美しい日本の私

京都では、前回書いた理由で、神社・仏閣などに行く時間がほとんどなかった。
一日目は、かろうじて八坂神社だけ、暗くなる前に入ることができた。そして、夕闇迫る祇園に
二年坂・三年坂そしてねねの小道のそぞろ歩き。その頃には、清水寺はとっくに閉まっていた。
京都二日目は、泊まったホテルの前が二条城なので、朝食後に即見学。その後、嵯峨野・嵐山に
行ったのだが、商店街にある畳屋や提灯屋に時間を取られ、和紙の店でもじっくり腰を据えたりして
やはりお寺に入る時間は残らないのだった。

翌日、犬山ではダブル・デートの約束があった。
オランダでPから帽子作りを習っていたK子さんとY子さんにPは任せて、ブログ友のgさんVさんと
オフ会をしよう、という欲張りプランである。
まずは、犬山城見学の前に、城下町にある素敵な茶亭『有楽』(うらく)でお茶。

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        冷たい抹茶には、抹茶の氷ボールが浮かんでいる。
        お代わりにお湯を注してくれるので、二杯分楽しめる。

犬山は、磯辺邸や堀部邸など、豪商や武家の旧家の建物が別の用途に利用されているのが面白く、
わたしのディスカバー・ジャパンというテーマにピッタリの町だ。

犬山城は、靴を脱いで天守閣の中に入って木の急な階段を登ると、各階の意匠がオーセンティックで
窓からの木曽川も美しく、小さいながらとても雰囲気のいいお城である。

その後、名鉄犬山ホテルで待ち合わせたgさんVさんと共に、ホテル敷地内にある『有楽苑』(うらく
えん)を見学した。

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        織田有楽斎の茶室『如庵』が移設された庭園『有楽苑』

犬山には、機会があれば行きたくてたまらなかった。
なぜかというと、小・中・高と足かけ7年に渡って習っていたお茶が有楽流(うらくりゅう)であり、その
始祖・有楽斎(うらくさい)にちなんだ建物が残っているからだ。
しかし、茶室『如庵』は国宝なので、内部見学は月に一度の許可制である。滞在日程には合わな
かったのが残念だが、『有楽苑』にはガイドさんが付いてくれ、普通なら見逃すような細かい点まで
じっくり見ることができ、とても有益だった。

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         名カメラマンのgさんによる撮影

織田有楽斎(おだ・うらくさい)は織田信長の13歳年下の弟で長益といい、武芸にはあまり才能が
なかったようだが、茶人・数奇者としては波乱万丈の人生を送った面白い人物である。
禁制になる前にキリシタンになり、その洗礼名ジョアンから号および茶室を『如庵』と名付けたと
言われている。
武士としては臆病者だったおかげか、織田・豊臣の戦国時代を生き抜き、最後には徳川方に属し、
家康から数寄屋橋付近の土地と屋敷を拝領している。その辺りが有楽町(ゆうらくちょう)として
現在まで名前が残っている。(しかし、「うらく」という呼び方で残してもらいたかった)

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         国宝三名席の一つ、『如庵』は、竹を様々に使った
         意匠が美しい。暦貼りの腰貼りや有楽窓なども見逃せない。
         外から、中をじっくりと覗かせてくれた。

gさんもVさんも、なかなかの数寄者でいらっしゃるので、ガイドの説明に頷いたり、感嘆したりの
楽しい見学となった。このお二人という同好の士を同行に得たのは、まことに幸いであった。

庭園には、美濃の和紙で作られた「灯りアート」がそこここに置かれていて、秋の夕刻には灯りが
燈るようになっている。

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          庭に置かれた和紙の「灯りアート」のひとつ。

締めとして、旧正伝院書院(有楽斎の隠居所)で、お茶を頂いた。
清々しい竹や緑の多いお庭に点在する茶室や書院を見学したあとのお茶は格別で、豊かに心を
満たしてくれた。文字通り、美しい日本を満喫の午後であった。

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by didoregina | 2012-10-23 09:38 | 旅行 | Comments(8)
Commented by まゆ at 2012-10-23 16:56 x
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Commented by galahad at 2012-10-23 18:46 x
気候もよく、充実したお里帰りだったご様子。犬山ではご一緒できて楽しかったです。
ほぼ地元なのにVさんも私もろくに行ったことがない場所でしたし、初めての有楽苑は興味深かったです。レイネさんが有楽流茶道をお稽古されていたことも、ガイドさんと驚きつつ伺ったり。
如庵もけっこう覗けたし。また機会があってあのような見学ができるといいですね!
Commented by 名古屋のおやじ at 2012-10-24 06:33 x
お里帰りだったんですね。生活の場をこの地に移して15年ほど。いまだに名古屋の地理は頭に入っておらず、実は名古屋城にも行ったことがない・・・さすがにこれはマズイかなあ。犬山にも行ったがありません。「乱入」させていただけばよかったかな。
Commented by レイネ at 2012-10-24 15:09 x
まゆさま、せっかくのお誘いですが、ランキングにも人気にも縁のないニッチ・ブログですので、登録はいたしません。あしからず。
Commented by レイネ at 2012-10-24 15:15 x
galahadさま、犬山はいい町ですね!ちょっと前まではすすけた感じだったらしいけど。
有楽苑はガイドさんが付いてくれてラッキーでしたね。そして、美しい庭と茶室に心が清められたような気分。各地の名茶室巡りをしたくなりました。その際、またご一緒できたらいいなあ。ありがとうございました。
Commented by レイネ at 2012-10-24 15:23 x
名古屋のおやじさま、名古屋城ほど有名ではないけど、コンクリートでない木の構造や石積みなど昔の姿で残っている犬山城はとってもいい風情でした。でも、名古屋のおやじをお名乗りならば、名古屋城にも一度は行っておくべきでしょうね。
次回の里帰りは6月下旬を予定しておりますので、大々的な名古屋オフ会をしましょうよ。「乱入」参加ではなく「幹事」をお願いしちゃおうかしら。
Commented by 名古屋のおやじ at 2012-10-24 21:50 x
チャンスがあったらお目にかかりたいですね。川端ばりに「もののあはれ」の話ができればいいのですが、それは無理かなあ。galahadさんからお聞きになったかもしれませんが、小生、方々で年齢不詳と言われますが、レイネさんよりも少々人生経験が少ないようです。
Commented by レイネ at 2012-10-24 23:32 x
名古屋のおやじさま、ブログで知り合った名古屋(出身または現在在住)の方って、皆様なぜか年齢不詳の雰囲気なんですよ。名古屋のせいなのか、ブログ・ジャンルのせいなのか。。。
ところで、今年も村上春樹氏はノーベル文学賞受賞を逃して、残念でしたわね。(でも、本当にいつか取れるのかどうか疑問)


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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