弁慶格子

弁慶格子というのは、大柄のギンガムチェックのことだ。
きっぱりとモダンな模様で遠めにも目立つからか、歌舞伎の衣装にもよく用いられる。
それが江戸時代の流行の源泉になったのだろう。

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         弁慶格子の大島紬の長羽織

太い縞同士の交差ということで、九鬼周造の『「いき」の構造』では、粋の度合いがあまり高くない
柄とされているが、歌舞伎では遊び人や勇みの人・荒ぶる人や艶っぽい人妻の衣装にも使われる。

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         勇同士酉道連(いさみどうしとりのみちづれ)と題がついた
         浮世絵。このワルッぽい男は、多分、蝙蝠の安だ。
         半纏と襦袢の模様が弁慶格子。

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         二枚の版画を対で買った。この美男子は多分、切られ与三郎。
         暮れの風物詩、酉の市の熊手を担いでる。熊手と綿入れ半纏に
         富の字が入ってる。お富さんのことだ。
         こちらは、いかにも市川系の顔つき。

この二枚の版画はオークションで手に入れたものだが、いろんなストーリーが語られていて
見ていて飽きない。というより、なぞや疑問のほうが浮かぶ。
描かれているのは、多分、遊び仲間の与三郎と安なんだろうと推測するが、安にはこれだと
わかる決め手がないし、与三郎は顔に傷がない。『与話情浮名横櫛』や『切られお富』とは
別に、この二人とお富が登場する芝居があったんだろうか。それとも、現在ではほとんど上演
されない場面を描いたものなのか。
与三郎の半纏の模様にも何か意味がありそうだ。
また、二人のかついでいる毛布みたいなものにも、文字の一部のような模様が見える。
識者の助言を待ちたい。
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by didoregina | 2010-12-14 09:19 | 着物 | Comments(4)
Commented by straycat at 2010-12-14 22:17 x
レイネさま

スミマセン、私は識者じゃないので、二人が担いでいるものがナンなんなのかさっぱり分かりません。
弁慶格子が「粋すぎないもの」とのことですが、それじゃ粋の度合いが高いものってなんでしょう?思いつかないな。。私にはこれも十分粋に見えますが。
オークションで購入されたとのことですが、それも凄いですね~。こういうものって、見る目がないと中々手が出ませんね。
Commented by レイネ at 2010-12-15 02:06 x
straycatさま、模様にかけた意味って、わかると納得、おもしろいです。

九鬼周造の考える「いき」の定義はかなり複雑なので、以下にごく一部を引用します。
”「縦縞のうちでは万筋、千筋のごとく細密を極めたものや、子持ち縞、やたら縞のごとく筋の大小広狭にあまり変化の多いものは、平行線としての二元性が明瞭さを欠くために「いき」の効果を十分に奏しない。「いき」であるためには、縞が適宜の荒さと単純さとを備えて、二元性が明晰に把握されることが肝要である。垂直の平行線と水平の平行線とが結合した場合は、模様として縦横縞が生じてくる。縦横縞は概して縦縞よりも横縞よりも「いき」ではない。平行線の把握が容易の度を減じたからである。縦横縞のうちでも縞の荒いいわゆる碁盤縞は「いき」の表現であり得ることができる。”

はあ~、粋ってのも、極めるのは難しいものだわ。。。

不見転ではなく、実物を見てからのオークションですから、大丈夫。版画などのグラフィックに限ってますが、数年前から美術品のオークションにハマッてるんです。
Commented by straycat at 2010-12-15 11:11 x
レイネさん

なるほど、幅広の縞で、色のコントラストの強いものが粋なんですね。あと、碁盤縞も。キーワードは二元性か。。しかしこういう粋の感覚は、お江戸のものという感じはしますね、上方のはんなりとは一線を画すような。

ところで、オークションですが、実際にオークション会場にお出かけになって、いわゆる競り落とすみたいな形式のものなんでしょうか?何だか楽しそう、もし機会があったらまた紹介してください。
私は中国や日本の鍋島なんかの古陶磁に興味があって、オランダは東インド会社の頃、そういうのをヨーロッパに盛んに輸入してましたよね。そんなのも、もしかしたらオークションにかけられるんでしょうか?掘り出し物があったりして(笑)
Commented by レイネ at 2010-12-15 16:21 x
straycatさま、同じ単語でも時代による流行り廃りや使用法の推移があるので、現代はまた別の観点から粋を語らなければならないと思いますが、九鬼周造の考察は明確で説得力があり、考えるヒントを与えてくれます。江戸と上方との相違も論じられています。

名の通ったオークション会社の競りは経験したことありませんが、地元で年に4,5回あるオークションで気に入ったものが出てくると参戦するんです。実際に会場でアンチックのブローチを競り落としたのがハマルきっかけでした。もう一回だけ実際の競り形式を体験。しかし、その後ネット・オークション形式に変わってしまいました。でも、下見会があるので、目をつけたものは実物をしっかりチェックします。
中国や日本の陶磁器は、コレクターが多いので、オークションにはよく出てくるアイテムです。見る目がないのでわたしには優劣の見分けや掘り出し物はわかりませんが。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
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