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Sailing to Venice その3 アドリア海からヴェネツィアに

クロアチアのウマグからヴェネツィアに渡ったのは、プーナットのマリーナ出発から
5日目の木曜日だった。予定通り、7時半に出航。
ウマグから西に向かってアドリア海を横断する航路で、広い海に出ると特に難所はない。
途中、トリエステに向かう商業船航路であるシッピングレインを直角に超えなくてはなら
ない程度。
この日もほとんど1日中凪いでいて、海には波もなく、表面はとろりとして油のような
滑らかさ。ヴェネツィアまでの約50海里のほぼ全航程を機走。距離を稼がないといけない
航程では、風力が少ないとエンジンを使って航行ざるをえないのが残念である。

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午後2時半頃、ヴェネツィアのラグーナに入る。浅瀬が多いため、点々と杭が立っていて
掘り下げた水路を案内してくれるわけだが、やはりナヴィの機械表示に頼る。
遠くからぼうっと霞むヴェネツィアの島々が近づいてくると、長年の憧れがついに実現
することの嬉しさと緊張が刻々と高まる。


予約したマリーナは、本島とリド島の中間に位置するチェルトーザ島にあるのだが、まず
ヨットでどこまで町の中心まで行けるのか試すため、サン・マルコに舳先を進めてみた。
するとなんと、サン・ジョルジョ・マッジョーレ島を越えて、ジュデッカ島を左に見て、
ほとんどサン・マルコ広場正面までヨットで進入できた。

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観光船や水上バス、モーターボートが行きかうが、ここまで来るヨットは珍しいらしく、
私たちは他の舩に乗った観光客達の格好の被写体で、皆、手を振ってくれる。
我らも、ヨットの上からサン・マルコの写真を撮りまくる。

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サン・マルコのほぼ正面まで来た。その先の大運河は狭くて、水上バスやゴンドラ、モー
ターボートで身動きとるのも大変そう。ここで引き返す。

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チェルトーザ島まで戻り、予約していたマリーナに無線で知らせると、北からそれとも
南からのアプローチですか?と訊かれる。南からと答えると、マリーナ入口までクルーが
ゴムボートで迎えに来てくれた。そこから細長い川のような浅瀬を奥深く進み、ほとんど
最奥の浮橋に案内してくれた。水上バスが発着する島の入り口から歩いて10分近くかかり
そうだ。

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ヨットの近くにはいつもヤギが4匹。ヤギのいるマリーナというのも珍しい。

このチェルトーザ島にはマリーナの他、小さな造船所とレストラン付きホテル一軒以外は
なさそうで、島の大半は公園になっている。
とても静かで、まるでどこか孤島のキャンプ場といった趣。
マリーナに舫っている舩も大半は地元民のレジャー用と思しく、外国からわざわざ来て
係留したりする人は極く少なく、まず、観光客がほとんどいない。人の溢れる喧騒のヴェ
ネツィアからこの島のマリーナに戻ると家に帰ったようにほっとする。しかし、すぐ向か
いはヴェネツィア本島というこの立地。都会からすぐの田舎。すっかり気に行ってしまった。

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マリーナから眺めたヴェネツィアの夕景。
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by didoregina | 2016-08-23 17:11 | セイリング | Comments(2)

Sailing to Venice その2 ロヴィニ、ウマグを経て海路国境超え

チャーターしたヨットの持ち主登録および航行範囲ライセンス問題に関しては、プーナット
で「イタリアへ行っても大丈夫なように書類は揃ってますよね」と再確認し、「ヴェネツィ
アでもどこでも大丈夫」と太鼓判を押されたので、大船に乗った気分でいた。

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火曜日朝にプーラを出発し、イストリア半島を北上。
アドリア海を横断してヴェネツイアへ渡るのに距離的に最短の港ウマグを目指す。ここの
マリーナも水曜日の停泊を予約確保した。木曜日にはヴェネツィアに着かないといけない
からだ。(なぜかというと、同乗の甥と姪は金曜日のフライトでヴェネツィアからオラン
ダに戻る必要があった。土曜日からシドニーに飛ぶ予定なので.。)

そこまでのイストリア半島では、ロヴィニ、ボレチ、フンタナ、ブルサルなど、ヴェネ
ツィアの影響の濃いイタリア風の綺麗な町がいくつかある。その区間は特に予定を立てず、
泊まる港はその日の風次第という気軽さがあった。
プーラを出て、チトー元大統領の島々を横目に見ながら進む。ロヴィニ手前の小さな島に
錨を下してランチと海水浴を楽しんだ。さて、午後はどこまで行こうか、と思いつつ、
この海域は初めてのゲストに、美しいロヴィニの姿を海上からでも見てもらおうとアプ
ローチ。

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ロヴィニの美しさに思わずウワオと歓声が漏れ、通り過ぎるのがもったいなくなった。
手前のマリーナに急遽無線で「今晩1晩停泊したいのですが、スペースはありますか」
と尋ねると、「有り余るほどですよ」との返事。さぞや混んでるだろうから、きっとここ
には泊まれないだろうと思っていたので、肩透かしというか嬉しさに、即ここに決定。
プーラからはたったの20海里である。

クロアチアが国を挙げてヨット・マリーナ開発に力を入れているのは、地中海沿岸の他
の国と比べて顕著である。立派な設備の整ったマリーナがそこかしこにあり、サーヴィ
スも至れり尽くせり。しかも、大概、美しい港町を眺めるのに最適の立地である。
4年ぶりにクロアチアでセイリングして日々感じたのは、EU加盟後の驚くべき物価上昇で、
外食もお安くないし、マリーナの停泊料金も1泊65~75ユーロになっていて、EU以前を
知る私たちは驚いた。(ヴェネツィアが安く感じられたほど。)

