カテゴリ:旅行( 60 )

デン・ボッスでは身も心も寛げる

オランダ鉄道の一日乗り放題券(14ユーロ也)をドラッグストア・チェーンで買っておいた。
一枚残っていた切符の使用期限が昨日までだったので、天気がすぐれないが無理やり電車で
でかけた。

第一候補はデン・ハーグだが、週末恒例保線のため一部代替バスの運行になっていたので避ける。
第二候補はアムステルダムだが、やはり一部代替バス運行だから避けるのが賢明。
第三候補はデン・ボッス。おととい美術館2館がリニューアルオープンしたばかりだ。そして、何より
大事なのだが、ここまでは電車一本で行けるのだ。

(実は、当日朝、駅に行って乗り放題券を売ろうと思っていた。販売機脇で切符を買おうとする人に誰
彼となく声をかけたのだが、1等でなきゃとか、ベルギーに行くからとか、近場で14ユーロ以下だから
とか、割引券を持ってるとか、外国人とかで話が通じなかったりして、5,6分あれこれ試しても、買って
くれる人がいなかったので諦めた。)

電車で1時間半の距離のデン・ボッスに着くと、町はお祭りのように賑やかである。

c0188818_0531291.jpg

                  大聖堂前の広場パラーデは、マラソンのフィニッシュ。
                   某日本メーカーがスポンサー。
 
                     
マルクト広場では、中央に舞台、周りにはレストランの屋台が特設され、この町の特産品をいろいろ
プロモートしているテントも。
デン・ボッスといえば、ヒエロニムス・ボッスの町だから、画家のボッスにちなんでパレット形のパンや、
スペイン産ワインをボッスの絵と同じ樫の樽で熟成させたボッス・ワインとか、けっこう楽しい。

c0188818_111238.jpg

                美術館に行こうとするが、町中がマラソン・ルートになっていて
                向かいに建物が見えてるのに渡れない。。。


今回リニューアルオープンしたのは、市立美術館と北ブラバント博物館で、両館がガラス張りの通路で
結ばれた。

c0188818_182190.jpg

               北ブラバント博物館入口前のブロンズ像

コレクションや特別展はあまり大したことない内容なので、リノヴェーションした建物を見るのが主な
目的である。 そして、美術館ではお約束のカフェに入るのが。
市立美術館は、主にダッチ・デザイン家具やテキスタイルや食器や花瓶などのデザインものを展示して
いて、それと同じものがショップで売られている。美術館でお金を払って見るよりも、見本市とかショップ
で見て触ってこその製品である。

c0188818_1142753.jpg

                ガラス張りの廊下から広い中庭とテラスを臨む

ショップでは、美学やデザイン関連の本も充実していたが、カフェは古臭い雰囲気で混み合っており、
ちょっと幻滅。
ガラスの天井で古い建物を繋げるという、リノヴェーションではお決まりの方法なのもオリジナリティ
不足である。遊びの要素に欠ける。

その中で、たまたま、この女性が入ってきた部屋はなかなか面白かった。

c0188818_1193965.jpg

           白い壁に原色でステンシルで描いたような絵。赤いテーブルと
           同じような色のコーディネートの女性(見学者)が抜群にマッチ。

混み合っていて給仕も足りないカフェでの食事は諦めた。
大聖堂を横から見る一番の立地のカフェ・レストランに入った。ここのマラケシュ風チキンのチャバタは
日本のカレーっぽい味付けにコリアンダーやハリサ、そして野菜の甘酸っぱいソースがいいハーモニー。

c0188818_1252673.jpg

           ビールは、ブルージュのゾットのブロンド。道化がカーニヴァルで
           有名なデン・ボッスにぴったり。窓の外には大聖堂が迫る。


近年ようやく改修の済んだ教会の中に入った。一体何年振りだろう。

c0188818_1284893.jpg

                  身廊から内陣を見る。
                  サーンレダムの展覧会を当地の美術館でやっているが、
                  教会内部は、絵よりも実物を見るほうが好き。


c0188818_1302755.jpg

                  天井から何事か気配を感じた。上を仰ぐと天の目が。


そしてこの日は、この大聖堂の縁日らしく、立派なマントをまとった聖母子像が祭壇脇に置かれ、
特別拝観。ろうそくに囲まれてほほを染めて心なしかうれしそうな表情だ。夕方からは、巡礼ともに
聖母子を乗せた神輿が町を練り歩くのでぜひ行列にご参加を、と教会のドアに書いてあった。

c0188818_135865.jpg


この教会は拝観料を取らないので、修繕費として2ユーロ寄付した。

c0188818_1363461.jpg

                   奏楽の天使も愛らしい。



飲食店がとても多くて、お祭り好きの人が住んでるいかにも南部カトリックの町である、デン・ボッスの
町がとても気に入った。のびのびとおおらかな土地柄で、身も心も寛げる。
南部といってもアムステルダムまで電車で1時間だ。北ブラバント州の州都でもあり、住んでみたくなる
町である。
[PR]
by didoregina | 2013-05-27 18:46 | 旅行 | Comments(2)

ゼーランドの美しい町、フェーレ

c0188818_5275828.jpg

             1652年のブラウの地図に描かれたフェーレ
             Veere uit Blaeu's Tooneel der Steden

聖霊降臨祭の週末を、義妹一家と義母といっしょにゼーランドの貸し別荘(持ち主は義妹の元
同僚)で過ごした。
例年聖霊降臨祭の頃は初夏の気候で、太陽が出る確率が高く暖かいのが普通だが、今年は例外
だった。
水際で砂の城や堤防を作ったり、水遊びするのは無理だ。
それでも、晴れ間を縫って近くの町に車で出かけたり、堤防沿いにサイクリングしたり、海岸をウォー
キングしたりはできた。
土曜日に、フェーレの町まででかけた。

