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2009年エディソン賞発表    PJさまも受賞

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オランダのグラミー賞と言える、権威ある音楽賞エディソンの2009年リストが発表された。1960年に創立され、毎年、クラシック、ジャズ、ポップの優秀な録音に対して与えられる賞である。

6月11日に、デン・ハーグのビネンホフ(オランダ国会)にある、13世紀に建てられたゴシック様式のリダー・ザール(騎士の間)でその授賞式が行われる。リダー・ザールといえば、毎年恒例、9月第3火曜日に金色の馬車に乗った女王陛下がお越しになり、議会開会スピーチをされる由緒ある会議場で、それ以外には王室や国家的行事にしか使われない。
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授賞式の模様は20時50分よりAVRO(オランダ放送2)でライブ放映される。受賞者も全員ではないが登場し、演奏するはずだ。誰が授賞式に出席し、演奏も行うのか、知りたい。

今年の受賞リストから、クラシックCD部門で特記すべきものを上げたい。

室内楽部門
Claude Debussy en Francis Poulenc: Werken voor cello en piano
Jean-Guihen Queyras & Alexandre Tharaud

ソロ歌唱部門
Various: Carestini – the story of a castrato
Philippe Jaroussky

協奏曲部門
George Frideric Händel: Organ Concertos Op.4
Academy of Ancient Music o.l.v. Richard Egarr

器楽ソロ演奏部門
Johann Sebastian Bach: Early Works
Andreas Staier

バロック部門
Johann Sebastian Bach: Christus, der ist mein Leben - Cantates BWV 27, 84, 95, 161
Collegium Vocale Gent o.l.v. Philippe Herreweghe

オーケストラ部門
Igor Stravinsky: L’Oiseau de feu en Le Sacre du Printemps
Koninklijk Concertgebouworkest o.l.v. Mariss Jansons

合唱部門
Jan Pieterszoon Sweelinck: Complete Vocale Werken deel I – De Wereldlijke Werken
Gesualdo Consort Amsterdam o.l.v. Harry van der Kamp

現代曲部門
Heiner Goebbels: Landschaft mit entfernten Verwandten
David Bennet, Georg Nigl, Ensemble Modern, Deutscher Kammerchor o.l.v. Christoph Poppen

オペラ部門
Benjamin Britten: Billy Budd
Nathan Gunn, Ian Bostridge, e.a., London Symphony Orchestra & Chorus o.l.v. Daniel Harding

審査員が各賞の受賞理由を述べているので、その中から、フィリップ・ジェルスキーの受賞に関しての和訳を以下に付ける。昨日の新聞でも、「ジェルスキーにエディソン賞!」という記事タイトルが踊っていたのだから、彼の受賞は今年の目玉である。

<審査員イレーネ・ウィトマーの言葉>
このCDを聴いたとたんに、ジャルスキーの素敵な声、無理のない自然体、息を呑むほど鮮明なコロラッテューラ、美しく均整の取れた声域、素晴らしいピアニッシモに心を奪われた。
チェンバロ奏者エマニュエル・アイム指揮によるル・コンセール・ダストレーの溌剌とした、しかも柔らかな伴奏もまた、洗練されたアンサンブルの音と美しく刻まれる通奏で、それに劣らない。この最高のサポートを得て、バロック声楽および初期古典派オペラの美が余すところなく表現されている。
ヘンデルの「アリオダンテ」よりScherza infidaという超有名アリアと並んで、あまり知られていないが値千金の曲が収録されている。グラウンのMio bel numeなどは、まさに掘り出し物と言えよう。これこそ、最高のバロック、名人芸で、贅沢で荘厳なまでに美しい。
また、有名なカストラート、カレスティーニの生涯を同時に映し出すというCDのコンセプトも楽しいおまけだ。カウンターテナーの声はカストラートと同列には語れないが、これ以上は望むべくもないレベルの歌唱・解釈である。

エディソン賞を受賞したPJ様のCDのトレーラー・ヴィデオを貼り付けた。おめでとう!ファンの皆様、ご同慶の至り。


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by didoregina | 2009-05-29 09:48 | CD | Comments(22)

