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3月のコンサート、オペラ予定

2月は短いから、あっという間に3月になる。そして、2月と3月は曜日と日にちが同じなので非常に間違えやすい。そのための備忘録がわりに3月のコンサート、オペラ予定をアップしよう。

3月1日  レーピンのマスター・クラス または、
      ペーター・カーレン(P)とハンス・ファン・ケルクホーフェン(V)のコンサート

  7日  芝居「イスメーネ」

  9日  ベルギー国立オケとプラメナ・マンゴバ(P) チャイコフスキーPコン

  14日 ピロボルス・ダンス・シアター  NYのモダン・ダンス・カンパニー公演

  15日 ゼフェリン・フォン・エッカルトシュタイン(P)のリサイタル

  27日 プティ・バンド 「マタイ受難曲」

  28日 ORW 「椿姫」

  31日 ナショナル・レイス・オペラ 「フィデリオ」

実は、チケットをゲット済みなのは、ピロボルス・ダンス・シアター、フォン・エッカルトシュタイン、「椿姫」だけである。あとのは、その時々の情勢と回りの様子を見ながら直前に決めようと思っている。どうしても行きたい!という決め手に欠けるのだ。今まで当りはずれが結構あったので、数をこなすだけが能ではないと慎重になっていると言うべきか。
4月始めに控えてるメイン・イベントのために体力と気力を温存しなければならないし。。。
    
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by didoregina | 2009-02-26 22:39 | コンサート | Comments(5)

フィリップス・ミュージック・センターのピアノ・シリーズ

そろそろ、劇場およびコンサートホールの来シーズンのプログラムが発表される時候である。楽しみでもあり怖くもあり、とにかく鵜の目鷹の目になってしまう。

先週のネーデルランド・オペラに続き、今週末はコンセルトヘボウのプログラムが発表になる。20年以上オランダに住んでいながら、遠すぎる!という理由だけで先週まで1度も詣でたことのなかった音楽の神殿コンセルトヘボウの魅力にハマってしまったわたしは、来シーズンは週末のマチネ狙いで行こう!と心に誓ったのである。土曜日の発表を心待ちにしている。
(家からだとベルギーのブリュッセルやドイツのケルンなら車で1時間強の距離だから、ポリーニだってアムスに行かずともケルンで聴いたし、内田光子さんもブリュッセルでお目にかかった。)

今日、発表になったのは、もう少し家から近いエイントホーフェン(車で1時間)にあるフリッツ・フィリップス・ミュージック・センターの来シーズンのピアニスト・シリーズである。

エイントホーフェンは日本でいうと豊田市みたいなもので、ある企業の城下町である。すなわち家電メーカーのフィリップスを中核としている。フィリップスは日本でのシェアが小さいため、コーヒーメーカーとか髭剃りシェーバーくらいしか思い浮かばないかもしれないが、老舗音楽レーベルでもあるので、その創業者(多分)の名を冠したコンサート・ホールがあるのだ。
このホールは音響的にはヨーロッパでも有数だとHPには書いてある。フランス・ブリュッヘンが絶賛したとも。たしかにそうだろうが、立地が変で外観が非常にシャビーである。街中のショッピング・モールの中にあるのだ。日本だったら別に不思議でもなんでもないが、ここヨーロッパではそうとうな変わりものである。

しかし、プログラムはいつも非常に意欲的で、有名どころがよく来る。フィリップス・レーベルの実力であろう。しかも、めちゃくちゃ料金設定が安いのである。フィリップスからの補助金がたんまり入るのだろう。
もう、フィリップスさまさまである。

Pour le Pianoと銘打ったシリーズは4つのリサイタルからなるのだが、驚くことなかれ、1番いい席でも4回のコンサート・チケット、プラス幕間の飲み物込みで合計104ユーロだ。
それで、誰のリサイタルかというと
11月7日 内田光子
2月23日 レイフ・オヴェ・アンスネス
3月12日 ユンディ・リ
5月7日  ゼフェリン・フォン・エッカルトシュタイン

皆さん、これは飛行機代を払ってでも来る価値がある値段だと思うのだが、いかがだろう?