c0188818_426586.jpg

          フェーレの市庁舎。鐘楼のカリヨンの音が町に鳴り響く。

ワルヘレン島(現在は陸続き)のほぼ西端に位置し北海に面していた(現在はダムが造られて北海
とは直接繋がっていない)この町は、スコットランドと縁が深い。
まず、1444年にウォルフェルト6世という人がスコットランド王女メアリ・スチュワートと結婚。
カルル5世とスコットランド王との間に1541年に締結されたスコットランド羊毛集散条約のおかげで、
この町は賑わい、1600年時の町の人口3000人のうち300人はスコットランド人だったという。
羊毛集散地権は、ナポレオンによる対イギリスの大陸封鎖が1806年に発令されるまでこの町の
権利として残り、フェーレは集散地および港町として栄えた。

c0188818_456184.jpg

     北海(今はフェーレ湖)に向かって睨みをきかすカンプフェーレ塔
     対岸のカンパーランドとの間を行き来するフェリーが発着する。

ゼーランドの町は、何処に行っても家々の窓やドアなどが水掃除したばかりのように光っていて、
道路も掃き清められたように清潔だ。いかにも昔ながらの勤勉なプロテスタントの人たちが住んで
いるという印象である。

c0188818_4583030.jpg

        17世紀のオランダ絵画に出てきそうな家と路地

島々や半島からなるゼーランドは、ヨットなどのウォーター・スポーツのメッカで、ヨット・ハーバーが
点在している。
色々なヨット・ハーバーに寄港したが、フェーレの小さなヨット・ハーバーの立地は抜群である。
なにしろ、陸に上がるとすぐに温かみを感じる家庭的な町並のど真ん中で、まるで知人の家に招かれた
ような心地よさ。

c0188818_521172.jpg

        小さなフェーレの町のほぼ真ん中にあるヨット・ハーバー。
        人家の裏庭に続いているかのようで、小市民的でほのぼのしている。

土曜日に出かけたら、町の中のヨット・ハーバーに面した通りに小さな市が立っていた。
新鮮な魚やチーズ、海辺の香草などが美しく、芸術的においしそうだったので、買い込んだ。

c0188818_4541721.jpg

        観光客向けに、小エビの殻を剥いているおばあちゃん。
        

ゼーランドには、ドイツ人観光客が非常に多い。ルール地方辺りからだと、一番近くて手頃な海水
浴場なのだ。海岸や町を歩いていても、サイクリングしていても、店に入っても、聞こえてくるのは
オランダ語よりもドイツ語の方が多い。リゾートや貸し別荘地の駐車場に並んだ車のナンバーは
ドイツが目立つ。

c0188818_5143974.jpg

          1811年に鋳造されたナポレオン時代の大砲が
          町をぐるりと囲む堀の南堡塁に立っている。

別荘で暇にあかせて読んだエルセフィーアという週刊誌最新号によると、オランダでホテルなどの
観光宿泊施設数が一番多いのはアムステルダムで別格だが、ベスト10にフェーレも入っていた。

c0188818_5251910.jpg

            堤防から見える大教会
[PR]
by didoregina | 2013-05-25 22:34 | 旅行 | Comments(0)

ウィーンの赤

何から書き始めたらいいのか迷ってしまう、女三人のウィーン3日間だった。
おかげさまで、晴天に恵まれしかも気温は27~28度という夏のような日々。
旅行記第一弾は赤を基調とした写真でまとめてみよう。

c0188818_16255414.jpg

        ミュージアム・クオーターの中庭は、日光浴にもいい。

出発前、一番心配だったのはルフトハンザのストライキだ。前回のウィーン遠征で利用したエア・
ベルリンの故障・遅延その他に懲りたので、今回はわざわざLHにしたのに。
水曜日にデュッセルドルフから出発の予定だったのだが、月曜日にドイツ全土でストという予告。
前回のストは、労使双方の歩み寄りが見られないまま一日では収まらず一日おきに3回続いたから、
今回はそうならないよう円満解決をひたすら願った。最初の晩がマレーナ様出演のオペラ鑑賞なので
フライト・キャンセルや遅延は困る。
わたしの祈りは天に通じ、火曜日に無事オンライン・チェックインができた。

アン・デア・ウィーン劇場隣の定宿にしているベートーヴェン・ホテルはほとんど満室で、3人だと高く
つく部屋しか残っていなかったので、同じく4つ星で、劇場からあまり遠くないホテル・カイザーホーフ
の三人部屋を予約。サーヴィスも設備も朝食も満足できるもので、非常に快適だった。

c0188818_16321671.jpg

           天蓋つきベッドの左右にシシーとフランツルの肖像画。
           シシー・ファンの義母にはうれしいディテール。

ホテルは、カルルス・プラッツ、ウィーン工科大学、ナッシュ・マルクトに程近く、学生街地域に
位置する。リングの外側だから料金が安めなのだろうか。国立歌劇場、ミュジークフェライン、
アン・デア・ウィーン劇場にも歩いて10分の距離で便利だ。

お昼ごろ空港に到着。予約しておいたキャブはウィーン市内まで片道29ユーロなので、3人だと
非常にお得だ。すいすいと、20分くらいでホテルに到着。12時半くらいなのにチェック・インでき、
荷物もボーイがタクシーから部屋まで運んでくれた。

ナッシュ・マルクトのウマーで魚料理を堪能した後、アン・デア・ウィーンの裏手にあるお気に入り
老舗カフェ・シュペールのテラスでメランジュ。これぞ、ウィーンの味だ。

c0188818_16461186.jpg

          この陽気だから、店内に座っている人はいなくて、
          外のテラス席は一杯。

ウィーンでは、カフェで飲むコーヒーは比較的高めだが、日本の喫茶店のようにコップに入った水が
ついて、何時間でも長居してかまわないから結局お得なのだ。
翌日参加したシェーンブルン宮殿へのツアーのガイドさんによると、ウィーンの水道水の質はとてもいい
そうで、どこでも安心して飲める。町中や公園には、公共の水飲み場がいたるところに設置されている。
かなり新しい設備のように見受けられ、昨年までは見かけなかった(気づかなかった)。

c0188818_16533798.jpg

          ホーフブルクの中庭に出ているカフェでイチゴのトルテ尽くし。

ベートーヴェン・ホテルで出される紅茶は、すぐ近くのナッシュ・マルクトに面した通りにある紅茶屋
Demmerのものだ。お土産はフレーヴァード・グリーン・ティーに決めていた。前回行ったら、8月で
お店は夏休み中だったから、8ヶ月ぶりで溜飲を下げた。

c0188818_17101940.jpg

          Tautropfchen(露の雫)という名前のグリーン・ティー。
          中国産煎茶にヒマワリ、バラ、菜の花の花びら入り。
          この名前はもしかしたら、玉露にかけてるのかも。

