Trio Luscinia

サラ様ディド@コンセルトヘボウの代替案は、いくつかあった。
手近なところで、ヘーレンの市民会館のネゼ=セガン指揮ロッテルダム・フィルによるベートーベン
交響曲4番と5番(!)もしくは、リンブリヒトの小さな教会での古楽コンサート。
9割方、後者に行こうと決めていた。ところが、先週また、Bravaから抽選で5名様(x2枚)
ヘーレンのコンサートにご招待とのお知らせが来た。さすがに3連勝はありえないだろう、と思いつつ、
ヘーレンの市民会館まで首都圏から来る人はいないから、応募者は少ないはず、勝率は高いかも、
などと頭の片隅で都合のいいことを考えていたのだった。しかしやっぱり、当選の通知は来なかった。
抽選に外れるのを待ってから、リンブリヒトの古楽コンサート・チケットを前日に予約したのだった。
こちらはマイナーなコンサートだから、前日でも余裕でチケットが取れた。

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     会場はリンブリヒトの聖サルフィウス教会

トリオ・ルスチニアという、女の子3人の古楽声楽トリオである。
メンバーは、ステファニー・トゥルー(ソプラノ)、ミカエラ・リーナー(メゾ・ソプラノ)に
コンスタンツ・リー(フォルテピアノ)で、ハーグの王立音楽院在学中に知り合った仲間だ。

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      左から、ステファニー、コンスタンツ、ミカエラのガールズ・トリオ

ステファニー・トゥルーといえば、ブリリアントから出ているヘンデルのイタリア語カンタータ全集で
ソプラノを担当している新進売り出し中の歌手である。彼女のナマの声を直に聴けるチャンスだ、
と彼女目当てで出かけた。

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De Schumanns en het Nederlandse hof
Trio Luscinia @ St. Salviuskerkje in Limbricht  2011年2月6日

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Robert Schumann (1810 - 1856)
Erste Begegnung op.74 nr.1
Libesgram op.74 nr.3

Clara Schumann (1819 - 1896)
Am Strande
Robert Schumann
Aufrage op.77. no.5
Clara Schumann
Sie liebten sich beide op.13 nr.5
Liebst du um Schonheit op.12 nr.4

Magdalena Graver (1829 - na 1868)
Lied ohne Worte nr.1

Robert Schumann
Der Nussbaum op.25 nr.3
Mondnacht op.39 nr.5
Botschaft op.74 nr.8

Magdalena Graver
Lied ohne Worte nr.2

Robert Schumann
Sommerruh
Das Gluck op.79

pauze

Robert Schumann
Mailied op.103 nr.1
Fruhlingslied op.103 nr.2
Herbstlied op.43 nr.2

Clara Schumann
Die stille Lotusblume op.13 nr.6
Er ist gekommen op.12 nr.2
Robert Schumann
Resignation op.83 nr.1

Magdalena Graver
Lied ohne Worte nr.3

Clara Schumann
Ich stand in dunklen Traumen op.13 nr.1
Warum silst du and're fragen op.12 nr.11
Robert Schumann
Widmung op.25 nr.1

Robert Schumann
Bedeckt mich mit Blumen op.138 nr.4 (uit Spanische Liebeslieder, 1849)
An den Abendstem op.103 nr.4

テーマを『シューマン夫妻とオランダ宮廷』として、1852年にスヘヴェニンゲンに病気療養のため
逗留および1853年のオランダ演奏ツアーの頃に作られた歌曲、そして、当時宮廷作曲家だったが、
今では全く忘れ去られてしまった女流作曲家ヨハナ・マクダレーナ・グレーヴァーのピアノ曲を組み合
わせたものだ。

デュエット曲、メゾまたはソプラノのソロ曲、ピアノ曲を順繰りに演奏した。
デュエットでは、どうも二人の声質が違いすぎるため、ハモるとさほどきれいには聞こえないので、
ソロの方が楽しかった。

メゾ歌手はオーストリア人で、ドイツ語のアクセントがないきれいなオランダ語で上記のプログラム
解説をしてくれた。
彼女はちょっとジュリエット・ビノシュに似たルックスだが、やせてるためか声にまろやかさがなくて、
ふくよかな女性らしらも中性っぽさも感じられず、ぎすぎすして色気がなく、あまり好みの声では
なかった。今後はもう少し少年っぽいイメージを押し出していったらどうだろうか。

