カテゴリ:セイリング( 64 )

ヨット用ブーツは信頼度と快適さが決め手

北海でのセイリングには、アイルランドのデュバリー社製のヨット用ブーツがほとんど並ぶもの
なし天下無敵である。
ヴェテランつわものスキッパーや北海での耐寒トレーニングを毎年行う夫も、口を揃えて勧める
のは、その中でも最高級モデルのアルティマだ。
外側は茶色の皮(表皮と裏皮のコンビ)で内側はゴアテックス、底は深い凹凸のないゴムで
滑りにくく防水・発汗・断熱に優れ、足にフィットし、海水に浸されても柔軟性が変わらず、頑丈
なので一生ものだと言う。

c0188818_19373770.jpg

          実用第一のスポーツ用品としては皮の色もデザインもおしゃれ。

しかし、特殊用途でさほど需要が高くない品物だから扱う店が限られ、調べると、家から一番
近いのは、約150キロ北のデン・ボッスにあるマリン・スポーツ専門店だった。
履き心地を試したいし、お店の人のアドヴァイスも欲しいから、通販は避けたい。

それで、デルフト・デートの帰りにちょっと遠回りしてデン・ボッスまで行ってみた。
木曜夜なので、店は夜九時まで営業しているのだ。

c0188818_1847256.jpg

          ご当地有名人、ヒエロニムス・ボッスの銅像。

専門店であっても、全てのサイズが置いてあるわけではない。一番小さいのが39だった。
分厚いソックスを履けばピッタリなのだが、店員によれば薄いソックスの方がよいから、サイズ
38が丁度よさそうだ。一週間半後に北海でセイリングするから、至急取り寄せてもらいたいと
頼んだ。
その間に精霊降臨祭があるから、取次ぎに時間がかかる。でも、翌週土曜までには入荷は
出来るはずだと言う。

c0188818_1854590.jpg

            修復が完了した聖ヤン大聖堂。

約束した土曜日には、コンセルトヘボウに『ファルナーチェ』を聴きに行く予定だったから、
デン・ボッスは丁度通り道だ。途中下車すれば、余分な交通費がかからず有り難い。

そして、木曜日にパリ日帰り旅行をした。
ルーブルで絵画を鑑賞中に、携帯電話が鳴った。
デン・ボッスのマリン・スポーツ店からの電話である。

「ご注文のヨット用ブーツなんですが」
「土曜日にそちらに伺います」
「土曜日にご来店されるのはかまいませんが、注文品を検品したところ、お客様のサイズが
入っていませんでした。」
「え、そ、それでは困ります。月曜日から北海に行くんですから。それで、至急取り扱いを
お願いしたのに」
「4日後の月曜ですか、11日後ですか?」
「4日後です」
「それでは、間に合いませんね。。。」

お互い、電話口でうろたえるのだった。
長電話になっても回りに迷惑だし、国際料金がかさむ。
「今、パリに居るんです。パリの専門店ならサイズがありそうですから、探します」
そう、宣言して電話を切った。

c0188818_1925244.jpg

         怒りと早まる動悸を抑えつつ、名画鑑賞。ジャン・フーケによる
         勝利王シャルル7世(1403-1461)の肖像画

そうは言うものの、パリのどこにそういう専門店があるのか、見当がつきかねる。
スマートフォンやタブレットがあれば、検索可能だが、普通の携帯電話しかない。
バスティーユとセーヌ川の間にあるアルセーヌ・ハーバー辺りなら、マリン用品専門店がある
かもしれない。。。。

結局、パリでデュバリーのヨット用ブーツを扱う店を探すのは諦めて、手持ちの長靴で月曜に
ゼーランド州シント・アナランドにあるマリーナに向かった。この村にもマリン用品店があるが、
欲しいモデルのブーツは置いてなかった。

そこから北フランスに針路を取り、友人の友人の別荘のあるトレポールに行く、というのが
第一案だった。
しかし、風向きが全く悪い。ベルギーおよび北フランスの海岸沿いは、潮流が速く満干の差が
非常にあるため、強い逆風だと距離が稼げない。向かっても向かっても進めないのだ。

第二案は、イギリスに渡るというものだった。これも、非常に悪い風向きであり、しかも暴風に
なりそうとの予報だ。
それで、第三案として、針路を北に向けることになった。
つまり、オランダ一周ということに変わってしまったのだ。風任せ・天候任せのヨットならでは。

c0188818_1922129.jpg

       一ヶ月も経たずに戻るとは思わなかった、スヘヴェニンゲンのマリーナ。
       前回と同じベルギー・ビール専門のカフェ・レストランで乾杯。


勝手知ったるここのマリーナには、大きなマリン・スポーツ用品店が2軒ある。
そのうちの一軒に入ると、デュバリーのアルティマが全サイズ揃っている。しかも、幅広足用
のエクストラ・フィット・モデルもあるので、同行のHもお買い上げ。
うれしいことに、デン・ボッスの店よりも30ユーロ安く、299ユーロなのだった。

c0188818_19364016.jpg

            頼もしいブーツをようやくゲットできた。
(日本語のオフィシャル・サイトを見ると、約6万円するから、ほぼ半額で買えたことになる)

履いているうちに、皮が足に馴染んできて、フィット感抜群。暖かいし、信頼度の高いブーツが
手に入って満足だ。
[PR]
by didoregina | 2012-06-21 12:43 | セイリング | Comments(2)