ホテルに戻る道を一本間違えた。すると、大きな金色の茶漉しの看板が出ている。Demmerだ。
昔はここに本店もしくはティーハウスがあったのだろうか。今は、宿泊したホテル・カイザーホーフの
裏側でホテルのオフィスになっている。

c0188818_17164836.jpg



ホテルと同じ通りで、作曲家エネスコが住んでいたというプレートも発見。音楽の都ウィーンでは、
結構いたるところにこういうプレートを見かける。アン・デア・ウィーン劇場にはベートーヴェンが住んで
『フィデリオ』初演された、というプレートも付いている。ホテルの近くではドヴォルザークが住んで
いた家というプレートも見つけた。

c0188818_17233395.jpg

            偶然の出会いがうれしいプレート。
[PR]
by didoregina | 2013-05-01 10:23 | 旅行 | Comments(6)

ホテルに変身を遂げた音楽院

このところ、アムステルダムには高級ホテルが増えている。4星ホテルでも、建物やインテリアの
老朽化が目に付き、水周りに改善の余地ありと思えることが多く、値段に見合ったホテルを探す
のが難しい町である。
新しい建物を建てる余裕も余地もない時代であるから、新しいホテルは大体、古くて味わいのある
館や学校の建物の外側だけ残して、内部を大々的に改装したデラックスなデザイン・ホテルもしくは
ブティック・ホテルに生まれ変わるというパターンが多い。

コンセルヴァトリウム・ホテルもその一つで、元スウェーリンク音楽院だった建物が、素敵な5つ星
ホテルに変身を遂げた。

c0188818_151915100.jpg

        市立美術館の筋向いで、コンセルトヘボウからも至近。

泊まるのは無理でも、お茶やランチなら試したい。コンヘボで公開リハを見学した後はここに寄ろうと
決めた。

c0188818_15214486.jpg

         入り口に立ってるドアマンも厳しくなくてフレンドリー。


c0188818_15233388.jpg

           急な階段を上がると玄関ホールのようになっていて、
           元音楽院らしいオブジェがお出迎え。


c0188818_15254176.jpg

         そこから下を見ると、ラウンジのスペースになっている。
         食事の前にここでお茶。(ブラッスリーは予約入れたほうがいい)
         

かなり大掛かりな修築・リフォームを担当したのは、ミラノの建築家でありインテリア・デザイナーでも
あるピエロ・リッソーニ。内装も家具も彼のデザインで隅々まで統一されている。


c0188818_15331833.jpg

            古い建物の中庭もしくは異なる建物の間に、ガラス屋根を
            つけて一つにまとめるという定石パターン。


c0188818_15373420.jpg

            ラウンジからブラッスリー方向を臨む。
            天井が高くて開放感抜群。


宿泊客ではないので、ラウンジやブラッスリーやレストランやショップなどのパブリック・スペース
だけ見たのだが、古い建物のリノヴェーション・リフォームとしてはかなり大規模なのに、細部にまで
美意識が貫かれているのに感嘆。ラウンジ地下およびブラッスリー地下にあるトイレ二箇所それぞれも
異なるデザインで素晴らしい。


c0188818_15423230.jpg

           ホテルを出たところにある駐輪場でみかけた自転車。
           フレームが全て木で出来ている。



ブラッスリーでは、昼食以外に朝食をとることもできるし、ラウンジでは、アフタヌーン・ティーならぬ
アフタヌーン・コーヒー(ハワイアン)も。また、ちゃんとしたレストランも別にある。
ミュージアム広場およびコンセルトヘボウから道路一本渡るだけという至近距離にある別天地。
疲れた脚をねぎらうため、ここで一服のお茶もしくはランチをお勧めする。
[PR]
by didoregina | 2013-04-08 08:55 | 旅行 | Comments(2)

オランダの小さな町で出会った17世紀のワイン・グラス

ハーレムのフランス・ハルス美術館に行った1週間後、今度はオランダ中部の森林公園の北に
位置する村に出かけた。オランダに散らばっている旧友たちが年に一度一堂に会する週末という
もので泊りがけになる。

c0188818_2349506.jpg

             ハッテムのマルクト広場に建つ市庁舎

土曜日の午後、ハッテムという小さな町に足を伸ばした。いかにも中北部らしい清潔感が漂い、ズ
ウォレの小型版という印象だ。

c0188818_23585354.jpg

             町を取り囲む城壁にある城門の塔


地元の画家の絵などを展示してあるとても小さな郷土博物館に入った。
アイセル川の河川敷にいる牛や帆影の見えるアイセル湖などを描いた風景画が多く、それらの構図は、
オランダ特有の地平線が低く、空が画布の3分の2を占める遠景である。

c0188818_015755.jpg

            マルクト広場に建つ教会の横手


そして、ガラスの陳列ケースの中に、あの見覚えのあるワイン・グラスを発見して、狂喜した。

c0188818_23474469.jpg

            17世紀後半に作られたワイン・グラス。
            クラースゾーンが描いたものそっくり。

丁度一週間前にフランス・ハルス美術館で観た絵に描かれたものとほぼ同じタイプである。
本物は、思ったよりもかなり大振りで、脚の部分も空洞になっているので入るワインの容量は
相当なものになる。半リットルはありそうだ。説明版を読むと、果たして、宴会などで回し飲み
するため、と書いてある。

c0188818_011459.jpg

            こちらはプラド所蔵の絵。探したが本物には出会えず。
            (Pieter Claesz., Bodegon, 1637, Madrid,
             Museo Nacional del Prado)

