デュモーをチェーザレに!

「ジャゾーネ」でのデュモーの熱演を目の当たりにして、俄然、応援意欲が湧いてきた。
そこで、今月・来月は、「デュモー強化・推進月間」として、強力なプロモーションを行いたい。
特に目標としては、「トロメオ・イメージからの脱却」を掲げる。

来シーズン、パリのオペラ・ガルニエで「ジュリオ・チェーザレ」がかかる。もしやデュモーがチェーザレに抜擢か!と胸騒ぎがしたのだが、キャストを見ると、主役はローレンス・ザゾで、デュモーはまたしてもトロメオ役である。(ついでに、クレオパトラはナタリー・デセイ!)

デュモーは実年齢が若いから、中年のジュリアス・シーザーを演じるには、まだまだ青臭すぎる。しかし、青年のシーザーを演じるならば、歌声は十分に熟しているのである。演出いかんの問題である。
その証拠をご披露しようと思う。



2008年ボーヌでの録音だが、どうだろう、この堂々とした歌いっぷりと伸びやかな声と艶は。チェーザレの主役を張るに十分の貫禄である。ただし、楽譜を見ながら歌うというのは感心できない。まだまだこの曲を自分のものにしていないという証拠を見せるようなもので、減点対象となろう。
この曲で重要な役割を担うヴァイオリン・オブリガードは、フローランス・マルゴワールが担当。かの大御所ジャン=クロード・マルゴワールのご令嬢である。といっても年齢はわたしと同じで中年だが。彼女は、指揮も行うというから、先ほど注文した新譜「オルランド」の指揮はもしや娘のほうか?と心配になったが、親父がまだまだがんばっている模様。

この曲の聴き比べならば、この人に登場していただかなくては。チェーザレのイメージを決定付けたサラ様@グラインドボーンである。


さすがサラ様、自家薬籠中の物にしている。このDVD中の白眉でもある。
多分、デュモーはサラ様との長きに及ぶ共演で彼女を師匠とあがめ(?)その芸術を盗んだに違いない、と思えるほど似たアプローチになっている。声も。

比較検討のため、もう一人カウンターテナーに登場していただこう。ショル兄である。



歌声の男らしさという点では、デュモーのほうが勝っていると言えないだろうか。(歌声も含めて、表情と演技のトータルで見るとサラ様が一番男らしいが)
ここでの演出上、ヴァイオリンのオバサンが出てくる必然性が全く感じられず、マイナス点だけが付加される。もっと若くてきれいな男の子か女の子を軍服着せて出したらよかったのに。

オペラ実演では、歌手および奏者を生かすも殺すも演出次第である。若き野心家としてのチェーザレを主役とする、想像力を駆使した新演出が待たれる。そして、次代のチェーザレは、デュモーを置いて他には考えられない、と結論付けたい。
[PR]
by didoregina | 2010-05-30 16:46 | バロック | Comments(12)
Commented by アルチーナ at 2010-05-31 09:15 x
ああっ!!私もチェーザレのal lampo dell'armi 聴き比べをしようと思っていたところなので便乗しちゃおうかしら??

結局、デュモーの『ジャゾーネ』は録れなかったので分からないのですが、いい声ですよね!彼。
それと感情を込めて歌うのが上手くて・・どちらかというと怒り狂ったコロラトゥーラよりもスローな曲の歌いまわしが良さそう!というのがオルランドを試聴してみて感じたことです。(このような歌い方はフランコ様の専売特許だと今まで思っておりました・・)
Se in fioritoも良いですね。