4人ともわたし好みのピアニストであるという偶然も怖いが、プログラムも悪くない。もしかしたら、コンサートやオペラに関して、今年はとってもついてる年かもしれない。
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by didoregina | 2009-02-25 21:15 | コンサート | Comments(8)

カリスト@モネ       謝肉祭の浮かれ騒ぎ

カーニヴァルの真っ最中である。カーニヴァルというのは阿波踊りみたいなもので「踊る阿呆に観る阿呆、同じアホなら踊らにゃソンソン」のノリで、自身も仮装して参加しないと面白くもなんともない。大学祭みたいな仮装パレードにもビールにも全く興味がないので、街中の馬鹿騒ぎから逃げ出すようして、ブリュッセルのモネ劇場に行ってきた。
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カヴァッリのオペラ「カリスト」の再演である。DVDにもなっているルネ・ヤーコブス指揮、ヘルベルト・ヴェルニケ演出のものだ。
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muzikale leiding |  René Jacobs
regie, decors en kostuums |  Herbert Wernicke
herinstudering regie |  Dagmar Pischel
belichting |  Robert Brasseur

Calisto
Eternità |  Sophie Karthäuser
Giove |  Johannes Weisser
Mercurio |  Georg Nigl
Endimione |  Lawrence Zazzo
Diana
Destino |  Caitlin Hulcup
Linfea |  Thomas Walker
Satirino |  Max Emanuel Cencic
Furie |  Angélique Noldus
                    Pane |  Magnus Staveland
2009年2月22日 De munt        Natura |  Magnus Staveland
Francesco Cavalli La Calisto         Silvano |  Konstantin Wolff
演奏 Concerto Vocale         Giunone |  Inga Kalna        

映像を見てもらうと分かるように、登場人物はヴェネツィアのカーニヴァルのような仮面と服装で、ローマ神話を道楽者の貴族とその召使の世界に移し変えている。その服装と仮面は、イタリアの仮面即興劇コメディア・デラルテの伝統を踏襲し、暗示的・象徴的である。例えばジュピターは、貴族の道楽旦那がカピターノの扮装をし、羊飼いエンディミオーネは、メランコリックで夢見がちなピエロの服装と仮面で、その他プルチネッラ、アルレッキーノ、スカラムーシュなど典型的なコメディア・デラルテの伝統的人物に扮装して、謝肉祭の馬鹿騒ぎを演じている、2重の仮面劇なのである。カリストはさしずめ、コロンビーナという役どころか。



バロック・オペラをコメディア・デラルテの世界にしてしまうという手法は、結果として驚くほどの洗練を生み出すことになる。豪華な衣装と仮面によって原作の下品さ卑猥さが薄められるだけでなく、登場人物がどんなに下卑た動作を行っても、単に河原者による道化なんだからと、観客は鷹揚に見ることができるからだ。宮廷で王に仕える道化は人間として認められていなかったゆえに、何をしてもどんなことを言っても許されたのと同様の効果である。

舞台デコールは星座になっている神話の登場人物を描いたパネルが4面に箱のようになっているが、平面なのにいろいろな仕掛けが隠されている。特にナポレオン時代からの古い劇場のよさ(舞台の高さが五階分あり奈落も深い)を生かし、神々は天井(天上)から降臨するし、下下の召使たちは床下から自在に登場する。奥行きは平板にして上下の動きで変化をつけるという構築形態がいい。
また、宙乗りなど、いかにもバロックらしいケレンミがある仕掛けも、楽しい。

