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イドメネオ@モネ、 マレーナ様のセレナーデ前奏付

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2010年3月28日

Symfonieorkest en koor van de Munt
muzikale leiding|Jérémie Rhorer
regie|Ivo van Hove
scenografie en belichting|Jan Versweyveld
kostuums|Lies Van Assche
video|Tal Yarden
dramaturgie|Janine Brogt
koorleiding|Winfried Maczewski

Idomeneo    |Gregory Kunde
Idamante|Malena Ernman
Ilia      |Sophie Karthäuser
Elettra|Alexandrina Pendatchanska
Arbace|Kenneth Tarver
Gran Sacerdote di Nettuno|Nigel Robson
La Voce|Peteris Eglitis
Quatuor  Lies Vandewege Anne-Fleur Inizan Gijs Van der Linden Sebastien Parotte

モネのマチネ公演には、いつでも電車で出かける。ブリュッセル中央駅からモネ劇場までは、下り坂をだらだらと歩いて、15分もかからない。途中、わたしの名前を冠したパッサージュを通り抜け、数十メートル行くと、劇場の横に出る。そこは、木立もベンチもない殺風景な広場のようになっている。
開演45分前にその劇場脇を通ると、窓から女性の歌声が聞こえてきた。楽屋か衣裳部屋から聞こえてくるようだ。耳を澄ますと、それはまぎれもなく、マレーナ様の歌声ではないか。
その窓辺の下には、浮浪者が座り込んでいる。通り過ぎる人もまばらで、犬の糞だけが目立つ。
少しはなれた所に立ったまま、わたしはスーパーで買ってきたサンドイッチとジュースの昼食をとった。
発声練習というより、アリアを本格的に歌いだした。今度は、テノールも聞こえてくる。これは、イドメネオとイダマンテのデュエットだ。
ああ、なんという贅沢。聴いているのは、わたしと浮浪者だけ。マレーナ様が窓辺でわたしのためにセレナーデを歌ってくれているのだ、と思えた。
これは、わたしのための前奏曲だ。なんと甘美な響き、至福の時。

さて、アンドロギュノス・マレーナ様のズボン役である。今回は、ギリシャはクレタの王子様というわけで、眉が濃いメークで念が入っている。
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このメークでは、ジョージ・マイケルか、コリン・ファレルか、といった印象だが、実際の舞台上のマレーナ様は、やはりブラピそっくりだった。
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前日、たまたまTV放映の「トロイ」を見たから、間違いはない。(DVDも持ってるけど)

「イドメネオ」は、モーツアルトの初期オペラ・セリア(真面目なオペラ)だから、グルックのオペラと比較するのも的外れとは言えないと思う。ギリシャ悲劇を題材としたストーリーで、音楽上もしっかりと古典的構成のオペラで、深刻な劇の形をとっている。モーツアルトらしい遊びの要素が少なく、青臭く硬い、とも言える。
戦争を背景に、無慈悲な神々に運命を弄ばれる人間達、というのは、悲劇の基幹をなす群像だから、真面目なオペラには絶好の主題だ。

序曲や間奏曲は、シンプル・端正ながら重量の感じられるオーケストラ演奏である。
指揮は、若手イケメンのジェレミー・ローラー。登場の時は、メガネを取ってたが、指揮するときはメガネをかけていた。生真面目な指揮ぶりで、好感度が高く、人気上昇株だ。
座席は、2階ロイヤルボックスのほぼ向かい、舞台を横から見る位置の2列目。歌手の表情もよく見える。

オーケストラ演奏だけのときは、舞台後方の壁をスクリーンにみたてて、ニュースのような映像が流れる。
それは実際CNNのニュース映像だったり、出演歌手を俳優に使ったホームヴィデオだったり、歌手の大写しだったりする。
たとえば、序曲では、イドメネオと幼いイダマンテのホームヴィデオ風映像で、トロイへの出発前夜の光景であることが分かる。
時代は現代に移し変えられ、トロイ戦争は某国の某国への派兵に置き換えられている。
イドメネオ王役の歌手は、クリントン元大統領そっくりだから、いやでも某国はどこなのか想像できる。
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          舞台後方スクリーンで映されるのは、実際のニュース映像。
          降りたった飛行機からは、国旗に覆われた棺が降ろされる。

この、映像を多用した表現方法は、直接的で分かりやすく、器楽演奏の邪魔にもならず、全体のコンセプト統一という意味合いからも、悪くないと思った。好みの分かれるところであろうが、必然性の感じられないバレエなんかよりは、数倍いい。

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          国王帰還の知らせに喜び、捕虜を恩赦で解放するイダマンテ。

主な登場人物は、クレタの王子イダマンテ、囚われのトロイの王女イリア、イダマンテに横恋慕するアルゴスの王女エレットラ、クレタ王イドメネオにその腹心の部下アルバーチェのみ。人間関係は、さほど複雑ではない。ただし、人物各々の苦悩・懊悩は深い。

イダマンテは、親孝行と報国の志に溢れた好青年という役どころで、敵方の王女イリアとは相思相愛になる。
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        マレーナ様が出演するオペラには、なぜか演出上ラブシーンは不可欠。
        長身で筋肉質のどこから見ても美しい青年姿に、ほれぼれ。
        休憩中、本当に女性が演じてるのかどうか、討論してる人たちもいた。

