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Kantroute 2009 @ Sint-Truiden

2009年11月14日 から2010年 2月28日まで、ベルギーのシント・トロウデンで、ボビン・レースの展覧会が開かれている。市内6箇所の建物を会場として、歴史的な価値のあるアンティックから、現代アートにレースのテクニックを取り入れたものまで、さまざまな作品が展示されている。

まずは、ウルシュリン修道院でリディア先生のレッスンを受けてから、修道院所蔵のアンティック・レースを見る。シスター達や地元の人が作ったりした、様々な伝統テクニックを用いた、精緻で手の込んだものがガラス・ケースに入っている。
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それに対して、展示室にディスプレーされた作品は、ボビン・レースの現代アート版といえるものばかりであった。カラフルで、サイズや素材などにさまざまな可能性を探っているようで、興味を惹いた。

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         テーブル・ウェアみたいな雰囲気。

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         絵画風。

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         立体のオブジェ。

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         モダン・インテリアにも違和感なくマッチしそうだ。

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         お店やレストランなどのディスプレーによさそう。


次は、寄宿制の高校にもなっている修道院へ。
ここでの展示のテーマは、「生成り」。素材は問わないが、色は規定されている中で、個性を出す。
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         シンプルなタペストリー風だが、立体的なモチーフがいい。

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         色々なパターンの練習作品を組み合わせて壁掛けに。


そして、フランシスコ派修道院での、Betty Cuykxのソロ展示。これが、わたしにとって本日の白眉だった。
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         ボビンで平面に編んだものを立錐形にし、壁に構成。
         一つ一つの立錐に含まれている色の微妙なニュアンスも
         タリーが編みこまれているテクニックも、それらを全体に
         まとめて大きなアート作品にするという統一感も素晴らしい。

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         近くで見ると、一つ一つ手を抜かない仕事も驚異的。

その後、小さなギャラリーと警察署(!)での展示も見たが、伝統テクニックの普通のボビン・レースばかりで、手仕事の細かさには驚嘆できるが、アートとして面白いものではなかった。
同行の方々には、精緻な手仕事の多いこちらのほうがずっと興味深かったようだが。
しかし、その手間と作品の良し悪しがわかるのは、実際にボビン・レースをホビーとして作っている人だけだろう。一般の人は、古典的なボビン・レースを見て、単純に作品として美しい、とは思わないはずだ。というより、素人には機会編みも手編みも区別が付かないだろう。だから、ブルージュのレース土産物屋はどこも盛況なのだ。手ごろな値段で買えるレースに、美しいものがそうそうあるわけがない。紛い物で満足できるのが一般大衆なのだ。

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      マルクト広場の市庁舎(左)と教会。
      クリスマス・イルミネーションも、灯りがない状態だとレースのよう。
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by didoregina | 2009-12-03 12:39 | 美術 | Comments(4)

着物でペーターとハンスのコンサート@ライクホルト城

北ヨーロッパの冬は暗くて長い。
11月からは、冬時間だから夜明けは遅く日が暮れるのが早まり、雲が分厚いので太陽の顔を拝むことは少なくなる。それが、3月まで続くのだから、気分もどーんと暗くなる。
しかし、コンサート・シーズンは盛りに入るし、年末が近づくとパーティその他のお出かけの機会も増えるから、チャンスを逃さず参加して心を盛り立てるのだ。

冬の抗うつ対策として、一番効き目があるのは、着物でお出かけである。
あれこれ、コーディネートを考えるだけでも、心が華やぐし、絹の着物を纏うというその高揚感。
日本の女に生まれた幸せを噛み締める。
火曜日にはCoCo、木曜日にはアントワープでお寿司、土曜日にライクホルト城でのコンサート、日曜日にディナーと、この週は、4回も着物でお出かけが実現できた。


ピアノの師匠ペーターとヴァイオリニストのハンスのコンサートに出かけるのは、久しぶりだ。
しかも今回は、3曲も新レパートリーのプログラムであるから、聴きに行かずにはいられない。

W.A. Mozart Sonate in e KV 304
F. Busoni Sonate nr. 2 in e op. 36 A
F. Mendelssohn Sonate in f op. 4
J. Brahms Sonate nr. 2 in A op. 100

ブゾーニ以外は、この二人の演奏で聴くのは初めて。
ロマン派がメインのプログラムだが、わたしがやっぱり一番気に入ったのは、ブゾーニのヴァイオリン・ソナタだった。
後期ロマン派以降の、19世紀末から20世紀にかけて作曲されたヴァイオリン曲には、なんともいえない暗い観念が浮かび上がるような情感が漂って、妖しげな魅力がある。
ブゾーニのこの曲には、バッハからロマン派までの様々な要素が入り混じり、一筋縄でいかないから、聴いていて面白いのだ。ブゾーニのピアノ曲など、使われているモチーフが音楽史を俯瞰するかのようで、めくるめく世界に浮遊する心地がして、弾きながら気持ちがわくわくする。

お城の広間にコンサート用グランド・ピアノが置かれ、その前にヴァイオリニストが立つのだが、いわゆるステージはないから、奏者は客席と同じ高さで同じ空間にいる。
客側からすると、親密な音楽空間に身をゆだねることができ、贅沢この上ない気分になる。

ペーター主催のコンサートでは、ずいぶん昔から、休憩中にはコーヒー・紅茶とケーキ数種類が振舞われる。フリードリンク付きコンサートの先駆けである。
音楽会に出かけるというのは、日常生活とは隔離された世界でひと時遊ぶ、という要素も重要だ。休憩中もゆったりリッチな雰囲気に浸りたい。

コンサートの後は、ワインやソフトドリンクが振舞われ、演奏を終えてリラックスした奏者達とおしゃべりもできる。お得感があるだけでなく、社交の楽しさも味わえるのがいい。
知らない客同士も、パーティのようにおしゃべりに興じることになる。北ヨーロッパの冬を乗り切るためには、おしゃべりが精神安定剤の役割を果すほど重要なのだ。
その際、着物を着ていると、特に知らない人から話しかけられることが多い。ハナシの糸口に最適なのだ。(先日、お寿司を食べにアントワープまで出かけたが、着物だとお店の方も喜んでくれ、ちらし寿司の盛りも普段よりよかったようだ)

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     シンディーさんは、白地に臙脂の菊がびっしりと埋まった小紋。
     笛と紅葉が染められた、秋らしい古典的な柄の橙色の塩瀬帯。
     わたしは、黒地に赤の縞の泥大島。去年誂えたもので、自分サイズで
     自分好みの柄だから、着心地がいい。
     帯はネットでゲットしたヒゲ紬に牡丹の素描。季節的には外れてる。
     色半襟に初挑戦。といっても無難にクリーム色の無地。

二人で着物で出かけるときは、事前相談も重要だし、それも着物の楽しみのうちだ。
シンディーさんは着物キャリアが長く、沢山お持ちなので、大体わたしが先に決める。
そうして、色柄や素材が重ならず、お互いに引き立て合うようなものを選ぶのだ。
彼女は、コーディネートに季節感を出したり、演目に合ったものを盛り込むことが多い。

着物でお出かけをはじめてから、もうすぐ2年になる。大人の女の遊びとしては究極のものだし、今ではかけがえのない楽しみだ。
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by didoregina | 2009-12-01 15:03 | コンサート | Comments(6)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

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プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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