歌手では、カウンター・テナーのローレンス・ザゾが目当てであった。気品のある声で他の歌手とは一線を画していた。歌わなくても座っているだけだったりして最初から最後まで出ずっぱりである。全てはこの羊飼いが見た夢の世界、という解釈もできる。
カリスト役は声にもルックスにも魅力に乏しかった。ほかのキャラクターが強烈過ぎるためだ。
ジュノー役のソプラノ歌手は声量豊かで、神々しいまでに迫力満点の歌声だった。

古楽アンサンブルによる演奏も、チェンバロ2台、オルガン1台、ハープ1台、リュート2つ、コントラバス2つに、その他の弦楽器と管楽器という厚みのある構成で、レチタティーボの伴奏にしても軽くなりすぎない。
器楽演奏だけの部分が少ないため、音楽を聴いた、と言う印象はあまり残らないが、トータル芸術としてのオペラの真髄が表れた、満腹感のあるオペラだった。
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by didoregina | 2009-02-24 11:21 | オペラ実演 | Comments(8)

ゴッホと夜の色

アムステルダムのファン・ゴッホ美術館では2月13日から6月7日まで、「ゴッホと夜の色」と題する特別展が開催中だ。
同美術館のコレクション以外に、クレラー・ミュラー美術館、オルセー美術館、NY近代美術館などから借りた、夜の絵を中心に集めたものである。(先月まで同展はNYで開催されていた)
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白眉はポスターにもなっている「星月夜」。

「馬鈴薯を食べる人々」に代表されるオランダ時代の初期の暗い絵から、南仏に移り日本のような陽光を発見して後の、いわゆるゴッホらしいタッチの絵を経て、精神を患って死に至るまでの数々の絵を、ゴーギャンやバルビゾン派、北斎などの影響も分かるように系統立てて展示してある。それらが全て、室内でろうそくの光がともっていたり、背景が星空や月夜などで、夜を描いたものなのだということには、普段の常設展で観ただけではなかなか気がつかない。。
この展覧会のテーマを「夜の色」とした着想もいいが、完璧主義的な集め方も統一感があっていい。また、オーディオガイドも、絵に合った音楽が付いて説明も過不足なく、1時間ほどで効率よく一回りできるようになっている。

一番気に入った絵は、「ローヌ川の星空」だ。ドビュッシーのピアノ曲「月の光」が聞こえてきそうな、観る人に音楽を耳に呼び覚ます絵だ。ヘンデルのDopo notte, atra e funestaのバックの映像にこの絵をつかっているのをユーチューブで昨日見たが、それもよく合っていた。

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「ウジェーヌ・ボックの肖像」もいい。
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浮世絵的な構図の、しかし宗教的なものを感じさせるこれも夜の絵 「種まく人」
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しかし、ゴッホの夜の絵といえば思い出す「夜のカフェテラス」が展示されていないのが不可解だった。
その絵を描いた頃、弟テオに宛てた手紙に「夜の情景や夜の効果をその場で描き出すこと、さらには夜そのものを描くこと、これが今僕の興味の中心なのだ」と書いているほど、夜の主題を見出した重要な絵なのに。(ノートに書き写した詩や、手紙なども展示されている)

ゴッホの絵と彼の心情を歌ったドン・マクリーンのStarry starry nightは、オーディオガイドの説明にも出てくるほど、ゴッホと結びついた歌だ。


常設展の充実のみならず、こういう特別展をよく行う企画力・収集力に長けているので、このファン・ゴッホ美術館だけは不況もモノとはせず、いつも入場者であふれ入り口には長蛇の列が絶えない。
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by didoregina | 2009-02-24 00:35 | 美術 | Comments(4)

サラ・コノリーとFBOのコンサート@コンセルトヘボウ   私を泣かさないでください

憧れのコンセルトヘボウ・デビューである。いや、出演するのではなくアムステルダムのコンセルトヘボウでのコンサートに行くのが、はじめてなのだ。その記念すべきデビュー・コンサートがサラ様のであるというのは、運命的なものを感じる。気が高ぶり、表現が大げさになってしまうことに、ご容赦のほどを願いたい。

