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Grayson Perry 回顧展 "Hold Your Beliefs Lightly"

ボネファンテン美術館がこのところ大きく気を吐いている。それまでは、面白く見てよかったと
心から満足できる展覧会は、大体4,5年に一度の割でしか遭遇できなかったのが、4年前に
館長が替わってから、ツボを押さえたようなヒット続きである。
今回は、グレイソン・ペリーの回顧展。(2016年2月26日から6月5日まで。)

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実はこの展覧会に行くまでは、彼のことも作品も寡聞にして知らなかった。しかし、オープ
ニングの写真や新聞記事その他を目にして、これは絶対に面白そうだ、とピンときた。
そして、水曜昼からの学芸員によるガイド・ツアーがあるので、急遽参加・鑑賞してみると、
予想を大きく上回る感動に巡り合えたのだった。

まずは、前回の大ヒットCeramix展の続きのような感じの陶器の展示室から。

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元々は陶芸から出発したペリーである。陶土の持つ土臭さと素朴な造形に、絵柄やデザインに
捻りを効かせた彼独特のセンスが発揮されているのだが、それは、男性という性のマッチョさが
具象的に表現されつつ、女装も好きなフェミニンな彼の心の優しさが加味されて独特の美しさが
ある。

女装趣味が嵩じて、セントラル・セント・マーティンズの学生たちにコンペで作ってもらうドレスも
彼のトレードマークだが、それが恐ろしく似合う。
このドレスは真珠やビーズの刺繍が施され手の込んだものだが、よく見ると刺繍の柄が男性器。

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幸福とはいえない複雑な家庭環境で育ったことから、アラン・ミーズルズと名付けたテディベア
を友人とし、作品モチーフのそこここに登場させている。
それはタペストリーの細かい絵柄の中にいくつも潜んでいたり、神格化されたミーズルズを祀る
祭壇のようなものが作品であったり。そして、シュタイフのテディベア博物館を訪問したり。

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作品展示室とは別に2部屋で、彼を紹介するドキュメンタリー・ヴィデオが上映されている。
彼の作品を楽しみ理解するのに非常に役に立つ。というより、何の説明もなしに展示作品だけ
見ても楽しみは半分以下である。

大英博物館での、各地の民族的収集物や考古学的に非常に価値のある作品と並んで、彼の
作品が展示された時のドキュが面白い。それらは恐ろしいほどの対比を見せるのだが、しかし、
全く違和感なく調和している。そして、並べるとどちらが彼の作品でどちらが考古学的遺跡なのか、
わからなくなったりする。その秘密を明かすように彼は言う。I'm not a contemporary artist,
I'm just an artist.

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全室をガイド・ツアーでざっと見た後、Julie's Houseというプロジェクトのヴィデオを見て、彼の
普通の人間に対する優しい視線、女性存在そのものへの共鳴の本質が理解できた。
架空のジュリーという女性の一生の物語をタペストリーと絵で物語にし、彼女のための神殿とも
いえる家をエセックス州の海岸に近い寒村に建てるというプロジェクトである。
自分が育った実際の町や見知った風景をジュリーの住んだ場所と定め、ごく平凡な女性が辿る
少しだけ波風の立った一生というストーリーを美術作品に仕立てるのだが、その家は神殿らしく
外壁や内装のタイルの一つ一つが手作りでとても手の込んだ美しい建物である。

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完成したジュリーの家にエセックス州在住のジュリーと言う名の女性6人ほどを招く。自転車で、
彼女らと架空のジュリーに関わる場所を回り、最後に完成したばかりのジュリーの家に行き
「これは、あなたたちのための家よ」と女装したペリーが言うと、ジュリーたちは感極まる。
ごくごく普通の女性が逞しく生きることへの共感と優しい視線が、その建物の隅々にまで充満して
いるからだ。

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ジュリーの一生の一コマ、スナップショット
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by didoregina | 2016-03-03 21:16 | 美術 | Comments(0)

Sarah Morris のAstros hawk展@M-Museum Leuven

車を買い換えた。愛車MINIも新年を迎えると12年目に突入する。10年過ぎたあたりから色々
故障が多くなって修理費用がかさむのと、14年間乗り尽した主人の車も昨年末とうとうお釈迦に
なったので、二人の車をこの際一台にしようというわけで MINI Cooper Countrymanに。
キーを受け取って早速、ちょっとだけ遠出というか足慣らしのためルーヴァンまでドライブ。
月曜も開館の美術館はアムステルダム以外にはあまりないのだが、比較的近場のルーヴァンの
ミュージアムMが開いていて、サラ・モリスの展覧会が開かれていることを知り、出かけてみた。

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Sarah Morris Astros hawk (18.10.15 - 20.03.16)