ショル兄は本当に上手なのですけれど、確かに男らしさには欠けるかも・・
最近は沢山カウンターテナーも出てきているので役柄にあわせて演じていけば良いですよね。
Commented by sarahoctavian at 2010-05-31 14:41 x
このデュモーのコンサートクリップはいくつも出てましたっけ?彼の歌声がトロメオの時よりさらにレベルアップしたんではないか・・と思いました。他の曲でも歌ってる彼そっちのけで?ヴァイオリンの女性のアップがやけに多く不審に(笑)思ってたのですが、そういう訳か~なるほど。
サラ様のは私もこのDVDの中で一番好き!水を得た魚というか・素晴らしいのひと言に尽きます。2月のコンサートでもこれを歌う予定なんですよね?極端な話、このアリアを聴きたいがためにアムスまで・・という気分でございます。
ショル兄は声自体は安定感ありですが、サラ様の舞台と較べてしまうと色気とか貫禄とか役になりきってない感が否めませぬ。
アルチーナさんもおっしゃる様に、CTも実に声質色々・それぞれにあった役どころを歌うのが良いのでしょう。デュモーはまずは脱トロメオが目標か!演技力もルックスもばっちりだし、幅広い可能性を秘めてますね。
Commented by レイネ at 2010-05-31 16:13 x
アルチーナさま、同趣向の企画、ありがとうございます。といっても、お互い自分の贔屓を引き立ててるだけなんですが。
そうそう、スローの曲をゆったりと歌い上げて男らしさを出せるCTやメゾが好きなんです!だから、デュモーも気に入ったの。
それと声。ミヤ様の声はチェーザレに向いてると思うけど、プリーナ姐の声だとどうも女性っぽさを感じてしまうのは、イタリア人だからかな。イタリア人メゾやアルトの発声には、どうしてもまろやかな女性らしさが漂い、アルプス以北や東欧の歌手とは違うような気がします。
Commented by レイネ at 2010-05-31 16:19 x
sarahoctavianさま、サラ様、アムスでもこれ歌ってくれるんですか、次回は?前回、とても聴きたかったんです。そしたら、昨日、デュモーがフライブルク・バロック・オーケストラといっしょにこの曲を歌ってる音源を見つけました。サラ様コンサートと同じオケで同年のほぼ同じ時期なの。動画がないから、サラ様のもこんな感じになったのかなあ、と想像しました。
デュモーのトロメオ・イメージ脱却は、わたしが勝手に目標として推進してるだけですが、本人ももう飽き飽きじゃないかしらね、トロメオ役は。
Commented by sarahoctavian at 2010-05-31 16:32 x
サラ様コンサートの演目をおせっかいにフレッド・リュイテン(と発音するの?)のサイトから抜粋します:
Programma:
G.F. Händel: aria’s en duetten uit opera’s en het oratorium Belshazzar.
O.a. Serse – Ombra mai fù;
Giulio Cesare - Se in fiorito en Non disperar;
Agrippina: Voi che udite;
Rinaldo: Cara Sposa;
Rodelinda: Io, t’abraccio; Tamerlano: Vivo in te en
Belshazzar: Great Victor, at your feet I bow.
Instrumentaal: o.a. Concerto grosso, op. 6, nr. 1
Concert speciaal samengesteld voor de serie Barok Vocaal in de Grote Zaal. De twee Händel-specialisten Connolly en Joshua staan garant voor een Händel-concert op het hoogste niveau.
予定は未定、その日の声の調子によっても急な変更あるでしょうけどね・・ぜひSe in fiorito歌って欲しいわよね!
当たり役やヒット曲を見たい聴きたい観客と演奏する方の反比例な気持ちってクラシックもロックも同じでしょうか。。。彼もトロメオはもう卒業したいって思ってるかもね。
Commented by アルチーナ at 2010-06-01 09:50 x
確かにロックコンサートでもアーチストは昔のヒット曲なんて演奏したくないのかもしれないですよね。でも聴衆は聴きたい!!