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マリーナからのロヴィニ、夕景

上陸してロヴィニ観光と、お洒落なレストランでの夕食で観光客気分を味わった。

クロアチアのマリーナには係留サポートをしてくれるクルーが常勤していて、ゴムボート
や自転車で桟橋まで誘導して、ムーリング・ラインを引き上げてくれたり、大変結構な
サーヴィスぶりである。
しかるに、ここのマリーナ・クルーにヨットの書類一式の入ったファイルを渡すと、中を
見ながら、「ライセンスは?」と訊く。「ライセンスは全部その中に入ってます」と言う
と、「このヨットはクロアチア籍なのか、ドイツ籍なのか?このライセンスではクロア
チア航行はできない。」と言い出すではないか。
「出発港でも確認したし、昨日プーラに泊まった時にもそんなこと言われなかったし、
書類には不備はないはず。」と反論しても、なぜか頑なな彼である。
ヨットを舫い終えると、彼が書類を持って行ったマリーナ事務所まで自分で赴き、ライセ
ンス等について確認すると「はあ?全く問題ありませんけど。」とのこと。
何ゆえに、サーヴィス・クルーは変な言いがかりをつけたのだろうか?

この疑問は、翌日解けた。
スロヴェニアとの国境に近く、出入国管理事務所のあるウマグ港に舫った際、桟橋の隣の
バースにドイツ人グループのセイリング訓練らしきヨットが入港。教官スキッパーが手慣
れた様子で、係留を手伝ってくれたマリーナ・クルーに冷えた缶ビールを手渡したのだ。
ああ、チップの要らない国に住んでいると、こういうことに気が回らない。
次男曰く「世界中で多分サーヴィス業の人たちへチップを渡す習慣がないのは、日本と
オランダだけだよ」。
これを教訓として、ヴェネツィアではマリーナ・クルーに、さっと冷えたクロアチア
ビールを渡した。そして、それは後で大層な効果をもたらすのであった。

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早朝のロヴィニ。昨日とは反対側だが、どこから見ても美しい。

ロヴィニからウマグまでも25海里ほどである。
ここのマリーナも、心配だったので事前に予約を入れておいた。しかし、それは全く必要
なかったと後で知るのだが、そのくらいこの時期のイストリア半島の港は空いていた。
マリーナに入る直前に無線で入港許可を取る。するとクルーが埠頭に来てくれるのだが、
まず「イタリアから来たのか」と訊かれた。「クロアチアからです」と答えると、「じゃ
あ、入管は必要ない」と言われて、それだけである。
もしも、スロヴェニアもしくはイタリアからこの港に入ったとして、「クロアチアから
来ました」と嘘をついてもわからないのではないか。この辺りから、国境での出入国管理
のルーズさ加減がなんとなくちらつき始めた。
しかし、私たちは正式に国境超えをしたい。だから、マリーナ事務所とは別の出入国管理
事務所および国境警察(港の埠頭にある)までパスポートを持って行って、翌日ヴェネ
ツィアに渡航する旨を伝え、書類に記入、スタンプなど押してもらった。
国境警察は朝5時から開いているとのマリーナ・クルーの話だが、実際事務所に行ってみる
と8時頃から開くとのこと。早く出発するから今日中に書類を提出したいと言うと、それは
OK。だから、出国スタンプの日付は実際とは異なるわけだが、それもOKらしい。
提出したクルーリストは戻ってこなかった。(その時のクルーは、ヴェネツィアで下船
する甥と姪も含む6名である。)

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さよなら、ロヴィニ。名残惜しそうなドリ号クルーたち。

さて、海上での国境越えの話をまとめてしまおう。
着いたヴェネツィアで、入国管理局(もしくは国境警察)に届け出ようと、マリーナ事務
所で所在地を尋ねると、警察は駅の裏辺りにありマリーナとは正反対側。水上バスで45分
かかるという。
マリーナに入管を委託する場合は約100ユーロの手数料をいただきます、とのことなので
自分たちで観光ついでに行ってみた。ちなみに、ヴェネツィアに着いたのは夕刻で、
警察はもう閉まっているから、行ったのは翌日。しかも翌日には甥と姪はオランダに発つ。
空港と方向が同じなので彼らと途中まで一緒に水上バスで警察に向かった。しかし、
今からイタリアを出る彼らの名前もクルーリストに載せて
提出するのはどうだろうか、と思い、かえってややこしくなりそうなので、4人にしてお
いた。イタリアはシェンゲン圏内なので、そこからオランダに行く飛行機に乗る彼らの
パスポート検査はないはずである。
警察に行って、クルーリストとパスポートを提出すると、商業船でないからクルーリスト
は必要ないという。
私のパスポートには、ヴェネツィアへの船による入国スタンプを押してくれた。翌々日
出国予定であるが、やはり早朝出発だし日曜日だから警察は開いていないから、翌日来て
もいい、とのことで、やっぱり日付が実際とは合っていない出国スタンプを翌日押して
もらいに再度でかけた。

片道45分もかけて行ったのだが、どうも誰も全く重要視していないというか、他に申請に
来る人も見かけなかった。
実際には6人でクロアチアから入国したわけだが、自己申告だから、実際のところは誰に
も判定しようがない。警察の開いている時間にしか申請できないので、入国・出国日時も
実際とはそれぞれ1日ずれている。
なんとも、ざるのような状況で水漏れ著しく、海上での国境管理とは難しいものだなあ、
と思ったことである。
それもこれもクロアチアがまだシェンゲンに入れてもらえないからで、それが通った暁に
はこういうばかばかしいビューロクラティックな書類業務もなくなる。
(その後、クロアチアへはノビグラド港から再入国したのだが、そこでも仰々しく書類だ
けは記入させられたが、実際にどうやって管理してるのかは全くなぞである。自己申告制
だからチェックのしようがないと思う。リエカ空港でパスポートチェックされているので、
別のところで再入国申請しなくても全く問題なくクロアチアにいられたはず。)

