ストックホルムの水辺は陽光溢れて

ストックホルムを訪れるのは、8年振りである。
しかし、なんとなく土地勘が残っていたので、町歩きは容易だった。

週末に二泊したので、土曜日はまるまる一日観光(およびショッピング)の時間がとれた。
しかも、一人旅だから、誰にも気兼ねなく(特に家族旅行だと、お互い色々と譲歩しないと
いけない)好きなように歩いたり、訪問場所や食事するところを決めることが出来る。

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      マレーナ様の予報どおり、土曜日はいいお天気!水辺の散歩は気持ちいい。

水辺を歩いて、スカンセン島にあるヴァーサ号博物館へ。
ここは、なぜか8年前に訪問しなかったのだ。ホテルのフロントの人の説明が自虐的で
あったせいで、あまりたいして観るべきものはないような印象を持ったせいだ。
彼曰く「17世紀の軍艦なんですが、処女航海で進水した途端に沈没したんです」

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           ヴァーサ号がすっぽり収まった博物館の外観

1638年に国王グスタフ二世アドルフが国威をかけて作らせた軍艦ヴァーサ号は、進水式直後に
横風を受けて首都の湾内に沈んでしまった。国王列席で、宿敵ポーランドに向かう処女航海での
沈没という不名誉な事件だったので、なるべくなら忘れたいという思いの過去の汚点であった。
しかし、それを333年後に引き上げて、20世紀の科学の粋を集めて水抜きしつつ保護膜で覆って、
最終的にジグソーパズルのように再構築して、95%オリジナルの姿を展示しているのだ。
低い水温と、バルト海のしかも汽水に近い塩分の少ない海の底に眠っていたおかげで300年以上
経ってもほとんど傷んでいないという僥倖に支えられてはいるが、まったくもって圧巻。
当時の建造技術の素晴らしさを偲ばせるその姿にも、それを今に蘇らせた科学技術にも脱帽するほか
ない。

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         実物は凄い迫力の船首だが、わたしが撮るとしょぼい。。。

オランダ、ベルギーおよびイギリス各地の海洋・海事博物館には、機会があれば訪問している。
しかし、ヴァーサ号博物館は、その迫力と展示内容全てにおいて比肩するものなし。ピカイチの
超一流である。(ポーツマスにある海事博物館は、規模とヴァラエティの豊富さで、ユニークな
存在だが、ヴァーサ号博物館の場合、単独の船でここまで見せる面白さが群を抜いている)

とにかく、実地体験すべき博物館で、誰でも楽しめること請け合いである。まずは、博物館の
ガイド・ツアーに参加して、そのあとゆっくりと自分のテンポで各展示を見て、引き上げ作業の映画を
観れば完璧。スウェーデン、おそるべし、を実感するだろう。
スカンジナビアで一番集客力のある博物館というのも、納得だ。なにしろ、ほとんどオリジナルの17
世紀の軍艦を観ることができるのは、世界中でここだけなのだから。
オランダのバターフィア・ドックで建造されたバターフィア号や7プロヴィンシーエン号のレプリカなど、
ヴァーサ号を目の当たりにしたあとでは、色あせて見える。

ヴァーサ号のオリジナルの迫力に伯仲するのは、ヘンリー8世が造らせた16世紀のメアリー・ローズ
号の水抜きが完了してその姿をわれわれに見せるときであろう。

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        8月に遠征したウィーンの美術史博物館での、個人的な大発見は、
        エストニア人でネーデルラントで修行・活躍したMichel Sittowに
        よる『メアリー・ローズ(?)の肖像画』(1514年頃)。
        メアリー・ローズはヘンリー8世が溺愛した妹で、描かれているのは、
        ヘンリー8世の最初の妻アラゴンのキャサリンという説もあるのだが、
        ウィーンではメアリー・ローズか、ということになっていた!そして、
        彼は最愛の妹の名前を船にも付けたのだろうか。謎は謎を呼ぶ。


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        アムステルダムも港湾に面している首都だが、ハーバーの近くまで
        ヨットで帆走することは無理。ここでは、船の航行量が少なく混みあって
        いないのと水域幅が広いため、帆走可能なのを目の当たりにしてびっくり。

日当たりのいい水辺を選んで歩くと、このスカンセン島にもヨット・ハーバーが。ぜひぜひ一度、
ヨットでストックホルムにアプローチしてみたい!

