ドルトムントのカルダーラ・コンサートに着物で

今年最初にして最強かもしれないコンサートには何を着ていくべきか。
もちろん着物である。

カルダーラの幻のオペラ La Concordia de Pianeti をコンサート形式で一回こっきりの上演、
そのライブが世界初録音される、というのだけでもスリリングであるが、当初は、3人のカウンター
テナーがキャスティングされていたから遠征にも力が入るのだった。
2か月くらい前から、同行のGさんといっしょに着物コーデを考えていた。

ほっこりした紬に、降り積もる雪模様が蝋で描かれている葡萄茶の着物はすぐに決まった。
帯も、午年に因んだものにすることに決めた。

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              グリーンの正倉院柄の名古屋帯にしようか。
            
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              それとも、スキタイ風の騎馬を織り出した袋帯にしようか。


前者の帯は2週間前にすでにグリーンの結城紬に合わせたので、ピンクが少し入った雪の色にも
近い後者の淡いクリームピンクの帯が残った。

実際の着姿は、こうなった。

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このコーデに合わせて、フエルトとシルクで大判ストールも手作りしたのだった。

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オールドローズカラーのフエルトに、少し濃い目のちょっと枯れたローズのシルクシフォンを重ねて、
シルクが見えるようにフエルトに穴を開けて、また、梅の花のように見えるようなつまみ模様を入れ
込んでみた。

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かように力が入ったのはなぜかというと、3人出演予定されていたカウンターテナーのうちの1人が
わたしが贔屓にしているクリストフ・デュモーであったからだ。
若手CTには様々なタイプが百花繚乱のごとく咲き誇っている現在であるが、芯が硬質で若々しい
張りのある声の、高音がレーザー光線のように鋭く通りる彼の歌唱が、わたしの耳には一番美しく
響く。そしてルックスや演技なども含めて総合的に一番好きなCTなのだ。
しかるに、彼の生の声には久しく接していない、この機会を逃してはなるものかと、遠征を決めたの
だった。

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        昨年、ケルンでの『時と悟りの勝利』に出演した時のデュモー

これは、約一年前にケルンで行われたヘンデルの『時と悟りの勝利』に出演した時のもので、
友人が撮ったカーテンコール写真である。なんと、このコンサートには行きそびれている。
ファンとしては情けないことこの上ないのであるが、近くでコンサートがあることをその前日くらい
まで知らなかったのだ。
その痛恨、無念さが胸の奥にしこりのように固まっていたから、ドルムントでカルダーラのオペラに
デュモーが出演と知った時には、即、遠征を決意した。

ところが、コンサート1週間くらい前に、予期しない出来事が起こった。
デュモーがFBで、体調不良のため降板を宣言したのだ。

18世紀以来上演記録がないという幻のオペラであるから、現在のオペラ歌手のレパートリーには
全く入っていない。今回の一回こっきりの上演およびライブ世界初録音のために出演予定の歌手が
キャンセルしたらどうなるんだろう。急な練習で舞台に立てるような代わりの人が見つかるのだろうか。
それとも、そういうキャンセルに備えて、誰か別の歌手も練習しているのだろうか。
とにかく信じられない気持ちで、デュモーが体調を整えてなんとか出演してくれることを祈りつつ、
なぜかその翌日になって撤回された降板宣言の真偽を本人に確かめたり、他のソースから入ってくる
代役の名前に驚いたりして夜も眠れないくらいやきもきしたのだった。
何日かたってから劇場から正式発表がされた。それは、事前に入手した非公式情報と同じであった。

歌手は生ものだから、キャンセルはいたしかたない。しかし、今までに贔屓の歌手の降板という経験が
あまりないだけに、今回のショックは大きかった。

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しかも、なんと最終的には目玉歌手であるソプラノのアナ・プロハスカちゃんも降りてしまった。
目当ての歌手二人が降板とは、かなり痛い。行く気がかなりそがれたことは事実であるが、もう一人
素晴らしいCTであるフランコ・ファジョーリが出演することと、歴史的録音になることは間違いないの
だからと自分に言い聞かせて、萎える心に鞭打ってドルトムントに出かけて行ったのだった。

