Ricercar Consort による初期バロック歌曲コンサート

わが合唱団の本拠地というか練習会場である16世紀のチャペルでのリチェルカール・
コンソートによる初期バロック歌曲中心のコンサートに行った。

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Ricercar Consort @ Cellebroederskapel, 10 April 2015
Philippe Pierlo (Director & Viola de Gamba)
Céline Scheen (Soprano)
Giovanna Pessi (Harp)

Diego Ortiz (1510 - 1570)
Recerdadas (basgamba & harp)

Luzzasco Luzzaschi (1545 - 1607)
Aura soave (soprano & harp)

Giovanni Giralamo Kapsberger (1580 - 1651)
Toccata ll arpeggiata (harp)

Stefano Landi (1587 - 1639)
Augellin (soprano & harp)

Giulio Caccini (1551 - 1618)
Torna, deh torna (soprano, basgamba & harp)

Bartolomeo Selma y Salaverde (1595 - 1638)
Susann passegiata (basgamba & harp)

Giulio Caccini (1551 - 1618)
Amarilli
Non ha il Chiel (soprano, basgamba & harp)

-pauze-

Giovanni Felice Sances (1600 - 1679)
Cantada a voce sola spra il Passacaglie (soprano, basgamba & harp)

Sonetto Passegiato: Fiume cháll onde
Arietta: Traditorella che credi (soprano, basgamba & harp)

Luigi Rossi (1597 - 1653)
Passacaille del Seigr. Luigi (harp)

Giovanni Felice Sances (1600 - 1679)
Fuggi pur tu
Sopra la Ciaccona (soprano, basgamba & harp)

-encore-
Claudio Monteverdi
Si Dolce e'l Tormento

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このチャペルには昨年1月から隔週一回合唱の練習で来ているが、ここでプロの古楽演奏家に
よるコンサートを聴くのはずいぶん久しぶりだ。
座席は自由席なので、教会でのコンサートの鉄則「とにかく前の方に座るべし」を守るため
早めに行き、二列目中央を確保した。
会場の入りは6割程度だろうか、寂しいものである。
しかし、演奏家の皆さんは、ご機嫌よろしくにこやか。
歌手のセリーヌ・シェーンのソロを生で聴くのは初めてだが、写真での印象と異なり、黒い
ロングドレスに金髪ロングのすらりとした実に私好みの北ヨーロッパ系の美人である。まるで
映画『ロード・オブ・ザ・リング』でのケイト・ブランシェットみたいでドキドキしてしまう。

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まずは、ガンバとハープによるオルティスの『リチェルカール』で腕慣らし、耳慣らし。
ピエルロのガンバは、気負いとか感情入れ込みなどには無縁の実にあっさりとした演奏で、
そこから流れだす音色は澄んでしかも何とも言われぬ深みがあり、実に洒落た味わいである。
豪快な波のようなうねりはなく、流れに体を任すと自然にたゆたう気分になり心地よい。

しかし、歌曲の最初の2曲では、こちらの耳が慣れないせいなのか、感情を込め過ぎるためか
ソプラノがどうも張り上げ気味に聞こえ、もう少し音量を絞ってもらいたいなあと思うことが
しばしばだった。
このチャペルはとても小さいし響きが良すぎるので、リハでその点を見極めるべきなのだ。

曲目が進むにしたがって、音量調節がうまくいったかような感じになり、休憩前に歌われた
カッチーニの3曲はシェーンの個性にもぴったり合い、満足であった。彼女の声は、教会系
ソプラノとは異なり中音域に独特の土臭さがあるためこういうバロック初期の歌にはとても
適しているのだが、私の好みからすると、そこをあまり押し出さないで抑えた方がもっと美
しく聞こえると思う。
歌う姿はラファエル前派の美女を彷彿とさせ、ハントやウォーターハウス描く『シャロット
の姫君』そっくりである。

↓は、シェーンの歌うカッチーニ Torna, deh torna


休憩後の最初の曲で、ピエルロさんが最初の曲の楽譜を探すのに手間取って、笑いを誘う。
これで会場の雰囲気もほころんだのと、曲目も明るい色調の民謡っぽいものが多くなり、
全体の空気が軽くなった感じだ。浮き立つとまではいかないが。

ハープというのは、特に古楽演奏では艶やかさがなくごつごつとした素朴さも相まって、
とても男性的な楽器だと思う。指ではじくという豪快さがあるため、弓を使う楽器の伸び
やかで流麗な優しさと聴き比べるとそれが顕著で、ガンバとハープとの組み合わせは互いを
補っていいものだなあ、と思わされる。

