今年は、カウンターテナー・ルネッサンス

追記いくつかあり)
今年も昨年と同様、特に若手カウンターテナー(CT)を応援し、各地での活躍を見守っていきたい
と思っている。
先週の『セルセ』@デュッセルドルフでは、近い将来CT界を背負っていくに違いない二人の若手
歌手(ヴァラー・バルナ=サバドゥスとテリー・ウェイ)の実力を目の当たりにすることができた。
生舞台での彼らの歌唱は頼もしい限りで、まさにCTルネッサンスを実感させたのだった。

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なぜ、あえてカウンターテナー・ルネッサンスなどどと仰々しいタイトルを掲げたのかというと、CT界に
おける新旧交代は既成事実となった今、そこから一歩先に進んで、バロック・オペラのルネッサンスにも
寄与してもらいたいという願いを込めているからだ。
メゾ・ソプラノに拮抗する声域と歌唱の安定性およびテクニックに加えて、男性ならではのパワーを身に
付けしかも進化を続けるCTを若手有望CTとして注目していきたい。

彼らのスケジュールを追ってみよう。

まず、クリストフ・デュモー
1月と2月に、ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロック・オーケストラにユリア・レジネーヴァ
その他の共演でヘンデル『時と悟りの勝利』を演奏会形式に出演。この公演はウィーンとパリだけかと
思っていた。なにげなくFBOのサイトを見ると、なんと、ケルンでも2月15日にコンサートがある
ではないか!
デュモー選手の公式サイトがないのと、マネージメント会社もスケジュールのアップ・デートをあまり
行わないので知らなかった。とんだ落とし穴である。同行してくれる人がいたら行きたい。。。
4月と5月は、NYのメトロポリタン歌劇場でジュリオ・チェーザレ』のトロメオ役。デヴィッド・ダニエル
ズとの対比も鮮やかに、新世代CTの魅力を一般オペラ・ファンにもアピールしてくれるだろう。

追記
マドリッドの国立歌劇場の来シーズン演目が発表された。すると、11月にデュモー選手がパーセルの
『インドの女王』に出演することがわかった。そして、同月18日にコンサート形式で1回きりだが
パーセルの『ダイドーとイニーアス』もある。ケルメス姐がダイドーでヌリアちゃんがべリンダ!もしも
マドリッド遠征をするなら、17日か19日の『インドの女王』と組みあせたら万全である。
また、皆様十分ご承知とは思うが、11月にはバルセロナでマレーナ様、サラ様、ダニエルちゃん他
出演の『アグリッピーナ』も上演させるから、特に日本からヨーロッパ遠征される方は、スペインだけで
これら3演目を上手く組み合わせることも可能だ。

追記その2
書き忘れていたが、マックス・エマニュエル・チェンチッチは今年も忙しそうだ。比較的近場に登場する
のだけ挙げる。
9月にパリ、ウィーン、アムステルダムで『アレッサンドロ』!チッチはアムスのコンヘボではいつも
マチネ公演してくれるのがサーヴィス満点。サイン会を見越して既にCDゲット済み。
ユリアちゃんその他女性陣の競演が楽しみだ。
11月にフランクフルトでグルックの『エツィオ』。これも共演者が誰なのか気になる。CDがセールに
なってるから、一応買っておこうか。11月にヨーロッパ遠征する気になってる方には、ファジョーリの
『リナルド』@ウィーンもあるし大変だ。(ファジョーリは、10月にミュンヘンで『セメレ』にも出演)


ヴァラー・バルナ=サバドゥス(略して鯖奴。マダム貞奴の男性版として羽ばたいてもらいたい)
3月にヴェルサイユとリヨンでペルゴレージ『スターバト・マーテル』
3月~6月にギーセン市民劇場で、ヘンデル『アグリッピーナ』のネローネ役!(オットーネ役には
テリー・ウェイ。)セルセに続いてまたしてもマレーナ様の当たり役ネローネを歌うというのが興味深い。
マレーナ様ネローネは11月にバルセロナで公演が決まっているから、二人を聴き比べてみたい。
7月は、エクサンプロヴァンス音楽祭でカヴァッリの『エレーナ』にメネラオ役で出演。