アグリッピーナ・コンプレックス

やはり、マレーナ様の映像がないとどうも気持ちが治まらないというか物足りないので探してみた。すると、マクヴィカー演出「アグリッピーナ」の映像がまた増えていた。ルネ・ヤーコブス指揮のモネ・プロダクションだが、パリでの公演の映像である。これらをまとめて抜粋版として見ることもできるくらいの結構な数に、いつのまにかなっている。
その中から、第一幕でネローネが歌うアリア、Col saggio tuo consiglioでのマレーナ様は、声のみでなく姿と身のこなしが非常に美しい。お姫様役も悪くはないが、やはり彼女の真骨頂はズボン役だろう。あのしなやかな手足の動きがあってこそ。(ここでは彼女の豊かな胸をうまく隠した衣装で、男の子になりきっている)

アグリッピーナ・コンプレックスという、精神分析用語があるらしい。ここでの、ネローネはまさにそれだ。母アグリッピーナに密かな思いを寄せる若い男の子である。独善的な母親からの口約束である王座を夢見るが、いまいち踏ん切りがつかない。思いは千々に乱れるのである。



夢見るは我が君。マクヴィカー版「ジュリオ・チェーザレ」のセスト役にマレーナ様が起用されたら、よくありがちな、復讐に燃えるだけの子供っぽいセストではなく、微妙な含みを演じられること請け合いなのに。そして、それはキルヒーよりも絶対もっとマクヴィカーの意図に即したキャラクターであるはずなのに。
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by didoregina | 2009-05-27 10:48 | マレーナ・エルンマン | Comments(9)

マレーナ様、ウィーンで「ダイドー」公演中

5月23日から27日までウィーンで「ダイドーとエネーアス」に出演中のマレーナ様ですが、その前の週にはモスクワでユーロヴィジョン・ソング・コンテストにスウェーデン代表として参加し、本選決勝進出を果しました。残念ながら勝利の女神は、美女マレーナ様に嫉妬したようで、栄冠はノルウェー代表に。

現役のオペラ歌手がポップ歌手に混じってコンテストに参加というのは、前代未聞の偉業といえましょう。視聴者からの投票が勝敗を握る重要なカギになるので、そのマーケティング戦略の一環として、4月からマレーナ様のオフィシャル・サイトが開設され、マレーナ様直々のブログやプライベートな写真まで惜しげもなく公開されています!

また、昨年末、パリのオペラ・コミック公演でライブ録音された「ダイドーのラメント」が、ユーチューブ上に見つかりましたので、ここに貼り付けます。動画がないと、魅力半減なのですが、オフィシャル・サイトにはコンテスト参加曲のオフィシャル・ヴィデオ・クリップがアップされています。ライブ版のようなけばけばしさがなく、スーパーモデル並みのプロポーションとセレブっぽいいでたちのマレーナ様の魅力が最大限に発揮され、かっこよさが炸裂していますので、そちらもあわせてぜひご覧下さい。


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by didoregina | 2009-05-26 20:42 | マレーナ・エルンマン | Comments(2)

Turks fruit  別のターキッシュ・ディライトをほうばる

ターキッシュ・ディライトで、ほんの少々盛り上がったので、別のターキッシュ・ディライトを取り上げたくなった。

カタカナでターキッシュ・ディライトと書くと、「ナルニア国物語」にでてくるトルコのゼリー菓子だが、オランダ語でTurks fruitと書くと、中年以上のオランダ人なら絶対思い浮かべるのは、ルトガー・ハウアー主演の同名の映画だ。(英語のタイトルはやっぱりTurkish Delightらしいが、日本語タイトルはなんと「危険な愛」だそうだ!日本公開されたのかどうかは知らないが。)

ルトガー・ハウアーはオランダを代表する映画俳優だが、若い頃は金髪碧眼の貴公子みたいな容姿だったのが、中年になると迫力のある悪役顔になり、それが薬物常用のためか年ともに崩れて、今は、そのへんによくいそうなでかいオランダのオヤジに、外見は成り果てた。(オフィシャル・サイトにリンク張ったので、ルックスの変遷をごらんあれ。)

