの、まだまだ
若いピアニストなんだから。フォルテ・ピアノ界は、モダン・ピアノほどピアニスト人口過剰の激戦区では
ないから、この調子でがんばってもらいたいものだ。
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by didoregina | 2011-02-20 22:26 | コンサート | Comments(10)

リフォームで冬物一掃作戦

帽子の師匠Pは、新兵器の皮革縫製ミシンを入手した。
彼女のところでは、帽子ばかり作っているわけではない。パンチング・ミシンもあるし、
染色もできるし、造花コサージュや羊毛綿からフエルト作成など、守備範囲は広い。

4年前に作ったグリーンの帽子をリフォームすることにした。グリーンと黒のリバーシブルの
帽体から作ったシンプルなフォルムの帽子を、裏返して、全然違う木型で成型しなおし、
別の帽子に作り変えた。

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        黒を表にして、グリーンはブリムの下からと
        折り返した縁取りのみにのぞかせる。
        ちょっとスペイン風のデザイン。名前は、まだない。

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        クラウンとブリムは別々の木型で成型し、縫い合わせた。
        実は、ブリムはグリーンを表にするはずだったが、                       成型の時点で裏表を間違えてしまった。。。でも
        黒がメインで被りやすい帽子に出来上がった。
   

着物用サブバッグもリバーシブルで作った。道行や道中着などをたたんで入れるため。

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        草木染の紬の反物で、母が洋服のスーツを誂えた、
        その残り布を利用。帯芯を中に入れて丈夫に。
        皮の手提げ部分は手持ちのものを利用。
        バッグに鳩目を開けて、開閉できる金具で留める。

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        裏返しても使える。プレゼントのラッピングとして頂いた
        源氏車模様の手ぬぐいを利用。携帯を入れるための
        ポケットをつけた。


十年以上前に買った、ラルトラ・モーダのバッグは、皮の手提げ部分が少し切れて、ここ数年
しまったままだった。
栗色カーフのシンプルなトート型で、他に傷みは全くないので、デザインも一新してリフォーム。

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        両脇のマチ部分に爬虫類プリントのレザーをつけて、
        ちょっとワイルドに。もともとの皮と芯と裏布とがけっこう
        地厚なので、皮革用ミシンでないと縫えない。
        切れたショルダー部分は、短くして、丸い金具で留めた。
        この金具は、穴を開けた皮に突き刺す方式なので、
        ベルトのように、長さを調節できる。

このバッグにマッチする色合いのロングのダウン・コートも持っているが、ここ数年着ていない。
7,8年前に流行ったパープルの裏地が、襟から見えるからだ。やはり、この際リフォームだ。
パープル部分を隠すためにファーの襟(新品)を付けた。毛足が長くふわふわで暖かい。
チンチラか?

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        ファーの襟はとても暖かく、教会でのコンサートに重宝した。
        コートのシルエットが年々スリムになっている。このままだと、
        ちょっと古臭いので、シルエットを変えるべく、皮とゴムで幅広
        ベルトを作成中。

傷みはないがデザインがちょっと古くなり、そのまま身につけるにはどうも、しかし捨てられない、
という手持ちのものを再利用するリフォームは、楽しく、まさに趣味と実益が一致。
    

        



        
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by didoregina | 2011-02-16 10:33 | 帽子 | Comments(6)

マドリッド王立劇場の『ドン・ジョヴァンニ』

c0188818_591497.jpgCarlos Álvarez Don Giovanni
Alfred Reiter Commendatore
Maria Bayo Donna Anna
José Bros Don Ottavio
Sonia Ganassi Donna Elvira
Lorenzo Regazzo Leporello
José Antonio López Masetto
Maria José Moreno Zerlina
Chorus of the Teatro Real
Mise en scène Lluis Pasqual
Chorégraphie Nuria Castejón
Orchestre Orchestra of the Teatro Real
Chef d'orchestre Victor Pablo Pérez


