ヴェックマンとラインランドの聖ニコラス

12月5日は、聖ニコラスの日だった。オランダの子供たちにとっては、クリスマスよりも重要な
日だ。いい子にしてるとプレゼントがもらえる。
また、その夜は家族や親戚が集まってプレゼント交換をする。中身よりも重要なのは、シュープ
リーズと呼ぶ凝ったラッピング(それ自体がアート)と韻を踏んだ詩である。

子供たちが大きくなって、この日を祝わずに済むようになり、師走ストレスが大分緩和された。
プレゼントを極秘で買い込んで仕舞っておいたり、夜なべで手作りしたり、シュープリーズや詩を
作成するというのは、精神的にも金銭的にも親にとっては大変な負担である。

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ここ数年は、ドイツのラインランドに住む義弟が、聖ニコラスの日にチャリティー・パーティーを開く。
クリスマス頃毎年行っているナミビア、ジンバブエ、南アフリカなどの孤児への寄付金集めだ。
無駄なプレゼント交換をするよりも、その何分の一かでも寄付にまわしたほうがずっといい。

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     もうすでにクリスマスの飾りつけになっているテーブル。
     オランダでは、聖ニコラスの日が過ぎてからクリスマス・
     デコレーションになる。ツリーを飾るのも12月6日以降。


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     クリスマスには家にいないから、ツリーもシンプルに。

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     ブリオッシュ種で出来たパンの人形、ヴェックマン。
     小さいのでも20センチはあるから、食べ応えあり。

このパンは新顔だった。ヴェックマンというのだと教えてもらった。
本来は、聖マーティンの日(11月11日)に食べるものらしい。ローマ兵だった彼が貧しい病人に
自らのマントを切って与えた故事を偲んで食べる(?)ヴェックマンはパイプ(司教の杖が原型
らしい)を手に持っているのが正式。
ドイツでもラインランドのこの辺りでは、オランダ・ベルギー同様に聖ニコラスの日も祝うので、12月にも
このヴェックマンが出回るのだという。

キリスト教の聖人でも、人気の度合いが国や地方によって様々だ。オランダでは、聖マーティンは
ほとんど知られていず、提灯行列やハロウィーンみたいに戸別にお菓子を貰いに来たりしない。
地方による新教と旧教の勢力分布の違いもあるのだろうが、カトリックの強いオランダ南部では、聖
マーティンの日は祝わない。マーティンという名前が、ルターを連想させるからだろうか。
子供たちがシュタイナー学校(どちらかというと新教系)に行っていたときは、かなり大掛かりというか
原始的に祝った覚えがある。子供が現在通う学校はカトリックが母体で、その名もセント・マーテンと
いうのに、まったくお祝いをしないというのもおかしい。
オランダ南部はラインランドとは文化・習俗・言語的に近いものをしばしば感じる。同じ国内でも新教・
旧教の違いによって、文化のギャップが存在するのと比べて興味深い。



        レオンハルト翁の弾くチェンバロで聴くヴェックマン

ドイツにはマティアス・ヴェックマン(1616-1674)というバロックの作曲家がいた。
シュッツの弟子で、彼からイタリアのガブリエッリやモンテヴェルディの様式も習った。また、スウェー
リンクの影響も受けたらしい。そして、フローベルガーとは終生の友だった。だから、これらの人々の
影響の感じられる鍵盤曲や声楽曲を作曲している。
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by didoregina | 2010-12-06 21:11 | バロック | Comments(4)
Commented by sarahoctavian at 2010-12-07 16:16 x
オランダ南部とドイツのラインラント地方の文化がクロスオーバーしている様子、とても興味深いです。それにオランダの聖ニコラウスの習慣もステキ。子供が小さい時の思い出って原体験。我が家のティーンエイジャーも今は一時休憩してますが(笑)いつかまた復活すると期待して、年中行事の慣わしを細々と辛うじて引きずってる私です・・・。
シュタイナー幼稚園や学校低学年あたりの、本来の意味に戻ったお祝いの仕方が好きでした。心温まる静かな雰囲気。聖ミヒャエルや夏至のヨハネスの火も重要なお祭りですよね。ちなみに息子の学校の冬の学園祭は厳密にはアドヴェントの前に催されるのでマルティン祭という名で、最後にランタン行列をするの。おそらく小学部の生徒たちが殆どでしょうけど。
Commented by レイネ at 2010-12-07 17:00 x
sarahoctavianさま、子供の学校で年中行事を肩代わりしてやってもらってたので、我が家では全然習慣として残っていません。おもしろいのは、子供たちの小学校では、市立で特定の宗教に偏らないということを前面に押し出してたので、クリスマスは祝わないということ。聖ニコラスやカーニヴァルは大々的に祝っていたのに。(これらはもう、宗教とは関係ないってこと?。。)だから、聖ニコラスの歌(これがまたすごく多い)やカーニヴァルの歌などを門前の小僧である母親も覚えてしまって、今でもかなり歌えます。。。
シュタイナーから市立に移って、なんか寂しい思いをしたのは、やたらと沢山あった(キリスト教の)年中行事がいっぺんになくなったからでした。
Commented by Mev at 2010-12-07 19:33 x
少なくともオランダ北部ではシント・マールテンは超有名人でしたョ。毎年11月11日には「エルフノベンヴァ~」と歌をうたってランピョン下げてお菓子をせびってまわりましたよ~。 シンタ・クラースはもちろんそれよりも大騒ぎ。今でも歌をたくさん覚えてます。
Commented by レイネ at 2010-12-07 23:52 x
Mevさま、やっぱり、聖マーティン一人とってみても、オランダ国内でも北部と南部とでは知名度がかなり異なりますね。プロテスタントかカトリックかの違いによるのでしょうが。
今週末から、キリスト生誕にちなんだコンサートが目白押し!行きたいのに全部行くと連荘になってしまう。。。。チケット買ってあるのは3つですが、あと2つ行こうか行くまいか悩んでます。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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