Koolhaas HouseLife

c0188818_195246.jpgTitel: Koolhaas HouseLife
Een film van: Ila Bêka & Louise Lemoine
Film Production: BêkaFilms
Duur: 58 minutes
Jaar: 2008



近所にある建築・デザイン関連ミュージアム施設NAiM / Bureau Europa で、9月から上映
していたドキュメンタリー映画を最終日に長男と見に行った。
ロッテルダム出身の現代建築の奇才、コールハースが1998年に設計した「ボルドーの家」を、
住み込みの家政婦に案内させて、文字通り内側から見せるという趣向の映画だ。

まず、ガイド役の映画監督が、マイクを使って挨拶。観光バスで現代建築ツアーの一環として
この家を見学させるという設定なのだ。コールハースに関する簡単な説明と注意事項などを述
べる。
土足厳禁!であるとか。
見学者グループは、だから、家に入ると靴を脱がされる。別にスリッパの用意があるわけでは
ないから、靴下や素足やストッキングで歩かされるのだ。もちろんサクラの見学者が映像に姿
を見せるのはこの場面だけだ。

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        ボルドーを見下ろす小高い丘の上の広大な
        敷地に立つ「ボルドーの家」

その後はずっと、スペイン人家政婦が、仕事のかたわら勝手知ったる家の内外を案内する。

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        家の中央は下から上まで本棚のライブラリーで、
        床がエレベーターのように上下する。
        本棚の掃除や整理、本を探すのにも便利だ。
        箱型でないエレベーターは、各階の床にぴったり
        はめ込まれたように停まる。

こんな風に床や壁が上下する作りになっているのは、施主が交通事故で車椅子生活を余儀なく
されているからだ。

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        一般フツーのおばさんの視点から、この家の使用感を
        しゃべらせるというのが、いい。
        働き者の彼女は、一日中家の内外の掃除に追われる。
        「他人の趣味は尊重するけど、もしもお金があったとしても、
         わたしなら、こういう家は建てないわねえ。キッチンでも    
         何でもグレーっていうのがね、お墓みたいだわ」とか、
        本音が容赦なく出る。

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        「片面はガラス張りだし、全体に宙に浮かんでるみたいな構造で、
         どこに支えがあるのか、不思議。落っこちてこないといいんだけど」

中庭に面した側は前面ほぼガラスなのと、テラスやヴェランダがオープンな作りであるため、
雨漏りがひどい。ひどいなんてものではない惨状も全て映してみせる。
コンクリートを打ち込む時にできた穴が埋まっていない部分からも水が漏れ、鉄筋が錆びる
んじゃないかと、家政婦は不安がる。

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         中庭は螺旋状に緩やかな傾斜になっている。
         外観は長方形の家の中にも、螺旋構造が隠されていて
         一筋縄ではいかないデザインだ。

上下する床や壁、鍵のないジョイスティック式開閉システムに代表される機能性と、不規則な
螺旋階段や壁に穿たれた大小の丸い窓などのお遊びデザインの組み合わせが楽しく美しい。



ため息がでるほど好きなタイプの家である。わたしだったら、お金があったらこんな家に住んで
みたい。
でも、ここで家政婦として働くのは大変だろうから、奥様として。
         


        
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by didoregina | 2010-11-01 12:03 | 映画 | Comments(6)
Commented by Mev at 2010-11-01 22:16 x
ボンド映画かなにかに出てきたようなデジャブです。。。
動画のほうは「2001年宇宙の旅」、はたまたセンスのいいCMか、という感じですね。

建築学科学生のご子息のコメントは?
Commented by レイネ at 2010-11-01 23:31 x
Mevさま、スロープ使いや芝生の感じと長方形のハコみたいな外観が、ロッテルダムのクンストハル(コールハース設計)に似てるな、と思いました。
そうなの、丸いドアがくるくる回ったり、床や壁が上下するシーンのバックにはヨハン・シュトラウスのワルツが使われているので、その浮遊感が、どうしても『2001年』の宇宙船を思い出させるんです。
そういえば、家中の電気系統がおかしくなって、機械の反乱みたいなシーンもありました!

長男が大学入学して最初のプロジェクトで設計してるアトリエ兼住居、ちょっと外見はこんな感じです。建築史の講義で「ボルドーの家」も取り上げられたようですが、ここまで細部を見せちゃう映像は貴重。
Commented by アルチーナ at 2010-11-02 10:18 x
おお!レム・コールハース!!
面白いですね。私は丸窓が開く所でジャック・タチの『ぼくの伯父さん』シリーズを思い浮かべたら、キチンと画面の中のテレビでそれが流れてましたね(笑)

これは見てみたいです。写真や図面だけでなく映像で見られるというのがいいですね。建築関係の美術館ならいつか上映するかもしれませんね!チェックしなきゃ!!

10年位前からか、日本の若手?建築家はあまり自己を主張するような建築をしなくなってきましたが、ソチラではどうなのでしょう・・

それにしても・・音楽をつけてこうやって見てみると、ある意味オペラのワンシーンのようです♥
Commented by didoregina at 2010-11-02 16:38
アルチーナさま、お待ちしてました。
こうしてコメントをいただくうちに、思い出したり気が付いたりすることが出てきて、この映画の優れていることがじわじわとわかってきます。
全体に10以上の個別シーンを集めた構成になってるんですが、たしか、丸窓の場面での副題はHulotだったと思います。(<-『ぼくの伯父さん』の名前)
ドキュメンタリーなんだけど、とぼけた味があり、古典映画へのオマージュも見られるので、フィクションというかやらせ部分もかなり多いのじゃないかと、今になっては思います。

こちらでは巨匠たちがお元気なので、若手建築家の活躍が難しいようです。これから、積極的に最新の建築関係の催し物には出向こう、と思ってます。
Commented by momoneko at 2010-11-06 11:28 x
素敵!コンセプトも造りも自由で楽しい気持ちが伝わってきますね。施主が車椅子での生活を余儀なくされた方というのも納得できます。生活を楽しむ工夫はその人の目線でなされるべきものと思うので。目下、入院中の母のため、日本の実家(高層マンションですが)に一人で滞在中。若い頃は批判的だった日本のマンションの設計が、こうして年齢を重ねてから使ってみると、その便利さに新たな発見があります。トイレや水回りの位置やスイッチ一つでお湯はりができるお風呂、床暖房、通るだけで電気がつく玄関など。美的では全くないけれど老人には優しい設計、大切ですよね。ビデオクリップのワルツ、懐かしい。NYのメトロポリタン劇場でジュリアーノ市長が飛び入り参加した蝙蝠を思い出しました。あれから世界はだいぶ変わりましたけど、名曲は演奏される場所や時が変わっても錆びない。レイネさんのブログ、そうした発見が満載です。
Commented by レイネ at 2010-11-06 19:38 x
momonekoさま、日本のお風呂みたいな自動湯ばりとか、ウォシュレットって、ヨーロッパにはありませんものね。なんでこういう便利なもの、輸出しないのかしら。
ベルギーの様々な分野のデザイナー(インテリア、建築、車、電車、その他インダストリアル分野)を取り上げる地味な番組が、火曜の夜CanvasでPlat Prefereの後にあるので見てますが、なかなか面白いですよ。

ジュリアーノ市長が飛び入り参加の『こうもり』なんて、すごいのがあったんですね。。。
マレーナ様がオルロフスキーの『こうもり』@グラインドボーンも、Bravaでよく放送してるから、一度ちゃんと見ないといけないわ。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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