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        後半は、マレーナ様のお顔がどアップでスクリーンに映し出された。
        ネプチューンと戦い終えた満身創痍のお姿は、このブラピそっくり。

イドメネオに無理難題を言いつけるだけでなく、怒り狂って罪無き人々を殺傷する海神ネプチューンは、ファン・ホーヴェの演出では、無差別テロに変わっていた。現代的で非常に分かりやすい読み替えである。しかも、演出上最後まで破綻がなかったのは、さすがである。しかし、あまりに辻褄が合いすぎていて、軽薄だと思う人もいるかもしれない。

イリアは、ベルギー人ソプラノのカルトホイザー(またかいな)が、インゲラ・ボーリンの代役で歌い、地元民から拍手喝さいを受けていた。清楚というより、ぶりっ子そのものの楽天的な女の子役で、カルトホイザーの地のままか、と思えるほど。今回は、「カリスト」や「スザンナ」の時よりも、存在感があった。マレーナ様とのラブシーンがあるだけでなく、共感を得やすい美味しい役どころでもある。

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        しかし、クリントンそっくりのイドメネオと記者会見室に二人きりでいると、
        モニカ・ルウィンスキーのように見えてしまうイリア=カルトホイザーだった。

最も美味しい役は、エレットラかもしれない。気性の激しい気位の高い王女で、嫉妬に心を焼かれる心情を歌うアリアなど、夜の女王みたいな迫力で鬼気迫る。
それから、イドメネオも、父として国王として苦悩しつつ、最後に美味しいアリアがあるから印象に残る。鼻にかかった声の、声量の大きい歌手だったせいもある。
それに対して、イダマンテは、出番は多く感情表現も上手くなくてはならず、全体的に歌う量は多いのに、印象に残るアリアが少ないから、くたびれもうけの損な役だ。それは、カーテンコールの拍手によく表れていた。マレーナ様は、あんなに功い演技で大活躍だったのに、熱狂的拍手や声援がイマイチ得られなかったのだった。
アリアやレチタティーヴォなど歌う量が物理的に多いから、セーブしてたのか、割と声量のないカルトホイザーに合わせていたのか、それとも、楽譜上イダマンテの声域がかなり高いからか、マレーナ様の声はいつもと比べて、どうも迫力に欠けるきらいは、確かにあった。でも、癖のない澄んだ美しい声だし、姿はどこにも欠点が見つからないほど美しく、演技は誰よりも上手かったのだから、もっともっと声援が飛んで欲しかった。

しかし、マレーナ様には、やはり男性役が一番ぴったりだとの感をより一層強めた。これからも両刀使いでがんばるマレーナ様が、3年後ネローネ役でどんな姿を見せ歌声を聞かせてくれるのか、期待はいやましに高まるのだ。
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by didoregina | 2010-03-29 23:53 | オペラ実演 | Comments(8)

特ネタ!マレーナ様ネローネ@バルセローナ

昨日の興奮も冷めやらぬまま、マレーナ様イダマンテの情報をネット収集していたところ、意外な出所から、すごい情報をゲットしました。

スエーデン大使館情報HPによりますと、マレーナ様がネローネ役で好評を博した「アグリッピーナ」(ヤーコブス指揮)が、2013年にバルセロナで再演されるとのこと。モネのオリジナルキャストからは、マレーナ様のみが続投と、あるではありせんか!
こ、これは、ファンの間では伝説化しDVD発売が待望される、例のマクヴィカー版(コカイン中毒のネローネのアクロバティックな演技と超絶アリア、およびマイケル・ジャクソン風ダンス)再演ということでしょうか!?

とにかく、再々来年のバルセロナ動向に、ファン・クラブ会長としましては、目を離さないようにいたします。
ファン・クラブの会員皆様総出のバルセロナ遠征計画を立案しますので、今からへそくりを貯めたりして、万全の構えで臨むよう、お願い申し上げます。
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by didoregina | 2010-03-29 11:15 | マレーナ・エルンマン | Comments(6)

ボザールも熱い

ブリュッセルでクラシックのコンサートというと、たいていボザールで行われる。
アールデコのコンクリート造りで天井が低く、音響的には文句を言いたい部分がありすぎるが、やはり一国の首都のコンサートホールだから、プログラム内容は相当充実している。
その来季プログラムが発表されたが、非常に分かりづらい作りのサイトだ。

オランダ語およびフランス語ページには、英語ページにはないハイライトの紹介があるから、有名どころの目処は一応つく。しかし、それ以外のことも知りたいとなると、カレンダーの日付ごとにいちいちクリックしていかないと内容詳細はわからないのだ。
例えば、シーズン開幕初日9月7日のカレンダーには、コンチェルト・ケルンと記載があるのみ。
その日の詳細をクリックしてはじめて、ケルメス姐がモーツアルト・アリアを歌うことが分かる。
たまたま、ハイライト・ページに「ケルメス、9月7日と2月21日に登場」と紹介があったからクリックしたが、そうでないと見逃すし、クリックしないとソリストや曲目が全然分からない。
それで、大変長い時間をかけて、一つ一つクリアーにしていった結果をお知らせする。
すべて、わたしの好みが反映しているハイライトのみであることを、ご了承願いたい。

9月7日 コンチェルト・ケルン+ケルメス姐 (モーツアルト)

9月16日 ルミュー姐 (リサイタル@モネ、アルマ・マーラー、ショーソン、ルクー他)

9月22日 カルトホイザー+カフェ・ツィマーマン (バッハ・カンタータ)

10月22日 ラ・フェニーチェ+カルロス・メナ (イタリアン・バロック)

11月11日 コジェナー+プリヴァーテ・ムジケ(イタリアン・バロックをヴィオール・アンサンブ
ルと!)