そいういえば以前、カルミニョーラ、ヴェニス・バロック・オーケストラでヴィヴァルディの四季を聴いたのですが、途中で照明が完全に落ちてしまって・・でもその中でも全く乱れず弾ききっていましたけれど・・ハッキリ言って目をつぶっても演奏出来るという状態ですよね。これは。

ミヤ様の声は良いですね。ちょっと見た目のせいもあるのかもしれませんけれど、彼女は線が細いかな?とも思っていたのですけれど、彼女のヘンデルのアリア集は結構、繰り返し、聴いてしまいます。
そういえば、この間アリス・クートのセストを聴いたのですが彼女も硬質な声で、なかなか良いですね。チェーザレには向かないと思いますけれど。

そうそう!マレーナ様、新譜出されます??なんかそんな事を呟いていたような気が・・・
Commented by bonnjour at 2010-06-01 10:42
「デュモー強化・推進月間」、着眼点がいいですね!

私がデュモー選手を実演で聴いたのは1回だけで、ショル兄と共演したヘンデルのパルテノーペ@コペンハーゲン王立劇場、だったのですが、風邪で喉をやられた兄がボロボロだったのに対し、デュモー選手はコンディション万全で素晴らしい歌唱を聴かせてくれました。まだ若いのにすごい!と感心しました。当面はトロメオ役イメージからの脱却が課題でしょうか。

ショル兄出演版の「チェーザレ」は、ヴァイオリンのオバサンのかわりに若くてきれいなカウンターテナー歌手(ヴェルサイユ音楽院でヴァイオリンを専攻したあと声楽に転向)が軍服を着てヴァイオリンを弾けばよかったのに。<==あるコンサートで彼が余興に弾いたヴァイオリンを聴いた友人はひとこと「歌手になって正解だったね」と。
Commented by レイネ at 2010-06-01 15:51 x
sarahoctavianさま、この曲を聴きたいがためにアムスまで、という動機に基づく強烈な願いは、きっと報われますよ。<-とわたしが太鼓判押しても、あまり説得力はないけど。。。6月になったので、コンヘボのオンライン・チケット発売動向またチェックしないとね。
sarahさんも、こうしてサラ様布教に余念がないのね。
Commented by レイネ at 2010-06-01 16:06 x
アルチーナさま、VBOのヴィヴァルディ「四季」、暗闇の中でもあわてず乱れずに演奏できるってのは、目をつぶっても大丈夫、完璧にルーティン化してるのか、この曲がもう血肉と化してるからか。。。。凄いですね。

女性で「チェーザレ」主役を堂々と張れるのは、サラ様とミヤ様しかいない!と思います。プリーナ姐もやってるようですが、彼女の声ってどうも丸みを帯びた女性を感じさせるから、違和感が。

皆から、暗くて嫌いと邪険にされるコルネリア役に、クート様が挑戦するのもいいのではないかと。声質としては合ってると思いません?

マレーナ様の新譜、きっと近いうちに出るんでしょう。また妙な選曲・カップリングで。。。きちんとしたコンセプトのあるアルバムを出してもらいたいものです。
Commented by レイネ at 2010-06-01 16:16 x
bonnjourさま、デュモーが体操のお兄さんみたいだったというご感想でしたよね、「パルテノーペ」では。このまま精進を重ねて、体力温存、歌唱にも磨きをかけて、がんばってもらいたいです。それと、ソロ・アルバムの一枚も出さないと、トロメオ・イメージが固定してしまうわ。ヴァージンあたりで売り出してくれないかなあ。

PJ様がゲスト出演してヴァイオリンを弾く、というのはすごい発想だわ。余興として弾いても、聴くほうが冷や汗モノではちょっと。。。きっと、歌手としてお忙しい彼は、もうヴァイオリンお稽古の時間が取れないんでしょうね。
Commented by REIKO at 2010-06-01 19:15 x
コメ出遅れすみません!「強化月間」良いですね!
毎月一人づつピックアップするってのも、面白いかも♪
デュモー選手(爆)上手いですね!ほんとに伸び伸びだわ~。
ただご指摘の通り、「楽譜持ち」気になりますね。
歌いにくくないのかな?って思います。
譜面台に乗せるなら、まあわかるんですが。
★ところで、デュモー=オルランド全曲盤が発売延期(20日)になったので、ガックリ来てます・・・

