カテゴリ:セイリング( 64 )

海の歌、青春の歌、みんなの歌

ヨットに乗ると、音楽は聴きたくなくなるから不思議だ。とにかく、エンジンを切った瞬間が最高で、風と帆と波の音だけの、日常生活から遠く離れた世界に浸れるのがうれしいから、音楽なんてなくてもいい。

でも、海の風景を見ていると思い出す歌がある。

NHK少年ドラマシリーズというのは、昭和の芸能における輝ける遺産だと思う。
「タイム・トラベラー」を、わたしと同年代の人で、当時見たことがないなんて人はいないだろう。

「つぶやき岩の秘密」というのも、不思議な名作だった。内容はもうすっかり忘れたけど、主題歌は絶対忘れない。石川セリ(!)が歌った「遠い海の記憶」である。
この曲の、甘酸っぱくも感傷的な歌詞と、石川セリのけだるい歌声の組み合わせが、全然NHKらしくなくて、しかも、少年ドラマシリーズの主題歌になるなんて、当時としてはかなりぶっ飛んでいた。

でも、現在ユーチューブで見つかるのは、その数年後「みんなの歌」で放送されたヴァージョンで、オリジナルの官能的な雰囲気が全くない、Jポップ独特の軽いリズムとアレンジで、あまり好きではないが、いたしかたない。オリジナルのテンポはもっと遅くて、歌声も暗かったのだ。波のうねりに揺れる船上の気分が出ていた。




当時から洋楽一本やりで日本の歌には全く疎いわたしだが、荒井由実(松任谷になる前)の「あの日に帰りたい」と「遠い海の記憶」だけは、噛むと甘酸っぱくてほろ苦い青春の味が染み出すようで、お気に入りである。



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by didoregina | 2009-05-17 17:23 | セイリング | Comments(8)

船上での食事    トルコでヨット三昧 その2

腹が減っては戦ができないので、腹ごしらえは重要だ。そして、戦場ならぬ船上生活をしていると、信じられないほどおなかがすくので、普段の何倍もの量を食べる。きっと波に揺られるフネの振動が胃の顫動を刺激するに違いない。

まずは、朝食。普段はパンにハム、チーズ、甘い塗り物と紅茶である。
それが、ヨットに乗ると決まってフル・イングリッシュ・ブレックファストが食べたくなる。体が要求するのだ。
しかし、トルコはイスラムの教えを守る人が多い国なので、豚肉の入手は困難だ。ベーコンなんてレストランやホテルの仕入れなど特別ルートでないと手に入らないようだ。そこで、鶏肉および牛肉ソーセージを代用にする。
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クルーザーなのでミニ・キッチンが付いているから、朝と昼は自分達で用意する。
昼食を抜くとこれまた戦意が高揚しないので、しっかり準備する。航行中は戦場なみであるので、朝のうちにツナサンドを作っておいて、操縦しながらほうばるのだ。この準備は、重要である。帆走中は、揺れる船内に長くいると気分が悪くなるから、作っておいたものを外のコックピットでさっと食べないと体が持たない。

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             朝食は、船内サロンでしっかりとる。

ただし、丁度おなかがすいた頃にきれいな入り江に到着して投錨、休憩ができる場合は、しっかり昼食も作る。その場合、冷蔵庫にハンバーグなどがあればいいのだが、冷蔵庫はエンジンがかかっているときと桟橋に電気供給がある場合しか用をなさない。エンジンを使った機走は入り江での投錨と接岸・離岸の時だけ行い、後はなるべく風を動力とする帆走をするのがヨットの醍醐味なので、冷蔵庫はあまり使い物にならない。2週間のうち桟橋に電気設備があったのは、出発港のグチェックと二回寄港したフェティエのみであった。電気の代わりに氷で冷やすという手もあるが、それ以外には町とか村にも寄らなかったのでお店というものがなく、氷の入手も不可能だった。

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             キッチンでハンバーグを焼く。

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             食べるのは外にあるコックピットのテーブル