11月17日 リチェルカール・コンソート+メナ&セリーヌ・シェーン (デュロン、A・スカルラッティ他)

12月9日 ショル&ジャル (パーセル)

12月13日 バルトリ姐+フランコ・ファジョーリ (ヘンデルとそのライバル達)

12月17日 レ・ザール・フロリサン+カルトホイザー (ラモーの「ピグマリオン」と「アナクレオン」)

1月10日 マーク・パドモア+ベズイデンホウト (シューマン「詩人の愛」)

2月21日 ケルメス姐 (ヘンデル、クッツォーニのためのソプラノ・アリア)

5月24日 トリオ・メディイーヴァル

6月4日  トマス・ハンプソン (マーラー歌曲)


ここでも、なんといっても、12月が凄い。もう、12月はパリとブリュッセルに、皆さんツアー組んで行かれたらいかが?

アルチーナさん懸案だった、「バルトリ姐のヨーロッパ・ツアーにフランコ様は同行するのか?」という命題が、ボザールのサイトでなんともあっさりと解明されている。リサイタルのタイトルはアムステルダムのコンセルトヘボウと同じく「ヘンデルとそのライバル達」となっており、フランコ様が歌うことが明記されているのだ。数日違いのアムステルダムでも、きっとフランコ様は登場するだろう。アルチーナさん、さすがのご明察。
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by didoregina | 2010-03-26 15:06 | コンサート | Comments(10)

シャンゼリゼ劇場の濃すぎるプログラム

なにげなく、シャンゼリゼ劇場の来季プログラムを見ていて、その濃すぎる内容に度肝を抜かれた。

ステージ形式のオペラはそんなに多くないが、11月にヘンデルの「オルランド」と3月にヴィヴァルディの「オルランド・フュリオーゾ」がある。

11月のヘンデル「オルランド」は、アイム女史指揮(コンセール・ダストレー)にマクヴィカー演出の新プロダクションで、主役を張るのは、ソニア・プリーナ。

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この写真は、プリーナ姐が2008年にシドニーでオルランドを歌ったときの写真。
このコスチュームも、ルックスも、体型も、あまりに濃すぎる。。。。

ユーチューブが貼り付けられなくなったので、ご自分で検索してぜひ聴いていただきたいが、この顔に釣合った、いかにもイタリア的な粘り気のあるアルト(コントラルト)である。
体は声を現す、というのがよくわかる。ガリガリに痩せたミヤ様とは対極にある、肉肉しい迫力の声だ。好きになるかどうかは、わからないが。。。

3月のヴィヴァルディ「オルランド・フュリオーゾ」は、スピノージ指揮+オーディ演出の、これも新プロ。
マリー=ニコル・ルミュー姐がタイトルロールで、PJ様がルッジェーロ!その他、ジェニファー・ラルモアやヴェロニカ・カンジェミ、ストテインらも出演する、なかなかに濃いキャスティングだ。


1回だけのコンサート形式オペラは沢山ある。その中で、バロックものだけを拾っても以下のごとし。

10月19日 カンプラ 「ヴェニスの謝肉祭」 ニケ指揮コンセール・スピリチュエル

11月29日 ヘンデル 「アルチーナ」 ミンコフスキー指揮ミュジシャン・ド・ルーブル・グルノーブル
        アニヤ・ハルテロスがアルチーナ、カサロヴァがルッジェーロ、カンジェミがモルガーナ

2月12日  ヘンデル 「テーゼオ」 チェンチッチがタイトルロール!その他サバタとギヨンの二人CT

3月23日  ヘンデル 「アリオダンテ」 ディドナートがタイトル・ロール、ルミュー姐がポリネッソ

4月28日  ヴィヴァルディ 「ファルナーチェ」 ソニア・プリーナ姐がタイトル・ロール


そして、リサイタルのラインナップも凄すぎ!

10月21日 チェンチッチ  (ヘンデル、アルビノーニ、ヴィヴァルディ)

12月1日  PJ様+コンチェルト・ケルン (カルデラほか)

12月11日 ショル+ジャル (パーセル)

12月13日 プティボン (モーツアルト、ハイドン)

12月17日 PJ様+フレンズ (サプライズ! カンジェミ、G・カプソン他出演)

1月22日  サラ様+OAE (マーラー「さすらう若人の歌」)

その他、ディドナート、ヨナス・カウフマン、ボストリッジ博士、ヴィリャゾン、ジュノー、トマス・ハンプソン、コジェナーにフォン・オッターときたもんだ!
もう、少なくとも12月はパリのアパルトマンで生活しなきゃという覚悟が要りそうではないか、PJファンの皆様は。 
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by didoregina | 2010-03-25 22:10 | オペラ実演 | Comments(14)

マレーナ様、来季ウィーンで2作品に登場!