ルーヴァンのMは、マーストリヒトのボネファンテン美術館と同じような地方都市の美術館で、
常設展示には中世のキリスト教関連作品が多いことや、コンテンポラリー・アートを中心にした
企画展が気を吐いている点に共通点がある。数年に一回、とても力が入って(金がかかって)
面白い展覧会が開催されるという点でも似ている。(地方の美術館ではその回数が限度。)
前回、Mに行ったのは、かれこれ数年前のソル・ルウィット展である。アーティストのコンセプト
に則って、白く塗った壁に直接描かれたウォール・ペインティングの数々はこの美術館の空間を
十分に活用した、非常に素晴らしいものだった。

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Rockhopper [Origami]

今回のサラ・モリス展に展示されている作品も、幾何学的に整然と緻密に描かれた線と色の
きっちりとした塗り方など、ソル・ルウィットの作品と共通するものがある。
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ゆったりと広い部屋の壁、基本的に一つの面に一作品の展示。

つるりとした質感の平面に、折り紙の折線をモティーフにしたり、生物や自然現象を幾何学模様
に置き換えた作品は、色遣いがポストモダン的に優しく、大きさはすっぱりと大きく小気味よい。
丁度、小学校低学年または幼稚園児と思えるグループが引率されて訪問していたが、子供たち
にもアピールしやすいものだろうと思える。
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絵画作品以外にも、モリスの監督した映画作品が4室で上映されている。そのうちのRioという
映画の美しさには目が惹きつけられ感嘆し、なかなか腰が上げられなかった。
ブラジルのリオ・デ・ジャネイロの、町や海岸やカフェや工場や地下鉄の中の風景とそこに生活
する人々の様子を、次々とあまり脈絡のないスライドショーのように繋げたドキュメンタリー映画
なのだが、一つ一つのコマ、カット、色、人物の顔などが、ため息がでるほど魅力的なのだ。
町を主人公としたどのショットもパーフェクトな美しさで、スティールにしたら素敵なポスターに
なるだろう。
このドキュメンタリー映画を見ると、彼女の素敵な感性、有り余る才能を表現するメディアとして
映像が最もフィットしたものであることは明らかだ。

しかし、もっと大きな驚きは、展覧会場の最上階にあるのだった。
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Maqta [Abu Dhabi]

ルーヴァンの町並みを見下ろし、遠くに教会の塔や大学図書館などの歴史的建造物が壁に
開いた窓から一望できる3階のこの部屋では、ソル・ルウィット展でも同様だったが、それを
借景にした作品が展覧会のためだけに制作されている。Mの空間を最良・最適に使った作品で、
その空間に身を置くと贅沢さに目が眩むような体験ができる。

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財力にあかして金という富の誇示という目的があからさまで、醜悪この上ない現代建築を
集めたようなアブ・ダビのオフィスと無機的な石油精製工場群をイメージしたポップな壁画と、
中世からの美しい町並みが残るルーヴァンの屋根の景色とのコントラストは、しかし、対比と
して面白いだけでなく、すっかりモリス作品の中に取り込まれ違和感がない。小気味よいとは
このことである。
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by didoregina | 2015-12-08 19:21 | 美術 | Comments(0)

CERAMIX @ Bonnefanten Museum

マーストリヒトのボネファンテン美術館では、5、6年に一度、企画も質も申し分なく興味深い
展覧会が開催される。(地方の美術館としては、財政的にその頻度での実現が限界らしい。)
2015年10月16日から2016年1月31日まで開催中のCERAMIXは、企画・展示方法・内容の
いずれをとっても、今までにないほどの意気込みが漲った素晴らしいものだ。(2年前に館長が
変わって以来、特に新感覚と息吹が感じられる。)

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「ロダンからシュッテまで」と副題の付けられた今回の展覧会は、セーブルの国立陶器博物館
およびパリのメゾン・ルージュとの共同企画というのがミソで、オペラならばさしずめ複数の
歌劇場の費用折半によるコープロのようなもので、専門分野に強い博物館の実力やコネ、その
道のエクスパートによるキュレーションの実力が束になったおかげで実現できた。
20世紀および21世紀の作家110人の作品計250点が世界中の美・博物館や個人コレクションから
集められ、来年はセーブルとパリでも巡回展示される。

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まずは、ロダン作の『バルザック』の頭が目に飛び込む。用いる素材がブロンズではなく陶器
であるから、物理的力強さに欠けるのではという恐れは、ここで吹っ飛ぶ。焼き物につきもの
壊れやすいという弱点から来る脆さの印象は皆無である。モデルと作り手双方のパワーが相乗
している結果と言える。

最初の方の展示は、ピカソ、レジェ、マティスといった、20世紀初期の作家(画家)による作品
で、アプローチに古臭さが感じられるのは、水差しや花瓶や入れ物という実用にも重きが傾い
ているためだろうか。あっと驚くような意匠も少ない。所謂、画家が絵を描く合間の手慰みに
土を捻ってみました、という域からあまり出ていない。

