Dining with stars @ De Leuf

マーストリヒトから車で20分ほどの丘の上の村ウーバックスベルクにあるレストランまで、ランチに
出かけた。
ミシュラン2つ星のDe Leufである。
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なぜ突然、豪勢なランチをしに行ったのかというと、オランダの星付きレストランのプロモーション・
ウィークで、普段よりお安くランチやディナーが食べられたからだ。(1つ星の場合、4コース
ランチが40ユーロ、5コースディナーが50ユーロ。2つ星ではそれにプラス15ユーロ)
デ・ルイフは、おととしから星が2つになったので、4コースの特別ランチは55ユーロである。

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          運転担当だったので、お酒は最初の白ワイン一杯のみ。

マーストリヒト市内にも星付きレストランは4,5軒あるのだが、どこも満席で予約不可だったので、
郊外まで足を伸ばしたのだが、星以外の楽しみもあった。
ここは、近年流行の分子料理法(モレキュレール・キュイジーヌ)を看板にしているのだ。

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          突き出しは3種。
          マテ貝に小エビとハーブを載せたもの、                            バジリコのマカロン、                                    フォアグラのムースとジュレとにんじん・ムースの3段重ね。

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         鶏のつくね風と濃い味のブイヨン。
         つくねは、中身のないたこ焼きみたいな食感。

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         前菜は、にんじんのシャーベットと
         ウナギの燻製、ホタテ、ミニ・トマト、海老などが
         南米原種の麦(名前失念)の上に乗っかってるもの。
         赤いパウダー状のものは、乾燥トマト。

ここでようやく、分子料理法らしきものが登場した。ドライド・トマトとは言っても、よくあるような半生
半乾きみたいなものとは異なり、完全に水分がなくて粉々になっている。フリーズ・ドライみたいに
したんだろうと思われる。

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         魚料理は、千切りキャベツを軽く煮たものをヒラメの切り身で
         巻き、川海老のだしソースの上に置いてシャンパンのムスリーヌ・
         ソースをかけたもの。川海老の切り身も浮いている。
         出しがしっかりした味に取れていて、ソースといっしょに魚を
         口に入れるとふんわりと軽い。

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         肉料理は、フォアグラの薄切りをかけた子牛のソテーに
         ハーブ・リゾット。パセリ・ソースと炒めたしいたけ。
         とろけるようなナマに近いフォアグラの上に乗せた
         ジャガイモのクルトンのカリカリした舌触りと、程よい
         焼き加減の子牛にリゾットという4種の取り合わせの
         食感が絶妙。

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         デザートは、カカオ70%のフレキシブル・チョコレートに、
         マンゴー・ムース、マスカルポーネ・アイスと、パイナップル・ゼリー。

フレキシブル・チョコレートというのが、柔らかくて形がフレキシブルだが、ムースともプラリネ・
クリームとも異なる不思議な食感で、作り方に疑問符がわいた。
帰宅して、家族にこのことを話すと、次男がその作り方なら知っていると言う。
材料は普通のチョコレートと同様(カカオ、砂糖、カカオ・バター)だが、それを普通に冷ますと
固まるときに結晶が形成されて堅くなるので、分子の結びつきを緩やかにさせ結晶化させないよう、
窒素などで急速に冷やすと、そういう食感になるはずだという。なるほど。
BBCでも活躍する分子料理法の雄、ヘストン・ブルメンソールの本で知ったというのだが、さすが
料理オタク。

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        食後のお茶のプチ・フールは、オレンジ・ムースとシロップと卵白の
        3段重ねにオレンジの綿菓子、ライチ・アイス、ココナツ・マシュマロ、
        胡桃のマカロン。
        どれも、ふんわりと口に入れるとすぐにとろける軽い味。

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        そして、だめ押しで、盆栽に下がるイースター・エッグみたいなのは
        マスカットにグラッパを注入したものにホワイト・チョコのコーティング。
        マスカットは少し凍っていて中のグラッパは液体状。

結局、グラッパ入りマスカットやフレキシブル・チョコレート、綿菓子およびドライ・トマトぐらいにしか、
分子料理法は使われていないようだった。
しかし、隣のテーブルに運ばれた牡蠣には、氷の代わりにドライ・アイスの煙がもうもうと立っていた。

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        ヨーロッパ中の3つ星レストランを訪問して本にして出した、
        自身もミーハーらしいシェフと。わたしは目をつぶってしまったが、
        彼はツーショット慣れしてる。
        蔦葡萄柄の泥大島に、光る薄グリーンに浮世絵写しの刺繍の
        洒落袋帯。

さすがに研究熱心なだけあって、しかも2つ星になってからの進歩が著しい料理である。
ひとつひとつの量が少ないのに、1皿に乗せる料理には見た目も食感も味付けも変化があって
楽しい。
場所が不便だから、平日のランチとなると、プロモーション・ウィークなのに、3テーブルしか
埋まっていなかった。マーストリヒト市内だったら星付きレストランなら席の取り合いで大変なのに。
そんな田舎にあって、この内容というのに感心した。





         





      
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by didoregina | 2010-11-09 22:53 | 料理 | Comments(10)
Commented by straycat at 2010-11-10 09:13 x
レイネさま

道行きコート、お色が素敵ですね~ 
最近、吉岡さんの「日本の色」を買ったので、さっそくそれで調べてみると、花田色って感じでしょうか?
藍より薄く、浅葱より濃い色って書いてあります。
生地はコート地?