なるほど、たしかに、こうして本物のワイン・グラスをじっくり観た後で、絵の方のワイン・グラスを
見ると、その手前に描かれたレモンや胡桃と比べてワイン・グラスは相当に大きい。
グラスの脚部分に張り付いているブラックベリー様の形状のボツボツには、手に持ったときの滑り
止めの役割もあったのだろうか。ガラスそのものはかなり薄手で、これにワインを入れたものを
手にすると緊張感が伴ったろう。洗うときにも、細心の注意が要するだろう。

本物のグラスの方は、見る角度によって、表面に蜘蛛の巣が張ったように見える。
これは、なんと20世紀になって掃除婦さんの不注意で割れたのを接いだものだそうだ。17世紀の
グラスだけに貴重なので、特殊技術で接着剤を使わずに接いだそうだ。その修復技術の確かさは
表面上は滑らかで、光線の加減によって細い蜘蛛の巣状の線が見えるだけということからも明白だ。
本物のグラスに出会うことが出来たので感極まって、博物館に写真撮影許可を求めたら、そういう
説明をしてくれた。小さな郷土博物館所蔵のこのグラスの価値を認めてくれる訪問者がいることを
向こうも喜んでいるようだった。

c0188818_0365335.jpg

           郷土博物館の筋向いの建物は擬ゴシック窓が珍しい。
           その手前にタンタンと犬のミルー
            

翌日は、友人の犬といっしょに、森林公園北辺にあるヒースの野と沼沢地を散歩した。

c0188818_044344.jpg

         寒いのに、沼に入って水浴びしてる犬。
[PR]
by didoregina | 2013-02-21 16:45 | 旅行 | Comments(4)

カーニヴァルからのエクソダスでハーレムへ

南部のカーニヴァルの騒音・雑音から逃れるため、土曜日に北部まで出かけた。
オランダ鉄道の安売り切符(1日全区間乗り放題2枚で25ユーロ)の使用期限が今月末まで
と迫っていたからでもある。

c0188818_19242674.jpg

          

どこに行こうかと主人と相談すると、第一候補は新装オープンしたアムステルダムの市立美術館。
しかもその日なら、筋向いのコンセルトヘボウでルセ指揮タラン・リリクとヘレンベリその他の歌手に
よるバロックの魅力的なマチネ・コンサートもある。
しかし、いい座席のチケットはすでにほとんど売り切れ。P席や平土間の前3列など、音響的にも
視覚的にもイマイチの席しか残っていない。最近は、そういう視覚的に難がある場所だと情けなく
なってくるから避けたい、という気持ちが強いのだ。
市立美術館は、増築部分のインテリアをじっくり見たいと二人とも思っていた。現在は特に面白そうな
特別展はない。それでいて入場料は1人17ユーロ50セントも取られる。う~む。

すると、またもやオランダ鉄道からオファーが来た。フランス・ハルス美術館に1人分の入場料金で
チケット2枚どうぞ、というヴァウチャーである。
それで行き先をハーレムに変更した。いや、どこでもかまわない、オランダを南北に分割する大河
より北側のプロテスタント地域にさえ逃避できれば。そこはカーニヴァルとは縁のない静地である。
予想通り、北に向かう電車は空いていたし、途中で乗り換えたアムステルダム中央駅でもハーレム
駅でも仮装している人は1人も見かけなかった。

ハーレムは、北オランダで一番好きな町だ。オランダの黄金時代そのままにしっとりとした美しさが
街並みに残っていて落ち着ける。そして、一番美しいオランダ語が話される町でもあるのだ。
しかし、ハーレム駅前広場は、バス・ターミナルとしての機能重視を第一としているらしく、恐ろしいほど
醜くつまらない広場に変貌してしまっていた。
駅前広場をさっさと通り過ぎて町の中心に向かうと、あちらこちらに素敵な建物がある。

c0188818_1927616.jpg

        ハーレムに現在でも残るホフュの一つ。Hofje van Oorschot

ハーレム出身の知人が、「ハーレムにはホフュが今でも沢山残っているのよ。建てられた当時は
貧しい人たちのための住居だったけど、今では人気があって入居するのが難しいほど」と、以前
教えてくれた。彼女のオランダ語も美しい発声なので聞いていて気持ちがいい。彼女も結婚前まで
ホフュの中の一軒に住んでいたのだった。

ホフュとは、中庭を囲む形で建てられた30戸ほどの集合住宅で、ハーレムには盛時には全部で40の
ホフュがあったが、現在でも20残っている。基本的に貧しい老人や寡婦などの老女を救援するための
公共住居で、一番古いものは13世紀、新しいものは19世紀に建設された。
現在は一般の人が入居しているが、いずれのホフュも観光名所として敷地は開放されている。
(週末には門が閉まるが、平日は10時から17時まで庭などの敷地が一般公開されている)
17世紀や18世紀の豪商が残した遺産を 貧者救済の目的に使うようにとの遺志を守って建てられた
ホフュだが、当時の入居条件として一般的だったのは、50歳とか60歳以上の老女でカルヴァン派を
信奉する人ということだった。

c0188818_204029.jpg

   フランス・ハルス美術館の建物も17世紀のホフュ。こちらは男性老人用。


聖バーフ教会のあるマルクト広場から、フランス・ハルス美術館のある通りまでは、賑やかな商店街
から一筋横の道を歩くと情緒があっていい。ひょいと見える横丁や路地にオランダ黄金時代の庶民
生活の息吹が今でも感じられるような気がする。

c0188818_20374823.jpg

         ハルス美術館の口の字形の建物に囲まれた中庭。いかにもホフュそのもの。
     

美術館の向かいの建物は17世紀の元聖エリザベト施療院で、ハルスが描いた病院理事達の肖像
画もフランス・ハルス美術館にある。

c0188818_20363848.jpg

             聖エリザベト施療院


その右隣につながる家並みを、現在ブログのスキン写真にした。
ハーレムのこういう通りを歩いて、ハルスの時代からある建物内の美術館で当時の養老院理事や
町の自警団の肖像画などを見ていると、その頃の地霊が今もそこに宿っているのが体感出来る。
フランス・ハルス美術館に関しては、また別の記事にしたい。
[PR]
by didoregina | 2013-02-12 12:55 | 旅行 | Comments(2)

