モネ&DNO共同プロ『ジュリオ・チェザーレ』キャストの謎

古い話を蒸し返して申し訳ない。
しかし、昨日TVで見たザルツブルク2006年の『イドメネオ』の舞台造形が、2008年にモネで
鑑賞した『ジュリオ・チェザーレ』のによく似ていたので、嫌でも思い出したのだ。どちらも演出・
舞台装置・衣装・照明の担当は、ウルセルとカール・エルンストのヘルマン夫妻だ。
嫌でも、というのは、ミヤ様キャンセル事件が心の傷として残っているからだ。

c0188818_17315083.jpg


アムステルダムでのキャストはDNOのアーカイブによると、以下の通り。

muzikale leiding René Jacobs
regie Ursel Herrmann Karl-Ernst Herrmann
decor / kostuums / licht Karl-Ernst Herrmann
dramaturgie   Klaus Bertisch

Giulio Cesare   Lawrence Zazzo 16 17 19 22 23 feb
          Sarah Connolly 20 feb
Curio        Lionel Lhote
Cornelia      Christianne Stotijn 16 19 22 feb
          Charlotte Hellekant 17 20 23 feb
Sesto Anna Bonitatibus 16 19 22 feb
Monica Bacelli 17 20 23 feb
Cleopatra Sandrine Piau 17 20 23 feb
Rosemary Joshua 16 19 22 feb
Tolomeo Tania Kross 16 19 22 feb
Brian Asawa 17 20 23 feb
Achilla Luca Pisaroni
Nireno Dominique Visse

orkest Freiburger Barockorchester

なんと、2月20日は、サラ様がチェーザレになっているではないか!これが、実際にそうだったの
なら、サラ様はすでにオランダでタイトルロール・デビューを果たしている!いや、オランダ・デビュー
だったかもしれない。
なんと、1日だけこういうキャストだったとは、意表を突いている。。。。
しかし、このアーカイブは実際当日のキャストを反映しているのだろうか、という疑問も湧いた。
というのは、DNOのサイトは統一の取れた実に見やすいレイアウトで、写真を探したりするのに
便利なのだが、上演予告としての情報を修正せずにそのまま残しているかもしれないからだ。

そこで、このプロダクションはモネとの共同だったので、モネのアーカイブも調べてみた。
ここのアーカイブは非常に見つけにくいのだが、作品、上演年、歌手などから調べることが出来、
上演日時毎に詳しいキャスト情報が載っている。
それによると、2月20日のアムステルダムでのチェーザレは、ミヤ様になっている。。。。
それだけでなく、2月17日と23日もクレジットはミヤ様で、DNOの情報と食い違っているではないか。

このプロダクションは、ブリュッセルとアムステルダムで1ヶ月続けてしかも一日おきくらい上演された。
それで、キャストはCTヴァージョンとアルト・ヴァージョンに分けられている。ややこしいのは、それが、
アムスとブリュッセルでは微妙に異なるのだ。
モネではCTヴァージョンの場合、ザゾのチェーザレ、ダニエルちゃんのクレオパトラ
タニア・クロスのトロメオ、ストテインのコルネリア、ボニタティブスのセスト
そして、アルト・ヴァージョンでは、ミヤ様のチェーザレ、ピオーのクレオパトラ、ブライアン・アサワの
トロメオ、ヘレカントのコルネリア、バチェッリのセストという配役だ。

c0188818_18511031.jpg


それが、モネのアーカイブでは単純化されて、アムスのキャストもモネと同じだったことになっていて、
一日おきにCTヴァージョンとアルト・ヴァージョンでの上演となっている。
これは、事実を反映していない。
ここで気になるのは、全てのアルト・ヴァージョン日程をミヤ様がこなしたかのような、これまた
事実とは異なる記載だ。彼女は1月公演は何回か務めたが、その後は降板したはずだ。
それを証明するのは、1月29日付けオランダのフォルクスクラント紙の批評記事だ。記者は、
「アンドロギュノスのようなマリアーナ・ミヤノヴィッチによるチェーザレ」と書いている。そして、
わたしは、その後、アムステルダム公演が近づいた頃、ミヤ様降板のことが書かれている記事を
NRC紙から切り抜いた。また、同紙には今回アムスではダニエルちゃんは出演しないと明記して
あったと思う。
この切抜き、探せば出てくるはずだ。