夏のヨット@クロアチアをアップグレード

4月5月と忙しかった仕事やアポも徐々に片付いている。
来週の月曜日から2週間の予定で北海セイリングと、7月にはクロアチアで2週間セイリングを
するので、ヨット・チャーター代およびウェアの費用捻出のために、仕事を増やしたのだった。
来週からのセイリングは、友人のTとH夫妻の持ち船Bavaria34に乗り組ませてもらうので、
ヨット・チャーター代金はかからない。

c0188818_0384738.jpg

         昨年サルデーニャでチャーターしたヨットは33フィートのParis号


ヴァカンス用に地中海でチャーターするヨットは、4人家族の我が家の場合、大体32から34
フィートである。大きければ居住性も操舵性も増すが、値段も急上昇する。
ヨットを借りる値段は、ヨットの大きさ、製造年、海域、期間によって左右される。
なるべくハイ・シーズンを避けて、夏のヴァカンスなら年頭もしくは年末までに早めに予約すると
早期割引やリピーター割引で最大15%も安くなるから、一年の予定を立てるときには、ヨット・
ヴァカンスの時期が一番大事なファクターになる。

c0188818_0415622.jpg

          エメラルド海岸にあるタボラ島の湾に投錨して一夜を明かした。


今年の夏は、イタリアのナポリ南方かクロアチアかで迷ったが、結局、様々な割引のきく
後者の海域でセイリングすることに決定したのは1月末だった。割引率が大きかったので、
ちょっと小さめだが32フィートのヨットを確保した。

c0188818_0435265.jpg

         サルデーニャのマリーナに停泊していたクラシックなJ型の
         シャムロックV号。流線型が美しい、正真正銘のヴィンテージ。


最近になって、日本に住む親戚の者が、今年は地中海セイリング・ヴァカンスに参加したいと
言ってきた。フリーでグラフィックやプロダクト・デザインをしている夫婦なので、急に仕事が
入るとヴァカンスはキャンセルせざるを得ない。6人用にヨットをアップグレードしようかどうか
様子を見ていたが、なんとか仕事を片付けて7月にはヨーロッパに来れそうなので飛行機の
チケットその他も予約したとの連絡が一昨日入った。

c0188818_0482286.jpg

         シャムロックV号の甲板上の金属類は全て銅製でぴかぴか。


32フィートのヨットに大人6人はかなり窮屈だ。寝る場所はサロンのソファーや外のコックピットの
ベンチを利用するにしても、昼間のセイリング中、6人がコックピットに座るのは辛いものがある。
真剣にアップグレードの可能性を検討すべきだ。

c0188818_0354232.jpg

            フランスのベネトー社製、オセアニス37フィート


チャーター会社のサイトを夜中に見ると、ラストミニッツ・オファーで36フィートと37フィートの
ヨットがわたし達のセイリングする海域のしかもどんぴしゃの期間に15%割引で出ている!
しかも、通常はベア・ボート(ヨットのみ)で5200ユーロのところ、フロティッラ、リネン類、
トランジット・ログ(書類)、ディンギー・ボート、船外機、清掃全てひっくるめて4300ユーロ
ちょっとになっている。すなわち、1000ユーロちょっとの追加料金で32フィートから36もしくは
37フィートにグレードアップできるということだ。(通常は、週ごとに別料金で、フロティッラ料金
の150~200ユーロ、リネン類一人15ユーロ、書類に70ユーロ、ディンギーに100ユーロ、
船外機に200ユーロ、清掃に100ユーロなどを払う)

そのチャーター会社の事務所はマーストリヒト市内にあるので、直接出かけてアップグレードを
頼んだ。36フィートは既に借り手が付いたと言うので、2008年建造の37フィートに即決した。
割引ニュースがサイトに乗ったのは金曜日で、当日すぐ照会が入ったが2日の猶予期間に最終
予約がされなかったというヨットがそれで、ぎりぎりのスライディング・セーフである。

37フィートというと長さが11メートルを超えキャビンも3室になる。今回借りるのは、Beneteau
Oceanis37で、特にコックピットが広くテーブルも大きく、ベンチに高低がないため大人数でも
座りやすいというまさに希望通りのタイプである。

c0188818_0372273.jpg

             ヨット内部見取り図


スキッパー付き以外では、こんなに大きなヨットをチャーターするのは初めてだ。
大型船は波と波の上に乗っかるので安定性が増し、帆の面積も大きくなるので速度も出せる。
しかも操縦の機能性もアップする。もちろん、船内およびコックピット面積も広くなるので居住性
も増す。まさに大船に乗った気分が味わえるのだ。
わくわく気分が高潮してきた。

c0188818_0512889.jpg

         サルデーニャのホーム・マリーナにあるカフェのテラスで。
[PR]
by didoregina | 2012-05-29 17:53 | セイリング | Comments(0)

日曜日には、川辺でビール

デン・ハーグから帰って、日曜日には恒例のマース川沿いの散歩。

c0188818_4394051.jpg


先週の日曜日には、マース川沿いの自転車道でベルギーのヴィゼとマーストリヒトを往復する
フル・マラソンが開催されていた。

c0188818_4282164.jpg

       対岸の山の上の聖ピーター教会とアンドレ・リューのお城。
       その手前には小さなヨット・ハーバー。

気温も湿度も高いから、行く先は涼しい噴水や水辺に面したカフェに決まり。
マース川沿いには、川風が気持ちよく吹き抜けるカフェはいくつかあるが、一番は何と
言っても、ステイオーケー(旧ユースホステルだが、オランダでは十年ちょっと前から
こんな名称に変わって、お手軽価格だが、場所によってはヒップな宿泊施設になった)
の川に張り出したカフェである。

c0188818_435552.jpg

        オランダのトラピスト、ラ・トラッペの白ビール!

