カテゴリ:ベルギー・ビール( 9 )

ベルギーの果樹地帯をハイキング、〆はビールで

天気が不安定な昇天祭の週末だったが、予定通り、土曜日午後にハイキングを決行した。
今回選んだのは、ベルギーの果樹地帯ハスペンゴウ地方である。りんご、梨、さくらんぼ、プラム
などの花見の時期には少々遅く、ほとんど咲き終わっていたが、場所や種類(不明)によっては満開
のものもあった。

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       これは、2週間前、家の前庭で満開だった桜桃の木。

ハッセルトとシント・トロイデンの中間にあるウェレンという村を基点とする14.5キロのコースを選んだ。
ほとんど平坦で上り下りがないにしろ、午後から歩き始めたのでかなり早足で歩くことになり、花見は
おろか、果樹の写真を撮っている暇もなかった。
それで、この記事はハイキングではなくベルギーの地ビールその他がメインになる。

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       コーレンという村にあるマリエンロフという女子修道院の中庭

この辺りは、14,5年位前に子供連れでハイキングしたものだ。女子修道院のカンティーンでは、
名物の手作りタルトを供してくれた。それを作っていたシスターは亡くなり、他のシスター達も高齢の
ため、現在はパン屋に委託して焼いてもらっているという。りんごやチェリーなどフルーツの入った
フラーイという薄いタルトである。

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  ピーテル・ブリューゲルの『ネーデルラントの諺』(1559年)(ベルリン国立美術館)
      には左の家の屋根の上に乗っかったフラーイが描かれている。

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      パン生地を薄く延ばした台に、果物のコンポートを載せて焼いたパイがフラーイ。
      オランダ南部のリンブルフ州やベルギー各地で今でも極普通に作られている。

息子ブリューゲルによる、この絵のコピーをアントワープのロコックスの家で観たばかりなので、
描かれたフラーのことを思い出したのだった。

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      教会の後陣にくっついた形で建てられた小さな窓のカンティーンがある。
      あいにくと土曜休業なので、フラーイは食べられなかった。


ハイキングの途中、別の村の教会脇にあるカフェで休憩。地ビールのクリークを飲んだ。
クリークは、さくらんぼで味付けしたベルギー独特のビールである。
特にこの辺りは果樹栽培地帯なので、地ビールらしさも味わいもひときわだ。

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      このビールを選んだのは、アルコール度が3.5%と低いからである。
      さくらんぼの果汁入りなので甘酸っぱく、色もジュースのようだ。
      シント・トロイデンにある醸造所Wilderenで作られたもの。次回は
      この醸造所を訪問・見学してみたいと思う。


休憩を含めて3時間で14.5キロのハイキング・コースを一周した。

そのあと、夕飯をとるため、シント・トロイデンの町に向かった。

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           マルクト広場に建つ聖母教会の背後に虹

マルクト広場にあるカフェ・レストランの一軒で出す小エビのクロケットは、ベルギーのリンブルフ州で
一番美味しいとベルギーの新聞か何かで評価された。そのカフェがどこだったのか、忘れてしまった。
それで、雨宿りとして適当に入ったカフェ・レストランで小エビのクロケットを頼んでみた。

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         ベルギーのカフェ・レストランではメニューにあれば必ず頼みたくなるのが
         小エビのクロケットである。ここのは、クロケット自体はまあまあ普通だが、
         上に乗っかった小エビ入り野菜サラダとドレッシングが美味しかった。


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         お相手は、やはり地ビール。近くのケルコムという村にある
         ビンク醸造所のビール。ブロンドは、辛口ピルスという感じで
         なかなかイケル。この醸造所も14,5年前に訪問したことがある。
         敷地内の地下水を使っているとても小規模の醸造所で、自然派。


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         シント・トロイデンのマルクト広場中央に建つ鐘楼のある市庁舎と
         右に聖母教会。左奥は、ロマネスクの塔だけ残った修道院跡。