Bravaで放映するオペラを作曲家別に見たら、モーツァルトのがダントツだろう。
毎日何かしらやっている、と言っても過言ではあるまい。
その中で、マイナーだが光る作品とプロダクションという点では、ザルツブルク2006が筆頭で
わたし好みである。
ダ・ポンテ3部作なら、DNOやRHOやグラインドボーンのプロダクションをよく放映している。
しかし、それらに口をさし挟むほどのこともないような気がして、ブログ記事にはしていない。
この『ドン・ジョヴァンニ』は、マドリッド王立劇場で2005年に上演されたもので、マリア・バーヨが
ドンナ・アンナ役というのに興味を覚え、見てみようと思った。

ドン・ジョヴァンニとレポレッロは、金満家とその運転手という感じで、映画『麗しのサブリナ』に
出てくるような車に乗って登場する。女性の服装から察するに、時代設定は1940年代らしい。
マンテーリャを被っていたりするドンナ・アンナであるから、舞台は正真正銘スペインである。
もともとの設定もスペインだし、歌手もスペイン人が多いし、劇場はスペインだし、妥当であるが、
時代以外は読み替えがほとんどないのが、かえって珍しい気がする。

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       虚飾の権力を誇示する、なぞのドン・ジョヴァンニ

しかし、マリア・バーヨにドンナ・アンナを歌わせる、というのがちょっと不思議な気もする。
老け顔でちょっとさびしい顔立ちの彼女だから、ヴィジュアル的にはドンナ・アンナでも無理がないが、
甘くて可愛い声だから、えっ、ちょっとこれは、と少々引けてしまう。
年齢不詳だけど、声は軽く甘く若々しいので、ぴったり合った役柄がなかなかない、というのは
マリア・バーヨの背負った宿命だ。声質に合った若い娘役だと、顔が老けてるのでカマトトぶって
見えてしまう。
『セヴィリアの理髪師』のロジーナ役なんて、歌は上手いし声だけならぴったりなのに、地味で
老けた顔がちぐはぐで、フローリス演じるアルマヴィーヴァ伯爵とはヴィジュアル的に似合いでない
カップルだった。
今回のドンナ・アンナは、こういう人選もありかも、と納得することも出来るが、ツェルリーナ役の
モレーノと声が似すぎている。バーヨの声質だったら、実際ツェルリーナのほうが向いているのだ。
しかし、ルックスおよび演技では、高貴なドンナ・アンナらしさは出ていた。

ドン・ジョヴァンニというのは得体の知れない人物である。だから、さまざまな演出が可能になる
わけだが。カルロス・アルヴァレスは、なかなかにいやらしい中年の好色さを強調した役作りで、
今回の設定にはよくあっていた。セクシーでは全くなく、金力となにやら暗そうな権力を持ってる
なぞの男である。

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       騎士長の亡霊がドン・ジョヴァンニを地獄に連れ去る。

最後に種明かしがされた。
悪いやつは地獄に堕ちるのだ、悪事にしっぺ返しは付きもの、因果応報、とコーラスで歌うフィナー
レのバックにはフランコとファシズム台頭のフイルムが流れる。
フランコ独裁政権は、ナチやムッソリーニとは異なり、戦後も命脈を保った。スペインの暗い時代は
長く続いたのだ。
自由の足音を聞く喜びを歌い上げるフィナーレとは裏腹に、そのフイルムを回すのは、地獄に堕ちた
はずのドン・ジョヴァンニであった。暗黒の時代に色と権勢を誇った小悪党のドン・ジョヴァンニは、
やはり、闇の商人的な才覚のある男だったのだ。
これで、妙に大衆操作に長けたドン・ジョヴァンニのキャラクターのなぞが解けた。
仮面舞踏会や移動遊園地などのきらびやかな場面でも、どこか陰鬱な雰囲気が漂ったのも納得。
自由が抑圧された、それほど遠い昔ではない時代の話だったのだ。

戦後フランコ独裁の時代に育ったというスペイン人に出会ったことを思い出した。
カトリックの彼らは、日曜日には教会に行くことが厳しく義務付けられていたから、教会嫌いになり、
フランコが去り、信教が自由になって、教会の隣に住んでいても、自分から教会に行く気はしないと
言っていた。
信仰すら強制されたので、反発心がたまったのだ。
そういえば、スペインの警察管轄はいまだに複雑だ。
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by didoregina | 2011-02-14 22:36 | オペラ映像 | Comments(2)