フランコ・ファジョーリは、今年も各地でのスケジュールがぎっしり詰まっている。
詳しくはアルチーナさんのブログをご参照いただきたい。


イェスティン・デイヴィスも凄まじい売れっ子ぶりなので、興味深いもののみ記す。
3月にNYで鈴木雅明指揮BCJによるバッハとメンデルスゾーンの『マニフィカト』他に出演。
3月にロンドン、パリで『ヨハネ受難曲』
4月にハンブルク、5月にイギリスでブリテンの『アブラハムとイサク』出演。ボストリッジ、キンリー
サイドと共演。
5月にカナダでヘンデル『テオドーラ』ツアーにダイディムス役。ゴーヴァン、ルミューと共演。
6月にウィーン、7月にミュンヘンでベンジャミンのWritten on Skin出演。バーバラ・ハニガン共演。
10月にNYメトでブリテン『真夏の夜の夢』オベロン役。


ティム・ミードも同じく売れっ子ゆえ、主なものだけ記す。
3月4月に各地で『スタバ』『メサイア』『ヨハネ』に出演。
4月ロンドン・ウィグモア・ホールでヘンデル『エスター』に出演。来シーズンは、『テオドーラ』で
サラ様との共演も決まっているので、ヨーロッパ・ツアーがあることを期待している。
5月ゲッティンゲン・フェスティヴァルでヘンデル『ヨゼフとその兄弟』
6月ロンドンでヘンデル『スザンナ』
6月ロンドンのENOとアムステルダムのホランド・ファスティヴァルでブリテン『ヴェニスに死す』アポロ。
12月ヨーロッパ各地で『メサイア』出演。
来年1月ミュンヘンでカヴァッリの『ラ・カリスト』エンディミオーネ役!

ここで注目していただきたいのは、ミュンヘンの来シーズン演目に少なくとも2つバロック・オペラが
入っていることだ。10月にフランコ・ファジョーリが出演するヘンデル『セメレ』と1月にティム・ミード
出演の『ラ・カリスト』がある。
後者は、数年前に上演されたものの再演と思われるが、久しぶりにミュンヘンでも本格的なバロック・
オペラが若手CTの出演で上演されるという事実から、CTの活躍がバロック・オペラ・ルネッサンスに
貢献していると思えるのだ。


さて、お馴染みCT以外にも、新たに期待できそうなCTを見つけた。
galahadさんのつぶやきで、7月のブレゲンツ・フェスティヴァルでアンドレ・チャイコフスキー作曲の
オペラ『ヴェニスの商人』が世界初演され、CTも出演するという情報を得た。
そのCTとは一体誰だろうと興味を持って検索した結果、面白い事実が色々と発見できた。

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        打掛から作られたと思しき素敵なドレス姿のアルタセルセ!

クリストファー・エインズリーという南アフリカ出身(現在ロンドン在住)の若手CTである。
彼の名前は全くノーマークだったが、既に様々なバロック・オペラに出演しているのだった。ノーマーク
だったのは、比較的マイナーな場所ばかりで歌っていたからだ。
その中でも面白そうなのは、ヘンデルと同時代のイギリス人作曲家トマス・アーンの『アルタセルセ』
のタイトルロール。

↓にアーンの『アルタセルセ』からIn Infancy, our Hopes and Fearsを貼る。



このアルタセルセの歌はずいぶんとシンプルだし、音域的にも普通のテノールでも歌えそうで、あまり
CTらしさが堪能できないが、エインズリーが歌うヘンデルの『パルテノーペ』『ゴーラのアマディージ』『ロデリンダ』やモーツアルトの『アポロとヒュアキント』などの動画を色々発見したので、次回また
紹介してみたい。

もっと興味深いのは、そのアーン(『ルール・ブリタニア』で有名)のマイナー・オペラをロンドンで
上演したClassical Opera Companyが作成した、作曲家についてのプロモーション・ヴィデオだ。



