人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ザルツブルク音楽祭の着物 

夏の音楽祭で纏った着物シリーズ、第二弾。
華やかに着飾った人達が集まる夏の音楽祭には何を着ていくか、これは重大テーマだ。
今年は、ザルツブルク音楽祭にデビューした。贔屓CT歌手のイエスティン・デイヴィスと
彼の檜舞台を鑑賞するために遠征した私のダブル・デビューである。

普段のオペラ鑑賞でも、特に贔屓のためのイギリス遠征では、着物選びには手間暇かける。
それが、夏の音楽祭ともなると別格である。イブニングドレス率がグンと高い場所では、
日本女性はやはり着物で勝負に臨むのがよろしい。イブニングドレスの華やかさに負けて
はならじ。
というわけで、選んだのはこの訪問着。

ザルツブルク音楽祭の着物 _c0188818_18505784.jpg


毎回、遠征が近づくと、FBやツイッターに候補として選んだ着物と帯のコーディネート
写真を何枚かアップして、皆様のご意見を伺うというのが常である。
FB友には外国人が多い。彼らの意見・感想は、日本人が着物に対して持つ常識から離れ、
知識や偏見に囚われていないため、なかなかに面白い。
例えば、日本で着物で歌舞伎鑑賞に行く場合、季節や演目や贔屓に因んだ柄などを選ぶ。
それが外国でオペラ鑑賞の場合であると、そのオペラの初演(18世紀)にプリマ・ドンナ
歌手が着た衣装の色であるとか、遠征先の風景にマッチする色柄、会場の雰囲気などを
基準に彼らは選ぶのである。

今回は、3つの異なる着物とコーデの写真をSNS上にアップし、皆様のご教示を仰いだの
だが、意見百出で、私も悩んでしまった。

ザルツブルク音楽祭の着物 _c0188818_19102246.jpg

まず、真夏であるから、薄手の夏物の白大島という線で行こうと思った。
抹茶色の帯は、ブログ友のVさんから昨年譲っていただいたもので、上品な唐草の織柄が
着物の模様とぴったり。某T村製で、丁度、宮尾登美子の『錦』を読み終わったばかりな
ので縁を感じた。
ところが、今年のザルツブルクはさほど暑くないようで、夜になると冷えそうだ。
遠征準備中、オランダは冷夏で、透けるような夏物を着ようという気にはなれない。

ザルツブルク音楽祭の着物 _c0188818_199986.jpg

もう一枚、候補に挙げた袷の訪問着は、薄いグリーンの地に茶の濃淡で森林や山の景色を
ロウケツで描いた、いかにもザルツブルクの風景にマッチしそうな柄行である。ここで
着なかったら、一体いつ着る機会があるだろうか、と思い、これに傾きかけた。

そこへ、イエスティン君からの鶴の一声。「一番上の着物が、舞台セットにぴったり合う
よ」とのこと。
(実はそれより以前に、ザルツブルクとバイロイトには、LCCの荷物重量制限もあること
だし、ロングドレスにしようと思って準備していたのだが、ツイッターで、ザルツブルク
には洋装と着物のどちらがいいかしら、とつぶやいたところ、彼から「着物!」とのリプ
をもらったため、急きょ、着物にすることになったといういわくつき。贔屓の言葉は何よ
り重い。)

ザルツブルク音楽祭の着物 _c0188818_19322545.jpg

というわけで、決まったのは、桜花の織地紋の白地に銀灰色で撒糊を散らし、黒・金・銀
で木賊を絵羽模様に描いた、すっきりと洋風なデザインと色の着物。
これは、1年以上前、イエスティン君がザルツブルク音楽祭の『皆殺しの天使』に出演す
ると決まった時、この着物で行こう!と選んでおいたものだから、以心伝心というのか、
好みが合うというべきか。舞台セットと衣装はイエスティン君曰く、60年代のブルジョワ
の集いをイメージしたものだから、この着物のレトロな雰囲気がベスト・マッチとのこと。

ザルツブルク音楽祭の着物 _c0188818_19363765.jpg

千秋楽が終わってほっと寛いだ表情のイエスティン君、グリーンの着物のロンドンの
椿姫さんと。
このあと、出演者と作曲家・指揮者も含む打ち上げ飲み会に参加。イエスティン君と
婚約者とその友達のテーブルで夜更けまでオーストリア・ワインを飲みながら、新作
オペラと遠征の大成功を祝ったのだった。
by didoregina | 2016-08-25 19:49 | 着物


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


以前の記事

2020年 09月
2018年 04月
2018年 03月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 08月
2016年 11月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 06月
2015年 04月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月

タグ

最新のトラックバック

カテゴリ

全体
バロック
映画
オペラ実演
オペラ映像
オペラ コンサート形式
着物
セイリング
コンサート
美術
帽子
マレーナ・エルンマン
イエスティン・デイヴィス
クイーン
CD
20世紀の音楽
旅行
料理
彫金
ビール醸造所
ベルギー・ビール
ハイ・ティー
サイクリング
ダンス
ハイキング
バッグ
教会建築
カウンターテナー
演劇
未分類

検索

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