「チェーザレ」で、トロメーオ役からチェーザレへ・・・という歌手の「階段」みたいなパターンができると、それはそれで面白いと思います。
「このトロメーオなら、将来のチェーザレはこんなかな」とか予想しながら聴くのも楽しいと。
Commented by レイネ at 2010-06-02 00:10 x
REIKOさま、「オルランド」、ドイツ・アマゾンから今日届きましたよ。お先に申し訳ありません。
今、聴いている最中ですが、対訳付きでないのが残念。背景やキャラクターの説明および歌手紹介にはページを割いているのに。。。
ジャケット写真は、狂乱というか怒れるオルランドで、デュモーのメイクおよび衣装を見ると、動画がないのも非常に残念。一体どんな演出だったのかと、興味津々になります。

トロメオからチェーザレに、という階段を登れる可能性を秘めている歌手として、デュモーを応援していきます!


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


by didoregina

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

プロフィール

名前:レイネ
別名: didoregina
性別:女性
モットー:Carpe diem

オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
ハレのおでかけには着物、を実践しています。
音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


最新のコメント

Vermeerさま、多分..
by レイネ at 01:38
トマスのソロ・コンサート..
by Vemeer at 01:25
Vermeerさま、この..
by レイネ at 20:56
詳細なレポート、楽しく拝..
by Vermeer at 18:02
ロンドンの椿姫さま、それ..
by レイネ at 17:03
大満足のマスタークラスで..
by ロンドンの椿姫 at 23:41
鍵コメさま、ヴェロニカ・..
by didoregina at 18:57
Mevrouwさま、北海..
by レイネ at 18:46
レイネ様も怒涛の更新で、..
by Mevrouw at 23:33
Mevrouwさま、サー..
by レイネ at 22:10
Mevrouwさま、夏の..
by レイネ at 22:05
新作オペラに挑むのは本当..
by Mevrouw at 20:56
クロアチア~ベネチアを自..
by Mevrouw at 20:27
Mevrouwさま、ご高..
by レイネ at 20:19
ようやく一息つける日なの..
by Mevrouw at 19:57
Mevrouwさま、癒し..
by レイネ at 16:49
このところネットからも音..
by Mevrouw at 16:37
斑猫さま、もうすでにパリ..
by レイネ at 16:57
ロンドンの椿姫さま、まさ..
by レイネ at 16:54
こんにちは CT研究会..
by 斑猫 at 00:16

以前の記事

2016年 11月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 06月
2015年 04月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月

タグ

最新のトラックバック

究極の愛を描いたワーグナ..
from dezire_photo &..
バッハが人類に残したメッ..
from dezire_photo &..
バッハが『ロ短調ミサ曲』..
from dezire_photo &..
ルター派のプロテスタント..
from dezire_photo &..
ダンテの『神曲』 ”地獄..
from dezire_photo &..
ポン=タヴァン派、総合主..
from dezire_photo &..
倉冨亮太さんの繊細な美し..
from dezire_photo &..
ダイナミックで刺激的な多..
from dezire_photo &..
贅沢と快楽に生きる娼婦な..
from dezire_photo &..
バッハとヘンデルの音楽性..
from dezire_photo &..

カテゴリ

全体
バロック
映画
オペラ実演
オペラ映像
オペラ コンサート形式
着物
セイリング
コンサート
美術
帽子
マレーナ・エルンマン
イエスティン・デイヴィス
クイーン
CD
20世紀の音楽
旅行
料理
彫金
ビール醸造所
ベルギー・ビール
ハイ・ティー
サイクリング
ダンス
ハイキング
バッグ
教会建築
カウンターテナー
演劇
未分類

検索

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

音楽
映画

画像一覧