サラ様は、先週までバルセロナのリセウで「ポッペアの戴冠」でネローネ役を歌い演じていた。
長丁場のオペラであり、体力・気力ともに消耗したはずだ。その1週間後にアムステルダムでリサイタルを行うというのが心配の種だった。
2年前、あのマレーナ様も「ポッペア」のすぐ後に予定されていたリサイタルをキャンセルしてしまった、という苦しい経験を持っている。サラ様にはその轍を踏まないでほしいと毎日祈っていた。
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アムステルダムのコンセルトヘボウは中央駅から遠い。家から片道3時間かかるので日帰りは無理である。前半だけ聴いて帰るか、泊まるところを確保しなければならない。この件は、バロック好きのオランダ人の知人と同行しホテルの部屋をシェアすることで解決したが、これは大正解だった。コンセルトヘボウに程近い閑静な通りに面したホテルは、アムステルダムには非常に珍しくコスト・パフォーマンスが高かった。
そして、もし前半だけで帰っていたら、大変後悔したであろうことが当日になってわかったのである。

もう一つの心配の種は、着ていく着物である。
サラ様にはどちらかというと衣装の趣味がよろしくない、という定評がある。
あまり豪華な着物を着ていって釣り合いが取れなかったら、サラ様に恥をかかせることになる。
考えた末、白いホールの美しさに似合って、重ね着のできる着物を選んだ。黒の泥染め縞大島と白黒の弁慶格子の羽織の組み合わせに決めた。
これも正解であった。

伴奏を務めるのはフライブルク・バロック・オーケストラ(FBO)で、コンセルトヘボウのサイトに載っていたプログラムを見ると、ヘンデルの歌曲の合間に前奏曲などを入れて、後半にテレマンの「ターフェル・ミュージック」を演奏するかのような印象を与える。
しかし実際は、前半が「アグリッピーナ」と「ジュリオ・チェーザレ」、後半が「アリオダンテ」をメインとし、それらの合間に楽曲を入れているのだった。サイトを信じて、前半だけで帰ってしまっていたら、一生後悔してもしきれなかったであろう。
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「アグリッピーナ」を歌うサラ様の衣装には目を疑った。
胸のぐっと開いた黒のミニ・ワンピースの上に黒のミニ・トレンチ、その裾がバルーン状になっている。足元は黒のブーツである。
髪型は肩につかない程度で、軽やかに毛先を外向きにカールさせていて、全体的にシックなシティ・カジュアル・ルックでスタイリッシュと言ってもいいほどなのである。
L'alma fra le tempesteと Ogni ventoは、だから女性らしさのあふれる、しかし抑制の効いた身のこなしで歌ってくれた。熟女の貫禄・余裕である。ただ、高音になると弱音になりがちだった。

「アグリッピーナ」から2曲歌った後、サラ様だけ退場し、衣装を着替えて再登場。
宝塚のオスカル風に凛々しく変身したので、会場から思わず大きな拍手と歓声が出た。サラ様は胸に手を当てるしぐさの会釈で歓声に応えた。
ネービーブルーの胸もとまでぴっちりとダブルの金ボタンをかけた、膝丈のジャケットの下には、白とブルーのストライプのブラウス、ズボンに乗馬靴のようなブーツで、衣装から男性役になりきっているのだ。
髪型も、すこしサイドを後に流してフェミニンになるのを押さえ、真っ赤だった口紅はちょっとダークに落としてそのかわり、アイライナーできりりとした目を強調していた。
こんなディテールが分かる、かぶりつき真正面の席だったのだ。視覚的にはこれ以上は望めない位置である。表情の変化も全て見ることができる。
シーザーになりきってVa tacito e nascosto と Al lampo dell'armiを歌ってくれた。
最近の舞台や録音に多いスピードとは異なる、サラ様独特の緩やかなテンポである。力強さを女声で出すためにはテンポを速めたほうが手っ取り早いかもしれないが、威勢だけよくなってしまう。ゆったりと情感を込めるのがサラ流である。低音の魅力がほとばしる。