ここのテラスに座っていると、水上のヨットのデッキやコックピットにいるのと変わらない
くらい水が近いので、涼風もさわやかなことこの上ない。大変お勧めである。

c0188818_4423197.jpg

       ステイオーケーの対岸には、アルド・ロッシ設計のボネファンテン美術館。
       お天気がいいから、遊覧船の上部デッキも大賑わいだ。

c0188818_4445349.jpg

       クロアチアでのヨット・チャーターを仲介しているエリックが4月から
       マース川と運河でのスルップという小型ボートのチャーターも開始した。
       そのスルップが2隻、マース川を走っているのを発見。


スヘベニンゲンでは、北海でのセイリングに必須のしっかりしたオーシャン仕様のジャケットと
海でのヨット・レースにも対応できるサスペンダー式ズボンを買った。
とにかく、防水と防風が完璧で縫い目にもテーピングが施されていること、外からの水分は
シャットアウトするが蒸れないように汗は外に逃がすことと、顔半分を覆うほど首回りがびっしり
詰まっていることが肝心である。
女性用のレース対応のズボンだと、サスペンダーの位置とファスナーに工夫が凝らされていて
両脇のファスナーを下ろすと、上着やサスペンダーを外さなくてもトイレに行けるのだ。
内陸部のヨット用品店では、そこまで専門的なウエアはなかなか扱っていない。Henri Lloydの
製品だ。動悸が速まるほどのお値段だったが、一生ものだと思ってクレジット・カードで支払った。

北海ではウェアがどれほど重要であるか、身をもって体験している。波をかぶって濡れると、乾く
暇はないのだ。それが10時間も続くと体力の消耗が甚だしく、危険である。

c0188818_5244541.jpg

       先週も今週も日曜日に同じ場所で日向ぼっこしていた白鳥の親子。
       父鳥はちょっと離れたところで睨みをきかせていて、近寄りがたい雰囲気。

あとまだ、ヨット用のブーツも要る。持っているのはMurphy & Nyeというイタリアのヨット・ウエア
のデザイン・ラインで、地中海とは異なる北海では実用的でない。可愛いデザインだが、紐通しの
穴から水が中に漏れるし、ゴムなので足が冷える。
主人もTも持っていて皆が勧めるDubarryのブーツを買おうとすると、もう一度清水の舞台から
飛び降りなければならない。。。
もう、2週間後には北海でのセイリングが迫っているから、ぐずぐずしている暇はないのだが。
湖や地中海でのセイリングなら、これほどの重装備は必要ない。

c0188818_5233959.jpg

[PR]
by didoregina | 2012-05-22 22:27 | セイリング | Comments(2)

ヨットとビールのシーズンの始まり

メンバーになっているヨット・クラブでは、ヨット・シーズンは4月から始まる。
冬の間陸に上げていた船を水上に戻す解禁日が、本日4月1日である。

c0188818_6105527.jpg

       毎年決まった桟橋Bに係留する。我が家のヨットと同型で
       青い帆布のカバーも同じヨットの隣が指定席。今日はまだ一隻のみ。

しかし、その前に船のメンテと整備をする必要がある。
空気は冷たいが、太陽が出ると日が当たる場所は暖かい。格好のメンテ日和である。
作業する人たちで、水上よりも陸上の方が賑わっている。

c0188818_61761.jpg

       船底に付いた貝殻や藻などの汚れは、陸に上げたときに
       落とした。今日は、船の上部のサンドかけとニス塗り。

c0188818_6195370.jpg

       こういうポリエステル製のヨットだったら、メンテの手間も少ない。
       クレーンで吊り上げて水に下ろす作業を見ていたら、なんと
       4,5年前仕事でお世話になっていた会社の人のヨットと判明。

今日の作業は済んだが、ニスが乾くまでカバーがかけられない。その間、クラブのカフェで
一休み。

c0188818_6275588.jpg

      テラスはまだ肌寒い。中に入ると今度は暖房が効いているので、
      ビールが飲みたくなった。ご当地ビール、リンデボーム醸造所の
      ピルスナー・タイプのスペシャル・ビール、グブヌーア140の生。

リンデボーム醸造所は1870年の創業で、2010年に140周年を迎えたのを記念して、
昔ながらの味わいのビールというイメージで作り出されたのが、グブヌーア140だ。

c0188818_6393997.jpg

      グラスの足元に注目。ちょっとアールヌーボー的な曲線になっている。

いかにもリンブルフのビールらしいきりっと苦味が利いたビールだが、喉ごしはマイルド。
丁度、ブランド(苦味が勝る)とアルファ(すっきり)の中間のような味わいで、とても
おしゃれな飲み口が気に入った。
使ってる水がよさそうだ。ドラフトだと澄んだ色だが、瓶入りのは後発酵が進み少し濁るらしい。
アルコール度数は5.5%。次回は、グブヌーアのブロンドとダークなドゥブルを試したい。
[PR]
by didoregina | 2012-04-01 23:54 | セイリング | Comments(0)

飛龍のごとく、セイル・アウェイ!