図らずも、マルコ・ビーズリーでおなじみの歌が多いプログラムであったが、シェーンの
声質にはモンテヴェルディがぴったりだから彼女の歌う『ポッペア』など聴いてみたいものだ
と、コンサート中ずっと思っていた。すると、それを察してくれたかのような絶妙さで、
アンコールは「クラウディオ・モンテヴェルディのシ・ドルチェ・エル・トルメント』と
ピエルロが言ったときには膝を打ち、思わず「やった」と声がでたほどだ。
↓の動画はビーズリーによる歌。

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by didoregina | 2015-04-11 19:05 | コンサート | Comments(6)
Commented by Vermeer at 2015-04-13 01:04 x
C.シェーンはLFJ(国際フォーラム)で聴いたことがあります。モーツァルトのエクスルターテ・ユビラーテだったかな。太陽王に仕えたリュリを描いた映画『Le Roi danse王は踊る』のサウンドトラック盤(ラインハルト・ゲーベルが音楽監修だった)にサイン貰いました。(^-^)/

このPVの少女像に見覚えあり……何と!このコンサートとほぼ同じプログラムのCD(タイトルもズバリ“Aura Soave ”)を所有していました。録音ではテノールとバス×2挺が加わり、ピエルロ含めて計4人のヴィオラ・ダ・ガンバ奏者が関わっています。一人は日本の上村かおりさん。FLORAという蘭レーベル2013年製作。加えてモデナのGalleria Estense所蔵“Flora”by Carlo Cignaniとクレジットされています!ちょうど西洋美術館でグエルティーノ展観てきた所です。

中音域に独特の土臭さ⇒
微に入り細に入り<奔放とも言える歌いぶりですね。

俄然リチェルカーレ・コンソート行きたくなって来ましたが、残念、チケットも売り切れだし、今年は友人と高野山に上るので諦めます。
Commented by レイネ at 2015-04-13 05:32 x
Vermeerさま、リチェルカール・コンソートはLFJの常連のようですね。セリーヌ(と呼ばせてもらっちゃう)の声はオペラ向きだし、特にポッペアのイメージにぴったりだから、もれなくタダでついてくるあの方ではなく、彼女のポッペアが聴きたいなあ、と夢見ています。

そうなんです、そのCDのプロモーションみたいなコンサートでした。(なぜか買わなかったけど。)
なんと、この絵の実物にお目にかかったばかりとは、なにか縁が感じられます。
今月末にまた、リチェルカール・コンソートのバッハ・コンサートが国境超えてすぐのベルギーの村の教会であるので行ってみようかなと思っています。

高野山に篭るのかしら?(冬に行ったら、宿坊があまりに寒くて咳が止まらず死にそうになりました。)密教独特の「天上や極楽とはこういうものなのね」と思わせる、鮮やかで日本離れした色彩感がたまりません。
Commented by Vermeer at 2015-04-13 12:18 x
実物にお目にかかったばかりとは⇒
いえ、Cignaniという名前が初耳だったので調べたら、ボローニャ派の大家だと。今回の展覧会にはグエルチーノ以外、カラッチとグイド・レーニが数点で、この画家の作品はありませんでした。書き方が拙くてごめんなさい。

高野山の宿坊⇒
はい、初めて山上に泊まるので楽しみです。でも本命は、高野山山麓にある慈尊院の秘仏本尊・弥勒仏の開帳なんです。神護寺薬師と同じ頃平安初期の傑作で、厳重な秘仏扱いのお陰で彩色が良く残っています。
Commented by レイネ at 2015-04-14 17:58 x
Vermeerさま、この日は昼間に教会を改装した本屋のカフェにお茶しにいったんですが、コンサートで隣に座った方との休憩中のおしゃべりで、なんと昨年末惜しまれつつ閉店した別の町の老舗CDショップが、その本屋の2階に先月再オープンしたというニュースを知りました。そのCDショップは35年の歴史を誇り、品ぞろえが豊富かつマニアックだったのですが、時代の趨勢には叶わないからなあと思っていたのに、捨てる神あれば拾う神ありだわ、まさに。
Commented by Vermeer at 2015-04-14 18:46 x
時代遅れと言われようと、書店やCDショップでいろいろ捜すのは楽しい一時ですね。街で唯一の書店が撤退してしまった北海道・留萌に、三省堂を引っ張って来た市民の奮闘記を雑誌の記事で読みました。
Commented by レイネ at 2015-04-14 19:03 x
Vermeerさま、久しぶりに、CDの箱をパタパタ・ガチャガチャさせながら掘り出し物を探すのに熱中してしまいました。楽しいよね。でも閉店時に近かったのと連れもいたのでじっくりは見てられなくて。しかも、目を付けたCDをネットで買うのとどっちが得か家に帰って調べてる始末。。。2、3枚は実店舗で買います、今日あとで出かけて。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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別名: didoregina
性別:女性
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オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
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音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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