ソプラノのステファニーちゃんは、オフィシャル・サイトの写真では、なかなか清楚な美少女っぽい
感じのルックスだが、実物はヨハネット・ゾマーによく似ている。姉妹だといっても通じるくらいだ。
そして、声質も歌い方もまた、ゾマーに似ているのだった。だから、はっきり言って私好みである。
経験と年が不足しているから、ドラマチックな表現という点では濃さは足りないし、ある程度の年に
ならないと出せないような甘さも控えめだ。年相応に優等生的な歌唱であるが、誰からも好感を
持たれるような得な声である。
カナダ人の彼女は、英語の話し声は低めなのに、ノン・ヴィブラートの歌唱では清らかな高音が
さわやかだ。これからの活躍に期待。



           2009年モデナの『アグリッピーナ』での
           ポッペア役だったステファニーちゃん


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           フォルテピアノは1849年のエラール製。
           きんきんとしたところやきらびやかさはなく、
           馥郁たる香りが漂うかのような響き。
           木材の色も、脚の形もペダルもエレガント。
           シューマン夫妻がオランダ訪問した際、王宮、
           離宮、王立劇場にあった3台のフォルテピアノと  
           同タイプのもの。当時の雰囲気をこれで
           偲んでほしい、とのことで、Edwin Beunkの
           コレクションを使用。

コンスタンツちゃんは、かぶりつき正面席のわたしに向かって退場の際、目礼して行った。
終演後聞いてみると、客席に東洋人を見つけてうれしかったとのこと。香港出身だが日本語を
勉強したので会話は結構上手。
彼女のフォルテピアノ演奏が、本日のめっけものだった。楽器自体が素晴らしいものだったのだが、
歌の伴奏にも感情の込め方に抑制が効いていて、流麗でいてデリケート。
ソロ演奏曲は、上記エラールのフォルテピアノの年代と型を王立図書館で探しているときに見つけた
グレーヴァーの手書き楽譜を今回のツアーでお披露目発表。古楽演奏家は研究家の草鞋も履くと
いう好例。いかにも『無言歌』と呼ぶべきタイプのピアノ曲で、みずみずしい書法の佳曲だった。

今日はツアー最終公演だったためか、緊張の解けた終演後の3人はきゃぴきゃぴとはしゃいで、
ガールズ・トークがかわいらしかった。
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by didoregina | 2011-02-06 21:33 | コンサート | Comments(4)
Commented by アルチーナ at 2011-02-07 10:31 x
おお!ステファニーちゃん♪
良かったですか!ブリリアントの「アチ、ガラテアとポリフェーモ」では
それほど表現力とかはあまり気にならず、美声だな~と心地よく聴いていましたけれど、貼り付けていただいた動画だとやはりちょっと物足りないかもしれませんね・・本当、今後に期待!ですね。

この教会は寒く無かったのですか?
Commented by レイネ at 2011-02-07 16:21 x
アルチーナさま、この教会での古楽コンサートは、なかなかわたしたち好みなんです。1昨年は、ヌリアちゃんも来たし。(丁度、里帰りかヴァカンスにぶつかった。。。)
来月は、トリオ・アンタイ(アンタイ3兄弟)で、再来月はレオンハルト爺!しかし、ちょうどまた里帰りにぶつかる。。。。

この教会も寒いんですが、ファーの襟巻きとロングのダウン・コートにロング・ブーツと武装して、しかも気温が10度と暖かかったので大丈夫でした。中も外も温度はほとんど変わらないので。。。教会建築も天井画も非常に変わったレアなもので歴史的価値があることを、帰宅後に知りました。来月行ったら、よく見てきます。
Commented by Mev at 2011-02-08 23:21 x
会場の教会すてきですね。 古楽器アンサンブルの演奏にはぴったりですね。  フォルテピアノを初めて聴いたとき、なんだかおもちゃのピアノみたいだ、、、とちょびっとがっかりしたのですが、こんな重厚な名器ならきっといい音なんでしょうね。 新進ソプラノの発掘はレイネさまらしい!
Commented by レイネ at 2011-02-08 23:57 x
Mevさま、この教会は、村はずれのお城の隣というロケーションがとってもよくて、建物もインテリアも興味深いものでした。音響もマル。
フォルテピアノは、年代や製作者によって音色が様々で、ちゃちい音のものもたしかにありますね。エドウィン・ブウクさんのコレクションは、やっぱりさすがで全然違います。
2週間後は、ハッセルトでクリスチャン・ビズイデンホウトのフォルテピアノ演奏を聴くので、楽器も楽しみ。
ステファニーちゃんのナマの声が聴けてうれしかった!


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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