La Folia, Extreme Makeover

ごくごくフツーのオバサンやおやぢやティーンネイジャーなどを、プロのスタイリストやヘア・メークの人がよってたかって変身させるという特集は、TV番組や雑誌記事の定番である。
そんな世間のベタな風潮に倣って、古い帽子をメイクオーヴァーしてみた。
元もとは、17年前、義妹の結婚式に着用した帽子で、それ以来一度も使用しなかったもの。
物持ちが驚異的にいい、と言われるわたしは、そんなものも捨てるに捨てられず、ずっと飾ってあった。それが、かえってよかった。同様にして一度のみ着用したが、しまいこんでおいたためカビが生えて使えなくなった、という例を別の義妹から聞いたのだから。

昼間は帽子着用のこと、という結婚式のドレスコードを遵守して、ピンクの麻のツーピースに合わせるため、町に1、2軒くらいしかなかった帽子屋で同じような色の既製品を買ったのだ。色さえ合えば万々歳、デザインに文句を付けたら罰が当る、という感じで、仕方なくそれに決めた。だから、その結婚式以来、一度も被ったことがなかった。
サーモンがかったピンクのストローで、クラウンは浅め、アシンメトリーなブリム、黒の合皮の細いベルトと、帽子と同色・同素材の記事で葉っぱのようなものと黒の合皮のお箸のような飾りが付いていた。(あまりにダサくて、写真を撮る気にもなれなかったシロモノ)

帽子つくりを習って3年以上、既に腕前は中級以上になったので、このどうしようもないように見える帽子を再生させよう!と思い立った。
土台はできているから、ダサい飾りを全て取り外し、テラコッタ色のデコレーションを付けたら、信じられないほど可愛い帽子に変身した。
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テラコッタ色の同素材をバイアスにしてブリムを囲み、幅広ベルトを付け、コサージュを作った。

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ピンクに黒というコントラストの強い色の組み合わせから、トーンを濃くしたテラコッタに替えることで、スモーキーでファジーなイメージに。

c0188818_520756.jpg

赤や黒の夏のドレスに思いのほかマッチするのである。

手作りの帽子には、名前をつけるのが楽しみの一つでもある。
ラ・フォリアと名付けた。



ラ・フォリアは、元はポルトガルともスペインの土俗ともいわれる、古い舞踏音楽である。
ヴィヴァルディやコレッリによる変奏曲が有名だが、誰が変奏したものでも、和声進行とリズムが同じで、似たような曲調になるのが不思議。コンティのオペラ「モレナ山中のドン・キホーテ」でも、サンチョ・パンサとその恋人の丁々発止の掛け合い場面で使われていた。
いずれにしろ、イベリア半島の熱い土のイメージだ。

上の動画は、映画Tous les Matins du Mondeのワンシーン。
サウンド・トラックはサヴァールが担当しているから、ギョーム・ドパルデューの弾くヴィオラ・ダ・ガンバもサヴァールによる演奏。
ドパルデューの着ている服のスモーキーな赤が、わたしの考えるラ・フォリアのイメージに近い。
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by didoregina | 2010-06-30 22:33 | 帽子 | Comments(6)
Commented by アルチーナ at 2010-07-02 10:40 x
確かに、ラ・フォリアは赤それも、はっきりした赤ではなくて・・って色の説明って難しいですよね・・
ラ・フォリアは情熱と物悲しさが同居している音楽というか・・
とても好きです。あ、でも一聴して、ヴィヴァルディのとかマレのフォリアだとか・・全く聞分けられないですけれど・・

ああ・・お帽子ビフォアも見てみたかったです♥
外の緑にも映えて美しいです。
Commented by レイネ at 2010-07-02 15:02 x
アルチーナさまの、この前の記事のコメントから、ラ・フォリアという名前を帽子に付けました。洗礼式の名付親みたいな立場に当りますので、今後ともよろしく。
メイクオーヴァー前の帽子は、子供の勉強部屋に飾ってあったのですが、変身後には、その以前の姿が思い出せないほどだそうで、大幅イメチェン、extreme makeoverと呼ぶ所以です。

ラ・フォリアは、華やかだけど哀愁を帯び、陽光激しく眩暈のするほど暑い昼下がりに感じる暗闇のような、まさにイベリアだ!と感じられる音楽です。
Commented by Mev at 2010-07-02 17:50 x
今回の帽子、色も風合いもすごーく好きです!夏らしい。夕暮れのパーティに似合いそうですね~。

ラ・フォリアはすごく好きな音楽で、ヴィヴァルディ、コレッリ、マレ、どれもいいですが、なんたって元歌の民謡がいいわけであって、作曲家が創作したわけじゃないですから。彼らは単に装飾をして楽器ごとに演奏できるように音符に書いただけ(あ、それを作曲と呼ぶのかしら。。。)

私がハマッてるダビデ・アマデオの「スペインのフォリア」(マレによる変奏曲)なのですが、聞いてみてはいただけませんか?映像はいただけませんけど。この人もちょっとゲイかもしれない。。。。
http://www.youtube.com/watch?v=zm6gwzOzI-o
Commented by レイネ at 2010-07-02 20:13 x
Mevさま、ラ・フォリアの熱烈ファンでいらしたのね!
ダヴィデ・アマデオのヴィデオ拝見しました。かなり粘っこく脂ぎってる演奏で、まるでヴァイオリンのマキシム・ヴェンゲロフのチェリスト版、という感じがします。夏のヴェニスのねっとりとした海風みたい。
わたしは、もう少し軽くて枯れた味わいの演奏が好き。からからの灼熱のスペインの土のような。
Commented by 松野マリナ at 2010-07-03 22:11 x
レイネさん、お久しぶりです。しばらく日本に帰っていました。

素敵な帽子ですね~
大きめのコサージュが華やかで、夏の日差しにも合いそう。

バロック・チェロ?
素敵な音色・・
Commented by レイネ at 2010-07-03 23:50 x
マリナさま、本当にお久しぶり。ずいぶん長く日本に帰ってらしたんですね。
昨晩、この帽子を被って、地元音大のオペラ鑑賞に行ってまいりました。

バロック時代のチェロ、ヴィオラ・ダ・ガンバで、弓の持ち方がモダン・チェロとは違って下からお箸を持つようにするんです。だから、演奏の姿も優美です。サヴァールの演奏は、あっさりしているようで、噛み締めると味わいが出てくるような音なので、好き。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
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音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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