暖冬から一変して、酷寒と雪のヨーロッパ。
窓の外の雪を愛でつつ、一年の休暇予定を立て、予約しないといけないものは予約した。

c0188818_1703954.jpg

         ピアノのレッスンのあるお城の玄関ホールからの眺め。
     
予約しないといけない、というのはチャーター・ヨットの割引が大体1月末までだからだ。
この十年近く、我が家のヴァカンスといえば、セイリング中心である。

4月に主人は、恒例の北海セイリング・トレーニング(耐寒訓練とわたしは呼ぶ)を行う。
オランダ北東部のフリースランド州ハーリンゲンから、アイセル湖とワデン海を経て、イギリスの
ハリッジまで北海を横断し、ラムズゲイトとドーヴァーに寄港して、フランスのブーローニュまで
海峡を渡るルートを一週間で走破という、わたしには考えただけで身震いのくるプランである。

6月には、HとTのクルーザー・ヨットで、オランダ南西部のゼーランド州から、北海をベルギーの
海岸沿いに南下して、フランスのノルマンディーまでセイリングして戻ってくる予定だ。
一応予定では、彼らの友人の別荘のあるノルマンディーまでということになっているが、風向き
しだいでは、航路を変更してイギリスに渡ることになるかもしれない。
あまり無理はしたくないので、10日から2週間の余裕を見て休暇をとってある。

今回は、わたしもケータリング・クルーとして同行する。34フィートのヨットに夫婦二組の大人4人
だから、人員構成としては丁度いい。ただし、狭い空間に四六時2週間近くいっしょに過ごすことに
なるから、よっぽど気があう人同士でないと辛いものがあるだろう。
また、北海セイリングは地中海とは全然別物であるから、着るものもしっかり準備しないといけない。
それにお金がかかるのが辛いところである。
コースタルまたはオーシャン仕様のジャケット、ズボン、ブーツ、浮力の高い自動膨張式ライフ
ジャケットその他を揃えると、ボーナスも一度に吹っ飛ぶ。比較的需要が少ないから、元々高価な
上にバーゲン割引率も低いのだが、命に関わるものだけに、ケチるわけにもいかない。

c0188818_1712121.jpg

         お城の周りの堀にも氷が張っている。


そして、夏のヴァカンスには、一家全員でクロアチア南部を2週間セイリングすることに決めた。
イタリアのナポリ南部にあるサレルノからシチリア島近くまでのワンウェイ・セイリングというのも
魅力的で、色々比較検討したのだが、スプリットからドゥブロフニクまで島々を回るコースのフロ
ティッラに参加することにした。これで、クロアチアの海岸線は北から南まで制覇することになる
はずだ。
クロアチア南部には有名な観光地が多いので、ナポリ以南のイタリアよりもずっと物価が高いが、
ヨットのチャーター代金は、フロティッラのメッカであり、マリン・スポーツのインフラ充実に力を入れて
いるクロアチアの方が断然安い。イタリア南部では、多分来年セイリングすることになろう。

チャーターするヨットを詳しくチェックしていると、色々と問題点も見えてくる。
4人家族なら最低でも34から36フィートのヨットを借りたいところだ。
イタリアではサローネ34というのが魅力的なお値段だった。しかし、このヨットの設計図を見ると、
メインセイルのブームがとても長く舵の近くまで来るため、ビミニという日除けが舵手の頭を覆うだけ
になり、航行中、他のクルーは日に焼かれることになりそうだ。
以前、クロアチアでやはり34フィートのレース・タイプのクルーザー・ヨットを借りたときにもビミニが
非常に小さくて、日陰争奪戦が熾烈だった。その苦しみを思い出し、サローネのビミニの大きさを
問い合わせたら、やはり小さいということがわかった。残念だが、このヨットは避けよう。
そうすると、イタリアではあまり小さなヨットのチャーターがないので、値段が一挙に上がる。

地中海でのフロテッィラでは自然の湾に投錨することが多いので、錨のチェーンの長さも重要だ。
強風時でもしっかりとヨットを固定するために最低50メートルは欲しい。ところが、やはり以前、
エルバ島でヨットをチャーターしたとき、最初の30メートルは鉄の鎖だが残りはロープになっていた
ことがあった。
これも借りる前にチェックしたい点であるが、そういう細かい情報はなかなか事前に知ることが困難
なのである。

結局、クロアチアで借りるのは、32フィートのサン・オディッセイというフランスのメーカーのヨットに
決めた。大人4人ではちと窮屈だが、お値段はぐっと安くなる。
島々を巡り、入り江に投錨し、たまには大きなマリーナにも係留し、トロギール、スプリット、
コルチュラやドゥブロフニクなど元ベネツィア領の美しい町に上陸することになるだろう。子供達も
自然美を堪能するだけでは満足せず、ヴァカンスでも町が恋しい年頃である。


ヨットのチャーター予約が済んだところで、別の会社のブロシャーを見ると、カリブ海フロティッラが
あるではないか。マルチニックからグレナディンまで、フランス領や英国領の島々を2週間自分で
ヨットを操舵してセイリングする。11月ならお値段もほどほどだ。いつか、こちらにも飛んでみたい。
[PR]
by didoregina | 2012-02-06 09:54 | セイリング | Comments(2)

リニューアルしたアムステルダムの海事博物館

家族全員、海洋とか海事とか船舶には目がない。各地にある海事博物館や歴史的船舶の
レプリカなどを訪問・見学するのを楽しみとしている。
アムステルダムの海事博物館Het Scheepvaartmuseumは、2007年から改修工事を行って
いたのが、ようやく2011年10月に完成。リニューアル・オープンした。というより、ほぼ全く新しい
博物館になったというほうが正しいだろう。

c0188818_18333734.jpg

      外観は兵器倉庫そのまま。1655年にDaniel Stalpaertが設計。
      古典様式の威容とエレガンスが同居し、水辺に映える。

c0188818_18355150.jpg

      外からは全く見えないが、四辺を取り囲まれた中庭が
      新たな付加価値。34x34メートルの天井にはガラスと
      鉄鋼のクーポラが取り付けられた。
      石を敷いた床には特殊防音が施され、レンガとガラスで閉鎖
      された空間なのに音がこもらない。残響は3,3秒。

c0188818_18404068.jpg

      ガラスと鉄鋼で出来た天井は、ブリュッセルのNey + Partnersによる
      技術設計・施工。1000個以上の三角、四角、五角、六角形の各々異なる
      ガラス(60トン)と全長2200メートルの鉄鋼(150トン)から構成され、
      86箇所の交点にはLEDが内臓され、下から見上げると天空のイメージ。
      ガラスには遮光・断熱・強化加工が施されている。