B'ROCK with love from Haendel & Vivaldi

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B'ROCK + Gemma Bertagnolli (sopraan) + Rodolfo Richter (vioolsolo)
@ Cultuurcentrum Hasselt 2011年2月8日

G.F. Haendel Ouverture Lotario HWV 26
A. Vivaldi Lente uit "De Vier Seizoenen"
A. Vivaldi Zomer uit "De Vier Seizoenen"
G.F. Haendel Aria Lotario: Scherza in mar nacivella

pauze

A. Vivaldi Herfst uit "De Vier Seizoenen"
A. Vivaldi Winter uit "De Vier Seizoenen"
A. Vivaldi Motet in furore RV 626

はい、やってくれました、ケルメス姐、キャンセルです。声帯に負担がかかりすぎて、現在
歌えないから、という理由だそう。なんか、怪しい気がする。もともと、彼女のサイトには
この日のスケジュールが明示されていなかったんだから。来週、ライデンにもブリュッセル
にも来ないんだろうか、と問いただしたい。
彼女のナマの声を聴きたい、ステージ・パフォーマンスを見たい一心で出かけたのに。。。
代わりに、イタリア人ソプラノのジェンマ・ベルタニョッリが見事な声を披露してくれた。

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             ジェンマ姐さん

アリアやモテットを除くと、ヴィヴァルディの『四季』なんて、わざわざ聴きに行きたいとは
思わないつまらないプログラムだ。
器楽演奏は、ベルギーの若手バロック・アンサンブルB’ROCK(ビーロック)。
しかし、若い演奏家の集まりの割には、羽目を外したような、若さが躍動するような、そういう
音では全くなかった。これは意外で、ちょっとがっかり。
コンマスでソロ・ヴァイオリンのルドルフ・リヒターが、ぐいぐい引っ張っていくタイプでは
なく、のっそりとしてリズムの切れが悪いのが最大の欠点だと思う。だから、『春』と『夏』
なんて、「春の海、ひねもすのたり、のたりかな」という感じで、これでヴィヴァルディか、
と思えるほど、熱さが感じられない。もったり、のっさりであった。
ただし、弱音のアンサンブルの美しさは特筆すべきだ。特に、『秋』と『冬』にその美しさの
魅力が発揮されていた。
木々の葉のそよぎがざわめきとなり、木の間から聞こえてくる鳥の声といっしょになり森の
冷気に包まれている気分になる。アンサンブルが自然なサラウンド効果を作り上げたのには脱帽。

ジェンマ姐さんは、ケルメス姐の物真似選手権みたいなのがあるとしたら、きっと優勝して、
イタリア代表に選ばれるだろう。まず、声質がそっくり。
前半最後のヘンデルの曲は、一度ケルメス姐の動画を見たことがあるように思うが、その
イメージにかなり近い。エキセントリックで、ケレンミたっぷり、アジリダで挑発するが、
ドスは抑え目、という微妙なパフォーマンスだった。
この人は、ケルメス姐に負けないという自信を持って歌ってる、という感じがひしひしと伝
わった。

彼女の歌唱の特色がよく出てる動画を張ってみる。ヴィヴァルディである。



しかし、ジェンマ姐というのは、全く意識したことがない名前だったが、家に戻るとちゃんと
彼女のCDを持ってることを発見した。サラ・ミンガルドと一緒にペルゴレーシとスカルラッ
ティの『スターバト・マーテル』を歌っているではないか。(Naiveから出ているアレッサン
ドリーニ指揮のやつ)
上記宗教曲では、ステージの印象とは全く異なる、抑えたおとなしい歌唱だ。
ところが、コンサートのプログラム後半のヴィヴァルディのモテットもイエスを讃える宗教曲
だが、アレルヤ、アレルヤで終わるもので、嵐のような激しさが売りだ。
エネルギーが爆発して、まるで怒っているかのように聞こえる不思議な曲だ。この曲をジェンマ
姐は、完璧なコントロールで歌いきった。