それが、次々と別の展示室に入るたび、コンセプト別に集められた現代作品が現れ、思わず
にやりと笑みが漏れたり、感嘆のため息をついたり、新発見にも暇がなく、楽しくなってくる。
創作物が自由に息をついているような、伸びやかさが出てくるからだ。

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Chiaro di luna (Moonlight) 1932-32, Arturo Martini (1889 - 1947)

この『月光』というかなり大きな作品(等身大に近い)の、バルコニーから身を乗り出して月の
光を浴びている恍惚の乙女たちを観ていると、ドビュッシーの『月の光』が聞こえてくるよう。

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今回の展覧会での目玉の一つは、ジェシカ・ハリソンによるパロディ心一杯の女性像たちだ。
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展覧会の告知やポスターにも使われているPainted Ladyやその他のリャードロ風フィギュリン
の実際に見るとびっくりするほど小さな磁器人物は、よく見るとデコルテ部分に船乗りが好む
刺青を施していたり、切り口も生々しい断頭の頭を自分で持っていたり、すまし顔でポーズを
取りながら一筋縄ではいかない女性像たちなのだ。

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Predictive Dream XLIII (2013), Katsuyo Aoki (1972 -)

女性ならではの繊細な指先と驚異的なディテール感覚から作り出されたのだろうなと、思わず
勘違いしてしまいそうなほど、女性作家の緻密な作品に目が釘付けになった。
鬼とも竜の頭とも見えるこの作品は、均衡のとれたシンメトリーと波立つカールの細かさとで
なる美の結晶だ。

また別の気に入った作品も女性作家によるもので、セルビア出身の彼女は日本で焼き物の勉強
をしたという。こちらは額に入れた絵画のような一見平面的な作品だが、ひび割れのような
細部の線を構成するのが手で綯ったひも状の粘土から作り出されていることが近づいて見ると
わかり、驚嘆する。
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Analysis and inplementation of the global game plan (2012), Ljubica Jocic-Knezevic (1973 - )


そういった細密な作品と対応するように、展示室の床や壁を大胆に使ったインスタレーション
作品もある。
壊れた破片のような形を繰り返し作り、それが全体を構成してさわやかな風が吹き渡るような
印象になっている。

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壁に掛けられているのは、It's the Wind (1985), Piet Stockmans (1940 - )


陶磁器と言うと実用の美、というものを想像しがちである私の狭い知識と古い感覚に
ガツンと鉄槌が下されたような、小気味よい快感を得る展覧会である。
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by didoregina | 2015-10-30 18:30 | 美術 | Comments(2)

ゴッホ美術館のムンクとファン・ゴッホ展 Munch: Van Gogh

アムステルダムのファン・ゴッホ美術館で9月25日から来年の1月17日まで開催中の展覧会
Munch:Van Goghは、期待を大幅に上回る素晴らしいものだ。
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何が凄いかというと、両者による同じテーマおよびモチーフでしかも年代的にかなり近く
美術史的価値もほぼ同等の作品を並べて見せるという理想的展示方法を実現できたこと。
頭の中・想像の世界で美術愛好家がヴァーチャルに楽しんでいる方法だが、実際の美術展を
その方式で行うのは大変なことだ。世界中から観光客が訪れ、オランダ観光のメッカである
ファン・ゴッホ美術館でしか企画・実現は不可能であろうと思われる、質の高い作品が目白
押しで充実した内容だ。
美術愛好家の夢がここでひとつ叶えられた。

ファン・ゴッホよりムンクは10歳年下だが、早熟かつ早くから画家として認められていた
ムンクなので、ゴッホとほぼ同じ時期にパリに滞在していたり、19世紀末のフランス人画家
や印象派の影響を受けていたりして、作品に共通点は驚くほど多い。
そういう観点で集めたものばかりなのだから当然ではあるが、それでも実際に並べられ展示
されているのを見ると、思わず感嘆のため息がもれる。
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The Yellow House, Vincent van Gogh, 1888 (Van Gogh Museum)
Red Virginia Creeper, Edvard Munch, 1898 - 1900 (Munch Museum, Oslo)

ゴッホ美術館は普段でも写真撮影には厳しいが、特別展だから写真撮影厳禁なので、図版は
購入したカタログから。ショップで販売している特別展カタログは、英語版とフランス語版
二種から選べる。オランダ語版がないことから、世界各国からの観光客をいかにターゲット
としているかがうかがえる。

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Starry Night over the Rhone, Vincet van Gogh, 1888 (Musee d'Orsay, Paris)
Starry Night, Edvard Munch, 1922 - 24 (Munch Museum, Oslo)