博物館全体の再開発設計は、Liesbeth van der Pol女史率いる Dok Architectenが
2005年に請け負うことになった。ファン・デル・ポル女史は、2008年から2011年までオランダの
建築家の最高峰ともいえる地位のRijksbouwmeester(Government's architect)という
役職についている。

そして、天井のイメージとデザインの元になったのは、海図のコンパスローズ(羅針図)だという。

c0188818_18513657.jpg

      上の写真と比べると一目瞭然。いかにも海事博物館にふさわしい。


ファン・デル・ポル女史の描いた博物館のイメージ画を見て、実物の博物館と比べると、ほぼ実際に
イメージが具現化されているので、びっくりする。

c0188818_1915867.jpg

       過去の栄光が博物館という小宇宙の中を飛遊する。
       時空の概念と実在の建物および展示物が、絶妙に
       空間に配置され、軽やかに浮遊している。


例えば、16世紀、17世紀、18世紀のキャビン・コンパスの展示室では、暗い空間に星空のような
照明で、王冠の形をした羅針盤が宙から吊るされ、下から羅針盤が覗けるようになっている。
ロマン溢れる展示方法だ。

c0188818_19123713.jpg

       王冠型の羅針盤が四方からと下からもよく見える。

博物館の白眉は、様々な地球儀と天体義のコレクションで、一つ一つの全体像が見えるように展示
されている。(一部、見えにくいものもあるが)
その展示室にいると、まるで、自分が大航海時代の世界発見の旅の渦中にいるような気分になる。

そして、各種船舶の模型の展示も素晴らしい。
船の模型は、大概どこの海事博物館にも沢山あるのだが、様々な時代の様々な型の船が
ごちゃごちゃと並べてあるのが普通で、印象が散漫になるような展示方法なので感心したことがない。
しかし、ここでは、ガラスの大きなケースの中に入った様々な船の位置に、上下左右に移動できる
モニターの照準を合わせると、インターアクティブで説明が現れるのだ。楽しく長居が出来る。

それから、素晴らしい海戦図などの海洋画のコレクションも堪能できた。
東インド会社、西インド会社などの商人の家族の生活を、フェルメール風の凝ったカメラワークの
実物大の動画で説明するのもわかりやすくてよかった。

しかし、結局、海事博物館というのは、海運国家および世界帝国としてその昔君臨した国の
過去の栄光を誇示するものなので、その国の黄金時代の歴史に興味のない人には、全く面白みが
感じられないどころか、帝国主義的発想とその成果を集めた展示物に呆れてしまうかもしれない。

古い建物の構造をなるべく生かした内部は、階段が異常に狭いため上下昇降の人がすれ違うのが
ほぼ不可能なのが難である。
トイレの数が沢山あり、最新デザインの機器も内装も美しいのは、非常によろしい。
美術館や博物館では入るのがお約束のカフェ・レストランだが、ここはオープンして間もないため
異常な込みようだったので入るのは諦めたが、中庭で軽食が買える。

c0188818_1244048.jpg

        アムステルダムの町の中心まで歩いて、ダム広場の王宮裏手に
        あるショッピング・モールMagna Plaza(当時のRijksbouwmeester
        C.H. Peters設計で1895~1899年に建造の擬古ゴシック・ルネッサンス)
        の中に入っているカフェOvidiusでくつろいだ。ここは、なぜかウィーン的な
        味わいのある落ちつけるカフェで、カプチーノが美味しかった。
[PR]
by didoregina | 2011-11-15 11:37 | セイリング | Comments(2)

コルシカ島へ    エメラルド海岸セイリング記番外編

サルデーニャ島の北に位置するコルシカ島へは、ヨットで半日のセイリングだ。
エメラルド海岸からマッダレーナ諸島を右手に見ながら北上する。島と島の間は海峡になるので
この海域では風がいつでも強い。

c0188818_17482923.jpg

        コルシカ島南部のボニファシオを海から臨む。

まるでイギリス南海岸のように白亜の切り立った崖が屹立する様と、海の青のコントラストが
目にまぶしい。情緒満点の美しい風景である。

c0188818_17505935.jpg

        切り立つ断崖の上に立つボニファシオの上町。

c0188818_175293.jpg

        まるでイギリスのドーヴァーかセブン・シスターズのような
        白亜の崖の海岸線。

c0188818_17544714.jpg

        ボニファシオの港は、フィヨルドのような細長く深い
        入り江の奥にある。文字通り天然の良港だ。
        様々な大きさのヨットやモーター・ボートやフェリーその他が
        行き交い、恐ろしく混雑している。

c0188818_17562533.jpg

        町のど真ん中のマリーナ(電気と水道のある桟橋)に舫った。
        フロティッラ・リーダーの長期に及ぶ交渉が実ったおかげ。

多い週には12隻のヨットで船団を組むフロティッラなので、マリーナや湾などで全員の場所を
確保するのは、ハイ・シーズンともなると大変だ。お金で解決できれば、そうするのが一番。
港に面した通りにあるレストランのオーナーと冬から交渉して、フロティッラ参加者全員がそこで
食事することを条件に、通常は予約不可の桟橋を確保したリーダーの手腕に、皆感謝した。