待ちに待った(この表現、多用気味)アン・デア・ヴィーン歌劇場の来シーズン・プログラムが発表されました。

昨年末、マレーナ様のサイトに、彼女が9月に「セメレ」でバルトリと共演!という予定が記載されていました。その公演日程を早く知りたくてうずうずしていたのです。
9月15,17,19,21日の4公演のみ。
例の、クリスティー指揮、カーセン演出、バルトリ主演の再演です。人気が高く、激しい争奪戦が予想されますから、チケットは、速攻でゲットすべきでしょう。
マレーナ様は、セメレの妹、イノー役です。現在モネ劇場で出演中の「イドメネオ」ではイダマンテ役で、かっこいい男装姿をまたまた見せてくれていますが、半年後には女の子役、というのが、いかにもマレーナ様らしくていいではありませんか。

アン・デア・ヴィーン歌劇場のその他の演目も一応見てみますとと、大発見が隠されていました!
なんと、2011年3月公演のヘンデル「ロデリンダ」にも、マレーナ様が出演するではありませんか!エデゥイージェ役です。
アルノンクール指揮、タイトルロールはクリスティーネ・シェーファー、ベルトリード役にベジュン・メータ。
公演日程は、3月20,22,25,27,29,31日です。
半年に一度、バロック・オペラの舞台でマレーナ様にお目にかかれるなんて、生きてる甲斐があったと思えるほどの至上の喜びです。
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by didoregina | 2010-03-22 09:09 | マレーナ・エルンマン | Comments(16)

ユンディは、キムタクか、香港映画スターか

ユンディ・リ改めユンディ(イチローのごとく、ファースト・ネームだけの芸名に改名)のコンサートに行ってきた。(2010年3月12日)

フィリップス・ミュージック・センターの例のピアノ・リサイタル・シリーズのひとつである。
だから、とにかくチケット料金が安い。ちょっと出遅れたので、一番高い席(28ユーロ+3ユーロのサービス料・フリードリンク付=31ユーロ)というのは、もうなかった。それで、電話で、どこが残ってますか?と問い合わせると、右手中二階後方(音響的にはベスト)か、平土間正面左寄り一列目(視覚的にはベスト)なら、4人並んで座れます、とのこと。悩んだ末、後者に決めた。ドリンク代込みで27ユーロの席だ。日本だったら、一体いくらだろう、と考えるとうれしくなる料金である。
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Frederic Chopin (1810-1849)

Nocturne in bes opus 9 nr 1
Nocturne in Es opus 9 nr 2
Nocturne in Fis opus 15 nr 2
Nocturne in Des opus 27 nr 2
Nocturne in c opus 48 nr 1

Andante spianato et Grande polonaise brillante opus 22

PAUSE

Mazurka in gis opus 33 nr 1
Mazurka in D opus 33 nr 2
Mazurka in C opus 33 nr 3
Mazurka in b opus 33 nr 4

Sonate nr 2 bes, opus 35

Polonaise in As opus 53 "Heroische"

演奏曲目は、上記のようにオール・ショパンである。
今年はショパン生誕200年だから、ショパンを聴く機会は一般的に多くなるはずだ。しかし、ユンディの場合、事情は少々複雑である。中国人で初のショパン・コンクール優勝!という勲章というかレッテルが付いてまわるから、ショパン以外のプログラムでは、世間が許さない。もう、ショパンを弾くパンダを見るような気分で演奏会に来ている人もいるのかもしれない。
そういう気持ちになったのは、演奏会の始まる前に、ロビーでサイン会のためのCD販売状況を検分した時である。売ってるCDが全部ショパンだった。彼には、ショパン演奏以外は、期待されていないのかもしれない、と一瞬思った。

とにかく、かぶりつき席で、ちょっと下から見上げる位置だから鍵盤と手の動きはよく見える。
それから、ピアノ界のキムタクと呼ばれているくらいの、キレイなお顔の表情も近くで見える。
そのキムタク・ユンディが登場したとたん、もう一つの悪い予感が単なる危惧ではなかったことを知らされた。

舞台を歩くユンディに向かって、コーラス席やその他の席からカメラのフラッシュが盛んに焚かれたのである。
その火の元は、言わずと知れたこと。押し寄せた地元中国人たちが、クラシック・コンサートのタブーというかエチケットおかまいなしに、写真を撮りまくる。
だから、短いノクターンの曲間も拍手、拍手で中断される。そのたびに、わたしの隣かぶりつき席に座った(セミ)プロ・ピアニストっぽいお姐さんが、ちっとか、うぐっとか、やめてくれとか、怨念のこもった声で唸るのだった。