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          広場から一筋離れた通りにも立派な教会が。
          ベギン会修道院もあるし、町の中心にやたらと教会が多い。
       
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by didoregina | 2013-05-13 16:08 | ベルギー・ビール | Comments(0)

カール5世(カルロス1世)がマーストリヒトで逗留した館でOmmegangを飲む

マドリッドではカール5世(カルロス1世)、フェリペ2世、ドン・カルロスの3代の光と影につき
まとわれ、オランダに帰ってから追体験したくなって色々調べてみると、彼らと縁の深い建物が
マーストリヒトにも残っているのだった。
Spaans Gouvernement(スペイン総督府)の館である。

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      フレイトホフ広場に建つこの館は、数年前、内部が改装されて
      名前がMuseum aan het Vrijthofに変わったのが残念。

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     2階窓には、ヘラクレスの柱とハプスブルクの双頭の鷲の紋章が。

ヘラクレスの柱とは、神話時代にジブラルタル海峡に立っていたとされるもので、地中海世界・
ヨーロッパの西の果てを象徴する。
左の柱の上には神聖ローマ帝国の皇帝冠、右の柱の上にはスペイン王冠が載っている。そして、
柱に絡みつくような赤い幕には PLUS OULTRE「より彼方まで」という銘が書かれている。カール
5世のモットーだ。その幕の上には、オーストリア王冠が載っている。

左の窓と真ん中の窓の間には、ラテン語で「フィリップス、オーストリア大公、スペイン国王」と
書かれ、真ん中の窓と右の窓の間には「皇帝カール5世、フィリップの皇子」とある。
フィリップスとはフェリペ2世のことで、フィリップとはカール5世の父ブルゴーニュ公フィリップ美公
(カスティリア王フェリペ1世)である。

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       館の内庭に面した凱旋門には、左に古代ローマ風のカール5世、
       右にその妹ハンガリーのマリア(ネーデルラント総督)の顔が刻まれ
       ている。真ん中の破壊されている顔はフェリペ2世だったらしい。

カール5世はネーデルラントのヘント生まれ(1500年)で、1516年にスペイン王になる前に
1506年にブラバント公、1515年にブルゴーニュ公となってブリュッセル居住が長かったから、
オランダ・ベルギー人にとってはなんとなく親近感を感じる存在だ。
その彼が、ネーデルラント総督となった妹と共に1545年にマーストリヒトを訪問した記念に造られた
門である。

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        中庭はガラス張りの天井で覆われて、今はグラン・カフェになっている。

このグラン・カフェで昼食中、メニューになんとベルギーのスペシャル・ビール「オメガング」が
あるのを発見!狂喜して頼んだのは無論である。

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         カール5世がグラスと瓶のラベルに描かれている。
         ビールはブロンドで、アルコール度8%。きりっとビターな味わいで
         蜂蜜のような馥郁たる香りが口蓋に広がり、堂々たる王者の風格。
         つまみは、若いチーズに粉胡椒をかけたもの。

このスペイン総督府の建物は、1520年のカール5世の訪問を祝って増築・改修された部分が
現在も多く残るので、ビールの名前も歴史的にも楽しく符合する。このビールを置いている
カフェのセンスがよろしい。おおっ、おぬし、できるな、と褒めたくなった。

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いい気分になってミュージアム・ショップを覗くと、ここにも楽しいお土産を発見。

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       カール5世ビールと3つの取っ手のついたジョッキ。

カール5世がアントワープ郊外の村オレンを訪問したとき、ビール好きの王を歓待するためビールの
ジョッキが差し出された。
ところが、差し出した人がその取っ手を握っていたので、カール5世はジョッキの胴を直にがっつり
握るしかなかった。これを恥じて、村では特別に取っ手が2つのジョッキを作り、次回の訪問に
備えた。しかし、2回目の訪問時、今度は取っ手を両手で捧げ持って王に差し出したので、カール
5世はまたしてもジョッキの胴を手で持つしかなかった。
次回訪問のために、村では取っ手が3つあるジョッキを作って万全を期した。ところが、、、という
逸話が残っている。
現在、ビール醸造所では、このビール用のジョッキとして取っ手が3つのと4つのヴァージョンを
作っている。