クレラー・ミュラー美術館を始めオランダ国内はもちろん、パリのオルレー、オスロのムンク
美術館、ベルゲンの国立美術館などから厳選された作品が並び、質のみならず量的にも充実。
ムンクと言えば、誰もが思い浮かべる『叫び』や『マドンナ』『吸血鬼』『嫉妬』『接吻』
『病気の子』なども、今回の展示には欠けていないのである。

ゴッホの絵は、何度も見ていてお馴染なので、特にムンクの絵をじっくりと鑑賞した。
才気走った若きムンクの自画像。(もう少し年を取ってからの自画像は、ファン・ゴッホのと
並べられている。)
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19才の自画像 Edvard Munch, 1882 (Munch Museum, Oslo)
23才の自画像 Edvard Munch, 1886 (National Museum of Art, Archtecture and Design, Oslo)

また、パリで当時の先端を行くフランス人画家、ゴーギャン、スーラ、ピサロ、モネ、マネ、
カイユボット、ロートレックなどの作品と、彼らの作品及び画家との交流から影響を受けた
だろうと思われるゴッホとムンクの作品が、似たテーマを選んで並べられているのも圧巻だ。

ムンクの風景の切り取り方、室内の構図や窓の外の風景などに見られる、文字通り斜に構えた
感じが、私にはとても印象に残った。
正面からでなく部屋の角からの画家の視線で、対角線上の隅に立つ人物を鑑賞者も見ることに
なり、その先にあるカーテンの隙間から覗く窓の外の風景に目が吸い込まれる。都会のメラン
コリーの味わいがほのかに見え隠れし、効果的である。

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Night in Saint-Cloud, Edvard Munch, 1890 (National Museum of Art, Architecture
and Design, Oslo)

とにかく、量的・質的に、今年年頭にアムステルダム国立美術館で開催された『後期レン
ブラント展』に匹敵するほどの内容だと思う。
ようやく、新しいエントランス・ホールが、3つの美術館とコンセルトヘボウが面するミュー
ジアム広場側に完成し、今までのように歩道に長い列が並ぶようなカオスは緩和されたが、
ゴッホ美術館は普段でもアムス有数のアトラクションであるだけに列は長い。事前に時間枠の
Eチケットをオンラインでゲットすることを勧める。追加料金なしで日時指定でき、それに
通常の入場前売り券もしくはミュージアム・カードを持っていれば、待ち時間なしで直接
入れる。

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新たに増築されたエントランス・ホールは広々。特別展は別棟。ショップも充実。
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by didoregina | 2015-10-21 19:58 | 美術 | Comments(6)

ハーグの隠れた宝石箱 Galerij Prins Willem V

デン・ハーグのマウリッツハイス美術館は日本人にもお馴染だが、そこからほど遠からぬ
場所にひっそりと隠れた宝石箱のような小さな美術館があることは、あまり知られていない。
わたしも、実は今回ここでの展覧会に招待されるまではその存在を寡聞にして知らなかった。
マウリッツハイスの弟分というか分館のような美術館でウィレム5世のギャラリーという。

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Galerij Prins Willem V (ウィレム5世のギャラリー)の外観

マウリッツハイス美術館から、オランダの国会Het Binnenhofを通り抜け道路を渡った向かい
にあり、1774年にオラニエ公ウィレム5世が収集した美術品展示のために造ったギャラリーで、
美術品の公開目的という意味合いにおいてオランダで最初の美術館と言える。

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Binnenhof にあるオランダ国会議事堂 Ridderzaal (騎士の館)

この美術館の存在を知ったきっかけは、ここで10月1日から11月29日まで展示されている
ベラスケス作『ドン・ディエゴ・デ・アセードの肖像』のプレス・オープニング内覧会に
美術ブロガーとして招待されたからだ。
日本では展覧会開催前にブロガーを招待しての内覧会というのがしばしば行われるようだが、
マウリッツハイス美術館がSNSでブロガーを公募したのは初めての試みだそう。推薦制で
あったが自薦応募した。国内外のプレスや在オランダ・スペイン大使などの招待客に混じり、
3人のブロガーが招待された。私が選ばれたのは、多分に日本人ブロガーであるという理由が
大きいと思う。なにしろ、日本人のフェルメール好きという事実はマウリッツハイス美術館
関係者にはよく知られており、国別来館者数では日本人がダントツだし、日本でのフェルメ
メール関連展覧会の集客数は他を引き離す圧倒的なレベルである。

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ベラスケス作『ドン・ディエゴ・デ・アセードの肖像』(1638/40)とマウリッツハイス
美術館長エミリー・ゴーデンカー女史。

美術館としては非常に小さな建物の2階広間、いわゆるギャラリーがまさにギャラリーに
なっていて、その奥に特別展示されているのが、プラド美術館所蔵のベラスケス作『ドン・
ディエゴ・デ・アセードの肖像』だ。