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        日当たりのいい酒精飲料博物館のカフェ・レストラン。外はヨット・ハーバー

前回も、ストックホルムでは近代美術館のカフェで美味しいビュッフェ・ランチを食べたので、今回も
ミュージアムのカフェに行ってみた。地元の人が大半で観光客も混じり、いい感じに賑わっている。

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        倉庫を改装したと思しきインテリアのカフェの天井

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          スウェーデン北部の地ビール。グラスのロゴに注目のこと。

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          椅子の背にも同じロゴが。

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         ロブスターとシーフードのスープで満腹。

メニューはスウェーデン語のみだったので、近くの人に英語に訳してもらった。
小エビが山盛りに乗っかって下のパンが見えないサンドイッチとか、シーフードは豊富なので比較的
安い。
夕食は、セブン・イレブンで買ったザリガニ・サラダにしたが、これも、ザリガニが全体の3分の1を
占める充実度。カンタレッラの山盛りトーストを試したかったが、お腹が破裂しそうなので諦めた。
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by didoregina | 2012-09-22 22:10 | 旅行 | Comments(4)
Commented by hbrmrs at 2012-09-23 10:52 x
私も行きました!ヴァーサ号博物館。懐かしい。
あのスケールの大きさは、実際に見てみないとわからないですよね。

レイネさん、写真がしょぼくなっちゃうの、仕方がないと思います。私も写真になんとかして収めたくて、悪戦苦闘しましたが、デカすぎてとても全体は収まらず、部分だけ切り取っても迫力が失われるだけ、さらに館内が暗いので光加減を調節できず・・・。

たくさんのヨットが係留している港湾付近を散歩するのは、ストックホルムの街歩きの醍醐味ですね。

以前にも行ったことがおありのようですが、ドロットニングホルム劇場には行かれましたか?世界屈指の神秘的な劇場ですよね。
Commented by レイネ at 2012-09-23 17:14 x
hbrmrsさま、もちろん行かれましたか、ヴァーサ号博物館!半端でない展示と説明版のおかげで多角的に見学できて大満足でした。

ストックホルムの町の美しさは、水を満々とたたえた静かな港湾の自然と勇壮な町並みとのコントラストですね。開放感があって大好き。そして、王宮の後ろ辺りは、小さな路地がいっぱいあって楽しいし。町自体がとにかくおしゃれ~。

ドロットニングホルムには行ったことないんですよ!ここで、バロック・オペラ鑑賞するのが憧れなので、ぜひ実現させたいと思ってます。
Commented by Mev at 2012-10-02 06:18 x
いやはや羨ましい限りです~。
私はリア充どころかリア忙で、もういっぱいいっぱいでして、レイネさんのブログすらずーっと見る時間もなかったのでありました。(:_;)
で、久方ぶりに拝読いたしますと、なんと、こんどはストックホルムでセビリアの理髪師ですか。素晴らしい。いいなぁ。天気もよかったようですし、飛行機のトラブルもなく着物もお召になられ、のんびりビールもたしなみ、しかも博物館も。目の保養になりましたー。
私もいつか、ゆとりを持って一人旅したいものです。 
Commented by レイネ at 2012-10-02 15:12 x
Mevさま、今年いっぱいはお仕事がお忙しいことでしょう。それと、まだお子さんが家にいらっしゃるし。我が家は、子供が二人とも出て行ったので、すっきり、のんびり、ゆったり(気分だけよ、金銭的にはキツイ)です。子供が家にいないと、時間的束縛がほとんどなくなるので、わたしは1人で遊びまくってます。
でも、そちらはアムス在住なのだから、近場でいいものが聴けるというのが強みですよ。
来週から日本に里帰りです。帽子の師匠ポーリンも同行。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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