マレーナ様との偶然の出会い

フライトがキャンセルになり、半日潰れましたが、なんとかウィーンのホテルまで辿りつく
ことが出来ました。
ホテルは、アン・デア・ウィーン劇場の隣です。最寄り駅は、地下鉄のカルルス・プラッツで、
ゼセッション出口から地上に出れば、すぐ。

この地下鉄駅はウィーン国立歌劇場の最寄り駅でもあり、他にも出口がたくさんあるので、
出間違えると悲惨。前回は別方向の出口から出てしまい地上での方向がわからなくなったので、
今回はとにかく「ゼセッション」を目指しました。

オペラ座およびアン・デア・ウィーン劇場周辺には、地上にも地下道にもハリウッドのウォーク・
オブ・フェイムもどきの、古今の作曲たちの星型プレートが埋め込まれています。
カミーユ・サン=サーンス、クロード・ドビュッシー、クルト・ワイル、ヤン・シベリウスと辿り、
ゼセッション出口の手前にあるプレートは、「もしかしたら。。。」と密かに念じたとおり、
ジョアッキーノ・ロッシーニでした。

c0188818_16405655.jpg

        ロッシーニの『湖上の美人』鑑賞のためにやってきたウィーンの
        ホテル近くの地下道でロッシーニの星型プレートを見つけた。

これは、厄払いにもなるし幸先よさそう、と思いました。
地下道から地上に出ると、ゼセッションの金色のキューポラが陽光に眩しく輝いています。
まるで、「ようこそ」と出迎えてくれているかのように。

そこから次のブロックを曲がるとホテルです。かれこれ、午後五時になっています。
「そろそろ、マレーナ様の楽屋入りの時間だわ」と思いつつ、前方左手の劇場楽屋方向を見ると、
長身に金髪の女性がさっそうと歩いているのが見えました。
「マレーナ様に違いない」とピンと来たので、走って追いかけます。彼女が楽屋口に向かう角を
曲がったので、「マレーナ!」と叫びました。
息を切らしてその角を曲がると、そこにはマレーナ様が立っていたのです。わたしの声に振り返り
待っていてくれたのです。

c0188818_16505333.jpg

            楽屋入り前のマレーナ様。
            ファッション誌の街角スナップみたいだ。

R「たった今、ウィーンに着いたところなんですよ」
M「息を切らしてるわね。走ってきたの?」
R「劇場横で貴女が前方を歩いているのを見つけたので、追いかけて来たんです」
M「わたしは、いつでも早足だからね」
R「それに、そのスニーカーですからね」
マレーナ様は、カジュアルで素敵なサマー・ドレスにナイキのブルーの靴紐のスニーカーを履いて
います。わたしが履いていたのもナイキの夏用スニーカーです。

R「空港で荷物が出てこなかったので、いつもは着物なんですが、たぶん今晩はこの格好です」
M「それだって十分素敵よ!」
R「いやいや、オペラには不向きですよ」
わたしの格好は、黒のタンクトップに白のジーンズに白のスニーカー。シルクシフォンの白地に黒の
スカーフ模様のブラウスを羽織っていました。マレーナ様がほめてくださったそのブラウスは、
ふわふらしていてちょっとドレッシーで、軽くてかさばらず夏の旅行には重宝なのです。ポール・スミス
のバーゲンで25ユーロでゲットしたもの。

c0188818_17235930.jpg

         劇場裏手から程近いカフェ・シュペール前には
         可憐でたおやかな花と『湖上の美人』のポスター円柱が。

R「ここでお目にかかれるとは、偶然に感謝です。今晩のオペラ公演には興味津々なんですよ。
新聞での評などを読むと、かなり複雑な心理劇風の演出で、普通とは異なるエンディングだというので、
興奮しちゃいます」
M「そうなのよ。一筋縄ではいかないストーリーになってるから、期待に副えると思うわ。楽しんで
ちょうだいね」

楽屋入り前ですから、あまり引きとめてもいけない、と思い、
R「ご準備もおありでしょうから、どうぞ楽屋に入ってください。終演後にまたお会いできますから」
と言うと、
M「いいのよ、気にしないで。まだ時間はあるんだから。それより、わざわざウィーンまで来てくれて
本当にうれしいわ」
と、あくまでもファンには優しいマレーナ様です。
写真も撮らせてもらいましたが、回りには誰もいなかったので、ツーショットは無理でした。