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        ミュージアム入り口のドア脇にカール5世の新しい銅像が立ってる。

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        像の台には、カール5世がマーストリヒト訪問した年号が刻まれている。

この銅像にも今まで気が付かなかった。入り口の奥にひっそりと立っているからだ。そして小さい。

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             ツーショットで、その小ささのわかる銅像。
             近寄らないと誰の像なのかわからないほど。


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           ミュージアム入り口に新しく作られた門にも、
           カール5世とフェリペ2世がびっしりと。

ほとんどゲップが出そうなくらい、ここまでカール5世(とフェリペ2世)尽くしの館とは
知らなかった。まこと、灯台下暗しである。



       
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by didoregina | 2013-01-17 12:23 | ベルギー・ビール | Comments(0)

トラピスト・ビールは究極の修道院ビール

ベルギー・ビールというカテゴリが設置してあるのに、なかなか記事が増えない。
家ではビールは飲まないが、カフェなどでは週に一度くらいはベルギー・ビールを
飲む機会があるにも関わらず。いつもカメラを持っているわけではないからだ。

ブログ友のaliceさんとベルギーのリエージュでランデブーしたのは、その晩ケルンに
『ポッペアの戴冠』を観に行った日なので、かれこれ1週間半も前になる。
ヨーロッパ遠征の際には、各地のロマネスクの教会を巡礼のように訪ねているalice
さんが、ベルギーの国宝である12世紀の洗礼盤を観るためにリエージュまで足を
伸ばされることを知って、見学をご一緒させていただいたのだ。家からは車で25分の
距離である。

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      ロマネスクの稚拙さがなくて、精緻な職人技が光る真鍮の洗礼盤。

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   牛フェチにはたまらない10頭の様々なポーズの牛達。元々は12頭だった。
   跪いて洗礼を受けている二人の人物の背中の表現にも、まるでルネッサンスに
   近いような艶かしさが感じられる。

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   教会自体は、後に新しく修復されすぎて味気ない聖バーテルミー教会。

見学の後は、市内で昼食。チョコレート屋さんの女の子推薦のリエージュ郷土料理の
店の向かいにイタリアンがあり、その日のお勧め料理が美味しそうだったのでこちらに。
干タラのポレンタというのが珍しいので気になったのだ。トリッパ(臓物の煮込み)も。

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   タラのポレンタ(左)とサービスで出てきたパプリカの煮物。
   タラはちょっとしょっぱすぎたが香ばしいし、ポレンタはいかにも田舎料理風。

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           トリッパは、アンモニア臭も癖もなくて美味しかった。
           後ろは、オルヴァルのトラピスト・ビール

ベルギーだからワインじゃなくてビールにしましょ、というわけでビールのメニューを見ると、
かなりレアなオルヴァルのトラピストがあったので選んだ。
複雑で馥郁たる味わいの修道院ビールの王者である。


さて本日は、ブリュッセルに『オルランド』のマチネを観に行ってきた。
バロック・オペラで長いから、開演前にお昼を軽く食べたい。そうしないと、夜9時まで
食べそびれてしまうのだ。究極の味を探し求めている小エビのクロケットを食したい。

選んだのは、この店↓

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           ブラッスリ・ラ・ル・ドール

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         グラン・プラスのこの角を入った通りにある。
         その名も、帽子職人通り!