歌う曲によって様々な表情を見せ聞かせてくれるジェンマ姐の、もう一つの面を紹介したい。


           アーンの『クローリスに』

ハッセルトに向かって高速で車を走らせている途中、ラジオでかかった曲が『クローリスに』
だった。男声とも女声とも聞こえる不思議な声で、いったい誰が歌ってるんだろうか、と
聞き耳をすましたのだが、ベルギーの道路は舗装が悪いので、よくわからない。歌手の名前も
聞き取れなかった。
そして、この動画を見つけて、もしや、彼女の歌だったのでは、と思えるのだ。偶然にしては
出来すぎているが。
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by didoregina | 2011-02-09 10:02 | コンサート | Comments(10)

Trio Luscinia

サラ様ディド@コンセルトヘボウの代替案は、いくつかあった。
手近なところで、ヘーレンの市民会館のネゼ=セガン指揮ロッテルダム・フィルによるベートーベン
交響曲4番と5番(!)もしくは、リンブリヒトの小さな教会での古楽コンサート。
9割方、後者に行こうと決めていた。ところが、先週また、Bravaから抽選で5名様(x2枚)
ヘーレンのコンサートにご招待とのお知らせが来た。さすがに3連勝はありえないだろう、と思いつつ、
ヘーレンの市民会館まで首都圏から来る人はいないから、応募者は少ないはず、勝率は高いかも、
などと頭の片隅で都合のいいことを考えていたのだった。しかしやっぱり、当選の通知は来なかった。
抽選に外れるのを待ってから、リンブリヒトの古楽コンサート・チケットを前日に予約したのだった。
こちらはマイナーなコンサートだから、前日でも余裕でチケットが取れた。

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     会場はリンブリヒトの聖サルフィウス教会

トリオ・ルスチニアという、女の子3人の古楽声楽トリオである。
メンバーは、ステファニー・トゥルー(ソプラノ)、ミカエラ・リーナー(メゾ・ソプラノ)に
コンスタンツ・リー(フォルテピアノ)で、ハーグの王立音楽院在学中に知り合った仲間だ。

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      左から、ステファニー、コンスタンツ、ミカエラのガールズ・トリオ

ステファニー・トゥルーといえば、ブリリアントから出ているヘンデルのイタリア語カンタータ全集で
ソプラノを担当している新進売り出し中の歌手である。彼女のナマの声を直に聴けるチャンスだ、
と彼女目当てで出かけた。

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De Schumanns en het Nederlandse hof
Trio Luscinia @ St. Salviuskerkje in Limbricht  2011年2月6日

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Robert Schumann (1810 - 1856)
Erste Begegnung op.74 nr.1
Libesgram op.74 nr.3

Clara Schumann (1819 - 1896)
Am Strande
Robert Schumann
Aufrage op.77. no.5
Clara Schumann
Sie liebten sich beide op.13 nr.5
Liebst du um Schonheit op.12 nr.4

Magdalena Graver (1829 - na 1868)
Lied ohne Worte nr.1

Robert Schumann
Der Nussbaum op.25 nr.3
Mondnacht op.39 nr.5
Botschaft op.74 nr.8

Magdalena Graver
Lied ohne Worte nr.2

Robert Schumann
Sommerruh
Das Gluck op.79

pauze

Robert Schumann
Mailied op.103 nr.1
Fruhlingslied op.103 nr.2
Herbstlied op.43 nr.2

Clara Schumann
Die stille Lotusblume op.13 nr.6
Er ist gekommen op.12 nr.2
Robert Schumann
Resignation op.83 nr.1

Magdalena Graver
Lied ohne Worte nr.3

Clara Schumann
Ich stand in dunklen Traumen op.13 nr.1
Warum silst du and're fragen op.12 nr.11
Robert Schumann
Widmung op.25 nr.1

Robert Schumann
Bedeckt mich mit Blumen op.138 nr.4 (uit Spanische Liebeslieder, 1849)
An den Abendstem op.103 nr.4

テーマを『シューマン夫妻とオランダ宮廷』として、1852年にスヘヴェニンゲンに病気療養のため
逗留および1853年のオランダ演奏ツアーの頃に作られた歌曲、そして、当時宮廷作曲家だったが、
今では全く忘れ去られてしまった女流作曲家ヨハナ・マクダレーナ・グレーヴァーのピアノ曲を組み合
わせたものだ。

デュエット曲、メゾまたはソプラノのソロ曲、ピアノ曲を順繰りに演奏した。
デュエットでは、どうも二人の声質が違いすぎるため、ハモるとさほどきれいには聞こえないので、
ソロの方が楽しかった。

