Johannette Zomer, Bart Schneemann & Musica Amphion

久しぶりのヨハネット・ゾマーである。12月にオランダ・バッハ協会のロ短調ミサ曲を聴いてるが
今回は、オーボエのバート・シュニーマンとのコラボCDLove & Madnessとほぼ同じ内容の
オール・ヘンデル・コンサートで、彼女の歌をメインに聴きに行った。

c0188818_1811217.jpgLove & Madness
2012年2月26日@ Muziekgebouw Einthoven
Johannette Zomer, Bart Schneemann & Musica Amphion

Georg Friedrich Handel (1685 - 1759)

Intoroduzione (Delirio amoroso)
Che intendo? (Berenice)
Moriro! (Teseo)
Orgelconcert in Bes opus 4 nr. 2
- A tempo rodinario, e staccato
- Allegro
- Adagio e staccato
- Allegro ma non presto
Scherza infida (Ariodante)
Lascia ch'io pianga (Rinaldo)
Hoboconcert in g
- Grave - Allegro - Sarabande - Allegro
Ah spietato (Silete venti)
Alleluia

エイントホーフェンのミュージックヘボウ小ホールでの日曜正午からのコンサート。休憩なしの
コンパクトだが変化に富んだ内容のプログラムで、料金は17ユーロ50セント(飲み物付き)。
相変わらず、このホールでのコンサートはコスト・パフォーマンスが非常によろしい。

座席は二列目左寄りだったので、歌手が目の前。
オケは、弦楽器がそれぞれ1人ずつに、ファゴット、オーボエ、オルガンおよびチェンバロ。
オルガン兼チェンバロ奏者が合図程度の指揮をしているが、コンマスもかなり采配を振るう。
古楽アンサンブルのムジカ・アンフィオンは、18世紀オケやオランダ・バッハ協会のメンバーで構成
されているので、ヴァイオリンの山縣さんなど、なんだかしょっちゅうお目にかかっている気がする。

残念だったのは、テオルボのフレッド・ヤーコブスが病気のためキャンセルしたことだ。
急なことだったらしく、代理のテオルボなしの演奏になった。
先週のPJコンサートでは、テオルボの色がよく響いて、PJの歌との絡みが印象に残っている。
今回はバロック・オーボエが活躍するコンサートであり、チェロとコントラバスとチェンバロもいるが
いかにも古楽というイメージそのもののテオルボの渋い響きで通奏低音を〆てもらいたかった。

そして、第一ヴァイオリンの演奏が控え気味すぎるように感じられ、ちょっと物足りなかった。
オーボエを立てようというつもりでもなかろうに、アリアの前奏部で特にそう感じられたので、不思議だ。
全体的には、こういう小編成のオケにもかかわらず、小ホールだと響きすぎるきらいがあるほどだった。
特に歌手の声がびんびんに響く。ショル兄も大ホールでマイク使用するよりも、こちらの小ホール
で生の声で歌ったらよかったのに、と今でも恨めしい。

ヨハネット・ゾマーの声は、わたしにはもうかなりおなじみであるが、このコンサートでの印象は、
CDそのままという感じだった。高音をかなり張り上げ気味なのである。場面によっては、もっと
ささやくような声で歌ってもいいのではないかと思えた。特に『ベレニーチェ』よりChe intendeが
CDでは高音張り上げの歌唱なので、生ではもっとニュアンスが聴き取れるかとと期待していたら、
ステージでも同様なのだった。ソロ歌手1人だけなんだから他の歌手と張り合う必要はないし、
オケも小編成であり、ホールはよく響くんだから、弱音の美しさも大切にしてもらいたかった。
このCDは、だから、音量を絞って聴いているが、実演ではそれが不可能なのが辛い。
好きな声のご贔屓歌手だけに、その辺が非常に残念である。

c0188818_1910865.jpg

            オーボエのバート・シュニーマンとツーショット。
            「日本人?芸者さん?日本も芸者も好き」と
            とんでもないノリのシュニーマンであった。。。

それに対して、CDと音のイメージが全く異なるのがバート・シュニーマンによるバロック・オーボエ
であった。
まあ、音色も音の出し方によってこうも色彩鮮やかに変化するものかと、びっくりするほど。
生き生き溌剌としてトランペットのように響いたり、ちょっと暗い深みのあるホルンのごとく聴こえたり
するのだった。
地味な楽器というイメージが覆され、素晴らしく多彩な音色を引き出すことのできる楽器なのだと
知った。