ハリウッドでは、多分「ブレード・ランナー」でのアンドロイド役からブレークして、それ以来、くせのある性格俳優というか、悪役として欠かせない人になり、一部愛好家の間でカルト的人気を誇っている。実は、ファン・クラブを作りたいほど好きな俳優だが、会員が集まるかどうか心もとないので、言い出せないでいる。


その彼主演の映画、邦題「危険な愛」は、1972年、あのポール・バーホーベン(本当はオランダの読みに近くファーホウフェンと書きたいが、そうすると誰もわかってくれないと思うので、ハリウッドでの通常読みにした。)監督作品で、主演はルトガー・ハウアーとモニク・ファン・フェン。いかにも70年代らしい、究極の愛の姿を描いた、大人なら必見の傑作だ。どうも、日本ではあまりにカルト映画扱いされているようだが、オランダでは多分いまだに観客動員数ナンバーワンを誇る、誰でも一度は観たことがある映画である。



ただ、いかにも70年代のオランダに台頭していた、恐れを知らぬヒッピー文化のおかげで、全ての描写がストレートすぎるのが、外国人には受け入れられにくいかもしれない。でも、あっけらかんとハッタリのある映像にも、ストーリーにも、わたしはすぐにハマッタどころか、ラストに近くなると涙が止まらなくなったほどである。先入観なしに観れば、とってもピュアで美しい青春の純愛劇、映画史上に残るべき名作である。

この映画からの連想で、Turks fruitというと、なんとなくエロチックな響きを感じてしまうのは、困ったものであるが、偏見を捨てれば、世界はもっともっと広がるのだ。
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by didoregina | 2009-05-25 18:00 | 映画 | Comments(10)

リキアの遺跡    テュム・ベイとクサントス

水上生活が続くと、陸地が恋しくなる。
毎日フネをもやうと、歩くのが可能な上陸地点なら、付近を探検してみる。
大げさではなく、山羊の糞を道しるべに道なき道の藪を踏み分け、岩を登る、という探検行になるのだ。

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Tomb bayという入り江の切り立った崖には、神殿のような麿崖墳墓が刻まれている。

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藪を掻き分け、最後はロッククライミングで、たどり着いた。

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            崖の上から入り江を眺める。

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        蜃気楼のような、雪を戴いた山々が海上から望める。

1週間のセイリングの後、一旦出発港グチェックに戻った。そこから1日、バスを乗り継いで、リキアの遺跡の残るクサントスに出かけた。雪山が眼前間近に迫ってくる。

リキア(もしくはリュキア)というのは、ヒッタイトの流れを汲む古い文明で、小アジアの西南海岸沿いに点々と遺跡が残っている。トロイ戦争ではトロイ側につき、武勇を誇る小王国の連合であった。
その中でもクサントスには興味を惹かれた。大英博物館で、素敵なモニュメントに出会ったからだ。

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ネレイドの像が立つ、神殿風の廟。
モニュメントはそっくりロンドンに持っていかれ、現地に残るは看板のみ。

廃墟しか残っていないのでは、とおそるおそる出かけたのだが、なかなかどうして、兵どもが夢の跡、という雰囲気の見ごたえのある遺跡であった。

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   あんまり修復・整備されてないのが、かえってイマジネーションをかきたてる。

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   リキア独特の高い塔の上に載せた石棺。下の人物と比べると高さが分かる。
   馬の鞍型ゴシック・アーチの形状が独特。死者を運ぶセイレンのレリーフが美しい。

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          別の石棺。狩猟の様子が浮き彫りに。

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ローマ時代の劇場や、ギリシャ時代のアクロポリスも残る。碑文は、ギリシャ文字のようで、違う文字が混じったり、装飾模様も柱頭部分はギリシャ風のアーカンサスだったり、フリーズがオリエント風の幾何学模様だったりで、いろいろな要素が混在するのが、ミステリアス。