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       小エビのクロケットは、隠し味のチーズと小エビの味がしっかりして美味しい。
       付け合わせが揚げパセリでなく、トマト、バルサミコ・ソース、オランデーズ・
       ソースというのが珍しい。味に変化が出る。レモンはお約束。

かなり観光客慣れした店で、入るとすぐに英語のメニューを持ってきた。おのぼりさんと
しては店の期待通り英語で「どんなビールがありますか」と訊くと、「白?赤?」と
問われたので、「ビールなんですけど」と言うと「だから、普通のビール?それとも
ホワイト?」「それでは、ダーク・ビールを」という応対になって、ビールのメニューを
見せてもらえなかった。
持ってきたのは、シメイのトラピスト。ダークなのでアルコール度数9%である。やれやれ、
これからオペラ鑑賞するというのに、眠くなったら困る。

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        バーの上の壁に描かれた画

観光客と見て、大方一番高いビールを持ってきたのだろう。一本6ユーロもした。
普通のビールなら大体2~3ユーロ。スペシャル・ビールや修道院ビールでも4ユーロくらいが
相場である。英語なんて使うんじゃなかった。食べ物のお味も店の雰囲気もよかったので、また
来たい。次回は、しっかりオランダ語でビール・メニューを持ってくるようにと言うつもりである。

ビールの瓶には、このビールの売上の大部分は慈善事業に使われます、と書いてあったので、
寄付金代わりだと思うことにしよう。

 
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        窓の向こうが厨房。インテリアはなかなかいい。
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by didoregina | 2012-05-07 00:09 | ベルギー・ビール | Comments(8)

お城で飲むお城ビール

日曜日も天候はすぐれなかった。しかし、主人は「ビールを飲みに行こう!」と言う。
それなら、とベルギーのお城まで足を延ばした。今回は、マース・メヘレンの在の村ルートにある
ヴィランXIIII城。
8月の毎日曜日は、ベルギーのマース川沿いの村々で様々なイヴェントが行われ、ルートの村の
広場では、なぜかハイランド・ゲームが開催されていた。

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          えいやっ、と丸太投げ

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          粘土ではない。マース川沿いによくみられる石灰岩
          マール石(脆くて柔らかい)を削って子供達が工作。

村の真ん中の広場で車は通行止めになっているので、村はずれのお城まで歩いた。木立の奥
にあるから、雨上がりの緑の中の散歩も清々しくてよろしい。

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          お祭りなので乗り合い馬車も出ていた。
          のんびりとした速度で、歩くのと変わらない。

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          お城の向かいにある門の建物がカフェ・レストラン。

このお城では、お城ビールが飲める、と先週貰って来た村祭りブロシャーに書いてあったから、
何はともあれ、お城ビールを頼んだ。すると、「ブロンド、ダーク、ルージュ?」と訊かれる。
ブロンドは、普通の色のビールでアルコール度数も低め。ダークは濃い茶色の甘めのコクのある
ビールで、度数は11%もある。ルージュとは何ぞや、という私の問いに「クリックみたいなもの」
という答えであったので注文してみた。

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          アルコール度8%。酸味が利いていて甘みもあるがすっきり味。
          クリックはさくらんぼで味つけしたビールだが、このルージュには、
          砂糖使用と明記してあった。でも、ダークほどは甘くない。


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          グラスの足元に注目のこと。お城の形になっている。

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          ヴィランXIIII城正面。マースランド・ルネッサンスに特徴的な
          赤レンガとマール石の組み合わせ。左右(ほぼ)対称形で両翼と
          破風がグラスの足元のお城と似た形。城を正面に見ながら、カフェ
          テラスで飲むお城ビールは、雰囲気のため味も一段と冴える。

このお城の近くで醸造しているビールかと思ったが、そうではないらしい。お城ビールを作っている
ファン・ホンセブルック醸造所は、西フランダース州のインゲルミュンスターにある。

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          お城を裏から見ると、マール石で出来ている。塔の形も
          丸みを帯びていて、正面とは全く異なる様式だ。
          このお城では、古楽コンサートがよく行われていたが、
          最近はしなくなったようだ。残念。
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by didoregina | 2011-08-15 09:05 | ベルギー・ビール | Comments(4)