まあ、これもすべて経験のため、と思って、楽しんでやってみた。(そうでもなければ、
バカバカしい。)シェンゲン圏の早急な拡大を望むものである。
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by didoregina | 2016-08-21 20:01 | セイリング | Comments(0)

Sailing to Venice その1 クロアチアのクルク島からイストリア半島のプーラ

2016年夏のセイリングは(自分の)ヨットでヴェネツィアに行く!というのが目的で、
中学生時代からの長年の夢がとうとう叶った。
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クロアチア北部クヴァルネル湾にある大きな島クルク島南部のプーナット港からヨットを
チャーターした。今回はフロティッラという船団ではなく、ベアボートといって自分たち
のヨット一隻のみでの2週間のセイリングである。クルーは我が家族4人で、甥と姪が一部
区間メンバーに加わった。
プーナットへはリエカ空港から予約してあったタクシーで40分ほどだ。タクシーの運転手
によると、昨晩までの数日は激しいボラ(クロアチアに特有の北東からの強風)が吹きま
くり、車の運転は危険なため道路や橋は閉鎖。もちろん飛行機の欠航も相次ぎ、今日到着
の私たちは相当ラッキー!ということだ。

目的地がヴェネツィアと決まった昨年末にヨットの出発港とヨットを探し始めた。
ヴェネツィアを含むフロティッラがほとんどないことと、クロアチアでのセイリングは10
回近くしていてほぼ全海岸を知っているのと、主な寄港地であるクヴァルネル湾やイスト
リア半島の港にも停泊経験があるのでベアボートとしたが、あまり不安はなかった。
ヨットはプーナット港のギャラントというチャーター会社の、ババリア37フィート・
クルーザーに決めた。キャビン3部屋で6人は悠々と乗れる。
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12月にヨットを選んで予約、チャーター料金半額を前払いし3月にヴェネツィアのマリーナ
に予約を入れたのだが、そこに思ってもみない落とし穴が待っていた。
ヴェネツィアのマリーナが、ヨットの大きさ、持ち主証明登録その他の詳細を訊いてきた。
今までマリーナに事前予約という経験がないので、そういうものかと思ってクロアチアの
チャーター会社に問合せると、「予約のヨットは2014年建造で、当時クロアチアはEU加
盟していなかったため、その船にはクロアチア海域以外への航行許可証がありません。
従って、ヴェネツィアに行くことは不可能です。」という返事ではないか。これがなんと
4月里帰りの飛行機乗り継ぎ途中で入ったメイルで、青天の霹靂。一気に暗雲が立ち込めた。

ヴェネツィアが目的でヨットをチャーターしたのに行けないとなると、全ての計画を立て
直さなければならない。オランダに戻ってからチャーター会社にその旨連絡、妥協案として
「2015年建造の同型ヨットならEU海域航行も可能です。現在、同じ時期にそのヨットの
予約が入っていますが、交渉次第では交換してくれるかもしれません。その代り250ユーロ
増しになります。」という返事。とにかく、少々高くなってもいいから、拝み倒してでも
交換してくださいと頼んだ。数日後、交換OKとの連絡がきて、胸をほっとなでおろしたの
だった。
しかし、危ないところだった。もしも、ヴェネツィアのマリーナに事前予約を入れてなかっ
たら、このことは現地に着くまで知らず、直前になってクロアチアから出られなくなって
いたのかもしれない。うううむ、納得いかない点は残るものの、問題は一つクリアできた。

納得いかないというのは、クロアチアのEU加盟は2012年であり、EU云々が理由なのであ
れば2014年建造の船でも2015年の船でも変わりはないはずである。
ただし、クロアチアは未だシェンゲン圏には入っておらず、国境ではパスポート・チェック
がある。

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クルク島プーナットから1日目のセイリングは35海里(約55キロメートル)。
ツレス島沿いに南下して、ロシニ島のイロヴィックという細長い入り江のブイに
係留。古城の前で快適。対岸の村には上陸せず自炊し、一晩ヨットで過ごす。

翌日の目的地はイストリア半島南端の都市プーラである。
実はプーナットからのクルーは、主人、私、長男、甥の4人で、次男と姪はユトレヒト大学
の所属クラブ創立何十年祭パーティ出席のため、土曜日出発が叶わず、月曜日にプーラで
合流することになっていた。
つまり、ボラが吹こうが何だろうが、月曜日にはプーラにいないといけないというプレッ
シャーがあった。
プーラには何度か行っているから不安はないものの、市内および近隣に3つのマリーナが
あり、さてそのどこに寄港して2人を乗せるのがよいだろうという問題があった。
一番いいのは町中のマリーナで、目の前がローマ時代の闘技場という絶景。しかし混雑が
予想され、場所が確保できるかどうかわからない。このことを出発前にチャーター会社に
話すと、マリーナに電話予約すれば?とのこと。そうか、そういう手があった。出発港内
ではヨットのWi-Fiもスイスイだったので、プーラ・マリーナにオンライン予約をした。
これで目的港が決まり一安心。
立地は町中だし、合流もしやすい。

この日もあまり風がなく、午後2時間くらい帆走したのみで、朝早く発ったが午前中ずっと
エンジンを使った機走。予約してあるから、マリーナにはあまり早く着く必要はない。午後
5時頃を目安にプーラに向かった。走行距離は45海里(約73キロメートル)だが、ヨットだ
と8~10時間かかる。