ブリュッセル雪中遠征記 その1

エファ=マリア・ウェストブルックがタイトル・ロールのプッチーニ『マノン・レスコー』鑑賞の
ためにブリュッセルに遠征した。
遠征というほどの距離ではないのだが、平日夜のオペラ鑑賞となると帰りの足が不便なので
1泊することにした。オペラ鑑賞のためだけにブリュッセルに泊まるのは初めてだ。(先月の
ケルン1泊も同様。いずれの都市も家から100kmちょっとなので、天候や時間が許せば
日帰り圏内。)

c0188818_19582825.jpg

           泊まった部屋から見えるモネ劇場

ブリュッセルでのオペラ観劇はいつもマチネ狙いで、日曜日に電車で行く。オペラ終演は
どうしても遅くなるから、平日夜だと帰りの電車がなくなるし、終わってから車を運転して帰るの
は冬だと特に億劫である。
しかし、マチネ公演の『マノン・レスコー』はBキャストで、ウェストブルックは出演しない。
どうすべきか大変悩んだが、思わぬ運が巡ってきた。主人が珍しく一週間の海外出張すること
になったのだ。ウィーンやストックホルムへの遠征も全て主人が留守の時に行っている。これで
ブリュッセルにも大手を振って遠征できる。

泊まるところを確保しなくては。なるべく歌劇場に近いホテルを探したが、平日はいずれも高めの
値段設定である。
丁度お誂え向けのアパートメントが格好の値段で見つかった。40平方メートルで1泊85ユーロは
うれしい。1人では広すぎるから、義妹を誘った。

c0188818_2093273.jpg

        窓辺のコーナー。リビング・ダイニングにはこういう窓が2つ。
        寝室は別にあり、通りに面した窓は全部で3つ。

アパートメントの場所はこれ以上は望めないほどの位置にあり、モネ劇場の斜め前。広場を突っ切
るだけである。
その日の最高気温はマイナス10度くらいであったから、これは非常に有り難い。
そして新しくて広々した部屋!家具やキッチンは機器から小物まで全て、家具付き賃貸アパートや
貸し別荘にはお約束のイケア製だが、のんびりくつろげる。

c0188818_20162291.jpg

       ダイニング・テーブル。左手奥が玄関とトイレ、浴室。
       右手奥がキッチン。テーブルの左壁側にTVセット、
       右側にソファーとサロン・テーブルが置かれている。

アパートなので自炊することが基本になっていて朝食は付かないが、近くにはカフェやレストランが
沢山あるし、スーパーもほぼ並びにあるから朝食の材料は簡単に揃えられる。
キッチン設備は貸し別荘並みに整っていて、鍋釜・食器・カトラリー類はもちろんのこと、冷蔵庫、
冷凍庫、オーブン・電子レンジ、食器洗い機、トースター、コーヒー・メーカー、電気ケトル、
電磁調理器が完備されている。電気掃除機も置いてあるし、浴室にはドライヤーもあった。
シーツ、タオル、トイレットペーパー、布巾、液体食器洗剤、スポンジ、食器洗い機用の固形洗剤
も揃っていて、ホテル宿泊と同様の荷物で大丈夫だ。(ただし、石鹸やシャンプーは置いてない。)

荷物を解いてから、外に飛び出したが、厳しい寒さと風で10分も歩くと凍えそうになる。

c0188818_20391911.jpg

         近くのホテル・メトロポールのカフェに飛び込んでお茶。

義妹は、4月のウィーン遠征にも参加することになったので、今回は二人で事前演習である。
ウィーンっぽい重厚なインテリアのカフェに入ってみた。

c0188818_2042810.jpg

         インテリアはキンキラでゴージャス、飲み物の値段はめちゃ高だが、
         味はひどかった。ショコラ・ショーは、出来合いのショコメルを蒸気で
         暖めただけの薄いヤツで、カップも小さい。それが3ユーロ90セント。
         ギャルソンの数はやたらと多くて、皆愛想がとてもいい。ほとんど、
         1つのテーブルに1人くらい付いてる感じ。それで値段が高くなってる。

c0188818_20483834.jpg

         座った椅子の後ろにある柱に飾ってあったカルーソの写真とサインと似顔絵。


ブリュセル遠征が近づくと、このところ雪と寒さのためオランダ鉄道は連日間引き運転していて、
毎日「電車はなるべくご利用なさらぬよう」との案内メールが届いたので、ベルギー鉄道の方はどう
なってるだろうか、と不安になった。

ベルギー鉄道10回乗り放題回数券(76ユーロで1年有効)を買ってある。乗る前に日付と乗車駅と
降車駅を自分で記入するという自己申告制である。それで、ベルギー国内ならどこからどこまででも
片道7ユーロ60セントというわけだ。(複数人数での同時利用も可能)

家から近いベルギーの駅はヴィセで、駅の横に大きな駐車場があってしかもタダ。高速に乗れば
すぐで、15分くらいだ。マーストリヒト中央駅へは町中を通るので渋滞の時間だと下手すると車で
30分もかかったりするし、駅付近に駐車したら1時間で3ユーロ近く取られる。ベルギーの方が
ずっと有利である。