R「今回は、1人で来たんです。来月にはストックホルムにも参ります」
M「終演後にまたここで待っていてくれるわね?」
R「はい、もちろんです。ぜひまたお会いしましょう。ああ、もうドキドキです」
そう言って、一旦別れました。

c0188818_17182526.jpg

           ホテルの中二階の向かいは劇場の衣裳部屋や楽屋。

朝から長く待たされましたが、運のツキには恵まれていたようです。
マレーナ様に会いたい一心で、ガッツでフライト・トラブルをクリアしてきた甲斐がありました。

ホテルには解くべき荷物も無いので、フロント嬢お勧めのレストランに食事に出かけました。
日曜日で閉まっているナッシュマルクトの道を渡った反対側にあるイタリアンでした。
開演間際まで待ちましたが、やはり荷物は届かなかったのでした。
諦めて、着の身着のまま、ジーンズにスニーカー、ノーメークでオペラ鑑賞に臨みました。
 
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by didoregina | 2012-08-15 10:35 | マレーナ・エルンマン | Comments(12)
Commented by ロンドンの椿姫 at 2012-08-16 05:14 x
おおお~っ! マレーナ様にそんな風にドラマチックに会えて、大感激ですね。これだけ仲良くなればもう着物はまったく不要ですが、せっかく持ってらしたのに残念でしたね。
懐かしいベートーベンホテルの窓からの眺めもありがとうございます。オペラの感想も楽しみにしてます。
Commented by レイネ at 2012-08-16 06:16 x
ロンドンの椿姫さま、2年前に姫とdognorahさんと一緒に出待ちしていたわたし達の印象(着物二人)が強烈に残っているとみえて、その日のつぶやきにも「今晩、日本から三人の女性ファンが来る予定!」と書かれていたんですよ。その日の劇場内には、20人は日本人客がいましたが、出待ちした日本人はわたしだけだったので、スエーデンのファン・クラブの人たちから、あと二人の日本人は?と聞かれたほど。一人だったので、スエーデン人グループと終演後カフェに行っておしゃべりしました。
Commented by アルチーナ at 2012-08-16 11:46 x
フライト・トラブルは大変でしたが、マレーナ様と公演前と後に会うことが出来たのは良かったですね!
おお、それにしても角を曲がるマレーナ様を呼び止めるなんて素晴らしい!それに呟かれるなんて!!
オペラのレポも楽しみにしております♪
Commented by galahad at 2012-08-16 12:48 x
なんてステキ!苦難を乗り越えたレイネさんにプレゼントでしょうか。
私は今トラブル続きで、なかなかゆっくり皆さんのブログも拝見できていないんですが、レイネさんのお話は楽しみにしてます。舞台の内容も待ち遠しいです。
Commented by レイネ at 2012-08-16 15:58 x
アルチーナさま、その日のトラブルの埋め合わせかのように、午後5時以降夜更けまでマレーナ様尽くしで満腹・満足となったウィーン遠征でした。
大体5時半ごろにホテルに戻って着付けを始めるんですが、丁度その頃マレーナ様の発声練習が聴こえてくるので、きっと楽屋入りは5時なんだわ、と思って目を向けた先に当人らしき人が歩いていた、という偶然!荷物持ってたら追いつけなかったろうし、その時間その場所にはいなかったと思うと、災い転じて福と化した典型でした。
Commented by レイネ at 2012-08-16 16:03 x
galahadさま、はい、神様からのお計らいに違いありません。
まあ、そちらはトラブル続きなんですか。。。夏休みの予定もお流れになったとか。苦難の先にはきっといいことが待っている、と具体的に心に描いてみてください。そしてブログに夢や希望を書く。そうすると実現する率が高いんですよ!
Commented by Vermeer at 2012-08-16 19:07 x
移動日当日のオペラ鑑賞にはどうしてもリスクが伴う⇒
計画を立てる時は予想しなくても、もしかしたら、と考えておくべきことなのですね。今年初めてグラインドボーン遠征した時も、面倒でしたがタキシード一式を手荷物にしました(汗)。入れて貰えないと困るので…。

ロッシーニの星型プレート⇒
あれ?“Gioacchino”でなくて正しくは“Gioachino”では?