フィヨルドに入っていくと、ゴムボートに乗ったマリネーロ(マリーナでヨットを誘導するクルー)が
近寄って来て、港は満杯だから引き返すように言われる。しかし、「ゴーファン・セイリングで予約
してある」と言うと、港の奥に確保してある桟橋まで誘導してくれる。風が強くて接岸に難儀すると、
バンパー状に硬く強化してあるゴム・ボートの舳先でヨットの舷を押してサポートしてくれる。
その手数料として10ユーロ取られたが。(プラス一泊約70ユーロの停泊料金。トイレ・シャワーは
ないが、レストランのトイレを使わせてくれる)

c0188818_182377.jpg

           大漁旗をなびかせている日本のヨットを発見。

コルシカ島は、イタリア領のサルデーニャから目と鼻の先だが、フランスに属する。港の雰囲気が
がらりと変わるから面白い。異国情緒さえ感じる。

桟橋確保と引き換えに夕食を取ることになったレストランは、もちろんフランス料理で、定食ムニュは
3コース18ユーロまたは22ユーロだった。これも、信じられないほど安い。(オランダでは、普通の
カフェ・レストランでも20ユーロ以下でメイン一皿はなかなか食べられない)
22ユーロのムニュからわたしが選んだのは、魚のスープ(正式なブイヤベースを頼むと最初に出て
くるのと同じ、岩魚を煮出して砕いたトマト味のスープ。ルイエと硬くグリルしたフランスパン付き)と
魚の盛り合わせに、アイスクリームだった。魚の盛り合わせの調理法がいかにもフランス風で、クー
ル・ブイヨンで煮たあっさり味にクリーム・ソース。

c0188818_18215886.jpg

             夜のボニファシオを散策。

c0188818_182556100.jpg

             翌朝、同じ坂道を登って早朝の散歩。

c0188818_18265471.jpg

             坂の上から眺めたボニファシオの下町と港。

c0188818_18281349.jpg

             坂を上り詰め、反対側(海側)の崖を下る。

c0188818_18291611.jpg

             朝なので人気が少ない。澄みきった水辺。

c0188818_1830211.jpg

             白亜の崖と奇岩の続く海岸。

散歩の帰りに、焼きたてのクロワッサンを買って帰った。イタリアのパンは固くて味気ないのが
多いので、久しぶりのクロワッサンが非常に美味。港に面したカフェ・テラスでゆっくりとカフェ・オ・
レを飲んだ。桟橋に着けたのも久しぶりで、お尻を濡らさずに上陸できるので、ゆったりした落ち
着ける気分になれる。
昼食および夕食用に、ソーセージとコルシカ島の子牛を買った。皆、ボニファシオがすっかり
気に入った。

フロティッラ・リーダーが言うには、来年は2週間でサルデーニャとコルシカ両方をセイリングする
フロティッラを企画中。そうなったら、ぜひまた参加したい。
[PR]
by didoregina | 2011-08-06 11:42 | セイリング | Comments(4)

エメラルド海岸セイリング記その5 荒天時の過ごし方

セイリング・ヴァカンスの2週間ずっと好天が続けばいいのだが、大概1日くらいは荒天になる。
今回は、強風のため2回計3日間足止めを食らった。

c0188818_352312.jpg

        投錨したカラ・ディヴォルペから強風のため出航できず、
        暇を持て余した2日目はゴム・ボートのレースを開催。
        風力6~7なので静かな湾内にも白波が立っている。

c0188818_3562615.jpg

        買い物やレストランでの食事には、ゴム・ボートに乗って陸へ。
        船外機が活躍した。(風が強すぎて手漕ぎでは危険だし無理)


フロティッラのリーダーは刻々と変わる気象情報を集め、風向きから判断して安全な港や投錨地を
選ぶ。参加艇が12隻と多いから、安全な場所確保もタイヘンだ。
そして、風力6以上では何か起きた場合フロッティラの保険が下りないので、出港を停止する。
強風の中、セイリングはできても、その後無事に入港・係留できる保障はないからだ。実際、強風で
コントロールがきかず、桟橋に上手く係留できなくて、隣のヨットや桟橋にぶつかり船体に傷つけた
ヨットもあった。

c0188818_433550.jpg

        2週目の後半はラ・マッダレーナに3泊を余儀なくされた。
        港の桟橋に係留してもヨットは揺れにゆれ、コックピットに
        波しぶきがかかる。轟々たる風の音に耳が痛くなる。
        写真だと揺れも風の凄さももわからないが。

c0188818_513498.jpg

          夕立のような驟雨が上がって、虹が出た。

コックピットにいるだけで波しぶきでぬれるし、船内にいると揺れで気分が悪くなる。なにより、ビュー
ビューと鳴る風の音で頭がかき乱されて落ち着けないから、晴航雨読という具合にはいかないのだ。
そこで、陸に上がって散歩や観光をするのが、荒天時のキマリ。

c0188818_413165.jpg

          ラ・マッダレーナの町の路地裏。
          陸では風もさほど強くない。

c0188818_4135939.jpg

          夜になると広場に屋台が沢山出る。
          陸は毎晩賑やかだ。
         
小さな町なので歩きつくして、さすがに飽きたので、3日目はフェリーに乗って対岸のパラウへ。
ヨットのヴァカンス中にフェリーを使ったのは初めての経験だ。

c0188818_4171944.jpg

         サルデーニャ本島とマッダレーナ島を結ぶフェリーは、
         数社が運行して、ほとんどひっきりなしに往復している。

c0188818_4185627.jpg

         パラウの海岸。ヨットからでなくて陸から海に出るのは
         新鮮だ。砂浜に松林、巨石の奇岩のあるキレイなビーチ。

c0188818_4243669.jpg

         ラ・マッダレーナでいろいろ試したうち一番美味しかった
         ジェラートの店。手作りでミルト(サルデーニャの果実酒)味
         や、オレンジ・ピール入りチョコレートなどがおいしかった。

c0188818_4265391.jpg

         ニョッキに似たマッロレッドゥスというサルデーニャの
         フレッシュ・パスタを買ってきて、ヨットで自炊。

c0188818_4292550.jpg

         海老のトマト・ソースと相性抜群だった。

   
[PR]
by didoregina | 2011-07-30 21:33 | セイリング | Comments(2)