ただし、ブリュッセルに1泊するから、車を外に1晩置くのは気にかかる。盗難と凍結が心配だ。
ドアが凍って開かなかったり、エンジンがかからなくなったら困る。それで、ヴィセとマーストリヒト
中央駅の中間にある無人駅(歩いて15分と至近)から出発することにした。まだオランダ国内
にある駅なので、ベルギーのヴィセまでの切符を買わないといけない。
これが、思った以上に大変なのだった。

c0188818_21443515.jpg
 
        リエージュ駅は近年カラトラバ設計でリニューアルされた。
        駅構内のグラン・カフェもオシャレに変身。

ヴィセまでの乗車時間は11分と、オランダ鉄道のサイトからは時刻表の検索はできるのに、
ベルギー国鉄管轄の国際線なので料金が出てこない。オランダ鉄道の国際路線のサイトへ
飛ぶようにと張ってあるリンク先で料金を検索すると、なんと50ユーロと出てきた。
しかも、マーストリヒト中央駅、ブレダ、ローゼンダール経由で国境を越え、アントワープ、
ブリュッセルまで出てリエージュに向かい、そこからヴィセへという人をバカにした経路だ。
乗ってる時間は6時間。
11分で行けるところへ大回りして行けと。

(年頭から運行予定だったオランダとベルギーの首都を結ぶ超高速特級Fyraは、テクニカル・
プロブレムが露見されて、全面的に運行取りやめになったから、現行の普通特級ICかフランス
の新幹線タリスを利用するほかない。1月以前のFyraの運行時刻表を元に予定を立ててブリュッ
セル・アムステルダム間を移動しようと思っている人は、プラン見直し・変更をされるよう、この場で
注意を喚起したい)

次にベルギー国鉄のサイトで料金を探すと、特別マーストリヒト路線という項目が出てきた。
さくさく検索すると、片道2ユーロ90セントで、往復5ユーロ80セントだ。オンラインで買おう。
記入する内容は、氏名、住所、メールアドレスとクレジット・カードの種類だけだが、購入ボタンを
押すと、なぜかエラー表示が出て先に進めない。
仕方がないから、駅まで行って自販機で切符を買った。片道3ユーロ60セント、往復7ユーロ
20セントとオンラインよりも割高である。
電車に乗ると、国境駅間分の切符を車掌から直に買っている人が多い。いくらなんだろうか。
次回試してみよう。

当日、心配した電車の遅れは全くなくて、リエージュでの乗り換えもスムーズに出来、予定通り
午後2時にブリュッセルに到着し、安堵に胸をなでおろしたのだった。
[PR]
by didoregina | 2013-01-26 13:52 | 旅行 | Comments(20)

ドン・カルロに会いに、エル・エスコリアルへ。マドリッドで絵を見る その2.

王宮を見学した翌日は、バスでマドリッドから1時間のエル・エスコリアルまで足を伸ばした。

c0188818_21161726.jpg


スペイン国王フェリペ2世の離宮と修道院が合体し、広大な敷地に建つ建物は迷宮のよう。

c0188818_21143288.jpg


順路に従って内部を見学する。
最初の部分は修道院の建設に関する展示で、設計図や模型や建築に使われた工具や機械が
大量に展示されていて、建築の専門家や学生には興味深いだろうと思われる。
その後、暗くて寒々しい小部屋を沢山通るのだが、インテリアよりもそれらの部屋部屋に
掛けられている絵画の数に驚嘆する。主にフェリペ2世が当時スペインの属領だったフラン
ドルから集めたものが多い。

c0188818_2158263.jpg

       大小の中庭を囲む複雑な作りで、建物内部の写真撮影は禁止。
       この庭をドン・カルロスは、フィアンセから一転継母になったエリザベッタ
       といっしょに散歩したりしたのだろうか。

外庭に面した王宮部分の内部には、少し開放感と家庭的な雰囲気が感じられる。
しかし、そこから地下にある王家の霊廟に進むと、あっと驚く。
王や王妃や、王位を継ぐことが出来なかった王子や王女などの石棺の並ぶ廟が続くのだ。

面白いなと思ったのは、王子や王女の墓碑や石棺にAとBという文字が交互に並んでいる
ことだ。
なんだろうと思ったら、Aはオーストリアの略でBはブルボン家の略なのだった。
スペインでは、王家にはハプスブルク家という代わりにオーストリアのという形容が付いて
いたのだ。


c0188818_223202.jpg

       スペイン国王カルロス1世(神聖ローマ皇帝カルロス5世)と
       その子フェリペ2世の墓のある廟ではなぜか写真撮影が許される。

父王フェリペ2世とその子ドン・カルロスの確執は、ヴェルディのオペラ『ドン・カルロ』で
有名なので、皆誰でも判官贔屓でドン・カルロスに特別の憐憫の情を感じるのではなかろうか。

c0188818_2220851.jpg

       昨シーズン、アムステルダムの歌劇場で再演された『ドン・カルロ』。
       エル・エスコリアルの霊廟のイメージがスタイリッシュな舞台装置に。
       しかし、実際の霊廟はもっと権力や血の匂いが漂い、生々しかった。

ドン・カルロスの石棺は、王位を継承できずに若死にした悲劇の境遇を物語るかのようにシン
プルで、母の石棺と同じ部屋にひっそりと置かれてあった。

ヴァチカンに次ぐ量と質というエル・エスコリアルの図書館の蔵書の間に、この宮殿で過ごした
時間の長かったフェリペ2世の家族それぞれの肖像画がかかっている。

c0188818_22255530.jpg

       フェリペ2世(1557年) アントニス・モル画 エル・エスコリアル蔵

フェリペ2世は、典型的なハプスブルク家のルックスの人物である。そして、いかにも権力へ
の執着が非常に強そうなのは、粘っこい目付きとエル・エスコリアルの建築や装飾やとてつも
ない数の蔵書や絵画コレクションからも覗い知れる。

首には、ブルゴーニュ公国から引き継いだ金羊毛騎士団の金の勲章をかけている。その点でも
フランドルには断ち切れない絆がありありと描かれているので、オランダ・ベルギー人の彼を
見る目は複雑である。