リキアの墳墓は各地に残っているが、ゴシック型の形状といい、麿崖に刻んだり、ギリシャ文明とは別物だ、というのは見ただけで素人目にもはっきり分かる。
アレキサンダー大王のインド遠征の影響が見られる、という説を読んだ。
また、エトルリア人の祖先は、この辺りのリディア人ではないか、ということがDNA測定の結果証明された、という話もある。
訪れたいリキアの遺跡は、まだ沢山あるので、次回のお楽しみにとっておくことにした。
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by didoregina | 2009-05-24 09:12 | 旅行 | Comments(7)

親日国トルコの滋味食物

トルコには18年前にも、グレットというトルコ独特の木造小型船でのクルーズと遺跡めぐりの旅行をしたことがある。今回の訪土は2度目であるが、日本人にはとっても居心地のいい国である。
トルコ人のホスピタリティが、日本的で暖かく、サーヴィスにしろ押し付けがましいところがないからだ。

親日国としても名を馳せている。友好国として、日本とはヴィザ免除の協定を結んでいるので、オランダのパスポートだったら必要なヴィザ代金10ユーロx3が浮いた。(5月からは15ユーロになった!)
昔からの天敵ギリシャのパスポート所有者に対しては、もっと高額のヴィザ代金がかかるらしい。トルコ外務省および在日トルコ大使館のHPでの国別ヴィザリストを見ると、対応区分けがはっきりして、びっくりしてしまう。

いったいなぜ、日本人にだけこんな特権が、という疑問が沸いた。

それには、ある歴史的事件がきっかけとなっているらしい。詳しくは、以下のリンク先を参照いただきたい。
エルトールル号遭難事件
恩義を忘れない、というところが日本的である。

グチェックで、トイレや食事の利用をさせてもらっていたレストランのウェイターが、いつも笑みを絶やさずフレンドリーで、前を通りかかるといつも声をかけて、外に出てきては握手を求める。到着の晩に頼んだ魚の食べっぷりがよかったのが好印象を与えたようで、それからは、私のために特製カクテルを作ってくれたり、1週間後に戻って来たら、コーヒーとケーキをご馳走してくれた。決してお調子もの、というタイプではない。

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           花火付きのカクテルを作ってくれたスパイクこと、セダット

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          レストランの名物料理、オットマン。ラムかチキンのトマト煮込み


朝と昼は自分達で作ったものを食べた。夕刻前には、毎日異なる入江に到着する。入江には何もないがレストランだけはあるので、その桟橋に係留させてもらう。その恩義を忘れず、毎回夕食にはレストランを利用した。
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          入江の奥はオアシスみたいな緑陰のレストラン

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              船団全員で夕食

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              前菜は、サラダとメッツェ盛り合わせ

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          メインは、魚かチキンなどから選ぶ。タイのキャセロール。

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         デザートは果物が普通。今回はターキッシュ・ディライト。

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         トルコ独特の木造船グレットがレストランの場合も。

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入江には、お店も何もないので、毎朝、レストランで自家製パンを分けてもらうが、今回は全員、グレットを改造したレストランでパンケーキの朝食をとった。
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by didoregina | 2009-05-20 14:04 | セイリング | Comments(6)

ハイドンの名によるメヌエット


今年は、ハイドン・イヤーでもある。ハイドン没後200年に当るからだ。
盛り上がっているのかいないのかはっきりしないが、丁度100年前もハイドン・イヤーだったわけで、その年にはフランスの音楽誌「レヴュ・ミュジカル」が、粋な特集を組んだ。

当時のフランスを代表する6人の作曲家、モーリス・ラヴェル、クロード・ドビュッシー、ポール・デュカ、レイナルド・アーン、ヴァンサン・ダンディ、シャルル=マリー・ヴィドールに、ハイドンを主題とする作曲の依頼をしたのである。
その際の課題として、HAYDNという文字を音に当てはめたものを主題とすることとした。

ちょっと「ダ・ヴィンチ・コード」めいてくるが、
ラシドレミファソラは、それぞれ
ABCDEFG  に対応するので、その後のアルファベットも下に並べて
HIJKLMN
OPQRSTU
VWXYZ   
上記音符に対応させる。ただし、Hはドイツ語でシなので、そのままシとして使う、というルールである。
そうすると、HAYDNはシラレレソという音になる。