まず、ノクターンでスタートというのが、ウォーミングアップというか手慣らしの意味はあるだろうが、わたしには不満である。ノクターンが悪いのではない。選曲のセンスの問題である。
若い頃は、ショパンが苦手だった。聴くだけで、こっぱずかしくてむずむずいたたまれなくなるのだから、弾こうとという気にもなれなかった。ロマンチック真骨頂、C調言葉のくどき文句、腺病質もしくは肺病、愛のためなら死んでもいい、そういうステレオタイプが頭に渦巻く、その集大成が、この晩選ばれたノクターンである。
数年前、ポリーニがノクターンCDを出したときのプロモーションを兼ねたリサイタルを聴いた。その時の曲目はもう覚えていないが、違和感を感じなかったから、ポリーニの選曲は悪くなかったと思う。彼らしいという意味で。

または、外見の問題もあるかもしれない。
若い男の子が公衆の面前でノクターンを弾いてはいけない。これは、もう、美学上の鉄則である。
いくらクールを装って弾いても、わたしには駄目だ。
休憩後のマズルカの洒落味のほうが健康的で、安心できる。結局、これはもうわたしとの相性の問題だ。

それ以外の曲目は、ラン・ランも選びそうなもので、いかにも中国人的な華麗さ・ハッタリを聞かせるのにもってこいの、盛り上げるにもテクニックを見せるにもよいチョイスであった。
ピアノ・リサイタルというより、ピアノ・アイドルのコンサートだったと思うと納得のいく、スカッとした演奏であった。
つまり、わたし好みの演奏とは、対極とはいかずとも、相当離れているスタイル・解釈であったが、それはそれでユンディの個性なのだから、否定はしない。
前回のアンスネスのリサイタルとは全く異なり、後に何も残らない、思索を誘うものがない。究極のエンタメ的リサイタルだったが、それなりに楽しめた。

終演後のサイン会、というのが凄かった。多分、エイントホーフェンにお住まいの中国人が大挙して家族揃って応援に駆けつけたようで、子供達は皆サインをねだる、オヤジたちは奥さんとユンディのツーショットを撮りまくる、というわけで、ユンディだけの写真撮影は不可能だった。
間近で見ると、キムタクというより、ジャッキー・チェンのご親戚ですか、と思わず突っ込みたくなるほど、目元の感じが似ている。
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ロビーには、ホール専属か、エージェントが契約してるのか、地元紙なのかわからないが、プロのカメラマンがいて、ユンディ・フィーヴァーぶりを撮影していたが、わたしの着物姿にも目をつけた。それで、何枚も色んなポーズで撮ってくれた。プロだから、モデルを褒めながらの撮影である。撮られるほうも乗せられる。エイントホーフェン新聞かなにかに、「中国人おっかけファンが民族衣装でユンディのコンサートに現る」とかいうキャプションつきで出るかもしれない。

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           春らしい翡翠色の地に桜やその他の花柄の小紋。
           帯は、遠山を織り出した綴れの洒落袋帯。
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by didoregina | 2010-03-19 09:54 | コンサート | Comments(8)

2010年2011年のモネ劇場演目

お待ちかね、モネ劇場の来シーズン・プログラムが発表された。モネのサイト英語ページにリンクを張ったので参照されたし。

公演順に、以下一口コメント。

9月  ブスマンス「ブルゴーニュ公女イヴォンヌ」
    マレーナ様が主演したオペラ「ジュリー」の作曲家ブスマンスによる、歴史ロマン。
    リュック・ボンディ演出、王妃マルグリット役にミレイユ・ドルンシュ!

9月  モーツアルト「コジ・ファン・トゥッテ」

10・11月  ヤナーチェク「カーチャ・カバノヴァ」
       ヤナーチェクのオペラは好きだが、歌手に知ってる名前がない。。。

12月  プッチーニ「ラ・ボエーム」
     ホモキ演出だが、キャストに魅力が乏しすぎ。

1・2月 ワーグナー「パルジファル」
     ヘンヒェン指揮。

3月   モーツアルト「偽の女庭師」
      ピオーがヴィオランテ!

4月   細川俊夫「斑女」
      インゲラ・ボーリンが花子。

4月   ヴェルディ「ナブッコ」

4月   ノーノ「イントレランツァ1960」
     
5月   細川俊夫「松風」
     サシャ・ヴァルツ演出・振付、バーバラ・ハニガン主演。

6月   マイヤベーア「ユグノー教徒」
     ミンコフスキー指揮、オリヴィエ・ピィ演出、ヴァランティーヌ役にドルンシュ!