Tongerlo Christmas Beer

「タレンティーノ」というランチ・レストランに行った。

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外観も内装も郊外によくある普通のカフェ・レストランだが、コックおよび給仕として働いているのは、
主に知的障害を持つ若い人たちだ。
彼らの職業訓練および自立をサポートする目的で社会団体が運営するレストランなので、週替わり
ランチ・メニューはスープ、メイン、コーヒーまたは紅茶の3コースで7ユーロ50セントと格安だ。
マーストリヒト市内のカフェなら、サンドイッチだけでもなかなか5ユーロ以下では食べられない。
暖かい料理だったら、スープでも最低4・5ユーロだし、肉料理だったら10ユーロ以下では無理だ。

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        本日のスープは野菜スープ。
        給仕する人への配慮からか、スープは密閉容器に入ってる。
        メインは、ミートボールを薄切り肉で巻いたものにポテトとインゲン。

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        火の絶えないよう、薪がどんどんくべられる  
        暖炉の上も、クリスマス・デコレーション。

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        飲んだのは、その名もクリスマス・ビール!
        11月下旬から12月限定のスペシャル・ビールである。
        ベルギーのHaacht醸造所が多分ライセンスを買って作ってる
        Tongerlo修道院ビールだ。
        アルコール度は6.5%で、透明度の高い琥珀色。すっきりときれの
        いい味。夏に収穫された大麦で作られた上面発酵ビールだが、
        色の割りに甘みが少なくて、炭酸の泡立ちがシャンペンに近く、
        いかにも祝日にぴったりの華やかさ。

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        オランダのクリスマス・デコレーションは、色数を抑えて
        素材感も形も統一するのがキマリ。
        ここのは、いかにも手作りのフエルトの飾りで、基本色は赤で
        ピンクをニュアンスを足すために加えている。

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        赤のデコレーションの間に古道具をアクセントとして入れている。
        吊り下がっているのは、木で出来た昔のスケート靴。
     
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アーフェルカンプの絵に描かれているスケートをする人々が履いてるスケート靴に注目。
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by didoregina | 2010-12-07 17:10 | ベルギー・ビール | Comments(2)

桜桃の実る頃 Kriek Lambic

庭の桜桃がたわわに実った。
木が立派に育ちすぎて、木登りは怖いし、梯子でもあまり上には行けないから、
下のほうの実しか取れないのが悔しい。

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自分の庭に育つ果実や木の実は、宝石のようにいとおしい。

採った桜桃は、そのまま食べるには多すぎるから、ひとつひとつ種を出す。
種抜き器できれいにくりぬくのだ。
そして、タルトに利用する。ジャムよりもずっと生に近い食感が楽しめるからだ。
簡単なのは、タルト台にサクランボを並べて、卵黄と生クリームと砂糖を混ぜたものを流して
いっしょにオーブンで焼く。
凝った味にしたかったら、タルト台に粉砕したピスタチオに砂糖を混ぜたものを敷いて
サクランボを並べその上からもピスタチオと砂糖のミックスをかけてオーブンで焼く。
簡単な割りに、見かけも味も立派なタルトになる。
タルト台は、かなりバターの多いサブレ状のものを作る。
いずれもパッとできて、見栄えがよく、デザートにもなるタルトだ。

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種をくりぬいたサクランボをごろごろと入れたマフィンも豪快で美味しい。
上にクランブル(バターと同量の小麦粉を手の平ですり合わせたもの)を
かけてから焼く。

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庭のぶどう棚の下で、ホーム・メイド・アフタヌーン・ティー。
(オランダではハイ・ティーと呼ぶ)

桜桃の実る頃、飲みたくなるビールがある。
一年中手に入るのだが、暑さの増すこの季節にはなぜか飲みたくなる。
ベルギー・ビールのクリック・ランビックというヤツだ。

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酸味のあるサクランボを味付けに使用して自然発酵させたものが正式だ。
ランビック・ビールの発酵過程の樽の中にクリック(すっぱいサクランボ)を入れる。
サクランボの量はビール1リットルに対して200グラム。砂糖は加えない。
9ヶ月間樽で熟成させた後、濾過してボトリング。
瓶の中でも熟成させるので、伝統的なクリック・ランビックの瓶は、内圧に耐えるよう
75clのシャンペンボトルにシャンペンのようなコルクをしたものだ。
サクランボの自然でほのかな甘酸っぱさとビールの苦味が上手くマッチしている。