ところが、モネのアーカイブには、もう一つ衝撃の事実が隠されていたのだ。
ミヤ様は、お元気だったら、かなりの回数をこなす予定だったのだが、2月7日のキャストだけは、
チェーザレはHalew Hadarとはっきり記載されている!その日こそ、わたしがモネに行った日である。
えええ~、この日は当初からミヤ様が出ないと決まっていたのか?そんなはずはない、それだったら
別の日のチケットを買っているはずだが。。。ううむ、数年後に知ったこの事実は重い。
急に代役になったにしては、ミヤさまとは対照的な体型のこの無名女性歌手(ググッてもまるでヒット
しないから、その後全く活躍していないらしい、、、)のコスチュームは、ぴったり合っていたから、
きっと彼女用に最初から誂えてあったに違いない。なんたること。

さらに、もっと驚愕したのは、「1月26日は、セスト役は、演出助手のロジェ・ハルトマンが演じ、
歌はオーケストラ・ボックスからマレーナ・エルンマンが歌う予定」と書いてあることだ。
アーカイブにしては、未来形で書かれているので、実際そうだったのどうかかわからないという点が
弱いが、予定はそうだったのだ。
未来形というのが、このアーカイブがアップ・デイトされてない証明にもなるかもしれない。だから、
実際のキャストはアムステルダムもブリュッセルもどうだったんだろう、という疑問は疑問として
残ってしまうのである。

c0188818_1852390.jpg


このプロダクションは、2001年にもアムステルダムで上演されている。
その時のキャストがまた凄い。
オケは、ミンコフスキー指揮レ・ミュジシャン・ド・ルーブル
チェーザレは日替わりで、デビッド・ダニエルス、ナタリー・シュトゥッツマン、ミヤ様の3人から選べる。
セストは、なんとコジェナーとジョイス・ディドナートのダブル・キャスト。
そして、クレオパトラは、クリスティーネ・シェーファーとダニエルちゃんのダブル・キャストである。
ダニエルちゃんのクレオパトラは、伊達ではない、年季の入ったものなのだなあ、と見直した。
[PR]
by didoregina | 2010-12-01 10:47 | オペラ実演 | Comments(10)
Commented by sarahoctavian at 2010-12-01 21:40 x
過ぎてしまったこととはいえ何と複雑な・・・もし最初からミヤさまが出ないと決まっていたとしたら???腑に落ちませんね。しかし、こうしてアーカイブをチェックして意外な事実をキャッチしたりできるのもネットのお陰。
とにかくここに登場するお名前は豪華絢爛・組み合わせも様々で、読んだだけでも興奮しちゃいます。デニース嬢のクレオパトラ歴はグラインドボーンがきっかけだとずっと思っていたのですが、そうそう彼女ってティーンの頃から歌ってた?(爆)ってくらい長いみたいね。Youtubeにアップされてるブレーメン音楽祭(2002年)の顔ぶれを見よ:
Cesare - Marijana Mijanovic
Cleopatra - Danielle de Niese
Sesto - Sarah Connolly
Cornelia - Marie Nicole Lemieux
Tolomeo - Flavio Oliver
Achilla - Franck Leguerinel
Nireno - Dominique Visse
Curio - Kevin Greenlaw
同じ舞台にミヤ様とサラ様とえとせとら・・・サラ様の存在をもっと早くに気づいていればよかった(涙)
Commented by レイネ at 2010-12-01 22:03 x
sarahoctavianさま、この舞台は、アムスとブリュッセルだし、キャスト配分も複雑だったのでどの日にしようか、慎重に選んでたはずなんですが。当時、仕事がめちゃくちゃ忙しくて、チケット発売日にはゲットできなかったので、いい席がリターンしてくるのを待って買いました。妙にいい席が3席並んで買えたのが、今にして思えば曲者だったかも。
そして、その前年にマレーナ様リサイタルがキャンセルになった時、モネは「必ず来年には来てもらって歌ってもらいます!」とお詫びしたのに実現しなかったじゃないか、と思ってましたが、こんなところで埋め合わせしてたの?!もっとはっきり発表してもらいたかった。。。