また、航行中は禁酒が原則であるから、錨を下ろすまでは飲まない、というのが船乗りのマナーである。だから、その晩泊まる場所に到着すると、まずはビールかワインを一杯やりたくなるのが人情だ。そして、地中海地方の国では夕食時間が遅い。夜8時9時頃まで待てないので、ヨットをもやうとすぐにサラダを作る。これもなぜか恒例になっていて、やはり体がヴィタミンを要求するのだと思う。これで基礎体力温存のための腹ごしらえは万全である。

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しかし、人はパンのみにて生きるにあらず。おやつも食べたい。
なぜか塩辛いものと甘いものが交互に欲しくなるのも、船上食生活7不思議の一つである。
そのためにポテトチップスなどの塩味スナック菓子、チョコレートやクッキーなどを大量に買っておく必要がある。

また、船でアイスクリームなどを売りに来る場合もまれにある。
今回は、水上パンケーキ屋さんがやってきた。旦那さんが操縦して奥さんが船上で焼く。1枚5トルコリラと馬鹿げた高値であるが、その手さばきをみていると欲しくなってくる。団子状にした生地を杵棒でごくごく薄くのばすのが独特で、歯ごたえのあるクレープという感じになる。チョコとバナナ、チーズと香草というのを試してみたが、ロケーションが抜群のため味にもなんともいわれぬ雅趣がある気がした。

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by didoregina | 2009-05-14 11:50 | セイリング | Comments(4)

トルコでヨット三昧 その1

オランダ人には海洋民族の血が脈々と流れ続けているんだな、と実感できるのは、5月休みにギリシャ(去年)なり、トルコ(今年)なり、国内ならアイセル湖やゼーランド地方(おととし)をヨットでセイリングする時である。
4月最後と5月最初の週は、「5月休み」と称して2週間の休みになる学校が多いので、それにあわせてシーズンの始まったばかりのエーゲ海セイリングをすると、他の国ではまだヴァカンスの季節ではないので、行き交うヨットにはたいがいオランダの旗が翻っているのだ。

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個人でヨットを所有することが割と普通にできて、特別なことでもステータス・シンボルでもない国であるおかげで、わたしたちも6年前から長さ6メートルほどのオープンヨットを持っている。国内の水上用である。
とにかく水の上にいると心が落ち着き、波に揺られて潮風に吹かれるのが快感、水上では花粉症に悩ませられることもないし、とわたしと子供達にとって大層ありがたいことばかりで、家族揃ってできる数少ないスポーツでありホビーである。

5月休みや夏休みや秋休みには、太陽の下、地中海でセイリングしたくなるので、オープンヨットでは無理だ。それで、家族4人居住できるクルーザータイプのヨットを借りる。今回はBavaria 32という長さ約10メートルのマルス号。ドイツ製の普及型で帆走しやすいが、フランス製のに比べると居住性の面でやや劣る。

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今回のセイリング・エリアは、トルコ南西部、いにしえのリキア王国にあるフェキエ湾だ。
到着空港はダラマンで、チャーター・ヨットが係留されているマリーナは、グチェックという静かな町にある。
グチェックは、目抜き通りとそれに平行してレストランの立ち並ぶ海に面したブールヴァードと、かなり収容能力はあるが湾全部を利用した設計のおかげでゆったりしたマリーナだけの、観光的ではないこじんまりした町で、たたなづく山なみの姿が伊勢湾のように日本的で郷愁を誘う。

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オランダ人とイギリス人の間で特に人気のヨット・チャーターの形式に、蘭語でflottielje, 英語で flotillaというのがある。
個人でチャーターしたヨット同士が船団を組み、プロのリーダー船を中心に1週間なり2週間毎日港から港にセイリングする。到着の夕方と出発前の朝、顔を合わす以外は、各船自由にセイリングするのだが、リーダーからは、毎朝、その日の天候(風、波、気温・水温、荒天)、おすすめルート、ランチやシュノーケリングに適した投錨地、浅瀬に注意、などのブリーフィングを受け、エンジンや帆などにトラブルがあった場合は、リーダーが助けてくれるというシステムで、初めて航行する海域ではこれが安心の元なのだ。