メゾ歌手はオーストリア人で、ドイツ語のアクセントがないきれいなオランダ語で上記のプログラム
解説をしてくれた。
彼女はちょっとジュリエット・ビノシュに似たルックスだが、やせてるためか声にまろやかさがなくて、
ふくよかな女性らしらも中性っぽさも感じられず、ぎすぎすして色気がなく、あまり好みの声では
なかった。今後はもう少し少年っぽいイメージを押し出していったらどうだろうか。

ソプラノのステファニーちゃんは、オフィシャル・サイトの写真では、なかなか清楚な美少女っぽい
感じのルックスだが、実物はヨハネット・ゾマーによく似ている。姉妹だといっても通じるくらいだ。
そして、声質も歌い方もまた、ゾマーに似ているのだった。だから、はっきり言って私好みである。
経験と年が不足しているから、ドラマチックな表現という点では濃さは足りないし、ある程度の年に
ならないと出せないような甘さも控えめだ。年相応に優等生的な歌唱であるが、誰からも好感を
持たれるような得な声である。
カナダ人の彼女は、英語の話し声は低めなのに、ノン・ヴィブラートの歌唱では清らかな高音が
さわやかだ。これからの活躍に期待。



           2009年モデナの『アグリッピーナ』での
           ポッペア役だったステファニーちゃん


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           フォルテピアノは1849年のエラール製。
           きんきんとしたところやきらびやかさはなく、
           馥郁たる香りが漂うかのような響き。
           木材の色も、脚の形もペダルもエレガント。
           シューマン夫妻がオランダ訪問した際、王宮、
           離宮、王立劇場にあった3台のフォルテピアノと  
           同タイプのもの。当時の雰囲気をこれで
           偲んでほしい、とのことで、Edwin Beunkの
           コレクションを使用。

コンスタンツちゃんは、かぶりつき正面席のわたしに向かって退場の際、目礼して行った。
終演後聞いてみると、客席に東洋人を見つけてうれしかったとのこと。香港出身だが日本語を
勉強したので会話は結構上手。
彼女のフォルテピアノ演奏が、本日のめっけものだった。楽器自体が素晴らしいものだったのだが、
歌の伴奏にも感情の込め方に抑制が効いていて、流麗でいてデリケート。
ソロ演奏曲は、上記エラールのフォルテピアノの年代と型を王立図書館で探しているときに見つけた
グレーヴァーの手書き楽譜を今回のツアーでお披露目発表。古楽演奏家は研究家の草鞋も履くと
いう好例。いかにも『無言歌』と呼ぶべきタイプのピアノ曲で、みずみずしい書法の佳曲だった。

今日はツアー最終公演だったためか、緊張の解けた終演後の3人はきゃぴきゃぴとはしゃいで、
ガールズ・トークがかわいらしかった。
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by didoregina | 2011-02-06 21:33 | コンサート | Comments(4)

DNOの来シーズン演目発表!

待ちに待った、DNOの2011・2012年の演目が発表になった。
と言ってる割に、今シーズンはまだ一度もアムステルダムに行っていない。
TV放映にばかり目が行ってしまって、よくない傾向である。

まずは、9月からいきなり大作だ。
グルックの『イフィゲニア2部作』を一挙上演!というのは、モネ劇場が先シーズンやったが、
その共同プロダクションを今度はアムステルダムに持ってくる。しかもキャストは大幅にチェンジ
して。オーディ演出で、舞台装置はモネと同様のようだが、舞台の大きさがあまりに違いすぎる
モネとアムステルダム歌劇場だけに、印象は異なるだろう。
指揮はミンコフスキーで、アムステルダムのシーズン開幕を飾ることになる。
『タウリスのイフィゲニア』は、モネと同様ヴェロニク・ジャンスが主役だが、母親の
クリュタイムネストラ役は、アンネ=ゾフィー・フォン・オッター!
そして、『アウリスのイフィゲニア』は、ミレイユ・ドルンシュが主役だ。
この3人の女性キャストが魅力だから、アムステルダムにまた見に行くべきか。