モネもこのところ、アムステルダムみたいなハイブロー路線を進んでいることがよくわかるラインナップである。
モーツアルト作品は一応二つあるが、そのうち「コジ」はコンサート形式で一回だけの上演だし、「ナブッコ」はサーカス形式(?)で3回上演。残りイタリアものは、「ラ・ボエーム」のみ。
それに対して、ブスマンス、細川、ノーノと現代作曲家によるオペラが4作品も並ぶ。
合間にワーグナーやモーツアルトやイタリアものを入れてバランスをとり、シーズン最後はグラン・オペラで華々しく、という作戦である。

わたしのため(?)には、ドルンシュが2作品に出演してくれ、ピオーも歌ってくれるから、この3つははずせない。
能楽をもとにした細川俊夫の2作品もナマで体験してみたいものだ。
ノーノのオペラも多分に実験的な要素が多い作品だろうから、興味をそそる。

ということで、刺激的といえば刺激的なモネの来シーズンではある。
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by didoregina | 2010-03-17 11:59 | オペラ実演 | Comments(6)

マレーナ様とファンタン・ラトゥール

マレーナ様がイダマンテ役で出演する、モーツアルトのオペラ「イドメネオ」が、16日にブリュッセルのモネ劇場で初日を迎えます。
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本日13日には、モネ劇場でMeet the artistsという催し物もありました。初日の前に、指揮者、演出家、出演者などが、作品の背景や見所・聴き所などを解説してくれるというイヴェントです。
皆様の期待を一身に背負うファンクラブ会長としては、何を置いても駆けつけるべきだったのですが、あいにく当日は、親戚の者3人(含む次男)の誕生パーティと重なり、どうしても義理を立てねばならず、モネ劇場には行けませんでした。オランダでは、何歳になっても誕生パーティというのは重要な儀式であり、これを無視すると社会的制裁を受け、今後の付き合いに大きく響くのです。
皆様、私の苦しい心中を察して、なにとぞご寛容のほどを。

しかし、マレーナ様サイトのチェックは、毎日欠かしておりません。
そして、先週の初めにマレーナ様のTwitterに、気になる情報が載っていることも見逃しませんでした。「今日はベルギー・フラマンTV局のde rode loperに出演、、、」とあるではありませんか。
その日から、毎日ベルギー・オランダ語第一放送局のエンタメ・ゴシップ・ニュース番組のde rode loper(レッド・カーペット)を観るようにしていました。しかし、マレーナ様は、なかなか登場してくれません。去る12日(金)の晩、私はユンディ・リのリサイタルに出かけていました。
本日、その晩に放映されたと思われる、マレーナ様の男装・特殊メークを含む貴重な映像が、アップされましたので、ご覧になってください!



何の補足説明も必要ないかと思われますが、ファンクラブの皆様は、いかがご覧になったでしょうか?
この汚い顔は、ナンなんだ。「アグリッピーナ」でのネローネ役での「セブン・イヤーズ・イン・チベット」のブラピそっくりさんから、「アレクサンダー大王」のコリン・ファレルに変貌とは。「ポッペア」での逞しくも凛々しいネローネの面影は今何処。
以上が、私の第一所感であります。。。。

それでも、このように身をやつしてまで役作りに没頭するプロ精神には、頭が下がる思いです。
皆様のご感想をお待ちしております。

しかし、コリン・ファレルみたいな眉ともみ上げに無精ひげという特殊メークがさまになるというのも、もともとの作りが美しい証とも言えましょう。

さて、イダマンテ役マレーナ様のお顔を拝見して、コリン・ファレル以外に私が連想したのは、フランス人画家アンリ・ファンタン・ラトゥール(1836-1904)の自画像です。
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去る金曜日、パリ画壇重鎮の集団肖像画やバラなどの静物画で有名なこの画家の絵4枚を観ることができました。
現在マーストリヒトで開催中のTEFAFという、バーゼルと1,2を争う規模で質も高い国際アート・フェアで、一番私の目を惹いたのが、ファンタン・ラトゥールのバラの静物画だったのです。
初日に出かけたにも関わらず、一枚には既に売却済みの赤いシールが値段の上に貼ってありました。特別顧客のためのプレヴューイングが前日にあったからです。
もう一枚は、これでした。
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粗い麻の壁紙のような背景に、ほのかに浮かび上がるはかなげなバラの花。花の命の短さ・移ろいやすさを暗示しつつ、無常の美を象徴しているような絵です。
この絵を熱心に観ていると、出展者(この展覧会では、全てが売り物)が、声をかけてくれ、いろいろと説明してくれました。値段が書いてないので、つっこんでみますと、売値は165,000ユーロということです。引き止められ話し込み、メール・アドレスを教えたとことろ、先ほどメールが届き、「本気で興味がおありなら値段交渉可」という有難い申し出でした。
来週中に宝くじにでも当れば、ぜひ買いたい絵です。

ファンタン・ラトゥールのバラの絵は有名で、いくつかあるのですが、その彼の名を冠したバラがあります。まるで、彼の描くバラの絵そのもので、ひそやかな美しさが人気を呼んでいるようです。

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by didoregina | 2010-03-14 21:51 | マレーナ・エルンマン | Comments(8)

Marifonie試験に合格!

