シレンツィオなチレント  チレント海岸とエオリア諸島をセイリング その2

サレルノから南の海岸は、コスタ・チレントと呼ばれる。
北に向かえば、天下の景勝地として有名なアマルフィ海岸がある。
2週間のセイリングだから、普通だったらカプリとか、ポジターノとかにも足を伸ばすだろう。
しかし、われらのフロティッラは、そういう有名どころは全く無視してひたすら南を目指すのだった。

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最初の一週間は、チレント海岸の小さな町アグロポリ、アッチャロリ、カメロータの港への係留と、
静かな入江での投錨とが、ほぼ一日おきだった。
港では水や燃料・食糧の補給ができるし必要なのだが、町も続くと飽きてくる。
俗塵や浮世から離れ自然に抱かれた澄んだ入江の方にずっと惹かれる。

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                 アグロポリかアッチャロリ。
                 海から眺める町は、どこも似ている。

アマルフィをうっちゃってチレント海岸までやってくる観光客は少ない。セイリングする物好きとなると
もっと少数派だ。
今回2週間ワンウェイのフロティッラに参加したヨットはなんと3隻。リーダー船を含めても4隻という
非常に小さな船団だ。
立ち寄った港自体、どこも小さくて、ヨットの数は非常に少ない。

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  アッチャロリの港。ヨットも漁船もモーターボートもフェリーも仲良く一つの埠頭に停泊。


港や町の規模が小さいのは、過疎の南イタリアだから想像がついた。
しかし、驚いたのは、海に出ると、一日航行しても帆影がほとんど見えないことだ。
たま~に、漁船に出会うくらいで、水平線に及ぶまで、わたしたちのフロティッラ3隻以外のヨットの
姿が見えないのだ。

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                岸壁に泡だつ白波が、遠くからは船のように見えたのだが。


ここは、チレント海岸ならぬシレンツィオ海岸と呼ぶべきではあるまいか。
それで、思わず頭に浮かんだのは、バロックのナポリ古謡Silenzio d'amuriだ。
映画Tous les Soleils のサントラとして使われたのが印象に残る、ラルペッジャータの演奏と
マルコ・ビーズリーの歌。
↓は、映画のラスト・シーン




海から眺める海岸線は、峰と沢が規則正しく並ぶ山が水辺まで迫って、レモンや果樹が植わっている
ようで緑が濃い。非常に日本的というか、懐かしさを覚える風景である。

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                荒波に洗われる外側から、波静かな入江の内側に入る。

群青色の水の濃さから、水深の深いことがわかる。岸からちょっと離れればすぐに100メートルを
越える。
チャーターしたヨットは、キールの水深が2メートル10センチで、外海航行には適している。だが、
深めだから、港や浅瀬には注意しないといけない。
水深計のセンサーの位置は、普通キールに付けるものだが、このヨットで表示される水深は船体の
底からだと、チャーター会社のメカニックから言われた。
それを信じるなら、もしも、水深計が2メートル30センチを指しているとき、キールからは20センチ
しか余裕がないlことになる。
しかし、どうも、そうではないらしいことがだんだん判明してきた。

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                   入り江に浮かぶ島と砂浜の岸の間に投錨して、泳ぐ。


また、錨のチェーンの長さは70メートルある、とチェックイン時に言われた。
最初に投錨したところは、水深12メートルくらいだった。チェーンには10メートルおきに赤い印が
入っている。30メートル過ぎてもまだまだ大丈夫、と思って錨を下ろし続けていたのだが、ふと
チェーンを見ると、もう終わりに近い。メカニックの言葉を信じていたら、危ないところだった。
結局、チェーンの長さは40メートルしか長さがないことが判明。いい加減なもんだ。
しかし、そんなことでいちいち腹を立てていては、イタリアの海域でセイリングはできない。
腹をくくって、大船に乗った気持ちに無理やりなることが肝心である、と学習した。
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by didoregina | 2013-08-19 19:40 | セイリング | Comments(4)
Commented by Mev at 2013-08-21 00:40 x
美しい海をヨットでめぐる。なんてぜいたく!!でも、その裏には影なる苦労があるのですねえ。
ほんとに松島みたいな岩ですが、海の色が断然ちがいますね~。緯度はそんなに違わないのに、どうしてだろう。地中海って不思議です。
Commented by レイネ at 2013-08-21 03:49 x
Mevさま、ヨット・ヴァカンス中は、なんでこんなに苦労してまで、と思うことが多いのですが、終わるとまた次のセイリングのことを考えてしまう、というマゾ的快感で中毒になってます。
地中海は、陸地からそれほど離れてなくても水深がとても深いのと、燦燦たる太陽のせいで、葡萄酒色に近いほど濃いブルーになるんですよね。浅瀬の水は、やるせないほど澄んでるし。北海とも全く別だわ。
Commented by Mev at 2013-08-25 17:02 x
いやいや、本当に、北海とは全く違うでしょう。 今回、カンヌの海岸に滞在しましたが、人混みのわりに結構海が綺麗で驚いたのです。青いし。でもイタリア海岸のほうが、より青い。ヨットでめぐるとさらに美しい海の姿を堪能されたことでしょう。これだからヨットはやめられない?
Commented by レイネ at 2013-08-25 17:32 x
Mevさま、地中海の魅力はあの深い青に凝縮されてますよね。コート・ダ・ジュールも日本の海水浴場と比べたら空いてるし海も澄んでる。
イタリア北部のトスカーナの海水浴場やアドリア海側は砂浜が多いのですが、海水はあまりきれいじゃないんですよ。それに風景に変化が乏しい。やっぱり、岩場や砂利の浜の多いクロアチアの方が海水が澄んで美しいです。<-わんこといっしょに車で行くクロアチア、超おすすめ!
水上にいるだけで心休まるし、人の多い浜は苦手なので、ヨットはやめられない。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
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音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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