『アルタセルセ』は、CTが5人登場することで昨年話題になったレオナルド・ヴィンチ以外にも
様々な作曲家によるいろんなヴァージョンがあり、奥が深そうである。
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by didoregina | 2013-02-08 13:17 | カウンターテナー | Comments(14)
Commented by 名古屋のおやじ at 2013-02-08 22:01 x
アーンのArtaxerxesのCDが我が家にあるのですが、その解説によると、若き日のモーツァルトも見た可能性がかなりあるらしいとのこと。アーンと同時代のTerradellasが書いたアルタセルセもあって(たぶんご存じでは?)、その録音がきけちゃうんですから、スゴイ時代になったものです。このオペラとは関係ないですが、名古屋には川上貞奴ゆかりの家が残されております。
Commented by レイネ at 2013-02-08 23:02 x
名古屋のおやじさま、アーンの『アルタセルセ』CDをお持ちとは!エインズリーが歌ってるやつ?クリストファー・ロブソンというCTが題名役のCDも出てますね。せっかくだから、エインズリーのCD買ってみようかしら、安いし。
テッラデラスの『アルタセルセ』も初耳です。ご紹介ありがとうございます。こちらはyoutubeに全曲アップされてるから買わなくてもいいわ。今聴いてま~す。
貞奴ハウス、次回名古屋に行ったら訪問してみたいと思います。
Commented by 守屋 at 2013-02-09 07:08 x
こんばんわ。今日のガーディアンでこんなレヴューが。

ttp://www.guardian.co.uk/music/2013/feb/06/handel-bad-guys-review

 最初のコメントのネガティヴさにほとほと嫌気がさしたので、勢いでコメントしてみました。

 アーンの「アルタセルセ」は、数年前に、ロイヤルの地下のリンベリィで上演されました。全くノーマークで、レヴューが5つ星と知りすぐにチケットを購入しようとしたのですが、完売御礼でした。
Commented by galahad at 2013-02-09 10:53 x
エインズリーってどんなCTだろう?と私もちょっと探してみたんですが、こんな素敵な衣装のアルタセルセなんかもやってたんですね。ほんとアルタセルセの台本、どんだけ好かれてるんだか。
ヴェニスの商人は英語の作品のようだし、エインズリー君の英語ってなんだか丸っこい発音で可愛いかんじだから聞いてみたいです。
ブレゲンツ音楽祭は湖上オペラが有名ですけど、祝祭劇場のほうがマイナー作品や、ここ数年は新作の上演をしてておもしろそうです。
Commented by 名古屋のおやじ at 2013-02-09 15:48 x
我が家にあるアーンの「アルタセルセ」はエインズリーがタイトルロールを歌っているものです。今は(あまり面白くないので)やめてしまいましたがイギリスの音楽雑誌「グラモフォン」を購読していた頃に、その紹介記事を読んで購入したのだと思います。CDにつけられている写真から想像するに、非常に豪華な衣装が使用されたプロダクションだったようですね。
Commented by レイネ at 2013-02-10 18:55 x
守屋さま、サバタはルックスが強面で独特のキャラが立ってて新譜も選曲も独特だわ。ガーディアンの最初のコメント主は、CTの声そのものに慣れてないというか毛嫌いしてる感じですね。

数年前にロンドンで上演されたというアーンの『アルタセルセ』に興味を覚えます。映像どこかに残ってないかしら。実演ご覧になった方いないかな~。
Commented by レイネ at 2013-02-10 19:04 x
galahadさま、エインズリーって南アフリカ出身で、名前はイギリス系っぽいけど、オランダ語の流れを汲むアフリカーンス語が母語のアフリカーナなのかも。というのは、youtubeに投稿されてる動画の説明文(バイオなど)がアフリカーンス語になってるんです。それで、英語が丸っこい感じの発音に聴こえるのかも。
ブレゲンツ祝祭劇場でマイナーなオペラ鑑賞してみたいです。アンドレ・チャイコフスキーの『ヴェニスの商人』世界初演って、面白そう!
Commented by レイネ at 2013-02-10 19:08 x
名古屋のおやじさま、おお、やっぱりエインズリーが歌ってるCDお持ちなのね!彼のサイトにある写真を見ると、その『アルタセルセ』公演の衣装も小道具もキンキラ金でバロックを現代風に換骨奪胎してる感じなので、興味津々なんです。CDやっぱり買ってみます。
Commented by 守屋 at 2013-02-10 22:53 x
こんにちは。ガーディアンのいいところは、マイナー・オペラのレヴューをきっちり読めることでしょうね。