そして、休憩の後が、この晩のクライマックスであった。
「アリオダンテ」のScherza infidaは、イントロが長く、その間サラ様は役柄に入り込もうと表情を硬くして集中している。その蒼ざめたような表情を見ている私のほうもその世界に引き込まれそうなほどのすさまじい吸引力である。歌う前からこうなのであるから、歌を聴いたら、もう、彼女と私だけの世界に入っていた。
カサロヴァの歌う映像が英語訳の字幕つきなのでここで紹介したい。こういう内容をサラ様に歌われたらどのように感じるか、想像してもらいたい。
サラ様は歌う時に表情を崩さない。その端正な顔のままこの内容を歌い不実をなじるのだ。こちらは涙が出てきても仕方がない。



それから、Dopo natte, atra e funestaで速度を上げ一気にクライマックスであった。歌い終わったとたん「ブラーヴァ」の掛け声と心からの割れるような拍手に口笛で、聴衆は熱狂気味であった。

アンコールは、もしかしたらSe in fioritoじゃないかなあ、と期待していたのだが、このコンサート・レポをすでにアップされたMevrouwさんも書いている通り、「リナルド」から「私を泣かせてください」。
おなじみの曲なので、みんな大喜びである。しっとりとして余韻の残るアンコール向けのよい曲だ。

この晩のコンサートを一言でいうなら、サラ様「私を泣かさないでください」であった。
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by didoregina | 2009-02-22 11:05 | バロック | Comments(12)

マレーナ・エルンマン・ファンクラブ発足記念会報

マレーナさまファンの皆様、お待たせしました。記念すべき会報第一号をお届けします。

マレーナ・エルンマンの映像といえば、ヘンデル「アグリッピーナ」でのネローネ役が巷では名声を博しています。
これを見ただけでファンになっちゃう人もいるほどの素晴らしい歌声と演技ですが、ちょっとキワモノ的で、彼女の真価は、それだけではわかりません。

手っ取り早く別の映像を見ていただきましょう。ヘンデルの「ヘラクレス」でのリカス、召使なんですが、結構重要な役で出番も多く、長いアリアを歌うので彼女を初めて観る方・聴く方にはお勧めします。彼女出演の数少ない入手可能DVDのひとつで、演奏も演出も美しく完成度が高いのです。




長い金髪をきりりと後で三つ編みにしているのは、DNOアムステルダム歌劇場公演モンテヴァルディの「ポッペアの戴冠」でのネローネの時と同様ですが、「ヘラクレス」での彼女は、カジュアルなパンツ・スタイルで、中性的な若々しい魅力がいっぱいです。特に、ヘラクレスの妻で、夫の浮気に悩み嫉妬に苦しむ中年女性役がぴたりとはまっているジョイス・ディドナートとの対比が、ここでははっきりしています。

マレーナさまが手で絞ってくれたオレンジ・ジュースをもらう、デジャナイラ役のディドナートにわたしは嫉妬してしまいますが。。。。
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by didoregina | 2009-02-19 16:00 | マレーナ・エルンマン | Comments(10)

琉球絣柄の信州紬

冬にはほっこりした感触の真綿紬に手が伸びる。
すこし厚手でざらっとした手触りでいて、発色がよく光沢のある信州紬が、マチネ・コン
サートにはぴったりなので、ブラウティガムのリサイタルに着ていく着物はこれに決めた。
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繭を真綿にしてから、手で紡ぎだした糸を草木染にして、琉球絣の模様に織り出した信州紬
である。

これを着ていたら、会場を出るとき、初老の男性が近づいてきて「やっぱり、絣模様を織り
出してある。たてよこしっかり、糸で模様を出しているから、染めのものとは違う。」と
わたしの着物に手を触れながら言う。
「ええ、沖縄の模様なんですよ。鳥が織り出されているのがわかります?日本の織物がお好
きですか?」と聞くと、
「ベルギーで染色と織物を勉強し、卒業製作で日本の絣模様を着物1反分織り上げました。」
と、思いがけないことを言う。
「ロッテルダムに久保田一竹の作品展を観にいったこともあります。独自のテクニックで
富士山の四季を染色してある美術工芸品で、その美しさにうたれました。」とも。