でも、こんなにアーカイブ記述がいい加減だったら、アーカイブの意味がない!(<-モネ)

ブレーメン2002年も凄いですねえ。。。コルネリアのルミューだって、相当若くない?
Commented by REIKO at 2010-12-02 02:50 x
演出助手が舞台で口パク?し、オケピから歌手が歌うなんて、マジなんでございましょうか!!!
びっくりしてしまいました。
もし本当に上手くシンクロしたら、それはそれで立派な芸だとは思いますが。(苦笑)
記事のキャストと、sarahoctavianさんのコメントを見て、ヴィスのニレーノが「定位置」なのに感心したり驚いたり!
Commented by レイネ at 2010-12-02 07:11 x
REIKOさま、突っ込みどころ満載というか、驚き桃の木のキャストでしょ。モネの公演では、セスト役は口パクって日が二回あります。マレーナ様ともう一人別の人で。歌手の調子が悪い日には演技だけして、口パクってのはたまにあるようですよ。わたしが見た日はバチェッリのセストで、すごく子供っぽい衣装におばさん顔が全然似合ってなくて、この人と無名のチェーザレ役だけ不満が残りました。ニレーノ役は、モネでもやっぱり、ヴィス。。。
こういうオール・スター・キャスト公演がで実現できるのも、ヘンデルの作品が素晴らしいからですね。
Commented by アルチーナ at 2010-12-02 10:11 x
う~~ん・・・
デ・ニース、本当に年季が入っているんですね・・
2月20日の公演はどうだったのでしょうね?サラ様、ピオーのチェーザレ、クレオパトラだったのかしら??
それにしても、豪華キャスト!!何回か通いたいくらいですね!
演出助手は息子演出家の息子さんかしら?演出家一家?
「イドメネオ」はノリントン指揮のでしたっけ?録画したけど結局見ず仕舞いだったのでどんな演出だったのか不明です・・

ヴィスはデュモー選手のチェーザレで脱ニレーノでしたよね?(笑)
Commented by レイネ at 2010-12-02 16:26 x
アルチーナさま、Mevさんが多分17日のアムス公演に行ってらっしゃるんですが、サラ様とのニアミス(?)惜しかった!
演出助手に演技させて口ぱくってのは、なかなかいいアイデアかも。だって、助手だから全ての演技を克明に記録していて、動きも頭に入っているはずだから。

TV放映の『イドメネオ』は、ノリントン指揮でした。舞台装置が『チェーザレ』そっくりだったので、確認のためDNOアーカイブを覗いたら、上記のような驚きの発見があったんです。

