デルフトの誇り

デルフトは小さいのに、確固たる誇りみたいなものを感じさせる町である。
この町にまつわる歴史が、オランダ独立や黄金時代の錚々たる著名人と関わるので、町を由緒あるものにしているからだ。

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           ブラウのデルフト地図 (1652年)

デルフト工科大学出身で、デルフトで仕事をしている友人Rは、理系にしては珍しいほどオランダ史に詳しいので、彼の案内でデルフトを歩いたら、目からウロコが何枚も剥がれ落ちた。

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           長方形のマルクト広場の片側に建つ市庁舎
           広場の反対側にある新教会の前には、
           グロティウスの像が立っていた。

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           新教会内部のグロティウス(フーホー・デ・フローテの
           ラテン語読み)の墓碑。国際法の父と呼ばれる彼は
           貿易上の障害のない公海の原理を提唱した。
           これ以外にも、17世紀の著名学者・科学者その他の
           墓がひしめき合っている。

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           その中でも別格は、オランダ独立の立役者
           オラニエ公ウィレムの立派なお墓。
           4方にオペリスクが立ち、ギリシャの女神達に
           守られて眠る。
           オランダ王室一族の墓所も地下にある。

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           オラニエ公ウィレムが22歳の時の肖像画 (1554年)
           アントニス・モル・ファン・ドゥスホルスト作。
           この肖像画を、デルフトのプリンセンホフ美術館で
           見て、あまりのその男ぶりのよさに惚れ惚れした。
           オランダ建国の父となる以前は、こんなにいい男
           だったとは!

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           新教会の塔を裏手の運河側から望む。

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           新教会内にもレプリカがあるこの地図の本物には
           プリンセンホフで出会えた。1536年の大火の年に
           描かれた地図で歴史的価値もさることながら、その
           稀な美しさに感動。紙に印刷されたものではなく、                               木の板に油絵で精密に描かれている。

大火でかなり消失したが、地図の中央より右上方に旧教会がある。その後修復され、立派な伽藍になっている。そこにも、有名人の墓があるが、デルフトといったらこの人、フェルメールの(だいぶ後世になって作られた)記念墓碑。
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           オルガンや側廊やチャペルが多い大教会なので、
           フェルメールの記念墓碑はちょっとわかりにくい。
           しかし、日本人なら間違いなく知ってるだろう、と
           思われたのか、オランダ人観光客から場所を訊かれた。

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           プリンセンホフ美術館にあった、黄金時代のデルフトの
           詳細地図。この美術館の所蔵品は、有名な絵画などは
           ないが、集め方にピリッとスパイスが効いていている。
           スペインとオランダとの確執をテーマにした展示が多くて、
           なかなかに楽しめる。オランダの歴史のお勉強に最適。


駅の近くに、いい品揃えのCD屋を発見。久しぶりに時間をかけて、掘り出し物を探した。
去年の9月に聴き逃した「ボッスの7つの大罪」を演奏したカメラータ・トラジェクティナのCDだ。タイトルも「黄金時代の音楽」という、デルフト観光の記念にこれ以上はないと思われるもの。
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カメラータ・トラジェクティナは、オランダの埋もれたルネッサンス、バロックの曲を掘り出して録音・演奏活動しているアンサンブルだ。
この「黄金時代の音楽」もコンスタンテイン・ホイゲンス作詞・作曲の宗教曲や当時の世俗曲を集めたもの。妙な土臭さがなくて都会っぽい音が意外である。なにしろ歌手が上手いし、曲目も久しぶりにレア度満点で、満足だ。視聴できるように、彼らのサイトにリンクを張った。
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by didoregina | 2010-05-26 12:27 | 旅行 | Comments(4)
Commented by bonnjour at 2010-05-28 19:14
美男のオラニエ公ウィレムの肖像を堪能させていただきました。絶好の案内役を得て、よい訪問ができましたね。私は昔、東京で建築家が主宰する歴史探索の会、というのに出たことがあったのですが、やはり目の付けどころが鋭くて自分で漫然と見てあるくよりずっと密度の濃い探索ができたものです。
Commented by レイネ at 2010-05-29 04:47 x
bonnjourさまとは、男性の好みはあまり一致しないんでしたよね。オラニエ公ウィレム肖像のキレイな写真がウェブ上では見つからなくって残念。この絵を見てなぜかとても惹き付けられ、プリンセンホフのブロシャーは印刷がいいので、手元に置いて毎日見て、見飽きません。

いいガイドが同行してくれると、自分ひとりでは気がつかない発見が多いものですよね。
Commented by momoneko at 2010-06-30 05:37 x
以前この記事を読んだときに、母が来たらもう一度と、覚えていて今復習に読んでいます。再度読んで俄然意欲が沸いてきました。行ってみたい!!、デルフト!陶器でも有名なんですよね。フェルメールの映画「真珠の耳飾りの少女」の街でもあるし。早速プランしてみます。
Commented by レイネ at 2010-06-30 15:21 x
momonekoさま、長男がデルフト工科大学に入学するので、明日木曜日にもアパートの下見に行く予定です。
こじんまりした町ですので、のんびり歩いて見てまわれます。フェルメールの本物の絵はないのですが、複製を集めた「フェルメール・センター」というのがあります。
「デルフトの眺望」ほか、本物はデン・ハーグのマウリッツハウスか、アムステルダムの国立美術館ですね。マウリッツハウスでは、今、フェルメールの初期の作品3点の特別展もやってます。


コンサート、オペラ、映画、着物、ヴァカンスなど非日常の悦しみをつづります。


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性別:女性
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オランダ在住ですが、国境を越えてベルギー、ドイツのオペラやコンサートにも。
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音楽、美術、映画を源泉に、美の感動を言葉にしていきます。


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