 ↓ は、コンサートと同じメンバーによる、ヘンデルの『オーボエ協奏曲 ト短調』



シュニーマンは、ロッテルダム・フィルやオランダ管楽アンサンブル(コンヘボでのニューイヤー・
コンサートでおなじみ)ではモダン・オーボエ担当だが、古楽ではバロック・オーボエの奏者である。
曲間にバロック・オーボエの説明をしてくれた。
使っている楽器は17世紀のバロック・オーボエのレプリカであること。ムジカ・アンフィオンの弦楽器
奏者は皆オリジナルの古楽器(弓も)を用いて演奏しているが、木管楽器であるオーボエの場合は
弦楽器と異なり、古いものは木が乾燥しすぎたり逆に湿気のため腐食したりして現在でも使える状態
で残っているものはほとんどない、という。そして、17世紀のオーボエの構造はモダン楽器と比べると
シンプルで、キーも3つしかない。キーは小指が届かない穴を補助するためのもので、モダン・オー
ボエには16個あるが当時は2つもしくは3つ。一つは左側に付いていて、左利きの人用のキーである、等々。

オール・ヘンデル・プログラムなのは、ヘンデルの時代のコンサートやオペラの雰囲気を再現したい
ため、とのこと。当時は、夕方から夜更けまでずっとヘンデルの音楽演奏が行われ、器楽曲の時は、
おしゃべりしたりしてた聴衆も、途中から作曲自身が指揮に登場したりすると、身を乗り出したりした、
らしい。
今回のプログラムは、作曲家の出演こそないが、オペラ・アリア(最初の2曲はオーボエが活躍)
にオルガン協奏曲、オーボエ協奏曲などの器楽曲を交えてあり、変化がある。
隣に座っていた老婦人は「わたし、ヘンデル苦手なのよ。『水上の音楽』くらいしか知らないけど」
などと言っていたが、オペラ・アリアには感銘を受けた様子で、特に『わたしを泣かせてください』は
よかった~とヘンデル新発見の様子でご同慶。

Scherza infidaと続けて、ゾマーによって歌われる名作アリアを聴くのは、楽しかった。
来月は、ここの大ホールでディドナート他豪華キャストによる『アリオダンテ』コンサート形式が
行われるから、今から楽しみにしている。

アンコールは、「もうヘンデルは十分堪能されたでしょうから」ということで、スキャットが入った
ピアソラの曲。多分、多才で多ジャンルの演奏活動を行うシュニーマンの趣味だろう。

公演後のCD販売兼サイン会は盛況だった。PJのサイン会とは比べようもないが、丁度2年前の
閑古鳥が鳴くようなCD即売とは大違い。ニューイヤー・コンサートのおかげかシュニーマンの人気が
高かった。

c0188818_19544096.jpg

              優しくにこやかなゾマーとのツーショット。
              泥藍大島に、パステルカラーの綴れ帯。
              オレンジの帯揚げと珊瑚色の帯締めは
              着物に入っている模様の色に合わせた。
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by didoregina | 2012-02-28 12:03 | コンサート | Comments(2)
Commented by Mev at 2012-02-29 01:21 x
わーっいいなあ!素敵でしたでしょうねー。
そうそう、バロックオーボエは私もショルのコンサートで初めて聴いて、感動しました。その優しい響きは格別ですよね。
実は来月末のゾマーのコンセルトヘボウでのスタバト・マーテルは売り切れなのですが、キャンセル待ちの整理券もらって並ぼうかと思っています。
Commented by レイネ at 2012-02-29 02:48 x
Mevさま、バロック・オーボエの生の多彩な音色に開眼しました!小編成のオケなのでオーボエの音がよく聴こえて、色んなテクニックで様々なイメージが作れるんだなあ、と。素朴で優しいというイメージから脱却するほど、トランペット風やホルン風の男性的な音色に驚きました。

3月25日のアムスってコンヘボで昼も夜もいいコンサートがあるのよね。キャンセル待ちしようかなんて、気合入ってますね。わたしは『デイダミア』@歌劇場のマチネに行きま~す。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
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