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今回は、経済危機の影響か、1週目は3隻、2週目は4隻のみのフロッティラで、2週間セイリングするヨットは我が家だけだった。2週間とも8隻から10隻で組んだ去年のギリシャのフロッティラとは、たった1年なのに隔世の感がある。(ちなみに去年の5月休み初日のスキポール空港は、盆と正月がいっしょになった成田空港もかくやと思われる空前絶後の混雑で、空港建物内では満員電車のごとく文字通り身動きならず、建物の中に入れない人、チェックインできない人、チェックインしてもゲイトまでたどり着けない人が続出で、阿鼻叫喚の地獄図のようであった。もちろん飛行機の発着にも支障をきたした。)

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去年のギリシャ・レフカス島地方同様、今年のエリアにも港町はほとんどなく、毎日、このように静かな入り江の奥にたった一軒あるレストランの桟橋に係留するという、世塵から離れたまことに心休まる2週間であった。
リーダー合わせて12人だけの船団だし、入り江には1軒のレストラン以外全くないので、結局毎晩全員いっしょに食事をした。前菜とメインで一人30トルコリラというのがどこでもお決まりだった。約15ユーロである。トルコの一般的物価に比べたら高いが、係留料金とサポート料金込みだと思えば納得できる。何しろほかに選択の余地はない。

トルコ料理の調理方法は、炭火で焼くか煮込むかで、素材のうまみを生かしたシンプルなもので、口にあう。野菜が抜群に美味しく、ギリシャ料理のようにくどくない味付けなのがうれしい。

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4月の終わりなので、夜は冷える。キャンプファイヤーの火がありがたい。
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by didoregina | 2009-05-13 12:27 | セイリング | Comments(8)

ダーウィン・イヤー

今年は、ヘンデル・イヤーであり、ハイドン・イヤーであり、パーセル・イヤーでもあるが、一番わくわくするのは、ダーウィン・イヤーの催しだ。
(クラシック音楽界は、作曲家イヤーを祭り上げるのが好きみたいだ。それが生年にちなんだ年だけでなく、没後何年というのも祝われる。音楽手帳など見ると、びっしりと、何とかイヤーが書かれている。)

2009年は、ダーウィン生誕200年になる。これはやはりおめでたいから祝わなければ。というわけで、各地の自然博物館や動物園、大学付属研究所などがこぞって色んな催しを企画している。
その中で、白眉になりそうなのは、オランダのテレビ局VPROが35回のシリーズで放映する「ダーウィンの足跡を追って」と題するドキュメンタリー番組。ビーグル号の航海路を再現・航海して、ダーウィンの時代と比較して地球の自然がどのように変化したかなどを調査しつつ報告するらしい。いかにも、海洋国家オランダにふさわしい取り組みだ。
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ビーグル号の航海ほど、ロマンを求める心を刺激するものはない。ああ、行ってみたいな、ガラパゴスにパタゴニア!


ヨットを始めて6年目になるだろうか。オランダに住んでいると、セイリングはごく普通にできる。海や天然の湖以外に、河川や運河、人工湖がいたるところにあり、ヨットにもピンからキリまであるから、お金持ちだけのホビーではない。

河川敷の川砂を掘った跡にできた人工湖が近くにいくつもあり、内陸地方なのに、海岸や湖水地方に負けないくらいヨットが楽しめるのは幸いだ。人工湖の長所は、障害物がないことと、水深が比較的あり深さが岸辺まで一定しているので、セイリング可能面積が自然の湖に比べてずっと広いことだ。だから、ゼーランドやアイセル湖、ワッド海などに行くと、広さの割りに航海範囲が限られているのに驚く。

5月休み、夏休み、秋休みは、地中海や北海でセイリングをするのがここ数年のヴァカンスのパターンになっている。今年は、トルコと、クロアチアかデンマークとドイツの間のバルト海の予定だ。
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by didoregina | 2009-01-09 10:12 | セイリング | Comments(5)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

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名前:レイネ
別名: didoregina
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モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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