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プーラ市内一等地にあるこのマリーナは比較的小規模だから、フロティッラでは寄港しない。
ベアボートのよさだ。11年前に初めてここに舫って、目の前にある闘技場を肴に飲んだワイ
ンの味は忘れられない。
夜9時すぎに、空港からバスで町に着いた次男と姪もヨットに乗り込み、6人でまた自炊の
食事をとった。

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今回のヨット、ドリ号は、さすがに昨年建造されたばかりで新しく、なにより中も外も居住
空間が広いく快適なのと、様々な細かい工夫が要所要所にあってうれしい。ヨット・デザイ
ンも日進月歩である。
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by didoregina | 2016-08-19 18:25 | セイリング | Comments(0)

舳先をキクラデスへ向けて

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師走の声を聞いたらすぐに、来年のセイリングの予定を立てなければならない。
ヨットのチャーター会社各社からも即、来年のさまざまな情報やオファーが来るし、
1月になれば同僚や同業者間で話し合って年間のヴァカンス日程を調整・決定する
必要があるからだ。

今日来た案内の中に、新しいフロティッラ・ルートを見つけた。
それが日程と海域の面で、こちらの願いにドンぴしゃと嵌るのだ。
エーゲ海のキクラデス諸島を2週間フロティッラでセイリングするというもの。
プランも日程も唯一無二で、このチャンスを逃したら、ベアボート(個人でチャーターした船一隻)
でのセイリングしかできない。

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       キクラデス諸島は、ギリシア神話の世界のど真ん中

この海域ルートでのフロテッィラ(個人でチャーターしたヨット同士で船団を組むこと)が今まで
実現されず、来年がほとんど初めてというのには訳がある。
なにしろ、エーゲ海のど真ん中にあるため、沿岸航行はできない。つまり、背後に守ってくれる
大地がない、一つ一つが離れた島々の間の海を、潮と波と風に翻弄されながらのダイ・ハード・
セイリングになることは必至である。子供向けでは全くない。
島と島の間の距離が大きいから、風が強すぎて出航できない、もしくは遠くまで行き過ぎて
予定通りの帰港ができなくなるということも往々にして起こる。
時間に制約のない長期セイリングならまだしも、1週間や2週間では、なかなか回ることが
不可能な海域なのである。

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              今年の夏イタリアでチャーターした不良ヨットの証拠写真

そういう強風波浪海域で一日の航海距離と時間が長いと予想されるから、ヨットはよ~く吟味
してチャーターしなければならない。
それが、結構難しいのである。ヨットの不備や不良は航海中にだんだんと明るみに出るものだし、
曰く言葉にはしがたいような使い勝手の悪さとか、そのヨット個体との相性の悪さは非常に
微妙なもので、実際にセイリングしてみないとわからないものである。

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            日よけビミニが小さすぎて、コックピットの大部分が太陽に焦がされ、
            熱くて暑くて、居住性が最悪だったヨット。今となっては、笑い話だが。


この数年、念仏のように唱えつつ実現できないでいるのが、北海セイリング・ノルマンディー上陸
作戦である。6月初旬の北海はなかなかに厳しく、風向き、風の強さ、満干潮の時間と港の位置
など全ての条件が合わないと、オランダのゼーランドから出航しても2週間で戻ってはこれない。
それを来年はキクラデスの2週間フロティッラに振替えようというのが、わたしの見つけたプラン
なのだが、はたして、ほかの3人の賛同が得られるだろうか?
わくわく、ドキドキ。実際のセイリングは苦行に近いものもあったりするし、こうして計画を練ってい
るときが一番楽しいものである。

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by didoregina | 2013-12-03 16:56 | セイリング | Comments(2)

シチリアは目の前、しかし、、、    チレント海岸とエオリア諸島をセイリング  その8

エオリア諸島は、シチリア島の北東にあるから、ヴルカノ島を出航するとすぐにシチリアの
影がうっすらと見えてくる。

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               南の地平線全てを覆うほど、やっぱりシチリアは大きな島だ。


小さなフロティッラの利点は、スケジュールの融通が利くことだ。
当初の案では、ストロンボリ島に戻って火山ハイキングという予定だったのだが、あの暑い最中の
登山は誰も興味を示さない。それよりも、南に舵を取ってシチリアに向かおうということになったのだ。

しかし、シチリアにはどこにも停泊せず、北海岸をセイリングして東に舵を取って、イタリア本土の
シッラという町を目指す。

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                舵の後ろにあるベンチが、2週間の間ずっと定位置。


シチリア島の北岸にはわざわざ泊まるに値するようなめぼしい町がない、というのが理由である。

しかし、なかなか魅力的な砂浜が見えてきた。
ここに投錨して、休憩することにした。

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白い砂の山が浜を形成し海に落ちている。だから、海の色も淡く透明になっていて、うっとり。

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他のヨットとくっついて投錨すると、錨が絡まったりして、あとで解くのが大変になるから、
ちょっと離れた位置にした。ロープでヨット同士をつなぎ合わせたりするのも面倒だ。
とにかく、早く海に飛び込みたい。
この辺は、アフリカ大陸に近いため、アフリカから吹いてくるシロッコという風が妙に生暖かく
太陽はじりじりと肌を焦がすから、海水で体を冷やしたい思いに駆られるのだ。

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                  ヨットから、海に飛び込む。

砂浜が近いので、泳いで岸に向かおうとすると、水流計を見ていた主人がヨットからあまり離れて
泳がないよう、注意を喚起した。
沖に向かう潮流が非常に速く、なんと6ノット近いのだ。

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                  ロープに結んだ浮き輪があっという間に沖に流される。

入り組んだ入江だったら、波も潮の流れもほとんどないから、ヨットの周りを何周も泳いだり、
岸まで往復したりもするのだが、この速い流れでは、泳いで岸にたどり着くことは不可能だ。