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その日のコンサートに来ていた客にはピアノ教師やセミ・プロが多そう、という雰囲気が
漂っていて、興味の対象も広いようだった。だから、休憩中に示される着物への関心も
「着物=芸者の着るもの」みたいな、こちらでの一般的解釈とは異なっていて、突っ込んだ
ことを訊ねてくる。織のテクニックや材質などについて話すのを感心して聞いてくれる人が
何人かいた。
へんな着物を着ていかなくてよかった、とつくづく思った。
しかし、こんな風に悪目立ちでなく注目を浴び、会話が弾むこともめずらしい。
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by didoregina | 2009-02-17 14:30 | 着物 | Comments(12)

急告!ネーデルランド・オペラの来シーズン演目決定

本日、待ちに待ったネーデルランド・オペラの来シーズン演目が発表された。
数日前から、どきどきしていたのだが、昨日からほぼ確信に変わった。何が?

マレーナ・エルンマン様主演の「ダイドーとイーニアス」のことだ、もちろん。

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昨年12月、パリのオペラ・コミックでの同公演を見逃してしまった。しかし、クレジットをよく読むと「ネーデルランド・オペラとの合同プロ」とある。たしかに、ベリンダ役はオランダ人である。そのオランダ人歌手のサイトをたどると、ウィーンで5月のWiener Festwochに同公演があることがわかった。そちらに行く気に半分はなっていたが、よくよく考えると、アムステルダムで「ダイドー」を演ったことがないのに、合同プロになっているというのは、今年のパーセル・イヤーに的を絞っているに違いないと思えてきた。
それで、来シーズンの演目発表を今か今かと待っていたのだ。予想は的中!9月終わりから10月始めにかけての公演である。

これで、わたしにとってのディド・イヤーは完璧なものになる!
これを記念して、マレーナ様ファンクラブを正式発足させたい。
会員登録希望者は、先着順に受け付けるので、コメント欄にその旨明記のこと。
会費無料、様々な情報ゲットの特典有り。

ついでだが(!)、ネーデルランド・オペラの来シーズンのその他の演目も充実しているので紹介したい。

「ユダヤ人の女」

「アフター・ライフ」 オランダ人新進作曲家ミシェル・ファン・デル・アーによるもので、是枝さんの映画「アフター・ライフ」のオペラ化。2年前のホランド・フェスティバルで初演された。

「愛の妙薬」

「サロメ」 コンヴィチュニーの演出。1年前の「ダフネ」はがっかりだったので捲土重来を期待したい。

「西部の娘」 ノリに乗っているエヴァ・マリア・ウェストブルック主演で見逃せない。

「フィガロの結婚」

「さまよえるオランダ人」

「イル・プリジョニエロ」と「青髭公の城」

「エミリー」 オペラ・リヨン・オケ演奏で大野和士さん指揮!

「トロイの人々」 ウェストブルックがカッサンドラ!

「トゥランドット」

「アルトル・ステル」 アントナッチによるモノローグ・オペラ

「犬の心臓」

「シエラ・モレナのドン・キーショット」 ルネ・ヤーコブス指揮ベルリン古楽アカデミー演奏。クリストフ・ドゥモー、ベジュン・メータ、ヨハネット・ゾーマーは見逃せない。

見たい演目が見つかったら、ご連絡を。同好の皆様、ツアーを組みましょ!
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by didoregina | 2009-02-16 13:48 | オペラ実演 | Comments(17)