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商業的に大量に出回るものは、25clの普通の小瓶で王冠がしてある。
これには砂糖が加えられているから、かなり甘めのビールだ。

クリック・ランビックのアルコール度数は5%前後で、5,6度に冷やして飲むのがよい。
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by didoregina | 2010-07-12 17:54 | ベルギー・ビール | Comments(4)

北海の小エビのコロッケとKeizer Karel

ファン・デル・ウェイデンの絵を堪能した後は、アリーチェさんと昼食だ。
美術館から町の中心とおぼしき方面へ歩き、適当なカフェで簡単な昼食をとる。
美術館めぐりは、足が勝負で、展覧会一つ観るだけでも、結構疲れるものだ。
まずは、ビールで乾杯。
普段は、全くビール党ではないのに、ベルギーに来たら、やはりスペシャル・ビールを飲まずにはいられない。

座ったカフェのテラスでは、皆、Keizer Karel というビールを飲んでいる。わたし達も、樽出しのこのダーク・ビールを注文した。
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写真ではルビー色だが、実物はもう少し茶色がかっている。泡のキメは粗い。ハーヒト醸造所製だ。
味は、まあ普通のブラウン・ビール系で、甘みが勝ち、感激するほど美味しいとか変わった味というわけではない。オランダでは、ベルギー・ビール専門のカフェでもあまり見かけないから、わたしにとってはレアなビールではある。

Keizer Karel (1500 - 1558)と、ビールの名前になりグラスにも描かれているこの人物は、一体誰か。
オランダ語で言われてもぴんと来ないだろうが、フランス語でシャルル・カン、ドイツ語ではカール5世、スペイン語でカルロス1世、神聖ローマ皇帝だった人だ。
ブルゴーニュ公国だったフランドルのゲント生まれだが、母方のスペインを始め、多くの国を治めたので、名前の読み方が国によって異なるのだ。出身のハプスブルク家勃興期に当り、ドイツ、オーストリア、ネーデルランド、スペインなどヨーロッパ大半を統治したのみならず、南米にもその勢力を伸ばした。

お昼なので、アリーチェさんには、軽く食べられる小エビのコロッケを勧めた。
一応、ベルギー名物である。特に、北海沿いの地域ではよくカフェやレストランのメニューにあり、ディナーだったら前菜、ランチだったら主菜になる。

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  カメラを持っていなかったので、8月にオステンドのレストランで食べたもの。
  まあ、どこで食べても、大体2個が普通で、付けあわせがちがうだけ。

ベルギーの海岸には、この数年夏に1週間ほど、義妹とアパルトマンを借りるので、毎年、小エビのコロッケを食べる。しかし、実は、感動するほど美味しいものには、ベルギーでは出会ったことがない。名物に旨い物なし、というのではなく、オランダのゼーランド地方ブラウニッセで食べたものが美味しすぎて、それ以外はかすんでしまっているのだ。

やはり、決め手は小エビの量で、少ないと美味しくない。ブラウニッセはムール貝の産地で、町には巨大なムール貝の銅像が立っているが、小エビのコロッケの美味しさの方が際立って印象に残っている。旨い物の少ないオランダでは、異色である。

それ以来、美味しい小エビのコロッケを捜し求めているが、これだ、と言える出会いはなく、それならば、と自分で作ってみた。
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固めのベシャメルに小エビを混ぜ、俵型のコロッケにして揚げるだけで、難しいものではない。
難しいのは、指にくっつき粘るベシャメルを俵型にまとめることだけだ。
色々、試してみたが、びっくりするほど沢山小エビを入れないと、やはり美味しくできない。
してみると、あのブラウニッセのコロッケに入っていた小エビの量は、生半可なものではない、と悟った。