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                  シチリア島を目前にしながら、上陸は叶わなかった。


ひとしきり泳いだ後、錨を揚げて出発。メッシナ海峡のすぐ北から本土に渡る。

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                 左が本土、右がシチリア島の間にあるメッシナ海峡は狭い。
                 フェリーや貨物船がひっきりなしに通っているが、橋を
                 架けるのもさほど困難ではなさそうなほど短い距離だ。


このメッシナ海峡には、ギリシア神話時代から、カリブディスと呼ばれる渦潮があった。
そして、また、元ニンフだが、魔女キルケの嫉妬によって怪物に変えられてしまったスキュラ(頭
からは3列の歯をむく犬6匹の頭が伸び、足は12本そして魚のしっぽを持つ)がいて、前門の虎
後門の狼ともいうべき脅威を形成していた。ホメロスの『オディッセイア』にも登場する。

現在、鳴門のような渦潮はもう見られない。しかし、これから向かう町シッラ(Scilla)は、
スキュラ(Scylla)と何らかの関係があるらしい。

エオリア諸島の名前も、風の神アイオロスからきている。
エオリア島で歓待を受け、この神から風を吹かせる袋をもらったオディッセウス一行だが、故郷を
目前にしながら、開けるべき袋を間違えて、エオリアに吹き飛ばされてしまった。

だから、エオリア諸島と言えば風、というイメージが強かったのだが、今回、強風には遭わなかった。
それどころか風が弱くて帆走があまりできず、エンジンを使った機走が結構多かった。

しかし、アイオロスやメッシナ海峡の二つの脅威にさらされずにすんで本土を目前にしながら、
私たちのヨットに思いがけないトラブルが発生した。

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港に入る前、ヨットは帆を下ろさなくてはならない。港湾内の帆走は禁止されているからだ。
入口ぎりぎりまで張っていたジブ・セイルをファーリング(巻いて下ろす)しようとするも、ロープが
びくとも動かない。
船首まで行ってジブの付け根辺りを見ると、そこにある滑車にロープが絡まっていて団子状態で、
解しようがないほど固まってしまっている。

フロティッラ・リーダーに無線でアドヴァイスを乞うと、ジブ・セールを巻くのは諦めて上から下に
文字通り下すより仕方がないだろうとのこと。
ゆっくりとだましだまし、ジブを下していると急にある時点で一遍に下に落ちてきた。
リーダーに後で見てもらうと、ジブ・セイルの頂点を留めていたハープ状の金具が緩んでいたため
ジブが急に落下したらしく、その金具自体がもう海に落ちてしまったようで見当たらない。
これで、今後、ジブを張ったセイリングは不可能になった。
しかし、下したジブが風を孕んで海に落ちたら大変なので、丁寧に巻いていった。

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           ジブ・セイルを外してきれいに巻いて甲板に置いた。


ぐったり疲れたが、シッラの湾内にあるアンカー・ブイに係留して、係留料金に含まれている、陸への
ボート・サーヴィスを使ってシッラの町に上陸した。


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               このサーヴィスはとてもいい。夜中にも電話したら即
               ボートが埠頭まで来てくれて、ヨットまで送ってもらえた。


シッラには、スキュラが変容したのではないかと言われる岩が聳えて、メッシナ海峡に睨みを
きかせている。恨みがましく海を見つめているようでもある。

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                スキュラはこの岩山?それとも別の岩?

港の突端にある岩山に登って、メッシナ海峡を眺めた。

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                丁度、メッシナ海峡に夕日が沈むところだった!
                先ほどの苦労を癒してくれるような夕映えの美しさ。
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by didoregina | 2013-09-14 14:38 | セイリング | Comments(4)

ヴルカノ島の海水温泉と泥風呂  チレント海岸とエオリア諸島をセイリング その7

それぞれ個性あるエオリア諸島のうち、5番目に行ったヴルカノ島が一番楽しかった。
この島には温泉が湧いているからだ。

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      硫黄で黄色くなってる丘の向こうが海水温泉


非常に庶民的な観光地という感じで、他のエオリア諸島やシチリア島からのフェリーがひっきり
なしに発着している。やはり、イタリア人も温泉が目当てでやってくるのだ。

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                     フェリーで溢れる桟橋

小さなヨット・ハーバーというか、シーズン中だけ営業しているヨットやモーター・ボート用桟橋に
着くと、すでに腐った卵のような硫化水素の匂いが漂う。両側にある火山から煙が上っているし、
山肌は硫黄で黄色くなっている。

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             久しぶりに入り江ではなく、電気と水道設備のある桟橋に舫った。


気温は35度以上で、水温もそのくらいの暑さだが、やはりこの島に来たからには温泉である。
歩いて、海中から湧き出る海水温泉まで出かけた。

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                     ガスが出ていて、鼻が曲がるくらい臭い。


目指す温泉は、溶岩が冷え固まってできたような海岸の、海中からブクブクと泡が湧いている
場所である。天然のジャグジーだと思えばよい。浅い海に寝そべって、海底から湧くバブルを
体に感じるのは、なかなかに気分がよい。

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             右手岩場の辺りが海水温泉。 赤い船は給水船。
             普通の水が少ないこの島では、桟橋の水道も使える時間は短い。


この島のもう一つの名物は泥風呂である。ここまで来たからには、泥風呂も体験したい。

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             海水温泉のすぐ隣に、柵で囲まれた泥風呂がある。
             入場料2ユーロ、シャワー使用料1ユーロの計3ユーロは安い。

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             真ん中に泥の池があり、そこからもブクブクと泡が立っている。
             それが火傷するほど熱い場所もある。池の底の泥を掬っては
             体に塗り付け、乾かすというのが、ここでの作法だ。