フォルテピアノとモダンピアノのリサイタル

c0188818_591931.jpgロナルド・ブラウティガムのリサイタルに行ってきた。

彼はオランダ人ピアニストとしては間違いなくトップの一人だ。ベートーベン・ソナタのCDを持っているし、リサイタルもオケとのコンサートも何回か聴いているが、どうも小粒と言うか、見かけに比べて演奏の迫力に欠けるきらいがあって、もういいやと、今回のリサイタルはパスするつもりだった。

しかし、劇場サイトでプログラムを見て仰天し、気が変わった。
1回のリサイタルでフォルテ・ピアノとモダン・ピアノの両方を使用するというのだ。

photo by Marco Borggrave

前半がハイドンで後半はメンデルスゾーンである。ピアノを弾くわたしはどちらも敬して遠ざけている作曲家だが、フォルテ・ピアノで弾かれるハイドンのソナタには惹かれる。
同好の士、バービーさんも興味を持ってくれ、同行してくれることになった。

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今回使用のフォルテ・ピアノは、1800年頃Michael Rosenbergerが製作したもの。Edwin Beunkのコレクションを借りたという。
舞台上、スタインウェイの手前にセットされると、その小ささがよく分かる。ペダルはない。
photo by Marco Borggrave

ブリリアントから出ている、フォルテ・ピアノによるハイドンのピアノ・ソナタ全集を持っているので、耳の練習用に1週間聴いた。耳を慣れさせるためである。
耳の慣れより、指の慣れにはもっと時間がかかる。フォルテ・ピアノを弾くテクニックとモダン・ピアノを弾くテクニックは全く異なるため、両刀使いのピアニストはいても、1度のコンサートにその両方を用いるということはめったにない。それはそうだ、タッチが違いすぎるから、移行にある程度の時間が必要なのだ。

演奏されたハイドンのピアノ・ソナタは、最後期の3つで通称ロンドン・ソナタ。ハイドンは、最後の4つのソナタにだけ、フォルテ・ピアノで弾くことを指定している。(それ以外はチェンバロもしくはフォルテ・ピアノのため、となっている)

「ハイドンの時代に、もしもスタインウェイがあったなら、作曲された曲は、今残るものとは全く異なったものになったはずだ。ハイドンは、フォルテ・ピアノの特徴を最大限に引き出すような曲を作った。だから、今回は特に、ハイドンの時代に製作されたフォルテ・ピアノを借りてきた」とブラウティガムは、演奏の前に説明した。

フォルテ・ピアノの響きは、ピアノの前身だけあって、特に高音部はちょっとチェンバロを思わせる。
フォルテ・ピアノで弾かれるハイドンは典雅で可愛らしいが、荘重な雰囲気にはならない。だから逆に、わたしはハイドンのソナタをモダン・ピアノで弾くのが苦手だ。異常に重苦しくなってしまうから。フォルテ・ピアノは弾いたことがない。

ヘーレン劇場のこじんまりさと音響が今回のフォルテ・ピアノにはよく合っている。
大きすぎる会場では困るし、一度小さなお城のホールで聴いたときには、オリジナルのフォルテ・ピアノ自体の音のせいなのか、低すぎる天井のためか、なんだか響きすぎるチェンバロ演奏を聴いているような気分になった。

休憩後は、フォルテ・ピアノは片付けられ、スタインウェイで、メンデルスゾーンの「無言歌集」より12曲の抜粋の演奏。
これも、弾くのが苦手な曲集である。手持ちのCDを聴いても好きな曲が見つからない。
しかし、ブラウティガムの演奏はよかった。特に後半の5曲は、ベートーベンみたいに勇壮である。この人、ベートーベンよりメンデルスゾーンの方が向いているんではないだろうか。以前に彼のリサイタルで聴いたベートーベンは、スタインウェイなのに、まるでフォルテ・ピアノのように頼りない音しかしないので、休憩中舞台に上がって自分で音を出して確かめたくなったほどだ。

