アテネのダフネ

今年選んだ夏のセイリング海域はエーゲ海で、二週間、キクラデス諸島を巡った。
チャーターしたヨットは土曜日夕方からチェックインすることになっていたが、その前の
木曜日がキリスト昇天祭なので少し早めに続けて休みがとれる。
それで、木曜日にアテネに飛んでホテルに二泊してアテネ市内の観光も組み合わせた。

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デュッセルドルフからのAegean航空便アテネ行きは、なんと途中テッサロニケに着陸。
乗客は機内に座ったまま外には出られず、数人乗せてからアテネに向かうのだった。
やたらと時間がかかる。だから、その日はほとんど観光する時間はなかった。

翌日は、まず、フォーラムとパルテノンを観光。
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主だった遺跡六か所の共通チケット12ユーロを購入したので、できるだけ沢山の遺跡を
回ってみることにした。

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ゼウス神殿のハドリアヌスの門。


パルテノンから見えたゼウスの神殿跡に行ってみた。
ここは、以前二回アテネを訪れたとき、ヨット・ハーバーから市内へ行くトラムですぐ
近くを何度も通ったのに中に入ったことはなかったのだ。

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ゼウス神殿は、ローマ皇帝ハドリアヌスが完成させたもので、コリント式の列柱が一部
残って立ち、一部は横たわったままだ。

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コリント式柱頭の装飾であるアーカンサスの葉。雄々しくて大好きな植物。

ハドリアヌスつながりで、次はハドリアヌスの図書館跡へ、

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ハドリアヌスの図書館跡はアテネの繁華街に隣接している。敷地内にはさほど見るべき
ものは残っていないが、たまたまオランダ人グループにガイドさんが柱の建築技術に
関してかなり詳しい説明をしていたので、疑問に思っていたことをついでに質問したら、
答えが得られた。
先ほど見たゼウス神殿の柱もそうだが、建材の石はいくつかの部分に分けて切り出して
ある。それら部分同士および土台との接合方法についてである。
土台にも柱の石にも、外からははっきりと見えない部分にほぞがあって、石だけでは
なく金属も用いて接合してあるようだ。
残っている土台だけ見ると、はっきりとわかる溝があるので、雨水を出すためなのか、
とも思ったがそうではないようだ。

↓はハドリアヌスの図書館の壁の一部
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敷地内に生えている植物の名前は何だろう、オリーブだっけ、と友人と言い合う。
疑問に思ったことは専門家に訊くのが一番と学習したので、木陰に暇そうに座っていた
監視人に訊いたら「ダフネだよ」と言って、若葉の生えた枝を手で折ってプレゼント
みたいに渡してくれた。
そうだ、月桂樹なんだ。ギリシア神話のダフネはアポロに求愛されるが、純潔を保ちたい
乙女の彼女はアポロから逃げていくうちに月桂樹に変身したのだ。だから、現代ギリシア
語では月桂樹はダフネなんだ。

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数年ぶりに訪れたアテネは、遺跡などは大賑わいだが、大通りから一歩入ると町並みが
荒れて、建物の手入れも道路の清掃も行き届いていない。経済危機の影響がもろに見える。
オランダと比べると、物価はめちゃ安だ。
そして、遺跡でも店でもレストランでも親切な人ばかりに会えた。

プレゼントされたダフネはコップに指して、毎日声をかけながらの水やりを欠かさず、
まるで神から授かった女の子のようにして皆で可愛がり、その後二週間のヨットでの
セイリングも共にしたのだった。

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by didoregina | 2014-07-11 21:14 | 旅行 | Comments(8)
Commented by Vermeer at 2014-07-13 00:04 x
R.シュトラウスの『ダフネ』一度実演で観たいのですが難しいでしょう。ベルリーニの彫刻が余りにも有名ですが、変容をどう舞台で解決するかにも興味は尽きないです。

