マリーナとそれ以外の係留場所

2週間、クロアチアでヨットのセイリングをしてきた。
クロアチアでのヨットは、今回で4度目。最初はスロベニアのポルトロズから始めて、徐々に南下している。
何年かかけて、クロアチアの海岸線を制覇するのが目標である。
今回は再びザダール近郊のスコサンから出発したので、4年前とほぼ同様の海域でのセイリングとなり、あまり南下できていない。
しかし、そこは、数百の島々からなるコルナティ国立公園を含む、多分クロアチアで最も美しい海域だ。(ということは、もしかしたらヨーロッパで一番美しいのかも)

c0188818_6585166.jpg

     バヴァリア社製34フィートのクルーザー、ポピー号。
     ヨットの名前としては脱力系で、ちょっと変わっている。
     珍しくて面白い名前だ、と写真を撮っていく人もいた。

スコサンのマリーナは、クロアチア最大だという。そうするとヨーロッパでも有数の規模だろう。
とにかく広い。広すぎて、前回など、フロティッラ(個人でチャーターしたヨット同士で組む船団)の参加者同士が初日には会えないという事態に陥ったくらいだ。桟橋だけでも24ほどあるから、端から端まで、歩いて30分くらいかかるからだ。

観光政策として、マリン・スポーツに力を入れているクロアチアだから、マリーナのインフラ整備に関しては他の国の追随を許さない。長い海岸線および無数にある島々には、設備の整ったマリーナが沢山ある。
マリーナとは、主にヨットとモーター・ボート専用の港で、桟橋の各バースには電気と水道が繋がり、トイレやシャワーやランドリーなどのサニタリー設備、レストラン、スーパー、マリン用品店などが揃っている。
そして、サーヴィスとして係留アシスト(クロアチアのマリーナでは、ムーリングという海底に繋がれた綱による係留が主流)してくれるから、快適で少し楽だ。

c0188818_7132183.jpg

最初の寄港地ビオグラドのマリーナの夕景。

c0188818_715030.jpg

ビオグラドは、広島と姉妹都市(?)らしく、
ステンレスの巨大な折鶴のオブジェがあった。

だが、巨大なマリーナばかりに係留していると、便利だがどこも同じ様な印象で、すぐに飽きる。
もっと静かでシンプルな生活が恋しくなるのだ。人間とは、ないものねだりしたくなるものである。

ヨットのチャーターは週単位である。土曜日がチェック・インで、翌日から出航が許されるのが普通だ。チェック・イン時には、借りる側は、書類を隅から隅まで読んで、ヨットも内外全てをチェックする。自らの安全のために、生活と航海に必要なものを万全にしておかなくてはならない。
クルーザーの値段は家並みに高いから、チャーター料金も高い(ヨットの大きさと製造年と借りる時期によるが、32から34フィートのヨットで夏なら週1800から2400ユーロくらい)が、別払いの保証金も高い(34フィートで1600ユーロ)。なにか壊したり傷をつけたりしたら、返す時に差し引かれるのである。もちろん、それとは別に保険もかけておかなければならない。(大体1週間の掛け捨てで120ユーロくらい)

オランダ人とイギリス人のヨット愛好家に人気のあるフロッティラという形式は、また別の保険の意味もある。つまり、フロティッラのリーダー(アシスト代金として週120ユーロ前後払う)は、船団の安全のため、毎日気象観測に基づいて、その日のコースと目的地を決めるのである。
この気象観測に基づいたコース設定というのが難しいから、フロティッラに参加するようなものである。なにしろ、この辺りには、ボラ、ユーゴ、ミストラルという恐ろしい風の脅威があるので。

c0188818_7444024.jpg

今回は、10隻+リーダー船一隻のフロティッラ。
リーダー船には、ヨット操縦のできない初心者や個人が客として乗船できる。

フロテッィラでは、毎朝9時にパラーボと称するミーティングがある。
リーダーが、各ヨットのスキッパーにその日の気象予想およびルートと目的地をビリーフィングするのだ。
日曜日が初日で、その日の朝はスキッパー以外も全員参加して顔合わせ。そして、皆の希望を聞く。すなわち、毎日のセイリング距離と、係留したいのはマリーナかそれ以外かの希望である。
はっきりと「マリーナよりは小さな湾に投錨したい」という希望を述べた。
そして、その希望は、結果的にかなり叶えられたのだった。

ビオグラドでは、巨大マリーナに係留したが、その翌日は、愛らしい小さな村トリビュニの、何の設備もない岸に我らのフロティッラは係留したのだった。

c0188818_757777.jpg

電気も水道もトイレもない。しかし、ムーリングはあるから、強風でも安心。

c0188818_7582579.jpg

岸には、降りたらすぐにカフェがある。カフェのオヤジが係留の集金係。
なんの設備もないのに結構とられた(20ユーロくらい)。
歩いて15分くらいの場所に新しいマリーナがあるから、
立派なサニタリー設備を勝手に使わせてもらう。マリーナなら、一泊40ユーロはする。

c0188818_861669.jpg

トリビュニの村は小さな島。

c0188818_872747.jpg

島といっても、石橋で陸と結ばれている。
[PR]
by didoregina | 2010-08-02 01:11 | セイリング | Comments(4)
Commented by アルチーナ at 2010-08-02 09:48 x
お帰りなさいませ!
もしかして、前回のクルージングの記事の時に、私が気がつかなかっただけかもしれませんが、船団を組んで行くんですね!
日本も結構、ヨットハーバーはあると思うのですけれど、こういったフロッティラというシステムとか、そういったものが整備されているのかどうか良くわかりません。どうなんだろう??