この絵の前に立っての第一印象は、描かれた人物の頭に比して体のプロポーションの不可思
議さで、よくよく覗き込むと彼は小人であることがようやくわかる。
スペインの宮廷には当時、小人が沢山雇われていたことは、有名な『ラス・メニーナス』で
見てもわかるが、小人たちの職種といえば、道化というのがほとんどお約束だった。しかし、
このディエゴ・デ・アセードは分厚い本を開き、足元にはスタンプが置かれていることから
明らかなように、フェリポ4世の宮廷で公的文書に印を押すという重要な事務職を担っていた。
顔つきには小人らしさが見られないが、服装は小人のお約束である黒の織り出し格子。頭には
帽子を斜めに被り、事務職らしさが表されている。髭を蓄えた威厳のある顔つきには自信が
満ち、存在感も強い。
しっかりと自己を主張する顔つきを丁寧に描いているに対して、背景の山やテーブルの筆使い
はちょっとかすれたような雑さや、ささっとしたスピードが感じられ、静と動、黒と白、光と
影の対比がくっきりとして、躍動感すらある。
肩の周りを強調するような線や、背景の筆の汚れをぬぐった跡などが世紀を経て顕わになり、
見れば見るほど発見のある絵で飽きない。
じっくりと一枚の絵に付き合うという体験がここではできる。

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しかし、この美術館の神髄は何といってもギャラリー1室にぎっしりと展示された絵の数で
あろう。ネーデルランドの画家を中心に150点の作品が縦長の部屋の四方の壁にぎっしりと
ほとんど隙間なく天井まで展示されているのだ。

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窓の外、向いはオランダ国会。

この部屋に案内されてまず、口をあんぐりと開けて「うわあ」と思わず声を発したことを
美術館広報担当者や学芸員の方たち(少数の招待客と同じくらいの人数が配置されていて、
ほとんどマンツーマンのサービスで絵や美術館の説明をしてくれ、どんな質問にも応えて
くれるのが素晴らしい)に言うと、わが意を得たりと「その反応を期待してるんです」との
こと。いかにもバロックそのものという過剰さが売りとでもいうべき展示は、その当時の
ギャラリーを描いた絵などから見知ってはいたが、実際に150枚もの絵に取り囲まれた空
間に身を置いてみると、迫力は圧倒的だ。
その中にはルーベンスの絵もあり、やはり目を惹く。

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イケズそうな表情のこのお二方。

マウリッツハイス訪問したら、ぜひともこの小さな隠れた宝石箱のようなこの美術館も
続けて訪問して、新たな発見・体験をしてもらいたい。
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by didoregina | 2015-10-02 22:16 | 美術 | Comments(2)

マルレーネ・デュマス展@Stedelijk (アムステルダム市立美術館)

The Image as Burden と題して開催中のマルレーネ・デュマスの大規模な展覧会@
アムステルダム市立美術館に行ってきた。(2014年9月6日~2015年1月4日。その後
2月5日から5月10日までテイト・モダンに巡回)

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マルレーネ・デュマスの回顧展は、アムステルダム市立美術館が数年にわたる改修工事を
経て、2年前にリニューアル・オープンする前からアナウンスされていたので、ずっと心待
ちにしていたのだ。リニューアル以来さほど惹かれる展覧会がなかったし、目玉といえる
この展覧会を何度も見たいがために年間ミュージアム・カードを作ったと言っても過言では
ないほどの期待の大きさだった。

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建て増し部分は、バスタブと呼ばれ、当初評判が芳しくなかったが、2年たつと誰の目にも
慣れができたせいか、最近は悪く言う人も少ない。

コンセルトヘボウとは道路を挟んで斜め向いに位置するこの美術館には、現代美術がほどよく
集められているし、近くのファン・ゴッホ美術館や国立美術館のように観光客でごった返して
いないから、マルレーネ・デュマス展開催期間にアムステルダムまで遠征される方には、ぜひ
と勧めたい。
リニューアル後のこの美術館にはこの夏初めて入館したのだが、来訪者たちのヒップでカッコ
よいことに驚いた。お上り観光客はほぼ皆無で、その代わり美大生やデザイン関連業界人、
デザイン愛好家が多く来るようで、そういう人たちを眺めているだけでもうっとり、思わず
写真に収めたくなるほど。
デュマ展には平日正午に入ったのだが、やはりおしゃれな人たちが多く目に留まるのだった。

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最初の展示室でまず目に飛び込んできたのは、このDead Girl (2002)。
亡くなったパレスチナ人少女の報道写真を元に、デュマスが絵にしたもので、題材に選ぶこと
の多い「人間の死」というものを真正面から捉えた作品だ
血で濡れた蒼白い死者の顔だが、人物の表情を滲みというかぼかしで表現していて、思わず
引き込まれるような荘厳さが漂う。