Seven Seas 輝ける7つの海  エメラルド海岸セイリング記その4

アサヒ・コムの速報ニュースで、スティーヴン・スピルバーグがヴァカンス先のイタリアのビーチで
モーター・ボートを爆走し罰金を食らう、という記事を読んで笑ってしまった。

c0188818_1844417.jpg

Seven Seas

ネット上の様々な情報を総合すると、7月11日にスピルバーグは、ゲストのグウィニィス・パルトロウ
を乗せてメガ・クルーザー Seven Seas号からスピード・ボートでラ・マッダレーナ島の砂浜に近づき
轟音と共に暴走。浜辺の人からの通報で駆けつけた沿岸警備隊に罰金約2万円を課せられた。

c0188818_17562087.jpg

        エメラルド海岸南部にあるTavolora(テーブル島)の南岸。
        海から垂直に屹立し圧倒的なマッスで迫る島が北風を防いで
        くれる。フロティッラから離れてここに投錨して一夜を過ごした。
        

丁度、私達も10日から同じ海域でセイリングを開始していたから、Seven Seasとは、多分どこかで
すれ違っただろう。Seven Seasは時価280億円らしいが、その程度のクルーザーなら、エメラルド
海岸には履いて捨てるほどいた。

英語やオランダ語のネット記事によると、そのクルーザーは、昨年オランダのアルブラッサーダムに
ある造船所で完成し、スピルバーグ自らが取りにやってきたらしい。(ただし、ドックにいた技術者は
スピルバーグ本人が来たというのは作り話だとも証言している)
船籍が英領ケイマン島になっているのは税金逃れのためのお約束だ。

全長86メートルのクルーザーには、図書館完備のアン・スイート・マスター・ルームのほか、VIP
ルーム2部屋およびゲスト・ルーム4部屋に計12人のゲストを迎えられる。クルーは26人。
通常の映画室のほか、室内プールに投影して泳ぎながら映画が見られる設備もある。
デッキ上には屋外プールが2つあるが、ヘリ発着時には自動的に水が抜かれ底がせりあがり、ヘリ・
ポートになる。週100万ユーロでチャーター出来るという。


c0188818_1805229.jpg

        テーブル島の南端から細長い砂洲が伸びている。  
        レストランが一軒あるほかは無人島であるここまで、
        小さなモーターボートに乗った行楽客がやってくる。
        昼は賑わうが、ここで夜を明かしたヨットは私達だけだった。
        2週間のフロティッラの場合、1週間で参加メンバーが
        変わるので、週末は1隻で航海のベア・ボートになる。
        フロティッラから離れて、小さな湾に投錨した3泊は
        楽園のような所ばかりだった。

このメガ・ボートSeven Seasは、なかなか豪勢な仕様である。(リンク先ページの
Discover Oceancoをクリックして Yachts 2005 onwardsから Y706 Seven Seasを選ぶ)
オランダでは、豪華クルーザーやスーパー・ヨットなどの造船が結構盛んだ。
デルフト工科大学の海事技術学科は、卒業後に技術を生かせる就職率ほぼ100%で、
学んだことが即仕事に繋がりサラリーもいいというので、長男に進学を勧めたのだった。
オープン・キャンパスに出向いて説明を聞くと、船の設計は物理・力学がメインのため退屈そうだと、
長男は建築学科を選んだ。スーパー・ヨットの設計なんてすごく面白そうなのに。

海洋は傍から見ればロマンの宝庫だ。しかし、それに携わる仕事は結構地味なもの。それが
現実。


        クイーンの『輝ける7つの海』Seven Seas of Rhye
        1975年初来日の時の映像が被さって、ファンには感涙モノ。
[PR]
by didoregina | 2011-07-27 11:21 | セイリング | Comments(0)

クルーザーとヨットは犬猿の仲? エメラルド海岸セイリングその3

クルーザーとヨットは、同じ海上、同じ湾内、はたまた同じマリーナにいても、双方相容れない
ものがある。互いに敵対視しているわけではないから、犬猿の仲、というのは当たっていない。
ペットを飼う人が猫派と犬派に分かれるように、クルーザー派とヨット派を分つのは、単に好みの
問題にすぎない。
ただし、双方とも自分の好みには絶対の自信があるので、蓼食う虫も好きずき、という憐憫に
近いものを感じながら相手を眺める。

ヨット派でよかった、という幸せを感じるのは、海上でイルカに会えた時だ。

c0188818_6491956.jpg

       写真ではよくわからないが、親子のイルカが3頭
       私達のヨットの下や周りや別のヨットとの間などを
       泳いだり跳ね上がったりしてくれた。
       海と同じ紺色なので、写真ではいるのかいないのか。

イルカは音に敏感なので、エンジンのモーター音を響かせて機走している船には近づかない。
風任せで進むヨットの帆やロープやその他のきしむ音は好きなようで、近くに寄って来ては
じゃれるように泳いで行く。地中海や北海でも、今までのセイリングでイルカに出会わなかった
年はない。