アリーチェさんとは、オペラや美術、旅行の話題が弾んで、楽しいひと時が過ごせたが、果たして、小エビのコロッケがお口に合ったかどうかは、聴き忘れた。
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by didoregina | 2009-09-24 18:26 | ベルギー・ビール | Comments(6)

ムール貝戦争   Brugese Zot      

このところ、ベルギー・フラマン政府とオランダの間で、一悶着が起きている。各界の様々な思惑が複雑に絡み、解決は難しそうだ。そして、それが、オランダ産デルタ・ムール貝の不買運動に発展しようとしているので、ムール貝戦争と呼ぼうと思う。

2005年に両国間で結ばれた「スヘルデ条約」のオランダ側の不履行が原因である。

ベルギーのアントワープは、内陸に位置し、海に面していないが、スヘルデ川沿いに港を持つ。
スヘルデ川は、アントワープを出ると、オランダ国内に入りウエスタースヘルデ川と名を変え、ゼーランド地方を流れ北海に注ぐ。
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          ゼーランド地方下方がウエスタースヘルデ川
          アントワープは、白いベルギー領の右下方に位置する。

アントワープはベルギー最大の港でもあり、年々貨物船の取り扱い量が増え、貨物船が大型化しているので、航行を容易にするため、ウエスタースヘルデ川の川底掘り下げ願いを申し出た。2007年にはオランダ下院で、2008年には上院でも、この案は可決された。しかし、一向に実行に移される気配がないのに、ベルギーは業を煮やしているのだ。

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          レゴのように見えるコンテナを積んだ貨物船

スヘルデ条約では、川底を掘り川幅が広げられるため破壊される自然環境の埋め合わせに、最低600ヘクタールの河川敷面積を新たに増やさなければならないとしている。
しかし、もっと厳しいヨーロッパ生態系基準に基づくと、実際には、自然環境回復のため、ゼーランド地方のポルダー(干拓農地)3000ヘクタールを、もとの自然に帰さなければならないという。
ここにきて、ゼーランド農民および当地出身の首相はじめ、オランダは反対または及び腰になり、環境保護団体と、ベルギーとの三つ巴の三すくみになってしまったのだ。

ベルギーはオランダに対して、じわじわと圧力をかけている。そのひとつが、ゼーランドのデルタ地方産ムール貝の不買運動というわけである。

もともと、ベルギーとオランダは1830年にベルギーが独立するまでは、ひとつの国を形成していたが、ひとつの国とはいえ、南北ネーデルランドの確執は歴史的に見ても、複雑だ。
アントワープは、1585年にスペイン軍から港を破壊された。そして、1609年のオランダ独立戦争停戦条約で、(カトリックの)南ネーデルランドはスペイン・ハプスブルク領として留ることに決めたため、(プロテスタントの)北ネーデルランドの制裁により、1792年まで、アントワープ港への北海航路は封鎖されていた。

いまさらスヘルデ川を拡張しても環境破壊に繋がるだけだから、アントワープ港は発展をあきらめて、北海に面したゼーブリュッヘをもっと活用すればいいのだと、いうのがオランダ側の言い分だ。
これは、しかし、歴史的にみてもベルギー人の感情を逆撫でするだけだ、と思えるのだが。


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      リセウェッヘで食べた「北海の魚のスープ」
      ブイヤベース風だが、魚は、タラ、鮭、ムール貝、小エビに手長海老
      ルイエも付いてきたが、ラードに大粒の灰茶色の海塩を混ぜたものが
      田舎風パンにあって、美味しかった。

ともあれ、ベルギーには、ベルギー・ビールをはじめ、オランダにない(というより、他のどこの国にもない)美味しいものが沢山ある。わけてもベルギー人に好まれるムール貝の消費量はかなりのものだろう。それを我慢してまでも不買運動をするのは、見上げた根性である。

        それを讃えるのにふさわしいビールはこれだ。
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       ブルージュ市内に残る唯一の醸造所De Halve Maan製Brugese Zot