デュマスのデッサン力の線の的確さは、南アフリカの画学生時代に作った新聞の切り抜き
写真と線画との組み合わせのスクラップというかコラージュ作品にも見いだされるが、とにかく
唸らされる。その線を和らげるかのように、人物の顔はおつゆのように滲ませているのだが、
表面を覆っているものが外に溢れ出てくるかのようで、より一層その人物の個性が表出する、
といった具合である。

次の展示室の前には、ショッキングな表現が含まれます、との注意書きがある。

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The Kiss

あからさまに性的だったり性器が露出した裸体を描いた作品が集めてあるからだ。
しかし、わいせつとかショッキングという語彙は、デュマスの作品を語るにはふさわしくない。
彼女の絵から発せられるのは、叫びではなく静けさなのだから。無音に近い静謐な世界を作り
上げている印象を見る者に与えるのは、その表現手段とテクニックのためもあろう。
ささっと無造作に描いたかのように一見思わせる線も、水墨画のように滲ませたモノトーンの
色も、こうして沢山並べてあるのを見ると、そのテクニックに驚かされる。

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古今のキリストの見覚えある顔を一面に集めた一角。
テーマごとの展示方法も卓越だ。アーティストとキュレーターと美術館のコラボとして、非常に
練られて上手くいった好例。

彼女の絵は人気があるし、作風を真似たコピーのような作品を目にすることも多いが、他の
物まねアーティストの作品から感動を得たことはない。
その反対に、彼女の絵は大概どこの近・現代美術館には一枚は所蔵されているのだが、絵のほう
から招かれる、という経験をいつでもどこでもするのだ。
彼女の絵の掛けられている部屋に入った途端、他の作品はぼやけて、わたしの目に飛び込んで
くるのは彼女の絵だ。
そして、吸い込まれるのはその絵の中の「核」ともいえる部分なのだ。

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Waterproof mascaraと題されたこの絵もそうだった。
人物の目に吸い込まれるように歩を進めた。特にくっきりとした下まつ毛に視線が向かった。
そしてタイトルを見て、やっぱり、と膝を打った。こういう経験が多いのだ、デュマスとは。
絵から呼ばれて近づいてじっくり見るとと、ツーカーで話が合うので思わず微笑む、という
ようなことが。

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部屋ごとにテーマに沿った組み合わせの展示の妙に舌を巻いたが、白眉はモノトーンの
水彩画だ。
その中でも、彼女のアイドルとでも言える有名人の肖像を集めた一角には、引き寄せられ
そして微笑んでしまった。
そこには、パゾリーニ、ジャン・ジュネ、オスカー・ワイルド、ペドロ・アルマドバル、
ガルシア・ロルカ、そして、ルドルフ・ヌレエフの顔が並んでいたからだ。
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by didoregina | 2014-10-15 20:46 | 美術 | Comments(0)

ロバート・メイプルソープの写真展@テイト・モダン

ロンドンのテイト・モダンで開催中のロバート・メイプルソープの写真展に、ぎりぎり
セーフで間に合った。あと二週間ほど見られるので、未見の方は急いで!

ARTIST ROOMS: Robert Mapplethorpe – Tate Modern
Tate Modern: Display 11 May – 26 October 2014

3室にわたって展示されている写真の数はさほど多くはないが、見たかったものは見られた。

まずは、70年代のパティ・スミスの写真3点。そのうち2点は彼女のアルバム Horsesおよび
Easterのための撮影と同時期のものだ。

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左端のは、Horsesのアルバム・ジャケット写真に似ているが、もっと自然なポーズ。
パティの骨ばった少年のような、飾り気のないストイックな美しさが最大限に引き出されて
いて感動。


そして、3室目にはメイペルソープのセルフポートレートの数々が、ほぼ年代順に展示されて
いる。
若く美しい、気鋭の写真家らしい自信に満ちたそれらの数々が、彼の死の直前まで順を追って
並べられている。その中で、わたしが一番好きなのは、下の写真だ。

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まるで鉛筆かペンのデッサンのように見えるアーティストの手に焦点が定められ、珍しく
シャイな表情と相まって、彼の本質を表現しているように思えるからだ。


パティ・スミスとロバート・メイプルソープは、若い芸術家同志として60年代から70年代、
ニューヨークで同居していた。
その頃の二人の出会いから共同生活に関して、メイペルソーブが亡くなってからだいぶ経って
パティが書いた本が、Just Kidsと題されて出版された。別れても彼が死ぬまで、そして死んで
からも、彼女の中でメイプルソープは重要な部分を占めた。