3月の声を聞くと、ヨットのシーズンもそろそろ胎動の気配を見せる。
しばらく話題から遠ざかっていたカテゴリー、セイリング関連記事が久々に登場だ。

主人は、今年も3月終わりから4月初めにかけて、ヨット荒天トレーニングを受けに、アイセル湖およびワデン海に行く。2年前は、雪が降り視界もゼロで、海上警察から出航しないようにとのアドヴァイスを受けたほどの荒れ模様だった。霧で自分の乗っているヨットの舳先も見えないのに、出航しトレーニングは行われたのだった。
去年のその時期は、ドイツ海兵隊(海軍?)が開催した訓練で、北海で揉まれた。
3年前には、5日間でヨットでロンドン往復というヘビーな航程もこなした。

以上のように着実にスキルアップしている主人には、ヨットに関してわたしが怠けているのが気に食わない。
「寒い北海は無理だろうから、カーニヴァルの時期にカリブ海に行って訓練を受けてくれば?」と、優しい言葉を掛けてくれた。もちろん、その費用はわたしが自分で出さなければならないから、そう言うのだ。これぞ、正統的ダッチ・アカウントといえよう。

今年の5月休みは、直後に長男の高校卒業試験が控えているので、遠出のセイリングの予定はない。
夏休みには、クロアチアで2週間ヨットを借りる手配済み。勝手知ったると豪語してもいい海域である。何か新しいことにチャレンジしないことには、人生=ヴァカンスの意義が薄れる。

それで、わたしはオランダの海上無線の資格試験に挑戦することにした。日本では、海上特殊無線技師とか海上無線通信士に相当する資格だろうと思う。国ごとに資格定義および内容は微妙に異なるので、よく分からないが。

基本的に、マリンVHFという海上無線の機械が装備された船舶を操縦して航行する際には、資格所持者が一人乗っていなければいけない。だれもいない場合は、機械を取り外すか、使えないようにする必要がある。海や水上の場合、ヨーロッパ各国ごとに法規が異なるので、逃げ道はあるのだが、資格なしでの海上無線使用は合法とはいえない。

今までヨットをチャーターしたことのある地中海の海域(スロベニア、クロアチア、ギリシャ、トルコ、イタリア)では、個人がヨットをチャーターして船団を組むフロティッラ形式の場合、海上無線の資格は厳しく問われなかった。機械自体の操作は難しいことはないし、海上無線のルールもヨットが操縦できる人なら大体分かっているし、リーダー船のスキッパーの責任範囲ということにできるのだろう。また、陸地や島が近くにあるから、携帯電話での連絡可能範囲も広く、無線を使わずに済むかもしれない。しかし、よく考えると、いい加減なものである。

しかし、北海周辺は厳しい。太陽さんさん、視界も広く、剣呑なタンカーやコンテナ船も少ない地中海とは全く異なり、まさに板子一枚下は地獄、という表現も誇張ではない海なのだ。だから、無線連絡は、出入港、水門通過の際のみならず、安全性という観点から非常に重要だ。去年イギリスにヨットで渡った時、それは重々思い知らされた。

毎月1回、正式な試験が開催されるオランダの海上無線基本資格は、必要な理論のほぼ全てをカバーしているから、わたしがセーリングするだろう海域とヨットの種類だったら、この資格1枚で十分だ。ノルウェーまでノンストップで航海するとか、大西洋横断とかに挑むのでない限り、問題ない。

講習会と試験を申し込んだ。丸1日の講習と教科書代金および受験費用は、計150ユーロである。これには飲み物や簡単なランチ(オランダ式サンドイッチ)も含まれる。
朝9時に始まり、昼食を挟んで午後2時まで講義を聴き、そのあと模擬試験を3回行い、午後4時半から正式の試験を受けた。講習は受けずに、自分で学習して試験だけ受けることも可能だ。
教科書は2週間前くらいに送られてきた。パワーポイントの講義内容も事前にメールで届いた。つまり、予習して来るように!ということなのだ。
この手の教科書というのは、読み物として楽しめるものではない。とにかく覚えなければいけない事項が多いから、ほぼ丸暗記しなければならない。半分くらいまでは真剣に読んで、残りはまあいいか、という程度の予習で講習に臨んだ。

わたしを除く25人の受講生は、数字などもなかなかよく覚えてきていて、優等生だ。150ユーロも払っているから、皆真剣になるのだろう。予習をあまりしていないわたしは、その代わりに講義をとにかくしっかり聴いてメモを取り、泥縄式学習にいそしんだ。
講師は、北海での航行経験の多いスキッパーなので、面白い逸話をちりばめて、なかなかに聞かせる内容だった。スピード・ボートも所有しているので、イギリスまで4時間で渡れるから、気が向いた時にロンドンに自家用船で行けちゃうという人である。

スキッパーというのは、オランダ語に語源を持つ英語で、船長=キャプテンのことなのだが、操縦するとは限らない。操縦その他は操舵士にまかせて、自分は航路を選んだり、有事の際判断を下したり、船の総合的な責任を担う人のことである。また、海上無線資格保持者は、スキッパーである必要はない。自分達でヨットをチャーターする場合、基本的には、主人がスキッパーになる。操舵はクルーも交替で行う。
初めての海域を航海する場合は、念を入れていつも熟練のスキッパーを雇うが、そのスキッパーはわたし達に指示を与えるだけで、航行中はヨット内部サロンにいることが多い。ナビゲーターとしての役割が大きいのだ。船頭多くして船山に上がる、という愚を避けるためともいえる。