「ブルージュの阿呆」という名前の、De Halve Maan職人芸のビールである。
上面発酵ビールで、瓶でも後発酵しているので、ちょっと滓がある。泡を大目に乗せるのがうまい。ちょっとだけ甘みがあるが、やはり少々酸味があるすっきり系で、アルコール度数は6%。
この醸造所はブリュージュ市内にあって、工場見学もさせてくれるから、次回ブリュージュに行くときはぜひ寄りたいものだ。
  
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by didoregina | 2009-08-21 15:56 | ベルギー・ビール | Comments(10)

日常的に国境を越える      Tripel Karmeliet

オランダには、今まで3ヶ所に住んだが、そのいずれもドイツもしくはベルギー国境に接した町だった。
その国境線というのが、低い山や、畑や林、または住宅地を分断する形で通っていて、散歩の途中知らずにいつのまにか越境してしまう、みたいなかんじであるから、日本だったら県境みたいなものだ。
バスで、ベルギー、ドイツに通勤していたこともある。

近場でヴァカンス気分を味わいたいときは、ちょっと国境を越えればいい。歩いて行ける距離であっても話す言語が変われば、異国情緒が味わえる。(<-ほんとか?)
土曜日は、ドイツに住む義弟の誕生バーティに行ったし、子供達は今日から1週間、ベルギーのヨット・スクールに通う。越境は、日常的である。


マース川が、オランダとベルギーの国境をなしているこの辺りだが、マーストリヒトだけは、例外的にベルギー側に入り込む形になっている。
他にマース川に沿った町で、マースが名前に付く町では、ベルギーのマースメヘレンやマーセイク(Maaseik)がある。マーセイクは、北方ルネッサンスの画家、ファン・エイク兄弟出身の町とされ、マルクト広場には二人の像が立っている。
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日曜日には、マース川を少しさかのぼった村(オランダのエイスデン)にお茶しに出かけた。家から、10分ほどである。
ハイキングには暑すぎる陽気なので、サイクリングの人たちが多い。風を切って川沿いにサイクリングするのは、気持ちがいい。

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    マース川の渡し場。対岸はベルギー。渡し賃は1ユーロ。

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    川沿のカフェ・テラス。ここも広場も村の通りも全てカフェは満員。


    ようやく、結構広い個人の庭みたいなカフェを見つけて、一服。
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お茶、といっても、オランダでは、自宅以外でお茶を飲むべきではない。カフェなら、お湯の入ったカップが出てきて、そこにティーバッグを入れたものがお茶だから、払う値段の価値はない。
せっかく飲むなら、家で飲めない美味しいもの。となると、樽出しのベルギー・ビールだ。
カフェによって異なるが、大体どこも、樽入りのを何種類か置いてある。

この写真のビールは、かなりレアな、Karmeliet tripel。このカフェの「今月のビール」である。
ベルギー・ビールの製法・味付けは、各醸造所がオリジナリティーの追求に切磋琢磨しているので、とても変化に富む。
また、ビールの法的定義が、日本やドイツのように原材料で限定されていないので、常識が覆される。
そして、ベルギー・ビールは、それぞれのビールに合ったグラスで飲まなければならない。その形も様々である。

トリプル・カルメリットは、カルメル派修道院の1679年以来のレシピを厳守して、小麦、燕麦、大麦の三種の麦から作られている。アルコール度は8.4%で、このグラスには半リットルくらい入るから、軽く飲むというわけにはいかない。
香りはハチミツっぽいが、味に甘みはほとんどなく酸味が強いのでフレッシュな感じで、夏の暑い時期向けだ。少し濁り気味で、樽から出してくれる。
グラスの形が変わっていて、上部はまっすぐで下が大きなボール型。
この醸造所は、クワックもそうだが、変な形のグラスを作るのが好きみたいだ。
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by didoregina | 2009-08-17 16:12 | ベルギー・ビール | Comments(15)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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