面白い経験になったし、心なしか日焼けして傷んだ肌がすべすべになったような気もする。
しかし、とにかく臭い。これだけ匂いが強いということは、有毒ガスの量も相当なものだろう。
あまり長時間、泥風呂に入るのは危険だ。長くても30分くらいにするのがいいと思う。
ともあれ、温泉好きの日本人にとっては、満足度の高い島である。ぜひともお勧めしたい。

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            温泉と泥風呂を堪能した後、スーパーで水や食料を買ってヨットに戻る。


ああ、いい湯だった。これに味をしめ、ヨーロッパ各地やイタリアのほかの温泉巡りをしたくなった。
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by didoregina | 2013-09-08 21:01 | セイリング | Comments(0)

リパリ島とパナレア島   チレント海岸とエオリア諸島をセイリング  その6

エオリア諸島の7つの島のうち、一番北にあるストロンボリ島、サリーナ島と続いて、その次に
向かったのは、リパリ島だ。この島は人口が一番多く、観光や漁業だけでなく文化の香りもする。

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          使徒バルトロメオの遺骸が祀られている大聖堂と修道院のある岬


町も賑やかだし、広い敷地の修道院のある岬は丘のようになっていて、ギリシア時代の遺跡も
あったりする。海や火山などの自然以外にも見どころがある島である。

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                  修道院の裏庭からの海の眺め


そして、ここは紛れもなくシチリア島文化圏であることは、食べ物からもわかった。
たとえば、ジェラテリアでグラニータを頼むと、ブリオッシュにつけて食べるように薦められる。

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                     キウイのグラニータ

今回のヴァカンスでは、レモン、スイカ、ピーチ、キウイ、コーヒーなどのグラニータを色々な場所で
試した。あまりの暑さと日本の夏みたいな湿度に、ジェラートよりももっと冷たいグラニータの方に
食指が動くのだった。
その中でも、この島で食べたピスタチオのグラニータは絶品だった。
グラニータというと、フルーツで作った氷をかいたカキ氷みたいなものでキンキンと冷たい舌触りが
夏にはうれしいという程度の認識しかなかったのだが、ここのはもっともっと濃厚な味でクリーミーな
舌触りとこってりした喉越しなのに、冷や冷やで気持ちよく美味しい。ケースも、手作りジェラート屋で
見かけるようなステンレスの蓋つきで、グラニータというよりシャーベットに近い感じ。
ピスタチオのアイスクリームとも全く異なり、日本の宇治金時氷を思わせる味だった。


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     セイリング中は、ビミニの下のベンチが定位置。
                  窮屈だがそこしか日陰がないから、仲良く一並び。


その次に行った島は、小さなパナレア島。 ストロンボリからリパリに向かう途中見た側には人家が
なく無人島かと思ったほどだ。

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                 パナレア島に近づくと、大きなヨットや豪華なクルーザーが目につく。


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   パナレア島の静かな入り江に投錨した。


入江では、村の浜辺に近い場所は結構混んでいるのだが、私たちが選んだ山の下の小さな浜に
近い場所は静かで、とても気に入った。
近くにはほかに係留しているヨットがあまりないため、入江を独占しているような気分になり、崖下の
小さな浜辺目指して泳いでいった。

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                  腕にビリっと電気が走った。クラゲに刺されたのだ。

水は澄んで、風景も美しいのに、 ここにはクラゲが結構目につく。
クロアチアでは膝にウニが刺さったことがある。小さな岩が海中から出て浅くなっている場所で、
泳いでいる最中は見えないのだ。刺さった何10本というウニの棘はなかなか抜けず往生した。
クラゲに刺された痛みは、ピリッとくるイラクサみたいな感じだが、海水が加わるとひりひりする。
皮膚が真っ黒になるくらいバルサミコ酢をぶっかけてから、虫刺されクリームを塗ったが腕には
15センチくらいのミミズ腫れが浮き出た。

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                翌朝、漁船が入り江に来た。ペスカ~フレスカ~と
                叫びながら、投錨しているヨットの間をめぐる。

見ていると、結構イタリア人のヨットは、漁船の魚屋を呼び止めている。
近くまで来ては、釣れた魚を見せて、その場で捌いている。内臓やアラは血とともに海に捨てる。

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                  売りに来た漁船から魚を直接買うヨット。

結局、静かな入り江に満足して一晩明かし、この島には上陸しなかったのだが、島に上がった
フロティッラ仲間によると、びっくりするほど洗練された村で、このヴァカンスで初めて高級ブランド品
の店が並んでるのを見たそうだ。
なるほど、豪華クルーザーや大きなヨットが沢山停泊しているのは、そういう訳だったのだ。金持ちが
沢山訪れる島ということで納得がいったのだった。
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by didoregina | 2013-09-01 22:30 | セイリング | Comments(2)

ストロンボリ島とサリーナ島   チレント海岸とエオリア諸島をセイリング  その5

ストロンボリ島北側の湾に投錨してから、フロティッラ参加者全員で島の中腹、大きな教会の
向かいにあるピッツェリッアに夕食に出かけることになった。

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岸まで遠いのに、ディンギーボートの空気が足りなかったり、船外機が上手く作動しなかったりして、
なかなか行きつけない。

フロティッラ・リーダーによると、エオリア諸島で一番美味しいピザが食べられると評判の店らしい。
確かに、最初の2口3口までは、「おお、本当に美味しい!」と思ったのだが、とにかくでかい
ので、だんだん飽きてくる。ピザ台の組成は、よく伸びるチューイーな感じで、薄いのにモチモチして
いるのが新鮮な食感で悪くないのだが。ちょっと焼きが足りないのが問題だったのかもしれない。