実演の感想は、また別の記事にしたい。
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by didoregina | 2014-01-20 00:05 | 着物 | Comments(4)
Commented by kumitan2011 at 2014-01-22 23:09
レイネさま、こんにちは(^^)
せっかくのお姿、ゆっくり拝見したいなと思ってましたら、コメントが遅くなってしまいました・・・ゴメンナサイ。

今回のお着物、つけ下げ?訪問着?とても素敵!
画像では深みのある赤に見えますが、葡萄茶とは海老茶の事なんですね~私も好きな色です。
騎馬の袋帯もピッタリ♪
正倉院の帯よりも柔らかい雰囲気になり、レイネさまに良くお似合いだと思います。

そしてそして、ハンドメイドのストール!
色といい、凝ったデザインといい、私好みです(笑)
発色の良い紫がかった大人のピンク(ローズ)が、とても洒落てますね(^-^)
私のモモンガコート(ベージュ)は圧縮ウールですが、フェルトも似た感じの質感で暖かそう★

お目当てのデュモー氏の降板はとても残念でしたが、レイネさまのこと、きっと楽しまれたでしょう。
またそのご様子、心待ちにしております(*´-`)

Commented by レイネ at 2014-01-24 06:11 x
kumitan2011さま、レスが遅れてごめんなさい。
この着物は、6年前にほとんど25年ぶりくらいに着物を着たい!と思い立ったお正月に、母が用意してくれたものなんです。赤に近い海老茶の地厚の紬にろうけつで降り積もる雪のような絵羽模様が描かれている、一種の付け下げでしょうか。母の姉妹3人で色違いで誂えたものらしいいです。着やすいため、最初の年にはよく着たものです。お褒め頂き、ありがとうございます。

手作りのフエルトは、フリースのような圧縮ウールとシルクシフォンを重ねて、その間に白いフエルトを入れ込んで花模様のようにつまんで立体的に埋め込んだものを、石鹸水でこすって乾燥機にかけて縮ませて作りました。今年のヨーロッパはは暖冬なので、当日はコートなしでこれだけで大丈夫でした。

コンサート記事、明日にはアップできますので、少々お待ちくださいね。
Commented by kumitan2011 at 2014-01-24 22:38
レイネさま、コンニチハ!

いえいえ、こちらこそ遅くなってしまって・・・お気遣いありがとうございます(^^)

こちらのお着物はお母様がお召しだったのですか。
本当にレイネさまが羨ましい!

お手製のストールは、工程を伺うととても手の込んだ作品なのですね☆
私も羊毛フェルトでマスコット作りはしたことがありますが、多めのフェルトを薄く伸ばせばストールができそう!
強度が難しいけれど、手さげバッグなども作ってみたいです。

先ほどコンサート終了後のツーショット、拝見しました!
憧れの方とご一緒できるなんて、これまた羨ましいです(笑)

それから、チケットのご当選おめでとうございます♪
何度も当選されるなんて、レイネさまは強運の持ち主なんですね~あやからせて下さい(^_-)
実は私も今年に入って嬉しい事がありました。
まだ記事にしてないのですが、よろしかったらまた覗いて頂けると嬉しいです◎

こちらはノロ(ウィルス)やインフルエンザは流行っております^_^;
レイネさま、どうぞお気をつけ下さいませ★
Commented by レイネ at 2014-01-25 05:35 x
kumitan2011さま、いやいや、コメ兵にいつでも行ける貴女の環境の方がよっぽど羨ましいですよ。私の着物の90%以上は、母の箪笥からオランダに持ってきたもので、それ以外は10代の頃に誂えてもらった着物かこの数年ネット・ショップでゲットした物です。昨年10月に初めて、京都と名古屋でリサイクル着物ショップに入って帯を買いました。セコハンといえども、締めた跡も見当たらないようなきれいな帯が1500円とか3000円とかで買えるなんて、本当に驚きでした。ゼロの数が1つか2つ少ないんじゃないかと。そういうリサイクル着物の世界を知って、ああ、いいなあ、楽しそうと。毎日のように着物を買える貴女が羨ましいです。

実は、今日、また別のコンサート・チケットが当選したんです。ほとんど、うれしい悲鳴。。。絶対に行きたいとか見逃せない・聞き逃せないものは自分で買うわけですから、ちょっといいなとは思っててもチケットは買ってないコンサートにこうして行けるのは、とってもありがたいことです。

日本は寒いようですから、お体大切に。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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