面白そうなので、ドビュッシー、デュカ、ラヴェルの作曲したものを集めたピアノの楽譜を手に入れ、まず、ラヴェルのピアノ曲「ハイドンの名によるメヌエット」を練習してみた。
なかなかしつこく、ハイドンの名前の主題がたしかに出てくる。途中ではスペリングをひっくり返してNDYAHになったりして、もういろいろ工夫を凝らしました、という感じである。しかし、ちょっと摩訶不思議だがちゃんとラヴェルらしい音楽になっている。




来月のピアノ発表会に、この曲とプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」より「モンターギュ家とキャプレット家」を弾くことになった。去年9月から主に練習したのはドビュッシーの「ベルガマスク組曲」とツェムリンスキーの「デーメルの詩に基づく幻想曲」であるが、「ショパンやドビュッシーは弾く人が他にもいるが、ラヴェルとプロコフィエフは誰も弾かないので、ぜひとも」との先生じきじきの依頼である。わたしも、こういう面白みというか企画性のある音楽が好きだし、子供達の教化の意味もあるから、張り切って弾くことにしよう。
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by didoregina | 2009-05-18 15:26 | 20世紀の音楽 | Comments(4)

海の歌、青春の歌、みんなの歌

ヨットに乗ると、音楽は聴きたくなくなるから不思議だ。とにかく、エンジンを切った瞬間が最高で、風と帆と波の音だけの、日常生活から遠く離れた世界に浸れるのがうれしいから、音楽なんてなくてもいい。

でも、海の風景を見ていると思い出す歌がある。

NHK少年ドラマシリーズというのは、昭和の芸能における輝ける遺産だと思う。
「タイム・トラベラー」を、わたしと同年代の人で、当時見たことがないなんて人はいないだろう。

「つぶやき岩の秘密」というのも、不思議な名作だった。内容はもうすっかり忘れたけど、主題歌は絶対忘れない。石川セリ(!)が歌った「遠い海の記憶」である。
この曲の、甘酸っぱくも感傷的な歌詞と、石川セリのけだるい歌声の組み合わせが、全然NHKらしくなくて、しかも、少年ドラマシリーズの主題歌になるなんて、当時としてはかなりぶっ飛んでいた。

でも、現在ユーチューブで見つかるのは、その数年後「みんなの歌」で放送されたヴァージョンで、オリジナルの官能的な雰囲気が全くない、Jポップ独特の軽いリズムとアレンジで、あまり好きではないが、いたしかたない。オリジナルのテンポはもっと遅くて、歌声も暗かったのだ。波のうねりに揺れる船上の気分が出ていた。




当時から洋楽一本やりで日本の歌には全く疎いわたしだが、荒井由実(松任谷になる前)の「あの日に帰りたい」と「遠い海の記憶」だけは、噛むと甘酸っぱくてほろ苦い青春の味が染み出すようで、お気に入りである。



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by didoregina | 2009-05-17 17:23 | セイリング | Comments(8)

つなぎ糸の帯

このところ、着物を着る機会が減っている。オランダの電車はあまりきれいとはいえないので、着物は車で出かけるときのみ限定になるからだ。それに、これからだんだん暑いのか寒いのか、雨なのか晴れなのかはっきりしない天候になるので、二の足を踏むことが多い。でも、明日は久しぶりに着物でディナーの予定。なにしろ、トルコ旅行以来、おなか回りが太って、着ていける洋服がないのだ。着物ならごまかせる、という消極的理由なのが情けないが。

母が昔、色糸をつないで長い糸にし(つなぎ糸と呼ぶ)、帯に織ってもらったものが2本ある。

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象牙色の縦糸に様々な色の横糸のつなぎ糸を織り込んだもので、さりげない光沢といろいろな色が入っているため、何にでも組み合わせ万能の帯。2部式なので着付けも楽。軽いし、出番が多い。
母曰く、「どうゆう順番の色の組み合わせにするか考えるのが一苦労だった」