画家のアントニス・モルは、オランダ人だが、当時スペインやポルトガル王家に重用された。
また興味深いのは、スペインからのオランダ独立の立役者であるオラニエ公ウィレムの若かり
し頃の肖像画(不敵な面構えで非常にかっこいい)も、同じ画家が描いていることだ。
この二人は敵同士であったのに。

c0188818_2382735.jpg

        オラニエ公ウィレム(1555年) アントニス・モル画 カッセル美術館蔵

このオラニエ公ウィレムの肖像画には、3年前にデルフトのプリンセンホフ美術館でお目にか
かった。
今は美術館になっているその館で、彼は暗殺されたのだった。スペインからの開放を勝ち取った
彼はオランダ建国の父として現在でもオランダ人から非常に崇められている存在だ。(一番好
きな歴史人物とかオランダ史で重要な人物投票では常にナンバーワン)

ついでに言うと、オランダ王家代々の墓は、デルフトのマルクトに建つ新教会の地下にあるの
だが、非公開である。それに対して、スペイン王家の墓は、ここエル・エスコリアルで一般公開
されていて、その事実からも、両国国民性および王室の対極のような隔たりを感じる。


さて、フェリペ2世の息子の1人であるドン・カルロスは、虚弱児だったらしい。
上掲の二人の肖像画と近い時期に描かれたドン・カルロスの肖像画も比較のためご覧いただき
たい。いかにも癇の強そうな、青筋がぴくぴくしているような表情だ。
カトリックの象徴かつフランドル支配も暗示する金羊毛騎士団のメダルを掛けていないのが、
大人になってからの彼の悲運を予兆するかのようだ。

c0188818_22115978.jpg

   プラド美術館蔵のドン・カルロス(1558年) アロンソ・サンチェス・コエーリョ画


エル・エスコリアル見学を終えて、近くのタパス・バーに寄った。そこに置いてあったビールは、
オランダのアムステル。なんとなく因縁めいている?

c0188818_2335288.jpg

        カウンターではビールもワインもピンチョス(一口のつまみ)も目茶安。
        テーブルで食べてる人の料理を見たら、どれも美味しそうだった。
[PR]
by didoregina | 2013-01-06 15:42 | 旅行 | Comments(4)

マドリッドで絵を見る その1

ケルン遠征の翌々日にマドリッドへ飛んだ。主人と二人で4泊のシティー・トリップである。
二人ともマドリッドは初めてなのだった。

c0188818_22594788.jpg

      ケルンに引き続き、マドリッドでもデザイン・ホテルに泊まった。
      屋根裏部屋で、隅のほうは天井が低いが、広さは非常にある。
      キッチン・ブロックとソファー、ライティング・デスクが置かれている。
      バス・ルームには、ビデはあってもバスタブがないのがスペインらしい。

このホテルを選んだのは、テアトル・レアルすなわち王立歌劇場に至近距離だからだ。

c0188818_2345428.jpg

      12月の演目は、チェルニャーコフ演出のヴェルディ『マクベス』。
      しかし、安い席からどんどん売れていってしまい、気が付いたら100ユーロ
      以下の席はなくなっていた。125ユーロの席でも「舞台がよく見えない」と
      表示が(親切にも)出てくるので、買う気が萎えてしまって、とうとう
      オペラには行かずじまいだった。二人分で250ユーロも出してよく見えない
      席なんて。。。
 
それで、マドリッドでは主に町をぶらついたり、美術館巡りをした。

c0188818_23132142.jpg


まず王宮見学と、宮殿内のゴヤの特別展に。

c0188818_23164766.jpg

         マドリッドの王宮

ゴヤという画家はかなり多作だし、作風が時期や素材や依頼主によって様々に変化し多岐に渡る。
宮殿での特別展は、Goya and the Infante Don Luis: Exile and the Kingdomと題され、
ドン・ルイスという悲運の王子の家族の肖像を中心に同時代の作品を集めたもので、親しみを
覚える絵の数々だった。

c0188818_063122.jpg


        前面で横顔を見せるドン・ルイスは、フェリポ5世の5番目の王子
        でカルロス3世の末弟。

この絵は、普通のブルジョワ一家のワン・シーンのようで家庭的な空気に満ちている。
骨肉相食むような権力闘争に敗れた不運の王子に対する、ゴヤの判官贔屓のようなシンパシーが
感じられ微笑ましい。


似たような構成の国王一家の肖像画と比べてみて欲しい。↓

c0188818_011404.jpg

       プラド美術館所蔵のカルロス4世一家の肖像画。

王宮内にあるカルロス4世と王妃の肖像画や、プラドにある有名な国王一家の肖像画には、ぎらぎらと
した権力および奢侈と倣岸さへの画家のあからさまな嫌悪と非難の感情そのままに、尊大そのものと
しか言いようのない人物たちが冷徹かつ酷薄に描かれているのに対して、上掲のドン・ルイスやその
家族の目付きは穏やかで温かく、それは画家の彼らに注ぐ視線の温かさをそのまま反映していると
思われる。


ゴヤの絵以外では、壮年だが太る前のファリネッリの肖像画を見ることができたのがうれしかった。

c0188818_0212736.jpg

        Carlo Broschi, Farinelli (1705 - 1782)
       1750年ごろ Jacopo Anigoni (1682 - 1752)

ファリネッリは、古今のカストラート中のカストラートで、歌手としては神に等しい存在であった。
スペインのフェリペ5世とフェルナンド6世に仕えたから、スペインとは縁が深い。

現代版カストラートと言えなくもないカウンターテナー歌手たちの競演を、ケルンで鑑賞した後だった
だけに、ファリネッリの肖像画は、「カウンターテナーを極める」年を締めくくるのにふさわしい。
しかし、CT追求は機会を逃さずに今後も続けていくつもりだ。
[PR]
by didoregina | 2013-01-04 16:29 | 旅行 | Comments(2)