Just Kidsから一部抜粋して朗読するパティ。そして、ア・カペラで歌うBecause the Night
ロバート・メイプルソープへのオマージュと追悼に胸がキュンとなる。誰もが思いを馳せる
青春の一コマそのものなのだ。
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by didoregina | 2014-10-10 19:39 | 美術 | Comments(2)

フランス・ハルス美術館のリネケ・ダイクストラ写真展 Conversation Piece


ハーレムのフランス・ハルス美術館で9月28日まで魅力的な展覧会Conversation
Piece
が開催されている。
17世紀の肖像画9点と、リネケ・ダイクストラによるポートレート写真9点を
両者の共通点がわかるように並べて(もしくは向かい合わせに)展示して、新旧の
肖像画を呼応させるというものだ。
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ダイクストラは、1959年生まれのオランダ女流写真家で、思春期前後の子供
たちのポートレートの数々で有名な売れっ子だ。

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左は、ヨハネス・ファースプロンクによる1654年のエファ・フォスの肖像画。
右は、リネケ・ダイクストラによる、たしかエファという名の少女の写真。
左の女性は既婚で向かいに彼女の夫の肖像画も掛かっているのだが、こうして
2点が並べて展示されると、右の少女のまなざしや微笑そして黒のドレスの
イメージとに相似が感じられるから不思議である。


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意志の強そうな目と黒髪が印象的な若い女性。


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瞳の光と唇の形と色つやが上の若い女性とそっくりな、モデル不詳の肖像画。
Ludolf de Jongh (1660)作



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髪型もドレスも一見無造作なテックスのポートレートだが、しっかり計算されスタイリング
されている。

ダイクストラによるポートレート写真のモデルは、一見自然なスタイリングと
ポーズだが、表情はすましていて意味不明のスマイルなどは見せないのだが、
その端正な写し方にモデルとなっている少女や若い女性の「時の美」を永遠に
残すという意図が明白に現れ、そういう意味では作為性がある。
彼女にポートレートを撮影してもらいたい、と思うゆえんである。


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「フォンデル公園」と題されたポートレートも、彼女がモデルに取らせる
典型のポーズだ。脚や手はしっかりと組んで、ある瞬間を捕らえたというよりは、
そういうポージングをかなり長くさせているような印象で、それが絵画の肖像と
似た効果をもたらす。17世紀の肖像画との相似性が感じられるポイントだ。

久しぶりにフランス・ハルス美術館を訪れて、17世紀の肖像画の数々を見て、
また発見があった。もしも、肖像画を描いてもらうならこの人以外いない、
とかねてから思っている17世紀の画家ファースプロンクの絵がここにはかなり
あることだ。ハルスの弟子でありハーレム在住だったのだから当然なのだが。


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Sara van Herrewijn by Johannes Cornelisz Verspronck (1653)


主人に撮ってもらうとどうしてもスナップ写真にしかならない。。。。
フランス・ハルス美術館カフェのテラスで。

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by didoregina | 2014-08-06 13:16 | 美術 | Comments(0)

久方ぶりのStedelijk(アムステルダム市立近代美術館)

ミュージアムカードは一年有効なのでどんどん活用すべし、と、アムステルダム市立
近代美術館にも行った。
ここは、コンセルトヘボウのほぼ真向いなので近くを通ることはあっても、数年前の
新装リニューアル以来入館するのは今回が初めて。

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バスタブを下から見上げる。

コンセルトヘボウに面した新築部分は、外から見ると「バスタブ」との異名そのまま
だが、入口から続くチケット売り場その他内部は広々して明るくなり、煉瓦造りの旧館
外壁とはお約束通りガラス天井で繋がっていて、新旧デザインと素材の取り合わせは悪く
ない。

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この美術館では、ミュージアムカードを自動販売機に入れるとタダで出てくる入場券を
駅の改札みたいなところに通して入館という仕組みだ。

ようやく重い腰を上げてこの美術館に来たのは、石岡瑛子さんがデザインしたDNOプロ
ダクション「リング」の衣装展が開催されているからだ。
この「リング」プロダクションは、今年初めのチクルスが最後になった。

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左奥はジークフリート、そして虚無僧のようなヴォータン、赤から裾の黒へのグラデーション
が美しいブリュンヒルデの衣装。

キモノっぽいデザインや漆黒や紅の色などに日本的な要素が取り入れられたデザインで、まず、
ファブリックの発色の鮮やかさ・美しさが目を惹く。
今年、DNO「リング」の『ジークフリート』と『神々の黄昏』の実演を鑑賞し、その合間に
特別バックステージ・ツアーにも参加して、衣装や小道具・セットを舞台裏で間近で観る
機会に恵まれた。

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ミノムシみたいな昆虫のようなイメージの旅の衣装

今回、こうして衣装が美術館に集められているのを見つつ、ヴィデオで石岡さんと演出家の
ピエール・オーディのインタビューで、デザイン、アイデアおこしから実際にの作成に至る
道のりを語っているのを見聞きすると、これらの衣装の独創的な美しさが一層理解できる。