クロアチアの海岸線を制覇するのにあとどのくらい掛かりそうなんでしょう?でもそういう目標って良いですよね。
Commented by sarahoctavian at 2010-08-02 18:02 x
もうそろそろお帰りかしら・・と思っておりました。ミュンヘンを通過したのはいつだったのかな?8月に入ったばかりなのに、このところやけに涼しくて調子狂っちゃいます。お写真の感じだと、クロアチアは相変わらずのカラリ晴天だったみたいでうらやましいわ。それから、バカンスの時くらい「不便」でシンプルな生活をしてみたい・・というのは私も思います。勝手といえば勝手な希望だけどね(笑)。

Commented by レイネ at 2010-08-02 21:26 x
アルチーナさま、速攻のコメントありがとうございます。
フロティッラというのは、船団ではあるけど、バイカーのツーリングみたいに船団を組んでセイリングするわけではありません。出航も入港も好きな時間でばらばらだし、海に出てしまうと広いから、夕方次の港に着くまでお互い出会うことはないのです。
フロテッィラは、人付き合いが好きなオランダ人(北のラテン族と呼ばれる)には適した形式で、オランダ人やイギリス人に好まれる海域(クロアチア、ギリシャ、トルコ)特有のものでしょう。
来年は、スピリットからドゥブロフニクまでセイリングの予定です。そうすると、ほぼクロアチアの全海岸線を北から南まで航行したことになります。
Commented by レイネ at 2010-08-02 21:34 x
sarahoctavianさま、今年は、ミュンヘン経由しなかったのです!ニュルンベルク~パッサウ~グラーツ~マリボー~ザグレブという経路でした。往きは金曜だったのに、フランクフルトからそろそろ渋滞が始まり、避けるために高速を降りたりして、グラーツ近くのホテルには夜10時過ぎに到着。翌日も、スロヴェニアとクロアチアの国境が大変な渋滞(毎度)、その後もザグレブ周辺ものろのろ。オランダからだとまるまる2日がかりです!
ヨット生活は、水上のキャンピングみたいなものだから、シンプルなのがベストです。凄いゴージャスなモーター・ボートでクルージングの人たちもいるけど、別世界。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


最新のコメント

Vermeerさま、多分..
by レイネ at 01:38
トマスのソロ・コンサート..
by Vemeer at 01:25
Vermeerさま、この..
by レイネ at 20:56
詳細なレポート、楽しく拝..
by Vermeer at 18:02
ロンドンの椿姫さま、それ..
by レイネ at 17:03
大満足のマスタークラスで..
by ロンドンの椿姫 at 23:41
鍵コメさま、ヴェロニカ・..
by didoregina at 18:57
Mevrouwさま、北海..
by レイネ at 18:46
レイネ様も怒涛の更新で、..
by Mevrouw at 23:33
Mevrouwさま、サー..
by レイネ at 22:10
Mevrouwさま、夏の..
by レイネ at 22:05
新作オペラに挑むのは本当..
by Mevrouw at 20:56
クロアチア~ベネチアを自..
by Mevrouw at 20:27
Mevrouwさま、ご高..
by レイネ at 20:19
ようやく一息つける日なの..
by Mevrouw at 19:57
Mevrouwさま、癒し..
by レイネ at 16:49
このところネットからも音..
by Mevrouw at 16:37
斑猫さま、もうすでにパリ..
by レイネ at 16:57
ロンドンの椿姫さま、まさ..
by レイネ at 16:54
こんにちは CT研究会..
by 斑猫 at 00:16

以前の記事

2016年 11月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 06月
2015年 04月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月

タグ

最新のトラックバック

究極の愛を描いたワーグナ..
from dezire_photo &..
バッハが人類に残したメッ..
from dezire_photo &..
バッハが『ロ短調ミサ曲』..
from dezire_photo &..
ルター派のプロテスタント..
from dezire_photo &..
ダンテの『神曲』 ”地獄..
from dezire_photo &..
ポン=タヴァン派、総合主..
from dezire_photo &..
倉冨亮太さんの繊細な美し..
from dezire_photo &..
ダイナミックで刺激的な多..
from dezire_photo &..
贅沢と快楽に生きる娼婦な..
from dezire_photo &..
バッハとヘンデルの音楽性..
from dezire_photo &..

カテゴリ

全体
バロック
映画
オペラ実演
オペラ映像
オペラ コンサート形式
着物
セイリング
コンサート
美術
帽子
マレーナ・エルンマン
イエスティン・デイヴィス
クイーン
CD
20世紀の音楽
旅行
料理
彫金
ビール醸造所
ベルギー・ビール
ハイ・ティー
サイクリング
ダンス
ハイキング
バッグ
教会建築
カウンターテナー
演劇
未分類

検索

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

音楽
映画

画像一覧