投錨した島の北側からは、手前の山が火口よりも高いため、活火山のストロンボリが火を噴く活動が
見えない。
それで、真夜中、リーダーが、彼のヨットにフロティッラ参加者全員を乗せて島の西南側まで行って
噴火見物するというサーヴィスをしてくれた。オランダでヨット・スクールを経営するヴェテラン・スキッ
パーのRが今回のリーダーなので、深夜の航行も大船に乗った気分だ。
リーダー船は、フロティッラ期間は客を乗せずに彼と奥さん2人だけなのに、52フィートもある。
「この晩の私達のために、52フィートのヨットにしたのね」と思わず口走ったが、実際、16人乗っても
コックピットは余裕のスペースだ。ヨットは、花火見物の屋形船のような観光船と化した。

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                    翌朝、島の西南側に回ると、噴煙を上げる火山が見えた。

夜空を焦がすように、ストロンボリ火山が数分に一度、間欠的に赤い炎を上げて噴火しているのが
よく見え、皆、歓声を上げた。
昼間だと、明るすぎて炎は見えず噴煙が上がっているのしかわからないし、夜中だと暗くて赤い炎の
写真撮影は難しい。
これは実際に見ないと、そのすごさが実感できないものだ。

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                    噴出した溶岩が、須走のような斜面を海まで落ちてくる。


しかも、その晩は、流れ星がとても多く、4,5回の噴火の合間や噴火と同時に同じ回数の流れ星が
火山の傍に眺められた。
この組み合わせは、なかなかめったに経験できないのではないだろうか。
「Rのサーヴィスはすごいね。舵の下に火山噴火スイッチと流れ星スイッチが付いてるんでしょ」という
感想が飛び出すほどだった。

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                     間欠的に噴火するストロンボリ


前夜は睡眠不足で早朝出航、そして12時間の航行のあと真夜中の火山見学で、クタクタになった。

その翌朝は、エオリア諸島のサリーナ島を目指すことになった。前日と比べたら短い距離である。

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                     ヨットの後ろにストロンボリ島が見える。

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                     島の南側斜面にも家が建っているのにびっくり。
                     噴火した溶岩がすぐ近くを流れ落ちてるのに。


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                      エオリア諸島は、大小7つの島からなる。(岩のような
                      島は含まない。) そのうち5つの島に行った。

サリーナ島というと、映画『イル・ポスティーノ』の舞台になったので、今回、上陸することを心待ちに
していた。

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                      どんな島だろうか、ワクワク。

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                      サリーナ島でも、港の外の湾に投錨。

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                       上陸するため、ディンギーをヨットから海に下ろす。

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                       買い出しのため、3人でディンギーに乗りこむ。

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                       サリーナ島の港に向かう。


ストロンボリ島でも思ったのだが、平らな屋根の家の作りと白く塗られた壁とで、とてもギリシア的
印象を与えるのが、ここサリーナ島だ。
ポンペイでもすでにギリシアの残り香を感じたのだが、シチリアに近いエオリア諸島に来ると、それが
より一層顕著に感じられるのだった。
サリーナ島で見かけた別荘案内は、イタリア語・英語・ギリシア語で書いてあった。

島は、メインストリートを歩いただけだが、こぎれいでお洒落なお店が多い。今までチレント海岸の
町々で目にしたような、いわゆる海水浴場的土産物屋ではなく、こじゃれたブティックやギャラリー
みたいな店が目につく。いかにもちょっと高級っぽく、ヴァカンス客用に夏だけ開いてるような感じ。
でも、我が家のメンバーは、そういうのには興味がなく、それよりも庶民的で下町の生活の匂いが
ふんぷんのオーセンティックな町の方が好きだから、「ふ~ん」と冷たく眺めるだけだった。
映画『イル・ポスティーノ』の面影の片りんも見つけられなかった。
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by didoregina | 2013-08-27 14:20 | セイリング | Comments(2)

ストロンボリ島をひたすら目指す   チレント海岸とエオリア諸島をセイリング  その4

最初の一週間はサレルノの南にあるチレント海岸の沿岸セイリングで、一日の距離も15から20海里
ほど。毎日、小さな町の港に係留したり入江に投錨したりしていた。
だから、いつも、↓のような静かな陸地風景が視界に入っていた。

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そこから、今度は、70海里(約130キロメートル)進んで、一気にエオリア諸島のストロンボリ島を
目指すことになった。
地図でいうと、左下部分ナポリのNの字辺りをウロウロとしていた一週間から、今度はシチリア島の
北にあるエオリア諸島に行くわけだから、風景は全く一変する。

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70海里を12時間かけて行く。そのため、朝6時の出航となり、日の出前から準備を始めた。

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         5時起床、5時45分に出航。日の出前の風景。

毎時6マイルの速度をキープすれば12時間でストロンボリ島に着くというのが、フロティッラ・リーダー
の立てたプランであった。
しかし、われらのサローナ37は、レース向け仕様のためエンジン出力が小さい。
ヤンマー・ディーゼル製で、32馬力しかないので、最高速度でも6ノットにはならない。前日にトライして
みたところ、どう頑張っても5.6から5.8ノットである。風が上手く吹いてくれたら、セイルを使った帆走と
エンジンを使った機走の併用で6ノットは出せるだろう、と一応楽観した。

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                  出発後間もなく、日が昇った。

今日は、今までの沿岸セイリングとは異なって、大海に乗り出すのだ。だから本当に船団を組んで
ほとんど横一列となって進むことになった。

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12時間ノンストップというと、日本からヨーロッパへの飛行便と同じ時間をかけてセイリングするわけだ。
北海や、ドーヴァー海峡や、イギリス南海岸では一日10時間を越えるセイリングは経験済みだが、
地中海では初めての体験になる。
最初の6時間は、あっと言う間だった。