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これは地色が朱色で、糸の結び目もちょっとごつごつして民芸調だ。葛布の帯と写真で見ると似た色調だが、こちらの方は絹らしい光沢と深みがあるので、葛布よりは少しよそいき風になる。藍絣の信州紬に一番合う。
母曰く、「帯が2本できたから、次はつなぎ糸で着物の反物に挑戦なさっては?と呉服屋さんに言われたけど、もうこれで十分。しんどかった。」

明日のディナーは40人ほどの集まりで、ドレス・コードにフォーマルの指定は特にないので、あまり華美にならず浮かない泥藍大島にしようと思う。
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by didoregina | 2009-05-15 20:31 | 着物 | Comments(10)

船上での食事    トルコでヨット三昧 その2

腹が減っては戦ができないので、腹ごしらえは重要だ。そして、戦場ならぬ船上生活をしていると、信じられないほどおなかがすくので、普段の何倍もの量を食べる。きっと波に揺られるフネの振動が胃の顫動を刺激するに違いない。

まずは、朝食。普段はパンにハム、チーズ、甘い塗り物と紅茶である。
それが、ヨットに乗ると決まってフル・イングリッシュ・ブレックファストが食べたくなる。体が要求するのだ。
しかし、トルコはイスラムの教えを守る人が多い国なので、豚肉の入手は困難だ。ベーコンなんてレストランやホテルの仕入れなど特別ルートでないと手に入らないようだ。そこで、鶏肉および牛肉ソーセージを代用にする。
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クルーザーなのでミニ・キッチンが付いているから、朝と昼は自分達で用意する。
昼食を抜くとこれまた戦意が高揚しないので、しっかり準備する。航行中は戦場なみであるので、朝のうちにツナサンドを作っておいて、操縦しながらほうばるのだ。この準備は、重要である。帆走中は、揺れる船内に長くいると気分が悪くなるから、作っておいたものを外のコックピットでさっと食べないと体が持たない。

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             朝食は、船内サロンでしっかりとる。

ただし、丁度おなかがすいた頃にきれいな入り江に到着して投錨、休憩ができる場合は、しっかり昼食も作る。その場合、冷蔵庫にハンバーグなどがあればいいのだが、冷蔵庫はエンジンがかかっているときと桟橋に電気供給がある場合しか用をなさない。エンジンを使った機走は入り江での投錨と接岸・離岸の時だけ行い、後はなるべく風を動力とする帆走をするのがヨットの醍醐味なので、冷蔵庫はあまり使い物にならない。2週間のうち桟橋に電気設備があったのは、出発港のグチェックと二回寄港したフェティエのみであった。電気の代わりに氷で冷やすという手もあるが、それ以外には町とか村にも寄らなかったのでお店というものがなく、氷の入手も不可能だった。

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             キッチンでハンバーグを焼く。

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             食べるのは外にあるコックピットのテーブル

また、航行中は禁酒が原則であるから、錨を下ろすまでは飲まない、というのが船乗りのマナーである。だから、その晩泊まる場所に到着すると、まずはビールかワインを一杯やりたくなるのが人情だ。そして、地中海地方の国では夕食時間が遅い。夜8時9時頃まで待てないので、ヨットをもやうとすぐにサラダを作る。これもなぜか恒例になっていて、やはり体がヴィタミンを要求するのだと思う。これで基礎体力温存のための腹ごしらえは万全である。

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しかし、人はパンのみにて生きるにあらず。おやつも食べたい。
なぜか塩辛いものと甘いものが交互に欲しくなるのも、船上食生活7不思議の一つである。
そのためにポテトチップスなどの塩味スナック菓子、チョコレートやクッキーなどを大量に買っておく必要がある。

また、船でアイスクリームなどを売りに来る場合もまれにある。
今回は、水上パンケーキ屋さんがやってきた。旦那さんが操縦して奥さんが船上で焼く。1枚5トルコリラと馬鹿げた高値であるが、その手さばきをみていると欲しくなってくる。団子状にした生地を杵棒でごくごく薄くのばすのが独特で、歯ごたえのあるクレープという感じになる。チョコとバナナ、チーズと香草というのを試してみたが、ロケーションが抜群のため味にもなんともいわれぬ雅趣がある気がした。

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by didoregina | 2009-05-14 11:50 | セイリング | Comments(4)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

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プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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