ttp://www.guardian.co.uk/music/2009/oct/22/artaxerxes-thomas-arne-linbury-studios

ttp://www.guardian.co.uk/music/2009/nov/01/artaxerxes-review

 ペイジ率いるカンパニィの公演をウィグモアで先月観たのですが、内容は、カストラートが歌ったアリアをソプラノが歌うという物でした。とても良かったです。
Commented by レイネ at 2013-02-11 03:44 x
守屋さま、ガーディアン記事へのリンク、ありがとうございます。その他の新聞評やレビューも読んでみて、アーンの『アルタセルセ』への興味がより一層増しました。CD注文します。(でも、実演観たかった!再演してもらいたい)

ペイジの率いるクラシカル・オペラ・カンパニーの活動は活発でプロジェクト内容も興味深く、端倪すべからざる存在ですね。
Commented by アルチーナ at 2013-02-11 10:29 x
便乗して・・フラちゃんのスケジュールもきちんとまとめようと思ったのですが、意外に時間がかかっちゃって、途中で疲れてしまったのでそのうちに・・

皆様~!!ハッセの『アルタセルセ』もDVDが発売されるようですので、リリースした暁にはよろしくお願い申し上げます・・・
本当は12月発売の予定だったのに・・・

アルタセルセと言えば、100人を超す作曲家がオペラにしているようなのでまだまだ、沢山あるのでしょうね・・
先日フラちゃんのインタビューで今後の予定として「沢山のアルタセルセ・・」と答えていたのが気になっております・・・他にも予定があるのかもしれません(それともただ単にヴィンチの再演の事を言っているのか??)。
それから・・意欲的にバロックオペラの掘り起こしをしている団体って結構あるようですよね!たまに検索しているとひっかかったりするのですが・・今度からもう少しよく見てみるようにしよう・・

Commented by レイネ at 2013-02-11 16:57 x
アルチーナさま、貴ブログ・トップのフラちゃんコーナーでは、常時スケジュールのアップ・デートされてるので感心してますのよ。

ハッセやその他の作曲家の『アルタセルセ』聴き比べしたくなってます。100人を超す作曲家がオペラにしてるって、それはリブレットによっぽど魅力があるのかしら、作曲心をむらむらとおこさせるような?
そういえば、PJ主宰の古楽アンサンブルもアルタセルセという名前だし。

ところで、フランクフルト歌劇場11月公演『エツィオ』に行きたくなって。値段設定がとても低いし、マチネなら日帰り可能だし。または、バルセロナにはフランクフルトから飛ぶという手もあるな、と。家からだとスキポールに行くのと距離的にあまり変わらないのです。
Commented by 守屋 at 2013-02-15 18:21 x
おはようございます。偶然は続く物で、今朝のガーディアンのCDレヴューでブリテンの「カンティクルズ」が紹介されていました。名前をクリックしていただけるとそちらにとびます。その中の一曲で、エインズリーが参加しているようです。

 カンティクルズは、昨年末にウィグモア・ホールでデイヴィーズ参加のを聞きました。とても濃密な世界で、僕には1回聞いただけでは理解できませんでした。時間を置いて、もう一度聞いてみたいと思っています。
Commented by レイネ at 2013-02-15 19:09 x
守屋さま、貴重な情報ありがとうございます。カンティクルズは全くの未聴作品ですが、濃密なんですね。。。。
今年はブリテン・イヤーで、CD発売やオペラ上演やコンサートも盛んですね。日曜日に、BBCがブリテンに作曲依頼したオペラ『オーウェン・ウィングレーブ』の上演が近くであるんですが、今週末は北部の友人の所に行くので、来週ロッテルダムまで遠征して観ようと思ってます。TVのために作られたオペラで実演はレアなんです。(オランダでは初演)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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