かように静寂を好むのはイルカだけではない。ヨット派は、皆、風と波の音だけの世界に浸る
ことを非常に愛するエコ派とも言える。
その証拠に、2週間のセイリングで使用したディーゼルはたったの23ユーロ分だった。
帆走している分には、燃料はいらない。
水だって惜しみつつ大切に使う。(水道の通じた桟橋に来ることがあまりなかったからだが)

c0188818_734878.jpg

       投錨した湾で、朝起きて天気がよかったら、
       そのまま海に飛び込む。運動と水浴びを兼ねて。
       シャワー使用は海水を洗い流す程度に抑える。

それに対して、クルーザーが使う燃料と水は莫大なものになる。とにかく全てをぴかぴかに
していないといけないので、なんでも水でジャブジャブ洗い流すし、モーター・ボートは風力では
微動だにしないから、燃料を使った動力で動かすしかない。

出発したマリーナに最後に戻ると、レンタ・カー同様、使った燃料を補給して満タンにして返す。
そのための水上ガソリン・スタンドがマリーナにはある。水のタンクも桟橋で満タンにする。

c0188818_7283525.jpg

       ヨットとモーター・ボートとヘリコプターまで搭載した
       メガ・クルーザー。トルコでは、こういうのが港に近づくと
       「ビル・ゲイツが来た」などと言っていたが。 

しかし、私達は見た。でかいクルーザーに、陸から呼び寄せた燃料補給車からディーゼルを
入れているのを。それは、まだ許す。なぜか消防車がメガ・クルーザーの桟橋に来ていた。
怪訝な目の私達を尻目に、桟橋の水道蛇口からの普通のホースでは追いつかないらしく、
消防用の太いホースで消防車から大量に水を補給していた。これには、あきれてしまった。

c0188818_7194642.jpg

       ヨットでのセイリングは、水上でキャンピングしているようなもの。
       シャワーのついでに洗濯して干す。風ではためいて強い陽光で
       すぐに乾く。
       陸では山火事。散水のため飛行機やヘリコプターが飛んでいた。

地中海地方では、夏に山火事がとても多い。毎年どこかで出くわす。
海や湖から飛行機やヘリが汲んで、空中から放水する。消防車では間に合わないのだ。

カラ・デ・ヴォルペというこの湾には、同名のホテルが建っている。サルデーニャで1,2を争う超
高級リゾート・ホテルで、一泊20万円は下らないそうだ。同じ湾には、超豪華クルーザーが沢山
停泊していて、小型モーター・ボートが、ホテルとの間をひっきりなしに往復していた。小型といっても
3人はクルーが乗り込んでいるのが普通だ。(クルーは皆白いユニフォームだからすぐにわかる)

呉越同舟ではないが、わたしたちのフロティッラも同じ湾に投錨していたので、風景や海は共有。
しかし、クルーザー派とヨット派との交流は全くない。興味の接点がないのだから仕方ない。
ここでは、陸に上がるとピザも普通料金の2倍だった。しかし、湾内に投錨する限り停泊料はタダ。
メガ・クルーザー族の華やかなヴァカンスの様子を垣間見ることができた。









      
       
[PR]
by didoregina | 2011-07-27 00:48 | セイリング | Comments(4)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


最新のコメント

Vermeerさま、多分..
by レイネ at 01:38
トマスのソロ・コンサート..
by Vemeer at 01:25
Vermeerさま、この..
by レイネ at 20:56
詳細なレポート、楽しく拝..
by Vermeer at 18:02
ロンドンの椿姫さま、それ..
by レイネ at 17:03
大満足のマスタークラスで..
by ロンドンの椿姫 at 23:41
鍵コメさま、ヴェロニカ・..
by didoregina at 18:57
Mevrouwさま、北海..
by レイネ at 18:46
レイネ様も怒涛の更新で、..
by Mevrouw at 23:33
Mevrouwさま、サー..
by レイネ at 22:10
Mevrouwさま、夏の..
by レイネ at 22:05
新作オペラに挑むのは本当..
by Mevrouw at 20:56
クロアチア~ベネチアを自..
by Mevrouw at 20:27
Mevrouwさま、ご高..
by レイネ at 20:19
ようやく一息つける日なの..
by Mevrouw at 19:57
Mevrouwさま、癒し..
by レイネ at 16:49
このところネットからも音..
by Mevrouw at 16:37
斑猫さま、もうすでにパリ..
by レイネ at 16:57
ロンドンの椿姫さま、まさ..
by レイネ at 16:54
こんにちは CT研究会..
by 斑猫 at 00:16

以前の記事

2016年 11月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 06月
2015年 04月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月

タグ

最新のトラックバック

究極の愛を描いたワーグナ..
from dezire_photo &..
バッハが人類に残したメッ..
from dezire_photo &..
バッハが『ロ短調ミサ曲』..
from dezire_photo &..
ルター派のプロテスタント..
from dezire_photo &..
ダンテの『神曲』 ”地獄..
from dezire_photo &..
ポン=タヴァン派、総合主..
from dezire_photo &..
倉冨亮太さんの繊細な美し..
from dezire_photo &..
ダイナミックで刺激的な多..
from dezire_photo &..
贅沢と快楽に生きる娼婦な..
from dezire_photo &..
バッハとヘンデルの音楽性..
from dezire_photo &..

カテゴリ

全体
バロック
映画
オペラ実演
オペラ映像
オペラ コンサート形式
着物
セイリング
コンサート
美術
帽子
マレーナ・エルンマン
イエスティン・デイヴィス
クイーン
CD
20世紀の音楽
旅行
料理
彫金
ビール醸造所
ベルギー・ビール
ハイ・ティー
サイクリング
ダンス
ハイキング
バッグ
教会建築
カウンターテナー
演劇
未分類

検索

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

音楽
映画

画像一覧