「気にしないで。まだ時間はあるんだから」⇒
温かい人柄が伝わる言葉ですね。

観賞記早く拝見したいです。
Commented by レイネ at 2012-08-16 19:41 x
Vermeerさま、グラインドボーンのドレスコードは、タキシード指定なんですか?それは大層な。
今回の遠征は一泊だけなので機内持ち込みにできるサイズのキャリーバッグでした。チェックインの時、少し悩んだんですが、預けてしまいました。結局、着物を着るチャンスは逃しましたが、手荷物持ってたら小回りが利かなくて、別便に滑り込みセーフやマレーナ様との邂逅はなかったかもしれません。。。

星型プレートは、誰の管轄なんでしょう。Vermeerさんの観察眼は鋭いですね。プログラム冊子のスペリングでは、Gioachinoになってる。

マレーナ様はいつでもファンを大切にしてくれるので、追っかけ甲斐があるんです。出待ちしていたファンたちの年齢層や住んでる場所も幅広く、その人たちとの交流には感慨深いものが。
Commented by Vermeer at 2012-08-16 21:33 x
タキシード指定⇒
はい、そうなんです。1人だけスコットランドのキルト(タータン柄のスカート)をお召しになっている方を見掛けましたが、男性はほぼ99.9%タキシードでした。

御一緒した3人の女性は着物で参加、たくさんの方から「素晴らしい!」連呼されて鼻高々でした。

偶然会場に観客として居合わせたダニエル・ドゥ・ニースに、あわてて購入したCDにサインを貰おうと待っていたところ、連れの着物姿連が僕の後ろにやって来て、ドゥ・ニースの視線が吸いつけられました。まるで池の中に餌を垂らして寄ってくる鯉(笑)。「サインお願いしてよいですか?」「もちろん!」「一緒に写真撮ってよいですか?」「喜んで!」『おべべ』の魔法の威力に平伏さないではいられない瞬間でありました。

あちらの女性は着物に非常に興味があるのですね。1人じゃなくて、3人という面積のインパクトも大きかったと思いますが…。
Commented by レイネ at 2012-08-16 22:45 x
Vermeerさま、キルトの方に倣って、紋付袴姿ってのはいかがでしょうか?99.9%がタキシードの中では、きっと目立ちますよ。でも、かえって荷物になり厄介かも。。
オペラ観劇での着物の威力は絶大で、特に複数揃うとインパクトがあります。しかも、中年以上の日本人女性の体型にはこれほどしっくりくるものはありません。黒のロング・ドレスが似合ってて素敵と思わせるのは難しいのです。今回は、ツアー客の中にも着物姿の方は見かけず残念でした。

>偶然会場に観客として居合わせたダニエル・ドゥ・ニース
ダニエルちゃんは、グラインドボーンのオーナー御曹司の若奥様で自宅にいるみたいなものでしょうから、偶然というより日常感覚でいらしてたのかもしれません。
う~ん、でもわざわざダニエルちゃんのCDお求めになったの?(女性オペラ・ファンにはウケのよくない彼女なんです)
Commented by Vermeer at 2012-08-17 00:36 x
紋付袴姿ってのはいかが⇒
行く前から同行の皆から勧められていました。ドゥ・ニース&同行3女性との写真を撮る際、それもありだったかな、と一瞬思いました。が、しかし誰も袴の着付けを知らない!のです。

わざわざダニエルちゃんのCD⇒
所謂“サイン乞食”の性分で、日本に戻れば既に所有しているのに、“重ね買い”してしまいました。

オーナー御曹司の若奥様⇒
前日宿泊した、天国的に美しいイングリッシュ・ガーデンのあるB&Bのオーナーと、偶然話題にしていました。ウィリアム・クリスティーも泊まりに来たことがあるとの由でした。

ウケのよくない彼女⇒
galahadさんからよく伺ってます。個人的には、克服すべき声楽的な未熟さを認めつつも、出世作となった『ジューリオ・チェーザレ』での鮮やかな印象には抗えません。
Commented by レイネ at 2012-08-17 16:15 x
Vermeerさま、袴って、そういえば普段なかなか着用の機会はありませんから着付けられる人はあまりいないかも。でも、そんなに難しいとも思われないし慣れの問題でしょうから、密かに練習して次回のグラインドボーンに備えておかれては。

ダニエルちゃんのクレオパトラは、ミュートにするとキュートで魅力的です、ダンスが上手いから。彼女の生の歌声は聴きたくないわ。でも、マレーナ様やサラ様との共演の機会がやたらと多い彼女なんです。来年の11月『アグリッピーナ』@バルセロナでも多分3人が競演します。。。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
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音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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