今回は全曲、自分で譜めくりしながらの演奏であったが、手馴れたもので視覚的にもじゃまではなかった。

リサイタル後、ホールのカフェに入ると、ブラウティガムが座っていた。
写真を撮らせていただき、フォルテ・ピアノの行方を尋ねると、「借りものなので前半修了後、すぐに送り返した。」とのこと。
以前、ラジオのインタビューで「フォルテ・ピアノの演奏会を続けた後は、何日かモダン・ピアノに慣れる練習をしてから演奏会を行う。すぐには切り替えができないから」と言っていたので
その辺を確かめると、「そう、1度に両方のピアノで演奏するのはこれが2回目。1回目は4年前の東京。全くしないわけではないがレアだ。」と言う。
レアなリサイタルに遭遇し、ラッキーだった、楽しめた、と言って別れた。
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by didoregina | 2009-02-15 22:23 | コンサート | Comments(3)

オペラ出演者募集中

オランダのクオリティ・ペーパー、NRC経済新聞をずっと購読している。記事内容の面白さ、視点、切り込み方全てが好みにはまることも理由だが、記事および写真のソースを明記しているので信頼度が高いから読んでいて安心感がある。ナイメヘン大学のジャーナリズム比較研究者によると、この新聞でのソース明記率および独自取材率は他の新聞に比べずば抜けて高く、やはり高級紙であるイギリスのタイムズ紙が通信社記事に頼る率が増える傾向にあるのに比べても、その態度は評価されてしかるべきである。

さて、本日土曜日のNRC経済新聞は、メイン紙12ページ、経済紙12ページの計24ページのほか、タブロイド版で科学紙16ページ、オピニオン紙14ページ、土曜特別紙40ページが付くので、読み応え十分である。そのほか月に1度は特集雑誌が付く。

これだけページ数が多いと、広告の数ももちろんかなりだ。
その中で、ヤープ・ファン・ズエーデン率いるオランダ放送フィルRadio Filharmonisch Orkestがバス・クラリネットおよび第2クラリネット奏者と第一ホルン奏者募集、というものが、黒抜きの広告のため目を引いた。

そして、その下にあった、
ナショナル・レイス・オペララモー「イポリートとアリシー」公演でのダンサー募集というもの。

ナショナル・レイス・オペラは、オランダ北東部エンスヘデーに本拠地を置くが、フランチャイズ・ホールがないため、国中を巡業するオペラ団である。オランダには歌劇場はアムステルダムにしかないので、地方のオペラ・ファン向けのこういうドサ回りのオペラ団は絶対必要なのだ。
(ちなみにオランダ南部マーストリヒトに拠点を置くオペラ・ザウドも、同様の巡業オペラ団である。)

そのナショナル・レイス・オペラは、今シーズン最後6月にラモーのバロック・オペラを持って全国巡業するのだ。ポール・アグニューも出演するし、珍しいオペラでもあり、見逃せない。
そこに出演するバレエおよびモダンテクニックのダンサーを募集中である。

アメリカのダンス・オーディション番組 So you think you can dance のオランダ版が好きで、よく見ていたが、ファイナルに残ったジュリアという日本人(!)の女の子を応援していた。東京生まれでドイツで教育を受け、4年前オランダに来てダンスを勉強したという彼女は、25歳なのでほかのダンサーに比べて年はかなりいってるが、小柄で可愛く、ずば抜けたテクニックと信じられないほどの体の柔軟性が特徴で、彼女に優勝してほしかったが残念。でもベスト・フォーに入った彼女の健闘を称えたい。
ジュリアちゃん、オペラのダンサー・オーディションも受けたらいいのに。

それから、もうひとつ別のオペラ出演者募集というのが、ネーデルランド・オペラの5月6月公演「カルメン」。こちらはエキストラを多数募集中である。ロバート・カーセン演出のオペラ出演なんて一般人にはめったにないチャンスだ。アムステルダムに住んでいたら応募したかもしれない。




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by didoregina | 2009-02-14 15:51 | オペラ実演 | Comments(4)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

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プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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