シュトラウスの『エレクトラ』
今シーズンからDNO首席指揮者就任のマルク・アルブレヒトが約束どおり振る。
演出はウィリー・デッカーの例のヤツ。
ミカエラ・シュスター(クリュタイムネストラ)、カミッラ・ニールンド(クリソテミス)、
リンダ・ワトソン(エレクトラ)その他の出演だが、イマイチ、魅力に乏しいキャストだ。。。。

モーツァルトの『イドメネオ』
ザルツブルク2006年のヘルマン夫妻演出の例のプロダクションだ。
ミヒャエル・シャーデ(イドメネオ)、ステファニー・ドゥストラック(イダマンテ)、ユディット・ファン・
ワンローイ(イリア)、スーザン・グリットン(エレットラ)で、これもちょっとキャスト的に弱い。

しかし、ここまでは、なんと、モネの先シーズンと同じテーマ・演目ではないか。しかも、どこかで
使ったプロダクションばかり。トロイ戦争をテーマにして統一感を出したいのはわかるが、ちょっと芸が
ないぞ、DNO!

個性を出すためには、世界初演の現代モノで勝負!
マンフレッド・トロイヤーンの『オレスト』
テーマは、上記3作品と同じだ。ディードリッヒ・ヘンシェル(オレスト)、ローズマリー・ジョシュア
(ヘレナ)他。新作現代ものだから、見に行くだろう。

この後は、趣向を変えた演目が続く。
ストラヴィンスキーの『ナイチンゲール』その他
これは、昨シーズンのエクサンプロヴァンス音楽祭との共同プロダクションで、マリヤーナ・ミヤノ
ヴィッチが出演したので期待していたのだが、アムステルダムにはミヤ様は登場しない。。。。

リムスキー=コルサコフの『見えざる町キーテジと聖女フェブローニャの物語』
かなりマイナーなロシアもの。アルブレヒトの好みが反映していると思われる。(シュトラウスと
チェコものとロシアものを意欲的に取り上げたい、と語っていた)

バロックも忘れてはいないぞ、DNOは!
ヘンデルの『デイダミア』
ボルトンとオールデンのコンビによる新プロダクションだ。サリー・マシューズ(デイダミア)、そして
ヴェロニカ・カンジェミ(ネレマ)!

ロッシーニの『イタリアのトルコ人』
これも新プロダクションだが、イタリアものは、例年通り数が少ない。

ヴェルディ『ドン・カルロ』
これは、デッカー演出でヴィリャゾンが主演したDVDにもなってるDNOプロダクションの再演。
指揮は、ネゼ=セガン!アンドリュー・リチャーズ(ドン・カルロ)、クリストファー・モルトマン
(ロドリーゴ)、ジョン・トムリンソン(異端大審問官)、カミッラ・ニールンド(エリザベッタ)、
エカテリーナ・グバノーヴァ(エボリ)

新作・世界初演はもう一つあるのも毎度ながら。
ロビン・デ・ラーフの『ミス・モンローを待ちながら』(Waiting for Miss Monroe)

ワーグナー『パルジファル』
イワン・フィッシャー指揮、オーディ演出の新プロダクションだ。
クリストファー・ヴェントリス(パルジファル)、ペトラ・ラング(クンドリ)、クルト・リデル(ティトゥレル
とグルネマンツ)
ワーグナー上演は、アムステルダムでは比較的少ない。

どうも、来シーズンは、あっと驚くようなアムステルダムらしいとんがったラインナップではなくて、
満遍なく様々なジャンルや国の作曲家・作品を取り上げてはいるが、有名なのやどこかで見たよう
なのばっかりで、平均的に均されてて、特色が感じられない。
オーディ体制もあまりに長く続いたので、馴れ合い妥協のマンネリに陥っているのかもしれない。
そろそろ、新しい芸術監督に変える潮時か。
首席指揮者(もしくは音楽監督)に就任した割には、アルブレヒトが振るのは3作品のみ。
しかし今後は、アルブレヒトの色が押し出されていくようになるんだろうか。

それから、CTがほとんど登場しないというのは、どういうわけだろう。主役・準主役をCTが
歌う演目が皆無だ。。。
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by didoregina | 2011-02-04 18:05 | オペラ実演 | Comments(8)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

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名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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