そうそう、デュモー選手チェーザレでは、ヴィスが昇格するんだったわ。
Commented by Mev at 2010-12-02 21:49 x
おお、懐かしい話です~。 え?サラ様が出たはずですって?それは知りませんでしたわ~。 いかにも、私は2月17日(日)のマチネに参りました。 ザッゾ、ピオー、アサワの日ですね。
チェーザレの記録ばかりを束ねた個人のHP(http://operabaroque.fr/HAENDEL_CESARE.htm)というのを見つけたんですが、それによると、アムスの「予定」はザッゾとミヤ様が半分ずつ演じることになっていて、サラ様の名前はありません。
なんだかその後パリの6月14日上演の際には、セストにマレーナ・エルンマンてなってました。 このときは口パクじゃなくて、マレーナ様が出たってことじゃないでしょうか。でも、マレーナ様は背が高くて少年というより青年の赴きですね。
Commented by レイネ at 2010-12-02 21:58 x
Mevさま、その個人HPのアムスの予定は、多分モネの情報を元にしているのだと思います。ミヤさまが2月に復帰したというニュースは聞きませんでしたし。NRCの切り抜き記事をアーカイブで見つけたんですが、上手くアクセスできませんでしたが、わたしの記憶に間違いがなければ。DNOに問い合わせようかしら、実際にサラ様が出演したのかどうか。
バチェッリのセストに大きな不満を持ったので、マレーナ様のセストだったらどんなによかったことか!
Commented by Mev at 2010-12-02 22:07 x
しつこくてすみません。DNOのアニュアルレポートみつけました。それによると、”De titelrol werd echter (wegens ziekte van Marijana Mijanovic) in maar liefst vijf voorstellingen gezongen door countertenor Lawrence Zazzo
in zijn indrukwekkende DNO-debuut, in één voorstelling door mezzo Sarah Connolly. Voor de rol van Cleopatra tekenden Rosemary Joshua,
respectievelijk Sandrine Piau, beiden goede
bekenden bij DNO.”(http://media.dno.nl/uploads/pdf/jaarverslag_2008.pdf)
Commented by レイネ at 2010-12-03 02:55 x
Mevさま、素晴らしい検索能力です!ありがとうございます。
他の皆様のために訳すと、「タイトルロールは(マリアーナ・ミヤノヴィッチ病気のため)5回もの公演でCTのローレンス・ザゾが歌い、鮮烈なDNOデビューを飾った。一回だけはメゾのサラ・コノリーだった。クレオパトラ役は、DNO常連のローズマリー・ジョシュアおよびサンドリーヌ・ピオーが演じた。」
ということは、DNOのアーカイブはきちんと事実を表してるってことですね。やっぱり、モネのアーカイブが、いい加減なのであった。。。
重ね重ね、ありがとうございます。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


最新のコメント

Vermeerさま、多分..
by レイネ at 01:38
トマスのソロ・コンサート..
by Vemeer at 01:25
Vermeerさま、この..
by レイネ at 20:56
詳細なレポート、楽しく拝..
by Vermeer at 18:02
ロンドンの椿姫さま、それ..
by レイネ at 17:03
大満足のマスタークラスで..
by ロンドンの椿姫 at 23:41
鍵コメさま、ヴェロニカ・..
by didoregina at 18:57
Mevrouwさま、北海..
by レイネ at 18:46
レイネ様も怒涛の更新で、..
by Mevrouw at 23:33
Mevrouwさま、サー..
by レイネ at 22:10
Mevrouwさま、夏の..
by レイネ at 22:05
新作オペラに挑むのは本当..
by Mevrouw at 20:56
クロアチア~ベネチアを自..
by Mevrouw at 20:27
Mevrouwさま、ご高..
by レイネ at 20:19
ようやく一息つける日なの..
by Mevrouw at 19:57
Mevrouwさま、癒し..
by レイネ at 16:49
このところネットからも音..
by Mevrouw at 16:37
斑猫さま、もうすでにパリ..
by レイネ at 16:57
ロンドンの椿姫さま、まさ..
by レイネ at 16:54
こんにちは CT研究会..
by 斑猫 at 00:16

以前の記事

2017年 10月
2017年 08月
2016年 11月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 06月
2015年 04月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月

タグ

最新のトラックバック

究極の愛を描いたワーグナ..
from dezire_photo &..
バッハが人類に残したメッ..
from dezire_photo &..
バッハが『ロ短調ミサ曲』..
from dezire_photo &..
ルター派のプロテスタント..
from dezire_photo &..
ダンテの『神曲』 ”地獄..
from dezire_photo &..
ポン=タヴァン派、総合主..
from dezire_photo &..
倉冨亮太さんの繊細な美し..
from dezire_photo &..
ダイナミックで刺激的な多..
from dezire_photo &..
贅沢と快楽に生きる娼婦な..
from dezire_photo &..
バッハとヘンデルの音楽性..
from dezire_photo &..

カテゴリ

全体
バロック
映画
オペラ実演
オペラ映像
オペラ コンサート形式
着物
セイリング
コンサート
美術
帽子
マレーナ・エルンマン
イエスティン・デイヴィス
クイーン
CD
20世紀の音楽
旅行
料理
彫金
ビール醸造所
ベルギー・ビール
ハイ・ティー
サイクリング
ダンス
ハイキング
バッグ
教会建築
カウンターテナー
演劇
未分類

検索

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

音楽
映画

画像一覧