しかし、いくら帆走と機走の併用をしても、他のヨットからはどんどん遅れをとってしまう、われらの
シモーナ号であった。キャパが足りないのだから、じたばたしても仕方ない。

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他の3隻との距離はどんどん開いていく。。。


早朝に出帆し、ひたすら沖を行き南を目指すと間もなく、周り360度に陸地が見えなくなり、
大海原にも他の帆影は全く見えない。
これが、波が荒くて雲が低くてどんよりした灰色の北海だと気が重くなるのだが、地中海だと、
波もほとんどなく、群青色の海と薄いヴェールのかかったような明るい空で、全く不安を感じない。
風の音だけの静謐の青の世界を心からエンジョイできるのだ。


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                   半分くらい航行したところで、遠くにストロンボリ島の姿が。

しかし、それからが長かった。
富士山の頂上は見えているのになかなか辿りつけない、というのと同じ原理である。
海から屹立する火山島のストロンボリの姿はくっきりと真正面に見え、そこを目指して進むのだが、
島影はなかなか近づいてこない。午後からのセイリングは、とても長く感じられるのだった。

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         目の前に見えてる。しかし、まだあと3時間くらいかかりそうだ。。。


ストロンボリ島北側の広い湾に到着し、投錨し終わったのは、出航後12時間半過ぎてからだった。

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投錨した湾は広く、他のヨットとの距離は十分取れるが、村のある岸までは遠い。
広い海原にほとんど全く行きかう船を見ることのなかった12時間のセイリングを終えると、疲労感と
ともに達成感も湧く。しかし、結構リラックスできるのが、地中海のうれしいところだ。
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by didoregina | 2013-08-26 16:45 | セイリング | Comments(0)

安眠湾で眠れない   チレント海岸とエオリア諸島をセイリング  その3  

チレント海岸では、静かなBaia di Bon Dormina (安眠湾)と Efresci の入り江に投錨し、
安眠をむさぼるはずであった。

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              静かなチレント海岸を海から眺める。


安眠湾には、ムーリングやアンカー・ブイの設備がないため、夜の間に強風になった場合に備えて
安定性がよいよう、フロティッラ参加の4艇が横にくっついてのアンカリングになった。
つまり、最初に投錨したヨットの横に並んで各ヨットがそれぞれ投錨した後、ロープで互いを固定
しあうというわけである。

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横並びに投錨してヨット同士をロープで固定。


しかし、この案は、安眠には適さないのであった。
アンカーだけで海底に固定されているヨットは、風と波にあおられて、ゆらゆらと動く。
横からの波を受けたヨットの揺れは、普通に投錨しただけだったりムーリングで固定した場合は、
ゆりかごのように快適なリズミカルな揺れ方で、心地よい眠りに誘い気持ちよく眠れるものだ。
しかし、互いを結んだピンと張ったロープのせいで、揺れが中途半端というか、ドシン、ドン、ドン、
ドッカンという4拍子の最初と最期に強いアクセント置かれたような不規則かつ不快な揺れとなり、
しかもロープのこすれる音が混じって、眠りを妨げるのだった。
安眠湾という名前なのに、まことに残念なことだ。

また、別の入江エフレスキ湾に投錨した時にも、他の理由で安眠が得られなかった。
しかし、これは自業自得、身から出た錆なのであった。

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                   エフレスキ湾からの眺め

ここの入り江には、外からは見えない奥まったところに小さな浜があって、そこに海賊の隠れ家
風のレストランがある。

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                   海賊レストランから、モーターボートの迎えが来た。


入江には、レストランが設置したアンカー・ブイがあり、レストラン利用と抱き合わせで使用できる。
それで、フロティッラ全員で海賊レストランまで食事に出かけた。

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自分のディンギーで行かないで済む、いいサーヴィス。

入り江の奥の小さな浜にはレストランが一軒。頭上は断崖で陸路はなく、海からしか辿りつけない。

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なかなか、風情があって面白い。出される料理もその日仕入れた材料でできるものだけで、
当日はムール貝が大量に供された。

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             ムール貝の前菜のあと、選べるパスタはムール貝かシーフードのみ。
             シーフード・パスタを選ぶと、ガンバやボンゴレやイカも入ってはいるが、
             ムール貝が大半の内容だった。今日は、ムール貝の大漁で、きっと、
             デザートもムール貝だね、と皆で言い合った。


大人8人で、ワインを9本は飲んだ。一人一本以上の勘定だ。
これでは、自分でディンギーを操縦してヨットに戻るのは危険だから、送迎サーヴィスはありがたい。

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                 食後にはお決まりのリモンチェッロ。どかんとマグナム瓶で出た。
                 リコリス味のリキュールも飲んだ。


皆でほろ酔い加減になって盛り上がった晩であったが、ほろ酔いと思っていたのは当人だけで、
わたしは、なんと、レストランの桟橋からディンギーに移るとき、海に落ちてしまったのだった。
リモンチェッロのアルコール度は28度あって侮れないのだが、甘くて冷え冷えのは口当たりが
よいため、予想外に沢山飲めてしまう。

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ザンブリと足から頭まで水に嵌ったわたしを、次男が引き上げてくれたが、わたしと運命を共にした
ソニー・サイバーショットは、海水が入っておシャカ。上の写真が最後となったのである。
着ていた服を干して、濡れた水着のままベッドに横たわったのだが、翌日は5時起床6時出発のため、
寝たと思ったらすぐに太陽の上る前に起きることになり、ここでも安眠が得られないのだった。
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by didoregina | 2013-08-24 19:12 | セイリング | Comments(2)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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