年末のケルンあれこれ

今更ながら、という気もするが、ケルンでのコンサート以外で見聞きしたあれこれをご報告したい。

sarahoctavianさんにお任せして選んでもらったホテルは、ケルンの市庁舎近くのデザイン・
ホテル。従業員は皆若くてフレンドリー。駅、大聖堂、美術館、クリスマス・マーケットそして
コンサート会場までいずれも徒歩10~15分圏内だし、近くには醸造所直営ビア・ホールやレス
トランが数多く非常に便利な立地。
1年前に全面的に改装された建物の室内やレストランおよび階段のインテリアが安っぽくない
トレンディー・デザインで、小物もこだわりの本物(枕もとのスタンドはコスタンツァ、バスタブ、
シャワー、カランはフィリップ・スタルク)
エレベーターなしの4階(最上階)の部屋なので格安で、ベッド幅こそ少々狭いが、全体にとても
いい感じ。

c0188818_622529.jpg

        部屋の壁に掛けられたアグリッパ(マネジャーの説)とツーショット。
        着物は、10月の里帰りで持ち帰った母の着物の裄を直したもの。
        紫の地に漆で織り込んだ黒の花模様。帯は銀糸とパープルの袋帯。
        帯揚げは白に赤の飛び絞り。帯締めは白と黒で水引風。

バス・ルームは左右にバスタブとシャワー・ブースと分かれて、最新設備が素晴らしいのだが、
全身の映る姿見がない。洗面台の鏡には上半身のみしか映らない。
そのため、ほとんど鏡を見ずに着つけ、ヘア・メークもしたのだが。。。
二重太鼓を作るために、前もって帯の太鼓部分を折り曲げてクリップで留めてから体に巻きつけた
のだが、着つけ終わってからそのクリップを取り外すのを忘れ、そのままコンサートへ。
終演後、深夜過ぎにホテルに帰って着物を脱ぐまでそのことに気がつかなかった。。。。ああ。

c0188818_6345022.jpg

       ケルンのビールはケルシュ。チェコのピルゼン・ビールがピルシュと
       呼ばれるのと同様に、ビールの代わりの一般名詞化している。
       そして、どのカフェ、レストラン、ビア・ホールに入ってもメニューに
       あるのは契約しているケルシュ1種類とアルコールなしのビールのみ。
       ドゥンケルとかヴァイツェンとかのヴァリエーションはないのだ。
       しかしケルンだけでも醸造所の数は相当あるから、河岸を変えれば
       異なるケルシュを飲むことが出来る。3箇所で3種のケルシュを
       飲んだ。どれも、ピルシュ風のさっぱり味でアルコール度も低そうだ。
       今年の夏50才になった義弟は、ケルン産ビール50種詰め合わせを
       プレゼントに貰っていたっけ。
       また、夏にケルンのライン川沿いのカフェやビア・ホールに行くと、
       ビールはメートル単位で注文する若者が目に付く。1メートルの板に
       グラスの入る穴が開いていて、20ml位のグラスが6つくらい入るのだ。


また、ケルン遠征はクリスマス前だったので、市内に6箇所にあるクリスマス・マーケットのうち、
アルテ・マルクトとノイエ・マルクトに行ってみた。前者はホテルのすぐ裏にあり、ノスタルジック。
後者は、ヒップなホテルのお兄さん(チェンチッチの弟という感じのオーストリア人)お勧めで
別名天使のマルクト。
大体、ドイツのクリスマス・マーケットはどこでも同じような店や食べ物の屋台が並んでいるものだが、
ケルンでは今まで見たことのない食べ物屋を発見。

c0188818_6565993.jpg

          フラメラックス!すなわち鮭の直火焼き。

c0188818_6585447.jpg

          焼いた鮭の切り身をパンに挟んだもの。

c0188818_702560.jpg

          
        皆様、新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
       
[PR]
by didoregina | 2013-01-01 00:01 | 旅行 | Comments(10)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


最新のコメント

Vermeerさま、多分..
by レイネ at 01:38
トマスのソロ・コンサート..
by Vemeer at 01:25
Vermeerさま、この..
by レイネ at 20:56
詳細なレポート、楽しく拝..
by Vermeer at 18:02
ロンドンの椿姫さま、それ..
by レイネ at 17:03
大満足のマスタークラスで..
by ロンドンの椿姫 at 23:41
鍵コメさま、ヴェロニカ・..
by didoregina at 18:57
Mevrouwさま、北海..
by レイネ at 18:46
レイネ様も怒涛の更新で、..
by Mevrouw at 23:33
Mevrouwさま、サー..
by レイネ at 22:10
Mevrouwさま、夏の..
by レイネ at 22:05
新作オペラに挑むのは本当..
by Mevrouw at 20:56
クロアチア~ベネチアを自..
by Mevrouw at 20:27
Mevrouwさま、ご高..
by レイネ at 20:19
ようやく一息つける日なの..
by Mevrouw at 19:57
Mevrouwさま、癒し..
by レイネ at 16:49
このところネットからも音..
by Mevrouw at 16:37
斑猫さま、もうすでにパリ..
by レイネ at 16:57
ロンドンの椿姫さま、まさ..
by レイネ at 16:54
こんにちは CT研究会..
by 斑猫 at 00:16

以前の記事

2016年 11月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 06月
2015年 04月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月

タグ

最新のトラックバック

究極の愛を描いたワーグナ..
from dezire_photo &..
バッハが人類に残したメッ..
from dezire_photo &..
バッハが『ロ短調ミサ曲』..
from dezire_photo &..
ルター派のプロテスタント..
from dezire_photo &..
ダンテの『神曲』 ”地獄..
from dezire_photo &..
ポン=タヴァン派、総合主..
from dezire_photo &..
倉冨亮太さんの繊細な美し..
from dezire_photo &..
ダイナミックで刺激的な多..
from dezire_photo &..
贅沢と快楽に生きる娼婦な..
from dezire_photo &..
バッハとヘンデルの音楽性..
from dezire_photo &..

カテゴリ

全体
バロック
映画
オペラ実演
オペラ映像
オペラ コンサート形式
着物
セイリング
コンサート
美術
帽子
マレーナ・エルンマン
イエスティン・デイヴィス
クイーン
CD
20世紀の音楽
旅行
料理
彫金
ビール醸造所
ベルギー・ビール
ハイ・ティー
サイクリング
ダンス
ハイキング
バッグ
教会建築
カウンターテナー
演劇
未分類

検索

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

音楽
映画

画像一覧