にしてもなぜ沈丁花もダフネというのかな?単なる偶然?!
Commented by レイネ at 2014-07-13 00:43 x
Vermeerさま、シュトラウスの「ダフネ」は、DNOで観たことあります。コンビチュニー演出でした。。。。ブログを始める前だったので、記事にはしていませんが、サンジさんが同じプロをご覧になってたはず。そして、モネは来季シーズン開幕は「ダフネ」です。ベルギー人演出家のギイ・ヨーステンによる新作で、サリー・マシューズが題名役。観たいな、と思ってます。
沈丁花もダフネとは知りませんでした。
Commented by 名古屋のおやじ at 2014-07-13 11:10 x
私も『ダフネ』の実演を見てみたいです(二期会による日本初演は、仕事の関係で見ることができませんでした)。最後の変容の場面は美しい音楽ですよね。でも、あの時期のドイツで、この題材の選択はどのような意味があったのでしょうね。初演の一年前に行われたベルリンオリンピックでは初の聖火リレーが行われたし、オペラが献呈されたベームの政治思想なども気になります・・・
ところで先日、東京でリヨン歌劇場の『ホフマン物語』を見ました。名演でした!その際、渋谷のCDショップで英国の雑誌『オペラ』を買いました。巻頭にグラインドボーンへの出演に合わせて、イェスティン・ディヴィス関連の記事が6ページほど載っています。彼は某カルテットの奏者の息子さんだったんですね。
Commented by レイネ at 2014-07-13 16:51 x
名古屋のおやじさま、日本では『ダフネ』はあまり上演されないんですね。コンビチュニー演出のはエッセンのプロはをアムスに持ってきたもので、ナチ台頭とベルリン・オリンピックの映像も用いられ、最後の変容の場面にも重ねられていました。当時のドイツのイメージがまさに背景になってるものでした。

リヨン歌劇場の東京引っ越し公演『ホフマン物語』は賛辞の的ですね。
おお、『オペラ』誌にID関連記事が6ページも!それは読まなくっちゃ!(でも、たぶん新情報はあんまり載ってないんだろうな、とは思いますが)
Commented by 守屋 at 2014-07-13 22:58 x
こんにちは。

 「ダフネ」をサリィ・マシューズですか?!なんだか印象も、歌唱技術も合っていないように思えてなりません。

 ずっと以前、ロイヤルのコンサート形式で聞いたことがあります。声帯を痛めて既に舞台からは引退しているドイツ人ソプラノ歌手で聞きました。鮮烈な赤のイヴニング・ドレスをまとった彼女の最後のアリアに、会場中が聞き入っていたのは今でも鮮明に覚えています。

 アテネの空の綺麗なこと。文化遺産がこれほど素晴らしい国の政治が、どうしてここまで混乱しているのか。人類は歴史から何も学んでいない、という思いがギリシャの混乱のニュースを読む度に強まります。
Commented by レイネ at 2014-07-14 06:13 x
守屋さま、マシューズのダフネ、どうなんでしょうね。DNOでヘンデルの『ダイデミア』の題名役を歌った時は悪くなかったんですが。
ヘンデルやバロック・オペラでしか聴いたことがなかったルクサンドラ・デノーゼの『アリアドネ』作曲家役@ROHはなかなかよかったので、マシューズのダフネも意外と違和感ないかもしれません。
DNOで7年ほど前に聴いた『ダフネ』は、ソプラノが弱くって歌手の名前も覚えていないほどで印象に残っていません。。。

ギリシャは民主政治発祥の地でありヨーロッパ文化の母体として重要な国なんですが、古代の盛時以降発展がストップしてしまい遺産を食いつぶしてるなあ、と訪れるたびに寂しさを感じます。
Commented at 2014-07-24 18:28 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by didoregina at 2014-07-24 19:24
鍵コメさま、トルコに残るギリシャ・ローマもいいですね。アテネは物価も安いしお勧め。(素敵なデザインのジュエリーやアクセサリーも!)
キクラデス諸島セイリングも、徐々に記事にしていきます。
ミノアとミケネーの美術に関する本を今読み直している最中です。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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