分子料理法、ネットでくぐってみたら、確かに液体窒素で急速冷凍するみたいですね。言葉はなんですが、テレビでよく見る、精○ちゃんを冷凍保存するステンレスっぽい筒型の容器を思い浮かべてしまいました。そんなのがキッチンにあるのかしら?
盆栽に下がっているデザート、面白い趣向ですね。
Commented by sarahoctavian at 2010-11-10 15:58 x
分子料理の厨房ってちょっぴり化学実験室って雰囲気なのかしらね。フシギな食感のチョコや粉末ドライトマトに私も興味津々です。滋味深いドライトマトをお料理の仕上げにパパパッと振りかけて飾るなんてお洒落。
丘の上の村というロケーションといい素敵だと思います。車で20分だったら遠出するという感じでもないでしょうしね。
Commented by レイネ at 2010-11-10 16:02 x
straycatさま、この道行きコートは雨ゴートなんです。母のを直したんですが、丈が出ませんでした。地紋と光沢のある布地で、悉皆屋さんも最初絹かと思ったんですが、実は化繊。暗色の着物には合う色合いで、同布で作った傘もあります。
日本の色って、名前のつけ方がいいんですよね。いい本をお持ちですね。コートの色は、藍に近い花田色かもしれません。

このレストランでは、分子料理ワークショップというか、アトリエ見学もできるようです。化学の実験室みたいな感じかなと、思ってます。
子供たちは料理オタクで、しかも長男は化学・生物が得意なので、大学も薬学や食品化学など勧めたんですが、就職難の建築学を選びました。。。
Commented by レイネ at 2010-11-10 16:10 x
sarahoctavianさま、いつか分子料理アトリエ見学したいと思います。帰りがけにちらりと覗いた厨房は、なんだか普通っぽかったけど。
お安い特別ランチだったので、あまりいろいろと凝った調理法ではなかったのかもですが、子供たちに話して聞かせると興味津々のようでした。男性的な料理法といえますね。
高速に乗っちゃうと20分(30分乗ったらドイツのアーヘンに着いてしまう)なので、遠出ではないけど、やはりアルコールは控えなければならない、というのが最大のネックでした。
Commented by Mev at 2010-11-10 18:16 x
分子料理だなんて分野があったとは全く知りませんでした。(恥)
そんな不便な場所では、星2つでもやっていけるんでしょうか?近ごろ飲酒運転取締も厳しそうだし。日本の割烹みたいに送迎バスのサービスとかあれば流行るかも?あ、心配なんかしなくても大丈夫ですかね、きっと。
Commented by レイネ at 2010-11-11 00:14 x
Mevさま、オランダのTV料理番組は、BBCでヒットしたコンセプトをすぐにパクる(使用ライセンス買うんでしょうが)のが常道なんですが、この秋からの『マスターシェフ』や『トップ・シェフ』は、3つ星レストランの厨房を使ってシェフからの指導の下、切磋琢磨のけっこう高度な内容でハマリます。オーディション形式料理番組では、『Wie is de Chef?』がオランダのオリジナルで面白かったのですが、もう出演者が出尽くした感じ。こういうのを毎晩見てる我が家です。。。
不便な場所の高級レストランでの食事には、その近くに泊まるか、運転手付きで行くのが王道なんでしょうね。自前で払うわたしは、しかたなくワインを我慢します。
Commented by REIKO at 2010-11-11 12:08 x
分子料理!?
美味しそうな、美味しくなさそうな(笑)微妙な名前ですが・・・
でもお料理って、結構「科学」ですものね。
フレキシブル・チョコレートは、粘土みたいに?手で自由に変形できるのですね。
いじって遊んでその後食べられる・・・みたいな?
写真を見るとクニョクニョ曲げてあって、ビジュアル的に面白いデザートが色々と工夫できそうですね。

Commented by 分子料理法 at 2010-11-11 13:00 x
いいな!私も行きたいのですが、高くて!!
それにしても次男くんがすごすぎる(笑)
そういえば、最近,スーパーでもフリーズドライの果物などを売っているの見かけますが、あれも分子料理法の一種になるのかしら?
どちらかというと宇宙食という気がしないでもないですが。

着物も素敵ですね。色合いが料理とコーディネートされている!!
Commented by レイネ at 2010-11-11 16:28 x
REIKOさま、日本語にすると美味しくなさそうな字面ですね、分子料理って。。。(ついでに、持続可能、って日本語もすごく美的でなくて嫌い。細かい活字だと、接続可能、に見えてしまうし)
そうです、料理は科学です。でも、食べ物をおもちゃにすると叱られますよ。
分子料理法に基づく持続可能な食品科学で世界の食糧難を解決なんて、やりがいのありそうな研究・開発だと思うんですけどね。
Commented by レイネ at 2010-11-11 16:39 x
分子料理法さま、アルチーナさんでしょうか、以前、東京のレストラン紹介されてましたよね。でも、まだ行かれてないのね。
料理は科学だから、調理法には有史以来ずっと工夫が重ねられてるはず。大量生産の食品工業の分野だったら特に。それを高級レストランの厨房レベルで特殊器具を用いてハッピー・フューのために美味追求すると、分子料理ということになるんでしょうかね。
電子レンジだって、分子料理法じゃない?


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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