午後5時に試験を終え、家に帰ると、インターネットに試験の答案が出ていた。結果は、正答率80パーセントで合格!試験は、マルチプル・チョイスの質問が30問。50点満点で35点以上(正答率70%以上)だと合格。なかなかにトリッキーな質問も多くて、予想より点数は低かった。
1日みっちり講義を受けたあと、3回も模擬試験をしたので、万全の構えで、落ちることはあるまいとは思っていたが、合格できてやはりほっとした。
正式な証書が送られてくるのは、2週間後だという。これが、今年50歳の誕生日を迎える自分の脳細胞が、まだなんとか使える証明にもなるだろう。
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by didoregina | 2010-03-14 00:24 | セイリング | Comments(2)

御伽噺とファミリー・コンサート

ピアノの師匠ペーターが、日曜の午後、老若男女誰でも楽しめるような、ファミリー・コンサートを企画した。

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            ライクハルト城の別館クッツハウスが会場

2010年3月7日        Peter Caelen & Ian Gaukroger (piano)
       Tim Schiepers & David Voncken (piano)
       Jacques Vriens (お話)

御伽噺がテーマの曲を、大人のピアニスト・コンビのペーターとイアン、それから生徒のティムとダーヴィッドが連弾演奏し、児童作家のジャック・フリンスが、合間にお話を語るという構成である。

D. Milhaud        Scaramouche

M. Ravel        Ma mere l'oye
                               Pavane de la Belle au bois dormant
  Petit Poucet
  Laideronnette, Imperatrice des pagodes
  Les entretiens de la Belle et de la Bete
  Le jardin feerique

F. Schubert        Kindermars D 928
       Vier Landler D 814
       March Militaire D 733 nr.1

W.A. Mozart        Sonate in D KV 381

P.I. Tschaikowski/N. Economou   Notenkrakersuite
                                  Miniatuur Overture
    Mars
    Dans van de Suikerboonfee
    Russische dans
    Arabische dans
    Chinese dans
    Dans van de Mirlitons
    Bloemenwals

シューベルトとモーツアルトの連弾を子供コンビが弾いて、その他は、大人コンビによる演奏だった。

ティムとダーヴィッドは10歳と12歳で、ピアノを習って3年目だが、かなりのレヴェルだ。すでに昨年末、ロッテルダムのデ・デゥルンで行われたアマチュア・ピアノ・コンテストでデビュー済みという、恐るべき子供達である。今日は、ティムがあがりまくって、ミスが多かったが、なんとか二人で乗り切った。
会場は、ちびっ子から、おじいちゃん、おばあちゃんまで年齢層の広い客で満席の盛況である。
児童作家が、曲の合間に、演奏曲目にふさわしいお話を語り聞かせるという構成もよかった。


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                      イアンとペーター

この二人は、1年に1,2度、2台のピアノでの演奏会をするのだが、イアンはアムステルダム在住のため、二人揃っての練習時間はなかなかとれない。
チャイコフスキーの「胡桃割り人形」を、2台のピアノでぴったり合うように演奏するのは、結構難しい。
一般に、バレエ音楽のピアノ曲版というのは、まずリズムが正確でないと聴くに耐えない。
それを二人で演奏するのは、練習風景を知っていると、聴いていて息がつまりそうになるものだ。しかし、二人は合同練習時間の物理的短さを、技術的にカバー、クリアして、安心して聴くことが出来た。

(「胡桃割り人形」は、次男が年末に音楽学校のコンサートでの、2台のピアノで各4手、計8手での演奏に参加した。各人別パートを何ヶ月間か個別練習してから、4人で1ヶ月みっちり合わせる練習をしたから、上手くいった。しかし、ピアノ・アレンジとしては、4手のほうが、ずっと聴き心地がよい。オーケストラ曲をピアノ・アレンジする場合、手の数が多い方が音に厚みが出て、オリジナルのオーケストレーションに近くなりそうなものだが、合わせるのが難しくなるだけで、効果はそれほどでもなかった。それよりも、普通に2手のソロ演奏アレンジのほうが好ましい。)

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                着物は、琉球絣柄の信州紬。
                帯は、薄い抹茶色のメルヘン調の染め帯。
                コンサートのテーマと雰囲気に合わせて。


終演後、イアンに話しかけてみた。

R「今年はアルベニス・イヤーだけど、演奏のご予定は?丁度7年前に、貴方の弾く『イベリア』を聴いたのが、ピアノ・レッスン再開のきっかけになったんです。いつかは弾けるようになりたいと」

I 「そうそう、アルベニス・イヤーだけど、アルベニスは『イベリア』に限らず超難曲ぞろいだね」

R 「でも、わたしでも弾ける曲もあるんですよ。サロン風の曲だけど」

I 「アルベニスの曲は、どれもサロン風といえる。ところで、7年後の今は何を弾いているの?」

R 「6月にオール・ドビュッシーのコンサートを開く予定で、練習してます」

そこへ、イアンの譜めくりをした、わたしの兄弟子クリスが割って入った。
C 「ええっ?ドビュッシーの全曲コンサートなんて、どうやってするの?」

R 「ドビュッシーの全曲ではなくて、コンサートの曲目が全てドビュッシーなの」

I 「とにかく、僕の7年前のコンサートが、契機になってるとは、うれしいね」
と、イアンは、とても喜んでくれた。
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by didoregina | 2010-03-07 22:01 | コンサート | Comments(10)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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