チレント海岸とエオリア諸島をセイリング その1 ヨットの問題

今回チャーターしたヨットは、クロアチア製のSalona37フィートである。

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                      船の名前はシモーナ。遠目には速そうに見える。

前回イタリアのサルデーニャでセイリングしたとき、フロティッラ・リーダーのヨットがサローナの
42フィートだった。いかにもレース向けっぽいスポーティーな外観に比して居住スペースがゆったり
広そうなのと、速度などのパフォーマンスに関してもリーダーやヨット雑誌のテストが太鼓判を押して
いたことから、次回借りるならこれ、と目をつけていた。
しかし、クロアチア製なのにクロアチアの海域ではなぜかあまり見かけないのだった。

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              地中海のように深いブルーの船体が目立つ。

今年イタリアのサレルノからの2週間のセイリングのために選んだサローナの37フィートには、期待が
大きかった。
昨年、クロアチアでは、最初の1週間は6人が乗り込んだのだが、37フィートのベネトー・オセアニスは
コックピットも内部のキャビンも余裕のスペースだった。
それで、今年は4人だけだが37フィートにしたのだ。ラグジュアリーに慣れると、後戻りできなくなるのが
人間の性である。
しかし、それが大いなる幻影であることを悟るのに数日とかからないのだった。

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                  コックピットの大きな青いビミニ(日よけ)を張れるのは
                  係留してメインセイルを使わないときのみ。                   

ベネトーと比べると様々な点で、サローナは私たちにとって居住性も機能性も劣るように思われた。

まず、居住性に関してだが、内部レイアウトがよろしくない。
船尾のキャビン2室は比較的広いのに対して、船首のマスター・キャビンがやたらと狭い。これは、
トイレが船首の左舷側に設置されているためだ。ただでさえ細身のレース仕様の船首である。その分、
キャビンに食い込む形になり、荷物を置くためのスぺースが少なくなる。右舷の片側のみにしか衣装
棚がなく、通常ベッドの下にある収納スペースもない。

また、冷蔵庫が古臭いタイプの上面蓋で、しかもやたらと厚くて重いのだ。セイリングを初めて2,3日
たったら、右手の腱がおかしい。冷蔵庫の蓋の開け閉めの際負荷がかかりすぎて痛めたのだと気が
付いたのはそのまた2日後だ。
サロンのテーブルも、コックピットのテーブルもデザインが機能的でないのみならず、ガタガタするし、
しかも両端が下がっているという致命的欠陥が。


トイレも、イタリアでは以前も経験したのだが、汚水槽と船外への排出バルブがうまく切り替わらない。
イタリアは、マリンスポーツのインフラに関してはクロアチアとは比べられないほど遅れていて、充実
したマリーナなどほとんどどこにもなく、港には桟橋があるのみで、トイレ、シャワーなどのサニタリー
施設は、全くといって見かけないから、自艇のトイレとシャワーを毎日使わざるをえない。それなのに、
貯水タンクの容量が少ない。


一番の問題は、もっと単純なところにもあった。

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レース仕様らしく舵がやたらとでかいのはまだいいが、ソロでのセイリングを前提にしているためか、
メイン・セイルのオーヴァーシート(写真左上から右下に斜めに見えるロープ)とトラベラーが舵の
手前まで来ている。通常のクルージング仕様だったら、コックピットの一番前、サロンへの入口辺り
にあって、舵からは遠い。
メイン・セイルを使っての帆走中は、そのオーヴァーシートは左右に動くわけだから、すなわち、日よけ
ビニミが使えない。(正確に言うとビミニは舵の上を覆っているだけ)

この点は、確か、昨年も懸案だったのだ。一度、クロアチアでこういう小さなビミニのヨットをチャーター
したことがあり、日陰争いが熾烈であったのを憶えている。

だから、帆走中は、コックピットの大部分が直射日光に晒される。チーク材のベンチや床は、直射日光
に当たると、アチチというくらいの温度になって座ることも素足で歩くこともできない。
舵の後ろに弧を描く形のベンチになんとか4人並んで座れるのだけが救いであった。
そして、帆の影が日陰になるから、帆の位置は風向きよりも太陽の位置関係で決めるという、とんでも
ないテクニックを用いることになった。

c0188818_5235059.jpg

ヨットを無事舫ったら、真っ先にするのは小さなビミニにテント状のエクステンションをつけること。
そして、西日を防ぐためにシーツも使う。

私たちがセイリングした期間の南イタリアは酷暑で、湿度も高かった。水温はほとんど体温に近い。
しかし、人間の体というものは、暑さにも直射日光にも慣れるものである。
あの暑さの中、2週間コックピットにビミニなしでセイリングするのは無理と思ったのは、チェックイン
した夕方だけで、海上に出て風さえあれば暑さも直射日光もさほど苦にならない。

しかし、このヨットには、まだまだ他にも問題があり、もう絶対にサローナをあのチャーター会社からは
借りない!と家族全員見解の一致を見たのだった。
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by didoregina | 2013-08-15 22:41 | セイリング | Comments(2)
Commented by アルチーナ at 2013-08-16 11:02 x
あら。。大変でしたね。。でも舵の上だけでも日よけを貼る事ができて良かった。。雑誌の評価は居住性が含まれていないのでしょうか??
ところで、ポンペイも良いですね。たまに日本でも展覧会をやるのですが、一部壁だけ持ってきても仕方が無いですもんね。こういうものは現地で見ないとね。。。アポロ像の下半身が光ってますね!皆さんやっぱり触るのかしら??
Commented by レイネ at 2013-08-16 16:46 x
アルチーナさま、スポーツ性を重視するとどうしても居住性にしわ寄せがくるのは仕方ないのですが、やっぱり、夏の地中海ではビミニは大きい方がうれしい。。。

ポンペイは、現地に行ってナンボというか、町全体という規模と当時の日常性が感じられるユニークな遺跡です。今、大英博物館で大規模はポンペイ展やってますが。アポロ像は結構高い位置にあるから、お尻にさわれるかなあ。。。


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