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ラインの乙女たちの衣装のギリシャ風ドレープは、水の流れのイメージ。

最近、ドレープの美しいデザインのドレスにハマっている。夏のワンピースで手の伸びる
ものは、流れるドレープの彫刻的造形性のあるものばかり。その立体感の美しさと味わいは
着てみてより実感できるのだ。


ここの展示に時間を割いたので、あとは常設展示をさっと見ただけ。九月中旬から始まる
マルレーネ・デュマス展にまた来るから、今回はあっさりでいいのだ。

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イブ・クラインのブルーは大好き。

ドレープと同じくらいイブ・クラインのブルーにもハマっているから、どこの近代美術館
にも必ずあるクラインには目が釘付けになる。彼のこのブルーはトレード・マークとして
製法が特許になっている。

こんな感じのブルーで、アシンメトリーなドレープのあるAcne Studioのワンピースを
今年の夏のバーゲンでゲットした。ここぞ、というときに着たい。
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by didoregina | 2014-07-31 13:10 | 美術 | Comments(4)

リニューアル・オープンしたマウリッツハイスへ

ミュージアムカードを購入したのは、先月末、新装リニューアル・オープンしたマウリッツ
ハイスへすんなり入場するためである。
美術館のホームページによると、チケット売り場の列に並ばないで済むようにミュージアム
カード保持者もオンライン・チケットを印刷して持っていくようにとの忠告である。そうで
ないと優先列に並ぶ権利がないという。
それで、サイトからEチケットを購入(ミュージアムカード保持者は無料)・印刷して出かけた。
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10時開館に一番乗りしようと出かけたのだが、アパートの鍵の受け渡しその他に手間取り、
結局美術館に入館したのは11時近くになっていた。

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再オープンしたばかりの夏休み、しかも土曜日だから混んでるんだろうなと覚悟していたら、
列などはまったくなく、階段を下りて入る地下入口のチケット売り場も閑散としている。

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印刷していったEチケットを係員がスキャンするもエラーとなって、結局、ミュージアム
カードのスキャンで入場できた。(サイトにはEチケットとミュージアムカードの両方を見せる
ことと注意が出ていた。)
結局、優先列もなにも列なんてどこにもないし、チケット売り場にも並ぶほど人はいないし、
Eチケット印刷は無駄になったのだった。

地下に新しく機能空間(チケット売り場その他)を設置し、ガラス張りのため閉塞感がなく、
ゆったり広々となったのはありがたい。そして、この地下空間は旧館とは道路を挟んだ隣の
新館を結んでいる。新館では企画展が行われ、ギフトショップと新しいカフェ・ブラッスリー
がある。

展示室には、いったん降りた地下から階段を上がって向かう。

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旧館のリフォームは、部屋ごとに色が異なる壁布、カーテン、絨毯が新しくなりゴージャス、
しかも17世紀の雰囲気をそのままセンス良く残して、大成功だ。

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貴族の館らしく豪奢だが、デザイン的には古さを感じさせないリフォームになっている。

そして、展示されている絵には、おなじみのものが多く、懐かしい。

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ファブリティウスの『ごしきひわ』(1654年)
同年、デルフトの火薬庫爆発事故で亡くなった彼の作品は
あまり多く残っていない。


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静物画の中でもやっぱり好きなのは食卓画。クララ・ぺーテルスの
『チーズ、アーモンドとプレッツェルのある食卓』(1612~1615)


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今回の新発見は、ぺーテルスと同じく当時としては珍しい
女流画家、ユディット・レイステルのこの絵 (1631)
女流画家には静物画以外のジャンルの絵の依頼はあまりなかった。
しかも、男が女に金を渡している場面の風俗画である。


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フランス・ハルスの『ヤーコブ・オリカンの肖像』(1625)
女性肖像画と対になっているこの絵には、いわゆるハルス
らしさがあまり感じられない。人物の表情が硬く、衣装も
ディテール細かく描き込まれているからだ。

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窓枠が逆光で十字になっていて、現代画の趣きすら感じさせる。

そして、実際の窓の外も絵になる風景なのだ。

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窓から見える隣のオランダ下院の建物


マウリッツハイスの裏側は、ホフファイファー(宮殿を取り囲む池)

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この美術館は、アムステルダム国立美術館ほど訪問者が多くないため、ゆっくりと絵画を
味わえるし、フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』ともツーショット撮り放題である。


↓はマウリッツハイス・リニューアル・オープニング・セレモニーの動画。国王陛下がご臨席
でもまったくリラックスした雰囲気で、オランダらしいユーモアたっぷり。

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by didoregina | 2014-07-23 16:30 | 美術 | Comments(6)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

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プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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